JPH09196986A - 電磁界強度算出装置及び電磁界強度算出方法 - Google Patents

電磁界強度算出装置及び電磁界強度算出方法

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JPH09196986A
JPH09196986A JP8302849A JP30284996A JPH09196986A JP H09196986 A JPH09196986 A JP H09196986A JP 8302849 A JP8302849 A JP 8302849A JP 30284996 A JP30284996 A JP 30284996A JP H09196986 A JPH09196986 A JP H09196986A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電磁界強度算出装置に関し、電気
回路装置の放射する電磁界強度を高精度を維持しつつ高
速で算出することを目的とする。 【解決手段】 サンプル計算処理部4はサンプリング周
波数における相互インピーダンス等を近似式を用いずに
算出する。この相互インピーダンス等及びサンプリング
周波数を用いて、近似係数算出処理部5は近似係数と周
波数とで表された周波数の多項式からなる相互インピー
ダンス等を表す近似式に従って近似係数を算出する。こ
の近似係数を用いて近似計算処理部9は指定された周波
数における相互インピーダンス等を前記近似式により算
出する。この相互インピーダンス等を用いて、電磁流計
算処理部10は各要素を流れる電流値及び/又は磁流値
を算出する。この電流値及び/又は磁流値を用いて電界
磁界計算処理部11は電界及び磁界を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁界強度算出装
置及び電磁界強度算出方法に関し、特に、電気回路装置
の放射する電磁界の強度を高精度を維持しつつ高速で算
出する電磁界強度算出装置及び電磁界強度算出方法に関
する。
【0002】電気回路装置から放射される電波は、テレ
ビやラジオ等の他の電波と干渉することから、最近、各
国で厳しく規制されるようになってきた。このような規
制の規格として、日本ではVCCI規格があり、米国で
はFCC規格があり、ドイツではVDE規格がある。
【0003】このような電波規格を満足させるために
は、シールド技術やフィルタ技術等のような種々の技術
が用いられる。これらの技術の採用に当たって、当該対
策技術がどの程度電波を減少させるかを定量的にシミュ
レートする必要がある。そこで、高精度で電気回路装置
の放射する電磁界強度をシミュレートできる電磁界強度
算出装置が必要とされている。
【0004】
【従来の技術】任意形状の物体から放射される電磁界強
度は、物体各部に流れる電流が判る場合、公知の理論式
を用いて容易に計算することができる。この電流値は、
理論的には、マックスウェルの電磁方程式を与えられた
境界条件の下で解くことで得られる。しかし、任意形状
物体を対象とした複雑な境界条件の下での解析的な解法
は現在知られていない。
【0005】従って、現在の電磁界強度算出装置で用い
られている電流を求める解法は、難易の程度の差はある
にせよ、全て近似的なものである。現在、この近似的な
解法として、微小ループアンテナ近似法と、分布定数線
路近似法と、モーメント法という3種類のものが知られ
ている。
【0006】微小ループアンテナ近似法は、波源回路と
負荷回路との間を接続する配線をループアンテナとして
扱い、ループ上の電流は平坦なものと仮定して、この電
流を集中定数回路の計算手法で求める方法である。微小
ループアンテナ近似法による計算は最も簡単である。し
かし、ループの寸法が電磁波の波長に比べて無視できな
い条件の下では、計算の精度が極めて低下するため、実
際には殆ど用いられない。
【0007】分布定数線路近似法は、1次元の構造物と
して近似できる物体に対して、分布定数線路の方程式を
適用することで電流を求める方法である。分布定数線路
近似法による計算は比較的簡単であり、また、計算時間
及び記憶容量も解析要素数にほぼ比例して増加するに止
まり、更に、線路の反射や共振等の現象も含めた解析が
できる。従って、1次元の近似が成立する物体について
は、高精度かつ高速での解析ができる。しかし、分布定
数線路近似法には、1次元の構造物として近似できない
物体については解析できないという問題点がある。
【0008】モーメント法は、マックスウェルの電磁方
程式から導かれる積分方程式の解法の1つであり、3次
元の任意形状物体を扱うことができる。具体的には、モ
ーメント法は物体を小さな要素(ワイヤ又はパッチ等)
に分割して(メッシュ化して)電流の計算を行う手法で
ある。モーメント法が3次元の任意形状物体を扱い得る
ため、電磁界強度算出装置においてはモーメント法を用
いて電気回路装置の放射する電磁界強度を算出する構成
が有力である。
【0009】モーメント法についての参考文献として
は、以下のものがある。 〔参考文献〕H.N.Wang, J.H.Richmond and M.C.Gilreat
h:"Sinusoidal reaction formulation for radiation a
nd scattering from cond-ucting surface" IEEE TRANS
ACTIONS ANTENNAS PROPAGATION vol.AP-23 1975 図17は従来の電磁界強度算出装置が実行するモーメン
ト法による電磁界強度算出の処理フローの概略を示す。
