JPH09300A - Dna塩基配列決定法およびその装置 - Google Patents

Dna塩基配列決定法およびその装置

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JPH09300A
JPH09300A JP7148980A JP14898095A JPH09300A JP H09300 A JPH09300 A JP H09300A JP 7148980 A JP7148980 A JP 7148980A JP 14898095 A JP14898095 A JP 14898095A JP H09300 A JPH09300 A JP H09300A
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dna
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determining
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JP7148980A
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English (en)
Inventor
Hideki Kanbara
秀記 神原
Kazunobu Okano
和宣 岡野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】長いDNAの塩基配列決定を、あらかじめ準備
された比較的少数のプライマーを用いて、3′末端から
順次決定する効率のよい塩基配列決定方法を提供する。 【構成】鋳型DNAを1本鎖とし、その3′末端から一
定長さを相補鎖合成により2本鎖とし、2本鎖部分を酵
素で切断し、切断部にオリゴマーを結合させて新たなプ
ライマー結合部を作製して、順次塩基配列を決定して行
く。 【効果】従来の複雑な操作で手間のかかる長いDNAの
塩基配列決定を簡単な操作で効率よく行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はDNA塩基配列決定法に
係り、特に効率の良い塩基配列決定法およびその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、DNAの塩基配列決定には、DN
A断片を放射性標識し、ゲル電気泳動後のパターンを、
オートラジオグラフィーにより読み取っていたが、最近
蛍光標識を用いてゲル電気泳動分離を行いながら、実時
間で塩基配列を決定する装置が開発され普及してきてい
る。この装置を用いると、一度に20〜30種のDNA
断片の塩基配列を400〜500塩基長まで決定するこ
とができる。しかし、より長いDNA断片の塩基配列決
定は容易でなく、(1)ショットガン法、(2)ネステ
ィド・デリーション法、(3)ウォーキング法等、幾つ
かの方法が提案されている。上記(1)ショットガン法
は、DNAを超音波、その他の手法で小さく切断し(数
百塩基長〜数千塩基長)、プラスミド等のベクターにD
NA断片を埋め込み、大腸菌等に感染させた後、寒天培
養を行いDNA断片の組み込まれたベクターを持つ大腸
菌を分離、分取してDNAを取り出し塩基配列を決定す
る。このプロセスでは、取り出してくるDNA断片の配
列および元のDNAにおける部位などは不明であり、元
のDNA配列を得るには実質5〜10倍のDNA配列を
決める必要があるうえ、操作が多く複雑で自動化にも不
向きな難点がある。上記(2)ネスティドデリーション
法は、ベクターに組み込まれたDNAを取り出し、その
長さをあらかじめ計測し、長さ順に並べて、無駄なく長
さ順に解析を行う方法であり、重複して解析する率を3
〜4倍にまで低減することができる。しかし、この方法
は手間が掛かるうえ、クローニングなど自動化が難しい
プロセスが含まれている。上記(3)第3のウォーキン
グ法は、長いDNAの塩基配列を端からまず決定する。
一度に配列が決定できる長さは400〜500塩基程度
である。ついで、配列決定開始地点から400塩基前後
の決定された塩基配列と相補的なDNAオリゴマーを人
工合成し、塩基配列決定のプライマーとして第2回目の
配列決定を行う。このような配列決定を順次行うことに
より、長いDNAの塩基配列を決定するものである。し
かし、この方法は最も効率の良い方法であるが、配列決
定用のプライマーをその都度合成しなければならないと
