JPH09295730A - 帯状材の通板方向変換装置及び通板方向変換方法 - Google Patents

帯状材の通板方向変換装置及び通板方向変換方法

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JPH09295730A
JPH09295730A JP10982496A JP10982496A JPH09295730A JP H09295730 A JPH09295730 A JP H09295730A JP 10982496 A JP10982496 A JP 10982496A JP 10982496 A JP10982496 A JP 10982496A JP H09295730 A JPH09295730 A JP H09295730A
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floater
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steel strip
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陽俊 山下
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    • B65HHANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL, e.g. SHEETS, WEBS, CABLES
    • B65H2301/00Handling processes for sheets or webs
    • B65H2301/30Orientation, displacement, position of the handled material
    • B65H2301/34Modifying, selecting, changing direction of displacement
    • B65H2301/342Modifying, selecting, changing direction of displacement with change of plane of displacement
    • B65H2301/3423Modifying, selecting, changing direction of displacement with change of plane of displacement by travelling an angled curved path section for overturning and changing feeding direction

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Abstract

(57)【要約】 【課題】板幅方向の変動を介して浮上量の変動を抑制す
ることで、帯状材の片寄りや蛇行の発生を防止可能なヘ
リカルフロータ式の通板方向変換装置を提供することを
課題とする。 【解決手段】走行する鋼帯6を所定の巻付け角をもって
巻き掛けるフロータ1を備え、そのフロータ1から噴き
出す流体により上記鋼帯6を浮上支持することで非接触
状態で通板方向を変換する装置に対し、鋼帯6に張力を
付与するブライドルロール2,3を設け、また、鋼帯6
の目標パスラインからの変位を検出する鋼帯位置検出器
15を設ける。そして、コントローラ8は、鋼帯位置検
出器15が検出した鋼帯6の変位量がゼロとなるように
上記ブライドルロール2,3を介して上記鋼帯6の張力
を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷延鋼板等からな
る帯状材の通板方向の変換に係り、走行する帯状材をヘ
リカル状に巻き掛け且つ非接触状態で通板方向を変換す
る通板方向変換装置及びその通板方向変換方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】走行する帯状材をヘリカル状にフロータ
に巻き掛け且つ非接触状態で通板方向を変換する、所謂
ヘリカルフロータ式の通板方向変換装置は、非接触状態
で帯状材の通板方向を変換できると共に、ベンドフロー
