JPH09241365A - 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09241365A
JPH09241365A JP8568096A JP8568096A JPH09241365A JP H09241365 A JPH09241365 A JP H09241365A JP 8568096 A JP8568096 A JP 8568096A JP 8568096 A JP8568096 A JP 8568096A JP H09241365 A JPH09241365 A JP H09241365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
aliphatic
dicarboxylic acid
molecular weight
ether
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8568096A
Other languages
English (en)
Inventor
Masuo Gotou
培雄 五藤
Hajime Ono
肇 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yushiro Chemical Industry Co Ltd filed Critical Yushiro Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP8568096A priority Critical patent/JPH09241365A/ja
Publication of JPH09241365A publication Critical patent/JPH09241365A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品として実用的な強度が得られる程度に
高分子量であり、且つ生分解性が良好な脂肪族ポリエス
テル及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 α,ω−脂肪族系ジカルボン酸及び
α,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物の少なくとも一つ
と、α,ω−脂肪族系ジオールとを重縮合して一次ポ
リエステルを合成する。次いで、この一次ポリエステル
の熔融状態でジグリシジルエーテルを添加し、このジグ
リシジルエーテルによって一次ポリエステルを互いに連
結して高分子量化することにより、高分子量の脂肪族ポ
リエステルを製造する。得られた脂肪族ポリエステルの
主鎖には、ジグリシジルエーテルに由来するエーテル結
合が導入されている。エステル結合に比べてエーテル結
合の生分解性は高いので、この脂肪族ポリエステルは、
エステル結合のみからなる高分子量のポリエステルに比
べて生分解性が良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステ
ル及びその製造方法に関し、更に詳しくは、主鎖がエー
テル結合からなるセグメントによって脂肪族系のポリエ
ステルブロックが互いに連結された構造を有することに
より、高分子量と良好な生分解性とを両立可能な脂肪族
ポリエステル及びその製造方法に関する。本発明の脂肪
族ポリエステルは、フィルム、繊維、その他各種の成形
品用の材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】合成繊維、フィルム、その他の成形体と
して利用されているプラスチックは、軽くて丈夫である
利点に加えて、安価で大量に供給できる等、我々の生活
に豊かさと便利さをもたらした。しかしながら、その安
定性ゆえに、プラスチック廃棄物は環境汚染の一因とも
なっている。近年、地球的規模での環境問題に対して、
自然環境中で分解する高分子素材の開発が要望されるよ
うになり、その中でも特に微生物によって分解されるプ
ラスチックは、環境適合性材料や新しいタイプの機能性
材料として大きな期待が寄せられている。
【0003】従来より、脂肪族系ポリエステルには生分
解性があることが知られており、中でもα,ω−脂肪族
ジカルボン酸とα,ω−脂肪族ジオールとの重縮合によ
って得られるポリエステル、例えばポリエチレンサクシ
ネート(PES)やポリブチレンサクシネート(PB
S)及びポリエチレンアジペート(PEA)は、古くか
ら知られた生分解性高分子である。これらの高分子は、
土中への埋設テストでも微生物により生分解されること
が確認されており〔インターナショナルバイオディテリ
オレイション ブルティン(Int. Biodetetn. Bull.
