JPH09290521A - 記録方法及びその装置 - Google Patents

記録方法及びその装置

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JPH09290521A
JPH09290521A JP8130950A JP13095096A JPH09290521A JP H09290521 A JPH09290521 A JP H09290521A JP 8130950 A JP8130950 A JP 8130950A JP 13095096 A JP13095096 A JP 13095096A JP H09290521 A JPH09290521 A JP H09290521A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ドット間での相互干渉を抑制して画質を
効果的に向上させることのできる記録方法及びその装置
を提供すること。 【解決手段】 黒色画素を順次形成する工程を有する記
録方法において、特定画素については、各色用の記録デ
ータを出力しないと同時に、これらの記録データのうち
最低レベル又は平均レベル或いはそれ以下のレベルに相
当する黒色用の記録データを出力して黒色画素を形成す
ることを特徴とする記録方法。前記黒色画素を形成する
ためのデータ入力部4〜8と、この黒色用の記録データ
を含む各種記録データをヘッド駆動信号に変換する信号
変換部13と、この変換信号によってプリントヘッドを変
調して駆動する駆動部15、37と、プリントヘッド16とを
有するプリンタ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録方法及びその
装置、例えば、インクからなる記録液を液滴にして飛翔
させて被記録体上にドット状に付着させ、記録を行うプ
リント方法及びそのプリンタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、コンピュータグラ
フィクス等のカラー化が進むにつれ、ハードコピーのカ
ラー化に対するニーズが急速に高まっている。それに対
して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェ
ット方式、電子写真方式、熱現像銀塩方式等のカラーハ
ードコピー方式が提案されている。これらの記録方式の
中で、高画質の画像を簡単な装置で手軽に出力する方法
は、染料拡散熱転写方式とインクジェット方式に大きく
分類できる。
【0003】これらの記録方式の中で、染料拡散熱転写
方式によれば、適当なバインダ樹脂中に高濃度の転写染
料の分散するインク層が塗布されているインクリボン又
はシートと、転写された染料を受容する染着樹脂がコー
ティングされた印画紙等の被転写体を、一定の圧力で密
着させ、インクシート上に位置する感熱記録ヘッドから
画像情報に応じた熱が加えられ、インクシートから受容
層に加えられた熱量に応じて転写染料を熱転写させる。
【0004】上記の操作を、減法混色の三原色、即ち、
イエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号につ
いてそれぞれ繰り返すことによって、連続的な階調を持
つフルカラー画像を得ることを特徴とする、いわゆる熱
転写方式は、小型化、保守が容易で、即時性を備え、銀
塩カラー写真並の高品位な画像を得る優れた技術として
注目を集めている。
【0005】図15は、こうした熱転写方式のプリンタの
要部の概略正面図である。
【0006】感熱記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと
呼ぶ)100とプラテンローラ101 とが対向し、これらの間
に、ベースフィルム 102b上にインク層 102aを設けた
インクシート102 と、紙 103b上に染着樹脂層 103aを
設けた記録紙(被記録体)103とが挟まれ、これらが回転
するプラテンローラ101 によってサーマルヘッド100に
押し付けられて走行する。
【0007】そして、サーマルヘッド100 によって選択
的に加熱されたインク層 102a中のインク(転写染料)
が、記録紙103 の染着樹脂層 103aにドット状に転写さ
れ、熱転写記録が遂行される。このような熱転写記録に
は、記録紙103 の走行方向と直交する方向にサーマルヘ
ッドを走査するシリアル方式や、同記録紙走行方向に直
交して一本のサーマルヘッドを固定して配したライン方
式とが採用される。
【0008】こうしたノンインパクト記録法は、記録時
における騒音が極めて小さいという点で広く普及しつつ
ある。
【0009】熱転写方式とは別に、いわゆるインクジェ
ット記録法が知られているが、この記録方法は、高速記
録が可能であり、しかも、いわゆる普通紙に特別の定着
処理を必要とせずに記録できるため、近年、コンピュー
タグラフィックス等の画像をハードコピーする技術とし
て極めて有力な記録方法となりつつある。
【0010】上記のインクジェット方式とは、特公昭6
1−59911号や特公平5−217号公報等に示され
るように、画像情報に応じて、静電吸引方式、電気機械
変換方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェッ
ト方式)等の方法で記録液の小滴を記録ヘッドに設けら
れたノズルから飛翔させ、記録部材に付着せしめ、記録
を行うものである。
【0011】従って、廃棄物の発生はほとんどなく、ラ
ンニングコストが低いことから普及が拡大している。
【0012】いわゆるオンデマンド型のインクジェット
(以下、単に「インクジェット」と称する。)方式のプ
リンタ装置は、記録信号に応じてインク液滴をノズルよ
り吐出し、紙やフィルム等の被記録体に記録するプリン
タであり、小型化、低コスト化が可能なため、近年急速
に普及しつつある。
【0013】こうしたインクジェットプリンタにおい
て、インク液滴を吐出するためには、例えばピエゾ素子
を用いる方法や発熱素子を用いる方法が一般的である。
ピエゾ素子を用いる方法というのは、ピエゾ素子の変形
によりインクに圧力を与え、ノズルから吐出させる方法
である。
【0014】図16は、従来のインクジェットプリンタ
(例えばオンデマンド型)を示すものである。
【0015】まず、図16(A)に例示するプリントヘッ
ドの構造は、ガラス等からなる円筒管状のケーシング11
1 と、このケーシング111 の外側面に設けられた円筒状
の電歪素子(ピエゾ素子)112とからなる。また、ケーシ
ング111 の両端部には、ケーシング111 内のインク室11
3 にインク110 を充填するためのインク供給口114 と、
インクをインク液滴115 として吐出するためのノズル11
6 及びオリフィス部117 とが設けられている。
【0016】そして、上記の電歪素子112 に電圧発生器
118 からの所定の電圧が印加されることによって、この
電歪素子112 が変形され、この変形によってケーシング
111内のインク室113 の容積が変化する。この容積変化
によって、インク室113 の内圧が増加され、これによっ
てインク液滴115 がノズル116 から吐出される。
【0017】従って、上記の電圧発生器118 を任意のプ
リント情報で駆動することにより、このプリント情報に
基づいて上記のノズル116 からインク液滴115 を吐出さ
せることができる。そして、この吐出されたインク液滴
115 が記録媒体となる記録紙(図示せず)に付着され、
プリントが行われる。
【0018】また、図16(B)は、平面状の電歪素子を
用いたプリントヘッドの例を示す。このプリントヘッド
では、任意の材質からなるケーシング121 の一方の面が
振動板122 に形成され、この振動板122 の外面に電歪素
子123 が接着され、いわゆるバイモルフ板が形成されて
いる。更に、このケーシング121 の両端部には、ケーシ
ング121 内のインク室124 にインク120 を充填するため
のインク供給口125 と、インクをインク液滴126 として
吐出するためのノズル127 及びオリフィス部128 が設け
られる。
【0019】そして、上記の電歪素子123 に電圧発生器
129 からの所定の電圧が印加されることによって、この
電歪素子123 が変形され、この変形によってケーシング
121内のインク室124 の容積が変化する。この容積変化
によって、インク室124 の内圧が増加され、これによっ
てインク液滴126 がノズル127 から吐出される。
【0020】従って、上記の電圧発生器129 を任意のプ
リント情報で駆動することにより、このプリント情報に
基づいて上記のノズル127 からインク液滴126 を吐出さ
せることができる。そして、この吐出されたインク液滴
126 が記録媒体となる記録紙(図示せず)に付着され、
プリントが行われる。
【0021】また、図16(C)は、いわゆるステメ(2
室)型のプリントヘッドの例を示す。このプリントヘッ
ドでは、任意の材質からなるケーシング131 の一方の面
が振動板132 に形成され、この振動板132 の外面に電歪
素子133 が接着され、いわゆるバイモルフ板が形成され
ている。また、ケーシング131 内に圧力室134 が形成さ
れ、この圧力室134 に連通してインク供給路135 が設け
られている。
【0022】また、インク供給路135 にインク130 を充
填するためのインク供給口136 が設けられ、このインク
供給路135 の圧力室134 との連通部に対向する位置に、
インクをインク液滴137 として吐出するためのノズル13
8 及びオリフィス部139 が設けられる。
【0023】そして、上記の電歪素子133 に電圧発生器
140 からの所定の電圧が印加されることによって、この
電歪素子133 が変形し、この変形によってケーシング13
1 内の圧力室134 の容積が変化する。この容積変化によ
って、圧力室134 の内圧が増加され、この内圧の増加が
インク供給路135 に伝達されることによって、インク液
滴137 がノズル138 から吐出される。
【0024】従って、上記の電圧発生器140 を任意のプ
リント情報で駆動することにより、このプリント情報に
基づいて上記のノズル138 からインク液滴137 を吐出さ
せることができる。そして、この吐出されたインク液滴
137 が記録媒体となる記録紙(図示せず)に付着され、
プリントが行われる。
【0025】他方、図17は上記したインクジェットプリ
ンタ(例えばオンデマンド型)に使用されるプリントヘ
ッドの他の例を示すものであり、例えば発熱素子を用い
てインクの吐出を行うようにしている。
【0026】このプリントヘッドの構造によれば、ノズ
ル151 の内部に発熱素子152 が設けられ、この発熱素子
152 に電力を供給することによってノズル151 内のイン
ク150 を瞬時に気化させ、この気化によって発生する泡
