JPH09265982A - 電池用水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池 - Google Patents

電池用水素吸蔵合金およびニッケル水素二次電池

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JPH09265982A
JPH09265982A JP8077633A JP7763396A JPH09265982A JP H09265982 A JPH09265982 A JP H09265982A JP 8077633 A JP8077633 A JP 8077633A JP 7763396 A JP7763396 A JP 7763396A JP H09265982 A JPH09265982 A JP H09265982A
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hydrogen
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storage alloy
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Takao Sawa
孝雄 沢
Shusuke Inada
周介 稲田
Fumiyuki Kawashima
史行 川島
Takamichi Inaba
隆道 稲葉
Noriaki Sato
典昭 佐藤
Toshiya Sakamoto
敏也 坂本
Masami Okamura
正己 岡村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】使用温度範囲が広い電池用水素吸蔵合金および
その合金を使用したニッケル水素二次電池を提供する。 【解決手段】一般式ANia b M′c d (但し、A
はLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、Aにおけ
るLa含有量が重量比で50〜99%,Ce含有量が1
〜30%,Pr含有量が0〜10%,Nd含有量が0〜
10%,Y含有量が0〜10%である一方、MはCo,
FeおよびCuから選択される少なくとも1種の元素で
あり、M′はMnおよびAlから選択される少なくとも
1種の元素であり、TはB,Si,S,Cr,Ga,G
e,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sn,Sb
およびWから選択される少なくとも1種の元素であり、
a,b,c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.
0,0.4≦b≦1.0,0.3≦c≦0.8,0≦d
≦0.2,4.9≦a+b+c+d≦5.4である。)
で表わされる組成を有する急冷合金から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用水素吸蔵合
金およびその合金を使用したニッケル水素電池に係り、
特に合金を電池の負電極に使用した場合に、低温度域お
よび高温度域における容量の低下が少なく、広い使用温
度範囲において、高い電極容量(電池容量)および繰返
しの使用に耐える長寿命特性(長サイクル特性)を共に
満足させることが可能な電池用水素吸蔵合金およびニッ
ケル水素二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術の進歩による省電力化、
実装技術の進歩により従来では予想し得なかった電子機
器が小型化およびポータブル化されてきている。それに
伴い、前記電子機器の電源である二次電池に対する高容
量化,長寿命化,放電電流の安定化が特に要求されてい
る。例えばパーソナル化、ポータブル化が進むOA機
器,電話機,AV機器においては、特に小型軽量化,お
よびコードレスでの機器使用時間の延伸などの目的で高
性能電池の開発が所望されている。このような要求に対
応する電池として、従来の焼結式ニッケルカドミウム電
池の電極基板を三次元構造体とした非焼結式ニッケルカ
ドミウム電池が開発されたが、顕著な容量増加は達成さ
れていない。
【0003】そこで、近年、負極として水素吸蔵合金粉
末を集電体に固定した構造のものを使用したアルカリ二
次電池(ニッケル水素二次電池)が提案され、脚光を浴
びている。このニッケル水素電池に使用される負極は、
一般に、下記の手順で製造される。すなわち、高周波溶
解法やアーク溶解法などによって水素吸蔵合金を溶解し
た後に、冷却・粉砕し、得られた粉砕粉に導電剤や結合
剤を添加して混練物を形成し、この混練物を集電体に塗
布または圧着して製造される。この水素吸蔵合金を使用
した負極は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負極材
料であるカドミウムに比較し、単位重量当りまたは単位
容積当りの実効的なエネルギ密度を大きくすることがで
き、電池の高容量化を可能とする他、毒性が少なく環境
汚染のおそれが少ないという特徴を持っている。
【0004】しかしながら、水素吸蔵合金を含む負極
は、二次電池に組み込まれた状態において電解液である
濃厚なアルカリ水溶液に浸漬される他、特に過充電時に
は正極より発生する酸素に曝されるため、水素吸蔵合金
が腐食して電極特性が劣化し易い。さらに、充放電時に
おいて前記水素吸蔵合金中への水素の吸蔵、放出に伴っ
て体積が膨張、収縮するため、水素吸蔵合金に割れを生
じ、水素吸蔵合金粉末の微粉化が進行する。水素吸蔵合
金の微粉化が進行すると、水素吸蔵合金の比表面積が加
速度的に増加するため、水素吸蔵合金表面のアルカリ性
電解液による劣化面積の割合が増加する。しかも、水素
吸蔵合金粉末と集電体との間の導電性も劣化するため、
サイクル寿命が低下する上に電極特性も劣化する。