)、11巻、127項(1975)及びポリマー サ
イエンス テクノロジー(Polym. Sci. Technol )、3
巻、61項(1973)参照〕、しかも安価に製造でき
るという利点を有する。
【0004】しかし、α,ω−脂肪族ジカルボン酸と
α,ω−脂肪族ジオールとの重縮合によって得られる上
記のポリエステルは熱安定性に乏しく、重縮合時に分解
反応を併発する。このため、数平均分子量が最高値に到
達した時点でも、その値は通常2,000〜6,000
程度であり、従って繊維やフィルムに加工するには強度
等の物性が不十分であった。
【0005】これらの脂肪族ポリエステルの分子量を上
げるために、米国特許番号5,306,787号には、
アルコキシチタン化合物を触媒とした重縮合により数平
均分子量が5,000以上のポリエステルを合成し、こ
のポリエステルにジイソシアネート化合物を反応させて
分子量を増大させることを特徴とする飽和ポリエステル
の製造方法が開示されている。また、ジイソシアネート
化合物を用いることなく、重縮合のみで高重合度の脂肪
族ポリエステルを合成する方法として、(i) 特開平7−
126361号公報には、重縮合触媒としてアルコキシ
アンチモン化合物若しくはアンチモンの有機酸塩を用い
る方法が開示されており、(ii)特開平7−22867号
公報には、触媒の存在下で有機溶媒中で反応を行い、留
出した溶媒から水とジオールを除去し、水分及びジオー
ルの濃度を400ppm以下として重縮合する方法が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、米国特
許番号5,306,787号に記載の方法によると、合
成されたポリエステルは実用に十分な強度が得られるだ
けの分子量を有するが、分子内にウレタン結合が含まれ
ているので、生分解の過程で毒性の強いジアミンが生成
され、土中に蓄積する恐れがある。
【0007】一方、特開平7−126361号公報又は
特開平7−22867号公報に記載の方法によると、生
分解の過程で比較的毒性があるジアミンが生成されると
いう上記の問題は生じないと推察される。ところが、脂
肪族ポリエステルは生分解性を有するとはいうものの、
重合度が高くなるとその生分解性は次第に低下する傾向
にある。このため、特開平7−126361号公報又は
特開平7−22867号公報に記載の方法によると、実
用上十分な強度を有する程度に高分子量であり、且つ生
分解性の良好なポリエステルを得ることは困難であっ
た。
【0008】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、フィルム、繊維等の成形物として実
用上十分な強度が得られる程度に高分子量であり、且つ
自然環境下で速やかに生分解可能な、脂肪族ポリエステ
ル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エーテル
結合の生分解性がエステル結合に比べて高いことに着目
した。そして、ポリエステルブロックがエーテル結合か
らなるセグメントによって連結された構造とすることに
より、主鎖にエーテル結合が導入されていることから、
高分子量でありしかも生分解性の良好な脂肪族ポリエス
テルとなることを見出した。更に、この脂肪族ポリエス
テルは、重縮合によって一次ポリエステルを合成した
後、主鎖がエーテル結合からなる化合物を用いて該一次
ポリエステルを互いに連結することにより製造可能であ
ることを見出して、本発明は完成したものである。
【0010】即ち、本第1発明の脂肪族ポリエステル
は、α,ω−脂肪族系ジカルボン酸及びα,ω−脂肪
族系ジカルボン酸無水物の少なくとも一つと、α,ω
−脂肪族系ジオールとの重縮合により得られる重量平均
分子量3,000〜100,000のポリエステルブロ
ックと、主鎖がエーテル結合からなり、該ポリエステル
ブロックを互いに連結するエーテルセグメントとからな
り、重量平均分子量が8,000〜500,000であ
ることを特徴とする。
【0011】本第1発明の脂肪族ポリエステルは、例え
ば、α,ω−脂肪族系ジカルボン酸又はα,ω−脂肪
族系ジカルボン酸無水物と、α,ω−脂肪族系ジオー
ルとの重縮合により重量平均分子量3,000〜10
0,000の一次ポリエステルを合成し、ジグリシジル
エーテル化合物、ポリアルキレングリコール等の主鎖が
エーテル結合からなる化合物と該一次ポリエステルとを
反応させて、該一次ポリエステルを互いに連結すること
により製造可能である。特に、ジグリシジルエーテル化
合物と該一次ポリエステルとの反応を用いることが好ま
