JPH09279172A - 機械加工油組成物 - Google Patents

機械加工油組成物

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JPH09279172A
JPH09279172A JP8126203A JP12620396A JPH09279172A JP H09279172 A JPH09279172 A JP H09279172A JP 8126203 A JP8126203 A JP 8126203A JP 12620396 A JP12620396 A JP 12620396A JP H09279172 A JPH09279172 A JP H09279172A
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JP
Japan
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carboxylic acid
alcohol
acid
carbon atoms
partial ester
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JP8126203A
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English (en)
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Isao Shimizu
勲 清水
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YACHIYO RES KK
Original Assignee
YACHIYO RES KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】公害面に問題が多い塩素化合物を代替し得る、
これと同等以上の焼付防止性と加工性とを有する非塩素
系化合物を発見し、これを配合して成る機械加工油組成
物を提供する。 【構成】本発明は、特定の脂肪族多価カルボン酸、芳香
族多価カルボン酸、ヒドロキシ多価カルボン酸、エステ
ル化ヒドロキシ多価カルボン酸、ジグリコール酸などの
多価カルボン酸の部分エステル、又はこれらの化合物と
有機多硫化物との混合物を配合することにより、焼付防
止性が優れ、加工性が秀でる機械加工油組成物を得るこ
とを特徴とする。 【効果】塩素化合物を含有しない、環境に優しい機械加
工油組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械加工油組成物に関
する。詳しくは、環境問題対応型機械加工油組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】切削、研削加工やプレス、引抜き、押出
し、圧延などの塑性加工においては、一般に加工材料と
工具との間の潤滑条件が厳しく、しばしばトラブルが起
きるが、とくに焼付きの発生は加工上致命的になるの
で、機械加工油には高度の焼付防止性が要求される。こ
のため極圧剤として塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エ
ステルなどの塩素化合物や硫化オレフィン、ジアルキル
ポリスルフィドなどの硫黄化合物が添加されることが多
い。とくに塩素化合物は、ステンレス鋼やチタンなどの
難加工材の機械加工油には従来不可欠であった。
【0003】しかし塩素化合物は使用時に分解して塩酸
を発生し、作業環境を汚染するだけでなく、廃油焼却処
分に際して、燃焼性が悪く、また生成した塩酸により炉
の腐食を起したり、燃焼ガス中の毒性物質生成の原因に
なるなど、大きな環境問題になっている。このため代替
耐荷重添加剤の開発が望まれているが、まだ十分なもの
は現れていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
塩素化合物に代替できる極圧剤の開発が大きな課題にな
っている。本発明は、塩素化合物と同等以上の焼付防止
性と加工性を有する非塩素系化合物を発見し、これを耐
荷重添加剤として配合して成る機械加工油組成物を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、焼付試験、研削性試験、成形性試験な
どを重ねて多くの化合物を評価した結果、機械加工油の
添加剤として焼付防止性と加工性がいちじるしく優れる
一群の非塩素系化合物を発見し、本発明を完成するに至
った。
【0006】本発明は、(1)1分子中に2個以上のカ
ルボン酸基を有し、かつカルボン酸基間の主鎖に置換基
を有しないか、又は炭素数が4以下のアルキル又はアル
ケニル置換基、あるいはヒドロキシ又はエステル置換基
を有する多価カルボン酸の部分エステルを、0.01〜
100質量%含有することを特徴とする、機械加工油組
成物、(2)1分子中に2個以上のカルボン酸基を有
し、かつカルボン酸基間の主鎖に置換基を有しないか、
又は炭素数が4以下のアルキル又はアルケニル置換基を
有する、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜22
の脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール又
は脂環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノー
ル類又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノエ
ステルである、炭素数が2〜14の脂肪族多価カルボン
酸の部分エステルを、0.01〜100質量%含有する
ことを特徴とする、機械加工油組成物、(3)1分子中
に2個以上のカルボン酸基を有する、カルボン酸基置換
アルコールが炭素数1〜22の脂肪族飽和アルコール又
は脂肪族不飽和アルコール又は脂環族アルコール又は芳
香族アルコール又はフェノール類又はグリコールモノエ
ーテル又はグリコールモノエステルである、炭素数が8
〜10の芳香族多価カルボン酸の部分エステルを、0.
