JPH09289703A - 電動車両の動力・給電装置 - Google Patents

電動車両の動力・給電装置

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JPH09289703A
JPH09289703A JP8134091A JP13409196A JPH09289703A JP H09289703 A JPH09289703 A JP H09289703A JP 8134091 A JP8134091 A JP 8134091A JP 13409196 A JP13409196 A JP 13409196A JP H09289703 A JPH09289703 A JP H09289703A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電動車両の減速・制動及び降坂抑速の、回生
ブレーキとその電力処理機構の改善により、消費電力を
低減する。 【構成】 車両内に蓄電器を配し、架線からの受電回路
にダイオードと、チョッパー及びその周りにダイオード
と接触器をブリッジ形に配し、架線からの受電電力を充
電且つその蓄電電力とともに電動機回路に給電し、抑速
・制動の全回生電力を充電回収して加速・力行に再利用
し、架線に蓄電・回生電力の逆流を阻止する。また、長
距離の急勾配線区の架線回路に蓄電器を配し、降坂回生
電力の充電回収及び登坂力行に放電再利用と、対向車両
間の電力授受の緩衝充放電をする。なお、直流無整流子
電動機の直・並列及び電機子巻線のY・Δ切り替えの併
用、倍電圧変換及び界磁制御で、最高速度までの全負荷
電動域と微速までの回生域を得て、電力回収率を向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、電動客車や電気機関車の如き電
動機で走行する車両(以下、電動車両と呼ぶ)の動力装
置に関するものである
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道の車両の運転は、加速・力
行を原動機で、減速・制動は各車輪の摩擦ブレーキ(以
下車輪ブルーキと呼ぶ)で行なっており、運行時間効率
を向上するため、走行速度を上げるとともに、加速及び
制動を速やかに行なうよう、車体の軽量化と原動機の容
量及び車輪ブレーキの性能が増強されており、また、電
動車両の性能が最も良いので、幹線等主要線区の電化が
施されてきた。
【0003】電動車両は、電動機の発電機能を利用した
発電ブレーキで減速・制動及び降坂抑速が行なわれ、ま
た、最近、その発電電力を架線・変電所に返流する回生
ブレーキも使用されるに至っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鉄道の車両は、走行抵
抗は小さいが慣性抵抗が大きいので、加速に大半の動力
を消費し、その動力で得た車両の運動のエネルギを、減
速・制動では、車輪ブレーキの摩擦や発電ブレーキの制
御抵抗器で熱に変えて放散しており、その慣性抵抗によ
るエネルギー損失は、後述の表1に示すように、各駅停
車の運転では特に大きく、制動動力率50〜65%の如
く、また、登坂力行にも大きな動力を消費し、その動力
で得た車両の位置のエネルギーを、降坂抑速でも同様
に、車輪ブレーキや発電ブレーキで熱放散しており、そ
のエネルギー損失は、同様に表1に示すように、勾配線
区(10〜35‰)で抑速動力率35〜84%の如く、
車両運転の消費動力の大半に及ぶ。
【0005】回生ブレーキは、電動車両に使用されてい
る直巻電動機の界磁制御が難しく、特に直流電気鉄道で
は、激しい架線電圧変動や変電所の逆電力処理の問題も
あり、エネルギー回収効率が低く全面的な利用に至って
いない。
【0006】なお、直流電気鉄道では、加速時の過負荷
電流による電圧降下が(回生ブレーキでは減速時の過負
荷電流による電圧上昇も)大きく定格電圧の20〜40
%に及び、それが電力損失となるは勿論、その電圧変動
の運転特性や機器の作動への悪影響も大きく、その低減
のためダブルカテナリー、き電線の増設や変電所間隔の
短縮等が必要になり、設備量の増大及び複雑化を招いて
いる。
【0007】最近、電力需給の逼迫や発電所立地の制約
等で国内は勿論、主なエネルギー源を成す石油資源の枯
渇や排気ガスによる環境汚染及び原子力燃料使用後の処
理等、地球規模の問題になり、電力消費の低減が切実に
求められ、電力需要に車両分野もかなりの割合を占めて
いる。
【0008】本発明は、上記の問題に鑑み、電動車両の
主に減速・制動及び降坂抑速における回生ブレーキとそ
の電力処理の改善で以て、動力・給電装置の総合効率を
向上し、電力消費量の低減を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の電動車両の動力・給電装置においては、
車両内及び架線に蓄電装置を配して、発進・加速の過負
荷には主に蓄電電力を当て、加速終期及び力行の定常負
荷は主に架線電力で受持ち、抑速・減速・制動の回生ブ
レーキでは、全回生電力を蓄電装置に充電・回収し、次
の発進・加速・力行に再利用するような機構を提供す
る。
【0010】上記の機構を実現するために、車両内の動
力単位毎に蓄電装置を配し、電動機制御と兼用のチョッ
パー及びダイオード並びに接触器の如きスイッチング素
子(以下、接触器と呼ぶ)を介して、架線から集電の受
電回路(以下、受電回路と呼ぶ)及び電動機主回路に接
続する。
【0011】ダイオードは、受電回路に逆流阻止用とし
て、また、チョッパーの電源側に放電用、負荷側に充電
用として電力をチョッパーの正方向に整流するようそれ
ぞれ配し、接触器は、電動機主回路と、チョッパーの負
荷側及び電源側並びに逆流阻止用ダイオードの電源側と
の間にそれぞれ挿入し、架線電圧に見合う耐電圧と、電
動・回生の電力に見合う電流容量を有するものとする。
【0012】蓄電装置は、架線電圧に見合う耐電圧の大
容量蓄電器、リアクトル及び回路遮断器で構成し、電気
機器に許容の電圧変動範囲での充・放電電気量(A−
s)が、車両の加速・力行・惰行・減速の運転サイクル
において、消費及び回収の電力に充分対応できる静電容
量(F)及び電流容量のものとする。
【0013】なお、長距離の急勾配線区は、架線にも上
記と同様な構成の蓄電装置を、各給電区間に適当な間隔
に配して蓄電線区とし、登坂・降坂の車両運行サイクル
において、上述の車両内に設置の蓄電装置と共働で、そ
の設置間隔毎の電力の消費及び回収に充分対応できる静
電容量(F)及び電流容量のものとし、蓄電器の接地側
に抑流抵抗器及びその短絡用接触器を配して、回路遮断
器とともに変電所と連動にし、また、蓄電線区の両端に
は、隣接の非蓄電線区との集電器橋絡防止のため無電圧
架線を設ける。
【0014】電動機は、回転界磁形三相同期電動機に分
配器を付し、サイリスタ等の半導体制御素子を使用の逆
・順変換回路(インバータ・コンバータ)を組み合わせ
た、発電可能な直流無整流子電動機とし、界磁制御及び
電機子電流制御並びに電機子巻線のY・Δ切り替え及び
電動機2台の直・並列切り替え回路を配し、Y・直列
(1速)、Y・並列(2速)及びΔ・並列(3速)の変
速段を形成する。
【0015】電動客車では、動力車1両毎の電動機2台
または4台を、上記の蓄電装置1組と組み合わせて1動
力単位を構成するを標準とし、電動機2台毎に直・並列
切り替え、その2組を永久並列あるいは更に直・並列切
り替えまたは倍電圧変換回路を配する。
【0016】電気機関車等で電動機の単機容量が大きい
場合は、各電動機に2組の電機子巻線を施して直・並列
切り替え、あるいは、巻線間に30度の位相差を与え、
逆・順変換回路の直流側で直・並列切り替えするのがよ
く、動力単位の分割は、電動機毎(車軸毎)や台車毎
(2軸・3軸毎)等、蓄電器、サイリスタ、ダイオード
等の機器や回路素子の容量、信頼性及び市場性と、故障
時(特に蓄電器)の安全性を考慮して決めるのがよい。
【0017】なお、動力単位毎の複数(2台・3台)の
電動機は永久並列を標準とし、必要に応じ回生用倍電圧
変換あるいは更に直・並列切り替え回路を配することが
できる。
【0018】界磁の励磁、制御装置、補機、照明、暖・
冷房等の低圧電源用として、逆変換回路(インバータ)
を配し、受電回路のダイオードの負荷側に接続する。
【0019】チョッパー及び逆・順変換回路にそれぞれ
負荷電流検出器、電機子回路に電圧検出器、車軸に走行
速度検出用タコゼネレータ、その他、主幹制御器、制動
空気弁及び関連制御装置を配する。
【0020】
【作用】上記のように構成した動力装置は、下記のよう
に働くが、主に電動機4台と蓄電装置で構成の動力単位
について説明する。
【0021】[蓄電器補充電] 停車中または惰行中に
おいて、架線が無負荷または軽負荷で受電電圧が高い時
に蓄電器に充電し、近接車両の発進・加速等の重負荷で
電圧降下した時は、受電回路のダイオードで逆流を阻止
するので、蓄電電圧は架線の定格電圧以上に保たれ、ま
た、近接車両の重負荷遮断等で架線電圧が急昇した時
は、リアクトルで蓄電器の瞬時突入電流を抑えチョッパ
ーで限流する。
【0022】[発進・加速] 運転制御器を力行ノッチ
に入れると、まずY・直列にて逆・順変換器のインバー
タが分配器の位相に合わせて作動し、チョッパーの電流
制御で電動機が始動、Y・並列でインバータの電流制御
に移り過負荷(例えば200%電流)で車両を加速する
が、架線の抵抗に比べ蓄電器回路の抵抗が著しく小さい
ので、主に蓄電電力が消費され架線の負荷は軽く、変電
所からの距離があっても架線の電圧降下は小さい。
【0023】[力行] 上記の加速中の蓄電電力消費
(放電)で蓄電電圧が低下しながら、架線からの受電電
力に緩やかに移行し、定常走行に至り電動機が軽負荷に
なって、主に受電電力で力行する。
【0024】[惰行] 運転制御器を中立ノッチに戻す
と、逆・順変換器のインバータが遮断して車両は惰力走
行になり、架線からの受電電力は、再びチョッパーを介
して蓄電器の補充電に替わる。
【0025】[抑速] 降坂において、運転制御器を抑
速ノッチに入れると、逆・順変換器のコンバータが作動
して電動機が回生ブレーキになり、そのトルクの立ち上
がり域を抑速ノッチに入れた時の走行速度に合わせるよ
う界磁制御し、降坂負荷に見合う回生電力で蓄電器に充
電するが、受電回路のダイオードで阻止され架線側に逆
流しない。
【0026】[減速] 制動空気弁の操作により、その
制動空気圧に見合う回生ブレーキトルクで、変速段を自
動的に下げながら車両を減速し、回生電力を蓄電器に充
電するが、上記の降坂抑速と同様に架線側に逆流しない
ので、蓄電電圧は架線電圧より高くなる。
【0027】[停車] 電動機の回生域下限まで回生ブ
レーキで減速した上、上記の制動空気圧で車輪ブレーキ
が作動して車両を停止させる。
【0028】[次サイクル以後の運転] 次の運転サイ
クル以後の発進・加速及び力行では、蓄電電圧が架線電
圧より高いので、まず蓄電器の放電で賄い、蓄電電圧が
架線電圧に戻ってから、緩やかに受電電力に移り替わ
る。
【0029】[電動機回路の作動] 2台の電動機は、
Y・直列(1速)、Y・並列(2速)及びΔ・並列(3
速)の3段変速で作動し、主幹制御器の力行1、2、3
及び抑速3、2、1ノッチにそれぞれ対応し、回生域下
限は、界磁全励磁の電動域上限の1/2√3(≒1/
3.5)、界磁半励磁の定出力電動域上限の1/4√3
(≒1/7)となり、最高速度の約14%まで回生ブレ
ーキが効くことになる。
【0030】[4台直列] なお、2台宛2組の電動機
を更に直・並列切り替えすれば、4台のY・直列で微速
発進でき、更に上記の半速(約7%)まで回生ブレーキ
が効くことになり、また、それを倍電圧変換回路に代え
てもよい。
【0031】[過負荷特性] 逆・順変換回路の定格容
量は、電機子Δ接続の電動機定格に合わせて設計される
ので、Y接続では√3(=1.732)倍の負荷が可能
であり、加速・減速に適用の過負荷定格の200%電流
では、界磁の過励磁(125%)もあってY・直列及び
Y・並列では定格トルクの433%、Δ・並列で250
%の電動・回生トルクを効率良く発生する。
【0032】[チョッパー定格] チョッパーは、蓄電
器の初充電では負荷のゼロ電圧から、電動機のY・直列
での始動では負荷のゼロ起電力・周波数から作動して効
率良く電流制御し、Y・並列及びΔ・並列での電動では
半電圧から全電圧までの、全変速段での回生ブレーキで
は倍電圧から全電圧までの、逆・順変換回路の制御素子
の電流制御に替え、また、受電電力での蓄電器の補充電
は軽負荷のため、動力単位容量の半分の定格で済む。
【0033】[過電圧特性] 回生ブレーキにおいて、
全変速段で界磁過励磁とコンバータの限流作動による定