いう手間が掛かる問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したごとく、従来
の最も効率が良いとされる上記(3)のウォーキング法
においても、配列決定用のプライマーをその都度合成し
なければならないという手間の掛かる問題があった。
【0004】本発明の目的は、従来技術における問題点
を解消し、ウォーキング法の難点、すなわち、測定の度
に行うプライマー合成の手間を省き、効率の良いDNA
塩基配列の決定法およびその装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、本発明は独自の新しい手法を提案するもの
であり、基本的には鋳型DNAの3′末端側から塩基配
列を決定するものであり、また数百〜1k(キロ)塩基
の長さ相補鎖合成を行い、この配列決定済みの2本鎖領
域にある制限酵素切断部を切断し、配列決定済み部分の
DNAを除去し、ついで残存部に、既知配列のDNAオ
リゴマーを結合させ、この部分をプライマー結合部とし
てDNA塩基の配列決定を繰り返すことにより、従来の
ウォーキング法のように、測定の度に行うプライマー合
成の手間を省き、効率の良いDNA塩基配列の決定を行
う方法とするものである。具体的には、特許請求の範囲
に記載のような構成とするものである。すなわち、本発
明の請求項1に記載のように、DNAの塩基配列を決定
する方法において、少なくとも(1)DNAの5′末端
側を固相担体の表面に固定して、1本鎖を得るプロセス
と、(2)3′末端側にプライマーをハイブリダイズし
て塩基配列を決定するプロセスと、(3)3′末端側か
らの相補鎖合成により得られた2本鎖部分を制限酵素に
より切断し、生じた遊離DNAを除去するプロセスと、
(4)上記切断部に、2本鎖部分を含むDNAオリゴマ
ーをハイブリダイズさせてプライマーとするか、もしく
は配列既知のオリゴヌクレオチドを結合し、その1部配
列と、実質相補的な配列を含むプライマーを用いて3′
末端から塩基配列を決定するプロセスによりDNAの塩
基配列を決定する方法であって、少なくとも上記(3)
〜(4)のプロセスを1回以上繰り返して行い、DNA
塩基配列を順次決定するDNA塩基配列決定方法とする
ものである。本発明は請求項2に記載のように、請求項
1において、(3)のプロセスにおける相補鎖合成は、
DNA合成鎖長の平均値を制御可能とする条件下で相補
鎖合成を行うDNA塩基配列決定方法とするものであ
る。また、本発明は請求項3に記載のように、請求項2
において、合成DNA相補鎖の平均鎖長の制御は、DN
Aシーケンス反応と同様に、DNA合成基質中にヌクレ
オチド類似物を混合して基質として用いるDNA相補鎖
合成によるDNA塩基配列決定方法とするものである。
また、本発明は請求項4に記載のように、請求項2にお
いて、DNA相補鎖の平均合成鎖長は、鋳型となるDN
Aの配列を認識して結合するDNAおよびその類似体も
しくは蛋白質により、特定部以降の相補鎖合成を障害す
る手法を用いるDNA塩基配列決定方法とするものであ
る。また、本発明は請求項5に記載のように、請求項1
において、3′末端側から部分的相補鎖合成と、それに
続く制限酵素切断により5′末端側から所定の長さのD
NA断片群を順次作製するプロセスを少なくとも含むD
NA塩基配列決定方法とするものである。また、本発明
は請求項6に記載のように、請求項1において、(3)
のプロセスで生じた切断部に、配列既知のオリゴマーを
結合させ、プライマーがハイブリダイズする部位を設け
るプロセスを含むDNA塩基配列決定方法とするもので
ある。また、本発明は請求項7に記載のように、請求項
1において、1部が2本鎖状となったプライマーを用い
て相補鎖合成するプロセスを含むDNA塩基配列決定方
法とするものである。また、本発明は請求項8に記載の
ように、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載
のDNA塩基配列の決定を行う装置であって、(1)D
NAを固相担体の表面に固定した試料DNAを作製する
手段と、(2)固相担体に固定した試料DNAを鋳型と
して、DNA塩基配列決定反応を行う手段と、(3)固
相担体の表面に固定した試料DNAを鋳型として相補鎖
合成を行い、2本鎖部分を制限酵素で切断した後、遊離
DNAを除去する手段と、(4)上記切断部に、2本鎖
部分を含むDNAオリゴマーをハイブリダイズさせてプ
ライマーとするか、もしくは配列既知のオリゴヌクレオ