01〜100質量%含有することを特徴とする、機械加
工油組成物、(4)1分子中に2個以上のカルボン酸基
を有する、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜2
2の脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール
又は脂環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノ
ール類又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノ
エステルである、炭素数が3〜8のヒドロキシ多価カル
ボン酸の部分エステルを、0.01〜100質量%含有
することを特徴とする、機械加工油組成物、(5)1分
子中に2個以上のカルボン酸基を有する、カルボン酸基
置換アルコールが炭素数1〜22の脂肪族飽和アルコー
ル又は脂肪族不飽和アルコール又は脂環族アルコール又
は芳香族アルコール又はフェノール類又はグリコールモ
ノエーテル又はグリコールモノエステルである、炭素数
が8〜13のエステル化ヒドロキシ多価カルボン酸の部
分エステルを、0.01〜100質量%含有することを
特徴とする、機械加工油組成物、(6)カルボン酸基置
換アルコールが、炭素数1〜22の脂肪族飽和アルコー
ル又は脂肪族不飽和アルコール又は脂環族アルコール又
は芳香族アルコール又はフェノール類又はグリコールモ
ノエーテル又はグリコールモノエステルである、ジグリ
コール酸の部分エステルを、0.01〜100質量%含
有することを特徴とする、機械加工油組成物、(7)1
分子中に2個以上のカルボン酸基を有し、かつカルボン
酸基間の主鎖に置換基を有しないか、又は炭素数が4以
下のアルキル又はアルケニル置換基、あるいはヒドロキ
シ又はエステル置換基を有する多価カルボン酸の部分エ
ステルを0.01〜80質量%と有機多硫化物を0.0
1〜80質量%とを含有することを特徴とする、機械加
工油組成物、を提供するものである。
【0007】本発明の機械加工油組成物の基油材源とし
ては、用途に応じて広域の粘度範囲の化合物が使用され
るが、水素化精製油、溶剤精製油、流動パラフィンなど
の精製鉱油、アルキルベンゼン、α−オレフィンオリゴ
マー、ポリブテンなどの合成炭化水素、n−デカン、n
−ドデカンなどの低分子量n−パラフィンなどが例示さ
れる。
【0008】上記(1)の多価カルボン酸の部分エステ
ルは、1分子中に2個以上のカルボン酸基を有し、かつ
カルボン酸基間の主鎖に置換基を有しないか、又は炭素
数が4以下のアルキル又はアルケニル置換基、あるいは
ヒドロキシ又はエステル置換基を有する多価カルボン酸
の部分エステルである。
【0009】多価カルボン酸としては、しゅう酸、マロ
ン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカン二酸、メチルマロン酸、エチルマ
ロン酸、メチルこはく酸、メチルマレイン酸、ジメチル
グルタル酸、メチレンこはく酸、ブチレンこはく酸、メ
チレングルタル酸などの脂肪族多価カルボン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリ
メシン酸、メチルフタル酸などの芳香族多価カルボン
酸、りんご酸、酒石酸、くえん酸、ヒドロキシフタル酸
などのヒドロキシ多価カルボン酸、O−アセチルりんご
酸、O−アセチルくえん酸、O−プロピオニルくえん酸
などのエステル化ヒドロキシ多価カルボン酸、ジグリコ
ール酸、ポリ(オキシエチレン)ジグリコール酸などの
ジグリコール酸などが例示される。
【0010】カルボン酸基置換アルコールとしては、エ
チルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコー
ル、ラウリルアルコールなどの脂肪族飽和アルコール、
ビニルアルコール、ヘプテニルアルコール、ドデセニル
アルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族不飽和ア
ルコール、シクロヘキシルアルコール、メチルシクロヘ
キシルアルコール、ブチルシクロヘキシルアルコールな
どの脂環族アルコール、ベンジルアルコール、フェニル
エチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、けい
皮アルコールなどの芳香族アルコール、フェノール、ク
レゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ナフ
トール、ヒドロキシビフェニルなどのフェノール類、エ
チレングリコールブチルエーテル(ブトキシエタノー
ル)、エチレングリコールモノオレイルエーテル、エチ
レングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル(ブトキシプロパノール)、
プロピレングリコールモノオクチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールモ
ノエーテル、エチレングリコールモノブチルエステル、
エチレングリコールモノオクチルエステルなどのグリコ
ールモノエステルやエポキシアルコール、ヒドロキシカ
ルボン酸エステルなどが例示される。
【0011】多価カルボン酸の部分エステルは、上記の
多価カルボン酸とカルボン酸基置換アルコールとの組み
合わせにより得られる。化合物の代表例として、マロン
酸モノオクチル、こはく酸モノエチル、こはく酸モノブ
チル、こはく酸モノオクチル、こはく酸モノラウリル、
こはく酸モノオレイル、こはく酸モノシクロヘキシル、
こはく酸モノベンジル、こはく酸モノクレジル、こはく
酸エチレングリコールモノオクチルエーテルモノエステ
ル、こはく酸エチレングリコールモノオクチルエステル
モノエステル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ
オクチル、マレイン酸モノオレイル、マレイン酸モノシ
クロヘキシル、マレイン酸モノベンジル、マレイン酸モ
ノブチルフェニル、マレイン酸エチレングリコールモノ
オクチルエーテルモノエステル、アジピン酸モノオクチ
ル、アジピン酸モノベンジル、メチルこはく酸モノオク
チル、メチレンこはく酸モノオクチルなどの脂肪族多価
カルボン酸部分エステル、フタル酸モノブチル、フタル
酸モノオクチル、トリメリト酸モノオクチルなどの芳香
族多価カルボン酸部分エステル、りんご酸モノオクチ
ル、りんご酸モノオレイル、りんご酸モノベンジル、く
えん酸ジブチル、くえん酸ジオクチル、くえん酸ジベン
ジル、くえん酸エチレングリコールモノオクチルエーテ
ルジエステル、くえん酸ジ−2−メタクリロイルオキシ
エチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸部分エステル、
O−アセチルりんご酸モノオクチル、O−アセチルくえ
ん酸ジオクチル、O−アセチルくえん酸ジシクロヘキシ
ルなどのエステル化ヒドロキシ多価カルボン酸部分エス
テル、ジグリコール酸モノオクチル、ジグリコール酸モ
ノオレイル、ジグリコール酸モノベンジルなどのジグリ
コール酸部分エステルなどが挙げられる。
【0012】上記(2)の脂肪族多価カルボン酸の部分
エステルは、カルボン酸基間の主鎖の炭素結合状態によ
り、飽和及び不飽和多価カルボン酸の部分エステルに分
けられる。飽和多価カルボン酸の部分エステルは、
【化1】に示す化学構造を有するものである。
【0013】
【化1】
【0014】
【化1】において、「p」及び「q」数は、0〜12、
「m」数は、0又は1、R及びRは、H、又は炭素
数1〜4のアルキル基又はアルケニル基である。カルボ
ン酸基置換アルコールは、上記(1)の説明においてカ
ルボン酸基置換アルコールとして記載したものと同様で
ある。
【0015】この場合の化合物としては、しゅう酸モノ
オクチル、マロン酸モノブチル、マロン酸モノオクチ
ル、こはく酸モノエチル、こはく酸モノブチル、こはく
酸モノオクチル、こはく酸モノラウリル、こはく酸モノ
オレイル、こはく酸モノシクロヘキシル、こはく酸モノ
ベンジル、こはく酸モノクレジル、こはく酸エチレング
リコールモノオクチルエーテルモノエステル、こはく酸
エチレングリコールモノオクチルエステルモノエステ
ル、グルタル酸モノオクチル、アジピン酸モノプロピ
ル、アジピン酸モノオクチル、アジピン酸モノベンジ
ル、スベリン酸モノメチル、エチルマロン酸モノブチ
ル、メチルこはく酸モノオクチル、メチレンこはく酸モ
ノオクチルなどが例示される。
【0016】また不飽和多価カルボン酸の部分エステル
は、
【化1】において、カルボン酸基間の主鎖の炭素結合に
不飽和結合を有するもので、マレイン酸、フマル酸、メ
チルマレイン酸などの部分エステルがある。カルボン酸
基置換アルコールは、上記(1)の説明においてカルボ
ン酸基置換アルコールとして記載したものと同様であ
る。
【0017】この場合の化合物としては、マレイン酸モ
ノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオク
チル、マレイン酸モノオレイル、マレイン酸モノシクロ
ヘキシル、マレイン酸モノベンジル、マレイン酸モノブ
チルフェニル、マレイン酸エチレングリコールモノオク
チルエーテルモノエステル、フマル酸モノブチル、フマ
ル酸モノオクチル、メチルマレイン酸モノオクチルどが
例示される。
【0018】上記(3)の芳香族多価カルボン酸部分エ
ステルの芳香族多価カルボン酸はベンゼン多価カルボン
酸で、ジカルボン酸としてフタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、メチルフタル酸など、トリカルボン酸とし
てヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸などがあ
る。カルボン酸基置換アルコールは、上記(1)の説明
においてカルボン酸基置換アルコールとして記載したも
のと同様である。
【0019】この場合の化合物としては、フタル酸モノ
エチル、フタル酸モノブチル、フタル酸モノオクチル、
フタル酸モノデシル、フタル酸モノベンジル、フタル酸
エチレングリコールモノオクチルエーテルモノエステ
ル、テレフタル酸モノオクチル、トリメリト酸モノオレ
イル、トリメリト酸ジオクチル、トリメシン酸ジブチル
などが例示される。
【0020】上記(4)のヒドロキシ多価カルボン酸部
分エステルのヒドロキシ多価カルボン酸はヒドロキシア
ルカン多価カルボン酸で、りんご酸、酒石酸、くえん酸
などがある。カルボン酸基置換アルコールは、上記
(1)の説明においてカルボン酸基置換アルコールとし
て記載したものと同様である。
【0021】この場合の化合物としては、りんご酸モノ
オクチル、りんご酸モノラウリル、りんご酸モノオレイ
ル、りんご酸モノシクロヘキシル、りんご酸モノベンジ
ル、くえん酸ジエチル、くえん酸ジブチル、くえん酸ジ
オクチル、くえん酸ジラウリル、くえん酸ジオレイル、
くえん酸ジベンジル、くえん酸ジクレジル、くえん酸エ
チレングリコールモノオクチルエーテルジエステル、酒
石酸モノオレイルなどが例示される。
【0022】上記(5)のエステル化ヒドロキシ多価カ
ルボン酸部分エステルのエステル化ヒドロキシ多価カル
ボン酸はヒドロキシアルカン多価カルボン酸のヒドロキ
シ基をエステル化したもので、O−アセチルりんご酸、
O−アセチル酒石酸、O−アセチルくえん酸などがあ
る。カルボン酸基置換アルコールは、上記(1)の説明
においてカルボン酸基置換アルコールとして記載したも
のと同様である。
【0023】この場合の化合物としては、O−アセチル
りんご酸モノオクチル、O−アセチルりんご酸モノオレ
イル、O−アセチルりんご酸モノシクロヘキシル、O−
アセチルくえん酸ジエチル、O−アセチルくえん酸ジブ
チル、O−アセチルくえん酸ジオクチル、O−アセチル
くえん酸ジシクロヘキシル、O−アセチルくえん酸ジベ
ンジルなどが例示される。
【0024】上記(6)のジグリコール酸部分エステル
のカルボン酸基置換アルコールは、上記(1)の説明に
おいてカルボン酸基置換アルコールとして記載したもの
と同様で、この化合物としては、ジグリコール酸モノオ
クチル、ジグリコール酸モノラウリル、ジグリコール酸
モノオレイル、ジグリコール酸モノベンジルなどが例示
される。
【0025】上記(7)の多価カルボン酸の部分エステ
ルは、上記(1)の説明において記載したものと同様で
ある。
【0026】上記(7)の有機多硫化物は、分子中にC
−Sx−C(x:2以上)結合を有するもので、ジオク
チルジスルフィド、ジノニルポリスルフィド、ジフェニ
ルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフ
ィン、硫化油脂などが例示される。
【0027】上記の非塩素系耐荷重添加剤は0.01〜
100質量%の広範囲で好ましい性能が得られる。
【0028】本発明の機械加工油組成物には、必要に応
じて、従来より公知の酸化防止剤、錆止め剤、腐食防止
剤、清浄分散剤などを、単独又は併用して配合すること
ができる。
【0029】
【作用】潤滑油の耐荷重添加剤には、塩素化パラフィ
ン、硫化オレフィン、りん酸トリクレジルのような極圧
剤とラウリルアルコール、ステアリン酸のような油性剤
とがあり、前者は無機質反応膜、後者は吸着膜を摩擦面
に形成して、摩擦の減少、摩耗、焼付の防止に有効に働
くことが知られている。後者の場合、アルキル基間のフ
ァン・デル・ワールス力により強固な吸着膜を形成する