トルク制御では、電機子がY・直列で200%、Y・並
列で173%、Δ・並列で200%の過電圧をそれぞれ
作動速度域上限で発生するが、逆・順変換回路のコンバ
ータ及びリアクトルの限流作動及び平滑作用で定格電圧
に変換されるので、直流側にはそのような過電圧は掛か
らない。
【0034】[過負荷・過電圧耐力] 電動機は無整流
子のため、一般の直流電動機の整流子火花に伴う制約が
ないので、上述([過負荷特性]、[過電圧特性])の
ように苛酷な使用に耐え、特に回生ブレーキでは、上記
のそれぞれ作動速度域上限で銅損増加なく更に173〜
200%の回生出力が得られ、また、電源電圧の変動
は、他励の界磁及びトルクに影響せず、回転数の変化に
留まる。
【0035】[制御性] 電動機の回転界磁は分巻であ
るが、励磁は小電力で済み、励磁制御回路で過励磁や減
励磁は勿論、負荷電流に見合う直巻分を重ね合わせ、電
動では、直巻〜分巻間の和動複巻特性を無段階で調整で
き、回生ブレーキでは、全分巻に直巻分を重ねた差動複
巻特性の柔らかい抑速トルクの立ち上がり速度域を各変
速段の回生域下限から無段階で調整でき、その直巻分を
ゼロにして全分巻で強力な減速トルクを得る等、界磁制
御は容易且つ多様にできる。
【0036】[電機子2巻線]2組の電機子巻線の場合
は、1台の電動機でY・直列、Y・並列及びΔ・並列の
3段変速が上述の電動機2台と同様にでき、巻線間に3
0度の位相差を与えた場合は、トルク及び整流波形が恰
も12相交流同期電動機を使用したと同様の脈動に低減
されるので始動が円滑になり、車輪の粘着を良くする。
【0037】[再粘着制御] なお、各電動機の主回路
に配した電圧検出器により、電機子電圧の不同急昇で空
転を検出して空転電動機の電機子電流を垂下させ、トル
クを減じて車輪を再粘着させる。
【0038】[電圧変動] 加速・減速の過負荷電流は
蓄電器で処理され且つ蓄電電圧は架線の無負荷電圧を中
央値として上下に且つ小さく変動するので、電動機は勿
論、車両内の全電気機器に常に定格電圧を供給するとと
もに、架線負荷を低減且つ平準化し電圧降下及び電力損
失を低減する。
【0039】[蓄電線区] 急勾配の蓄電線区では、架
線に接続の蓄電装置が主になって、車両内の蓄電装置と
共働し、登坂力行の電動電力の大半と降坂抑速の全回生
電力を処理し、また、対向車両あれば相互間の蓄電装置
の充・放電を伴って電力の授受を円滑に行なうので、変
電所の負荷を低減且つ平準化して架線の電圧降下を低減
し、また、変電所の整流器で回生電力が逆流しないで架
線電圧を上げるため、変動の中央値が無負荷電圧に近く
なる。
【0040】[非蓄電線区との区分点] なお、蓄電線
区に進入する時、無電圧架線通過で隣接架線との集電器
橋絡による非蓄電線区との横流突入を避けるとともに、
降坂方向に入るときは、車両内では、受電回路の逆流阻
止用ダイオードを接触器で自動的に側路して、余剰の回
生電力を架線に送出し、車両内蓄電器の過充電(過電
圧)を避けるとともに、受電回路のダイオードで車両内
蓄電器から架線への逆流を阻止して、対向車両の進入等
で架線電圧低下があっても蓄電電力を保持し、蓄電線区
から出る時には、無電圧架線通過で接触器の側路を自動
的に解除する。
【0041】[蓄電装置の保護] 上記の架線接続の蓄
電装置では、負荷急変時の電圧変動が小さいので、蓄電
器回路のリアクトル及び架線抵抗で突入電流をその耐力
内に抑制され、架線の地絡等の故障時には、変電所と連
動して故障回路の回路遮断器が作動し、その給電区間の
全蓄電装置を故障架線から切り離して架線を無電圧に
し、そのような故障で低落した蓄電電圧の回復で突入電
流がその耐力を超えるときは、各蓄電器回路の抵抗器で
抑流しながら補充電の上、接触器でその抵抗器を短絡し
て常状態に復旧する。
【0042】[架線故障保護] 架線地絡の際、蓄電装
置の抵抗及び設置間隔が変電所のインピーダンス及び給
電区間距離より格段に小さいため、故障電流は蓄電装置
に集中し変電所の整流器の突入負荷を緩和し、また、前
述([発進・加速]及び[力行])のように低減・平準
化された負荷電流との差異が大きいので、故障電流の判
別が容易で遮断が確実である。
【0043】
【実施例1】実施例1として、表2に示す電動客車の1
動力単位を挙げ、図面を参照して説明する。
【0044】図1において、架線1に接触の集電器2で
電力を受け、電線3を以て、隣結車両の各動力単位と並
列接続し、また、回路遮断器4、逆流阻止用ダイオード
5を以て受電回路を構成し、チョッパー6、リアクトル
7、電流検出器8及び接触器9、10、11を経て電動
機主回路に接続するが、Y・直列で始動・加速時に接触
器9「入」、10「切」にてチョッパー6を介し、Y・
並列及びΔ・並列で加速・力行時に9「切」、10
「入」となって直接、受電及び蓄電電力を電動機に供
給、回生ブレーキで再び9「入」、10「切」になって
蓄電回路に回生電力を返す。
【0045】チョッパー6は電流検出器8より負荷信号
を受けて蓄電装置の充・放電電流の限流作動並びに電動
機の始動・加速電流制御を行なう。
【0046】蓄電装置は、蓄電器12、断路器13、及
び回路遮断器14を以て構成し、接触器15を経て、ダ
イオード16、17で充・放電ともにチョッパー6を正
方向に通るよう接続する。
【0047】各電動機は、三相交流同期電動機18に分
配器19及び逆・順変換回路20を組み合わせて直流無
整流子電動機を形成し、電機子巻線18Aは、3相とも
両端子X1−X2、Y1−Y2、Z1−Z2を引出し、
電磁接触器21Y、21ΔでY・Δ接続切り替えして逆
・順変換回路20に接続、回転界磁18F(スリップリ
ングは図示省略)及びその軸に直結の分配器19は主制
御回路22に接続し、励磁電流を受け、位相信号を与え
る。
【0048】逆・順変換回路20は、サイリスタの如き
制御素子及び関連回路素子(図示省略)より成る3相ブ
リッジ形インバータ20I及びコンバータ20Cを持
ち、主制御回路22よりゲートパルスを受けて、界磁1
8Fの回転位相に合わせ各相の電機子電流を制御する。
【0049】各逆・順変換回路20の交流側に電圧検出
器23及び直流側に電流検出器24をそれぞれ配し、主
制御回路22に負荷信号を与え、電機子電流制御するよ
う逆・順変換回路20のゲートパルスを制御し、リアク
トル25及び蓄電器26でインバータ20I、コンバー
タ20Cの電流制御に伴う脈流を平滑にする。
【0050】なお、電磁接触器27S及び27Pを配
し、各逆・順変換回路20の直流側で無整流子電動機2
台の直・並列接続の切り替えを行なう。
【0051】主幹制御器、制動空気弁及び速度計(いず
れも図示省略)から各種の運転操作及び検出信号を受け
て中央制御回路28が作動し、チョッパー7及び主制御
回路22に運転制御信号を与える。
【0052】車両内の低圧電源用として、インバータ2
9を受電回路のダイオード5の負荷側に配し、所要の交
流電圧に変成して、界磁電源及び制動用空気圧縮機や冷
・暖房機器等の補機用3相220V及び照明用100V
を供給し、整流器および蓄電池より成る100V直流電
源回路30を配し、チョッパー7、主制御回路22及び
中央制御回路28の制御電源を、ドア開閉機、拡声・通
信、非常用に無停電電源を供給する。
【0053】図2において、上述の各電動機18のY・
Δ切り替え用接触器21Y、21Δ及び電動機2台毎の
直・並列切り替え用接触器27S、27Pに加えて、更
に電動機2組の直・並列切り替え用接触器31S、31
Pを付加し、4台Y・直列(微速)、2台Y・直並列
(1速)、4台Y・並列(2速)、4台Δ・並列(3
速)の変速段を得ることができる。
【0054】図3において、上記直・並列切り替え用接
触器31S、31Pの代わりに、あるいはそれに加え
て、倍電圧変換回路32を付加した場合を示し、Y・直
列の回生域限度までは、接触器9及びダイオード16を
経て蓄電器12に充電するが、その後は接触器9「切」
で変換回路32のダイオードブリッジの各直列2素子D
1−D2、D3−D4を経てリアクトル8、電流検出器
9及びダイオード16の回路に替わり、サイリスタの如
き制御素子の直列2素子S1「切」、S2「入」で蓄電
器C1にダイオードD1を通じて回生電圧Eに充電、続
いてS1「入」、S2「切」でS1の電動機側の回生電
圧Eと蓄電器C1の充電電圧Eが直列となって倍電圧2
Eとなり、ダイオードD1に阻止され、ダイオードD2
を経てリアクトル7に達し、チョッパー6及びダイオー
ドD4で阻止されて倍電圧2Eが保たれる。
【0055】また、制御素子の直列2素子S3、S4及
び蓄電器C2も上記の直列2素子S1、S2及び蓄電器
C1と同様且つ交互に適当な周波数で作動し、恰も両波
整流の如く連続した倍電圧2Eを得るが、制御素子S
2、S4の導通幅の調整で蓄電器C1、C2の充電電圧
Ecを変え、制御素子S1、S3の導通幅の調整でその
出力電圧Esを変え、リアクトル8に達する電圧Es+
Ecを蓄電電圧Vcに合わせ調整して回生電流Iを制御
し、回生電圧Eが蓄電電圧Vcの1/2に下がるまで、
回生電流がIが蓄電器12に向かって流れ、回生ブレー
キが作動する。
【0056】図4おいて、表1に示す実施例1の車両及
び電動機の各種の特性について示せば下記のようにな
る。
【0057】[電動機起電力] 斜線Y1、Y2及びΔ
は、電動機の各変速段Y・直列(1速)、Y・並列(2
速)及びΔ・並列(3速)で界磁の定格励磁(100%
Φ)の起電力Eを回転数Nについて示したもので、架線
無負荷電圧(=1500VDC)を示す水平線Voとの
交点y1、y2及びδを通る垂線Ny1、Ny2及びN
δが各変速段の定格励磁における無負荷回転数であり、
また、斜線Y1e、Y2e及びΔeは、過励磁(125
%Φ)の起電力Eを示したもので、水平線Voとの交点
y1e、y2e及びδeを通る垂線Ny1e、Ny2e
及びNδeが各変速段の過励磁における無負荷回転数で
あり、各交点から下・左が電動域、上・右が回生域であ
る。
【0058】[電動トルク] 電動機の各変速段におけ
る電動トルク特性曲線Tmy1、Tmy2及びTmδ
は、それぞれ過励磁・限流制御の定トルク域A、減励磁
・限流制御の定出力域B及び減励磁限度から和動複巻特
性の垂下トルク域Cを持ち、それぞれY・直列でTmy
1・A、Tmy1・B及びTmy1・C、Y・並列でT
my2・A、Tmy2・B及びTmy2・C、Δ・並列
でTmδ・A及びTmδ・B(Tmδ・Cは最高回転数
Nmax以上にあり図示範囲外)、各変曲点は、例えば
領域A・C間について、各垂線Ny1e、Ny2e及び
Nδeから電機子抵抗降下Er(%)=Ia・Ra(電
機子電流Iaと電機子抵抗Raとの積)だけ下がってい
る。
【0059】各トルク特性とも、過負荷(逆・順変換回
路の定格電流について200%I)及び全負荷(同10
0%I)の両者の曲線を示すが、Δ接続では定格相電流
の200%及び100%、Y接続では定格相電流の34
6%及び173%の負荷電流であり、最大トルクは過励
磁(125%Φ)の定トルク域で、Y接続で433%及
びΔ接続で250%である。
【0060】[抑速用回生トルク] 回生ブレーキの
内、抑速トルク特性曲線Tgy1s、Tgy2s及びT
gδsは、各変速段について、界磁過励磁の分巻分に負
荷電流に比例の直巻分を重ねた差動複巻特性で、各垂線
Ny1e、Ny2e及びNδeからトルクが立ち上が
り、その立ち上がり域は、励磁の分巻・直巻の各成分を
調整して、無段階で高速側に移動でき且つ立ち上がり勾
配も変えられるので、自動抑速制御に使用する。
【0061】[減速用回生トルク] 上記の抑速トルク
の直巻分をゼロにすれば、分巻特性の強力な減速トルク
特性が得られ、Y・直列では過励磁・限流制御の定トル
クの曲線Tgy1b、Y・並列及びΔ・並列では実線曲
線で示す減励磁・限流制御の定出力の曲線Tgy2b及
びTgδbまたは破線曲線で示す過励磁・限流制御の定
トルクの曲線Tgy2max及びTgδmaxとなる。
【0062】[回生起電力・電力] Y・並列及びΔ・
並列において、普通の運転サイクルでは、前者Tgy2
b及びTgδbでも減速トルクとして充分であり、起電
力Eも斜線Y2e及びΔeの実線部分のように、架線電
圧Voプラス電機子抵抗降下Er(%)より上がらない
が、急勾配降坂時の減速等、必要に応じ後者Tgy2m
ax及びTgδmaxを以て中・高速域の減速トルクを
強化すれば、起電力Eは、斜線Y2e及びΔeの破線部
分のように上がり、最高値は、それぞれEy2max=
√3Vo・(1+Er)及びEδmax=(Nmax/
Nδe)・Vo・(1+Er)のように、Y・直列のE
y1max=2Vo・(1+Er)と同様に高くなると
ともに、銅損増加なく、Y・直列で電動機定格出力の2
倍、Y・並列で√3倍、Δ・並列でNmax/Nδe倍