チドを結合し、その1部配列と、実質相補的な配列を含
むプライマーを用いて3′末端から塩基配列を決定する
手段を少なくとも備えたDNA塩基配列決定装置とする
ものである。
【0006】
【作用】本発明のDNA塩基配列決定法は、請求項1に
記載のように、DNAの塩基配列を決定する方法におい
て、少なくとも(1)DNAの5′末端側を固相担体の
表面に固定して、1本鎖を得るプロセスと、(2)3′
末端側にプライマーをハイブリダイズして塩基配列を決
定するプロセスと、(3)3′末端側からの相補鎖合成
により得られた2本鎖部分を制限酵素により切断し、生
じた遊離DNAを除去するプロセスと、(4)上記切断
部に、2本鎖部分を含むDNAオリゴマーをハイブリダ
イズさせてプライマーとするか、もしくは配列既知のオ
リゴヌクレオチドを結合し、その1部配列と、実質相補
的な配列を含むプライマーを用いて3′末端から塩基配
列を決定するプロセスによりDNAの塩基配列を決定す
る方法であって、少なくとも上記(3)〜(4)のプロ
セスを1回以上繰り返して行い、DNA塩基配列を順次
決定するDNA塩基配列決定方法とするものである。こ
のように、塩基配列を決定して歩行していく長さを、制
限酵素で切断される間隔とし、この切断部に既知配列を
結合させてプライマー配列の1部とすることにより、あ
まり多くない若干の種類のプライマーをあらかじめ用意
することで、プライマー合成の手間を省いている。ま
た、鋳型DNAの3′末端側から、あまり長くない領域
について相補鎖合成し、2本鎖となった領域を切断する
ことを繰り返し行うことで、DNAの3′末端側から少
しずつDNAを削っては配列決定を繰り返すことで、極
めて効率のよいDNA塩基の配列決定歩行を実現できる
効果がある。また、本発明は請求項2に記載のように、
請求項1において、(3)のプロセスにおける相補鎖合
成は、DNA合成鎖長の平均値を制御可能とする条件下
で相補鎖合成を行うDNA塩基配列決定方法とすること
により、上記請求項1の共通の効果に加えて、塩基配列
を決定して歩行していく長さを任意に制御することがで
き、いっそう効率の良い塩基配列の決定を行うことがで
きる。また、本発明は請求項3に記載のように、請求項
2において、合成DNA相補鎖の平均鎖長の制御は、D
NAシーケンス反応と同様に、DNA合成基質中にヌク
レオチド類似物を混合して基質として用いるDNA相補
鎖合成によるDNA塩基配列決定方法とすることによ
り、合成DNA相補鎖の平均鎖長の制御が容易となり、
上記請求項1の共通の効果に加えて、効率の良い塩基配
列の決定を行うことができる。また、本発明は請求項4
に記載のように、請求項2において、DNA相補鎖の平
均合成鎖長は、鋳型となるDNAの配列を認識して結合
するDNAおよびその類似体もしくは蛋白質により、特
定部以降の相補鎖合成を障害する手法を用いるDNA塩
基配列決定方法とすることにより、DNA相補鎖の平均
合成鎖長の制御が容易となり、上記請求項1の共通の効
果に加えて、塩基配列の決定を効率良く行うことができ
る。また、本発明は請求項5に記載のように、請求項1
において、3′末端側から部分的相補鎖合成と、それに
続く制限酵素切断により5′末端側から所定の長さのD
NA断片群を順次作製するプロセスを少なくとも含むD
NA塩基配列決定方法とすることにより、上記請求項1
の共通の効果に加えて、いっそう効率の良い塩基配列の
決定を行うことができる。また、本発明は請求項6に記
載のように、請求項1において、(3)のプロセスで生
じた切断部に、配列既知のオリゴマーを結合させ、プラ
イマーがハイブリダイズする部位を設けるプロセスを含
むDNA塩基配列決定方法とすることにより、上記請求
項1の共通の効果に加えて、いっそう効率の良い塩基配
列の決定を行うことができる。また、本発明は請求項7
に記載のように、請求項1において、1部が2本鎖状と
なったプライマーを用いて相補鎖合成するプロセスを含
むDNA塩基配列決定方法とすることにより、上記請求
項1の共通の効果に加えて、塩基配列の決定を効率良く
行うことができる。また、本発明は請求項8に記載のよ
うに、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の
DNA塩基配列の決定を行う装置であって、(1)DN
Aを固相担体の表面に固定した試料DNAを作製する手
段と、(2)固相担体に固定した試料DNAを鋳型とし
て、DNA塩基配列決定反応を行う手段と、(3)固相
担体の表面に固定した試料DNAを鋳型として相補鎖合