【0010】シミュレーションの対象である電気回路装
置についてメッシュ化した構造情報を入力データ100
として用意した後、入力データ100の読み込み及び構
造体と配列の設定を行う(S101)。この後、登録さ
れている全周波数についての処理が終了したか否かを調
べる(S102)。未処理の周波数がない場合には処理
を終了する。
【0011】未処理の周波数がある場合には次に処理す
る周波数を1個選択して、当該周波数についての処理を
開始する。即ち、3次元の任意形状物体を所定の大きさ
に分割して得た複数の要素(パッチ)間の各々につい
て、その相互インピーダンスZijを所定の計算により求
める(S103)。そして、求めた相互インピーダンス
Zijと構造情報において指定されたモーメント法の波源
である電圧値Vi とをモーメント法の連立方程式に代入
して、その解である電流値Ii を求める(S104)。
【0012】次に、登録されている全観測点についての
処理が終了したか否かを調べる(S105)。未処理の
観測点がある場合、次に処理する観測点を1個選択し
て、S105において求めた電流値Ii が当該観測点に
与える電磁界強度(電界E及び磁界Hの強さ)を算出
し、これを出力データ101として格納し(S10
6)、この後ステップS105を繰り返す。ステップS
105において、未処理の観測点がない場合、ステップ
S102以下を繰り返す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】EMC電波規制の規格
においては、規制周波数帯域内で許容値が規定されてい
る。例えば、日本におけるEMC電波規制の規格である
VCCI規格においては、規制周波数帯域が30MHz
〜1GHzとされ、この帯域内で許容値が規定されてい
る。
【0014】ところで、図18に示すように、電波規制
の対象である電気回路装置の一例として、プリント板1
02上の伝送線路103が考えられる。伝送線路103
はドライバ(出力回路)104の出力をレシーバ(受信
回路)105に送る。ドライバ104の出力はパルス状
の電圧波形を持つ。従って、実際に伝送線路103から
放射される成分には、クロックの基本周波数(f0)成分
以外に、その整数倍の高調波(f1,f2,・・・fn,・・
・)成分が含まれている。
【0015】このため、電磁界強度算出装置において
は、伝送線路103が発生する規制周波数帯域内にある
高調波成分についてシミュレーションする必要がある。
このようなシミュレーションの結果、図19に示すよう
な電界スペクトラム図が得られる。図19の電界スペク
トラム図は電磁界強度算出装置がモーメント法により各
周波数について算出した電界強度の集合である。
【0016】しかし、従来の電磁界強度算出装置によっ
て図19の電界スペクトラム図を得るためには、モーメ
ント法による電磁界強度の算出を各周波数(基本周波数
成分及び/又は高調波成分の各々)について各々実行し
なければない。即ち、図17に示すように、各周波数毎
にS103及びS104を繰り返す必要がある。このた
め、従来の電磁界強度算出装置が行うシミュレーション
によってEMC電波規制の規格を満足するか否かを判断
するためには、極めて長い時間を必要とするという問題
があった。特に、図17の相互インピーダンスの計算
(S103)には、その計算量が膨大であるために、極
めて長い時間を必要とするという問題があった。
【0017】即ち、従来の電磁界強度算出装置は、いず
れもモーメント法又は分布定数線路近似法における相互
インピーダンスを求める計算として周知の処理を実行す
ることにより、「各周波数毎に」相互インピーダンスを
算出する方式を採用する。このため、従来の電磁界強度
算出装置は、各周波数毎にかなりの計算量を伴う処理を
行わなければならないという問題を生じていた。なお、
この問題は、相互インピーダンスに代えて、相互アドミ
ッタンス又は相互リアクションを求める場合においても
同様である。
【0018】計算時間の一例を示すと、以下のようであ
る。計算時間はシミュレーションの対象である3次元の
物体の形状にもかなり依存する。しかし、概略的な値と
して、シミュレーションの対象である3次元の物体を1
000パッチの要素(サーフェスパッチ)に分割した場
合、1個の周波数について図17のステップS103、
S104及びS106を1回実行するために数時間を要
していた。即ち、図19の電界スペクトラム図における
1個のスペクトラムを求めるために数時間を要してい
た。より具体的には、相互インピーダンスの計算(S1
03)に数時間、連立方程式の計算(S104)に数
分、通常の電界又は磁界の計算(S106)に数分を要
していた。
【0019】本発明は、電気回路装置の放射する電磁界
強度を高精度を維持しつつ高速で算出する電磁界強度算
出装置及びその算出方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、電気回路装置の相互インピーダンスを
高精度かつ高速で算出する電磁界強度算出装置を提供す
ることを目的とする。
【0020】また、本発明は、電気回路装置の相互アド
ミッタンスを高精度かつ高速で算出する電磁界強度算出
装置を提供することを目的とする。また、本発明は、電
気回路装置の相互リアクションを高精度かつ高速で算出
する電磁界強度算出装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理構成
であり、本発明の電磁界強度算出装置を示す。電磁界強
度算出装置20は、近似式を用いて解析対象となる電気