の圧力で先端部154 からインク液滴157 を吐出させる。
【0027】即ち、図17(A)において、発熱素子152
に電力を供給すると、発熱素子152に接するインク150
が加熱沸騰して小さな泡156 が複数個発生する。これら
の複数の泡156 は、図17(B)に示すように一つの大き
な泡157 にまとまり、この泡157 の圧力によって、図17
(C)のようにノズル151 内のインク150 が先端部154
から押し出される。
【0028】そして、図17(C)の状態で発熱素子152
への電力供給が遮断されると、泡157 は急速に縮小し、
ノズル151 内の圧力が減少する。これにより、先端部15
4 から押し出されたインクはノズル151 内のインク150
と切り離され、図17(D)に示すように、切り離された
インクがインク液滴157 として吐出される。
【0029】従って、上記の発熱素子152 を任意のプリ
ント情報で駆動することにより、このプリント情報に基
づいて上記のノズル151 からインク液滴157 を吐出させ
ることができる。そして、このインク液滴157 が記録媒
体となる記録紙(図示せず)に付着され、プリントが行
われる。
【0030】ところで、上記した各プリントヘッドを使
用して記録紙に所望の記録(画像の形成)を行うに際
し、図18に概略的に示すように、記録紙180 に対して例
えばシリアル型のプリントヘッド16を主走査方向にスキ
ャンしながら画像情報に従ってインクを吐出させ、画素
181 としてドット状に付着させる。
【0031】この場合、記録ドットについて階調性のあ
る(中間調)表現で画質を向上させるに際し、後述する
2液混合型インクジェット方式のフルカラープリンタ
(いわゆるキャリアジェットプリンタ)又はドットサイ
ズ変調型インクジェット方式のフルカラープリンタを使
用することがある。
【0032】そして、これらのプリンタにおいて、シア
ン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)
の各色のインクの他に黒色(Black)インクを使用して、
下色除去(UCR:Under Color Removal)を行うことが
ある。
【0033】一般に、黒色を記録するに際しては、プリ
ンタのように記録像が光反射物として形成される場合
に、吐出されたシアン、マゼンタ、イエローの各インク
が等量ずつ存在していると、これらの混色によって記録
像はブラック(コンポジットブラック)となる。従っ
て、ブラックの表現手段としては、 シアン、マゼンタ、イエローの各インクをそれぞれ等
量ずつ使うこと、 ブラックインクを使うこと の2種類あることになる。
【0034】一方、印画時に、インクの吐出量に対応す
るコンピュータ上のカラーデータは、赤(Red)、緑(Gr
een)、青(Blue)の各データであり、これらの3色信号
を色分解することによって、シアン、マゼンタ、イエロ
ーの各印画データに変換できる。
【0035】そして、プリンタにブラック用のプリント
ヘッドがある時は、シアン、マゼンタ、イエローで表現
されるコンポジットブラックをブラックインク使用のブ
ラックデータに置き換えると、 インク量が減る、 黒がひきしまって見える 等の効果がある。このために、上記した下色除去(UC
R)が有効となるのである。
【0036】従来、こうしたUCRの手法として、図19
に示すようなスケルトンブラック法が知られている。
【0037】一般に、UCR量が 100%であると(即
ち、全ての色分解データをブラックデータに変換したと
き)、得られた記録濃度域全体に亘って墨版が入り、図
19(B)のaで示す3色インクによるブラックと黒イン
クとのトーンの整合を取り難くなり、また混色により明
部での墨による地汚れが目立ち易い。従って、通常は、
UCR量を加減して図19(A)のようなスケルトンブラ
ック法を用いる。
【0038】即ち、3色の濃度信号D=〔Di〕(i=
赤、緑、青)に対してしきい値αを設定し、UCR量を
δとすると、 δ=min{Di}−α>0 のときのみ、グレイ成分を差し引く。この下色除去(rem
oval)後の3色濃度信号Di’は、 Di’=Di−δ となる。墨版の傾きはδのゲインにより調節される。
【0039】こうして、下色除去(UCR)量δが付加
され、4色刷りとなることによって、図19(B)にbで
示すようにブラック濃度が高くなる。
【0040】しかしながら、この公知のスケルトンブラ
ック法では、次に述べるような問題点を解決できないこ
とが判明した。
【0041】印画すべき画像において、プリントヘッド
から吐出されるインク溶液のある部分における総量が、
インク溶液の特性と記録紙の特性及びプリントスピード
で決められるものの、記録紙上のインクがにじんだり、
隣接し合うインク同士が混合してしまい、色再現特性が
悪化して画質が低下したり、解像度が悪化しはじめる最
低の値が存在する。
【0042】従って、印画すべき画像の中で、上記最低
値以上のインク総量のブラック成分(シアン、マゼン
タ、イエローとも印画すべきデータがある。)を持つ領
域が連続した拡がりを持っているときには、1つの画素
を形成するために吐出されたインクが記録紙上で固定化
されないまま、その直後に隣接する位置(又は同じ位
置)に次のインクが吐出されることになる。インク総量
が多くなって記録紙上でインクがにじんだり、乾燥が遅
いためにインク同士が混合してしまい、色再現特性が悪
化して画質が低下したり、或いは解像度が悪化すること
がある。これを避けるため、高価な専用記録紙を用い、
また印画スピードも制限を受けていた。
【0043】これは、特に、専用記録紙を使用しない場
合(即ち、コストの安い上質紙や再生紙などの汎用記録
紙を使うとき)や、印画若しくは印字時の環境温度が低
い場合、高速のヘッドスキャンを行う場合などに多く生
じるが、専用記録紙を用いても同様に生じることがあ
る。
【0044】このような問題点は、上記した公知のスケ
ルトンブラック法を適用して下色除去を行っても解消で
きないことは明らかである。即ち、シアン、マゼンタ、
イエローの本来の印画すべきデータが異なっている時、
最大のUCR量を実現するに際し、シアン、マゼンタ、
イエロー成分中の最小値をブラックに置換すると共に、
置換できなかったシアン、マゼンタ、イエロー成分の残
りはそのまま、それぞれのヘッドで印画しているので、
使用するインク総量は依然として多く、上記したインク
のにじみや混合をなくすことができない。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した問題点を解消し、特にインク総量が過多になる領域
での各色ドット間及び同色ドット間での相互干渉を抑制
して、画質を効果的に向上させることのできる記録方法
及びその装置を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、黒色成
分を持つ複数の色分解成分にそれぞれ対応する(複数の
色分解成分が黒色成分を持つ)複数の記録データを出力
して黒色画素を順次形成する工程を有する記録方法にお
いて、記録データ総量が所定値以上を呈する場合に、特
定画素については、前記複数の記録データを出力しない
と同時に、前記複数の記録データのうち最低レベル又は
平均レベル或いはそれ以下のレベルに相当する黒色用の
記録データを出力して黒色画素を形成することを特徴と
する記録方法に係るものである。
【0047】本発明は、複数の色分解成分にそれぞれ対
応し、複数の色分解成分が黒色成分を持ち、複数の記録
データを出力して黒色画素を順次形成するようにした記
録において、記録データ総量が所定値以上を呈した場合
に特定画素については、前記複数の記録データを出力し
ないと同時に、前記複数の記録データのうち最低レベル
又は平均レベル或いはそれ以下のレベルに相当する黒色
用の記録データを出力して黒色画素を形成するためのデ
ータ入力部と;この黒色用の記録データを含む各種記録
データを記録ヘッド駆動信号に変換する信号変換部と;
この変換信号によって記録ヘッドを変調して駆動する駆
動部と;記録ヘッドと;を有する記録装置も提供するも
のである。
【0048】ここで、上記の「所定値」とは、インクジ
ェット方式等の記録方式によって、インク液滴等の記録
材をドット状に被記録体上に付着させて記録を行うに際
し、前記被記録体上に付着した記録材のにじみや隣接し
た記録材同士の混合が生じはじめるインク総量の最低値
に対応する記録データ総量の値のことを意味する。
【0049】本発明の記録方法及びその装置によれば、
この所定値以上の記録データ総量で複数の記録データを
出力して黒色画素を順次形成する領域において、特定画
素については、前記複数の記録データを出力しないと同
時に、前記複数の記録データのうち最低レベル又は平均
レベル或いはそれ以下のレベルに相当する黒色用の記録
データを出力して黒色画素を形成しているので、黒色成
分を持つ画素の形成に要する記録材総量を特定画素につ
いては黒色用の記録材の量だけに抑え、他の色分解成分
の記録材は供しないようにできる。従って、その特定画
素の周囲を含めた一定の領域の記録材総量が使用する記
録紙の特性等で決定され、画質が悪化しはじめる記録デ
ータに対応する記録材量(所定値)未満に抑えることが
できる。
【0050】従って、1つの画素(黒色ドット)を形成
したとき、その記録材量が上記した所定値未満に抑えら
れ、記録紙等の被記録体上に付着し、この直後は特定画
素位置に続いてコンポジットブラックの如き通常の黒色
ドットを形成しても、各色及び同色ドットの記録材は何
ら相互に干渉し合うことがない。
【0051】即ち、一方の黒色用の記録材が付着後に、
特定画素分を置いて他方の黒色用の記録材が付着するこ
とになるので、その周囲を含めて記録材総量が減少し、
画素密度を高めるとき等に、例えば、記録紙上のインク
がにじんだり、インク同士が混合することを最小限に抑
制でき、色再現特性が向上して高画質が得られ、また、
解像度が向上するという顕著な作用効果が得られる。
【0052】また、被記録体として、例えば専用記録紙
を使用しない(即ち、コストの安い上質紙や再生紙など
の汎用記録紙を使用する)場合や、印画又は印字時の環
境温度が低い場合、高速のヘッドスキャンを行う場合な
どでも、上記した顕著な作用効果が得られる。従って、
コストの安い記録紙を使用でき、印字スピードも上げる
ことができ、コスト面で有利となる上に、使用面、操作
面でも有利である。
【0053】
【発明の実施の形態】本発明の記録方法及びその装置に
おいては、具体的には、シアン色、マゼンタ色及びイエ
ロー色にそれぞれ対応した各記録データの総量が所定値
以上で連続した拡がりをもっているとき、一定間隔毎に
存在する特定画素については黒色用の記録データのみを
出力することができる。
【0054】また、上記の黒色用の記録データによる黒
色画素を上述した下色除去(UCR)機能用として形成
するのがよい。