タ式の通板方向変換装置に比べて通板変換方向の自由度
が大きい。
【0003】このため、この種の通板方向変換装置は、
近年、色々なプロセスラインで採用され、特に、二以上
の工程を連続させることが省力化や歩留り向上等に大き
な効果があることから、パスラインの延在方向が異なる
二つのプロセスを連続させるケースも増えている。そし
て、非接触すなわち擦り疵が生じることなく帯状材の通
板方向を変換可能な点で、上記ヘリカルフロータ式の通
板方向変換装置は有用とされている。
【0004】従来、上記のように鋼帯等の帯状材をヘリ
カル状に浮上支持し非接触状態で通板方向を変換する装
置としては、例えば特開昭51−25274号公報等に
記載されているものが知られている。
【0005】この装置は、図9及び図10に示すよう
に、円筒状のフロータ50と、そのフロータ50表面の
帯状材巻き掛け位置(通板位置)Lに沿って設けられ所
定圧力の流体を噴き出し可能な多数の噴出孔51とを備
え、さらに、上記フロータ50に対する帯状材52の入
側及び出側に、ぞれぞれ帯状材52を案内するガイドロ
ール53,54を配設して構成される。
【0006】そして、搬送されてきた帯状材52は、入
側のガイドロール53に案内されて、上記フロータ50
の表面に沿って斜めに巻き掛けられ、当該フロータ50
に沿って通板する間に通板方向が変換されつつ、順次、
出側のガイドロール54を経て次工程に送られる。
【0007】ここで、上記フロータ50に巻き掛けられ
た部分の帯状材52は、噴出孔51から噴き出される流
体によってフロータ50表面から浮上支持され、フロー
タ50と非接触状態で移動する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の通板方向変換装置では、単にフロータ50
に帯状材52を巻き掛けて噴出する流体により浮上支持
しているだけであるので、例えば,次に示す〜のよ
うな通板条件の変動が生じたときには、フロータ50か
らの帯状材52の浮上量が変動してしまう。
【0009】 噴出孔51から噴出する流体の圧力が
変動した場合 通板方向変換装置を含む区画での加減速に伴い帯状
材に張力変動が生じた場合 通板方向変換装置に隣接する区画での加減速に伴っ
て発生する張力変動の当該通板方向変換装置を含む区画
への伝播により帯状材に張力変動が生じた場合 帯状材52の板厚や板幅寸法が変化した場合 上記のように帯状材52の浮上量が変動してしまうと、
上記入側のガイドローラ53と出側のガイドローラ54
との間の帯状材52のパスライン長が変化して、出側位
置の帯状材52が当該帯状材52の板幅方向へずれてし
まう。この浮上量の変動による板幅方向への変動は、帯
状材52を所定のラセン角をもってヘリカル状に巻き掛
けているために生じるもので、ヘリカルフロータ式の通
板方向変換装置に特有のものである。
【0010】即ち、上記のように浮上量が変化すると、
上記ヘリカル状にフロータ50に巻き掛けられているた
めに、帯状材52に蛇行や片寄りが発生すると共に、上
記ガイドロール53,54との摩擦による拘束も影響し
て帯状材に捩じれや斜行が生じるおそれがあるという問
題がある。例えば、浮上量が大きくなると、図11に示
すように蛇行が生じる。図11中、Δhは、目標とする
浮上量からの偏差を示し、ΔHは、そのときに生じる蛇
行量及びその方向を示している。また、上記蛇行と共
に、図12に示すように斜行も生じる。図12中、一点
鎖線は、帯状材52の片寄りに応じた、板端部の位置の
変化を示している。
【0011】ここで、従来の通板方向変換装置では、上
記通板方向変換時の板幅方向への揺動を抑えるために、
例えば特開平4−55254号公報などに記載されるよ
うに、フロータ50表面の帯状材巻き掛け位置(通板位
置)Lに沿って帯状材52を案内するサイドプレート等
を設ける場合もあるが、帯状材52が板幅方向へ揺動す
ると、その帯状材52がサイドプレート等と擦れ合い帯
状材52の品質を落とす一因となる。
【0012】なお、従来、ベンドフロータ式の通板方向
変換装置においては、特開平2−204264号に記載
されているように、帯状材の段付き点の通過の際に張力
制御を行うものも開示されているが、ベンドフロータ式
は、同一平面内で通板方向を変換するものであり、ヘリ
カルフロータ式のように帯状材に「ひねり」を加えて通