(Y・並列と同等)の最大回生電力に達する。
【0063】[勾配負荷] 軌道の各勾配(単位‰)に
おける電動機の負荷トルクを、上述の電動・回生トルク
特性に重ねて示すように、実線曲線のs=0は平坦、s
=+10、s=−10は緩勾配線区の、s=+25、S
=−25は急勾配線区の、それぞれ登坂及び降坂のもの
で、低・中速域では電動トルクTmδ(100%I)及
び抑速トルクTgy1s、Tgy2s、Tgδs以下、
即ち定格相電流のトルク内で運転可能、s=+35、s
=−35は特別急勾配区間のもので、軽度の過負荷相電
流のトルク内で運転可能であり、なお、各勾配につい
て、短時間定格(150%1時間)の速度上限までの負
荷トルク曲線を示す。
【0064】なお、特別急勾配区間の降坂(s=−3
5)では、抑速トルクTgy1s、Tgy2s、Tgδ
sは、励磁の直巻成分を小さくしトルクを増加、また
は、加速気味のときに時々、主幹制御器ハンドルを抑速
ノッチのままで強く押し下げ、減速トルクTgy1b、
Tgy2b、Tgδbを作動させ速やかに戻速する操作
で対応できる。
【0065】[4台直列・倍電圧回生] 図2のように
2組の電動機に更に直・並列切り替え接触器31S、3
1Pを付加すれば破線で示すように、4台のY・直列で
電動・回生トルク曲線Tmyo及びTgyobが、図3
のようにY・直列で倍電圧変換回路32を付加すれば、
回生トルク曲線及びTgyobが得られ、回生域下限を
更にNy1eの半速Nyoeに下げることができ、Tm
yoを微速段電動に、Tgyobを微速段回生にして、
電力回収率を更に高めることができる。
【0066】[加速度] 平坦線(s=0)について、
電動機の余裕トルクを加・減速トルクとして加速度α
(km/h/s)に換算した値を、縦軸目盛に併せて示
すように充分大きく、急勾配においても充分な加速・力
行及び回生ブレーキが可能である。
【0067】図5(a)において、図1の接触器9、1
0をダイオード33、34に、接触器11をサイリスタ
の如きスイッチング素子35に代え、チョッパー7に係
るダイオード16、17とともに無接点(Solid−
State)のブリッジ回路を形成し、受電、蓄電及び
回生電力のいずれもチョッパー6を順方向に通すように
すれば、電動機の逆・順変換回路20のインバータ20
Iは単に整流子作用のみとし、コンバータ20Cをダイ
オードだけで構成して単に整流器とし、図1の補充電及
びY・直列の電動だけでなく、電動・回生全段において
チョッパー6だけで電流制御することができるが、チョ
ッパー6及びリアクトル7の負荷定格の倍増を要し、チ
ョッパー6及びそれに隣接の回路(ダイオード5、1
7、33、34)や直・並列切り替え回路27S、27
Pにも、回生ブレーキの過電圧(定格の2倍)が掛かる
範囲が拡り、回路素子や機器の耐圧増加を要する嫌いが
ある。
【0068】図5(b)において、図1のチョッパー7
に係るダイオード16、17を接触器15及び36に代
え、停車及び惰行時は15「入」、36「切」にして受
電電力で充電し、電動の時は15「切」、36「入」に
して主に蓄電電力放電で加速し、定常負荷に至って蓄電
電圧が下がって受電電力に負荷が移った時36「切」に
して蓄電回路を切り離し、近接車両の重負荷遮断で架線
電圧急昇による充電突入電流を避け、抑速及び減速時に
は15「入」にしての回生電力で充電するよう、関連制
御回路を構成してもよいが、負荷移行の検出や接触器3
6の作動のタイミング(Timing)に注意を要す
る。
【0069】
【実施例2】実施例2として、表2に示す電気機関車の
動力装置を挙げ、図6により説明する。
【0070】架線1に接触の2基の集電器2で受電の架
線電力を、各動力単位(3組)に、回路遮断器4、ダイ
オード5を経て給電し、また、車両内の低圧電源とし
て、各ダイオード5の負荷側からダイオード37を介し
て、共通1組の車両内電源用インバータ29により補
機、照明及び界磁に、更に直流100V電源回路30を
経て制御、拡声・通信及び非常用機器に給電すが、3組
の動力単位相互間で、機器特性及び作動の不同等から蓄
電電圧に不同あるときは、ダイオード37で相互間の横
流は阻止され、蓄電電圧の高い動力単位から車両内電源
用に給電・消費され、常に不同縮小の方向に作用する。
【0071】各動力単位の蓄電器12及びチョッパー6
に係る回路並びに各電機子巻線18A、Y・Δ切り替え
用接触器21Y、21Δ、逆・順変換回路20及びその
直・並列切り替え用接触器27S、27Pは、図1に示
す実施励1と全く同様の他、30度の位相差を持つ電機
子の2巻線18Aに共通1組の回転界磁18F、分配器
19及び主制御回路22を配し、Y・直列(1速)、Y
・並列(2速)及びΔ・並列(3速)の変速3段を1軸
に持つ電動機2台を永久並列接続して、1動力単位を形
成する。
【0072】図の上で電動機18の上・下にY接続の位
相図を示すように(Δ接続ではそれと同様につき図示省
略)、各電機子巻線18Aの各相Ua、Va、WaとU
b、Vb、Wbとは30度の位相差があり、それぞれ3
相ブリッジ形の逆・順変換回路20で正(+)の半サイ
クル(実線で示す)及び負(−)の半サイクル(点線で
示す)とも作動して、それぞれ6相(Ua、Wa’、V
a、Ua’、Wa、Va’及びUb、Wb’、Vb、U
b’、Wb、Vb’)の如くなり、図の逆・順変換回路
20の左下に示す位相図のように、直流側で合成され恰
も12相の如くなって、トルク及び整流電圧波形の脈動
周期が半減する。
【0073】なお、図2及び図3に示す4台直・並列切
り替え接触器31S、31P及び倍電圧変換回路32
を、実施例1と同様に適用して、Y・直列の更に半速の
微速電動・回生域が得られる。
【0074】起電力E、トルクT、加速度α等の特性
は、一般には、表2に示すように、1列車編成の電動機
出力合計と車両重量合計との比が実施例1の電動客車よ
り小さいため、勾配抵抗sが増し、加速度αが減る他、
定性的には図4と同様になるので図示及び説明を省略す
る。
【0075】
【実施例3】長距離の急勾配線区に、架線回路に蓄電装
置を配して蓄電線区とした実施例について、図7により
主に複線の場合を、単線の場合は{}を付し説明する。
【0076】図7(a)において、一般に架線系統は、
各変電所41の整流器42から回路遮断器43U、43
D{43}を経て上り・下り線の軌道40U、40D
{40}の各架線1U、1D{1}に接続、回路遮断器
43U、43D{43}を介して隣接給電区間の各架線
と直列、隣接の各変電所と並列の接続になり、また、各
架線1U、1D{1}は、変電所毎に給電区間のエヤセ
クション44U、44D{44}を配し、回路遮断器4
3U、43D{43}が「切」で個別に無電圧にして故
障架線の切り離し及び保守・点検ができるよう構成され
ている。
【0077】本発明においては、急勾配線区を蓄電線区
とし、その両端に無電圧架線45U、45D{45}を
上り・下り線の各架線1U、1D{1}にそれぞれ配
し、隣接の非蓄電線区と区分し、車両通過時に集電器2
の橋絡による、蓄電電力の非蓄電線区との突入横流を避
け、各変電所間の適当な箇所(例えば2箇所に振り分け
等間隔)に蓄電装置46を配する。
【0078】蓄電装置46において、上り・下り線の両
架線1U、1D{1}から各回路遮断器47U、47D
{47}並びに共通のリアクトル48を介して、蓄電器
49に接続、蓄電器49の接地側に故障電流抑制用抵抗
器50とその側路用接触器51及び電流検出器52を配
し、回路遮断器47U、47D{47}及び接触器51
は、制御線53を介して、変電所41の回路遮断器43
U、43D{47}と連動するよう構成する。
【0079】車両54が蓄電線区に進入すると、登坂力
行では、電動電力を主に最寄りの変電所41及び蓄電装
置46から架線1U{1}を介して受けるが、設置間隔
及び内部抵抗が小さい蓄電装置46の蓄電電力を主に消
費しながら各給電区間を通過次第、変電所41から給電
されて蓄電装置46を補充電、降坂抑速では、回生電力
は変電所41の整流器42に阻止されるので、全電力を
蓄電装置46に充電しながら各給電区間を通過し、その
電動・回生電力の処理は、車両54に最寄り及び近接の
蓄電装置46が架線抵抗に応じて分担しながら、走行方
向に移行する。
【0080】車両55が蓄電線区に降坂方向に進入し、
無電圧架線45D{45}を通過する時、図1(図6も
同様)の接触器9「入」に加え、接触器11が自動的に
「入」になって受電回路のダイオード5を側路し、回生
電力を架線1D{1}に送り出して蓄電器12の過充電
(過電圧)を避けるが、蓄電器12の蓄電電力は、対向
車両54の蓄電線区への登坂力行進入または発進・加速
で架線電圧が低下しても、ダイオード16、5及び接触
器10「切」で阻止・保持され、また、蓄電線区から進
出する時には、無電圧架線45D{45}の通過で接触
器11が自動的に「切」となってダイオード5の側路を
解除する。
【0081】蓄電線区で走行の対向車両54、55の間
の電力授受は、架線1U、1D、変電所41及び蓄電装
置46の回路遮断器43U、43D及び47U、47D
を介して直接行なわれるが、両車両54、55の間の架
線抵抗のため、最寄り及び近接の蓄電装置46の緩衝充
放電を伴って架線電流を低減し、円滑且つ小さい電力損
失で行なわれ、また、変電所41は、上述も同様に、車
両54、55の走行抵抗、動力装置の損失及び車両内消
費の電力の供給が主となり、負荷を低減且つ平準化され
る。
【0082】上り線の架線1U(または1D)の地絡等
の故障時には、その故障突入電流で蓄電装置46の回路
遮断器47U(または47D)が変電所41の回路遮断
器43U(または43D)と連動して遮断し、エヤセク
ション44U(または44D)の間の架線1U(または
1D)を無電圧にし、故障復旧の電源再投入では、故障
で低落した蓄電電圧の回復に伴う蓄電器49の突入電流
を、抵抗器50で抑制しながら充電した上、接触器51
で再短絡し常状態になる。
【0083】その給電区間で架線故障に遭遇あるいはそ
の区間に進入した時は、速やかに制動・停止するが、登
坂の場合には図1のダイオード5で、降坂の場合は接触
器11が「切」になってダイオード5で、蓄電電力及び
回生電力の架線への逆流を阻止して車両内に保持し、架
線を無電圧に保つとともに、軌道・架線等の施設状況を
視認の上、その状況によっては、車両内の蓄電電力で微
速・低速運転し、前進あるいは後進で最寄りの健全区間
に脱出もできる。
【0084】
【発明の効果】図8(a)において、車両の加速・力行
は、実際には破線曲線のようになるが、等価的には実線
折線に置き換えて単純化し、表1で実施例1の電動客車
(3M3T編成)について計算し、車両の発進・加速α
1・力行α2・惰行−α2・減速β・停止の運転サイク
ルを示すように、加速α1及び力行α2で消費された動
力Pd1+Pd2は、走行抵抗Fr及びFrmaxによ
る実効動力ΣPe=Pea+Per+Pebと減速βで
処理される制動動力Pbに変わるが、制動動力Pbは車
両の運動のエネルギーをであり、その割合は表1に示す
ように、制動動力率ηb=50〜64%に及び、また、
勾配抵抗Fsは位置のエネルギーに、走行抵抗Frが実
効動力に相当するが、登坂では力行牽引力Fd=Fs+
Frを要し、降坂では抑速制動力Fb=Fs−Frにな
るが、その比は表1に示すように、抑速動力率ηs=F
b/Fdは緩勾配(10‰)でも34〜53%、急勾配
(25‰)では67〜78%、更に特別急勾配(35
‰)では75〜84%に及び、回生ブレーキを持たない
車両では、それを車輪ブレーキの摩擦熱や発電ブレーキ
の抵抗熱で大気中に捨てているが、それを本発明の蓄電
装置と回生ブレーキで回収し次の加速と登坂に再利用す
れば、エネルギー回収率ηreは、回生下限速度vbま
での回生ブレーキ率ηg及び動力装置の効率ηpを加味
して、減速制動では、加速・力行の消費電力の36〜4
1%(vb=20km/h)から37〜46%(vb=
10km/h)、抑速制動では、登坂力行の消費電力の
26〜40%(緩勾配)、50〜59%(急勾配)や5
7〜63%(特別急勾配)に達し、電力消費を半減でき
る訳である。
【0085】動力装置の主要部となる電動機及び制御装
置について、回転機として高効率の同期電動機を使用
し、極めて低損失のサイリスタを制御素子とするチョッ
パーや逆・順変換回路を組み合わせた直流無整流子電動
機は、その3相電機子巻線のY・Δ切り替えと複数電動
機の直・並列切り替え及び界磁制御を伴って、直流電動
機並の高トルクと更に広い電動・回生域(実施例1で
は、140km/hに近い最高速度から10〜20km
/hの回生下限速度)を持ち、下記の蓄電器の極めて高
い充・放電効率と相まって、上記の電力回収率ηreを