【0055】また、各記録データを出力しない特定画素
についてはその記録データを多階調ディザ法(例えば多
階調誤差拡散法)によってその周囲の画素に分配するの
がよい。
【0056】そして、インクジェット方式によって、イ
ンク液滴をドット状に被記録体上に付着させて記録を行
うに際し、前記被記録体上に付着したインクのにじみや
隣接したインク同士の混合が生じはじめる最低値以上の
インク総量で各記録データを出力して黒色画素を順次形
成する領域において、一定間隔毎に存在する特定画素に
ついては前記記録データに対応するインク液滴を吐出せ
ず、黒色用の記録データに対応した黒色インク液滴を吐
出することが望ましい。
【0057】インクジェット方式として、定量したイン
クとインク希釈液とを混合し、記録液滴としてドット状
に被記録体上に付着させて記録を行う、いわゆるキャリ
アジェット方式を採用することができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0059】まず、図1及び図2について、本発明に基
づくインクジェットプリンタによる記録方法の概略を説
明する。
【0060】本実施例では、後述する二液混合型インク
ジェットプリンタ(いわゆるキャリアジェット方式のプ
リンタ)において、シアン、マゼンタ、イエローの各イ
ンクの他に、ブラックのインクを使用し、即ち、下色除
去(UCR:Under Color Removal)機能を持っていると
き、印画すべき画像の中で一定値以上のブラック成分
(但し、シアン、マゼンタ、イエローとも印画すべきデ
ータがある。)を持つ領域が連続した拡がりを持ってい
る場合に、その領域のUCRの置換を一定間隔(1画素
置き又は2画素以上置き)で、図1のように行う。
【0061】印画すべき画像が、既述した如く、一定値
以上の連続した拡がりを持っているときに、従来ではイ
ンクのにじみや混合を回避することはできなかった。こ
こで、「一定値」とは、各プリントヘッドから吐出され
るインク溶液のある部分における総量が、インク溶液の
特性と記録紙の特性及びプリントスピードで決められる
ものの、記録紙上のインクがにじんだり、隣接し合うイ
ンク同士が混合してしまい、色再現特性が悪化して画質
が低下したり、解像度が悪化しはじめるインク総量の最
低値を示す。
【0062】そうした一定値以上の拡がりのある印画領
域において、シアン、マゼンタ、イエローの本来の印画
すべきデータが異なっている時、従来のUCRでは最大
のUCR量を実現するのに、シアン、マゼンタ、イエロ
ーの中で最小の値でブラックに置換し、置換できなかっ
たシアン、マゼンタ又はイエロー成分の残りは、そのま
ま、それぞれのヘッドで印画することになるが、本実施
例によれば、図1に示すように、主として次の3通りの
手法によってUCRを実現し、インクのにじみや混合が
生じないようにしている。
【0063】方法1 図1(A)のように、特定画素について、シアン、マゼ
ンタ、イエロー中の最小値Lm(これはコンポジットブ
ラックの最小レベルに相当)に相当するブラックに置換
し、シアン、マゼンタ、イエロー成分の残りは強制的に
ゼロレベル(00)に置き換え、各色のインクは吐出し
ない。そして、シアン、マゼンタ、イエローのうち残っ
た成分と(00)との差を周囲の画素に分散させる。こ
の分散方法としては、多階調誤差拡散法に代表される多
階調ディザ法を用いる。
【0064】方法2 上記方法1がブラックとしてシアン、マゼンタ、イエロ
ーの中の最小値の値に置換したのに対し、これを図1
(B)のように、シアン、マゼンタ、イエローの平均値
Laに置き換える。これ以降の手法は方法1と同じであ
る。
【0065】方法3 上記方法1がブラックとしてシアン、マゼンタ、イエロ
ーの中の最小値の値に置換したのに対し、これを図1
(C)のように、シアン、マゼンタ、イエローの中の最
小値未満の値Lsに置換する。この置換する割合は、プ
リンタ設計段階において予め決められ、画質が最も良好
となりかつ置換する割合が多くなる数値を用いる。これ
以降の手法は方法1と同じである。
【0066】このように、本実施例によれば、UCRを
経て、それぞれのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラッ
ク用の各ヘッドを駆動する印画データを求めた後、2液
混合型プリンタ(キャリアジェット方式)では、印画デ
ータが(00)の時は混合を止めると共にインクの吐出
も止める。即ち、透明溶液(希釈液)の記録紙上への吐
出をも止める。
【0067】なお、使用する記録紙及び印画条件によっ
て、この手法を適用する画素(特定画素)の間隔を最適
な値に変更してもよい。これは、プリンタ設計時に、実
際にプリントアウトをして決定することができる。
【0068】従って、本実施例の方法によって、各プリ
ントヘッドから吐出されるインク総量が、ある一定間隔
でブラックインク量だけに抑えられ、他のインクは吐出
されないので、その周囲を含めた一定の領域のインク総
量が、使用する記録紙の特性等で決定され、画質が悪化
しはじめる印画データに対応するインク量(上記の一定
値)未満に抑えることができる。
【0069】この結果、1つの画素の印画をしたとき、
すぐにそのインクが記録紙上で固定化されるため、記録
紙上のインクのにじみや、乾燥が遅れることによる、隣
接し合ったインク同士の相互影響が少なくなることか
ら、色再現性が良好となり、画質の向上、解像度の向上
が得られる。また、種々のコストの安い記録紙を使用す
ることができ、印字スピードも上げることができる、等
の効果がある。
【0070】なお、上記の特定ドットではレベルLm、
La又はLsのブラックドットが形成されてグレーレベ
ルとなり、これが次のブラックドットの濃度よりも低く
なっても画質としては実質的に問題はなく、連続したブ
ラック色の画像を良好に形成することができる。
【0071】また、上記の多階調誤差拡散法によって、
シアン、マゼンタ、イエローの残った成分を周囲の画素
に分散させると、画像としては何ら違和感のないものが
得られる。
【0072】次に、この多階調誤差拡散法を図2につい
て説明する。
【0073】この多階調誤差拡散法では、図2(A)に
例示するように、画像を構成する任意の画素Aのレベル
は、本来のプリントしたいレベルX(256階調)から
実際にプリントされるレベルX'(通常は4、6、8、1
6、32、64階調、ここでは例として64階調)に置
き換えられる。この場合に、置き換えられるレベルX'
は、レベルXに最も近いレベルとする方法や、レベル
X' が取り得る複数のレベルに対してレベルXとの差の
絶対値を確率として置き換える方法が用いられる。後者
の方法では、レベルX' は取り得る全てのレベルに置き
換えられる可能性がある。
【0074】更に、レベルXとレベルX' との誤差分ε
が、画素Aの周囲の画素に分配して加算される。なお、
この分配の方法は、図2(A)に示したように、それぞ
れ画素Aの次の画素に(7/16)ε、次の走査線の1
つ前の画素に(3/16)ε、真下の画素に(5/1
6)ε、及び次の走査線の1つ後の画素に(1/16)
εのように分配する方法や、各分配率の確率で任意の1
画素のみに加算する方法がある。
【0075】なお、誤差分εには±の符号を有する。ま
た、誤差の分配された周囲の画素の誤差は、分配された
誤差を加算した値について演算が行われる。更に、分配
された誤差を加算した値が、プリント可能範囲の最大印
画レベル又は最小印画レベルを超える場合には、その最
大印画レベル又は最小印画レベルを超える分については
無視して丸め込むか、その超える分を上記の割合又は確
率で上記の誤差分εと同様の演算により周囲の画素に再
分配する処理が行われる。
【0076】このように、画素Aの誤差分εをその周囲
の画素に分配することによってプリントの誤差が拡散さ
れ、これを入力画像全体に亘って行い、印字すべき画像
データを作成することによって、プリント情報をプリン
トしたときに得られる画像の階調を実質的に拡大する
(例えば64階調を256階調に拡大する)ことができ
る。なお、上記の分配の割合等の数値は一例であって、
変換される階調の差分や、誤差分の分配される画素の範
囲(数)等にしたがって種々に変更可能なものである。
【0077】従って、例えばホストコンピュータで上記
のディザ法等を用いることによって、ホストコンピュー
タで形成された例えば8ビット=256階調のプリント
情報から、プリンタ装置でプリント可能な例えば64階
調のプリント情報が形成される。そしてこの場合に、例
えば64階調のプリント情報は、例えば6ビットで表現
されるものである。
【0078】そして、こうした多階調誤差拡散法を適用
して、図1に示したシアン、マゼンタ、イエローの各成
分の残り(ブラックに対応するレベルを差し引いたも
の)をその周囲の画素に図2(B)のように分配する。
画素Aは、UCRとしてブラックレベルLm(La又は
Ls)となる。
【0079】このようなUCRは、後述のデジタル処理
部内で実行するUCRの処理中で実現する。具体的に
は、プリンタ内部でのデジタル処理部又はコンピュータ
内部のプリンタドライバプログラム中で実施する。
【0080】図3〜図8は、上記した記録方法を二液混
合型インクジェットプリンタ(キャリアジェット方式)
に適用した場合のシーケンスとその回路構成、及び使用
可能なプリントヘッドを示すものである。
【0081】まず、記録(プリント)方法を実施するた
めの回路動作を図3について説明するが、以下の動作
は、ROM(Read Only Memory)6に格納されたプログ
ラムに従い、CPU(中央演算処理ユニット)5が順次
行う。
【0082】データ入力インターフェース(以下、I
/Fと称する。)4を通して、印画すべき入力データを
受入れ、RAM(Random Access Memory)7上に格納す
る。データ入力I/Fは、RAM7上に入力データがオ
ーバーフローしないように制御し、RAM上の入力デー
タがいっぱいになった時点で、入力データ制御信号によ
って入力データを止める。
【0083】この時、RAMサイズが、印画する画像全
体を格納できる場合は、全部の入力画像データを格納し
終わってから、次の処理に移ってもよいし、或いは、印
画する画像全体が格納できない場合は、実際のプリント
ヘッドの1回のスキャンで使用されるライン数以上のラ
イン数を格納し、入力データ制御信号によって入力デー
タを止めてもよい。
【0084】RAM上に格納された印画すべき入力デ
ータが、実際のプリントヘッドの1回のスキャンで使用
されるライン数分に達した段階で、インクジェットプリ
ントヘッドに付設しているサーミスタ等の温度センサ40
の情報をセンサI/F41経由で温度測定データとして測
定する。ここで計算された測定温度と、このプリントヘ
ッドの標準動作温度(設計する時に仮定した温度)との
差を求め、この温度差に対応する入力データへの補正カ