板方向を変換しないため、浮上量の変化は蛇行・片寄り
とは無関係である。このため、上記特開平2−2042
64号に記載されている張力制御は、単に、段付き点通
過の際に、帯状材とフロータとの非接触状態を確保する
ためだけのものであり、浮上量を目標浮上量に高精度に
制御するものではない。
【0013】これに対して、ヘリカルフロータ式では、
上述のように、浮上量の変化により、帯状材とフロータ
表面との接触による擦り疵等の危険性以外に、蛇行発生
の危険性を有する。即ち、浮上量の変化により一旦片寄
りが発生すると、これが起因となって周期的に片寄りを
繰り返す蛇行へと発展する。これは、ライン速度が大き
いほど蛇行の振幅が大きくなるので、ライン速度を上げ
る際の阻害要因となる。また、上記片寄りの発生は、場
合によっては帯状材52の破断トラブルの原因となり、
稼働率の低下を招く要因となるという問題がある。
【0014】また、浮上量が小さくなる程、フロータと
帯状材との隙間が小さくなり、帯状材を浮上させる流体
の流速が早くなって帯状材にバタツキが生じ易く板折れ
や擦り疵の原因となるが、このとき、ヘリカルフロータ
式では「ひねり」が加えられていることにより板幅方向
に傾きが生じ易く、上記擦り疵等も発生し易い。この点
からもヘリカルフロータ式では、ベンドフロータ式より
も浮上量の変動の抑制が要求される。
【0015】このように、ヘリカルフロータ式の通板方
向変換装置では、浮上量の制御が生産能率に大きく影響
を与えるため、ベンドフロータ式よりも遙に高精度に制
御することが要求されるが、従来のヘリカルフロータ式
の通板方向変換装置では、浮上量を高精度に制御する有
効な手段が開示されていない。従って、ライン速度を上
げる程、この装置を採用したプロセスラインにおいて頻
繁に蛇行が発生し、生産能率を大きく低下させていた。
即ち、ヘリカルフロータ式の通板方向変換装置を用いて
せっかく複数のプロセスラインを連続化させても、十分
な効果を享受できないという問題があった。
【0016】なお、通常のラインのように鋼帯の板厚や
板幅に応じて張力を設定するだけでは、噴出する流体の
温度変化(密度変化)等による浮上量の変動は抑制でき
ない。
【0017】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、浮上量の変動を板幅方向の変位量を介
して高精度に制御することで、帯状材の片寄りや蛇行の
発生を防止し生産能率を上げることが可能なヘリカルフ
ロータ式の通板方向変換装置を提供することを課題とし
ている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に記載した帯状材の通板方向
変換装置は、走行する帯状材を所定のラセン角をもって
巻き掛け当該帯状材の通板方向を変換させるフロータを
備え、そのフロータから噴き出す流体により上記帯状材
を浮上支持する非接触式の通板方向変換装置において、
上記フロータに巻き掛けられた帯状材に張力を付与する
張力付与装置と、フロータに巻き掛けられた帯状材の目
標パスラインからの板幅方向の変位を検出する変位検出
手段と、変位検出手段が検出した変位に基づき上記張力
付与装置を介して帯状材の張力を調整する張力調整手段
とを備えることを特徴としている。
【0019】次に、請求項2に記載した帯状材の通板方
向変換方法は、走行する帯状材を所定のラセン角をもっ
てフロータに巻き掛け、そのフロータから噴き出す流体
により上記帯状材を浮上支持した状態で通板方向を変換
する通板方向変換方法において、フロータに巻き掛けら
れた帯状材における、少なくとも当該フロータへの出側
位置での目標パスラインからの板幅方向の変位が小さく
なるように、フロータに巻き掛けられた帯状材の張力を
制御することを特徴としている。
【0020】本発明においては、帯状材の目標パスライ
ンからの板幅方向の変位に基づきフロータからの帯状材
の浮上量の変化を推測し、その浮上量の変化が小さくな
るように張力を制御することで浮上量が目標の値に維持
され、それによって、上記板幅方向の変位、つまりパス
ラインの変動が抑えられる。
【0021】ここで、上記帯状材の板幅方向の変位に基
づき帯状材の浮上量の変化が推定可能な理由について説
明する。帯状材は、所定のラセン角θをもって半周だけ