といわれ、一般に炭素数が10以上の直鎖状長鎖アルキ
ル基の一端に極性基をもつ化合物が利用されている。こ
れに対し、本発明の機械加工油組成物に関わる、一群の
非塩素系化合物は、化学構造的には油性剤に分類される
ものであるが、ステアリン酸などの従来の油性剤とは異
なった化学構造と作用機構を有するものである。
【0030】本発明の機械加工油組成物に関わる、多価
カルボン酸の部分エステルにおいては、焼付防止性の発
現に多価カルボン酸主鎖への長鎖アルキル基の導入を必
要としない。またカルボン酸基置換基についても焼付防
止性に関しては長鎖アルキル基であることを必要とせ
ず、基油に対して溶解性をもたせることに主たる意味が
ある。このことは、本発明の機械加工油組成物に関わ
る、多価カルボン酸の部分エステルの作用機構が、従来
の油性剤とは全く異なったものであることを示してい
る。
【0031】これらの化合物の作用機構については、先
ず遊離のカルボン酸基が金属表面に吸着し、次いでトラ
イボ化学反応によりエステル結合が分解する。この単分
子吸着膜上に複数の官能基をもつ添加剤、又はその反応
生成物が水素結合により強固な多層吸着膜を形成し、焼
付防止作用をするものと考えられる。強固な吸着膜の形
成を、ステアリン酸などの従来の油性剤ではアルキル基
間のファン・デル・ワールス力に依存しているのに対し
て、本発明の機械加工油組成物に関わる、多価カルボン
酸の部分エステルでは、官能基間の水素結合力により発
現しているものと考えられる。
【0032】多価カルボン酸部分エステルと有機多硫化
物とを併用すると、相乗効果が現れるのは、硫化膜の生
成が多価カルボン酸部分エステルの吸着を促進するため
と考えられる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれにより限定されるものではない。
【0034】実施例の試験条件は次の通りである。 (1)焼付試験 シェル式四球試験機を用い、下記の条件で荷重が30k
gfから90kgfまで10kgf間隔で実施し、試験
中に摩擦トルクの急増、異常音の発生などの現象が起
き、摩耗面に焼付条痕が生成した荷重をもって焼付荷重
とした。 A法:回転数 1,440r.p.m.、時間 5分。 回転球、固定球ともに玉軸受用鋼球。 B法:回転数 400r.p.m.、時間 5分。 回転球 玉軸受用鋼球、固定球 SUS304ステンレス鋼球。
【0035】(2)研削性試験 シェル式四球試験機を用い、回転球に砥石対応品として
アルミナ球(粗さRa0.29μm、Rmax 3.9
5μm)を使って、400rpm、30kgf、5分の
条件で、固定球のSUS304ステンレス鋼球を研削
し、研削面直径と研削面性状を求めた。研削面性状は相
対的表示とし、A:条痕が極く浅く平滑状、B:条痕が
細く浅い、C:条痕が太く深い、D:焼付状に分類して
表した。
【0036】(3)塑性加工性試験 エリクセン試験機を用い、SUS304ステンレス鋼板
(90×90X0.6mm)に試験油を塗布し、JIS
Z 2247 エリクセン試験A法に準じて、エリク
セン値を求めた。
【0037】配合油の基油内容は、下記の通りである。 基油A:流動パラフィン 粘度 ISO VG32、流動点 −12.5℃ 基油B:水素化精製油 粘度 ISO VG10、流動点 −15℃ 基油C:水素化精製油 粘度 ISO VG32、流動点 −15℃ 基油D:水素化精製油 粘度 ISO VG100、流動点 −12.5℃ 基油E:アルキルベンゼン 粘度 ISO VG22、流動点 −40℃ 基油F:n−デカン 沸点範囲 169〜173℃、流動点 −30℃ 添加剤の添加濃度は、1リットル中のグラム数(g/
L)で表した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表1及び表2は、本発明の代表的な機械加
工油組成物の焼付防止性をA法により評価した結果であ
る。実施例1〜22は、多価カルボン酸の部分エステル
単独の配合油であるが、いずれも比較例1及び2の基油
より焼付荷重がかなり高く、多くのものが比較例3及び
4の塩素化パラフィン添加油と同等の焼付防止性を有し
ている。又実施例10のように、多価カルボン酸の部分
エステルは配合量が少ない場合でもかなりの効果を示し
ている。また液状の多価カルボン酸の部分エステルは、
実施例20のように単体でも使用できる。
【0041】実施例23〜28は、多価カルボン酸の部
分エステルと有機多硫化物の併用配合油であるが、相乗