回路装置の放射する電磁界強度を算出する装置である。
【0022】サンプル計算処理部4は、複数のサンプリ
ング周波数における相互インピーダンス、相互アドミッ
タンス及び相互リアクションのいずれか又は全てを、近
似式を用いない所定の計算によって算出する。近似係数
算出処理部5は、サンプル計算処理部4が算出した複数
の相互インピーダンス等及び複数のサンプリング周波数
を用いて、所定の近似式に従って複数の近似係数を算出
する。この近似式は、近似係数と周波数とで表された周
波数の多項式からなる近似式であって、当該周波数につ
いての相互インピーダンス等を表す。近似計算処理部9
は、近似係数算出処理部5が算出した複数の近似係数を
用いて、前記近似式に従って、指定された周波数におけ
る相互インピーダンス等の近似値を算出する。電磁流計
算処理部10は、近似計算処理部9が算出した相互イン
ピーダンス等の近似値を用いた所定の計算によって、各
要素を流れる電流,磁流のいずれか又は両方の値を算出
する。電磁流計算処理部10が実行する所定の計算処理
は、例えばモーメント法の連立方程式を構成し、これを
解く処理である。電界磁界計算処理部11は、電磁流計
算処理部10が算出した複数の電流及び/又は磁流の値
を用いた所定の計算によって、電界及び磁界を算出す
る。
【0023】本発明の電磁界強度算出装置20は、周波
数の多項式と言う極めて簡潔な形で表される近似式によ
って、各周波数毎に相互インピーダンス等を求めること
を特徴とする。これにより、「各周波数毎」に膨大な量
の計算を行うことによって算出されている相互インピー
ダンス等について、その計算量を大幅に削減して処理を
極めて高速化することができる。
【0024】このために、本発明は、本発明者によって
初めて導出された相互インピーダンス等の近似式を用い
てそれらの算出処理を行う。即ち、本発明は、「相互イ
ンピーダンス等は周波数の多項式と言う極めて簡潔な形
で表すことができる」という本発明者の知見に基づくも
のである。更に、本発明は、「相互インピーダンス等を
周波数の多項式の形で表した場合、相互インピーダンス
等を電波的に取り扱うことができるので相互インピーダ
ンス等を極めて正確に近似できる」という本発明者の知
見に基づくものである。
【0025】以下、本発明の電磁界強度算出装置20に
よって相互インピーダンスを求め、これに基づいてモー
メント法の連立方程式を解いて、電界及び磁界を求める
場合について説明する。なお、相互アドミッタンス及び
相互リアクションを求める場合についても同様である。
また、モーメント法の連立方程式以外の方法によって電
界及び磁界を求める場合についても同様である。
【0026】本発明の電磁界強度算出装置20におい
て、サンプル計算処理部4が複数のサンプリング周波数
における相互インピーダンスZijを算出する。この算出
は近似式を用いない所定の計算、即ち、モーメント法に
おいて常用される周知の計算によって算出する。従っ
て、この値は正確な値である。この相互インピーダンス
Zijを用いて、近似係数算出処理部5は本発明の近似式
に従って複数の近似係数を算出する。
【0027】相互インピーダンスZijについての近似式
は、本発明に従って、Zij=exp (−jkr)〔a0+a1f2
+a2f4 +a3f6 +a4f8 +・・・+j(b0/f+b1f
+b2f3 +b3f5 +b4f7 +・・・)〕である。ここ
で、fは周波数、a0、a1、・・・は実数部の近似係数、
b0、b1、・・・は虚数部の近似係数である。また、jは
虚数単位、kはk=2πf/cで定められる値(波
数)、rは2個の要素(例えばダイポール)の中心間の
距離である。
【0028】相互インピーダンスZijの近似式の実数部
の項数及び虚数部の項数が共にn個であるとする。この
場合、サンプリング周波数の個数は、近似式の実数部の
項数n及び虚数部の項数nに等しいn個とされる。従っ
て、サンプル計算処理部4はn個の相互インピーダンス
Zijを算出する。この相互インピーダンスZijは、各
々、実数部αijと虚数部βijとからなる。従って、n個
の実数部αijと虚数部βijとが既知の値として与えられ
る。
【0029】近似係数算出処理部5は、n個の実数部α
ijの値とn個のサンプリング周波数とを近似式の実数部
に代入することにより、実数部についてのn個の連立方
程式を立てる。また、近似係数算出処理部5は、n個の
虚数部βijの値とn個のサンプリング周波数とを近似式
の虚数部に代入することにより、虚数部についてのn個
の連立方程式を立てる。そして、近似係数算出処理部5
は、これらの連立方程式を解くことによって、実数部の
近似係数a0、a1、・・・及び虚数部の近似係数b0、b1、
・・・を求める。
【0030】近似計算処理部9は、近似式に従って、相
互インピーダンスZijの近似値を算出する。この時、近
似係数の各々は近似係数算出処理部5によって算出され
ている。また、周波数は予め指定される。従って、単に
近似式の計算をすることにより、何ら複雑で大量の計算
をすることなく、相互インピーダンスZijの近似値を算
出することができる。
【0031】この近似式は、前述のように極めて簡潔な
形であるので、その演算処理は極めて短時間で行うこと
ができる。従って、本発明の電磁界強度算出装置20に
よれば、電界及び磁界の算出に要する時間の大部分を占
めていた相互インピーダンスZijの算出を極めて短時間
で行うことができるので、電磁界強度の算出を極めて短
時間で行うことができる。これにより、規制周波数帯域
内にある高調波成分についてシミュレーションする場合