【0005】そこで、上述した問題を解決するために水
素吸蔵合金を多元化したり、水素吸蔵合金粉末表面また
は水素吸蔵合金を含む負極表面にニッケル薄膜や銅薄膜
をめっき法、蒸着法等により付着させ電解液と直接接触
しないようにして耐食性を向上させたり、機械的強度を
増加させて割れを防止したり、あるいはアルカリ溶液中
へ浸漬後、乾燥させることにより水素吸蔵合金表面の劣
化を抑制したりという方法が提案されているが、必ずし
も十分な改善を図ることができず、却って電極容量の低
下を招く場合があった。
【0006】上記アルカリ二次電池に用いられる水素吸
蔵合金として、LaNi5 で代表されるAB5 系合金が
ある。この六方晶構造を有する合金系を使用した負極
は、従来の代表的なアルカリ二次電池用負電極材料であ
るカドミウムを使用した場合と比較して、電池の単位重
量または単位容積当りの実効的なエネルギ密度を大きく
することが可能であり、電池の高容量化を可能とする上
に、カドミウム公害等の環境汚染を発生するおそれも少
なく、電池特性も良好であるという特徴を有している。
また上記AB5 系合金を使用した電池では大電流放電が
可能であるという長所がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記L
m−Ni−Co−Al系合金(LmはLa富化ミッシュ
メタル)から成るAB5 系水素吸蔵合金の電極容量は、
未だ300mAh/g未満という低い状態であり、また
充放電によるサイクル寿命は200サイクル程度であ
る。また上記AB5 系合金を使用した電池では放電電流
を高く設定できる長所がある。しかしながら、昨今の技
術的要求水準である電極容量およびサイクル寿命を共に
満足する段階には到達していない。
【0008】また上記従来の水素吸蔵合金を負極材料と
して使用したニッケル水素電池においては、電池が使用
される温度範囲(−20℃〜+80℃)の上限温度領域
および下限温度領域で電池容量の低下が顕著になり、場
合によっては放電しないこともあり、電池機能が著しく
低下する問題点があった。すなわち寒冷地にて使用した
場合には電圧降下が大きくなり、機器の動作不良を生じ
る難点があった。一方、電池が充電時に発熱し高温度に
加熱された場合には、容量低下が顕著になり、いずれに
しても電池を使用した機器の動作信頼性が大幅に低下し
てしまう問題点があった。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、低温度域および高温度域における容量
の低下が少なく、広い使用温度範囲において高い電極容
量が得られるとともに、電池の長寿命化を実現すること
が可能な電池用水素吸蔵合金およびその合金を使用した
ニッケル水素二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願発明者らは電池の動作環境に適した水素吸蔵合金に
ついて鋭意研究を重ねた。その結果、いわゆるCaCu
5 型の結晶構造を有する、いわゆるAB5 型合金を基本
とする金属間化合物を形成するような特定組成の合金溶
湯を急冷することにより、水素吸蔵特性および耐食性が
優れた水素吸蔵合金が得られ、また、この合金を負極材
料として使用した場合に電極容量と寿命特性と容量の温
度特性とがバランスしたニッケル水素二次電池が得られ
るという知見を得た。本発明は上記知見に基づいて完成
されたものである。
【0011】すなわち本発明に係る電池用水素吸蔵合金
は、一般式ANia b M′c d(但し、AはLa,
Ce,Pr,NdおよびYから成り、AにおけるLa含
有量が重量比で50〜99%,Ce含有量が1〜30
%,Pr含有量が0〜10%,Nd含有量が0〜10
%,Y含有量が0〜10%である一方、MはCo,Fe
およびCuから選択される少なくとも1種の元素であ
り、M′はMnおよびAlから選択される少なくとも1
種の元素であり、TはB,Si,S,Cr,Ga,G
e,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sn,Sb
およびWから選択される少なくとも1種の元素であり、
a,b,c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a≦4.
0,0.4≦b≦1.0,0.3≦c≦0.8,0≦d
≦0.2,4.9≦a+b+c+d≦5.4である。)
で表わされる組成を有する急冷合金から成り、温度60
℃において合金金属1原子当りに吸蔵される水素原子数
が0.4のときの水素平衡圧が0.05〜0.6atm で
あることを特徴とする。また急冷合金の平均結晶粒径が
5〜100μmの範囲であるとよい。
【0012】本発明に係る電池用水素吸蔵合金は、上記
のような所定の組成を有する合金溶湯を冷却体と接触さ
せて100℃/分以上の冷却速度で急冷凝固せしめるこ
とにより製造される。この急冷凝固処理により、添加成
分が合金組織中に初めて均一に分散し、また粒界析出相
も微細化されて電池の長寿命化を図ることができる。
【0013】なお、上記のような溶湯急冷法によって調
製した合金中の内部歪みを除去して均質化を図るために
非酸化性雰囲気中で合金を温度300〜1000℃で2
〜10時間加熱する均質化熱処理を行うとよい。
【0014】また本発明に係るニッケル水素二次電池
は、上記所定の組成を有する水素吸蔵合金を含む負極
と,ニッケル酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有
するセパレータを介装して密閉容器内に収容し、この密
閉容器内にアルカリ電解液を充填したことを特徴とす
る。
【0015】本発明に係る電池用水素吸蔵合金におい
て、一般式中、Aは電池の高容量化の基本となる水素吸
蔵能力を有する元素であり、その含有量は、容量と寿命
とのバランスを考慮して、a+b+c+d値との比で決