フロータに巻き掛けられているとした場合、図7やフロ
ータ表面を展開した図8に示すように、巻き掛け開始点
Aからみた巻き掛け終了点Bは、フロータの軸方向にπ
・R・tan θだけ変位している。ここで、Rは、フロー
タに巻き掛けられている帯状材の曲率半径である。
【0022】この状態から帯状材の浮上量がΔhだけ大
きくなると、帯状材が同じラセン角θを維持するとする
と、巻き掛け終了点BはB′に移動し、当該巻き掛け終
了点Bは、π・Δh・tan θだけフロータの軸方向へ変
位してしまう。即ち、巻き掛け終了点Bは、浮上量の変
化Δhに比例した量だけ板幅方向に変位する。即ち、目
標パスラインからの帯状材の板幅方向の変位をΔCとす
ると、下記(1)式に示す関係があることが分かる。
【0023】ΔC ∝ Δh ・・・(1) また、フロータに巻き掛けられた帯状材に生じている張
力Tと噴出流体による圧力Pとは、力の釣り合いから、
下記(2)式のような関係がある。なお、式を見やすく
するため、以降の式ではラセン角を45度とした場合で
表している。
【0024】(T/W)=2・R・P ・・・(2) ここで、 W:帯状材の幅 R:帯状材のフロータ巻き掛け位置での曲率半径 を表している。
【0025】また、上記圧力Pは、帯状材の浮上量hと
噴出流量Qにより下記(3)式のように表現できる。 P=ζQ2 /{2・(L・h)2 } ・・・(3) ここで、 ζ:比例定数 L:帯状材のフロータへの巻き掛け長さ を表している。
【0026】従って、上記(2)式及び(3)式から、
張力Tと浮上量hとは、次のような比例関係にあること
が分かる。 T ∝1/(h2 ) ・・・(4) 従って、上記(1)式及び(4)式から、次の関係にあ
ることが分かる。
【0027】T ∝ 1/(ΔC)2 ・・・(5) これにより、浮上量の変化つまり帯状材の板幅方向への
変位量は、張力値に変換して表現可能であるので、パス
ラインの変位量から浮上量の変化を推定し、帯状材に生
じている張力を制御することで、パスラインの変動は抑
制可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、帯状体
として鋼帯6を例に説明する。
【0029】まず構成について説明すると、本実施の形
態の通板方向変換装置では、図1に示すように、装置本
体を構成するフロータ1の入側及び出側に張力付与装置
を構成するブライドルロール2,3が配設されている。
【0030】上記フロータ1は、図2に示すように、そ
の本体の外観形状が円筒形状をしている。そのフロータ
1の表面には、例えば45度のラセン角に沿ってヘリカ
ル状に延在する鋼帯6巻き掛け位置(鋼帯6の通板方
向)Lに、多数の噴出孔4が開設されている。各噴出孔
4は、フロータ1内部に設けられた流通路に連通し、そ
の流通路に供給される流体である気体を設定圧力で噴き
出すようになっている。
【0031】ここで、上記流体は、コスト上からは空気
が好ましいが、窒素等の他の流体から構成してもよい。
また、図2では、各噴出孔4の開口形状を円形の穴とし
て図示しているが各噴出孔4をスリット状の開口部など
により形成してもよい。図2中、5aは上記流通路のう
ちの気体の流入路を、5bは流出路を表している。
【0032】また、フロータ1の入側に配置される入側
ブライドルロール2は、4本のロール2a〜2dから構
成され、例えば、図3に示すように配置されることで、
走行する鋼帯6に所定の張力を付与可能となっている。
その各ロール2a〜2dは、それぞれ入側駆動モータ7
によって回転駆動される。
【0033】上記入側駆動モータ7は、それぞれコント
ローラ8からの電流指令に応じた駆動トルクを各ロール
2a〜2dに供給する。また、上記入側駆動モータ7に
は、それぞれパルス発信器9が接続されている。パルス
発信器9は、入側駆動モータ7の駆動軸の回転から各ロ
ール2a〜2dの回転数を検知し、その検知信号(パル
ス信号)をコントローラ8に供給可能となっている。
【0034】また、上記入側ブライドルロール2とフロ
ータ1との間には、張力検出手段を構成する、2本のデ
フレクタロール10及びテンションメータロール11が
配置されている。その2本のデフレクタロール10とテ
ンションメータロール11とは、鋼帯6のパスラインに
沿って千鳥状に配置され、2本のデフレクタロール10