成を行い、2本鎖部分を制限酵素で切断した後、遊離D
NAを除去する手段と、(4)上記切断部に、2本鎖部
分を含むDNAオリゴマーをハイブリダイズさせてプラ
イマーとするか、もしくは配列既知のオリゴヌクレオチ
ドを結合し、その1部配列と、実質相補的な配列を含む
プライマーを用いて3′末端から塩基配列を決定する手
段を少なくとも備えたDNA塩基配列決定装置とするも
のである。このような装置構成とすることにより、上記
請求項1のDNA塩基配列決定法における効果と同様
に、DNAの3′末端側から少しずつDNAを削っては
配列決定を繰り返すことで、極めて効率のよいDNA塩
基の配列決定歩行を実施する装置を実現できる効果があ
る。
【0007】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉本実施例においては、図1(a)〜(g)
に示すように、ヌクレオチド類似物を添加して相補鎖合
成を行い、相補鎖合成で生成するDNAの平均鎖長を調
製する場合を示す。目的とするDNAの5′末端側を磁
気ビーズに固定した試料DNA1を用意する。この試料
DNAの調製法は〔Clin.Chem.37,1626-1632(1991)〕
に記載のビオチン化プライマーとストレプロトアビジン
固定化磁気ビーズを用いる方法と同様である。この鋳型
DNAの3′末端には既知配列のプライマー結合部位
が、図1(a)のプライマー結合部3に示すように、ラ
イゲーション等により、あらかじめ結合されている。プ
ライマー配列として、よく用いられるものは、表1に示
す配列番号1のユニバーサルプライマーである。
【0008】
【表1】
【0009】図1(a)〜(g)は、本実施例における
DNA塩基配列決定法の手順を示す説明図である。操作
に先立ち、〔Sau 3A1〕などの3〜5種の制限酵
素の切断部配列と既知配列(通常ユニバーサルプライマ
ー配列を用いるが、他の配列であってもよい)の一部を
含むプライマーを用意するが、これら既知配列の3′側
に任意の2塩基あるいは3塩基を付加したプライマーを
制限酵素ごとに16種(4塩基種×4塩基種)用意す
る。制限酵素としては200塩基〜400塩基ごとに切
断部の現われる4塩基認識酵素を用いる。用途によって
は、6塩基認識酵素などを用いてもよい。数種の制限酵
素を用意するのは、単一の制限酵素を用いた場合、切断
部が長い塩基長にわたって現われないことがあるからで
ある。このような場合は、別の4塩基認識酵素を用いて
切断する。鋳型DNAを精製して、反応チップに入れ、
プライマー、シーケンシング試薬を加えてシーケンシン
グ反応を行う。反応試薬混合液中のダイデオキシヌクレ
オチドddNTPとデオキシヌクレオチドdNTPの比
は、図4(a)〜(g)のシーケンシング反応プロトコ
ールに示すように、熱サイクル下で反応を行う。もちろ
ん、熱サイクルを用いなくてもよいが、より多くの鋳型
DNAを必要とする。反応条件などについては、図4
(a)〜(g)の各反応過程で示した通りである。dd
NTPが取り込まれると、相補鎖伸長反応は停止するの
で、ddNTP/dNTP比を大きくすると、平均して
短い断片が多くなる。ここで用いた熱サイクルシーケン
シング反応では、まず、図1(a)、(b)、(c)に
示すように、相補鎖合成を用いたシーケンシング用DN
A断片(合成されたDNA2本鎖部)20の作製を行
う。ついで、昇温し、合成鎖(合成されたDNA2本鎖
部)20を遊離し、鋳型DNAを1本鎖とする。つい
で、降温し、プライマーをハイブリダイズさせ、シーケ
ンシング反応を繰り返す。この結果、鋳型DNAのコピ
ー数の何倍ものシーケンシング反応生成物であるDNA
断片(合成されたDNA2本鎖部)20を得ることがで
きる。この生成したDNA断片20を取り出し、常法に
したがい塩基配列の決定を行う。一方、残された鋳型D
NAには、シーケンシング反応で生成した種々長さのD
NA断片(合成されたDNA2本鎖部)20の1部がハ
イブリダイズした状態にある。長いものでは1k(キ
ロ)塩基以上のものもあるが、大部分は400〜600
塩基以下である。塩基配列決定した情報をもとに、40
0塩基長近傍にある4塩基認識制限酵素を調べる。 図
1においては、第1切断部11、第2切断部12、第3
切断部13に相当する。ついで、その制限酵素を用いて
合成相補のハイブリダイズした鋳型DNAを切断する
〔図1(d)〕。2本鎖部分は、鋳型DNAの3′末端
から出発して種々長さのものが約1k塩基までの長さで