定される。AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから構
成されるミッシュメタルであり、特に高容量化を図るた
めには、Laが有効である。ミッシュメタルとしてのA
成分全体に占めるLa含有量は50〜99重量%,Ce
含有量は1〜30重量%,Pr含有量は0〜10重量
%,Nd含有量は5重量%以下,Y含有量は0〜10重
量%に設定される。すなわち、ミッシュメタル中でLa
含有量が50重量%未満の場合では、電池の高容量化が
不十分となる一方、La含有量が99重量%を超える場
合にはサイクル寿命が短くなってしまう。またCe含有
量が1重量%未満の場合にはサイクル寿命が短かくなる
一方、30重量%を超える場合には、容量の増大化が困
難になる。またPr含有量またはY含有量が10重量%
を超えると寿命特性が不十分となるため、ミッシュメタ
ル中でのPr含有量およびY含有量は、それぞれ10重
量%以下とされる。またNd含有量が10重量%を超え
ると寿命特性が不十分となるため、10重量%以下に設
定される。
【0016】また、Ni,M,M′,Tなどの成分は、
合金界面での触媒作用,水素平衡圧の調整,寿命特性改
善に効果をもたらす成分であり、その合計含有量は、a
+b+c+dとして4.9〜5.4の範囲に設定され
る。a+b+c+dが4.9未満の場合には、上記改善
効果が不十分である一方、原子比が5.4を超えると電
池容量が過少になり、電池としての基本要求特性を満足
することが困難である。
【0017】上記成分のうち、特にNiは希土類成分
(A)と合金化されて、耐食性に優れた希土類−Ni系
水素吸蔵合金を形成して水素の吸蔵・放出を行うための
基本元素であり、原子比aが3.2〜4.0の範囲とな
るように添加される。上記Niの原子比の範囲内におい
て、密閉型電池における水素吸蔵平衡圧を適正に設定す
ることができるが、3.3〜3.9の範囲におけるNi
添加量がより好ましい。
【0018】またMはCo,FeおよびCuから選択さ
れる少なくとも1種の元素であり、これらの元素はいず
れも合金の耐食性を改善するとともに、水素吸蔵時にお
ける格子の膨張に伴う割れの発生を効果的に抑止し、寿
命改善効果を発揮する元素である。これらのM成分の添
加量bが0.4未満の場合には上記改善効果が不十分と
なる一方、添加量が1.0を超えると容量の低下が顕著
になる。
【0019】またM′はMn,AlおよびSiから選択
される少なくとも1種の元素であり、これらの元素はい
ずれも合金の寿命改善に寄与する元素である。これらの
M′成分の添加量Cが0,3未満の場合には上記改善効
果が殆ど発現しない一方、添加量Cが0.8を超えると
水素平衡圧が低くなり過ぎて実用的ではない。
【0020】さらにTはB,Si,S,,Cr,Ga,
Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sn,S
b,Wから選ばれる少なくとも1種であり、これらの元
素はいずれも合金の寿命改善に有効である。これらのT
成分の添加量dが0.2を超える場合には容量の低下を
招く。
【0021】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の一般式
A Nia b M′c d において、Nia b M′c
d 部分をBサイトとし、a+b+c+dをXとした場
合、本発明に係る水素吸蔵合金は、一般式ABX で表わ
され、Bサイトの組成比率Xが4.9〜5.4の範囲に
設定されたAB5 系合金である。Bサイトの組成比率X
が上記範囲外になると、合金中にAB4.9 〜5.4以外の
相(例えばAB,AB3 ,A2 7 等から成る相および
Bサイトを構成する元素単体から成る相[以下第2相と
いう])の生成量が増大する。
【0022】合金中に上記ABX からなる相以外の第2
相が多くなると、水素吸蔵合金中に上記第2相を含む2
種以上の異種組成の合金相が互いに接する割合が高くな
る。このような異種組成の合金相同士の界面は、機械的
強度が弱く、この界面を起点として、水素の吸蔵・放出
に伴い割れが発生し易くなる。
【0023】また上記界面には、偏析が生じ易く、その
偏析物を起点として水素吸蔵合金の腐食が生じ易くな
る。さらに、前記第2相は電極使用条件下において、A
X に比べて水素の吸蔵量が少なく、前記第2相が多い
合金を電極として使用すると、単位体積当りの電極容量
が低下する。いずれにしろ水素吸蔵合金を電極材として
使用した場合において、電極容量および寿命の低下を引
き起こす。
【0024】結局、前記Xの値を限定したのは次のよう
な理由によるのである。前記Xを下限値(4.9)未満
にすると電池の充放電時の腐食が少なく、また割れや微
粉化し難い水素吸蔵合金を得ることができなくなる。一
方、前記Xが上限値(5.4)を超えると通常の工業的
にとり得る合金作製方法によっては第2相の生成が認め
られ、水素吸蔵合金の特性を向上できなくなる。したが
って、Xの値は4.9〜5.4の範囲に設定される。
【0025】また上記M′成分のうち、Mnは、水素吸
蔵合金を含む負電極の高容量化、不働態膜の形成促進に
よる耐食性改善および水素の吸蔵放出圧力(平衡圧)の
低下調整に有効であり、AlはMnと同様に水素の吸蔵
放出圧力(解離圧)を、密閉型電池に好適な操作圧力ま
で下げる作用を有するとともに耐久性を増加させること
ができる。MnおよびAlの含有量が原子比で0.3未
満の場合には上記改善効果が不十分となる一方、Mnお
よびAlの含有量が0.8を超える場合には容量が大幅
に低下してしまう。したがってMnおよびAlの少なく
とも一方の含有量は0.3〜0.8の範囲に設定され
る。
【0026】またM成分としてのCoは、電解液等に対
する合金の耐食性を向上させる上で有効であり、合金の
微粉化は顕著に抑制され、電池の寿命特性が改善され
る。なおCo添加量を増やすとサイクル寿命は向上する