ーブ(入力データの値に対する補正分を示すカーブ)を
求める。
【0085】この温度差と、それに対応する入力データ
への補正カーブとの関係は、プリントヘッド、インク、
記録紙等の開発時に決定されている。なお、この補正カ
ーブは、全ての入力データの値に対し等しい場合も、異
なる場合もある。これは、主に開発時の実測で求められ
る。
【0086】この補正カーブが決定されると、入力デー
タをこれに基づいて変換し、補正された印画データにす
る。なお、この温度測定による入力データの補正は、必
ずしも必要ではない。
【0087】この補正された印画データに変換された
後、後述する多階調誤差拡散法により、実際に印画すべ
き画像データに置換する。置換された画像データは、同
じRAM7内の他の場所に格納する。なお、多階調誤差
拡散処理においての複数の階調数は、通常、4、6、
8、16、32、64段階程度である。
【0088】この階調数と、電歪振動子52に印加する電
圧レベルとの関係は、電歪振動子の変位の不安定要因
(ヒステリシス特性、静電容量を持つことによる印加波
形の変化)や、ヘッド全体の変調動作の不安定要因(ヘ
ッドの組み立てバラツキによる変調特性の誤差、インク
の粘性等の物性や振動板の特性による変調特性のバラツ
キ)、印加電圧の変化に対する、記録紙上のインクドッ
ト内濃度変化の関係を基に決定される。なお、電歪振動
子52は、誘電体に電場をかけたときに変形や歪を生じる
現象を起こすもの(ピエゾ素子と称される:以下、同
様)である。
【0089】上記のようにしてRAM7上に置換され
た印画データが、インクジェットプリントヘッドを駆動
する数だけ格納されると(インクジェットヘッドのノズ
ル数が数10個のヘッド駆動型プリンタの場合であれば、
ヘッドの1スキャン分の数だけ格納されると)、印画す
べき画像データをD/A変換部13に印画データ信号とし
て送り、また、これと同時に、モータ制御部19へモータ
駆動制御信号を送り、ヘッド送りモータを動作させる。
モータ制御部19と各モータ21との間には、モータドライ
ブ部20があり、モータを駆動できる電圧及び電流値まで
信号をドライブする。
【0090】ヘッド送りモータ21が起動し、プリント
ヘッド16のノズルが記録紙上の印画すべき位置に達した
時、そのタイミングをタイミング制御部18がヘッド位置
検出センサ17からの出力によって検知し、D/A変換部
13に対し、D/A変換トリガ信号を出力する。また、モ
ータ制御部19に対しても、モータ駆動トリガ信号を出力
する。
【0091】D/A変換部13において、印画データ信
号に含まれる印画すべき画像データは、前もって決めら
れたある電圧レベルに変換される。これは、上記のの
過程で説明した。
【0092】−1このようにある電圧レベルに変換さ
れた印画すべき画像データに対応した変調振動子駆動信
号は、変調振動子ドライブ部15によって、変調用電歪振
動子を変位させるのに必要な電力にまで増幅され、変調
振動子印加信号として、プリントヘッド変調部37に入力
される。プリントヘッド変調部37では、インクの定量動
作が行われる。
【0093】−2あらかじめ決められた一定時間又は
印画データ信号に応じた時間だけ、プリントヘッド変調
部37に対して変調振動子印加信号を加えた後、その変調
振動子印加信号を無効とし、プリントヘッド変調部37に
よるインクと溶媒(希釈液)との混合動作を終了させ
る。
【0094】−3この混合動作が終了した後、タイミ
ング制御部18は、吐出振動子ドライブ部38に対して吐出
タイミング信号を出力する。この吐出タイミング信号
は、吐出振動子ドライブ部38によって、吐出用電歪振動
子を変位させるのに必要な電力にまで増幅され、吐出振
動子印加信号としてプリントヘッド吐出部36に入力され
る。プリントヘッド吐出部36では、プリントヘッド変調
部37によって、画像情報に応じて変調された所定量のイ
ンクを供給し、これを溶媒と混合し、インク溶液として
吐出させ、所望の濃度のインクドットを記録紙上に形成
する。
【0095】−4このようにして、1回のインクドッ
トを記録紙上に形成すると、次のインクドットの形成に
移る。即ち、上記ので示した、RAM上に置換された
次に印画すべき画像データをD/A変換部13に印画デー
タ信号として送る。 −5以下は、上記の〜−4に示す動作を繰り返
す。
【0096】紙送りモータ21は、プリントヘッドの駆
動に同期して、必要に応じて記録紙を送る。
【0097】以上の動作を繰り返すことによって、紙
送り、ヘッド送り、ヘッドへの電圧の印加、吐出が行わ
れる。
【0098】上記の〜の動作において、入力データ
から、図1及び図2(B)に示す如きデータを得、これ
をヘッドにUCR用の変調信号として供給しているの
で、1つの黒色画素をUCR用として形成したとき、こ
のインクが記録紙上に付着し、この直後に他方のコンポ
ジットブラックのインクが、次に隣接する位置(又は同
じ位置)に付着させて次の黒色画素を形成しても、これ
らのインクは何ら相互に干渉し合うことがない。更に、
インク総量が過多にならないので、シアン、マゼンタ、
イエロー及びブラックの各インクによる各色ドット間及
び同色ドット間においても、相互干渉が抑制される。
【0099】また、上記動作では、多階調誤差拡散法に
基づくデータ変換処理をプリンタ内で行っているが、こ
れらのデータ変換処理をコンピュータ上で行い、その処
理結果をプリンタに転送するようにしてもよい。
【0100】従って、記録紙上のインクがにじんだり、
インク同士が混合することを最小限に抑制でき、複数色
の印字を行っても色再現特性が向上して高画質が得ら
れ、また解像度が向上する。このため、二液混合型プリ
ンタ(いわゆるキャリアジェット方式)においては、本
方式UCRを実行することで余剰の吐出インク溶液が記
録紙上に吐出されないようにし、画質に与える悪影響を
最小限に抑えることができる。
【0101】また、記録紙として、例えば専用記録紙を
使用しない場合(即ち、コストの安い上質紙や再生紙な
どの汎用記録紙を使用するとき)や、印画若しくは印字
時の環境温度が低い場合、高速のヘッドスキャンを行う
場合などでも、上記した顕著な作用効果が得られるの
で、コストの安い記録紙を使用でき、印字スピードも上
げることができ、コスト面で有利となる上に、使用面、
操作面でも有利である。
【0102】図4は、図3に示したインクジェットプリ
ンタの回路構成を更に詳細に示したものである。この図
4において、例えばホストコンピュータ150(ディザ処理
部を内蔵)で形成された画像情報(プリント情報:後述
のディザ法による情報も含む。)や、プリントのコマン
ド情報は、例えばセントロニクス、バイセントロニクス
(IEEE Std 1284)、SCSI(以上、パラレル)
や、RS232C、RS422(以上、シリアル)等で
規定されたデータインターフェース(I/F)を用いて
プリンタ装置に供給される。
【0103】ここで、例えば上記のIEEE Std 1284
で規定されたインターフェース(バイセントロニクス)
においては、1〜36番の伝送路が設けられる。そして、
そのうちの1番の伝送路がストローブ(イネーブル)と
されると共に、2〜9番の伝送路で8ビットの情報で伝
送されるものである。
【0104】ホストコンピュータ150 の本体151 で形成
された例えば8ビットのコマンド情報は、そのままイン
ターフェース(I/F)回路152 に供給されて、上記の
2〜9番の伝送路で伝送される。
【0105】これに対して、プリント情報は、ホストコ
ンピュータ150 の本体151 で、後述するプリントヘッド
の性能等に応じて例えば6ビットで形成されている。そ
こで、この6ビットのプリント情報が、上記の伝送路で
例えばMSB側となる4〜9番の伝送路に設けられて伝
送されると共に、例えばLSBとなる2番の伝送路に上
記の6ビットのプリント情報に対するエラー検出データ
が設けられる。
【0106】即ち、上記の本体151 からの例えば6ビッ
トのプリント情報は、エラー検出データの付加回路153
に供給される。そして、この付加回路153 で、上記の6
ビットのプリント情報に対して、例えば偶数パリティ、
奇数パリティ、或いは6ビットが全て“1”のとき
“0”、及び/又は、6ビットが全て“0”のとき
“1”とする等の1ビットのエラー検出データが形成さ
れる。
【0107】なお、これらのエラー検出データは、プリ
ンタが使用される環境等に応じて任意に選択される。即
ち、例えば伝送路に近接して高電圧の電源路等が存在
し、例えば6ビットが全て“1”または“0”になるよ
うなエラーが発生しやすい環境では、6ビットが全て
“1”のとき“0”、及び/又は、6ビットが全て
“0”のとき“1”とするエラー検出データが選択され
る。
【0108】また、高周波の発生源が近接するなど、エ
ラー発生に複数の要因が見られる場合には、エラー検出
データとしては偶数パリティや奇数パリティが選択され
る。更に、これらのエラー検出データは、任意に選択の
切り換えができるように構成してもよい。そして、選択
されたエラー検出データを、それに応じたコマンド情報
で後述する受信側に伝送して処理が行われるようにする
ことができる。
【0109】更に、この1ビットのエラー検出データ
が、MSB側の6ビットにプリント情報の設けられた8
ビットのLSBに付加される。そして、このエラー検出
データの付加された8ビットのプリント情報がインター
フェース回路152 に供給されて上記の2〜9番の伝送路
で伝送される。なお、3番の伝送路は、例えばこの例で
は「空」とされ、指定のデータが設けられて伝送され
る。
【0110】そして、このインターフェース回路152 に
上記の本体151 からの制御信号が供給され、上記のコマ
ンド情報とプリント情報が任意に選択されて伝送が行わ
れる。
【0111】なお、上記のコマンド情報では、例えば
(プリントモードの指定コマンド)+(〔フルカラー高
画質/フルカラー普通紙/白黒画像/文字〕等の指定パ
ラメータ)、(プリント情報転送方式の指定コマンド)
+(〔圧縮有り/圧縮無し〕等の指定パラメータ)、
(インターリーブ動作の指定コマンド)+(〔行う/行
わない〕等の指定パラメータ)などの指定コマンドが伝
送される。
【0112】また、上記のコマンド情報では、例えば
(主走査方向基準単位の設定コマンド)+(基準となる
最小ユニット距離長の設定パラメータ)、(副走査方向
の基準単位の設定コマンド)+(基準となる最小ユニッ
ト距離長の設定パラメータ)、(プリント速度の設定コ
マンド)+(設定パラメータ)、(解像度の設定コマン
ド)+(設定パラメータ)などの設定コマンドが伝送さ
れる。
【0113】その他、上記のコマンド情報では、後述す
るプリンタ本体からプリントヘッドを含む回路ブロック
へ伝送されるコマンド情報の一部も伝送される。そし
て、これらのコマンド情報は、順不同で例えばプリント
の開始時等に一括して伝送されるものである。
【0114】更に、上記のコマンド情報では、例えば