効果により、塩素化パラフィン添加油より焼付荷重が高
くなっている。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】表3及び表4は、本発明の代表的な機械加
工油組成物の焼付防止性をB法により評価した結果であ
る。実施例29〜50は、多価カルボン酸の部分エステ
ル単独の配合油であるが、いずれも比較例10及び11
の基油より焼付荷重がかなり高く、多くのものが比較例
12及び13の塩素化パラフィン添加油よりかなり優れ
た焼付防止性を有している。又実施例38のように、多
価カルボン酸の部分エステルは配合量が少ない場合でも
優れた効果を示している。本発明の機械加工油組成物
が、従来とくに塩素系極圧剤の使用を必要としていた難
加工材のステンレス鋼に対する焼付防止性が優れている
ことは、極めて注目されることである。
【0045】実施例51〜56は、多価カルボン酸の部
分エステルと有機多硫化物の併用配合油であるが、やは
り優れた焼付防止性を示している。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】表5及び表6は、本発明の代表的な機械加
工油組成物のステンレス鋼に対する切削・研削性を、研
削性試験により評価した結果である。この試験では回転
する表面粗さが大きいアルミナ球によりステンレス鋼球
が研削的に摩耗し、加工性が良い場合は研削面が大きく
なり、又面性状がスムーズになる。
【0049】比較例21〜24のように、極圧剤添加油
の中では塩素化パラフィン添加油が際立って研削径が大
きく、実際にこの化合物が切削・研削性が優れているこ
とと一致している。実施例57〜66は多価カルボン酸
の部分エステル単独の配合油であるが、研削径の大きさ
が塩素化パラフィン添加油と同等となっている。
【0050】実施例67〜72は多価カルボン酸の部分
エステルと有機多硫化物の併用配合油であるが、研削面
性状がかなり改善され、いずれも塩素化パラフィン添加
油よりかなり良好であった。
【0051】
【表7】
【0052】表7は、本発明の代表的な機械加工油組成
物のステンレス鋼に対する塑性加工性を、エリクセン試
験A法に準じて評価した結果である。この方法は張出し
とともに絞り変形の要素を有している。
【0053】実施例73〜75及び77は多価カルボン
酸の部分エステル単独の配合油、実施例78〜83は多
価カルボン酸の部分エステルと有機多硫化物の併用配合
油であるが、比較例26の基油より明らかに加工性が優
れ、比較例27の塩素化パラフィン添加油と同等の性能
を示している。
【0054】実施例76は基油にn−デカンを用いた多
価カルボン酸の部分エステル単独の配合油であるが、基
油の揮発性が高いので、試験後短時間で加工材料が乾燥
状態になっており、後洗滌不要の機械加工油として使用
できる。
【0055】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0056】(1)特定の脂肪族多価カルボン酸、芳香
族多価カルボン酸、ヒドロキシ多価カルボン酸、エステ
ル化ヒドロキシ多価カルボン酸、ジグリコール酸などの
多価カルボン酸の部分エステル、又はこれらの化合物と
有機多硫化物との混合物を配合することにより、焼付防
止性が優れ、加工性が秀でる機械加工油組成物を得るこ
とができる。
【0057】(2)これにより、塩素化合物を含有しな
い、環境に優しい機械加工油組成物を提供することがで
きる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有
    し、かつカルボン酸基間の主鎖に置換基を有しないか、
    又は炭素数が4以下のアルキル又はアルケニル置換基、
    あるいはヒドロキシ又はエステル置換基を有する多価カ
    ルボン酸の部分エステルを、0.01〜100質量%含
    有することを特徴とする、機械加工油組成物。
  2. 【請求項2】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有
    し、かつカルボン酸基間の主鎖に置換基を有しないか、
    又は炭素数が4以下のアルキル又はアルケニル置換基を
    有する、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜22
    の脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール又