のように多くの周波数についてシミュレーションする場
合でも、電磁界強度の算出を極めて短時間で行うことが
できる。このため、電磁界強度算出装置20が行うシミ
ュレーションによって、EMC電波規制の規格を満足す
るか否かを短時間で判断することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(電磁界強度算出装置の構成の説明)図2は電磁界強度
算出装置構成図であり、電磁界強度算出装置20の構成
を示す。電磁界強度算出装置20は、近似式を用いて相
互インピーダンス等を求め、これを用いてモーメント法
の連立方程式を解くことによって、解析対象となる電気
回路装置の放射する電磁界強度を算出する装置である。
電磁界強度算出装置20は、CPU、メモリ及びメモリ
上の電磁界強度算出プログラムからなる。
【0033】入力処理部1は、電磁界強度算出装置20
が起動された場合、図外の入力ファイルに格納されてい
る構造情報を読み込んで、構造体と配列の設定を行う。
構造情報は、シミュレーションの対象である電気回路装
置にモーメント法を適用するための情報であって、当該
電気回路装置を複数の要素(サーフェイスパッチ又はワ
イヤ)にメッシュ化するための情報である。
【0034】入力処理部1には電磁界強度の算出のため
の各種のデータが電磁界強度算出装置20の外部から入
力される。入力処理部1は、周波数範囲及びシミュレー
ション(解析)を行うべき周波数が入力された場合、こ
れを取り込んで図外のメモリに格納する。
【0035】周波数範囲はシミュレーションの範囲であ
る。例えば、解析対象の電気回路装置がVCCI規格を
満足するかを解析する場合、周波数範囲は規制周波数帯
域に等しい30MHz〜1GHzとされる。なお、周波
数範囲は、EMC電波規制の規格とは無関係に、シミュ
レーションを行いたい範囲について設定し得る。
【0036】シミュレーションを行うべき周波数は当該
周波数における電界及び磁界強度を算出すべき周波数で
ある。例えば、解析対象の電気回路装置の基本クロック
の整数倍の周波数であって入力された周波数範囲内にあ
る周波数が、シミュレーションを行うべき周波数とされ
る。
【0037】シミュレーションを行うべき周波数は、通
常、入力された周波数範囲内に多数存在する。そこで、
入力処理部1には、例えば解析対象の電気回路装置の基
本クロックの周波数が入力される。この基本クロックの
周波数に基づいて、入力処理部1は、基本クロック周波
数の整数倍であって周波数範囲内にある周波数の全てを
算出する。これらの周波数の各々がシミュレーションを
行うべき周波数であって、その各々における相互インピ
ーダンスが本発明の近似式を用いて求められる。入力処
理部1は算出したシミュレーションを行うべき周波数を
図外のメモリに格納する。なお、シミュレーションを行
うべき周波数を入力処理部1に直接指定入力しても良
い。
【0038】サンプル指定処理部3は、サンプル計算処
理部4及び近似係数算出処理部5と共に、近似係数計算
部2を構成する。近似係数計算部2はデータファイル6
を備える。データファイル6は相互インピーダンスを格
納するためのインピーダンスファイル7及び近似係数を
格納するための係数ファイル8からなる。
【0039】サンプル指定処理部3は、周波数範囲に基
づいて、サンプリング周波数を指定する。このために、
サンプル指定処理部3はメモリに格納された周波数範囲
を参照する。サンプリング周波数は近似係数を算出する
ための演算用サンプルである。サンプリング周波数は複
数個(n個)指定される。この値nは近似計算処理部9
が用いる近似式に応じて定められる。即ち、近似式の実
数部及び虚数部の項数nに等しい値とされる。サンプル
指定処理部3は、指定したサンプリング周波数を図外の
メモリに格納する。
【0040】サンプリング周波数は周波数範囲の最大値
を(n−1)で割った間隔で概略的に略均等に指定され
る。例えば、周波数範囲が30MHz〜1GHzであ
り、n=5である場合、5個のサンプリング周波数
s1、fs2、fs3、fs4、fs5が具体的な数値として指
定される。サンプリング周波数fs1、fs2、fs3、fs4
及びfs5は、各々、30MHz、250MHz、500
MHz、750MHz及び1GHzとされる。最も小さ
いサンプリング周波数fs1は、完全に均等にした場合の
値である0MHzではなく、規制周波数帯域の最小値3
0MHzとされる。
【0041】但し、サンプリング周波数の間隔の均等性
は厳密に要求されるものではない。要するに、近似係数
を求めるための連立方程式を立てることができれば良い
のであり、その間隔に多少の不均等が生じても、処理上
の問題は何ら生じない。
【0042】サンプル計算処理部4は、n個のサンプリ
ング周波数における相互インピーダンス、相互アドミッ
タンス及び相互リアクションを算出する。このために、
サンプル計算処理部4はメモリに格納されたn個のサン
プリング周波数を参照する。相互インピーダンス、相互
アドミッタンス及び相互リアクションのいずれを算出す
るかは、シミュレーションの対象である電気回路装置に
ついてメッシュ化した結果によって定められる。従っ
て、相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互
リアクションのいずれか又は全部が計算される。相互イ
ンピーダンス等の算出は、近似式を用いない所定の計
算、即ち、モーメント法において常用される周知の計算
によって行われる。従って、算出される相互インピーダ
ンス等の値は正確な値である。
【0043】相互インピーダンスZijを算出する場合、