(主走査方向のプリント位置移動の設定コマンド)+
(プリント開始位置の設定パラメータ)、(副走査方向
のプリント位置移動の設定コマンド)+(プリント開始
位置の設定パラメータ)、(転送するプリントデータ数
の設定コマンド)+(データ転送数の設定パラメー
タ)、(データ転送終了コマンド)、(プリント動作の
終了コマンド)などが伝送される。これらのコマンド情
報はパラメータの変更等に伴って随時伝送される。
【0115】そして、上記の(転送するプリントデータ
数の設定コマンド)+(データ転送数の設定パラメー
タ)が本体151 で形成されると、この本体151 からの制
御信号がインターフェース回路152 に供給されて上記の
コマンド情報からプリント情報への選択の切り換えが行
われる。これによって、その後は、上記の付加回路153
でエラー検出データの付加されたプリント情報が伝送さ
れる。
【0116】更に、このプリント情報の伝送は、上記の
(データ転送数の設定パラメータ)で設定された数だけ
行われる。そして、この設定数の伝送が行われると、再
び本体151 からの制御信号がインターフェース回路152
に供給され、今度はプリント情報からコマンド情報への
選択の切り換えが行われる。そして、上記の(データ転
送終了コマンド)が伝送され、これ以後はコマンド情報
の伝送が行われる。
【0117】このようにして、例えばホストコンピュー
タ150 の本体151 で形成されたコマンド情報及びプリン
ト情報が、インターフェース回路152 から、例えばIE
EEStd 1284で規定されたインターフェース(バイセン
トロニクス)に伝送されるものである。
【0118】この伝送されたコマンド情報及びプリント
情報が、プリンタ装置のデータ入出力インターフェース
(I/F)回路4で受信される。そして、このインター
フェース回路4で受信されたコマンド情報は、そのまま
プリンタ装置の内部のCPUシステムバス8に供給され
る。なお、このシステムバス8には、CPU(中央演算
処理ユニット)5、ROM(Read Only Memory)6、R
AM(Random AccessMemory)7の他、後述するプリン
トを行う回路機構が接続されている。
【0119】そして、上記のコマンド情報が例えばCP
U5に供給されて、例えば上記の(転送するプリントデ
ータ数の設定コマンド)+(データ転送数の設定パラメ
ータ)が判別される。更に、このコマンド情報が判別さ
れると、制御信号がインターフェース回路4に供給さ
れ、例えば受信されたデータがエラー検出回路3に供給
されるように切り換えが行われる。
【0120】そこで、このエラー検出回路3では、上記
の例えばホストコンピュータ150 の付加回路153 で付加
されたエラー検出データを用いて、伝送されたプリント
情報のエラーが検出される。そして、エラーが検出され
ないときは、伝送されたプリント情報のMSB側の6ビ
ットがそのままシステムバス8に供給される。
【0121】これに対して、上記のエラー検出回路3で
伝送されたプリント情報にエラーが検出されると、エラ
ーの検出されたプリント情報に対する修正処理が行われ
る。即ち、この修正処理では、例えばエラーが検出され
たときに対応するプリント情報を空白データで置換す
る。或いは、対応するプリント情報を直前のデータで置
換するなどの処理が行われる。
【0122】また、このエラー修正処理は、上記のCP
U5、RAM7等と共同で行われるようにしてもよい。
その場合には、対応するプリント情報を隣接の走査ライ
ンのデータ、若しくはそれらの平均値データで置換す
る。更に、エラーの検出されたプリント情報の再送出
を、例えばホストコンピュータ150 側に要求するなどの
処理も可能である。
【0123】また、例えばCPU5で形成された後述す
るヘッドキャリッジ(プリントヘッドを含む回路ブロッ
ク)81に供給されるコマンド情報が、システムバス8に
供給される。更に、このヘッドキャリッジ81に供給され
るコマンド情報は、システムバス8からコマンド情報と
プリント情報の合成回路82に供給される。
【0124】一方、プリント情報(6ビット)は、シス
テムバス8から上記のエラー検出データの付加回路153
と同様、若しくは任意のエラー検出データの付加回路83
に供給される。そして、この付加回路83でエラー検出デ
ータの付加されたプリント情報(8ビット)がコマンド
情報とプリント情報の合成回路82に供給される。
【0125】そして、この合成回路82からのデータが、
イネーブルと共に、ヘッドキャリッジ81上のコマンド情
報とプリント情報の分離回路84に供給される。ここで、
プリンタ本体側の合成回路82とヘッドキャリッジ81上の
分離回路84とは、通常は同一のケーシング内に設けられ
るので、この間のデータ伝送の仕様は任意である。
【0126】しかしながら、例えばコマンド情報におい
ては、上記のホストコンピュータ150 からのコマンド情
報の体系を踏襲したいこと、及び、ヘッドキャリッジ81
の往復運動を円滑に行うためには伝送路を重厚にできな
いなどの理由から、合成回路82と分離回路84との間の伝
送路においても、データの伝送のための伝送路には例え
ば8ビット幅のものが用いられる。
【0127】従って、上記の付加回路83でも、例えば6
ビットの本来のプリント情報に対して、例えば偶数パリ
ティ、奇数パリティ、或いは6ビットが全て“1”のと
き“0”、及び/又は、6ビットが全て“0”のとき
“1”とする等の1ビットのエラー検出データが形成さ
れる。そして、この1ビットのエラー検出データが、6
ビットのプリント情報がMSB側に設けられた8ビット
のLSBに付加される。
【0128】このようにして、例えば8ビットに形成さ
れたコマンド情報とプリント情報が合成回路82に供給さ
れる。また、例えばCPU5で形成された制御信号が合
成回路82に供給されて、上記のコマンド情報とプリント
情報が任意に選択されて伝送が行われる。
【0129】伝送されたこれらのコマンド情報及びプリ
ント情報は、ヘッドキャリッジ81上に設けられたコマン
ド情報とプリント情報の分離回路84に供給される。そし
て、この分離回路84で分離されたコマンド情報は、その
ままヘッドキャリッジ81上の設定コマンドの保持手段85
に供給される。更に、この保持手段85に保持された設定
値等がヘッドキャリッジ81上の各回路装置等に供給され
る。
【0130】また、上記のコマンド情報の中の例えば上
記の(転送するプリントデータ数の設定コマンド)+
(データ転送数の設定パラメータ)が判別される。そし
て、このコマンド情報が判別されると、制御信号が分離
回路84に供給されて、例えば分離回路84に供給されたデ
ータがヘッドキャリッジ81上のエラー検出回路86に供給
されるように切り換えが行われる。
【0131】更に、このエラー検出回路86では、上記の
付加回路83で付加されたエラー検出データを用いて、伝
送されたプリント情報のエラーが検出される。そして、
エラーが検出されないときには、伝送されたプリント情
報がそのまま後段のD/A変換部13に供給されて任意の
アナログ信号に変換される。
【0132】これに対して、上記のエラー検出回路86で
伝送されたプリント情報にエラーが検出されると、エラ
ーの検出されたプリント情報に対する修正処理が行われ
る。即ち、この修正処理では、例えばエラーが検出され
たときに対応するプリント情報を空白データで置換する
などの処理が行われる。そして、この修正処理の行われ
たプリント情報が上記のD/A変換部13に供給される。
【0133】更に、このD/A変換部13で変換されたア
ナログ信号がドライブ部15に供給される。このドライブ
部15では、上記の変換されたアナログ信号のレベルに応
じて例えば図7(B)のd〜eの期間の長さと電位変化
幅を変調した変調信号が形成される。そして、このドラ
イブ部15からの変調信号が、プリントヘッドの変調部37
に印加される。
【0134】また、システムバス8からのプリント制御
信号がタイミング制御部18に供給される。そして、この
タイミング制御部18からの画素トリガ信号が、任意の伝
送路を通じてヘッドキャリッジ81上のタイミング制御部
18Aに供給される。そして、このタイミング制御部18A
からのD/A変換トリガ信号が、D/A変換部13に供給
されて、このトリガ信号のタイミングで上記のプリント
情報のアナログ変換が行われる。
【0135】また、このタイミング制御部18で、例えば
図7(A)に示すような吐出のタイミング信号が形成さ
れる。そして、この吐出タイミング信号がドライブ部38
に供給され、このドライブ部38からの吐出信号がプリン
トヘッドの吐出部36に印加される。
【0136】更に、図4では、1つのプリントヘッドの
1個のノズルについてのみ示したが、後述するようにシ
アン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の各色に対応す
る複数のプリントヘッドの複数のノズルの駆動を行う場
合には、そのノズルの数の分、上記のD/A変換部13〜
プリントヘッドの変調部37、及びドライブ部15、38とプ
リントヘッドの吐出部36が設けられるものである。
【0137】従って、上記のプリンタ本体側とヘッドキ
ャリッジ81との間のコマンド情報では、例えば(プリン
トモードの指定コマンド)+(〔フルカラー高画質/フ
ルカラー普通紙/白黒画像/文字〕等の指定パラメー
タ)、(プリント方向の指定コマンド)+(〔往スキャ
ン/復スキャン〕等の指定パラメータ)、(有効ノズル
の指定コマンド)+(〔シアン/マゼンタ/イエロー/
ブラック〕等の有効ノズルの指定パラメータ)などの指
定コマンドが伝送される。
【0138】また、このコマンド情報では、例えば(変
調タイミングの設定コマンド)+(画素トリガ信号に対
する変調信号の出力タイミングの設定パラメータ)、
(変調波形の設定コマンド)+(変調信号の傾き、パル
ス長の設定パラメータ)、(D/A変換の変換基準値の
設定コマンド)+(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラ
ック用の各変換基準値の設定パラメータ)などの設定コ
マンドが伝送される。
【0139】更に、このコマンド情報では、例えば(吐
出タイミングの設定コマンド)+(画素トリガ信号に対
する吐出信号の出力タイミングの設定パラメータ)、
(吐出波形の設定コマンド)+(吐出信号の傾き、パル
ス長の設定パラメータ)、(1画素内の有効階調数の設
定コマンド)+(階調数の設定パラメータ)などの設定
コマンドが伝送される。
【0140】また、このコマンド情報では、例えば(主
走査方向のプリント範囲の設定コマンド)+(シアン、
マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれのヘッドに対
するプリント開始位置及びプリント数の設定パラメー
タ)、(エラー検出データ方式の設定コマンド)+(設
