JPH09271982A - Ni−Cr基被覆アーク溶接棒 - Google Patents

Ni−Cr基被覆アーク溶接棒

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JPH09271982A
JPH09271982A JP10611196A JP10611196A JPH09271982A JP H09271982 A JPH09271982 A JP H09271982A JP 10611196 A JP10611196 A JP 10611196A JP 10611196 A JP10611196 A JP 10611196A JP H09271982 A JPH09271982 A JP H09271982A
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welding
amount
metal
core wire
less
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JP10611196A
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Satoyuki Miyake
聰之 三宅
Hiroshi Okada
博 岡田
Masahito Ogata
雅人 緒方
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚板や管端への多層肉盛溶接及び厚板の突き
合わせ溶接など拘束が厳しく且つ多層多パスの溶接にお
いても溶接金属にミクロ割れが発生し難い即ち耐ミクロ
割れ性の優れたNi−Cr基被覆アーク溶接棒を提供す
ることにある。 【解決手段】 Ni−Cr基被覆アーク溶接棒の心線中
のNi,Cr,Nb,Mn,Ti量を特定し、P、S、
O量を制限し、更に被覆剤中の金属炭酸塩、金属弗化
物、Ti酸化物、金属粉末量を特定すると同時にSiO
2量を制限し、且つ0.5×(被覆剤中のNb量)/
{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中のNb量)}の
値を調整することにより、溶接金属の耐ミクロ割れ性を
顕著に向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油化学、繊維、
原子力、化工機などの分野で、いわゆるインコネルなど
のNi基合金同志の溶接、ステンレス鋼やNi基合金と
炭素鋼との異材溶接、炭素鋼への肉盛溶接などに用いる
耐食性、耐酸化性、耐熱性などの特性の優れたNi−C
r基被覆アーク溶接棒に係わるものである。詳しくは、
多岐にわたる用途において特に溶接金属の耐ミクロ割れ
性が優れたがNi−Cr基被覆アーク溶接棒に関する。
【0002】
【従来の技術】Ni−Cr基合金溶接材料は、耐食性、
耐酸化性、耐熱性などの諸特性が優れており、石油化
学、繊維、原子力、化工機など多くの分野で、Ni基合
金同志の溶接、ステンレス鋼やNi基合金と炭素鋼との
異材溶接、炭素鋼への肉盛溶接などに利用されている。
しかし、Ni−Cr基合金溶接金属は完全オーステナイ
ト組織であり、凝固割れ、液化割れ、延性低下割れ等の
高温割れが比較的発生し易いという特徴がある。このよ
うな高温割れを防止すべく、従来から溶接材料のP、
S、Si等低融点化合物形成の原因となる不純物を出来
るだけ低く制御しているのが現状である。又、特開昭5
6−128696号には、Bの添加により厚板の多層溶
接において水素や酸素による機械的性質の劣化を防止す
る技術が開示されている。
【0003】しかしながら、被覆アーク溶接棒による厚
板や管端への多層肉盛溶接及び厚板の突き合わせ溶接な
ど拘束が厳しく且つ多層多パスの溶接においては、P、
S、Si等不純物を低く抑えた溶接棒を用いても後続パ
スの熱影響部に2mm以下程度の微小な割れ(以下ミク
ロ割れと言う)が発生するという問題点があり、又前記
特開昭56−128696号のB添加の技術も厚板や管
端への多層肉盛溶接ではミクロ割れ防止効果は十分では
なく、高品質化、長寿命化のニーズが強く、最近ではこ
のような拘束が厳しく、且つ多層多パスの溶接において
もミクロ割れが発生し難いNi−Cr基被覆アーク溶接
棒が強く望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、厚板や管端
への多層肉盛溶接及び厚板の突き合わせ溶接など拘束が
厳しく、且つ多層多パスの溶接においても溶接金属にミ
クロ割れが発生し難い、即ち耐ミクロ割れ性の優れたN