算出される相互インピーダンスZijの数は、i及びjの
値によって定められる2個の要素間の各々について、サ
ンプリング周波数の個数に等しいn個である。サンプル
計算処理部4は算出した相互インピーダンスをインピー
ダンスファイル7に格納する。なお、相互アドミッタン
ス及び相互リアクションを算出する場合、このファイル
は、各々、アドミッタンスファイル及びリアクションフ
ァイルとされる。
【0044】例えば、n=5であり、5個のサンプリン
グ周波数fs1、fs2、fs3、fs4、fs5が指定されてい
る場合、各サンプリング周波数fs1〜fs5における相互
インピーダンスZijs1〜Zijs5が求められる。従って、
i及びjの値によって定められる2個の要素間の各々に
ついて、5個の相互インピーダンスZijs1〜Zijs5の具
体的な数値が求まる。これらの相互インピーダンスZij
s1〜Zijs5は以下のように表される。 Zijs1=αijs1+jβijs1 Zijs2=αijs2+jβijs2 Zijs3=αijs3+jβijs3 Zijs4=αijs4+jβijs4 Zijs5=αijs5+jβijs5 ここで、αijは相互インピーダンスZijの実数部の値、
βijは相互インピーダンスZijの虚数部の値、α及びβ
の添字であるi及びjは1〜mの範囲の値を取り、モー
メント法のモードの数である。なお、βの前のjは虚数
単位であり、βの添字であるjとは区別される。従っ
て、5個の実数部αijと虚数部βijとが具体的な数値と
して得られる。
【0045】近似係数算出処理部5は、サンプル計算処
理部4が算出したn個の相互インピーダンス等及びサン
プル指定処理部3が指定したn個のサンプリング周波数
を用いて、本発明の近似式に従って、近似係数を算出す
る。このために、近似係数算出処理部5は、メモリに格
納されたn個の相互インピーダンス等及びn個のサンプ
リング周波数を参照する。近似式は、近似係数と周波数
とで表された周波数の多項式からなる近似式であって、
当該周波数についての相互インピーダンス等を表す。
【0046】相互インピーダンスZijについての近似式
は、本発明に従って、Zij=exp(−jkr)[a0 +a1f2
a2f4 +a3f6 +a4f8 +・・・+j(b0/f+b1f+
b2f 3 +b3f5 +b4f7 +・・・)] である。ここで、
fは周波数、a0、a1、・・・は実数部の近似係数、b0、
b1、・・・は虚数部の近似係数である。また、jは虚数
単位、kはk=2πf/cで定められる値、rは2個の
要素の中心間の距離である。言うまでもなく、「a0」の
項は「a0×f0 =a0」なる項であり、「b0/f」の項は
「b0×f-1」なる項である。従って、実数部は周波数の
偶数(0,2,4,6,8, ・・・) 乗に各近似係数を掛けた項の
和であり、虚数部は周波数の奇数(-1,1,3,5,7,・・・)
乗に各近似係数を掛けた項の和である。
【0047】相互アドミッタンスYijについての近似式
は、Yij=exp(−jkr)〔a0+a1f2+a2f4 +a3f6 +a
4f8 +・・・+j(b0/f+b1f+b2f3 +b3f5 +b
4f 7 +・・・)〕である。これは相互インピーダンス
と同じ形である。
【0048】相互リアクションBijについての近似式
は、Bij=exp(−jkr)〔c0+c1f2 +c2f4 +c3f6
c4f8 +・・・+j(d0f+d1f3 +d2f5 +d3f7
d4f9+・・・)〕である。c0、c1、・・・は実数部の
近似係数、d0、d1、・・・は虚数部の近似係数である。
これは相互インピーダンスと類似の形であり、虚数部の
第1項が周波数fの「−1乗」ではなく周波数fの「1
乗」から開始される点が異なる。
【0049】なお、相互インピーダンス等を上述の近似
式により近似できることは、後に詳細に説明する。近似
式は予め近似係数算出処理部5にプログラムの形で与え
られる。この時、その実数部及び虚数部における項数n
が定められる。例えば、n=5である場合、相互インピ
ーダンスZijについての近似式は、Zij=exp(−jkr)
〔a0+a1f2+a2f4 +a3f6 +a4f8 +j(b0/f+b
1f+b2f3 +b3f5 +b4f7 )〕とされる。相互アド
ミッタンスYijについての近似式は、Yij=exp(−jkr)
〔a0+a1f2 +a2f4 +a3f6 +a4f8 +j(b0/f+
b1f+b2f3 +b3f5 +b4f7)〕とされる。相互リア
クションBijについての近似式は、Bij=exp(−jkr)
〔c0+c1f2 +c2f4 +c3f6 +c4f8 +j(d0f+d1
3 +d2f5 +d3f7 +d4f9 )〕とされる。
【0050】近似式は入力処理部1からの入力により指
定又は変更するようにしても良い。一般的に近似の精度
は近似式の項数nに依存すると考えられる。従って、近
似式の形即ち近似式の項数nを変更することにより、近
似の精度をあまり問題にしない時には項数nを減らして
より高速で電界等を求め、処理時間をあまり問題にしな
い時には項数nを増やしてより高い精度で電界等を求め
ることができる。
【0051】近似係数算出処理部5は、近似係数の算出
のためにインピーダンスファイル7に格納されたn個の
相互インピーダンス等を読み出すが、読み出した後はイ
ンピーダンスファイル7は不要となる。そこで、近似係
数算出処理部5は、インピーダンスファイル7として使
用されていたファイルに、算出した近似係数を格納す
る。即ち、インピーダンスファイル7を係数ファイル8
として使用する。従って、インピーダンスファイル7と