しい。これは、反応によりジグリシジルエーテルのエポ
キシ環が開環して上記エーテルセグメントの側鎖に水酸
基が導入され、これにより脂肪族ポリエステルの親水性
が高まるので生分解性が更に向上するためである。
【0012】ここで、ポリエステルブロックの重量平均
分子量を3,000〜100,000(好ましくは6,
000〜60,000)としたのは、このポリエステル
ブロックの重量平均分子量が3,000未満では脂肪族
ポリエステルの強度が実用上不十分であり、またポリエ
ステルブロックの重量平均分子量が100,000を超
えると脂肪族ポリエステルの生分解性が低下するためで
ある。また、脂肪族ポリエステルの重量平均分子量を
8,000〜500,000(好ましくは60,000
〜300,000)としたのは、重量平均分子量が8,
000未満では実用上十分な強度が得られず、一方、重
量平均分子量が500,000を超えると、この脂肪族
ポリエステルをフィルム、繊維等の製造に用いる際に成
形が困難となるためである。
【0013】本第1発明に用いられる「α,ω−脂肪族
系ジカルボン酸」及び「α,ω−脂肪族系ジカルボン酸
無水物」は、各々、両端に脂肪族系カルボキシル基をも
つ化合物及びその無水物である。α,ω−脂肪族系ジカ
ルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ウンデ
カン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢
酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸及びその無水
物から選択されるいずれか一種を用いてもよいし、二種
以上のジカルボン酸又は二種以上のジカルボン酸無水物
を用いてもよい。また、ジカルボン酸及びジカルボン酸
無水物からそれぞれ一種以上を選択して併用してもよ
い。
【0014】このうち、重縮合時の反応性及び脂肪族ポ
リエステルの生分解性の点から、下記一般式で表される
ジカルボン酸又はその無水物を用いることが好ましい。 〔一般式〕 HOOC(CH2aC00H(但し、aは
2〜10の整数。) 特に、カルボキシル基の間のメチレン基の個数aが偶数
であるジカルボン酸、具体的にはコハク酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸を使用する
と、脂肪族ポリエステルの融点を60℃以上とすること
が可能であるため、この脂肪族ポリエステルを成形品と
して用いる上で好ましい。
【0015】本第1発明に用いられる「α,ω−脂肪族
系ジオール」は、両端に脂肪族系水酸基をもつ化合物で
あり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,
3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4
−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。これらのジオ
ールのうちから選択される一種を用いてもよいし、二種
以上を混合して用いてもよい。特に、エチレングリコー
ル又は1,4−ブタンジオールを用いると、脂肪族ポリ
エステルの融点を60以上℃とすることが可能であるた
め、成形品として用いる上で好ましい。
【0016】ポリエステルブロックの合成に用いるジカ
ルボン酸とジオールとの組み合わせとしては、特に、コ
ハク酸とエチレングリコール、コハク酸と1,4−ブタ
ンジオールとの組み合わせが好ましい。これは、上記の
組み合わせによると、ポリエステルブロックとエーテル
セグメントとからなる脂肪族ポリエステルの融点を10
0℃以上とすることが可能であり、且つこの脂肪族ポリ
エステルの生分解性が良好なためである。また、エーテ
ルセグメントは、各セグメントの主鎖に1〜10(好ま
しくは1〜3)のエーテル結合を有することが好まし
い。これは、各セグメントの主鎖にあるエーテル結合の
数が10を超えると、脂肪族ポリエステルの融点が低下
したり、強度が不十分となったりする恐れがあるためで
ある。
【0017】また、本第2発明の脂肪族ポリエステルの
製造方法は、α,ω−脂肪族系ジカルボン酸及びα,
ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物の少なくとも一つと、
α,ω−脂肪族系ジオールとを重縮合して一次ポリエ
ステルを合成する第1工程と、該一次ポリエステルの熔
融状態で、2以上のグリシジル基を有するグリシジルエ