可能にする訳であり、また、回転界磁は、スリップリン
グ及び分配器を要するが小電力・小形で済み、他励のた
めトルクは電圧変動の影響を受けないので、電圧の2乗
でトルクが低下する誘導電動機より遥かに有利である。
【0086】図8(b)において、前サイクルの回生・
充電で架線電圧VoよりδVc高い蓄電電圧でY・直列
及びY・並列の定トルク域で曲線Pm・Aのように電動
電力Pmが増加しながら発進・加速するが、Y・並列及
びΔ・並列の定電力域で曲線Pm・Bのように平坦にな
り、垂下トルク域で破線曲線Pm・Cのように負荷が下
がるが、Y・並列の加速途中で蓄電電圧Vcが架線電圧
Vo以下に下がるに伴い、負荷が受電電力Pt・Aに移
行し、放電電力PmcはPm・C−Pt・Aの実線曲線
となり、惰行に至って、受電電力Pt・Bで蓄電器12
にチョッパー6で限流しながら電力Pcを充電し、蓄電
電圧Vcが架線無負荷電圧Voに回復するまで続き、減
速の回生ブレーキでΔ・並列及びY・並列の定出力域T
g−Bの平坦な曲線、続いてY・直列の定トルク域で回
生電力Pgは曲線Tm−Aのように低降しながら充電し
て、蓄電電圧Vcを再びVo+δVcに上げながら回生
域下限速度Vbに達し、車輪ブレーキで制動・停止する
が、架線1より受電電力Pt=Pmt+Pcは、加速及
び減速時の電力Pm=Pmc+Pmt及びPgに比し格
段に小さい値に平準化されるので、架線1には加速・減
速の過負荷は掛からず、電圧変動は格段に(10%以下
に)小さくなり、20〜40%に及んだ従来の架線の電
圧降下による、電力損失が半減(1/2〜1/4)でき
る訳である。
【0087】上記のように、蓄電器12、49の充・放
電による電力回収及び緩衝作用により、車両の電力消費
の低減とともに、変電所及び架線の負荷が平準化されて
更に軽減され、ダイオード5や変電所整流器42及び蓄
電線区の両端の区分用無電圧架線の電力逆流・横流の阻
止と相まって、架線の亀圧変動の中央値が無負荷電圧に
極めて近い値に保持されるので、車両内の動力機器他電
気機器は常に定格電圧で作動でき、定格性能・寿命両面
の改善は著しく、また、高い運転密度においては、変電
所容量、設置間隔、給電線銅量をかなり節約できること
になる。
【0088】表2に実施例1、2の電動車両について蓄
電作動特性を示すように、それぞれ動力単位毎に静電容
量1000〜2000F級の蓄電器で、加速・減速の2
00%負荷の電動・回生電力を架線定格の±10%を充
分下回る電圧変動で充・放電処理し、150%負荷を伴
う急勾配の登坂力行及び降坂抑速の電動・回生電力を、
定格の10%の電圧変動での充・放電気量(KA−s)
で通常の駅区間の5分以上の運転が可能であり、それよ
り更に長い急勾配線区では、実施例3のように蓄電線区
とし、その線区の距離dが車両内蓄電器での走行時間t
cに係る単位距離dc=tc・vのn倍の場合は、車両
内蓄電器の(n−1)倍の蓄電器容量合計を蓄電線区に
配し、その両端の距離dcの区間では車両内蓄電器の1
/2の容量として、また、その蓄電線区の車両運行サイ
クルで同方向に続く車両数が2本あれば、蓄電器容量合
計は2(n−1)倍で、あるいは、それが日毎の運行全
体から見て稀な場合は、その時だけ電圧変動を2倍(2
0%)まで許容して、対応可能なことが分かる。
【0089】直流回路の蓄電器は、交流電力回路の進相
用蓄電器のような誘電体損失は無く、対向極板間の漏洩
電流は車両運転サイクルの分単位は勿論、夜間休止を含
む日単位でも微小で無視でき、対向及び引出し導体の抵
抗によるジュール熱が電力損失の殆どであるが、電動機
の銅損よりずっと小さいので充・放電効率は極めて高
く、蓄電池の如き化学反応の時間遅れが皆無で、秒・分
単位の急速大電力処理が可能のため、車両の慣性エネル
ギー及び登・降坂エネルギーの処理には最適である。
【0090】蓄電用蓄電器は、最近、電気自動車の開発
に伴い、その動力電源用として大容量(数百〜数千ファ
ラッド級)且つ高電圧(数百ボルト級)が出現して試用
段階にあり、本発明に係る電気鉄道の1500Vのもの
も技術的には充分可能と考えられ、単器容量を標準化し
て量産すればコスト(Cost)も下がり、また、同期
電動機は勿論、サイリスタ、ダイオード、リアクトル、
接触器等の回路素子や機器も電力用や動力用として大容
量、高耐圧、重債務のものが既に広く実用され、高信頼
性と低価額で供給されているので、本発明の動力装置
は、技術的・経済的両面で充分実現可能と考える。
【0091】既存の直流電気鉄道は、日本国内ではJR
在来幹線及び私鉄の大部分を、ヨーロッパでも架線電圧
1000V以下や3000Vもあって電化区間の大半を
占めており、その運転密度も高いので、その電力消費量
は膨大な数字に上るが、表1で試算した制動動力率のよ
うに無効動力として消費されている電力や電圧降下によ
る電力損失を低減するよう努力されているが、本発明
は、それを格段に前進するものであり、新規電化の区間
は勿論、既存の電化区間においても本発明の段階的適用
も可能であり、上記の蓄電用大容量蓄電器の開発・実用
化を併行して、その効果は絶大であると思考する。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1の車両の動力単位の全体の動力系統を
示す回路図。図2は、実施例1の車両の動力単位を構成
する電動機4台のY・Δ及び直・並列切り替えを示す回
路図。図3は、実施例1の車両の動力単位の主回路に倍
電圧変換回路を配した場合の回路図。図4は、実施例1
の車両の電動機のY・Δ及び直・並列切り替えより成る
各変速段において、走行速度及び回転数と電機子起電
力、電動・回生ブレーキトルク及び各軌道勾配における
負荷トルクとの関係を示す図表。図5は、実施例1の車
両の動力単位の主回路の切り替え回路の別例の回路図
で、(a)は、ダイオード及びサイリスタで無接点化し
た場合、(b)は、接触器を使用した場合を示す。図6
は、実施例2の車両の動力単位の全体の動力系統を示す
回路図。図7は、実施例3の蓄電線区の給電回路を示
し、(a)は架線回路図、(b)は蓄電装置の主要部を
示す回路図。図8は、車両の運転サイクルにおける動力
装置の挙動を示す図表で、(a)は、慣性・走行抵抗及
び動力について示し、(b)は、電動、回生、受電及び
蓄電電力と電圧について示す。表1は、図8(a)に関
連して、実施例1の車両の運転サイクル、消費・損失動
力及び電力回収率を示す計算表。表2は、図8(b)に
関連して、実施例1及び実施例2の動力装置の要目及び
蓄電作動特性を示す計算表。
【符号の説明】
1、1U、1D 架線 2 集電器 3 電線 4、14 回路遮断器 5、16、17、33、34、37 ダイオード 6 チョッパー 7、25 リアクトル 8、24 電流検出器 9、10、11、15、36 接触器 12 蓄電器(蓄電用) 13 断路器 18 同期電動機、18A 電機子巻線、18F 回転
界磁 19 分配器 20 逆順変換回路、20I インバータ、20C コ
ンバータ 21Y、21Δ、27S、27P、31S、31P 接
触器 22 主制御回路 23 電圧検出器 26 蓄電器(平滑用) 28 中央制御回路 29 車両内低圧電源用インバータ 30 直流100V電源回路 32 倍電圧変換回路 D1、D2、D3、D4 ダイオード S1、S2、S3、S4 制御素子 C1、C2 蓄電器 35 スイッチング素子 40、40U、40D 軌道 41 変電所 42 整流器 43、43U、43D、47、47U、47D 回路遮
断器 44、44U、44D 架線区分点 45、45U、45D 無電圧架線 46 蓄電装置 48 リアクトル 49 蓄電器(蓄電用) 50 抑流抵抗器 51 接触器 52 電流検出器 53 制御線 54、55 車両 [図4の符号] 斜線Y1 Y・直列(全励磁)の起電力 斜線Y2 Y・並列(全励磁)の起電力 斜線Δ Δ・並列(全励磁)の起電力 斜線Y1e Y・直列(過励磁)の起電力 斜線Y2e Y・並列(過励磁)の起電力 斜線Δe Δ・並列(過励磁)の起電力 水平線Vo 架線電圧 点y1 Y・直列(全励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点y2 Y・並列(全励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点δ Δ・並列(全励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点y1e Y・直列(過励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点y2e Y・並列(過励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点δe Δ・並列(過励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点Ey1max Y・直列(過励磁)の最高回生電圧 点Ey2max Y・並列(過励磁)の最高回生電圧 点Eδmax Δ・並列(過励磁)の最高回生電圧 垂線Ny1 Y・直列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Ny2 Y・並列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Nδ Δ・並列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Ny1e Y・直列(過励磁)の無負荷回転数 垂線Ny2e Y・並列(過励磁)の無負荷回転数 垂線Nδe Δ・並列(過励磁)の無負荷回転数 曲線Tmy1 Y・直列の電動トルク特性 曲線Tmy2 Y・並列の電動トルク特性 曲線Tmδ Δ・並列の電動トルク特性 付属符号A 定トルク域 付属符号B 定出力域 付属符号C 垂下トルク域 曲線Tgy1s Y・直列の抑速トルク特性 曲線Tgy2s Y・並列の抑速トルク特性 曲線Tgδs Δ・並列の抑速トルク特性 曲線Tgy1b Y・直列の減速トルク特性 曲線Tgy2b Y・並列の減速トルク特性(定出力) 曲線Tgδb Δ・並列の減速トルク特性(定出力) 曲線Tgy2max Y・並列の減速トルク特性(定ト
ルク) 曲線Tgδmax Δ・並列の減速トルク特性(定ト
ルク) 垂線Nyoe 4台Y・直列(過励磁)の無負荷回転数 点線曲線Tmyo 4台Y・直列の電動トルク特性 点線曲線Tgyo 4台Y・直列の減速トルク特性 [図8の符号] 曲線α1 加速 曲線α2 力行 曲線−α2 惰行 曲線β 制動 曲線Pm・A 定トルク加速の電動電力 曲線Pm・B 定出力加速の電動電力 曲線Pm・C 垂下トルク加速の電動電力 曲線Pg・B 定出力制動の回生電力 曲線Pg・A 定トルク制動の回生電力 曲線Pt・A 加速・力行時の架線電力 曲線Pt・B 惰行時補充電の架線電力 面積Pmc 加速・力行時の放電電力量 面積Pmt 加速・力行時の架線電力量 面積Pc 惰行時補充電の架線電力量 面積Pg 制動時の充電電力量 その他の符号は、表1及び表2を参照
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動客車や電気機関車
の如き電動機で走行する車両(以下、電動車両と呼ぶ)
の動力装置及び給電装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道の車両の運転は、加速・力
行を原動機で、減速・制動は各車輪の摩擦ブレーキ(以
下車輪ブレーキと呼ぶ)で行なっており、運行時間効率
を向上するため、走行速度を上げるとともに、加速及び
制動を速やかに行なうよう、車体の軽量化と原動機の容
量及び車輪ブレーキの性能が増強されており、また、電
動車両の性能が最も良いので、幹線等主要線区の電化が
施されてきた。
【0003】電動車両は、電動機の発電機能を利用した
発電ブレーキで減速・制動及び降坂抑速が行なわれ、ま
た、最近、その発電電力を架線・変電所に返流する回生
ブレーキも使用されるに至っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鉄道の車両は、走行抵
抗は小さいが慣性抵抗が大きいので、加速に大半の動力
を消費し、その動力で得た車両の運動のエネルギを、減
漣・制動では、車輪ブレーキの摩擦や発電ブレーキの制
御抵抗器で熱に変えて放散しており、その放散エネルギ
ーは、各駅停車の運転では特に大きく、また、登坂力行
にも大きな動力を消費し、その動力で得た車両の位置の
エネルギーを、降坂抑速でも同様に、車輪ブレーキや発
電ブレーキで熱放散しており、それらのエネルギー損失
は、車両運転の消費動力の大半に及ぶ