間に位置する鋼帯6に上方からテンションメータロール
11を当接することで、当該テンションメータロール1
1により、入側ブライドルロール2と出側ブライドルロ
ール3との間の鋼帯6の張力が検知可能となっている。
【0035】そのテンションメータロール11には、ロ
ードセル12が取り付けられ、そのロードセル12は、
テンションメータロール11に負荷された鋼帯6の張力
に応じた荷重を検出し、その検出信号を、コントローラ
8に供給可能となっている。
【0036】また、フロータ1の出側に配置される出側
ブライドルロール3も、上記入側ブライドルロール2と
同じ装置構成をしている。即ち、4本のロール3a〜3
dから構成されて、走行する鋼帯6に所定の張力を付与
可能となっている。その各ロール3a〜3dは、それぞ
れ出側駆動モータ13によって回転駆動される。さら
に、上記出側駆動モータ13にはそれぞれパルス発信器
14が接続され、そのパルス発信器14は、各ロール3
a〜3dの回転数を検知して、その検知信号をコントロ
ーラ8に供給可能となっている。
【0037】上記出側駆動モータ13は、コントローラ
8からの電流指令値に応じた駆動トルクで回転するよう
になっている。また、上記鋼帯6のフロータ1に対する
巻き掛け終了側に対して変位検出手段である鋼帯位置検
出器15が配設されている。その鋼帯位置検出器15
は、CCDカメラ等で構成され、図4に示すように、鋼
帯6の外面に外側から対向して配置された検出器本体1
5aと、その検出器本体15aをフロータ1表面に支持
するブラケット15bとからなる。
【0038】そして、鋼帯6の板幅方向両端部の各位置
をそれぞれ検出し、コントローラ8に供給可能となって
いる。なお、板幅方向両端部の位置を検出するのは、鋼
帯6の板幅方向中央部の位置を求めるためであるが、そ
の2点は、互いに鋼帯6の走行方向に直交する位置にあ
る必要はない。特に、通板方向変換中の鋼帯6には、
「ひねり」が生じているので、上記2点は必ずしも鋼帯
6の走行方向に直交する位置とならないが、平均値をと
ることで確実に中央位置が検出することができる。
【0039】ここで、本実施の形態では、上記鋼帯位置
検出器15をCCDカメラから構成しているが、これに
限定されず他の鋼帯位置検出器15であってもよい。コ
ントローラ8は、図5に示されるように、主に、板幅中
央位置演算器8A、位置偏差算出器8B、張力設定値演
算器8C、張力制御装置8D、入側及び出側の速度制御
装置8E,8G、及び入側及び出側の電流制御装置8
F,8Hから構成される。
【0040】上記板幅中央位置演算器8Aでは、鋼帯位
置検出器15から検出位置における板幅方向両端部の位
置a,bを入力し、その二つの位置の平均化を行うこと
で、巻き掛け出側における、鋼帯6の実際の平均中央位
置(板幅方向中央部)を算出して位置偏差算出器8Bに
供給する。
【0041】位置偏差算出器8Bでは、上記供給された
平均中央位置から目標中心位置CRE F を減算して位置偏
差ΔCを求め、その位置偏差ΔCを張力設定値演算器8
Cに供給する。ここで、上記目標中心位置CREF は、上
記検出位置での目標パスライン上の位置である。
【0042】張力設定値演算器8Cでは、下記(6)式
に基づいて、位置偏差ΔCを対応する張力値TM に変換
し、その求めた張力値TM を補正張力値として第1加算
器8Jに供給する。
【0043】 TM =K・{1/(ΔC)2 } ・・・(6) ここで、上記Kは比例定数である。また上記式は、上述
の(5)式に基づくものである。
【0044】第1加算器8Jでは、ロードセル12から
の荷重信号により鋼帯6に付与されている実際の張力を
求め、その張力に上記補正張力値TM を加算し、加算し
た張力を張力制御装置8Dに供給する。
【0045】張力制御装置8Dでは、供給された張力を
対応する速度指令値に変換して、速度補正値VM として
第2加算器8Kに供給する。第2加算器8Kでは、鋼帯
6の通板速度等から決定された基準速度指令値VRE F
入力し、その基準速度指令値VREF に上記張力制御装置
8Dから供給された速度補正値VM を加算して出側速度
制御装置8Eに供給する。
【0046】出側速度制御装置8Eでは、入力した速度
指令値を電流指令値に変換して出側電流制御装置8Fに
供給し、出側電流制御装置8Fは、供給された電流指令