ーテル化合物を添加し、該グリシジルエーテル化合物に
よって該一次ポリエステルを互いに連結して二次ポリエ
ステルを得る第2工程とからなることを特徴とする。
【0018】ここで、一次ポリエステルの重量平均分子
量は3,000〜100,000(好ましくは6,00
0〜60,000)であることが好ましい。これは、一
次ポリエステルの重量平均分子量が3,000未満では
得られる二次ポリエステルの強度が実用上不十分であ
り、一次ポリエステルの重量平均分子量が100,00
0を超えると二次ポリエステルの生分解性が低下するた
めである。更に、一次ポリエステルの重量平均分子量が
100,000を超えると、一次ポリエステルとグリシ
ジルエーテル化合物との反応性が低くなるとともに、グ
リシジルエーテル化合物を添加する際の一次ポリエステ
ルの溶融温度が高くなるため、反応時にゲル化する恐れ
がある。また、二次ポリエステルの重量平均分子量は
8,000〜500,000(好ましくは60,000
〜300,000)であることが好ましい。これは、二
次ポリエステルの重量平均分子量が8,000未満では
実用上十分な強度が得られず、一方、重量平均分子量が
500,000を超えると、この二次ポリエステルをフ
ィルム、繊維等の製造に用いる際に成形が困難となるた
めである。
【0019】本第2発明における「α,ω−脂肪族系ジ
カルボン酸」及び「α,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水
物」並びに「α,ω−肪族系ジオール」としては、各
々、前記の本第1発明に用いられる化合物と同様の化合
物から選択することができる。本第2発明に用いられる
「グリシジルエーテル化合物」は特に制限されないが、
例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチル
グリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等
が挙げられる。また、ジエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエー
テル等を含むポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル、及び、ジプロピレングリコールジグリシジルエー
テル等を含むポリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル等を使用してもよい。
【0020】ここで、一次ポリエステルとグリシジルエ
ーテル化合物との反応時のゲル化を抑制するためには、
ジグリシジルエーテル類を用いることが好ましい。一次
ポリエステルの反応性及び生分解性の点から、好ましい
ジグリシジルエーテル類としては、エチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジエーテ
ル又はジプロピレングリコールジグリシジルエーテルが
挙げられる。特に、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテルを用いると、得られる二次ポリエステルの機械的
強度等が高いため好ましい。
【0021】本第2発明において、一次ポリエステルを
合成する第1工程は、一般にα,ω−脂肪族系ジカル
ボン酸又はα,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物と、
α,ω−脂肪族系ジオールとのエステル化及び脱グリコ
ール反応により行われる。エステル化反応は、例えば温
度140〜160℃、4〜8時間の反応条件で行われ
る。また、脱グリコール反応は、例えば温度180〜1
90℃、6〜10時間、圧力0.5mmHg以下の反応
条件で行われる。脱グリコール反応の触媒としては、チ
タンの有機化合物(テトラアルコキシチタン化合物、チ
タンオキシアセチルアセテート等が挙げられる)、亜
鉛、鉛、ジルコニウム等の金属の有機酸塩、キレート化
合物、酸化アンチモン等を使用することができる。この
脱グリコール反応触媒は、生成する一次ポリエステル1
00重量部に対して、金属量換算で0.001〜0.1
重量部使用することが好ましい。
【0022】そして、二次ポリエステルを得る第2工程
は、上記第1工程で得られた一次ポリエステルを130
〜200℃(好ましくは160〜170℃)に加熱して
熔融状態とし、この溶融状態でグリシジルエーテル化合
物を添加することにより行われる。グリシジルエーテル
化合物は、一次ポリエステル100重量部に対して0.