反面、電極容量が低下する傾向があるため、電池の用途
に応じてCo添加量の最適化を図る必要がある。Co添
加量は、Aサイト成分である希土類元素の組成比の大小
とも関連するが、本発明で規定するAサイト成分の組成
範囲に対して、原子比で0.4〜1.0の範囲が好適で
ある。
【0027】Co添加量が原子比で0.4未満の場合で
は、寿命の改善効果が不十分である一方、1.0を超え
る場合には、容量の低下が顕著になり、いずれにしても
電池の2大要求特性を満足することが困難となる。上記
のような観点から本発明の水素吸蔵合金のB成分とし
て、CoおよびMnが原子比でそれぞれ所定量以上添加
されていることが望ましい。
【0028】Bサイト成分に含まれるM成分は、同様に
水素平衡圧を調整する上で有効な元素であるが、その添
加量が原子比で0.3を超える場合には、容量低下を引
き起こす。したがって、M成分の添加量は原子比が0〜
0.3の範囲に設定される。
【0029】この他、本発明に係る水素吸蔵合金には、
Pb,C,N,O,FおよびClなどの元素が不純物と
して本願発明合金の特性を阻害しない範囲で含まれてい
てもよい。なお、これらの不純物の含有量はそれぞれ6
000ppm以下の範囲であることが好ましい。より好
ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは400
0ppm以下が良い。
【0030】上記のような一般式で表わされる組成を有
する合金溶湯を所定の条件で急冷凝固せしめることによ
り、特に限られた範囲の水素平衡圧を有する水素吸蔵合
金であり、電池の負極材料として使用した場合に広い温
度範囲において高容量が維持でき、温度依存性が少ない
水素吸蔵合金が得られる。具体的に、この温度依存性が
少ない合金の水素平衡圧は、温度60℃における評価基
準で0.05〜0.6atm の範囲である。
【0031】ここで水素平衡圧は、金属1原子あたりに
吸蔵される水素原子数が0.4のときの水素圧である。
この水素平衡圧が0.05atm 未満では、電池電圧が低
くなり過ぎ、特に0℃以下の低温度使用条件下での放電
容量が小さくなる。一方、水素平衡圧が0.6atm を超
える場合には、例えば80℃以上の高温度での容量低下
が大きくなり、高温条件下での電池の使用が困難にな
る。
【0032】本発明に係る水素吸蔵合金においては、所
定組成の合金溶湯を急冷処理して調製しているため、合
金組織を構成している結晶粒が微細化し、水素の吸蔵お
よび放出に必要な経路が十分に確保される。そして、そ
の経路を経由して水素の吸蔵および放出が容易に進行す
る。すなわち水素の移動方式について、温度の影響を受
け易い合金内拡散に依存する割合が低下するため、0℃
以下の低温条件下および60℃を超える高温条件下にお
いても、容量の低下が効果的に抑制される結果、温度依
存性の少ない水素吸蔵合金が得られるものと考えられ
る。
【0033】本発明に係る電池用水素吸蔵合金の製造方
法としては、合金組成を均一化して偏析を防止し得る方
法であれば特に限定されない。すなわち所定組成を有す
るように調合した原料混合体をアーク炉等で加熱して合
金溶湯を調製し、しかる後に通常の鋳造法,ガスアトマ
イズ法.回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロール法,双
ロール法などを使用して上記合金溶湯を冷却凝固せしめ
て形成される。合金溶湯を冷却するに際し、冷却速度を
100℃/分以上,好ましくは300℃/分以上、さら
に好ましくは2500℃/分以上に設定することによ
り、ミッシュメタルとしてLaを相対的に多量に含有し
た場合においても、組織が均一であり、偏析が少ない合
金が得られる。上記の合金溶湯の冷却凝固法としては、
例えば水冷したCu製円板上に合金溶湯を注ぎ、10〜
50mm程度の厚さを有する合金ブロックを作製する方法
を使用してもよい。この冷却凝固処理と後述する熱処理
とを実施することにより、高容量かつ長寿命の電池用水
素吸蔵合金が得られる。さらに高速移動する冷却体上に
合金溶融を射出し、厚さ20〜300μm程度のフレー
ク状合金とした場合には、5〜100μm程度の微細な
結晶粒から成る水素吸蔵合金が得られ、高容量かつ長寿
命の電池を形成することができる。また結晶粒の微細化
により、合金の水素吸収速度が速くなり、二次電池とし
た場合に放電容量の立上がりが早くなる。
【0034】さらに合金溶湯の冷却凝固法として、特に
ガスアトマイズ法,回転ディスク法,遠心噴霧法,単ロ
ール法、双ロール法等のように溶融状態にある合金溶湯
を急冷する溶湯急冷法を用い、冷却ロールの材質および
表面性,冷却ロールの回転数(走行面の周速),溶湯温
度,冷却ロール用の冷却水温度,冷却チャンバ内のガス
種,圧力,溶湯噴射ノズル径,噴射量等の製造条件を最
適化することにより合金を安定的に大量に製造すること
ができる。
【0035】単ロール法 図1は、単ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、銅、ニッケル等の熱導伝性に優れ
る直径400mm程度の冷却ロール5と、取鍋2から供
給された水素吸蔵合金溶湯3を貯留した後に前記冷却ロ
ール5の走行面に噴射する注湯ノズル4とを備えた構成
となっている。前記冷却ロール5等は不活性ガス雰囲気
に調整された冷却チャンバー1内に収納されている。ま
た、前記冷却ロール5の回転数は、冷却ロール5の濡性
と冷却速度および水素吸蔵合金溶湯3の噴射量に依存す
るが、概ね300〜5000rpmに設定される。
【0036】上述した図1に示す製造装置において、取
鍋2から供給された水素吸蔵合金溶湯3を注湯ノズル4
より冷却ロール5の走行面へ噴射すると、合金溶湯は冷
却ロール5に接する面より固化し、結晶成長が始まり、
冷却ロール5より離脱するまでに完全に固化が終了す
る。その後、冷却チャンバー1内を飛翔する間に更に冷