種々のものが存在する。制限酵素で完全に切断しても、
切断部21は鋳型DNAの3′末端から数箇所に限定さ
れ、第4切断部14のように、1本鎖部分は切断されな
い〔図1(e)、(f)〕。相補鎖合成がシーケンス反
応でなく、通常の(ddNTPを含まない)合成反応の
場合には、相補鎖は固相担体に固定された5′末端側ま
で延び、すべてが2本鎖状となる。この場合、制限酵素
で完全に消化すると、5′末端側が固相担体に固定され
た鋳型DNAは、5′末端から最初の制限酵素切断部で
切断された短いDNA断片だけとなる。このため5′末
端から順次配列決定をする試料として使用することがで
きない。一方、制限酵素量あるいは反応時間を減らし2
本鎖DNAを部分消化すると、固相単体に固定された末
端から種々長さのDNA断片が得られる。元のDNAの
長さが数k塩基(5〜10K塩基)と長い場合には、非
常に多くの塩基断片種が生じるので、それらを分離、分
取せずに配列決定することは困難である。他方、ここで
用いたシーケンス反応を用いる手法では、合成されたD
NA2本鎖部20のように、鋳型DNAの3′末端(固
相坦体に固定された5′側とは逆の側)から種々の長さ
で形成される。各DNA断片(合成されたDNA2本鎖
部)20のコピー数は長くなるほど減少し、1k塩基長
以上のものは非常に少ない。このため切断部21は、
3′末端から1k塩基以内で主として起こる。ddNT
P/dNTP比をさらに大きくすると、よりいっそう短
い平均DNA断片長が得られる。 この2本鎖部分であ
る第1切断部11、第2切断部12、第3切断部13
を、4あるいは6塩基認識酵素で切断すると、固相担体
2に固定されたDNA断片(切断され固相に残ったDN
A断片)22が得られる。切断部21にはライゲーショ
ン、その他(トランスクリプターゼを用い、1本鎖とし
た3′末端にポリA鎖などをつけても良い。)により既
知配列(ライゲーションで導入した既知配列部)23を
接合し、準備したプライマーが安定にハイブリダイズで
きるようにする。4塩基認識酵素の切断部21が、この
2本鎖領域に現われる平均回数は、鎖長1k塩基のとき
には4回である。1回の配列決定で決定できる塩基長は
400〜600塩基であり、この中に切断部21は平均
2箇所現われる。これら切断部21に続く3塩基が同じ
配列である確率は1/64と非常に小さい。切断部21
に続く3′側の二つの配列が任意のプライマー16種
と、三つの配列が任意のプライマー64種を用意してお
けば、次の配列決定開始部にだけ完全にハイブリダイズ
するプライマーを選択することは容易である。図1
(a)〜(g)は、この様子を模式的に示したものであ
る。試料DNA 1として、M13 mp18と、表2に
示す配列番号2記載のプライマーを用い、シーケンシン
グ反応を行い4塩基認識酵素Sau 3A1で切断する
と、最初のプライマーハイブリダイズ部から296塩
基、396塩基、545塩基のところで切断される。こ
れらを、3′末端から近い順に、第1、第2…第n切断
部と呼ぶ。さらに長い切断部位には4577塩基、50
88塩基などがあるが、合成相補鎖が延びないので、こ
こで切断されるDNAのコピー数は非常に少なく、前3
者の1/10以下である。
【0010】
【表2】
【0011】表3に示す配列番号3と、表4に示す配列
番号4のオリゴマーを結合させた後、選択プライマーと
して表5に示す配列番号5を用いると、表6の配列番号
6に示したような配列結果が得られ、296塩基以降の
配列が決定できる。
【0012】
【表3】
【0013】
【表4】
【0014】
【表5】
【0015】
【表6】
【0016】シーケンシング反応がTaqポリメレース
を用いた熱サイクル反応の場合には、反応終了時には図
2(a)〜(h)に示したように、前回の酵素切断で2
本鎖部分が短く、第1切断部11の部位に達せず、制限
酵素切断で切られずに長いまま残ったDNA断片4に
も、再ハイブリダイズした合成DNA鎖50で示すよう
にハイブリダイズする。これら2本鎖DNAを、制限酵
素を用いて再度切断すると第2切断部12以降が、再ハ
イブリダイズした合成DNA鎖31のように、相補鎖の
長さに応じて切断されるので、上述の操作を繰り返すこ
とにより、順次塩基配列を決定することができる。本実
施例では、制限酵素の3′末端に、まず既知オリゴマー
を結合させてからプライマーをハイブリダイズしたが、
プライマーとその既知オリゴマーをハイブリダイズさせ
2本鎖オリゴマーとして、これをDNA断片にハイブリ
ダイズさせてプライマーとして機能させてもよい。