1〜5重量部(好ましくは0.5〜3重量部、より好ま
しくは1〜2.5重量部)添加することが好ましい。グ
リシジルエーテル化合物の添加量が0.1重量部未満で
は一次ポリエステルが十分に連結されないため、分子量
の低い二次ポリエステルとなるので強度が不足する。一
方、グリシジルエーテル化合物の添加量が5重量部を超
えると、反応時に一次ポリエステルが架橋してゲル化す
る恐れがある。また、グリシジルエーテル化合物と一次
ポリエステルとの反応は、一次ポリエステルが均一な熔
融状態で容易に攪拌可能であり、且つエーテル結合が開
裂しない温度である130〜200℃(好ましくは16
0〜170℃)で行うことが望ましい。
【0023】本発明による脂肪族ポリエステルの一例と
して、α,ω−脂肪族系ジカルボン酸としてコハク酸、
α,ω−脂肪族系ジオールとしてエチレングリコールを
用いて一次ポリエステルを合成し、グリシジルエーテル
化合物としてエチレングリコールジグリシジルエーテル
を用いてこの一次ポリエステルを連結することにより得
られる二次ポリエステルの構造を下記化1に示す。
【0024】
【化1】 m,n:19〜617の自然数
【0025】上記化1において、両側の[ ]内は一次
ポリエステルに由来する部分であり(請求項1に記載の
「ポリエステルブロック」に相当する)、ポリエステル
ブロックに挟まれた中央部はエチレングリコールジグリ
シジルエーテルに由来する部分である(請求項1に記載
の「エーテルセグメント」に相当する)。このエーテル
セグメントにより、一次ポリエステルの分子鎖が連結さ
れて、高分子量の二次ポリエステルを構成している。こ
のエーテルセグメントは主鎖がエーテル結合からなり、
またエポキシ環の開環により側鎖に水酸基が形成され
る。従って、上記化1に示すように、二次ポリエステル
は主鎖にエーテル結合を有し、側鎖には水酸基を有す
る。
【0026】また、グリシジルエーテル化合物によって
一次ポリエステルを連結する本第2発明の方法による
と、例えばジイソシアネート化合物によってポリエステ
ルを連結する従来例とは異なり、得られた二次ポリエス
テルの生分解時に毒性物質が蓄積される恐れはなく、完
全生分解性がある脂肪族ポリエステルが得られる。
【0027】本第1発明の脂肪族ポリエステルによる
と、ポリエステルブロックをエーテルセグメントにより
連結することにより、(1) 高分子量の脂肪族ポリエステ
ルが得られる。また、得られた脂肪族ポリエステルの主
鎖にはエーテル結合が導入されている。一般にエステル
結合に比べてエーテル結合は生分解性が高いので、(2)
単純に重合度を上げることにより分子量を高くしたポリ
エステルに比べて生分解性が向上する。更に、主鎖がエ
ーテル結合からなるエーテルセグメントを用いるので、
例えばジイソシアネート化合物に由来するセグメントに
よってポリエステルブロックを連結する従来例とは異な
り、(3) 脂肪族ポリエステルの生分解時に毒性物質が蓄
積される恐れがなく、完全生分解性のある脂肪族ポリエ
ステルが得られる。特に、例えばジグリシジルエーテル
のエポキシ環の開環によりエーテルセグメントを構成す
る場合には、側鎖に水酸基が導入されることにより、
(4) 脂肪族ポリエステルの親水性が高まるので生分解性
がさらに向上する、という効果が得られる。
【0028】また、本第2発明の脂肪族ポリエステルの
製造方法によると、第1工程で得られた一次ポリエステ
ルを、グリシジルエーテル化合物を用いて互いに連結す
ることにより、本第1発明に記載の脂肪族ポリエステル
を製造する。該脂肪族ポリエステルは、グリシジルエー
テル化合物のエポキシ環が開環することにより、側鎖に
水酸基を有する。従って、上記(1) 〜(4) の効果を有す
る脂肪族ポリエステルが得られる。
【0029】尚、本第1発明の脂肪族ポリエステル、又
は本第2発明により得られる脂肪族ポリエステルは、実
用に供するに際して、必要に応じて滑剤、ワックス類、
着色剤、フィラー、安定剤等を添加して使用することが
できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。尚、重量平均分子量及び数平均分子量は
GPCにより測定した。また、得られた脂肪族ポリエス
テルの強度はダンベル型に成形してオートグラフにより
引張強度を測定し、生分解性については酵素による加水
分解試験によりポリエステルの重量変化を測定した。
【0031】実施例1 攪拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を装着
した500mlセパラブルフラスコに、エチレングリコ
ール(α,ω−脂肪族系ジオール)102g、及び、無
水コハク酸(α,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物)1
50gを仕込み、窒素ガス気流中140〜160℃で4
時間反応させてエステル化した。その後、2時間かけて
20mmHgに減圧し、140〜160℃、20mmH
gの条件下で8時間反応して水分を除去した。次いで、
触媒としてテトラブチルシタネート0.1gを添加し、
180〜190℃、0.5mmHgの条件下で8時間脱
グリコール反応を行い、一次ポリエステルを得た。この
一次ポリエステルの分子量は、重量平均分子量31,0
00、数平均分子量13,000であった。