却が進み、偏析が少なく結晶成長方向が揃った水素吸蔵
合金6が製造される。
【0037】双ロール法 図2は、双ロール法による水素吸蔵合金製造装置を示
す。この製造装置は、冷却チャンバー1内に各走行面が
対向するように配置された1対以上の冷却ロール5a,
5bと、原料金属を溶解し水素吸蔵合金溶湯3を調製す
る溶解炉7と、この溶解炉7からの水素吸蔵合金溶湯3
をタンディッシュ8を経て前記冷却ロール5a,5bの
間に噴射する注湯ノズル4を備えた構成になっている。
【0038】前記冷却ロール5a,5bは、銅、鉄等の
熱導伝性に優れた材質で形成された直径300mm程度
のものである。前記冷却ロール5a,5bは0〜0.5
mm程度の微少な間隙dを維持しながら300〜200
0rpm程度の回転数で高速回転する。なお、冷却ロー
ルとしては図2に示すように走行面が平行になっている
ものの他、走行面の断面形状をU字型やV字型とした、
いわゆる型ロールを採用することもできる。また、冷却
ロール5a,5bの間隙dを過大にすると、冷却方向が
揃わず、その結果結晶成長方向が揃わない水素吸蔵合金
が製造されるため、0.2mm以下に設定することが好
ましい。
【0039】上述した図2に示す製造装置において、注
湯ノズル4から水素吸蔵合金溶湯3を冷却ロール5a,
5bの間隙方向へ噴射すると、水素吸蔵合金溶湯が両側
の冷却ロール5a,5bに接する側より固化、結晶成長
が始まり、冷却ロール5a,5bより離脱するまでに完
全に固化が終了する。その後、冷却チャンバー1内を飛
翔する間に更に冷却が進み、偏析が少なく結晶成長方向
が揃った水素吸蔵合金6が製造される。
【0040】上記のような冷却凝固法を使用して、ブロ
ック状,リボン状,フレーク状または粒状の水素吸蔵合
金を製造する場合、合金溶湯の凝固時の試料内温度勾
配、冷却ロールや回転ディスクの材質、合金溶湯の供給
量等の条件により等軸晶組織や柱状晶組織が合金内に形
成される。
【0041】上記合金粒子の製造工程において、100
℃/分以上、好ましくは300℃/分以上、さらに好ま
しくは1800℃/分以上の冷却速度にて溶湯を急冷処
理して水素吸蔵合金を製造すると、合金を構成する各結
晶粒が5〜100μm程度と微細化し、合金強度が高ま
るとともに、粒界の乱れが減少するため、水素の吸蔵量
が増大し、電極容量を高めることができる。
【0042】上記溶湯急冷処理により、少なくとも一部
に柱状晶組織を発達させた水素吸蔵合金を形成すること
ができる。ここで柱状晶とは、短径と長径との比(アス
ペクト比)が1:2以上である柱状結晶粒をいう。上記
柱状晶組織においては、等軸晶組織とは異なり、結晶方
位が揃っているため、粒界の乱れが少なく、水素の吸蔵
量が増し、電極容量を増大化できることが本発明者らの
実験により確認された。すなわち柱状晶組織において
は、その界面に沿って、水素分子または水素原子の通路
が形成されるため、合金内への水素の吸蔵あるいは放出
が容易になり、電極容量が増加する。また柱状晶組織に
おける偏析は、極めて少なくなる。従って偏析による局
部電池の形成が少なく、合金組織の微細化による寿命低
下も効果的に防止できる。
【0043】上記のように冷却凝固法により調製した合
金においては内部歪みが発生し易い一方、鋳造法により
調製した合金においては偏析が発生し易く、いずれの場
合にも合金を負極材料として用いた場合に電極容量およ
び寿命が低下する場合が多い。
【0044】そこで冷却凝固せしめて調製した合金を、
場合により、温度300〜1000℃で2〜10時間加
熱する均質化熱処理を予め行なうことが望ましい。
【0045】上記均質化熱処理の温度が300℃未満の
場合には、内部歪の除去が困難となる一方、温度が10
00℃を超える場合には、希土類元素あるいはIVa族
元素の酸化や蒸発による組成変動を引き起こしたり、二
次再結晶化による合金強度の低下を引起こす。そのため
熱処理温度は300〜1000℃の範囲に設定される。
特に電極特性を向上させるためには、500〜800℃
の範囲が好ましい。
【0046】また熱処理時間が1時間未満の場合は、内
部歪の除去効果が少ない。一方処理時間が10時間を超
える程度に長期化すると結晶粒の粗大化を引起すおそれ
が高くなるため、製造効率も勘案すると2〜10時間が
好ましい。
【0047】なお熱処理雰囲気は、水素吸蔵合金の高温
酸化を防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気ま
たは真空が好ましい。
【0048】上記のような条件で均質化熱処理を実施す
ることにより、合金の均質性を保ちながら内部歪を効果
的に除去することが可能となり、電極容量および寿命を
さらに高めることができる。
【0049】また上記のように調整した水素吸蔵合金に
対して下記のような表面処理を実施することにより、電
極材料として使用した場合に電極特性を改善することが
できる。すなわち、酸処理,アルカリ処理,ふっ化処理
等の表面処理を実施することにより、合金表面の活性や
耐食性を高めることができる。上記表面処理のうち、特
にKOHやNaOHを使用したアルカリ処理が特に有効
である。これらの表面処理は、急冷凝固したままの形状
の状態で実施してもよい。さらに粉砕した後の状態で
も、または粉砕中の状態で実施してもよい。
【0050】次に、上記電池用水素吸蔵合金を負極活物
質として使用した本発明に係るニッケル水素二次電池
(円筒形ニッケル水素二次電池)について図3を参照し
て説明する。
【0051】本発明に係るニッケル水素二次電池は、前
記の一般式ANia b M′c dで表わされる電池用
水素吸蔵合金を含む負極11とニッケル酸化物を含む正
極12との間に電気絶縁性を有するセパレータ13を介
装して密閉容器14内に収容し、この密閉容器14内に
アルカリ電解液を充填して構成される。
【0052】すなわち、水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合