i−Cr基被覆アーク溶接棒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、Ni−Cr基
被覆アーク溶接棒の溶接金属の耐ミクロ割れ性を向上さ
せるため、心線中のNi、Cr、Nb、Mn、Ti量を
特定し、P、S、O量を制限し、更に被覆剤中の金属炭
酸塩、金属弗化物、Ti酸化物、金属粉末量を特定する
と同時にSiO2量を制限し、且つ0.5×(被覆剤中
のNb量)/{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中の
Nb量)}の値を調整することにより、溶接金属の耐ミ
クロ割れ性を顕著に向上させるものである。
【0006】本発明者らは、Ni−Cr基合金溶接金属
の本来有する優れた耐食性、耐酸化性、耐熱性などの特
性を損なわずに、拘束が厳しく且つ多層多パスの溶接に
おいても溶接金属にミクロ割れも発生し難く、しかも溶
接作業性が良好なNi−Cr基合金被覆アーク溶接棒を
得ることを目的として、心線の組成及び被覆剤の組成上
から種々の検討を実施した。その結果、以下の知見を得
るに至った。
【0007】まず、Ni−Cr基合金被覆アーク溶接棒
による拘束が厳しく且つ多層多パスの溶接において、ミ
クロ割れは後続パスによる熱影響を受けた柱状晶の粒界
に発生すること。次に、低融点化合物や延性の劣る析出
物の粒界偏析がミクロ割れの原因になっていること。拘
束が厳しく且つ多層多パスの溶接においてミクロ割れを
防止するためには低融点化合物や延性の劣る析出物の粒
界偏析を特に低く抑制する必要があること。粒界偏析を
十分に抑制するためには、凝固時に生じるミクロ的な偏
析即ち凝固偏析をも抑制しなければならないこと。凝固
偏析の抑制には、心線中にTi及びNbを適正量含有さ
せると共に被覆剤中のNb量を低くし0.5×(被覆剤
中のNb量)/{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中
のNb量)}の値を調整し、更に被覆剤のスラグ剤主成
分の組成を限定すると同時に被覆剤中のSiO2量を出
来るだけ低く抑えることの相乗効果が必須となること。
【0008】本発明は、以上の知見を基にして構成され
たものであり、その要旨とするところは、心線全重量に
対して、Niが60〜80%(重量%、以下同じ)、C
rが13〜18%、Nbが1.2〜2.5%、Tiが
0.5〜2.5%、Mnが2.0〜7.5%、Pを0.
012%以下、Sを0.010%以下、Oを0.015
%以下に制限し、残りはFe及び不可避的不純物からな
るNi−Cr基合金を心線とし、その心線の周囲に、被
覆剤全重量に対して、金属炭酸塩を25〜45%、金属
弗化物を12〜30%、チタン酸化物を12〜30%、
金属粉末を20%以下含有し、SiO2を8%以下に制
限した被覆剤を被覆し、且つ、 の値を0.35以下に調整したことを特徴とする耐ミク
ロ割れ性の優れたNi−Cr基被覆アーク溶接棒にあ
る。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者
らはNi−Cr基合金被覆アーク溶接棒において、Nb
等の含有量の異なるNi−Cr基合金心線に、Nb等の
合金粉とSiO2等のスラグ形成剤の量を種々変化させ
た金属炭酸塩、金属弗化物及びチタン酸化物を主成分と
する被覆剤を被覆したNi−Cr基合金被覆アーク溶接
棒を製造し、50mmt×300mmφのA−533鋼
管端部に多層肉盛溶接行い、肉盛溶接金属のミクロ割れ
発生傾向を調査した。図1は被覆剤中Nb係数=0.5
×(被覆剤中のNb量)/{心線中のNb量+0.5×
(被覆剤中のNb量)}と溶接金属のミクロ割れ個数と
の関係を示す。
【0010】図1から、厚肉鋼管端部の多層肉盛という
厳しい環境化において、多層肉盛溶接金属中のミクロ割
れ発生傾向は、被覆剤中Nb係数及び被覆剤中のSiO
2量に大きく左右され、被覆剤中Nb係数が大きくなる
に従ってミクロ割れ個数が増加すること、特に被覆剤中
のSiO2量が8%以下の場合は被覆剤中Nb係数が
0.35以下になるとミクロ割れ個数が顕著に減少する
こと、被覆剤中のSiO2量が8%を超える場合は、被
覆剤中Nb係数が0即ち被覆剤中にNb粉が含有されて
いなくてもミクロ割れは顕著には減少しないこと、更
に、被覆剤中Nb係数が0.35以下で且つ被覆剤中の
SiO2量が8%以下でも、心線中のO量が0.015
%を超え或いは心線中のNb量が2.5%を超えると耐
ミクロ割れ性が劣化することが明かとなった。