【0032】次に、この一次ポリエステル10gを16
0℃に熔融し、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル(グリシジルエーテル化合物)0.2gを加え、16
0〜170℃で5時間反応させて、二次ポリエステルと
しての、淡褐色ワックス状の脂肪族ポリエステルを得
た。この脂肪族量ポリエステルの分子量は、重量平均分
子量112,000、数平均分子量17,000であ
り、また融点は約103℃であった。得られた二次ポリ
エステルは、強度、生分解性ともに非常に良好であっ
た。
【0033】実施例2〜11及び比較例1〜4 各種のα,ω−脂肪族系ジカルボン酸、α,ω−脂肪族
系ジオール及びグリシジルエーテル化合物を用いて、実
施例1と同様に脂肪族ポリエステルを合成し、その分子
量、強度及び生分解性を評価した。実施例1と共に、そ
の結果を表1に示す。表1において、「分子量」とは重
量平均分子量を示す。また、強度及び生分解性の評価
は、非常に良好なものを◎、良好なものを○、実用上問
題のないレベルを△、実用的でないものを×として表し
た。
【0034】
【表1】
【0035】上記表1から判るように、グリシジルエー
テル化合物の添加量が5重量部を超えると(比較例1)
反応時にゲル化が起こり、一次ポリエステルの分子量が
3,000未満であると(比較例2)二次ポリエステル
の強度が不足し、一次ポリエステルの分子量が100,
000を超えると(比較例3)二次ポリエステルの生分
解性が低下し、グリシジル化合物の添加量が0.1重量
%未満であると(比較例4)二次ポリエステルの分子量
を十分に高くすることができないので強度が不足する。
これに対して、実施例1〜11では、いずれも実用上問
題のないレベル以上の強度及び生分解性が得られた。
【0036】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【0037】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステルは、エーテ
ル結合からなるセグメントによって連結されたポリエス
テルブロックが構造であるため、高分子量と良好な生分
解性とを共に満たすことができる。従って、フィルム、
繊維等の成形品として各種用途に有用な強度を有し、且
つ生分解性の良好な脂肪族ポリエステルが得られる。ま
た、本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、主鎖が
エーテル結合からなる二官能以上のグリシジルエーテル
化合物を用いて、重縮合によって得られた一次ポリエス
テルを互いに連結することにより、二次ポリエステルと
して高分子量の脂肪族ポリエステルを製造する。これに
より、高分子量であると共に生分解性が良好であり、し
かも生分解時に毒性物質が蓄積される恐れのない脂肪族
ポリエステルが得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,ω−脂肪族系ジカルボン酸及び
    α,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物の少なくとも一つ
    と、α,ω−脂肪族系ジオールとの重縮合により得ら
    れる重量平均分子量3,000〜100,000のポリ
    エステルブロックと、 主鎖がエーテル結合からなり、該ポリエステルブロック
    を互いに連結するエーテルセグメントと、からなり、重
    量平均分子量が8,000〜500,000であること
    を特徴とする脂肪族ポリエステル。
  2. 【請求項2】 上記α,ω−脂肪族系ジカルボン酸は、
    下記一般式で表されるジカルボン酸であり、上記α,ω
    −脂肪族系ジカルボン酸無水物は、該α,ω−脂肪族系
    ジカルボン酸の無水物であり、上記エーテルセグメント
    は、ジグリシジルエーテルのエポキシ環が開環して構成
    される請求項1記載の脂肪族ポリエステル。 〔一般式〕 HOOC(CH2aC00H 但し、aは2〜10の整数。
  3. 【請求項3】 α,ω−脂肪族系ジカルボン酸及び
    α,ω−脂肪族系ジカルボン酸無水物の少なくとも一つ
    と、α,ω−脂肪族系ジオールとを重縮合して一次ポ
    リエステルを合成する第1工程と、 該一次ポリエステルの熔融状態で、2以上のグリシジル
    基を有するグリシジルエーテル化合物を添加し、該グリ
    シジルエーテル化合物によって該一次ポリエステルを互
    いに連結して二次ポリエステルを得る第2工程と、から
    なることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記一次ポリエステルの重量平均分子量
    は3,000〜100,000であり、上記二次ポリエ
    ステルの重量平均分子量は8,000〜500,000
    である請求項3記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記α,ω−脂肪族系ジカルボン酸は、
    下記一般式で表されるジカルボン酸であり、上記α,ω
    −脂肪族系ジカルボン酸無水物は、該α,ω−脂肪族系