金電極(負極)11は、非焼結式ニッケル電極(正極)
12との間にセパレータ13を介在して渦巻状に捲回さ
れ、有底円筒状の容器14内に収納されている。アルカ
リ電解液は、前記容器14内に収容されている。中央に
穴15を有する円形の封口板16は、前記容器14の上
部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケッ
ト17は、前記封口板16の周縁と前記容器14の上部
開口部内面との間に配置され、前記上部開口部を内側に
縮径するカシメ加工により前記容器14に前記封口板1
6を前記ガスケット17を介して気密に固定している。
正極リード18は、一端が前記正極12に接続され、他
端が前記封口板16の下面に接続されている。帽子形状
をなす正極端子19は、前記封口板16上に前記穴15
を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁20
は、前記封口板16と前記正極端子19で囲まれた空間
内に前記穴15を塞ぐように配置されている。絶縁チュ
ーブ21は、前記正極端子19および前記容器14の上
端に載置される鍔紙22を固定するように前記容器14
の上端付近に取り付けられている。
【0053】前記水素吸蔵合金電極11は、以下に説明
するペースト式および非ペースト式のものが用いられ
る。 (1)ペースト式水素吸蔵合金電極は、上記水素吸蔵合
金を粉砕することにより得た水素吸蔵合金粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレス等を施
すことにより作製される。 (2)非ペースト式水素吸蔵合金電極は上記水素吸蔵合
金粉末と高分子結着剤と必要に応じて添加される導電性
粉末とを撹拌し、集電体である導電性基板に散布した後
ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0054】前記水素吸蔵合金の粉砕方法としては、例
えばボールミル、パルペライザー、ジェットミル等の機
械的粉砕方法、または高圧の水素を吸蔵・放出させ、そ
の際の体積膨張により粉砕する方法が採用される。
【0055】前記高分子結着剤としては、例えばポリア
クリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、カルボキシメチルセルロース(CMC),ポリビ
ニルアルコール(PVA)等を挙げることができる。こ
のような高分子結着剤は、前記水素吸蔵合金100重量
部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合することが好
ましい。ただし、前記(2)の非ペースト式水素吸蔵合
金電極を作製する場合には撹拌により繊維化して前記水
素吸蔵合金粉末および必要に応じて添加される導電性粉
末を三次元状(網目状)に固定することが可能なポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)を高分子結着剤とし
て用いることが好適である。
【0056】前記導電性粉末としては、例えば黒鉛粉
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、またはニ
ッケル、銅、コバルトなどの金属粉末を挙げることがで
きる。このような導電性粉末は、前記水素吸蔵合金10
0重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で配合するこ
とが好ましい。
【0057】前記導電性基板としては、例えばパンチド
メタル、エキスパンドメタル、金網等の二次元基板、ま
たは発泡メタル基板、網状焼結繊維基板、不織布へ金属
をめっきしたフェルトめっき基板等の三次元基板を挙げ
ることができる。ただし、前記(2)の非ペースト式水
素吸蔵合金電極を作製する場合には水素吸蔵合金粉末を
含む合剤が散布されることから二次元基板を導電性基板
として用いることが好適である。
【0058】前記水素吸蔵合金電極と組み合される非焼
結式ニッケル電極12は、例えば水酸化ニッケルと必要
に応じて添加される水酸化コバルト(Co(O
H)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等
との混合物にカルボキシメチルセルロース(CMC)、
ポリアクリル酸ソーダなどのポリアクリル酸塩を適宜配
合してペーストとし、このペーストを発泡メタル基板、
網状焼結繊維基板、不織布へ金属をめっきしたフェルト
めっき基板などの三次元構造の基板に充填し、乾燥した
後、ローラープレス等を施すことにより作製される。
【0059】前記セパレータ13に使用される高分子繊
維不織布としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、
ポリエチレンなどの単体高分子繊維、またはこれら高分
子繊維を混紡した複合高分子繊維を挙げることができ
る。
【0060】アルカリ電解液としては、例えば6規定か
ら9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液または前記
水酸化カリウム溶液に水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ムなどを混合したものが使用される。
【0061】上記構成に係る電池用水素吸蔵合金によれ
ば、合金を構成する希土類元素の種類およびその組成比
と、Niと置換する元素の種類およびその組成比とを適
正に設定しているため、水素の吸蔵特性および耐食性が
優れた電池用水素吸蔵合金が得られる。したがって、こ
の合金を負極材料として使用した場合に、電池容量が大
きくなり、かつアルカリ溶解液による合金の微粉化劣化
を防止できるため、寿命が長いニッケル水素二次電池を
提供することができる。