値に応じた電流値で出側ブライドルロール3の駆動モー
タ13を駆動する。
【0047】ここで、上記出側速度制御装置8Eは、出
側駆動モータ13に接続されたパルス発信器14からの
信号に基づき速度指令のフィードバック制御を行ってい
る。また、上記出側電流制御装置8Fも電流値のフィー
ドバック制御を行っている。
【0048】一方、入側速度制御装置8Gには、上記基
準速度指令値VREF が供給される。その入側速度制御装
置8Gでは、入力した速度指令値を電流指令値に変換し
て入側電流制御装置8Hに供給し、入側電流制御装置8
Hは、供給される電流指令値に応じた電流値で入側ブラ
イドルロール2の駆動モータ7を駆動する。
【0049】ここで、上記入側速度制御装置8Gは、入
側駆動モータ7に接続されたパルス発信器9からの信号
に基づき速度指令のフィードバック制御を行っている。
また、上記出側電流制御装置8Hも電流値のフィードバ
ック制御を行っている。
【0050】このように、コントローラ8は、入側ブラ
イドルロール2の回転速度を基準として出側ブライドル
ロール3の回転速度を調整することで、フロータ1に巻
き掛けられた両ブライドルロール2,3間の鋼帯6に所
定の張力が付与可能となっていると共に、その張力を鋼
帯6の出側位置での位置偏差ΔCに基づき調整するよう
になっている。
【0051】ここで、上記コントローラ8及び張力検出
手段によって張力調整手段が構成される。なお、鋼帯6
の入側は、図示していないステアリングロール等によっ
て鋼帯6が目標パスライン上を通過するようにセンタリ
ング調整が実施されるようになっている。
【0052】次に、上記通板方向変換装置の動作や作用
などについて説明する。鋼帯6は、順次、入側ブライド
ルロール2に案内されつつフロータ1に巻き掛けられ
て、噴出気体によって浮上支持されることでフロータ1
と非接触状態で通板方向が変換され、続いて、出側ブラ
イドルロール3に案内されて次工程に送られる。
【0053】このとき、鋼帯6の通板になんら変動がな
い定常状態、即ち、フロータ1に対する鋼帯6の巻き掛
け終了位置の中心位置が目標中心位置CREF と通過して
いる状態、つまりパスラインに変動がない状態では、入
側速度制御装置8Gは、基準速度指令VREF に応じた電
流指令値を入側駆動モータ7に供給し、入側駆動モータ
7は、基準速度指令VREF に応じて入側ブライドルロー
ル2を回転駆動する。
【0054】同時に、張力制御装置8Dが、ロードセル
12からの信号に基づき、現在の張力値を維持するよう
に速度補正値VM を求めて第2加算器8Kに供給し、上
記基準速度指令VREF に速度補正値VM を加算した出側
速度指令値を出側速度制御装置8Eに供給する。そし
て、その出側速度制御装置8Eが、その出側速度指令値
に応じた駆動トルクで出側駆動モータ13を駆動するこ
とで出側ブライドルロール3が所定の駆動トルクで回転
する。
【0055】このようにして両ブライドルロール2,3
間の鋼帯6に対し一定の張力が付与された状態が維持さ
れる。この結果、フロータ1からの鋼帯6の浮上量が目
標とする浮上量に制御される。即ち、鋼帯6の幅方向へ
の変動が抑えられて、鋼帯6は、目標とするパスライン
に沿って安定して通板方向が変換され次工程に送られ
る。
【0056】上記定常状態から、鋼帯6の通板速度が変
動したり、噴出孔4からの気体の圧力が設定圧力から変
動したりすると、両ブライドルロール2,3間の鋼帯6
の張力が変動して、フロータ1からの鋼帯6の浮上量が
変化する。浮上量が変化すると、その浮上量の変化分に
比例した量だけ、鋼帯6は、目標パスラインの位置から
板幅方向に変位する。
【0057】すると、コントローラ8は、鋼帯位置検出
器15からの信号に基づき、板幅中央位置演算器8Aで
平均中央位置を算出し、次いで、位置偏差算出器8B及
び張力設定値演算器8Cにより、目標中心位置CREF
らの偏差分に応じた補正すべき補正張力値TM を算出
し、現在の張力にその補正張力を加算した張力となるよ
うに、出側速度制御装置8E等を介して、出側ブライド
ルロール3に付与する駆動トルクが調整される。
【0058】この結果、気体の圧力変動等に応じて生じ
た両ブライドルロール2,3間の鋼帯6の張力変動によ
る浮上量変動が吸収されて、鋼帯6の巻き掛け出側位置
は確実に目標中心位置CREF を通過するように調整され