定パラメータ)、(エラー修正方法の設定コマンド)+
(設定パラメータ)などの設定コマンドが伝送される。
【0141】更に、このコマンド情報では、例えば(転
送するプリントデータ数の設定コマンド)+(データ転
送数の設定パラメータ)、(データ転送終了コマン
ド)、(プリント動作の終了コマンド)などの設定コマ
ンドが伝送される。従って、この(転送するプリントデ
ータ数の設定コマンド)+(データ転送数の設定パラメ
ータ)の後に上述のエラー検出データの付加されたプリ
ント情報が伝送される。
【0142】そして、このプリント情報の伝送は、上記
の(データ転送数の設定パラメータ)で設定された数だ
け行われる。更にこの設定数のプリント情報の伝送が行
われると、上記の(データ転送終了コマンド)が伝送さ
れて、以後は再びコマンド情報の伝送が行われるもので
ある。なお、これらのプリント情報の伝送の動作は、上
記のホストコンピュータ150 とプリンタ装置との間と同
様に行われる。
【0143】なお、図4では、タイミング制御部18から
のモータ駆動トリガ信号がモータ制御部19に供給され
る。また、システムバス8からのモータ駆動制御信号が
モータ制御部19に供給される。そして、このモータ制御
部19からのモータ駆動信号がモータドライブ部20を通じ
て紙送りモータ及びヘッド送りモータ21に供給される。
【0144】また、例えばヘッドキャリッジ81の位置を
検出するヘッド位置検出センサ87からの位置検出信号が
センサインターフェース(I/F)41を通じてシステム
バス8に供給され、ヘッドキャリッジ81の駆動の制御が
行われる。更に、温度センサ40からの温度検出信号が、
センサインターフェース(I/F)41を通じてシステム
バス8に供給され、例えば特願平7−254250号に
述べられたような温度変化に対する制御等(これは既述
した。)が行われる。
【0145】従って、この装置において、伝送路のビッ
ト幅より少ないビット数からなるプリント情報を伝送す
る場合に、プリント情報を伝送路のMSB側に設定する
と共に、伝送路のLSB側にエラー検出用のデータを設
けることによって、極めて簡単な手段でプリント情報の
エラー対策を行うことができる。
【0146】これによって、例えば従来の装置でプリン
ト情報の伝送路として用いられていた、例えばシールド
ケーブルや、シールドされたフラットケーブル、シール
ドされたフレキシブル基板等を用いる必要がなくなり、
安価なケーブルを用いることができると共に、柔軟性の
高いケーブルの使用でヘッドキャリッジの移動等も円滑
に行うことができる。
【0147】更に、プリント情報の伝送エラーの問題が
解決されるので、装置の動作の安定性を極めて向上させ
ることができるものである。
【0148】なお、上記の装置においては、伝送される
プリント情報のLSB側の2番目のビットは「空」とし
て指定のデータを設けるようにしたが、これは将来、プ
リントヘッドで128階調のプリントが可能になる場合
を予測して残すことができる。また、このLSB側の2
ビットの両方を用いて巡回型のエラー訂正コード等を設
けるようにしてもよい。
【0149】また、伝送されるプリント情報のビット数
は上記の6ビットに限らず、伝送路のビット幅より少な
いビット数であれば、何ビットでも適用することができ
る。その場合には、上記の(1画素内の有効階調数の設
定コマンド)+(階調数の設定パラメータ)や(エラー
検出データ方式の設定コマンド)+(設定パラメー
タ)、(エラー修正方法の設定コマンド)+(設定パラ
メータ)などの設定コマンドを用いて受信側のエラー検
出回路3、86等の設定が行われる。
【0150】更に、上記の装置において、多階調ディザ
法(多階調誤差拡散法)等の階調拡大手段は、上記のよ
うにホストコンピュータ150 側に設けるに限らない。即
ち、例えばプリンタ内蔵型として、プリンタ本体内で、
データ入出力インターフェース回路4に供給された例え
ば8ビットのプリント情報を、CPU5、ROM6、R
AM7等によりディザ法等を用いて、図4中に仮想線で
示すディザ処理回路部88によって例えば6ビットにして
もよい。そしてこの場合に、この6ビットのプリント情
報を上述したようにしてヘッドキャリッジ81に伝送する
ことができる。
【0151】ところで、本出願人は、希釈液又はインク
の一方をプリント情報に従って定量し、他方を規定量で
混合した混合液を用いて中間調のプリントを行う方式
(キャリアジェット方式)の新規なプリントヘッドを特
願平7−254250号(平成7年9月29日付け出
願)として、既に提案した。
【0152】図5及び図6は、キャリアジェット方式に
基づくプリントヘッドの構成例を示し、図7はその動作
の波形図を示す。
【0153】このプリントヘッド16においては、基板55
としてのオリフィスプレートには、インク70の定量側ノ
ズル50と希釈液71の吐出側ノズル51とが設けられる。こ
れらのノズル50、51にはそれぞれ、インク導入孔54と希
釈液導入孔56とが連結して設けられている。
【0154】更に、これらの導入孔54、56の後方側には
定量側キャビティ(インク室)60と吐出側キャビティ
(希釈液室)61とが設けられ、またこれらのキャビティ
には振動板63が設けられている。この振動板63は定量側
の電歪素子(ピエゾ素子)52と吐出側の電歪素子(ピエ
ゾ素子)53によってそれぞれ駆動される。そして、定量
側の電歪素子52と吐出側の電歪素子53にはそれぞれ、図
7(A)、図7(B)に示すような駆動信号が供給され
る。
【0155】即ち、図7(A)は、吐出側の電歪素子53
に供給される駆動信号の例を示し、aのタイミングで電
歪素子53に大きな変位を与えることによって吐出側ノズ
ル51から希釈液導入孔56の希釈液71が吐出される。ま
た、b及びcのタイミングでは、それぞれ電歪素子53が
上記変位とは逆方向に変形する(引き込まれる)と共
に、吐出側キャビティ61から希釈液71が希釈液導入孔56
に再充填される。
【0156】図7(B)は、定量側の電歪素子52に供給
される駆動信号の例を示し、d〜eの期間に定量側ノズ
ル50からインク70が押し出され、この押し出されたイン
ク70Aは吐出側ノズル51の前面に滞留される。そして、
この吐出側ノズル51から希釈液71が吐出されることによ
って、この吐出された希釈液71には上記の滞留されたイ
ンク70Aの厚み(量)に応じたインクが混合される。
【0157】このプリントヘッドにおいて、吐出のタイ
ミング(a)は例えば1m秒間隔である。そして、この
タイミング(a)で吐出側の電歪素子53には例えば0〜
20Vの電位変化が与えられ、この電位変化による電歪素
子53の変位によって希釈液の吐出が行われる。
【0158】一方、タイミング(d)において定量側の
電歪素子52には、例えば0〜10Vの電位変化が与えられ
る。この場合は、この電位変化による電歪素子52の変位
ではインクの吐出は起こらず、ノズル50の先端からは電
位変化幅及びパルス幅d〜eに応じた量だけインク70A
が押し出されるだけである。
【0159】ここで、d〜eの期間の長さと電位変化幅
に応じて押し出されるインク70Aの量が制御され、これ
によって、吐出側ノズル51の前面に滞留されるインク70
Aの厚みを制御することができる。更に、このインク70
Aに混合されるようにして希釈液71が吐出されることに
よって、希釈されたインク液滴57が放出される。この液
滴57のインクの濃度は、上記のインク量70Aによって任
意に制御することができる。
【0160】即ち、上記のプリント情報に従ってd〜e
の期間の長さと電位変化幅を、例えば図示した 150μ
秒、10V及び50μ秒、10Vのように制御することによっ
て、任意の中間調でプリントを行うことができる。そし
てこの場合に、プリントされる中間調は、条件が整えば
64通りの階調が得られるものである。
【0161】ところが、この場合、例えば上記したホス
トコンピュータ150(図4参照)では、プリント情報が例
えば8ビット=256階調で形成される。これに対し
て、プリンタ装置でプリントされる中間調が上記のよう
に少ない(6ビット=64階調)場合には、いわゆる多
階調ディザ法(一例として多階調誤差拡散法)等の階調
拡大手段が用いられる。
【0162】図8は、上記のプリントヘッド16の具体的
な構成を示す。即ち、この図8においては、例えば4色
(シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックK)の
プリントヘッド16C、16M、16Y、16Kがそれぞれ設け
られると共に、これらのプリントヘッドには、それぞれ
1回の走査でプリントされる、例えばシアンC、マゼン
タM、イエローYは24個ずつ、ブラックKは48又は64個
の電歪素子52、53(シアン用のみ図示したが他は図示省
略)を有するノズル50、51、58、59がヘッド長方向に設
けられる。
【0163】ここで、ブラック用ノズル58、59はヘッド
長方向に設けられ、自然画のプリントのときはノズル58
を、文字のプリントのときは双方のノズル58及び59を併
用してインク吐出を行う。そして、ノズル58と59は、図
5において二点鎖線で示すように配置してよく、また、
その駆動方法は単に2値のパルスによってインク吐出で
行ってよいし、或いは上記の如くにノズルを配したキャ
リアジェット方式(ブラック濃度の制御)によってもよ
い。また、ノズル58と59を併用する場合は、両インク室
間の仕切り壁55aを除去して両インク室を連通させてよ
い。
【0164】そして、電歪素子52、53等が上記の変調信
号及び吐出信号によって駆動され、これによって、それ
ぞれプリント情報の階調に応じた濃度のインク液滴の吐
出が行われる。なお、この液滴の吐出は、例えばシアン
C、マゼンタM、イエローYは24個ずつ、ブラックKは
48又は64個の液滴の吐出が各色ごとは同時に、各色間は
所定のタイミングで行われる。
【0165】更に、これらのプリントヘッド16C、16
M、16Y、16Kの駆動に際しては、これらの各プリント
ヘッドごとに、それぞれのノズル数に対応した個数のD
/A変換部13〜プリントヘッド変調部37及びドライブ部
15、38とプリントヘッド吐出部36が、例えば図3又は図
4に示したように設けられる。但し、ブラック用16Kに
ついては、2値パルス駆動の場合、後述する図11に示す
回路構成を採用してよい。
【0166】図9は、上記したプリントヘッドを組み込
んだシリアル型のプリンタ装置の一例を示すものであ
る。このプリンタ装置によれば、記録紙180 はプラテン
91の週面に巻き付けられて移送される。このプラテン91
は、紙送りモータ92(図4のモータ21の一部)によっ
て、プーリ93、94、ベルト95を介して回転駆動される。
【0167】そして、上記の電歪素子52、53等を含むプ
リントヘッド16は、ヘッドキャリッジ81上に設けられ、
このヘッドキャリッジ81はプラテン91の周面に平行に設