【0005】回生ブレーキは、電動車両に使用されてい
る直巻電動機の界磁制御が難しく、特に直流電気鉄道で
は、激しい架線電圧変動や変電所の逆電力処理の問題も
あり、エネルギー回収効率が低く全面的な利用に至って
いない。
【0006】なお、直流電気鉄道では、加速時の過負荷
電流による電圧降下が(回生ブレーキでは減速時の過負
荷電流による電圧上昇も)大きく定格電圧の20〜40
%に及び、それが電力損失となるは勿論、その電圧変動
の運転特性や機器の作動への悪影響も大きく、その低減
のためダブルカテナリー、き電線の増設や変電所間隔の
短縮等が必要になり、設備の容量増大及び複雑化を招い
ている。
【0007】最近、電力需給の逼迫や発電所立地の制約
等で国内は勿論、主なエネルギー源を成す石油資源の枯
渇や排気ガスによる環境汚染及び原子力燃料使用後の処
理等、地球規模の問題になり、電力消費の低減が切実に
求められ、電力需要に車両分野もかなりの割合を占めて
いる。
【0008】本発明は、上記の問題に鑑み、電動車両の
主に減速・制動及び降坂抑速における回生ブレーキとそ
の電力処理の改善で以て、動力・給電装置の総合効率を
向上し、電力消費量の低減を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の電動車両の動力・給電装置においては、
車両内及び架線に蓄電装置を配して、発進・加速の過負
荷には主に蓄電電力を当て、加速終期及び力行の定常負
荷は主に架線電力で受持ち、抑速・減速・制動の回生ブ
レーキでは、全回生電力を蓄電装置に充電・回収し、次
の発進・加速・力行に再利用するような機構を提供す
る。
【0010】上記の機構を実現するために、車両内の動
力単位毎に蓄電装置を配し、電動機制御と兼用のチョッ
パー及びダイオード並びに接触器の如きスイッチング素
子(以下、接触器と呼ぶ)を介して、架線から集電の受
電回路(以下、受電回路と呼ぶ)及び電動機主回路に接
続する。
【0011】ダイオードは、受電回路に逆流阻止用とし
て、また、チョッパーの電源側に放電用、負荷側に充電
用として電力をチョッパーの正方向に整流するようそれ
ぞれ配し、接触器は、電動機主回路と、チョッパーの負
荷側汲び電源側並びに逆流阻止用ダイオードの電源側と
の間にそれぞれ挿入し、架線電圧に見合う耐電圧と、電
動・回生の電力に見合う電流容量を有するものとする。
【0012】蓄電装置は、架線電圧に見合う耐電圧の大
容量蓄電器、リアクトル及び回路遮断器で構成し、電気
機器に許容の電圧変動範囲での充・放電電気量(A−
s)が、車両の加速・力行・惰行・減速の運転サイクル
において、消費及び回収の電力に充分対応できる静電容
量(F)及び電流容量のものとする。
【0013】なお、長距離の急勾配線区は、架線にも上
記と同様な構成の蓄電装置を、各給電区間に適当な間隔
に配して蓄電線区とし、登坂・降坂の車両運行サイクル
において、上述の車両内に設置の蓄電装置と共働で、そ
の設置間隔毎の電力の消費及び回収に充分対応できる静
電容量(F)及び電流容量のものとし、蓄電器の接地側
に抑流抵抗器及びその短絡用接触器を配して、回路遮断
器とともに変電所と連動にし、また、蓄電線区の両端に
は、隣接の非蓄電線区との集電器橋絡防止のため無電圧
架線を設ける。
【0014】電動機は、回転界磁形三相同期電動機に分
配器を付し、サイリスタ等の半導体制御素子を使用の逆
・順変換回路(インバータ・コンバータ)を組み合わせ
た、発電可能な直流無整流子電動機とし、界磁制御及び
電機子電流制御並びに電機子巻線のY・Δ切り替え及び
電動機2台の直・並列切り替え回路を配し、Y・直列
(1速)、Y・並列(2速)及びΔ・並列(3速)の変
速段を形成する。
【0015】電動客車では、動力車1両毎の電動機2台
または4台を、上記の蓄電装置1組と組み合わせて1動
力単位を構成するを標準とし、電動機2台毎に直・並列
切り替え、その2組を永久並列あるいは更に直・並列切
り替えまたは倍電圧変換回路を配する。
【0016】電気機関車等で電動機の単機容量が大きい
場合は、各電動機に2組の電機子巻線を施して直・並列
切り替え、あるいは、巻線間に30度の位相差を与え、
逆・順変換回路の直流側で直・並列切り替えするのがよ
く、動力単位の分割は、電動機毎(車軸毎)や台車毎
(2軸・3軸毎)等、蓄電器、サイリスタ、ダイオード
等の機器や回路素子の容量、信頼性及び市場性と、故障
時(特に蓄電器)の安全性を考慮して決めるのがよい。
【0017】なお、動力単位毎の複数(2台・3台)の
電動機は永久並列を標準とし、必要に応じ回生用倍電圧
変換あるいは更に直・並列切り替え回路を配することが
できる。
【0018】界磁の励磁、制御装置、補機、照明、暖・
冷房等の低圧電源用として、逆変換回路(インバータ)
を配し、受電回路のダイオードの負荷側に接続する。
【0019】チョッパー及び逆・順変換回路にそれぞれ
負荷電流検出器、電機子回路に電圧検出器、車軸に走行
速度検出用タコゼネレータ、その他、主幹制御器、制動
空気弁及び関連制御装置を配する。
【0020】
【作用】上記のように構成した動力装置は、下記のよう
に働くが、主に電動機4台と蓄電装置で構成の動力単位
について説明する。
【0021】[蓄電器補充電] 停車中または惰行中に
おいて、架線が無負荷または軽負荷で受電電圧が高い時
に蓄電器に充電し、近接車両の発進・加速等の重負荷で
電圧降下した時は、受電回路のダイオードで逆流を阻止
するので、蓄電電圧は架線の定格電圧以上に保たれ、ま
た、近接車両の重負荷遮断等で架線電圧が急昇した時
は、リアクトルで蓄電器の瞬時突入電流を抑えチョッパ
ーで限流する。
【0022】[発進・加速] 主幹制御器を力行ノッチ
に入れると、まずY・直列にて逆・順変換器のインバー
タが分配器の位相に合わせて作動し、チョッパーの電流
制御で電動機が始動、Y・並列でインバータの電流制御
に移り過負荷(例えば200%電流)で車両を加速する
が、架線の抵抗に比べ蓄電器回路の抵抗が著しく小さい
ので、主に蓄電電力が消費され架線の負荷は軽く、変電
所からの距離があっても架線の電圧降下は小さい。
【0023】[力行] 上記の加速中の蓄電電力消費
(放電)で蓄電電圧が低下しながら、架線からの受電電
力に緩やかに移行し、定常走行に至り電動機が軽負荷に
なって、主に受電電力で力行する。
【0024】[惰行] 主幹制御器を中立ノッチに戻す
と、逆・順変換器のインバータが遮断して車両は惰力走
行になり、架線からの受電電力は、再びチョッパーを介
して蓄電器の補充電に替わる。
【0025】[抑速] 降坂において、主幹制御器を抑
速ノッチに入れると、逆・順変換器のコンバータが作動
して電動機が回生ブレーキになり、そのトルクの立ち上
がり域を抑速ノッチに入れた時の走行速度に合わせるよ
う界磁制御し、降坂負荷に見合う回生電力で蓄電器に充
電するが、受電回路のダイオードで阻止され架線側に逆
流しない。
【0026】[減速] 制動空気弁の操作により、その
制動空気圧に見合う回生ブレーキトルクで、変速段を自
動的に下げながら車両を減速し、回生電力を蓄電器に充
電するが、上記の降坂抑速と同様に架線側に逆流しない
ので、蓄電電圧は架線電圧より高くなる。
【0027】[停車] 電動機の回生域下限まで回生ブ
レーキで減速した上、上記の制動空気圧で車輪ブレーキ
が作動して車両を停止させる。
【0028】[次サイクル以後の運転] 次の運転サイ
クル以後の発進・加速及び力行では、蓄電電圧が架線電
圧より高いので、まず蓄電器の放電で賄い、蓄電電圧が
架線電圧に戻ってから、緩やかに受電電力に移り替わ
る。
【0029】[電動機回路の作動] 2台の電動機は、
Y・直列(1速)、Y・並列(2速)及びΔ・並列(3
速)の3段変速で作動し、主幹制御器の力行1、2、3
及び抑速3、2、1ノッチにそれぞれ対応し、回生域下
限は、界磁全励磁の電動域上限の1/2*3^0.5
(≒1/3.5)、界磁半励磁の定出力電動域上限の
/4*3^0.5(≒1/7)となり、最高速度の約1
4%まで回生ブレーキが効くことになる。
【0030】[4台直列] なお、2台宛2組の電動機
を更に直・並列切り替えすれば、4台のY・直列で微速
発進でき、更に上記の半速(約7%)まで回生ブレーキ
が効くことになり、また、それを倍電圧変換回路に代え
てもよい。
【0031】[過負荷特性] 逆・順変換回路の定格容
量は、電機子Δ接続の電動機定格に合わせて設計される
ので、Y接続では3^0.5(=1.732)倍の負荷
が可能であり、加速・減速に適用の過負荷定格の200
%電流では、界磁の過励磁(125%)もあってY・直
列及びY・並列では定格トルクの433%、Δ・並列で
250%の電動・回生トルクを効率良く発生する。
【0032】[チョッパー定格] チョッパーは、蓄電
器の初充電では負荷のゼロ電圧から、電動機のY・直列
での始動では負荷のゼロ起電力・周波数から作動して効
率良く電流制御し、Y・並列及びΔ・並列での電動では
半電圧から全電圧までの、全変速段での回生ブレーキで
は倍電圧から全電圧までの、逆・順変換回路の制御素子
の電流制御に替え、また、受電電力での蓄電器の補充電
は軽負荷のため、動力単位容量の半分の定格で済む。
【0033】[過電圧特性] 回生ブレーキにおいて、
全変速段で界磁過励磁とコンバータの限流作動による定
トルク制御では、電機子がY・直列で200%、Y・並
列で173%、Δ・並列で200%の過電圧をそれぞれ
作動速度域上限で発生するが、逆・順変換回路のコンバ
ータ及びリアクトルの限流作動及び平滑作用で定格電圧
に変換されるので、直流側にはそのような過電圧は掛か
らない。
【0034】[過負荷・過電圧耐力] 電動機は無整流
子のため、一般の直流電動機の整流子火花に伴う制約が
ないので、上述([過負荷特性]、[過電圧特性])の
ように苛酷な使用に耐え、特に回生ブレーキでは、上記
のそれぞれ作動速度域上限で銅損増加なく更に173〜
200%の回生出力が得られ、また、電源電圧の変動
は、他励の界磁及びトルクに影響せず、回転数の変化に
留まる。
【0035】[制御性] 電動機の回転界磁は分巻であ
るが、励磁は小電力で済み、励磁制御回路で過励磁や減
励磁は勿論、負荷電流に見合う直巻分を重ね合わせ、電
動では、直巻〜分巻間の和動複巻特性を無段階で調整で
き、回生ブレーキでは、全分巻に直巻分を重ねた差動複
巻特性の柔らかい抑速トルクの立ち上がり速度域を各変
速段の回生域下限から無段階で調整でき、その直巻分を
ゼロにして全分巻で強力な減速トルクを得る等、界磁制
御は容易且つ多様にできる。
【0036】[電機子2巻線] 2組の電機子巻線の場
合は、1台の電動機でY・直列、Y・並列及びΔ・並列
の3段変速が上述の電動機2台と同様にでき、巻線間に
30度の位相差を与えた場合は、トルク及び整流波形が
恰も12相交流同期電動機を使用したと同様の脈動に低
減されるので始動が円滑になり、車輪の粘着を良くす
る。
【0037】[再粘着制御] なお、各電動機の主回路
に配した電圧検出器により、電機子電圧の不同急昇で空
転を検出して空転電動機の電機子電流を垂下させ、トル
クを減じて車輪を再粘着させる。
【0038】[電圧変動] 加速・減速の過負荷電流は
蓄電器で処理され且つ蓄電電圧は架線の無負荷電圧を中
央値として上下に且つ小さく変動するので、電動機は勿
論、車両内の全電気機器に常に定格電圧を供給するとと
もに、架線負荷を低減且つ平準化し電圧降下及び電力損
失を低減する。
【0039】[蓄電線区] 急勾配の蓄電線区では、架
線に接続の蓄電装置が主になって、車両内の蓄電装置と
共働し、登坂力行の電動電力の大半と降坂抑速の全回生
電力を処理し、また、対向車両あれば相互間の蓄電装置
の充・放電を伴って電力の授受を円滑に行なうので、変
電所の負荷を低減且つ平準化して架線の電圧降下を低減
し、また、変電所の整流器で回生電力が逆流しないで架
線電圧を上げるため、変動の中央値が無負荷電圧に近く
なる。
【0040】[非蓄電線区との区分点] なお、蓄電線
区に進入する時、無電圧架線通過で隣接架線との集電器
橋絡による非蓄電線区との横流突入を避けるとともに、
降坂方向に入るときは、車両内では、受電回路の逆流阻
止用ダイオードを接触器で自動的に側路して、余剰の回
生電力を架線に送出し、車両内蓄電器の過充電(過電
圧)を避けるとともに、受電回路のダイオードで車両内
蓄電器から架線への逆流を阻止して、対向車両の進入等
で架線電圧低下があっても蓄電電力を保持し、蓄電線区
から出る時には、無電圧架線通過で接触器の側路を自動
的に解除する。
【0041】[蓄電装置の保護] 上記の架線接続の蓄
電装置では、負荷急変時の電圧変動が小さいので、蓄電
器回路のリアクトル及び架線抵抗で突入電流をその耐力
内に抑制され、架線の地絡等の故障時には、変電所と連
動して故障回路の回路遮断器が作動し、その給電区間の