係数ファイル8としては、同一のファイルが用いられ
る。ファイルに格納すべき相互インピーダンス等及び近
似係数のデータ量が多いので、1個のファイルをこのよ
うに使用することにより、メモリ資源を有効に活用する
ことができる。
【0052】例えば、n=5であり、5個のサンプリン
グ周波数fs1〜fs5における5個の相互インピーダンス
Zijs1〜Zijs5が求められている場合、近似係数算出処
理部5は、5個の実数部α'ij の値と5個のサンプリン
グ周波数とを近似式の実数部に代入することにより、実
数部についての5個の連立方程式を立てる。これらの連
立方程式は、添字であるi及びjの値で定まる2個の要
素間の相互インピーダンスZij(の実数部α'ij )につ
いてのものである。これらの連立方程式は以下のように
表される。 α'ij s1=a0+a1fs1 2 +a2fs1 4 +a3fs1 6 +a4fs1 8 α'ij s2=a0+a1fs2 2 +a2fs2 4 +a3fs2 6 +a4fs2 8 α'ij s3=a0+a1fs3 2 +a2fs3 4 +a3fs3 6 +a4fs3 8 α'ij s4=a0+a1fs4 2 +a2fs4 4 +a3fs4 6 +a4fs4 8 α'ij s5=a0+a1fs5 2 +a2fs5 4 +a3fs5 6 +a4fs5 8 これらの連立方程式において、相互インピーダンスの実
数部α'ij s1〜α'ij s5の値はサンプル計算処理部4に
おける計算を基に以下のように計算される。 Zijs1/exp[−j(2πfs1/c)r] =α'ij s1+jβ'ij s1 Zijs2/exp[−j(2πfs2/c)r] =α'ij s2+jβ'ij s2 Zijs3/exp[−j(2πfs3/c)r] =α'ij s3+jβ'ij s3 Zijs4/exp[−j(2πfs4/c)r] =α'ij s4+jβ'ij s4 Zijs5/exp[−j(2πfs5/c)r] =α'ij s5+jβ'ij s5 また、サンプリング周波数fs1〜fs5の値は指定されて
いる。更に、i及びjの値で定まる2個の要素の中心間
の距離rは既知の値である。従って、5個の未知数a0〜
a4についての5個の連立方程式を解くことによって、近
似係数a0〜a4の値を求めることができる。従って、これ
らの近似係数a0〜a4は、i及びjの値で定まる2個の要
素間の相互インピーダンスZij(の実数部)を表す近似
式において用いられる近似係数である。
【0053】同様に、近似係数算出処理部5は、5個の
虚数部β'ij の値と5個のサンプリング周波数とを近似
式の虚数部に代入することにより、虚数部についての5
個の連立方程式を立てる。これらの連立方程式は、i及
びjの値で定まる2個の要素間の相互インピーダンスZ
ij(の虚数部β'ij )についてのものである。これらの
連立方程式は以下のように表される。 β'ij s1=b/f s1+b1fs1+b2fs1 3 +b3fs1 5 +b4fs1 7 β'ij s2=b/f s2+b1fs2+b2fs2 3 +b3fs2 5 +b4fs2 7 β'ij s3=b/f s3+b1fs3+b2fs3 3 +b3fs3 5 +b4fs3 7 β'ij s4=b/f s4+b1fs4+b2fs4 3 +b3fs4 5 +b4fs4 7 β'ij s5=b/f s5+b1fs5+b2fs5 3 +b3fs5 5 +b4fs5 7 これらの連立方程式を解くことによって、近似係数b0〜
b4の値を求めることができる。従って、これらの近似係
数b0〜b4は、i及びjの値で定まる2個の要素間の相互
インピーダンスZij(の虚数部)を表す近似式において
用いられる近似係数である。
【0054】以上が近似係数計算部2における処理であ
る。近似係数計算部2が行う処理は、相互インピーダン
ス等の近似式における近似係数を算出して近似式を完成
する処理である。この処理は各周波数における相互イン
ピーダンス等を近似計算により求める処理の前処理であ
る。この処理はn個からなる1組のサンプリング周波数
について1回だけ実行される。近似係数計算部2におい
ては、相互インピーダンス等の算出処理が近似式を用い
ない周知の方法によって行われる。しかし、この算出処
理は着目した2個の要素間あたり高々数個の相互インピ
ーダンス等について行われるのみである。従って、この
算出処理が全体の処理時間に与える影響はあまり大きく
ない。
【0055】これに対して、実際の相互インピーダンス
等の算出処理は近似計算処理部9において行われる。こ
の算出処理は簡潔な形の近似式を用いた近似計算により
行われる。従って、1個の周波数における相互インピー
ダンスの算出に要する時間は極めて短時間である。この
算出処理は、周波数範囲内にある複数個(例えば後述の
98個)の所定の周波数について、繰り返し実行され
る。しかし、1個の周波数についての処理時間が極めて
短いので、結果として全体の処理時間を極めて短くでき
る。
【0056】近似計算処理部9は、近似係数算出処理部
5が算出した複数の近似係数を用いて、前記近似式に従
って、周波数範囲内の所定の周波数についての相互イン
ピーダンス等の近似値を算出する。このために、近似計
算処理部9は係数ファイル8を参照する。前述の近似式
において、周波数f以外の値は既に定まっている。従っ
て、所望の周波数を近似式に代入することにより、当該
周波数における相互インピーダンス等が算出できる。近
似計算処理部9は、算出した相互インピーダンス等をメ
モリの所定の位置に格納する。
【0057】例えば、n=5である場合、相互インピー