けられた送りねじ96に取り付けられる。この送りねじ96
がヘッド送りモータ(図示せず)で駆動されることによ
って、ヘッドキャリッジ81上のプリントヘッド16がプラ
テン91の周面に平行に移動される。
【0168】そして、例えばホストコンピュータ150(図
4参照)からのプリント情報97に従って伝送用のプリン
ト情報、コマンド情報、画素トリガ信号等の伝送信号
と、ヘッド送り制御、紙送り制御等の制御信号98が形成
される。更に、これらの伝送信号がヘッドキャリッジ81
に伝送されると共に、各制御信号がヘッド送りモータ
(図示せず)、紙送りモータ92等に供給されて、プリン
ト情報97に従ったプリントと、記録紙180 の移送及びプ
リントヘッド16の走査が行われる。
【0169】更に、この装置において、ヘッドキャリッ
ジ81には舌片99が設けられ、この舌片99がヘッドキャリ
ッジ81の移動経路に設けられた位置検出センサ87によっ
て検出される。これによって、例えば通常の走査が行わ
れていないときに、ヘッドキャリッジ81が例えば破線で
示すホームポジションに戻っていることの検出等が行わ
れる。
【0170】図10は、ライン型のプリンタ装置の一例を
示すものである。この場合は、図9に示したシリアル型
のプリンタヘッド16及び送りねじ96の代わりに、多数の
ヘッドがライン状に配置されたラインヘッド16Aがプラ
テン91の軸方向に固定して設けられている。
【0171】この例では、ラインヘッド16Aは、図8に
示した如きヘッドがプラテン91の軸方向に多数組配設さ
れたものであるため、ここではその詳細な構造は説明し
ないが、図3及び図4に示した回路によって、1ライン
分の印字が同時に行われ、印字が完了するとプラテン91
を1ライン分だけ回転させて次の印字を行う(図中の16
0 は紙圧着ローラであるが、これは図9のプリンタにも
使用可能)。この場合、全ラインを一括して印字した
り、複数ブロックに分割したり、1ラインおきに交互に
印字する方法も考えられる。その他は、図9で述べたと
同様である。
【0172】図11〜図14は、本発明の他の実施例を示す
ものである。
【0173】この実施例は、上述したキャリアジェット
方式ではない通常タイプのプリンタに関するものである
が、まず、図11〜図13についてプリントヘッド16Bの構
成を説明する。このプリントヘッドは、電歪(誘電体に
電場をかけたときに、変形や歪を生ずる現象)を起こす
電歪振動子としてのピエゾ素子52を使用し、例えば、い
わゆるインクドット径変調方法によって所望の中間調プ
リントが得られると共に、後述するようにヘッドの温度
変化及び周囲の環境温度変化によるインク液滴吐出特性
の変化を補正することを可能にしたものである。
【0174】上記インクドット径変調方法とは、プリン
トヘッド16Bの電歪振動子52に印加する電圧レベルを印
画すべき画像のデータに対応して変化させ、その印加電
圧レベルの変化に対応して電歪振動子52を変位させ、ノ
ズル161 から吐出するインク液滴の体積を電歪振動子52
の変位に対応して変化させることによって、ノズル161
から吐出したインク液滴が記録紙180 上に付着して形成
されるインクドットの直径を変化させ、これによって所
望の中間調プリントを得るようにする方法である。
【0175】このように、吐出するインク液滴の体積を
定量する上記インクドット径変調方法を使用したプリン
トヘッド16Bは、印加電圧に応じて図13の矢印SD方向
に変位する圧電セラミックスからなる平板型の電歪振動
子52と、この電歪振動子52と接着される振動板63と、こ
れらの電歪振動子52及び振動板63を備えたノズルユニッ
ト164 と、ノズルユニット164 の内部において基板55と
振動板63との間に設けられたインク室170 と、インク室
170 に充填されるインク70が供給されるインク供給口 1
70aと、インク70をインク液滴167(図14参照)として吐
出するためのノズル161 及びオリフィス部169 と、電歪
振動子52に印加する電圧を発生する電圧発生器(図示せ
ず)とを有している。
【0176】そして、印画すべき画像のデータに応じた
電圧を電圧発生器から発生して電歪振動子52に印加する
ことにより生ずるインク室170 内の体積変化によって、
インク液滴167 を吐出させるように構成されている。
【0177】プリントヘッド16Bは、図12及び図13に示
したような構成のものを多色のマルチノズル(イエロー
用16B(Y)、マゼンタ用16B(M)、シアン用16B
(C)、ブラック用16B(K))を有するものに適用し
ている。即ち、このマルチノズル構成のプリントヘッド
16Bは、図14に示すように、例えば多数個のノズルに対
応して電歪振動子52がそれぞれ設けられ、これらの電歪
振動子52にそれぞれ電圧が印加されることによって各ノ
ズル161 からインク液滴167 が吐出されるようになって
いる。
【0178】なお、電歪振動子52の材質としては、既述
した実施例でも同様であるが、チタン酸ジルコン酸鉛
(PbTiO3 ・PbZrO3 )や、チタン酸バリウム
(BaTiO3 )からなる圧電セラミック、水晶、ロッ
シェル塩等がある。また、本発明は、図14に示したよう
な多色でそれぞれがマルチノズルを有するプリントヘッ
ドのみならず、単色単一ノズルを持つインクジェットプ
リントヘッド、多色でそれぞれ単一ノズルを持つインク
ジェットプリントヘッド、単色マルチノズルを持つイン
クジェットプリントヘッド等のいずれにも適用すること
ができる。
【0179】更に、本例のプリントヘッドは、記録紙上
に形成されるインクドット径が、十分に電歪振動子52に
印加する電圧レベルの変化に対応しない場合(即ち、上
記のインクドット径変調方式のみでは十分な階調再現が
できない場合)には、そのインクドット径変調方法に加
えて、このインクドット径変調方法で実現できる階調の
階数に対応した階調再現インクドット配置方法を組み合
わせることにより、十分な階調再現を実現可能とするこ
とができる。
【0180】これを具体的に説明すると、例えば、イン
クドット径変調方法によって安定な階調再現が可能な範
囲ではインクドット径変調方法を用いるが、インクドッ
ト径変調方法では階調再現が不安定となる範囲ではイン
クドットの配置による階調再現方法を利用する。即ち、
安定な階調再現が不可能な場合の例として、例えば画像
中のハイライト部分では、インクドットの配置による階
調再現方法を用い、これらハイライト部分を除く中間か
らシャドウ部では本来のインクドット径変調方法を用い
るようにする。
【0181】或いは、全階調にわたって上記インクドッ
ト径変調方法とこの変調方法で得られる階調数に対応し
た階調再現方法とを併せて使用することも可能である。
この階調再現方法としては、例えば、独立決定法である
ランダム・ディザ法と組織的ディザ法が挙げられ、条件
付き決定法である平均誤差最小法と誤差拡散法と平均値
制限法とダイナミック閾値法等が挙げられる。
【0182】ところで、上記したようなマルチノズル構
成のプリントヘッドにおいては、プリントヘッドの温度
変化や周囲の環境温度変化によって、インク液滴の吐出
特性が変化し、設計上得られるはずの解像度よりも実質
的な解像度が低下したり、また印画階調レベルも不正確
となり、均一な品質の印画ができなくなることがある。
更に、温度変化によって、個々のノズルのインク液滴の
吐出特性にバラツキが発生することもある。
【0183】このため、本例においては、プリントヘッ
ド16Bのオリフィス部169 の近くに例えばサーミスタ等
の温度センサ40(図11参照)を設け、この温度センサに
よりプリントヘッド16Bの温度変化や周囲の環境温度変
化を検出し、この検出した温度変化の値に基づいて、温
度変化がプリントヘッドの吐出特性に影響を与えて記録
紙上のインクドット径に与える影響を打ち消すように、
当初の印画すべき画像データの内容を変更するようにし
ている。このように、本例では、温度変化の検出値に基
づいて当初の画像データの内容を変更することにより、
使用中のプリントヘッドの温度変化及び環境温度変化に
よる影響を受けない中間調のプリントを実現可能として
いる。
【0184】なお、プリントヘッドの温度とその周囲の
環境温度の変化の双方を検出する場合に限らず、これら
の要因の何れか一方のみを検出し、それに基づいた画像
データの変更を行うようにしても、温度変化の影響を受
けにくい中間調のプリントが可能となる。
【0185】次に、本例のプリンタ装置の構成及び動作
を図11について説明する。なお、この構成及び動作は、
図3に示したものに比べて、キャリアジェット方式では
なく、希釈液吐出部とそのドライブ部を設けずに予め調
整された濃度のインクのみを吐出する点が異なり、他は
同様であるから、同様の部分については説明を省略す
る。
【0186】即ち、図3で述べたと同様に、RAM7か
らの印画データ信号はD/A変換部13で実際の印画のた
めに使用する電圧レベルのヘッド駆動信号に変換され、
このヘッド駆動信号はヘッドドライブ部15に送られる。
【0187】ヘッドドライブ部15では、上記ヘッド駆動
信号がプリントヘッド16の電歪振動子を変位させるのに
必要な電力にまで増幅され、この増幅した信号をヘッド
印加信号としてプリントヘッド16Bの電歪振動子へ送
る。
【0188】プリントヘッド16Bでは、上記ヘッド印加
信号の電圧レベルに従って図13に示した電歪振動子52が
矢印SDに示す方向に変位し、振動板63を押し曲げる。
これにより、インク室170 内の体積が減少し、このイン
ク室内に充満されているインク70が押圧され、ノズル16
1 を介してオリフィス部169 から吐出し、インク液滴16
7 として記録紙上にまで飛翔する。
【0189】インク液滴167 は、記録紙上で、あるドッ
トサイズを持ったインクドットを形成する。このインク
ドットは、電歪振動子52に印加する電圧レベルに対応し
たサイズになる。
【0190】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が
可能である。
【0191】例えば、上述したUCR用データを含む画
像データの種類は様々であってよいし、その出力方法や
タイミングについても上述したものに限定されることは
ない。画像データの中でUCR用のドットのデータにつ
いては、そのタイミング、個数等は種々変更してよい。
ディザ法も上述したものに限定されない。
【0192】また、上述の例においては、インクを定量
して希釈液を吐出する、いわゆるキャリアジェットの構
成としたが、これに代えて、希釈液を定量してインクを
吐出する、いわゆるインクジェットの構成としても、上
述の例と同様の効果を実現できる。後者の場合、シャド
ウ部に関しては十分なインク濃度を得ることができ、有
利である。また、黒(K)は希釈液と混合させず、単独
で吐出させてもよい。
【0193】また、上述の各例は、画像を記録する場合