全蓄電装置を故障架線から切り離して架線を無電圧に
し、そのような故障で低落した蓄電電圧の回復で突入電
流がその耐力を超えるときは、各蓄電器回路の抵抗器で
抑流しながら補充電の上、接触器でその抵抗器を短絡し
て常状態に復旧する。
【0042】[架線故障保護] 架線地絡の際、蓄電装
置の抵抗及び設置間隔が変電所のインピーダンス及び給
電区間距離より格段に小さいため、故障電流は蓄電装置
に集中し変電所の整流器の突入負荷を緩和し、また、前
述([発進・加速]及び[力行])のように低減・平準
化された負荷電流との差異が大きいので、故障電流の判
別が容易で遮断が確実である。
【0043】
【実施例1】実施例1として、電動機4台を持つ電動客
車の1動力単位を挙げ、図面を参照して説明する。
【0044】図1において、架線1に接触の集電器2で
電力を受け、電線3を以て、隣結車両の各動力単位と並
列接続し、また、回路遮断器4、逆流阻止用ダイオード
5を以て受電回路を構成し、チョッパー6、リアクトル
7、電流検出器8及び接触器9、10、11を経て電動
機主回路に接続するが、Y・直列で始動・加速時に接触
器9「入」、10「切」にてチョッパー6を介し、Y・
並列及びΔ・並列で加速・力行時に9「切」、10
「入」となって直接、受電及び蓄電電力を電動機に供
給、回生ブレーキで再び9「入」、10「切」になって
蓄電回路に回生電力を返す。
【0045】チョッパー6は電流検出器8より負荷信号
を受けて蓄電装置の充・放電電流の限流作動並びに電動
機の始動・加速電流制御を行なう。
【0046】蓄電装置は、蓄電器12、断路器13、及
び回路遮断器14を以て構成し、接触器15を経て、ダ
イオード16、17で充・放電ともにチョッパー6を正
方向に通るよう接続する。
【0047】各電動機は、三相交流同期電動機18に分
配器19及び逆・順変換回路20を組み合わせて直流無
整流子電動機を形成し、電機子巻線18Aは、3相とも
両端子X1−X2、Y1−Y2、Z1−Z2を引出し、
電磁接触器21Y、21ΔでY・Δ接続切り替えして逆
・順変換回路20に接続、回転界磁18F(スリップリ
ングは図示省略)及びその軸に直結の分配器19は主制
御回餡22に接続し、励磁電流を受け、位相信号を与え
る。
【0048】逆・順変換回路20は、サイリスタの如き
制御素子及び関連回路素子(図示省略)より成る3相ブ
リッジ形インバータ20I及びコンバータ20Cを持
ち、主制御回路22よりゲートパルスを受けて、界磁1
8Fの回転位相に合わせ各相の電機子電流を制御する。
【0049】各逆・順変換回路20の交流側に電圧検出
器23及び直流側に電流検出器24をそれぞれ配し、主
制御回路22に負荷信号を与え、電機子電流制御するよ
う逆・順変換回路20のゲートパルスを制御し、リアク
トル25及び蓄電器26でインバータ20I、コンバー
タ20Cの電流制御に伴う脈流を平滑にする。
【0050】なお、電磁接触器27S及び27Pを配
し、各逆・順変換回路20の直流側で無整流子電動機2
台の直・並列接続の切り替えを行なう。
【0051】主幹制御器、制動空気弁及び速度計(いず
れも図示省略)から各種の運転操作及び検出信号を受け
て中央制御回路28が作動し、チョッパー7及び主制御
回路22に運転制御信号を与える。
【0052】車両内の低圧電源用として、インバータ2
9を受電回路のダイオード5の負荷側に配し、所要の交
流電圧に変成して、界磁電源及び制動用空気圧縮機や冷
・暖房機器等の補機用3相220V及び照明用100V
を供給し、整流器および蓄電池より成る100V直流電
源回路30を配し、チョッパー7、主制御回路22及び
中央制御回路28の制御電源を、ドア開閉機、拡声・通
信、非常用に無停電電源を供給する。
【0053】図2において、上述の各電動機18のY・
Δ切り替え用接触器21Y、21Δ及び電動機2台毎の
直・並列切り替え用接触器27S、27Pに加えて、更
に電動機2組の直・並列切り替え用接触器31S、31
Pを付加し、4台Y・直列(微速)、2台Y・直並列
(1速)、4台Y・並列(2速)、4台Δ・並列(3
速)の変速段を得ることができる。
【0054】図3において、上記直・並列切り替え用接
触器31S、31Pの代わりに、あるいはそれに加え
て、倍電圧変換回路32を付加した場合を示し、Y・直
列の回生域限度までは、接触器9及びダイオード16を
経て蓄電器12に充電するが、その後は接触器9「切」
で変換回路32のダイオードブリッジの各直列2素子D
1−D2、D3−D4を経てリアクトル8、電流検出器
9及びダイオード16の回路に替わり、サイリスタの如
き制御素子の直列2素子S1「切」、S2「入」で蓄電
器C1にダイオードD1を通じて回生電圧Eに充電、続
いてS1「入」、S2「切」でS1の電動機側の回生電
圧Eと蓄電器C1の充電電圧Eが直列となって倍電圧2
Eとなり、ダイオードD1に阻止され、ダイオードD2
を経てリアクトル7に達し、チョッパー6及びダイオー
ドD4で阻止されて倍電圧2Eが保たれる。
【0055】また、制御素子の直列2素子S3、S4及
び蓄電器C2も上記の直列2素子S1、S2及び蓄電器
C1と同様且つ交互に適当な周波数で作動し、恰も両波
整流の如く連続した倍電圧2Eを得るが、制御素子S
2、S4の導通幅の調整で蓄電器C1、C2の充電電圧
Ecを変え、制御素子S1、S3の導通幅の調整でその
出力電圧Esを変え、リアクトル8に達する電圧Es+
Ecを蓄電電圧Vcに合わせ調整して回生電流Iを制御
し、回生電圧Eが蓄電電圧Vcの1/2に下がるまで、
回生電流Iが蓄電器12に向かって流れ、回生ブレーキ
が作動する。
【0056】図4おいて、この実施例1の電動客車にお
ける、車両及び電動機の各種の特性について示せば下記
のようになる。
【0057】[電動機起電力] 斜線Y1、Y2及びΔ
は、電動機の各変速段Y・直列(1速)、Y・並列(2
速)及びΔ・並列(3速)で界磁の定格励磁(100%
Φ)の起電力Eを回転数Nについて示したもので、架線
無負荷電圧(=1500VDC)を示す水平線Vとの
交点y1、y2及びδを通る垂線Ny1、Ny2及びN
δが各変速段の定格励磁における無負荷回転数であり、
また、斜線Y1e、Y2e及びΔeは、過励磁(125
%Φ)の起電力Eを示したもので、水平線Vとの交点
y1e、y2e及びδeを通る垂線Ny1e、Ny2e
及びNδeが各変速段の過励磁における無負荷回転数で
あり、各交点から下・左が電動域、上・右が回生域であ
る。
【0058】[電動トルク] 電動機の各変速段におけ
る電動トルク特性曲線Tmy1、Tmy2及びTmδ
は、それぞれ過励磁・限流制御の定トルク域A、減励磁
・限流制御の定出力域B及び減励磁限度から和動複巻特
性の垂下トルク域Cを持ち、それぞれY・直列でTmy
1・A、Tmy1・B及びTmy1・C、Y・並列でT
my2・A、Tmy2・B及びTmy2・C、Δ・並列
でTmδ・A及びTmδ・B(Tmδ・Cは最高回転数
Nmax以上にあり図示範囲外)、各変曲点は、例えば
領域A・C間について、各垂線Ny1e,Ny2e及び
Nδeから電機子抵抗降下Er(%)=Ia*Ra(電
機子電流Iaと電機子抵抗Raとの積)だけ下がってい
る。
【0059】各トルク特性とも、過負荷(逆・順変換回
路の定格電流について200%I)及び全負荷(同10
0%I)の両者の曲線を示すが、Δ接続では定格相電流
の200%及び100%、Y接続では定格相電流の34
6%及び173%の負荷電流であり、最大トルクは過励
磁(125%Φ)の定トルク域で、Y接続で433%及
びΔ接続で250%である。
【0060】[抑速用回生トルク] 回生ブレーキの
内、抑速トルク特性曲線Tgy1s、Tgy2s及びT
gδsは、各変速段について、界磁過励磁の分巻分に負
荷電流に比例の直巻分を重ねた差動複巻特性で、各垂線
Ny1e、Ny2e及びNδeからトルクが立ち上が
り、その立ち上がり域は、励磁の分巻・直巻の各成分を
調整して、無段階で高速側に移動でき且つ立ち上がり勾
配も変えられるので、自動抑速制御に使用する。
【0061】[減速用回生トルク] 上記の抑速トルク
の直巻分をゼロにすれば、分巻特性の強力な減速トルク
特性が得られ、Y・直列では過励磁・限流制御の定トル
クの曲線Tgy1b、Y・並列及びΔ・並列では実線曲
線で示す減励磁・限流制御の定出力の曲線Tgy2b及
びTgδbまたは破線曲線で示す過励磁・限流制御の定
トルクの曲線Tgy2max及びTgδmaxとなる。
【0062】[回生起電力・電力] Y・並列及びΔ・
並列において、普通の運転サイクルでは、前者Tgy2
b及びTgδbでも減速トルクとして充分であり、起電
力Eも斜線Y2e及びΔeの実線部分のように、架線電
圧Vプラス電機子抵抗降下Er(%)より上がらない
が、急勾配降坂時の減速等、必要に応じ後者Tgy2m
ax及びTgδmaxを以て中・高速域の減速トルクを
強化すれば、起電力Eは、斜線Y2e及び△eの破線部
分のように上がり、最高値は、それぞれEy2max=
3^0.5*V*(1+Er)及びEδmax=Nm
ax/Nδe*V*(1+Er)のように、Y・直列
Ey1max=2*V*(1+Er)と同様に高く
なるとともに、銅損増加なく、Y・直列で電動機定格出
力の2倍、Y・並列で3^0.5倍、Δ・並列でNma
x/Nδe倍(Y・並列と同等)の最大回生電力に達す
る。
【0063】[勾配負荷] 軌道の各勾配(単位‰)に
おける電動機の負荷トルクを、上述の電動・回生トルク
特性に重ねて示すように、実線曲線のs=0は平坦、s
=+10、s=−10は緩勾配線区の、s=+25、s
=−25は急勾配線区の、それぞれ登坂及び降坂のもの
で、低・中速域では電動トルクTmδ(100%I)及
び抑速トルクTgy1s、Tgy2s、Tgδs以下、
即ち定格相電流のトルク内で運転可能、s=+35、s
=−35は特別急勾配区間のもので、軽度の過負荷相電
流のトルク内で運転可能であり、なお、各勾配につい
て、短時間定格(150%1時間)の速度上限までの負
荷トルク曲線を示す。
【0064】なお、特別急勾配区間の降坂(s=−3
5)では、抑速トルクTgy1s、Tgy2s、Tgδ
sは、励磁の直巻成分を小さくしトルクを増加、また
は、加速気味のときに時々、主幹制御器ハンドルを抑速
ノッチのままで強く押し下げ、減速トルクTgy1b、
Tgy2b、Tgδbを作動させ速やかに戻速する操作
で対応できる。
【0065】[4台直列・倍電圧回生] 図2のように
2組の電動機に更に直・並列切り替え接触器31S、3
1Pを付加すれば破線で示すように、4台のY・直列で
電動・回生トルク曲線Tmyo及びTgyobが、図3
のようにY・直列で倍電圧変換回路32を付加すれば、
回生トルク曲線及びTgyobが得られ、回生域下限を
更にNy1eの半速Nyoeに下げることができ、Tm
yoを微速段電動に、Tgyobを微速段回生にして、
電力回収率を更に高めることができる。
【0066】[加速度] 平坦線(s=0)について、
電動機の余裕トルクを加・減速トルクとして加速度α
(km/h/s)に換算した値を、縦軸目盛に併せて示
すように充分大きく、急勾配においても充分な加速・力
行及び回生ブレーキが可能である。
【0067】図5(a)において、図1の接触器9、1
0をダイオード33、34に、接触器11をサイリスタ
の如きスイッチング素子35に代え、チョッパー7に係
るダイオード16、17とともに無接点(Solid−
State)のブリッジ回路を形成し、受電、蓄電及び
回生電力のいずれもチョッパー6を順方向に通すように
すれば、電動機の逆・順変換回路20のインバータ20
1は単に整流子作用のみとし、コンバータ20Cをダイ
オードだけで構成して単に整流器とし、図1の補充電及
びY・直列の電動だけでなく、電動・回生全段において
チョッパー6だけで電流制御することができるが、チョ
ッパー6及びリアクトル7の負荷定格の倍増を要し、チ
ョッパー6及びそれに隣接の回路(ダイオード5、1
7、33、34)や直・並列切り替え回路27S、27
Pにも、回生ブレーキの過電圧(定格の2倍)が掛かる
範囲が拡り、回路素子や機器の耐圧増加を要する嫌いが
ある。
【0068】図5(b)において、図1のチョッパー7
に係るダイオード16、17を接触器15及び36に代
え、停車及び惰行時は15「入」、36「切」にして受
電電力で充電し、電動の時は15「切」、36「入」に
して主に蓄電電力放電で加速し、定常負荷に至って蓄電
電圧が下がって受電電力に負荷が移った時36「切」に
して蓄電回路を切り離し、近接車両の重負荷遮断で架線
電圧急昇による充電突入電流を避け、抑速及び減速時に
は15「入」にしての回生電力で充電するよう、関連制
御回路を構成してもよいが、負荷移行の検出や接触器3
6の作動のタイミング(Timing)に注意を要す