ダンスZijについての近似式は、Zij=exp [ −j(2π
f/c)r][a0+a1f2 +a2f4 +a3f6 +a4f8 +j(b0/
f+b1f+b2f3 +b3f5 +b4f7 )]とされる。この近
似式において、2個の要素の中心間の距離r、近似係数
a0〜a4及びb0〜b4は既知の値である。そこで、周波数f
を近似式に代入することにより、当該周波数における相
互インピーダンスZijを算出することができる。
【0058】この近似式を用いて、周波数範囲内の所定
の周波数における相互インピーダンスの計算が繰り返し
行われる。例えば、電気回路装置の基本クロックの周波
数が10MHzであり周波数範囲が30MHz〜1GH
zである場合、基本周波数10MHzの高調波の各々に
おける相互インピーダンスが求められる。高調波は基本
周波数の整数倍であるから、周波数範囲30MHz〜1
GHz内に存在する高調波は、30MHz、40MH
z、50MHz、・・・990MHz、1GHzであ
る。即ち、周波数範囲内に98個存在する。この98個
の高調波における相互インピーダンスZijが、従来とは
異なり、近似式により算出される。
【0059】なお、電磁界強度算出装置20によって、
電気回路装置における相互インピーダンスのみを算出す
ることもできる。即ち、電磁界強度算出装置20を相互
インピーダンス算出装置として用いることもできる。こ
の場合、電磁流計算処理部10及び電界磁界計算処理部
11における処理を省略して、近似計算処理部9におい
て算出した相互インピーダンスを出力するようにすれば
良い。同様にして、相互アドミッタンスのみ又は相互リ
アクションのみを算出することもできる。
【0060】電磁流計算処理部10は、近似計算処理部
9が算出した相互インピーダンス等の近似値を用いてモ
ーメント法の連立方程式を構成し、各要素を流れる電
流,磁流のいずれか又は両方の値を算出する。このため
に、電磁流計算処理部10は、近似計算処理部9がメモ
リに格納した相互インピーダンス等の近似値を参照す
る。電磁流計算処理部10は、算出した電流及び/又は
磁流の値をメモリの所定の位置に格納する。
【0061】例えば、相互インピーダンスZijについて
のモーメント法の連立方程式は〔Zij〕〔Ii 〕=〔V
i 〕である。「〔 〕」はマトリクスを表す。この連立
方程式に求めた相互インピーダンスZijが代入される。
波源〔Vi 〕は既知であるから、各要素を流れる電流の
値〔Ii 〕が求まる。電流値〔Ii 〕の算出は周波数範
囲内の所定の周波数について繰り返し行われる。相互ア
ドミッタンス及び相互リアクションについても同様であ
る。
【0062】なお、相互インピーダンスZijについての
モーメント法の連立方程式は〔Zij〕〔Ii 〕=〔Vi
〕に限られない。相互アドミッタンス及び相互リアク
ションについても同様である。これについては後述す
る。
【0063】電界磁界計算処理部11は、電磁流計算処
理部10が算出した複数の電流及び/又は磁流の値を用
いた所定の計算によって、電界E及び磁界Hを算出す
る。このために、電界磁界計算処理部11は、電磁流計
算処理部10がメモリに格納した電流及び/又は磁流の
値を参照する。電界磁界計算処理部11は算出した電界
E及び磁界Hを出力ファイル12に格納する。これによ
り、電気回路装置の放射する電磁界強度が計算される。
【0064】なお、この後、図外の出力処理部が、出力
ファイル12に蓄積された電界E及び磁界Hのデータに
基づいて、図19に示す放射電磁界強度の周波数分布を
グラフ表示する周波数スペクトラムを生成して出力す
る。出力処理部が、出力ファイル12に蓄積された電界
E及び磁界Hのデータに基づいて、他の形式により電磁
界強度の周波数分布を出力するようにしても良い。 (電磁界強度算出処理フロー)図3は電磁界強度算出装
置20が実行する電磁界強度算出処理フローを示す。こ
の処理フローは、相互インピーダンスを算出し、これを
用いて電磁界強度を算出する例を示す。なお、相互アド
ミッタンス及び相互リアクションを算出する場合でも同
様である。
【0065】電磁界強度算出装置20が起動された場
合、入力処理部1が構造情報を読み込み配列を決定す
る。この後、周波数範囲が外部から指定入力された場
合、入力処理部1がこの周波数範囲を取り込む(S
1)。
【0066】サンプル指定処理部3が、周波数範囲と近
似計算処理部9が使用する近似式の実数部及び虚数部の
項数nとに基づいて、複数のサンプリング周波数を指定
する(S2)。
【0067】サンプル計算処理部4が指定された全ての
サンプリング周波数における相互インピーダンスZijの
計算が終了したか否かを調べる(S3)。終了していな
い場合、サンプル計算処理部4が、モーメント法におい
て用いられる周知の計算によって、未処理の1個のサン
プリング周波数における相互インピーダンスZijを計算
する(S4)。この後、ステップS3を繰り返す。
【0068】終了している場合、近似係数算出処理部5
が、近似計算処理部9が使用する近似式の実数部及び虚
数部にサンプリング周波数及び対応する相互インピーダ
ンスZijを代入することによって連立方程式を立て、こ
れを解くことによって近似係数を算出する(S5)。以
上で前処理が終了し、各周波数における相互インピーダ
ンスZijの近似計算、これを用いた電流及び/又は磁流
の値の計算及びこれに基づく電界磁界の計算の繰り返し
処理が開始される。
【0069】近似計算処理部9が周波数範囲内の全ての
周波数における相互インピーダンスZijの計算が終了し
たか否かを調べる(S6)。終了した場合、電磁界強度