に好適であるが、文字のみを印字するときには必ずしも
中間調を得る必要はないので、上述したインクの吐出を
2値制御で行ってよい。
【0194】上述したインクや希釈液はそれぞれ、公知
のものから選択して使用すればよい。また、マゼンタ、
イエロー、シアンの3色として(更には、黒を加えた)
フルカラーの記録を行うほか、2色印刷、1色印刷のモ
ノカラー又は白黒の記録を行うことができる。
【0195】また、記録材を液滴化するエネルギーとし
ては、電歪素子による以外にも、抵抗加熱等の加熱方式
(図17参照)や、レーザ光等の加熱ビームの照射によっ
てもよい。加熱の効率を良くするには、記録材に導電性
物質を添加することができる。なお、加熱に発熱体とレ
ーザを組み合わせることもできるが、この場合は、各加
熱手段のパワーを下げても良好に記録を行うことができ
る。
【0196】また、ヘッドの構造や形状は、前記以外の
適宜の構造、形状としてよく、ヘッドを構成する各部分
の材料には、公知の材料を選択的に使用すればよい。
【0197】本発明が適用可能なインクジェットプリン
タには、方式の違いにより、 (I)オンデマンド型インクジェットプリンタ (II)コンティニュアス型インクジェットプリンタ があり、また機能面では、 (1)二値プリンタ (2)中間調印画プリンタがあり、更に中間調印画プリ
ンタには、(a)ドット径変調プリンタ(b)濃度変調
プリンタ(二液混合型のいわゆるキャリアジェット方式
を含む。)がある。
【0198】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、所定値以上
の記録データ総量で複数の記録データを出力して黒色画
素を順次形成する領域において、特定画素については、
前記複数の記録データを出力しないと同時に、前記複数
の記録データのうち最低レベル又は平均レベル或いはそ
れ以下のレベルに相当する黒色用の記録データを出力し
て黒色画素を形成しているので、黒色画素の形成に要す
る記録材総量を特定画素については黒色用の記録材の量
だけに抑え、他の色分解成分の記録材は供しないように
できる。従って、その特定画素の周囲を含めた一定の領
域の記録材総量が、使用する記録紙の特性等で決定さ
れ、画質が悪化しはじめる記録データに対応する記録材
量(所定値)未満に抑えることができる。
【0199】従って、1つの画素(黒色ドット)を形成
したとき、その記録材量が上記した所定値未満に抑えら
れ、記録紙等の被記録体上に付着し、この直後は特定画
素位置に続いてコンポジットブラックの如き通常の黒色
ドットを形成しても、各色及び同色ドットの記録材は何
ら相互に干渉し合うことがない。
【0200】即ち、一方の黒色用の記録材が付着後に、
特定画素分を置いて他方の黒色用の記録材が付着するこ
とになるので、その周囲を含めて記録材総量が減少し、
例えば、記録紙上のインクがにじんだり、インク同士が
混合することを最小限に抑制でき、色再現特性が向上し
て高画質が得られ、また解像度が向上するという顕著な
作用効果が得られる。
【0201】また、被記録体として、例えば専用記録紙
を使用しない場合(即ち、コストの安い上質紙や再生紙
などの汎用記録紙を使用するとき)や、印画若しくは印
字時の環境温度が低い場合、高速のヘッドスキャンを行
う場合などでも、上記した顕著な作用効果が得られる。
従って、コストの安い記録紙を使用でき、印字スピード
も上げることができ、コスト面で有利となる上に、使用
面、操作面でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくインクジェットプリンタのプリ
ントヘッドへのUCR用のデータのレベルを示す図であ
る。
【図2】同ヘッドによる印画時の多階調誤差拡散法を説
明するための図である。
【図3】本発明に基づくインクジェットプリンタ装置を
動作させるための回路のブロック図である。
【図4】同回路の更に詳細なブロック図である。
【図5】本発明に基づくインクジェットプリンタのプリ
ントヘッドの一例の断面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】同プリントヘッドを動作させる波形図である。
【図8】同プリントヘッドの具体例の概略斜視図であ
る。
【図9】同プリントヘッドを組み込んだシリアル型のイ
ンクジェットプリンタ装置の概略斜視図である。
【図10】ライン型のインクジェットプリンタ装置の概略
斜視図である。
【図11】本発明に基づく他のインクジェットプリンタ装
置を動作させるための回路のブロック図である。
【図12】同プリンタ装置に用いるプリントヘッドの断面
図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】同プリントヘッドの具体例の概略斜視図であ
る。
【図15】従来の熱転写方式のプリンタ装置の概略一部断
面正面図である。
【図16】従来の各種インクジェットプリンタのプリント
ヘッドによるインク吐出状況を示す概略断面図である。
【図17】従来の他のインクジェットプリンタのプリント
ヘッドによるインク吐出を説明するための概略断面図で
ある。
【図18】従来のインクジェットプリンタのプリントヘッ
ドのスキャンで印画する状況を説明するための概略平面
図である。
【図19】スケルトンブラック法によるUCRを説明する
ための図である。
【符号の説明】
4…データ入出力インターフェース(I/F)回路、5…
CPU、6…ROM、7…RAM、13…D/A変換部、
15、38…ドライブ部、16、16A、16B…プリントヘッ
ド、17、87…ヘッド位置検出センサ、18、18A…タイミ
ング制御部、19…モータ制御部、20…モータドライブ
部、21…紙送りモータ及びヘッド送りモータ、36…プリ
ントヘッド吐出部、37…プリントヘッド変調部、40…温
度センサ、41…センサインターフェース(I/F)、5
0、51、58、59、161 …ノズル、52、53…電歪素子、5
7、167 …液滴、60、61…キャビティ、63…振動板、70
…インク、71…希釈液、82…コマンド情報とプリント情
報の合成回路、83…エラー検出データの付加回路、84…
コマンド情報とプリント情報の分離回路、85…設定コマ
ンドの保持手段、150 …ホストコンピュータ、152 …イ
ンターフェース(I/F)回路 180 …記録紙、 181…画像データ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒色成分を持つ複数の色分解成分にそれ
    ぞれ対応する複数の記録データを出力して黒色画素を順
    次形成する工程を有する記録方法において、記録データ
    総量が所定値以上を呈する場合に、特定画素について
    は、前記複数の記録データを出力しないと同時に、前記
    複数の記録データのうち最低レベル又は平均レベル或い
    はそれ以下のレベルに相当する黒色用の記録データを出
    力して黒色画素を形成することを特徴とする記録方法。
  2. 【請求項2】 シアン色、マゼンタ色、イエロー色及び
    ブラック色にそれぞれ対応した各記録データの総量が所
    定値以上で連続した拡がりをもっているとき、一定間隔
    毎に存在する特定画素については黒色用の記録データの
    みを出力する、請求項1に記載した記録方法。
  3. 【請求項3】 黒色用の記録データによる黒色画素を下
    色除去機能用として形成する、請求項2に記載した記録
    方法。
  4. 【請求項4】 各記録データを出力しない特定画素につ
    いてはその記録データを多階調ディザ法によってその周
    囲の画素に分配する、請求項2に記載した記録方法。
  5. 【請求項5】 インクジェット方式によって、インク液
    滴をドット状に被記録体上に付着させて記録を行うに際
    し、前記被記録体上に付着したインクのにじみや隣接し
    たインク同士の混合が生じはじめる最低値以上のインク
    総量で各記録データを出力して黒色画素を順次形成する
    領域において、一定間隔毎に存在する特定画素について
    は前記複数の記録データに対応するインク液滴を吐出せ
    ず、黒色用の記録データに対応した黒色インク液滴を吐
    出する、請求項2に記載した記録方法。
  6. 【請求項6】 定量したインクとインク希釈液とを混合
    し、記録液滴としてドット状に被記録体上に付着させて
    記録を行う、請求項5に記載した記録方法。
  7. 【請求項7】 黒色成分を持つ複数の色分解成分にそれ
    ぞれ対応する複数の記録データを出力して黒色画素を順
    次形成するようにした記録において、記録データ総量が
    所定値以上を呈した場合に、特定画素については、前記
    複数の記録データを出力しないと同時に、前記複数の記
    録データのうち最低レベル又は平均レベル或いはそれ以
    下のレベルに相当する黒色用の記録データを出力して黒
    色画素を形成するためのデータ入力部と;この黒色用の
    記録データを含む各種記録データを記録ヘッド駆動信号
    に変換する信号変換部と;この変換信号によって記録ヘ
    ッドを変調して駆動する駆動部と;記録ヘッドと;を有
    する記録装置。
  8. 【請求項8】 シアン色、マゼンタ色、イエロー色及び
    ブラック色にそれぞれ対応した各記録データの総量が所
    定値以上で連続した拡がりをもっているとき、一定間隔
    毎に存在する特定画素については黒色用の記録データの
    みが出力される、請求項7に記載した記録装置。
  9. 【請求項9】 黒色用の記録データによる黒色画素が下
    色除去機能用として形成される、請求項8に記載した記
    録装置。
  10. 【請求項10】 各記録データを出力しない特定画素につ
    いてはその記録データが多階調ディザ法によってその周
    囲の画素に分配される、請求項8に記載した記録装置。
  11. 【請求項11】 インクジェット方式によって、インク液
    滴をドット状に被記録体上に付着させて記録を行うに際
    し、前記被記録体上に付着したインクのにじみや隣接し
    たインク同士の混合が生じはじめる最低値以上のインク
    総量で各記録データを出力して黒色画素を順次形成する
    領域において、一定間隔毎に存在する特定画素について
    は前記複数の記録データに対応するインク液滴が吐出さ
    れず、黒色用の記録データに対応した黒色インク液滴が
    吐出される、請求項8に記載した記録装置。
  12. 【請求項12】 定量したインクとインク希釈液とを混合
    し、記録液滴としてドット状に被記録体上に付着させて
    記録が行われる、請求項11に記載した記録装置。
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