【0062】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例を参照して、より具体的に説明する。
【0063】実施例1〜23 表1の左欄に示すA成分(希土類)組成および合金組成
となるように各種金属原料粉末を配合し、得られた原料
混合体を真空炉で加熱融解して各実施例用の合金溶湯
(母合金)をそれぞれ調製した。なお原料粉末のうち、
一般式のA成分となるミッシュメタル(Lm)として
は、表1に示すようにLa含有量を68〜95重量%,
Ndを1〜7重量%,Prを0〜3重量%,Ceを3〜
22重量%の範囲で組成を変化させたLa富化ミッシュ
メタルを使用した。
【0064】次に得られた合金溶湯を、Ar雰囲気中で
以下に示す処理条件に従って冷却凝固せしめ、それぞれ
ブロック状またはフレーク状の合金試料を調製した。
【0065】すなわち、実施例1〜15用の合金溶湯を
図1に示すような単ロール法により急冷凝固せめしてフ
レーク状の合金試料をそれぞれ調製した。冷却ロールと
しては、直径400mmのCu−Be製ロールを使用し、
注湯ノズル(射出ノズル)と冷却ロールとの間隙は10
mmに設定し、射出圧力は0.5kg/cm2 とした。また急
冷操作はAr雰囲気で実施し、ロール周速は25m/S
に設定した。
【0066】一方、実施例16〜23用の合金溶湯は、
図2に示すような双ロール法により急冷凝固せしめてフ
レーク状の合金試料をそれぞれ調製した。双ロール法に
おける処理雰囲気は、単ロール法の場合と同様にArガ
ス雰囲気とした。また冷却ロールの材質はFe(SUJ
−2)であり、直径が300mmの鉄製ロールを使用し
た。さらに冷却ロールのロールギャップはゼロとしてロ
ール周速を10m/Sに設定し、射出圧力を0.5kg/
cm2 に設定した。
【0067】こうして得られた急冷合金試料のうち、単
ロール法および双ロール法で製造された急冷合金試料の
形態はいずれもフレーク状であり、その厚さは150〜
200μmであった。これらのフレーク状合金試料につ
いて、1000℃で10時間の均質化熱処理を実施し、
内部歪みを除去した。
【0068】比較例1〜2 表1左欄に示すミッシュメタル(A)組成および合金組
成を満足するように原料粉末を配合し、得られた原料混
合体を真空炉で加熱溶解して、各比較例用の合金溶湯を
それぞれ調製した。なお、原料粉末のうち、A成分とな
るミッシュメタル(A)としては、La含有量が過少で
Nd含有量が過多なもの(比較例1)およびLa含有量
が過少でCe,Pr含有量が過多なもの(比較例2)を
使用した。
【0069】そして各合金溶融を鋳造法により、冷却速
度を5〜20℃/秒に設定して冷却凝固せしめ、それぞ
れ厚さ50mmの比較例1〜2に係るブロック状の合金試
料を調製した。さらに得られた合金試料について100
0℃で10時間加熱して均質化熱処理を実施した。
【0070】次に得られた各合金試料について、ハンマ
ーミルによって微粉砕を実施し、得られた粉砕粉を篩に
通して75μm以下の粒度に分級して各電池用水素吸蔵
合金粉末とした。なお平均粒径は35〜40μmであっ
た。
【0071】次に上記各実施例および比較例に係る電池
用水素吸蔵合金の電池材料としての特性を評価するため
に、以下に示すような手順で上記各電池用水素吸蔵合金
を使用して電極を形成し、その水素平衡圧,電極容量お
よび充放電サイクル数(寿命)を測定した。
【0072】まず上記実施例および比較例に係る電池用
水素吸蔵合金粉末と、PTFE粉末と、カーボン粉末と
をそれぞれ重量%で95.5%,4.0%,0.5%に
なるように秤量後、混練圧延して各電極シートを作成し
た。電極シートを所定の大きさに切り出してニッケル製
集電体に圧着し、水素吸蔵合金電極をそれぞれ作成し
た。
【0073】一方、水酸化ニッケル90重量%と一酸化
コバルト10重量%とに少量のCMC(カルボキシメチ
ルセルロース)と水とを添加し撹拌混合してペーストを
調製した。このペーストを、三次元構造を有するニッケ
ル多孔体に充填乾燥後、ローラプレスによって圧延する
ことによりニッケル極を製造した。
【0074】そして上記各水素吸蔵合金電極とニッケル
極とを組み合わせて、容量については単極評価で測定す
る一方、寿命評価については、実際に各実施例のAA型
(単三型)ニッケル水素電池を組み立てた。ここで電解
液としては、8規定の水酸化カリウムと1規定の水酸化
リチウムとの混合水溶液を使用した。
【0075】そして、各水素吸蔵合金電極の容量評価で
は、25℃の恒温槽中で合金1g当り220mAの電流
値(220mA/g)で400mAh/gまで充電した
後に、上記電流値でHg/HgO参照電極に対して、−
0.5Vの電位になるまで放電させ、この充放電を繰り
返して放電量が最大になったときの値を容量として測定
した。この25℃における容量を測定した後に、恒温槽
内の温度を−20℃および+60℃に調整し、それぞれ
の温度における容量を測定した。そして25℃における
容量に対する各測定温度における容量との比を算出して
容量の温度依存性を評価した。
【0076】また寿命評価では、各電池について、65
0mAで1.5時間充電後、電池電圧が1Vになるまで
1Aの電流で放電する充放電サイクルを繰り返し、電池
容量が初期容量の80%になるまでのサイクル数を電池
寿命として測定した。各測定結果を下記表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】上記表1に示す結果から明らかなように、
一般式のAサイト成分である希土類元素の組成比と他の
構成元素の組成比とを適正に設定し、冷却凝固せしめて
調製した各実施例に係る水素吸蔵合金を使用して形成し
た電極および電池においては、組成比または水素平衡圧
が異なる比較例の電池と比較して、−20℃の低温条件
下および+60℃の高温度条件下における容量の低下が