【0017】〈実施例2〉本実施例においては、鋳型D
NAの3′末端側の限られた領域を2本鎖状態とするの
に、DNA塩基配列を認識して結合する蛋白質あるいは
DNAオリゴマーなどを用いる塩基配列法について説明
する。例として、反応阻害DNAオリゴマーを用いる場
合について述べる。試料DNAとして、M13 mp1
8を用いた。 相補鎖合成を阻害するオリゴマーとして
は、Mae III切断部にハイブリダイズするオリゴ
マーを選び、その配列は5′GTXACXXYYYであ
る。Xは、A、G、C、Tの混合物、あるいはどの塩基
にもハイブリダイズするヌクレオチドアナログ〔Natur
369,492-493,(1994)〕記載の1-(2'-デオキシ-β-d-
リーボフラノシル)-3-ニトロピロール(1-(2'-deoxy-
β-d-ribofuranosyl)-3-nitoropyrrde)を使用した。
Yは、A、C、G、Tのいずれかであり、64種のオリ
ゴマーをあらかじめ用意する。このオリゴマーのいずれ
かがDNA中に現われる平均出現頻度は、約300塩基
に1回である。まず、図3(a)〜(f)に示すよう
に、3′末端のプライミング部(プライマー結合部)10
0に、プライマーを結合させ、シーケンシング反応を行
う。得られた生成物を用いて配列決定を行う。配列決定
端に近いところにある反応阻害DNAオリゴマー101
(表7の配列番号7に示す)GTXACXXY123
のハイブリダイズ位置を調べ、Y1、Y2およびY3を決
めて、反応阻害DNAオリゴマー101を選択する。
【0018】
【表7】
【0019】鋳型DNAにオリゴマーをハイブリダイズ
させ、プライマーを用いて相補鎖合成反応を行う。DN
A鎖が短いので10℃以下の温度で反応させる必要があ
り、本実施例では10℃とした。鋳型DNA(M13)
に加えてDNAポリメラーゼ(Sequenase)、Sequencin
g用プライマー、反応基質および反応阻害用オリゴマー
101(3′末端は相補鎖合成しないように化学処理し
てある)を加えて、相補鎖合成反応を行う。本実施例で
は、反応阻害オリゴマーはプライマーから839塩基目
にあり、合成鎖長は約835塩基である。 生成物を4
塩基認識酵素Sau 3A1で切断すると、塩基長さが
約100、144、296の2本鎖の塩基が第1切断部
11、第2切断部12、第3切断部13で脱落し、この
脱落した長さだけ3′末端から短くなったDNA断片を
得ることができる。 切断部102には、ライゲーショ
ンにより既知配列を持ったオリゴマー(ライゲーション
で導入した既知配列部)104を結合させる。もちろ
ん、ターミナルトランスフェラーゼなどを用い、ヌクレ
オチドを末端に結合させていってもよい。以下の操作は
実施例1と同様であり、新たなプライマーを用いてシー
ケンシングを行い、ついでDNAの切断を行う。この操
作を順次繰り返し行う。また、ハイブリダイズする阻止
オリゴマーを、配列決定領域の外に取ることもできる。
この場合、例えばY1=Gとすると、オリゴマーが現わ
れる頻度は五つのヌクレオチドの種類と順序が固定され
ているので、約1k塩基に1度となる。Y2、Y3を4種
の塩基の混合、すなわちXとしてハイブリダイズさせる
と、このオリゴマーは平均1k塩基ごとにハイブリダイ
ズすることになる。相補鎖合成は、最初のハイブリダイ
ズ部位で停止するので、鋳型DNAの3′末端から平均
1k塩基程度の2本鎖部分を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明のD
NA塩基配列決定法によれば、3′末端から塩基配列を
決定して、決定済みのDNA鎖を切断除去する操作を繰
り返し行い、1回の塩基配列決定操作では決定できない
長いDNAを、3′末端から順次配列決定を行うことが
できる。塩基の配列決定をして、次に進むことを連続し
て行うことができるため、従来のショットガン法のよう
に、決定したDNA配列を繋げていくために多大の労力
を必要としたり、またウォーキンング法のようにDNA
塩基配列決定に先立ち、その都度プライマーとなるオリ
ゴマーを合成する手間を省略することができ、極めて効
率の良いDNA塩基配列の解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で例示したDNA塩基配列決
定法の手順を示すに説明図。用いたシーケンシング反応
プロトコール
【図2】本発明の実施例1で例示したDNA塩基配列決
定法の手順を示すに説明図。