    は脂環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノー
    ル類又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノエ
    ステルである、炭素数が2〜14の脂肪族多価カルボン
    酸の部分エステルを、0.01〜100質量%含有する
    ことを特徴とする、機械加工油組成物。
  3. 【請求項3】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有す
    る、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜22の脂
    肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール又は脂
    環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノール類
    又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノエステ
    ルである、炭素数が8〜10の芳香族多価カルボン酸の
    部分エステルを、0.01〜100質量%含有すること
    を特徴とする、機械加工油組成物。
  4. 【請求項4】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有す
    る、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜22の脂
    肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール又は脂
    環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノール類
    又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノエステ
    ルである、炭素数が3〜8のヒドロキシ多価カルボン酸
    の部分エステルを、0.01〜100質量%含有するこ
    とを特徴とする、機械加工油組成物。
  5. 【請求項5】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有す
    る、カルボン酸基置換アルコールが炭素数1〜22の脂
    肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコール又は脂
    環族アルコール又は芳香族アルコール又はフェノール類
    又はグリコールモノエーテル又はグリコールモノエステ
    ルである、炭素数が8〜13のエステル化ヒドロキシ多
    価カルボン酸の部分エステルを、0.01〜100質量
    %含有することを特徴とする、機械加工油組成物。
  6. 【請求項6】カルボン酸基置換アルコールが、炭素数1
    〜22の脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコ
    ール又は脂環族アルコール又は芳香族アルコール又はフ
    ェノール類又はグリコールモノエーテル又はグリコール
    モノエステルである、ジグリコール酸の部分エステル
    を、0.01〜100質量%含有することを特徴とす
    る、機械加工油組成物。
  7. 【請求項7】1分子中に2個以上のカルボン酸基を有
    し、かつカルボン酸基間の主鎖に置換基を有しないか、
    又は炭素数が4以下のアルキル又はアルケニル置換基、
    あるいはヒドロキシ又はエステル置換基を有する多価カ
    ルボン酸の部分エステルを0.01〜80質量%と有機
    多硫化物を0.01〜80質量%とを含有することを特
    徴とする、機械加工油組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007116725A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. 潤滑油基油
KR20190039729A (ko) * 2016-08-26 2019-04-15 이데미쓰 고산 가부시키가이샤 금속 가공유 조성물 및 금속 가공 방법

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