る。
【0069】
【実施例2】実施例2として、台車毎に動力単位を構成
し、2軸台車3組を持つ、電気機関車の動力装置を挙
げ、図6により説明する。
【0070】架線1に接触の2基の集電器2で受電の架
線電力を、各動力単位(3組)に、回路遮断器4、ダイ
オード5を経て給電し、また、車両内の低圧電源とし
て、各ダイオード5の負荷側からダイオード37を介し
て、共通1組の車両内電源用インバータ29により補
機、照明及び界磁に、更に直流100V電源回路30を
経て制御、拡声・通信及び非常用機器に給電するが、3
組の動力単位相互間で、機器特性及び作動の不同等から
蓄電電圧に不同あるときは、ダイオード37で相互間の
横流は阻止され、蓄電電圧の高い動力単位から車両内電
源用に給電・消費され、常に不同縮小の方向に作用す
る。
【0071】各動力単位の蓄電器12及びチョッパー6
に係る回路並びに各電機子巻線18A、Y・Δ切り替え
用接触器21Y、21Δ、逆・順変換回路20及びその
直・並列切り替え用接触器27S、27Pは、図1に示
す実施励1と全く同様の他、30度の位相差を持つ電機
子の2巻線18Aに共通1組の回転界磁18F、分配器
19及び主制御回路22を配し、Y・直列(1速)、Y
・並列(2速)及びΔ・並列(3速)の変速3段を1軸
に持つ電動機2台を永久並列接続して、1動力単位を形
成する。
【0072】図の上で電動機18の上・下にY接続の位
相図を示すように(Δ接続ではそれと同様につき図示省
略)、各電機子巻線18Aの各相Ua、Va、WaとU
b、Vb、Wbとは30度の位相差があり、それぞれ3
相ブリッジ形の逆・順変換回路20で正(+)の半サイ
クル(実線で示す)及び負(−)の半サイクル(点線で
示す)とも作動して、それぞれ6相(Ua、Wa’、V
a、Ua’、Wa、Va’及びUb、Wb’、Vb、U
b’、Wb、Vb’)の如くなり、図の逆・順変換回路
20の左下に示す位相図のように、直流側で合成され恰
も12相の如くなって、トルク及び整流電圧波形の脈動
周期が半減する。
【0073】なお、図2及び図3に示す4台直・並列切
り替え接触器31S、31P及び倍電圧変換回路32
を、実施例1と同様に適用して、Y・直列の更に半速の
微速電動・回生域が得られる。
【0074】起電力E、トルクT、加速度α等の特性
は、一般に、1列車編成の電動機出力合計と車両重量合
計との比が実施例1の電動客車より小さいため、勾配抵
抗sが増し、加速度αが減る他、定性的には図4と同様
になるので図示及び説明を省略する。
【0075】
【実施例3】長距離の急勾配線区に、架線回路に蓄電装
置を配して蓄電線区とした実施例について、図7により
主に複線の場合を、単線の場合は{}を付し説明する。
【0076】図7(a)において、一般に架線系統は、
各変電所41の整流器42から回路遮断器43U、43
D{43}を経て上り・下り線の軌道40U、40D
{40}の各架線1U、1D{1}に接続、回路遮断器
43U、43D{43}を介して隣接給電区間の各架線
と直列、隣接の各変電所と並列の接続になり、また、各
架線1U、1D{1}は、変電所毎に給電区間のエヤセ
クション44U、44D{44}を配し、回路遮断器4
3U、43D{43}が「切」で個別に無電圧にして故
障架線の切り離し及び保守・点検ができるよう構成され
ている。
【0077】本発明においては、急勾配線区を蓄電線区
とし、その両端に無電圧架線45U、45D{45}を
上り・下り線の各架線1U、1D{1}にそれぞれ配
し、隣接の非蓄電線区と区分し、車両通過時に集電器2
の橋絡による、蓄電電力の非蓄電線区との突入横流を避
け、各変電所間の適当な箇所(例えば2箇所に振り分け
等間隔)に蓄電装置46を配する。
【0078】蓄電装置46において、上り・下り線の両
架線1U、1D{1}から各回路遮断器47U、47D
{47}並びに共通のリアクトル48を介して、蓄電器
49に接続、蓄電器49の接地側に故障電流抑制用抵抗
器50とその側路用接触器51及び電流検出器52を配
し、回路遮断器47U、47D{47}及び接触器51
は、制御線53を介して、変電所41の回路遮断器43
U、43D{47}と連動するよう構成する。
【0079】車両54が蓄電線区に進入すると、登坂力
行では、電動電力を主に最寄りの変電所41及び蓄電装
置46から架線1U{1}を介して受けるが、設置間隔
及び内部抵抗が小さい蓄電装置46の蓄電電力を主に消
費しながら各給電区間を通過次第、変電所41から給電
されて蓄電装置46を補充電、降坂抑速では、回生電力
は変電所41の整流器42に阻止されるので、全電力を
蓄電装置46に充電しながら各給電区間を通過し、その
電動・回生電力の処理は、車両54に最寄り及び近接の
蓄電装置46が架線抵抗に応じて分担しながら、走行方
向に移行する。
【0080】車両55が蓄電線区に降坂方向に進入し、
無電圧架線45D{45}を通過する時、図1(図6も
同様)の接触器9「入」に加え、接触器11が自動的に
「入」になって受電回路のダイオード5を側路し、回生
電力を架線1D{1}に送り出して蓄電器12の過充電
(過電圧)を避けるが、蓄電器12の蓄電電力は、対向
車両54の蓄電線区への登坂力行進入または発進・加速
で架線電圧が低下しても、ダイオード16、5及び接触
器10「切」で阻止・保持され、また、蓄電線区から進
出する時には、無電圧架線45D{45}の通過で接触
器11が自動的に「切」となってダイオード5の側路を
解除する。
【0081】蓄電線区で走行の対向車両54、55の間
の電力授受は、架線1U、1D、変電所41及び蓄電装
置46の回路遮断器43U、43D及び47U、47D
を介して直接行なわれるが、両車両54、55の間の架
線抵抗のため、最寄り及び近接の蓄電装置46の緩衝充
放電を伴って架線電流を低減し、円滑且つ小さい電力損
失で行なわれ、また、変電所41は、上述も同様に、車
両54、55の走行抵抗、動力装置の損失及び車両内消
費の電力の供給が主となり、負荷を低減且つ平準化され
る。
【0082】上り線の架線1U(または1D)の地絡等
の故障時には、その故障突入電流で蓄電装置46の回路
遮断器47U(または47D)が変電所41の回路遮断
器43U(または43D)と連動して遮断し、エヤセク
ション44U(または44D)の間の架線1U(または
1D)を無電圧にし、故障復旧の電源再投入では、故障
で低落した蓄電電圧の回復に伴う蓄電器49の突入電流
を、抵抗器50で抑制しながら充電した上、接触器51
で再短絡し常状態になる。
【0083】その給電区間で架線故障に遭遇あるいはそ
の区間に進入した時は、速やかに制動・停止するが、登
坂の場合には図1のダイオード5で、降坂の場合は接触
器11が「切」になってダイオード5で、蓄電電力及び
回生電力の架線への逆流を阻止して車両内に保持し、架
線を無電圧に保つとともに、軌道・架線等の施設状況を
視認の上、その状況によっては、車両内の蓄電電力で微
速・低速運転し、前進あるいは後進で最寄りの健全区間
に脱出もできる。
【0084】
【発明の効果】図8(a)において、車両の加速・力行
は、実際には破線曲線のようになるが、等価的には実線
折線に置き換えて単純化し、表1で実施例1の電動客車
(3M3T編成)について計算し、車両の発進・加速α
1・力行α2・惰行−α2・減速β・停止の運転サイク
ルを示すように、加速α1及び力行α2で消費された動
力Pd1+Pd2は、走行抵抗Fr及びFrmaxによ
る実効動力ΣPe=Pea+Per+Pebと減速βで
処理される制動動力Pbに変わるが、制動動力Pbは車
両の運動のエネルギーをであり、その割合は表1に示す
ように、制動動力率ηb=50〜64%に及び、また、
勾配抵抗Fsは位置のエネルギーに、走行抵抗Frが実
効動力に相当するが、登坂では力行牽引力Fd=Fs+
Frを要し、降坂では抑速制動力Fb=Fs−Frにな
るが、その比は表1に示すように、抑速動力率ηs=F
b/Fdは緩勾配(10‰)でも34〜53%、急勾配
(25‰)では67〜78%、更に特別急勾配(35
‰)では75〜84%に及び、回生ブレーキを持たない
車両では、それを車輪ブレーキの摩擦熱や発電ブレーキ
の抵抗熱で大気中に捨てているが、それを本発明の蓄電
装置と回生ブレーキで回収し次の加速と登坂に再利用す
れば、エネルギー回収率ηreは、回生下限速度vbま
での回生ブレーキ率ηg及び動力装置の効率ηpを加味
して、減速制動では、加速・力行の消費電力の36〜4
1%(vb=20km/h)から37〜46%(vb=
10km/h)、抑速制動では、登坂力行の消費電力の
26〜40%(緩勾配)、50〜59%(急勾配)や5
7〜63%(特別急勾配)に達し、電力消費を半減でき
る訳である。
【0085】
【表1】
【0086】動力装置の主要部となる電動機及び制御装
置について、回転機として高効率の同期電動機を使用
し、極めて低損失のサイリスタを制御素子とするチョッ
パーや逆・順変換回路を組み合わせた直流無整流子電動
機は、その3相電機子巻線のY・Δ切り替えと複数電動
機の直・並列切り替え及び界磁制御を伴って、直流電動
機並の高トルクと更に広い電動・回生域(実施例1で
は、140km/hに近い最高速度から10〜20km
/hの回生下限速度)を持ち、下記の蓄電器の極めて高
い充・放電効率と相まって、上記の電力回収率ηreを
可能にする訳であり、また、回転界磁は、スリップリン
グ及び分配器を要するが小電力・小形で済み、他励のた
トルク/電流比は電圧変動の影響を受けないので、
磁電流が電圧・周波数により変化する誘導電動機より遥
かに有利である。
【0087】図8(b)において、前サイクルの回生・
充電で架線電圧VよりδVc高い蓄電電圧でY・直列
及びY・並列の定トルク域で曲線Pm・Aのように電動
電力Pmが増加しながら発進・加速するが、Y・並列及
びΔ・並列の定電力域で曲線Pm・Bのように平坦にな
り、垂下トルク域で破線曲線Pm・Cのように負荷が下
がるが、Y・並列の加速途中で蓄電電圧Vcが架線電圧
以下に下がるに伴い、負荷が受電電力pt・Aに移
行し、放電電力PmcはPm・C−Pt・Aの実線曲線
となり、惰行に至って、受電電力pt・Bで蓄電器12
にチョッパー6で限流しながら電力Pcを充電し、蓄電
電圧Vcが架線無負荷電圧Vに回復するまで続き、減
速の回生ブレーキでΔ・並列及びY・並列の定出力域T
g−Bの平坦な曲線、続いてY・直列の定トルク域で回
生電力Pgは曲線Tm−Aのように低降しながら充電し
て、蓄電電圧Vcを再びV+δVcに上げながら回生
域下限速度Vbに達し、車輪ブレーキで制動・停止する
が、架線1より受電電力Pt=Pmt+Pcは、加速及
び減速時の電力Pm=Pmc+Pmt及びPgに比し格
段に小さい値に平準化されるので、架線1には加速・減
速の過負荷は掛からず、電圧変動は格段に(10%以下
に)小さくなり、20〜40%に及んだ従来の架線の電
圧降下による、電力損失が半減(1/2〜1/4)でき
る訳である。
【0088】上記のように、蓄電器12、49の充・放
電による電力回収及び緩衝作用により、車両の電力消費
の低減とともに、変電所及び架線の負荷が平準化されて
更に軽減され、ダイオード5や変電所整流器42及び蓄
電線区の両端の区分用無電圧架線の電力逆流・横流の阻
止と相まって、架線の電圧変動の中央値が無負荷電圧に
極めて近い値に保持されるので、車両内の動力機器他電
気機器は常に定格電圧で作動でき、定格性能・寿命両面
の改善は著しく、また、高い運転密度においては、変電
所容量、設置間隔、給電線銅量をかなり節約できること
になる。
【0089】表2に実施例1、2の電動車両について蓄
電作動特性を示すように、それぞれ動力単位毎に静電容
量1000〜2000F級の蓄電器で、加速・減速の2
00%負荷の電動・回生電力を架線定格の±10%を充
分下回る電圧変動で充・放電処理し、150%負荷を伴
う急勾配の登坂力行及び降坂抑速の電動・回生電力を、
定格の10%の電圧変動での充・放電気量(KA−s)
で通常の駅区間の5分以上の運転が可能であり、それよ
り更に長い急勾配線区では、実施例3のように蓄電線区
とし、その線区の距離dが車両内蓄電器での走行時間t
cに係る単位距離dc=tc*vのn倍の場合は、車両
内蓄電器の(n−1)倍の蓄電器容量合計を蓄電線区に
配し、その両端の鉗離dcの区間では車両内蓄電器の1
/2の容量として、また、その蓄電線区の車両運行サイ
クルで同方向に続く車両数が2本あれば、蓄電器容量合
計は2(n−1)倍で、あるいは、それが日毎の運行全
体から見て稀な場合は、その時だけ電圧変動を2倍(2
0%)まで許容して、対応可能なことが分かる。
【0090】
【表2】
【0091】直流回路の蓄電器は、交流電力回路の進相
用蓄電器のような誘電体損失は無く、対向極板間の漏洩