【0011】本発明は以上のような実験結果に基づいて
なされたものであり、本発明が規定した各種数値の限定
理由を以下に述べる。
【0012】先ず、本発明における心線は、Nb及びT
iを含有せしめ、PS及びO量を制御したことが本発明
の主な構成要件の一つであり、被覆剤の金属炭酸塩金属
弗化物及びチタン酸化物のスラグ剤を特定し、且つSi
2を制御すると同時に、{0.5×(被覆剤中のNb
量)}と{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中のNb
量)}との比を低く制御即ち被覆剤中のNb添加量をで
きるだけ低く制御したことと相まって、溶接金属の耐ミ
クロ割れ性を顕著に向上させるものである。
【0013】次に各成分の限定理由について説明する
と、先ず本発明溶接棒と母材との組み合わせによって得
られる溶接金属の耐食性、耐酸化性、耐熱性及び耐溶接
欠陥性等を確保するために必要な合金元素及び脱ガス元
素はできるだけ心線中に添加する。
【0014】NiはNi−Cr基合金としての耐食性、
耐酸化性、耐熱性等基本的な特性を確保するために心線
中に60%以上必要である。Ni−Cr基合金としての
Cr等の成分含有量確保及び特性確保のためには80%
あれば十分である。従って、心線のNi量は60〜80
%とする。
【0015】CrはNi−Cr基合金としての耐食性、
耐酸化性、耐熱性等基本的な特性を確保するために心線
中に13%以上必要であり、18%あれば十分である。
従って心線中のCr量は13〜18%とする。
【0016】Nbは、Nbそのものの固溶強化による耐
熱性の確保及びC固定による耐食性の向上などのために
必要な合金元素であるが、溶接金属として必要なNbの
ほとんど或いは全てを心線中に添加することは本発明の
基本要件の一つであり、溶接金属の耐熱性及び耐食性確
保のためには心線中に1.2%以上必要であり、2.5
%を超えると被覆剤中のNbの有無にかかわらず溶接金
属の耐ミクロ割れ性が劣化する。従って心線中のNb量
は1.2〜2.5%とする。
【0017】Tiは、Tiそのものの固溶強化による耐
熱性の確保、C固定による耐食性の向上、溶接時の脱酸
脱窒による溶接金属の清浄化などのために必要な合金・
脱ガス元素であり、心線中に0.5%以上必要である
が、2.5%を超えると溶接金属の耐ミクロ割れ性が劣
化すると共にスラグの剥離性等溶接作業性が劣化する。
従って心線中のTi量は0.5〜2.5%とする。
【0018】Mnはオーステナイト組織の安定化による
耐熱性の向上及び脱酸、脱硫による溶接金属の清浄化な
どのために必要な合金・脱ガス・脱硫元素であり、心線
中に2.0%以上必要であるが、7.5%を超えて添加
してもその効果は変わらない。従って心線中のMn量は
2.0〜7.5%とする。
【0019】次に心線中のP、S、O量を低く規制する
ことは本発明の基本要件の一つであり、溶接金属中の
P、S、O量は心線中のP、S、O量に比例し、溶接金
属中のP、S、O量の増加につれて低融点化合物や延性
の劣る析出物の結晶粒界への偏析傾向が助長され、その
結果としてミクロ割れが発生し易くなる。拘束が厳しく
且つ多層多パスの溶接においてもミクロ割れを防止する
ためには、それぞれPは0.012%以下、Sは0.0
10%以下、Oは0.015%以下に規制しなければな
らない。
【0020】残りはFe及び不可避的不純物からなるも
のとするが、心線中のC量については、炭化物析出によ
る溶接金属の粒界脆化を防止するために0.06%以下
にすることが望ましい。又、心線中のSi量については
被覆剤中のSiO2程ではないが結晶粒界の脆化を助長
する傾向があるので0.3%以下にすることが望まし
い。
【0021】また、被覆剤の成分については、金属炭酸
塩を配合することによってスラグに高塩基性を与え溶接
金属中のP、S及びSiの増加を抑制し、且つ分解生成
するCO2ガスによって水素分圧を下げ溶接金属の延性
低下やブローホールなどの欠陥発生を防止するものであ
り、被覆剤全重量に対して25%以上必要である。しか
し、45%を超えるとスラグの流動性が劣化し良好なビ
ード形状が得られない。従って金属炭酸塩は25〜45
%とする。なお、ここで言う金属炭酸塩とは、炭酸石
灰、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、
炭酸リチウム或いはこれらの複合添加物等である。
【0022】金属弗化物はスラグの流動性を良くしスラ
グ巻き込み等欠陥の発生し難い健全な溶接金属を得るた
めに12%以上必要である。一方30%を超えるとアー