    ジカルボン酸の無水物である請求項3又は4記載の脂肪
    族ポリエステルの製造方法。 〔一般式〕 HOOC(CH2aC00H 但し、aは2〜10の整数。
  6. 【請求項6】 上記グリシジルエーテル化合物はジグリ
    シジルエーテル類であり、上記一次ポリエステル100
    重量部に対して0.1〜5重量部添加する請求項3、4
    又は5記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記グリシジルエーテル化合物は、エチ
    レングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリ
    コールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジ
    グリシジエーテル又はジプロピレングリコールジグリシ
    ジルエーテルである請求項3から6のいずれか一項に記
    載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
JP8568096A 1996-03-13 1996-03-13 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 Pending JPH09241365A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8568096A JPH09241365A (ja) 1996-03-13 1996-03-13 脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8568096A JPH09241365A (ja) 1996-03-13 1996-03-13 脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09241365A true JPH09241365A (ja) 1997-09-16

Family

ID=13865563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8568096A Pending JPH09241365A (ja) 1996-03-13 1996-03-13 脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09241365A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2564463B2 (ja) 生分解性脂肪族ポリエステル及びその製造方法
KR100366484B1 (ko) 코폴리에스테르 수지 조성물 및 그 제조방법
KR102135630B1 (ko) 고분자량의 폴리에스테르 또는 코폴리머 및 이들을 포함하는 폴리머 블렌드를 제조하는 방법
JP3339297B2 (ja) 脂肪族ポリエステル組成物
CN103732684B (zh) 耐水解和生物可降解脂肪族/芳香族共聚酯树脂组合物
KR101690082B1 (ko) 생분해성 수지 조성물 및 그로부터 제조되는 생분해성 필름
JP2008266572A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法、並びに共重合体
CN113993926A (zh) 机械物性、成型性及耐候性得到提高的生物降解性树脂组合物及其制备方法
JP3480274B2 (ja) 脂肪族ポリエステル共重合体の製造方法
WO1994021708A1 (en) Aliphatic polyester and process for producing the same
JP3377142B2 (ja) 脂肪族ポリエステル共重合体の製造法
JP3374616B2 (ja) 脂肪族ポリエステル共重合体の製造法
KR101941123B1 (ko) 생분해성 수지 및 이로부터 제조된 생분해성 필름
JPH09241365A (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP2676127B2 (ja) 生分解性ポリエステルの製造方法
KR100308535B1 (ko) 폴리에스테르수지조성물및그제조방법
JP3342579B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP3374617B2 (ja) 脂肪族ポリエステル共重合体の製造法
WO2004005369A1 (ja) 脂肪族ポリエステルポリエーテル共重合体及びその製造方法、並びに該共重合体を用いてなる脂肪族ポリエステル組成物
JP3342570B2 (ja) ポリエチレンサクシネートの製造方法
JPH0971638A (ja) 高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法
KR19980082075A (ko) 폴리에스테르 수지 조성물 및 그 제조방법
JP2004035733A (ja) 脂肪族ポリエステル組成物
JP3394124B2 (ja) 高重合度脂肪族ポリエステルの製造方法
JPH09241359A (ja) 生分解性脂肪族ポリエステル共重合体及びその製造方法