電流は車両運転サイクルの分単位は勿論、夜間休止を含
む日単位でも微小で無視でき、対向及び引出し導体の抵
抗によるジュール熱が電力損失の殆どであるが、電動機
の銅損よりずっと小さいので充・放電効率は極めて高
く、蓄電池の如き化学反応の時間遅れが皆無で、秒・分
単位の急速大電力処理が可能のため、車両の慣性エネル
ギー及び登・降坂エネルギーの処理には最適である。
【0092】蓄電用蓄電器は、最近、電気自動車の開発
に伴い、その動力電源用として大容量(数百〜数千ファ
ラッド級)且つ高電圧(数百ボルト級)が出現して試用
段階にあり、本発明に係る電気鉄道の1500Vのもの
も技術的には充分可能と考えられ、単器容量を標準化し
て量産すればコスト(Cost)も下がり、また、同期
電動機は勿論、サイリスタ、ダイオード、リアクトル、
接触器等の回路素子や機器も電力用や動力用として大容
量、高耐圧、重債務のものが既に広く実用され、高信頼
性と低価額で供給されているので、本発明の動力装置
は、技術的・経済的両面で充分実現可能と考える。
【0093】既存の直流電気鉄道は、日本国内ではJR
在来幹線及び私鉄の大部分を、ヨーロッパでも架線電圧
1000V以下や3000Vもあって電化区間の大半を
占めており、その運転密度も高いので、その電力消費量
は膨大な数字に上るが、前述の制動動力率ηbや抑速動
力率ηsのように無益に消費されている電力や、電圧降
下による電力損失を低減するよう努力されているが、本
発明は、それを格段に前進するものであり、新規電化の
区間は勿論、既存の電化区間においても本発明の段階的
適用も可能であり、上記の蓄電用大容量蓄電器の開発・
実用化を併行して、その効果は絶大であると思考する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両の動力単位の全体の動力系統を
示す回路図。
【図2】実施例1の車両の動力単位を構成する電動機4
台のY・Δ及び直・並列切り替えを示す回路図。
【図3】実施例1の車両の動力単位の主回路に倍電圧変
換回路を配した場合の回路図。
【図4】実施例1の車両の電動装置のY・Δ及び直・並
列切り替えより成る変速段において、走行速度及び回転
数と電機子起電力、電動・回生ブレーキトルク及び各軌
道勾配における負荷トルクとの関係を示す図表。
【図5】実施例1の車両の動力単位の主回路の切り替え
回路の別例の回路図で、(a)はダイオード及びサイリ
スタで無接点化した場合、(b)は接触器を使用した場
合を示す。
【図6】実施例2の車両の動力単位の全体の動力系統を
示す回路図。
【図7】実施例3の蓄電線区の給電回路を示し、(a)
は架線回路図、(b)は蓄電装置の主要部を示す回路
図。
【図8】車両の運転サイクルにおける動力装置の挙動を
示す図表で、(a)は、慣性・走行抵抗及び動力につい
て示し、(b)は、電動、回生、受電及び蓄電電力と電
圧について示す。
【符号の説明】 1、1U、1D 架線 2 集電器 3 電線 4、14 回路遮断器 5、16、17、33、34、37 ダイオード 6 チョッパー 7、25 リアクトル 8、24 電流検出器 9、10、11、15、36 接触器 12 蓄電器(蓄電用) 13 断路器 18 同期電動機、18A 電機子巻線、18F 回転
界磁 19 分配器 20 逆順変換回路、20I インバータ、20C コ
ンバータ 21Y、21Δ、27S、27P、31S、31P 接
触器 22 主制御回路 23 電圧検出器 26 蓄電器(平滑用) 28 中央制御回路 29 車両内低圧電源用インバータ 30 直流100V電源回路 32 倍電圧変換回路 D1、D2、D3、D4 ダイオード S1、S2、S3、S4 制御素子 C1、C2 蓄電器 35 スイッチング素子 40、40U、40D 軌道 41 変電所 42 整流器 43、43U、43D、47、47U、47D 回路遮
断器 44、44U、44D 架線区分点 45、45U、45D 無電圧架線 46 蓄電装置 48 リアクトル 49 蓄電器(蓄電用) 50 抑流抵抗器 51 接触器 52 電流検出器 53 制御線 54、55 車両 [図4の符号] 斜線Y1 Y・直列(全励磁)の起電力 斜線Y2 Y・並列(全励磁)の起電力 斜線Δ Δ・並列(全励磁)の起電力 斜線Y1e Y・直列(過励磁)の起電力 斜線Y2e Y・並列(過励磁)の起電力 斜線Δe Δ・並列(過励磁)の起電力 水平線V 架線電圧 点y1 Y・直列(全励磁)の電動域上限及び回生域
下限 点y2 Y・並列(全励磁)の電動域上限及び回生域
下限 点δ Δ・並列(全励磁)の電動域上限及び回生域
下限 点y1e Y・直列(過励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点y2e Y・並列(過励磁)の電動域上限及び回生
域下限 点δe Δ・並列(過励磁)の電動域上限及び回生域
下限 点Ey1max Y・直列(過励磁)の最高回生電圧 点Ey2max Y・並列(過励磁)の最高回生電圧 点Eδmax Δ・並列(過励磁)の最高回生電圧 垂線Ny1 Y・直列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Ny2 Y・並列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Nδ Δ・並列(全励磁)の無負荷回転数 垂線Ny1e Y・直列(過励磁)の無負荷回転数 垂線Ny2e Y・並列(過励磁)の無負荷回転数 垂線Nδe Δ・並列(過励磁)の無負荷回転数 曲線Tmy1 Y・直列の電動トルク特性 曲線Tmy2 Y・並列の電動トルク特性 曲線Tmδ Δ・並列の電動トルク特性 付属符号A 定トルク域 付属符号B 定出力域 付属符号C 垂下トルク域 曲線Tgy1s Y・直列の抑速トルク特性 曲線Tgy2s Y・並列の抑速トルク特性 曲線Tgδs Δ・並列の抑速トルク特性 曲線Tgy1b Y・直列の減速トルク特性 曲線Tgy2b Y・並列の減速トルク特性(定出力) 曲線Tgδb Δ・並列の減速トルク特性(定出力) 曲線Tgy2max Y・並列の減速トルク特性(定ト
ルク) 曲線Tgδmax Δ・並列の減速トルク特性(定ト
ルク) 垂線Nyoe 4台Y・直列(過励磁)の無負荷回転数 点線曲線Tmyo 4台Y・直列の電動トルク特性 点線曲線Tgyo 4台Y・直列の減速トルク特性 [図8の符号] 曲線α1 加速 曲線α2 力行、 曲線−α2 惰行 曲線β 制動曲線Fd、加速牽引力Pd 加速動力 v 走行速度vmax 最高速度vb 回生下
限速度 ta 加速時間tr 力行・惰行時間tb 制
動時間 t 運転時間tst 停車時間 tg 回生ブレーキ時間tw 車輪ブレーキ時間 Sa 加速距離Sr 力行・惰行距離Sb 制
動距離 Fa 慣性抵抗 Fr 走行抵抗Frmax 最大走行抵抗Fb
制動力 Fd1 加速牽引力Fd2 力行牽引力 Pd1 加速動力Pd2 力行動力 Pea、Per、Peb 実効動力(加速、力行・惰
行、制動) 曲線Pm・A 定トルク加速の電動電力 曲線Pm・B 定出力加速の電動電力 曲線Pm・C 垂下トルク加速の電動電力 曲線Pg・B 定出力制動の回生電力 曲線Pg・A 定トルク制動の回生電力 曲線Pt・A 加速・力行時の架線電力 曲線Pt・B 惰行時補充電の架線電力 面積Pmc 加速・力行時の放電電力量 面積Pmt 加速・力行時の架線電力量 面積Pc 惰行時補充電の架線電力量 面積Pg 制動時の充電電力量

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓄電用の蓄電器(12)を車両内に、ダ
    イオード(5)を架線(1)から集電の受電回路に配
    し、架線からの受電電力及び電動機の回生電力を蓄電器
    (12)に充電し、受電電力及び蓄電器(12)の蓄電
    電力を電動機回路に給電し、蓄電電力及び回生電力をダ
    イオード(5)で阻止して架線(1)に逆流しないよう
    構成した、電動車両の動力装置。
  2. 【請求項2】 受電回路のダイオード(5)の負荷側
    に、チョッパー(6)と、その周りにブリッジ形に、ダ
    イオード(16、17)を充・放電電流がチョッパー
    (6)を正方向に通るような極性に配して蓄電器回路
    に、接触器(9、10)の如き双方向スイッチング素子
    を配して電動機回路に、それぞれ接続して、停車及び惰
    行中には、受電電力をチョッパー(6)を介して蓄電器
    (12)に充電し、発進・加速及び力行並びに抑速及び
    減速・制動では、チョッパー(6)を介しまたは直接
    に、蓄電及び受電電力を電動機回路に給電並びに電動機
    回路から回生電力を蓄電器(12)に充電するよう構成
    した、請求項1の動力装置の主回路。
  3. 【請求項3】 勾配線区の架線(1U、1D)の給電区
    間(L)毎に適当数の蓄電装置(46)を配して蓄電線
    区とし、その両端に無電圧架線(45U、45D)を配
    して非蓄電線区との集電器橋絡を防止し、車両の登坂力
    行の電動電力を変電所(41)及び蓄電装置(46)か
    ら給電し、降坂抑速の回生電力を蓄電装置(46)に充
    電するよう構成した、電動車両の給電装置。
  4. 【請求項4】 請求項3の各々蓄電装置(46)に回路
    遮断器(47U、47D)と、蓄電装置(46)と変電
    所(41)との間に制御線(53)を配し、架線(1U
    または1D)が地絡等の故障時に、該給電区間(L)の
    変電所(41)の回路遮断器(43Uまたは43D)と
    連動して、蓄電装置(46)の回路遮断器(47Uまた
    は47D)が作動し、故障架線(1Uまたは1D)を切
    り離して無電圧にするよう構成した、架線回路の故障保
    護装置。
  5. 【請求項5】 各々蓄電装置(46)の蓄電器(49)
    に抵抗器(50)、接触器(51)及び電流検出器(5
    2)を配し、架線(1Uまたは1D)の故障回復時の電
    源再投入において、架線故障時に低落した蓄電電圧の回
    復に伴う突入充電電流を蓄電器(49)の過電流耐力以
    内に抵抗器(50)で抑流しながら電圧回復の上、接触
    器(51)を再投入するよう構成した、蓄電器の保護装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1の受電回路のダイオード(5)
    を側路する接触器(11)またはサイリスタ(35)の
    如きスイッチング素子を配し、車両が請求項3の蓄電線
    区に降坂方向に進入の際、無電圧架線(45D)を通過
    する時に、該スイッチング素子を「入」にし、蓄電区間
    走行中に車両内の蓄電器(12)に充電しながら抑速回
    生電力を架線(1D)に送り出すが、受電回路のダイオ
    ード(5)で車両内の蓄電器(12)の蓄電電力の送出
    を阻止し、蓄電区間より進出の際、無電圧架線(1D)
    を通過する時にスイッチング素子を「切」にするよう構
    成した側路回路。
  7. 【請求項7】 直流無整流子電動機の3相電機子巻線の
    Y・Δ及び複数機の直・並列切り替えを以て変速段を形
    成し、界磁制御及びチョッパー及び・または逆・順変換
    回路の電機子電流制御により、最高速度まで全負荷電動
    域を持ち且つ微速まで作動する回生域を持つよう構成
    し、あるいはそれに加えて、倍電圧変換回路を配して更
    に半速まで回生域を拡げるよう構成した電動車両の動力
    装置。
  8. 【請求項8】 4個のダイオード(D1、D2、D3、
    D4)及び4個のサイリスタの如き制御素子(S1、S
    2、S3、S4)で、それぞれブリッジ回路を形成し、
    各々同方向直列2素子のダイオード組(D1−D2組、
    D3−D4組)と制御素子組(S1−S2組、S3−S
    4組)との間にそれぞれ蓄電器(C1、C2)をH形に
    配し、ダイオードの各直列2素子を電源と負荷との間
    に、制御素子の各直列2素子を電源の正・逆極間にそれ
    ぞれ接続し、制御素子の各直列2素子の組内素子を交互
    に、組間の対角位置の素子を同時に導通させ且つその導
    通幅を制御し、蓄電器(C1、C2)の電源との並列・
    充電及び直列・放電とを、交互に適当な周波数で作動さ
    せて電源より高い電圧を、また、制御素子組の作動を停
    止して、ダイオード組を通じ電源電圧を、負荷に供給す
    るよう構成した倍電圧変換回路。
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