クが不安定となりスラグ剥離性が劣化する。従って金属
弗化物は12〜30%とする。なお、ここで言う金属弗
化物とは、蛍石、氷晶石、弗化アルミニウム、弗化マグ
ネシウム、弗化バリウム、弗化リチウム、弗化ソーダ、
弗化カリウム或いはこれらの複合添加物等である。
【0023】チタン酸化物はアークを安定化し、スラグ
の流動性、被包性、剥離性を良好にし、ビード形状、外
観を良好にするために12%以上必要である。30%を
超えるとスラグの流動性が過大になり溶接が困難になる
と共にスラグが硬くなりかえって剥離性が損なわれる。
従ってチタン酸化物は12〜30%とする。なお、ここ
で言うチタン酸化物とは、ルチール、チタンスラグ、チ
タン酸カリ、イルミナイト等のチタン酸化物系化合物の
TiO2分である。
【0024】金属粉末は溶接時の酸化消耗を補い、又脱
ガスなどを目的としてCr、Mn、Nb、Alなどをメ
タリックの形態或いはフェロアロイの形態で適宜添加で
きるが、合計で20%を超えると凝固偏析を起こし易く
なりミクロ割れが発生しやすくなる。従って金属粉末は
20%以下とする。
【0025】被覆剤中のSiO2量を低く規制すること
は本発明の基本要件の一つである。SiO2量に比例し
て溶接金属中の介在物が増加し、この介在物は結晶粒界
の脆化をもたらしミクロ割れ発生を助長する。同時にS
iO2の存在は溶接時に還元されて溶接金属中のSi量
を増加させるが、特にSiO2から還元されたSiは溶
接金属中でC、Nbとの低融点の共晶物を形成し易く、
ミクロ割れ発生の原因となる。ミクロ割れ発生助長傾向
は8%を超えると顕著になる。従ってSiO2量は8%
以下に制限する。なお、ここで言うSiO2とは、硅
砂、硅灰石など硅酸塩化合物及び固着剤として用いる硅
酸ソーダや硅酸カリなどのSiO2分である。
【0026】更に、{0.5×(被覆剤中のNb量)}
と{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中のNb量)}
との比を低く制御することは本発明の基本要件の一つで
ある。
【0027】Nbは前記のごとく固溶強化、析出強化に
よる耐熱性の確保及びC固定による耐食性の向上などの
ために必要な合金元素であるが、溶接金属として必要な
Nbのほとんど或いは全てを心線中に添加すること、即
ち被覆剤中のNb添加量を低く制御することによって、
心線中にTiを適正量添加し、又心線中のP、S、O量
を低く制御し、更に被覆剤中のSiO2を低く制御した
こととの相乗効果により、凝固偏析による結晶粒界の脆
化を抑制し、拘束が厳しく且つ多層多パスの溶接におい
てもミクロ割れを防止することを可能とした。被覆剤中
のNb添加量が、 の値が0.35を超えると溶接金属のミクロ割れ発生傾
向が大きくなる。従って、この値を0.35以下に制限
する。
【0028】その他、本発明溶接棒における良好な溶接
作業性の確保、或いは生産性の向上を目的として、Al
23、ZrO2、K2O、Na2O、CaO、MgO、F
eO等の金属酸化物を被覆剤に含有することができる。
【0029】以上のように、本発明によるNi−Cr基
被覆アーク溶接棒は、Nb、Ti、Mn量を特定し、
P、S、O量を制限したNi−Cr基合金心線に、金属
炭酸塩、金属弗化物、チタン酸化物、金属粉末量を特定
すると同時にSiO2量を制限した被覆剤を被覆し、且
つ、被覆剤中Nb係数=0.5×(被覆剤中のNb量)
/{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中のNb量)}
の値を調整することにより、特に心線中のNb、Ti量
の特定とP、S、O量の制限、被覆剤中のSiO2量の
制限及び被覆剤中のNb添加量の調整の相乗効果から溶
接金属の耐ミクロ割れ性を顕著に向上させることができ
る。
【0030】ここで溶接棒の製造方法は、Ni−Cr合
金心線及び金属炭酸塩、金属弗化物、チタン酸化物、金
属粉末等原料を配合し乾式混合した被覆剤の粉末を準備
し、被覆剤粉末を固着剤(硅酸カリ及び硅酸ソーダの水
溶液の水ガラスなど)のバインダーで湿式混合してか
ら、心線外周へ塗装した後、250〜450℃で約1時
間の乾燥、焼成を行う。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施例)以下に本発明の実施例について述べる。表1
に供試心線の化学成分を示す。表中EはO含有量が本発
明外のものであり、FはTi含有量が本発明外のもので
ある。心線寸法は直径4.0mm、長さ350mmとし
た。表2にこれら供試心線と被覆剤の組み合わせによる