る。これにより、両ブライドルロール2,3間のパスラ
イン長の変動が抑えられ当該パスラインは安定する。
【0059】即ち、気体の圧力変動などの定常状態から
の変動に合わせて、両ブライドルロール2,3間の鋼帯
6の実際の張力が自動的に調整されるので、気体の圧力
などが一時的に変化してもフロータ1からの鋼帯6の浮
上量が確実に一定に保持されて、鋼帯6は、確実に目標
パスラインに沿って通板方向が変換されるようになる。
【0060】さらにまた、上記定常状態から一時的に生
じた変動による浮上量の変化ばかりでなく、通板する鋼
帯6の板幅が変わるなど通板条件が変化しても、確実
に、鋼帯6が目標中心位置CREF を通過するように、つ
まり浮上量の変動が抑えられるように張力が自動的に調
整されて、鋼帯6の板幅方向の変化が抑えられパスライ
ンは安定する。
【0061】このように、本実施の形態の通板方向変換
装置では、非接触方式であっても、フロータ1による通
板方向変換時のパスラインが常に所望の位置に保持さ
れ、フロータ1出側での鋼帯6の幅方向への蛇行や片寄
りの発生を抑えることができる。この結果、焼鈍工程な
どの下流側に非接触式の通板方向変換装置を適用して二
以上の工程を連続化させても、従来よりもライン速度を
上げて操業することが可能となる。
【0062】また、鋼帯6の板厚等の変更や操業条件等
が変更しても、両ブライドルロール2,3間の鋼帯6の
張力が適正な値に自動的に調整され、当該両ブライドル
ロール2,3間の鋼帯6のパスラインが所望の位置に調
整されて安定する。
【0063】また、操業条件の変化によりパスラインを
変更する場合には、コントローラ8に供給する目標中心
位置CREF を変更することで、通板方向の変換が自動的
に行われる。
【0064】ここで、上記実施の形態では、フロータ1
の外観形状を円柱形状としているが、これに限定される
ものではない。フロータ1は、鋼帯6が巻き掛ける部分
のみが所定の略円弧形状を有していればよい。
【0065】また、上記張力制御では、入側ブライドル
ロール2を基準として出側ブライドルロール3の回転速
度を調整する場合について説明しているが、出側ブライ
ドルロール3を基準として入側ブライドルロール2の回
転速度を調整して鋼帯6に付与する張力を調整してもよ
い。
【0066】さらに、張力付与装置は、上記のようなブ
ライドルロール2,3に限定されず、ダンサーロール
等、他の周知の張力付与装置であってもよい。このと
き、ブライドルロールとダンサーロール等とを組み合わ
せて使用してもよい。
【0067】なお、ダンサーロール及びそれに結合され
た駆動系は慣性が大きいので、張力付与装置としてダン
サーロールとブライドルロールとの両方を設けた場合に
は、位置偏差ΔCが小さい、即ち補正すべき張力が小さ
いときには、ブライドルロールで調整し、大きな位置偏
差ΔCに対してはダンサーロールの移動で吸収するよう
にしてもよい。
【0068】また、上記実施の形態では、鋼帯6の巻き
掛け終了位置の板幅方向の変位のみを使用しているが、
巻き掛け開始位置が中央位置にあまり拘束されることが
なければ、鋼帯6の巻き掛け開始位置にも鋼帯位置検出
器を設けて、巻き掛け開始位置側に対する相対的な巻き
掛け終了位置側の板幅方向への変位に基づいて張力を調
整すればよい。もっとも、巻き掛け開始位置での板幅方
向への変位は、通板方向変換中に増幅されて巻き掛け終
了側で大きな変位となり易く、蛇行が問題となるのはフ
ロータ1の出側であるので、鋼帯6の巻き掛け終了位置
の板幅方向の変位のみによる張力制御でも蛇行抑制には
有効である。
【0069】
【実施例】実際に、上記のような張力制御を実施した通
板方向変換装置を使用した場合と従来のように張力制御
を行わない通板方向変換装置を使用した場合について、
蛇行状況を確認してみたところ、図6に示すような結果
が得られた。図6中、Aは、本発明に基づくものであ
る。一方、Bは、比較のために従来のように張力制御を
実施しなかった場合である。また、張力付与装置として
は、ブライドルロールを使用した。
【0070】ここで、目標の浮上量を20mmに設定し、
張力付与装置としてはブライドルロールを使用し、鋼帯
は厚さ0.6mm、板幅1200mmのものを使用した。
【0071】この図6から分かるように、張力制御を実