【図3】本発明の実施例2で例示したDNA塩基配列決
定法の手順を示すに説明図。
【図4】本発明の実施例1で例示したシーケンシング反
応プロトコールを示す説明図。
【符号の説明】
1…試料DNA 2…固相担体 3…プライマー結合部 4…長いまま残ったDNA断片 11…第1切断部 12…第2切断部 13…第3切断部 14…第4切断部 20…合成されたDNA2本鎖部 21…切断部 22…切断され固相に残ったDNA断片 23…ライゲーションで導入した既知配列部 24…切断部に続く2塩基部 31…再ハイブリダイズした合成DNA鎖 50…再ハイブリダイズした合成DNA鎖 100…プライマー結合部 101…反応阻害DNAオリゴマー 102…切断部 104…ライゲーションで導入した既知配列部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】DNAの塩基配列を決定する方法におい
    て、少なくとも(1)DNAの5′末端側を固相担体の
    表面に固定して、1本鎖を得るプロセスと、(2)3′
    末端側にプライマーをハイブリダイズして塩基配列を決
    定するプロセスと、(3)3′末端側からの相補鎖合成
    により得られた2本鎖部分を制限酵素により切断し、生
    じた遊離DNAを除去するプロセスと、(4)上記切断
    部に、2本鎖部分を含むDNAオリゴマーをハイブリダ
    イズさせてプライマーとするか、もしくは配列既知のオ
    リゴヌクレオチドを結合し、その1部配列と、実質相補
    的な配列を含むプライマーを用いて3′末端から塩基配
    列を決定するプロセスによりDNAの塩基配列を決定す
    る方法であって、 少なくとも上記(3)〜(4)のプロセスを1回以上繰
    り返して行い、DNA塩基配列を順次決定することを特
    徴とするDNA塩基配列決定法。
  2. 【請求項2】請求項1において、(3)のプロセスにお
    ける相補鎖合成は、DNA合成鎖長の平均値を制御可能
    とする条件下で相補鎖合成を行うことを特徴とするDN
    A塩基配列決定法。
  3. 【請求項3】請求項2において、合成DNA相補鎖の平
    均鎖長の制御は、DNAシーケンス反応と同様に、DN
    A合成基質中にヌクレオチド類似物を混合して基質とし
    て用いるDNA相補鎖合成によることを特徴とするDN
    A塩基配列決定法。
  4. 【請求項4】請求項2において、DNA相補鎖の平均合
    成鎖長は、鋳型となるDNAの配列を認識して結合する
    DNAおよびその類似体もしくは蛋白質により、特定部
    以降の相補鎖合成を障害する手法を用いることを特徴と
    するDNA塩基配列決定法。
  5. 【請求項5】請求項1において、3′末端側から部分的
    相補鎖合成と、それに続く制限酵素切断により5′末端
    側から所定の長さのDNA断片群を順次作製するプロセ
    スを少なくとも含むことを特徴とするDNA塩基配列決
    定法。
  6. 【請求項6】請求項1において、(3)のプロセスで生
    じた切断部に、配列既知のオリゴマーを結合させ、プラ
    イマーがハイブリダイズする部位を設けることを特徴と
    するDNA塩基配列決定法。
  7. 【請求項7】請求項1において、1部が2本鎖状となっ
    たプライマーを用いて相補鎖合成することを特徴とする
    DNA塩基配列決定法。
  8. 【請求項8】請求項1ないし請求項7のいずれか1項に
    記載のDNA塩基配列の決定を行う装置であって、
    (1)DNAを固相担体の表面に固定した試料DNAを
    作製する手段と、(2)固相担体に固定した試料DNA
    を鋳型として、DNA塩基配列決定反応を行う手段と、
    (3)固相担体の表面に固定した試料DNAを鋳型とし
    て相補鎖合成を行い、2本鎖部分を制限酵素で切断した
    後、遊離DNAを除去する手段と、(4)上記切断部
    に、2本鎖部分を含むDNAオリゴマーをハイブリダイ
    ズさせてプライマーとするか、もしくは配列既知のオリ
    ゴヌクレオチドを結合し、その1部配列と、実質相補的
    な配列を含むプライマーを用いて3′末端から塩基配列
    を決定する手段を少なくとも備えたことを特徴とするD
    NA塩基配列決定装置。
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