被覆アーク溶接棒の組成を示す。表3に板厚50mm、
外径300mm、長さ350mmのASTM A−53
3鋼管端部に各層8パスで9〜11層、肉盛高さ約30
mmになるよう肉盛溶接を行い、肉盛溶接金属の最終層
表面から1mmづつ研削研磨面10面について及び肉盛
り溶接金属第1層目に当たる母材から1mm上の面につ
いて液体浸透探傷試験によりミクロ割れの個数を調査す
ると同時にミクロ割れ以外の融合不良やスラグ巻き込み
等の溶接欠陥及びアーク状態、スパッタの発生、スラグ
の流動性、剥離性ビード形状等溶接作業性を調査した結
果を示す。耐ミクロ割れ性については、10面のミクロ
割れ合計個数が3ケ以下を良好、4ケ以上を不良とし、
溶接作業性については、ミクロ割れ以外の融合不良やス
ラグ巻き込み等の溶接欠陥が無く、アーク状態、スパッ
タの発生、スラグの流動性と剥離性及びビード外観・形
状の全てが良好な場合を良好とし、それ以外を不良とし
た。総合判定は耐ミクロ割れ性と溶接作業性のいずれも
が良好な場合を良好とした。
【0032】肉盛溶接条件として、溶接姿勢は下向姿
勢、溶接電流は130〜140A(DCEP)、溶接速
度は14〜20cm/min溶接入熱は1万〜1万4千
J/cmである。
【0033】表3の結果から明かなとおり、本発明被覆
アーク溶接棒記号No.1、2、3、7、8、9、1
2、13、15、及びNo.17は、極めて拘束が厳し
く且つ多層多パスの溶接においてもミクロ割れは認めら
れず、耐ミクロ割れ性が非常に優れており又溶接作業性
も良好であることが明かである。
【0034】これに対して、被覆アーク溶接棒記号N
o.4はSiO2量が8%を超えてミクロ割れが4ヶ以
上認められた。No.5、6、10及びNo.23は被
覆剤中Nb係数が0.35を超えてミクロ割れが4ヶ以
上認められた。No.11はSiO2量が8%を超え且
つ被覆剤中Nb係数が0.35を超えてミクロ割れが多
数認められた。No.14は被覆剤中のチタン酸化物が
30%を超え溶接作業性が不良で溶接欠陥が認められ
た。No.16は被覆剤中のチタン酸化物が12%未満
で溶接作業性が不良で溶接欠陥が認められ、且つ被覆剤
中Nb係数が0.35を超えてミクロ割れが4ヶ以上認
められた。No.18は金属炭酸塩が25%未満で金属
弗化物が35%を超え溶接作業性が劣り溶接欠陥が認め
られた。No.19及び20は酸素量が0.015%を
超えた心線を用いたためミクロ割れが4ケ以上認められ
た。No.21及び22はNb量が2.5%を超えた心
線を用いたためミクロ割れが4ケ以上認められた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明のNi−Cr基被覆
アーク溶接棒は、極めて拘束が厳しく且つ多層多パスの
溶接においてもミクロ割れが発生し難く、耐ミクロ割れ
性が非常に優れており又溶接作業性も良好である。従っ
て、石油化学、繊維、原子力、化工機など多くの分野
で、Ni基合金同志の溶接、ステンレス鋼やNi基合金
と炭素鋼との異材溶接、炭素鋼への肉盛溶接などに適用
することにより、従来に無い高品質、長寿命の溶接部が
容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆剤中Nb係数=0.5×(被覆剤中のNb
量)/{心線中のNb量+0.5×(被覆剤中のNb
量)}と肉盛溶接金属のミクロ割れ個数との関係を示す
線図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心線全重量に対して、Niが60〜80
    %(重量%、以下同じ)、Crが13〜18%、Nbが
    1.2〜2.5%、Tiが0.5〜2.5%、Mnが
    2.0〜7.5%、Pを0.012%以下、Sを0.0
    10%以下、Oを0.015%以下に調整し、残りはF
    e及び不可避的不純物からなるNi−Cr基合金を心線
    とし、その心線の周囲に、被覆剤全重量に対して、金属
    炭酸塩を25〜45%、金属弗化物を12〜30%、チ
    タン酸化物を12〜30%、金属粉末を20%以下含有
    し、SiO2を8%以下に制御した被覆剤を被覆し、且
    つ、 の値を0.35以下に制限したことを特徴とする耐ミク
    ロ割れ性の優れたNi−Cr基被覆アーク溶接棒。
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Cited By (3)

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