少なく、広い使用温度範囲において容量の温度依存性が
少ないことが判明した。
【0079】また実施例は比較例と比較して、電極容量
が25〜67mAh/g増加するとともに、充放電サイ
クル数が最大で50サイクル程度増加しており、電池の
寿命が改善されることが確認できた。すなわち、本実施
例において規定する組成範囲および水素平衡圧に設定す
ることにより、温度依存性が少なく、高容量で、かつ長
寿命のニッケル水素二次電池が得られることが判明し
た。
【0080】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る電池用水素
吸蔵合金によれば、合金を構成する希土類元素の種類お
よびその組成比と、Niと置換する元素の種類およびそ
の組成比と、水素平衡圧とを適正に設定しているため、
温度依存性が少なく、水素の吸蔵特性および耐食性が優
れた電池用水素吸蔵合金が得られる。したがって、この
合金を負極材料として使用した場合に、低温条件下およ
び高温条件下においても容量低下が少なく、広い温度範
囲において電池容量が大きくなり、かつ、寿命が長いニ
ッケル水素二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す斜視図。
【図2】双ロール法による水素吸蔵合金製造装置の構成
を示す断面図。
【図3】本発明に係るニッケル水素二次電池の構成例を
部分的に破断して示す斜視図。
【符号の説明】
1 冷却チャンバ 2 取鍋 3 水素吸蔵合金溶湯 4 注湯ノズル 5,5a,5b 冷却ロール 6 水素吸蔵合金 7 溶解炉 8 タンディッシュ 11 水素吸蔵合金電極(負極) 12 非焼結式ニッケル電極(正極) 13 セパレータ 14 容器 15 穴 16 封口板 17 絶縁性ガスケット 18 正極リード 19 正極端子 20 安全弁 21 絶縁チューブ 22 鍔紙 d 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 隆道 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 佐藤 典昭 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 坂本 敏也 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 岡村 正己 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式ANia b M′c d (但し、
    AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、Aにお
    けるLa含有量が重量比で50〜99%,Ce含有量が
    1〜30%,Pr含有量が0〜10%,Nd含有量が0
    〜10%,Y含有量が0〜10%である一方、MはC
    o,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の元
    素であり、M′はMnおよびAlから選択される少なく
    とも1種の元素であり、TはB,Si,S,Cr,G
    a,Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,S
    n,SbおよびWから選択される少なくとも1種の元素
    であり、a,b,c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a
    ≦4.0,0.4≦b≦1.0,0.3≦c≦0.8,
    0≦d≦0.2,4.9≦a+b+c+d≦5.4であ
    る。)で表わされる組成を有する急冷合金から成り、温
    度60℃において合金金属1原子当りに吸蔵される水素
    原子数が0.4のときの水素平衡圧が0.05〜0.6
    atm であることを特徴とする電池用水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 急冷合金の平均結晶粒径が5〜100μ
    mの範囲であることを特徴とする請求項1記載の電池用
    水素吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 一般式ANia b M′c d (但し、
    AはLa,Ce,Pr,NdおよびYから成り、Aにお
    けるLa含有量が重量比で50〜99%,Ce含有量が
    1〜30%,Pr含有量が0〜10%,Nd含有量が0
    〜10%,Y含有量が0〜10%である一方、MはC
    o,FeおよびCuから選択される少なくとも1種の元
    素であり、M′はMnおよびAlから選択される少なく
    とも1種の元素であり、TはB,Si,S,Cr,G
    a,Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,In,S
    n,SbおよびWから選択される少なくとも1種の元素
    であり、a,b,c,dは原子比でそれぞれ3.2≦a
    ≦4.0,0.4≦b≦1.0,0.3≦c≦0.8,
    0≦d≦0.2,4.9≦a+b+c+d≦5.4であ
    る。)で表わされる組成を有する急冷合金から成り、温
    度60℃において合金金属1原子当りに吸蔵される水素
    原子数が0.4のときの水素平衡圧が0.05〜0.6
    atm である電池用水素吸蔵合金を含む負極と,ニッケル
    酸化物を含む正極との間に電気絶縁性を有するセパレー
    タを介装して密閉容器内に収容し、この密閉容器内にア
    ルカリ電解液を充填したことを特徴とするニッケル水素
    二次電池。
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