施しないと、ライン速度を上げる程蛇行量が非常に大き
くなるが、本実施の形態の装置では、ライン速度を上げ
ても蛇行量の増加は小さく抑えられている。即ち、鋼帯
のパスラインからの変位量がゼロとなるように張力を制
御することで、ライン速度を上げても蛇行を小さく抑え
ることが可能であることが分かる。
【0072】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の帯状
材の通板方向変換装置及び通板方向変換方法では、フロ
ータに巻き掛けられて通板方向を変換する部分の帯状材
の張力を板幅方向への変化に応じて調整することで帯状
材の浮上量の変動を抑えるので、噴き出す流体の圧力が
一時的に設定圧力から変動するなど通板状態に一時的な
変動が生じてもその変動が確実に吸収される。この結
果、フロータからの帯状材の浮上量が目標値に常に保持
され、両ブライドルロール間のパスラインが所望位置に
維持され安定する。
【0073】さらに、通板する鋼帯が変換されるなど操
業条件が変換されても、確実に且つ自動的に帯状材の浮
上量が目標浮上量に制御されて、パスラインの板幅方向
への変動が抑えられる。
【0074】これによって、本発明により帯状材の通板
方向を変換する場合には、ライン速度を上げても、帯状
材がフロータと接触することによる擦り疵等が回避され
ると同時に、帯状材に生じる蛇行が小さく抑えられて、
生産能率の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る帯状材の通板方向変
換装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るフロータを示す図で
ある。
【図3】本発明の実施の形態に係る入側ブライドルロー
ル及び張力検出手段の構成を示す概略側面図である。
【図4】板幅方向の変位の検出を示す断面図である。
【図5】コントローラのブロック図である。
【図6】ライン速度と蛇行との関係を示す図である。
【図7】浮上量の変化と板幅方向への変位との関係を示
す図である。
【図8】浮上量の変化と板幅方向への変位との関係を説
明するための図である。
【図9】従来のフロータを示す図である。
【図10】従来の帯状材の通板方向変換装置を示す図で
ある。
【図11】浮上量の変動に伴う蛇行の状態を示す図であ
る。
【図12】浮上量の変動に伴う斜行の状態を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 フロータ 2 入側ブライドルロール 3 出側ブライドルロール 6 鋼帯 8 コントローラ 8A 板幅中央位置演算器 8B 位置偏差算出器 8C 張力設定演算器 8D 張力制御装置 8E 入側速度制御装置 8G 出側速度制御装置 12 ロードセル 15 鋼帯位置検出器 VREF 基準速度指令 CREF 目標中央位置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行する帯状材を所定のラセン角をもっ
    て巻き掛け当該帯状材の通板方向を変換させるフロータ
    を備え、そのフロータから噴き出す流体により上記帯状
    材を浮上支持する非接触式の通板方向変換装置におい
    て、 上記フロータに巻き掛けられた帯状材に張力を付与する
    張力付与装置と、フロータに巻き掛けられた帯状材の目
    標パスラインからの板幅方向の変位を検出する変位検出
    手段と、変位検出手段が検出した変位に基づき上記張力
    付与装置を介して帯状材の張力を調整する張力調整手段
    とを備えることを特徴とする帯状材の通板方向変換装
    置。
  2. 【請求項2】 走行する帯状材を所定のラセン角をもっ
    てフロータに巻き掛け、そのフロータから噴き出す流体
    により上記帯状材を浮上支持した状態で通板方向を変換
    する通板方向変換方法において、 フロータに巻き掛けられた帯状材における、少なくとも
    当該フロータへの出側位置での目標パスラインからの板
    幅方向の変位が小さくなるように、フロータに巻き掛け
    られた帯状材の張力を制御することを特徴とする帯状材
    の通板方向変換方法。
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