算出処理を終了する。なお、この後、電界スペクトラム
を出力する。
【0070】終了していない場合、近似計算処理部9が
1個の周波数における相互インピーダンスZij(の近似
値)を近似式に従って計算する(S7)。電磁流計算処
理部10が、モーメント法の連立方程式に相互インピー
ダンスZijの近似値を代入し、これを解くことによって
電流及び/又は磁流の値を算出する(S8)。
【0071】電界磁界計算処理部11が全ての観測点に
ついての電流及び/又は磁流の算出が終了したか否かを
調べる(S9)。終了していない場合、ステップS6以
下を繰り返す。
【0072】終了している場合、電界磁界計算処理部1
1が、電界E及び磁界Hを計算し、これを出力ファイル
12に格納する(S10)。この後、再びステップS9
を実行する。 (相互インピーダンスが周波数の多項式で近似できるこ
との証明)相互インピーダンスが近似式により近似でき
ることを証明する。相互インピーダンスの近似式につい
て説明するために、図4に示すモノポールを考える。図
4において、太線はモノポールを示し、点線は展開関数
の形状を示す。ここで、モノポールとモノポールと
の傾きをφ1とし、モノポールとモノポールとの傾
きをφ2とする。図4では、φ1とφ2が同じ場合、つ
まりφ1=φ2=φの場合を記載している。
【0073】相互インピーダンスの一般式は次式で表さ
れる。ここで、ωは各周波数、rは距離、ρ1=−(1
/j ω)×(∂J1 /∂t)であり、ρ2=−(1/j
ω)×(∂J2 /∂t)である。また、次式においてs
を用いているのは、モノポールの形状が線状(即ち、ワ
イヤー)である場合に限らず、モノポールの形状が面状
(即ち、サーフェイスパッチ)である場合にも、次式を
一般式として適用できることを示すためである。
【0074】
【数1】
【0075】J1及びJ2はモーメント法における展開
関数である。展開関数はモノポール上の電流分布の形状
を表す。展開関数はモーメント法の種類によって異なる
が、以下の証明はいずれのモーメント法にも適用でき
る。即ち、展開関数は正弦波状電流(区分正弦波モーメ
ント法の場合)、三角形状電流、パルス関数電流のいず
れでも良い。従って、本発明の近似式による相互インピ
ーダンスを算出する処理は、モーメント法の種類を問わ
ず適用できる。また、以下の証明はモノポールの形状は
面(サーフェイスパッチ)又はワイヤーのいずれにも適
用できる。従って、本発明の近似式による相互インピー
ダンスを算出する処理は、モノポールの形状を問わず適
用できる。
【0076】以下、相互インピーダンスが周波数fのn
乗(n=−1,0,1,2,・・・)の多項式で表すことができ
ることを証明する。但し、以下の証明において、必要に
応じて、より一般的な形である波数kを用いる場合があ
る。ここに、k=2πf/cである。cは光速である。
【0077】また、以下の証明は、区分正弦波モーメン
ト法についての証明であるが、他のモーメント法、即
ち、展開関数として三角形状電流、パルス関数電流を用
いたモーメント法にも適用できる。なお、図4において
は、図示の都合により展開関数を点線により三角形状に
表してあるが、以下の説明における展開関数は正弦波状
電流である。
【0078】区分正弦波モーメント法において、図4の
モノポール〜の展開関数は以下のように表すことが
できる。ここで、d1はモノポールの長さ、d2はモノポ
ールの長さ、d3はモノポールの長さ、d4はモノポー
ルの長さである。 電流モノポール J1 =sink(z-z0)/sinkd1 電流モノポール J1 =sink(z2-z)/sinkd2 電流モノポール J2 =sink(t-t0)/sinkd3 電流モノポール J2 =sink(t2-t)/sinkd4 これらの展開関数を用いて、まず、モノポールとモノ
ポールの相互インピーダンスZ13及びモノポールと
モノポールの相互インピーダンスZ14を求める。相互
インピーダンスZ13及びZ14は以下のように求まる。
【0079】
【数2】
【0080】ここで、モノポール間の距離r=(z2 +t
2 −2ztcosφ+h2 ) 1/2 であるとすると、上式の相互
インピーダンスZ13及びZ14の係数部は以下のように表
される。なお、α= cμ/4πである。
【0081】
【数3】
【0082】また、モノポール間の距離rは、一方のモ
ノポールの端点と他方のモノポールの端点との間の距離
をr0と表せば、以下のように近似できる。 r=[ r02 +(r2 −r02 )]1/2 = (r02 +Δ) 1/2 =r0(1+Δ/ r02 ) 1/2 ≒r0(1+Δ/2r02 −Δ2 /8r04 +・・・) =r0+Δ/2r0−Δ2 /8r03 +・・・=r0+d ここで、r0=(z1 2 +t1 2 − 2 z1 t1 cos φ+
2 ) 1/2 である。従って、相互インピーダンスZ13及
びZ14は以下のように表される。ここで、A1=sinkd1si
nkd3である。
【0083】
【数4】
【0084】ここで、式を簡潔な形にするために、z−
z0=u、t−t0=v、w =−t+t2とおく。また、モノ
ポールが短いものとして、以下のように多項式近似を行
う。ここで、λは波長であり、λ=2π/kである。
【0085】
【数5】
【0086】以上により、相互インピーダンスZ13の実
数部R1 は以下のように表される。なお、(数6)に示
す式と(数7)に示す式とは併せて連続して展開される
式を示す。また、以下の式において、e -jkr0 を省略し
てある。
【0087】
【数6】
【0088】
【数7】
【0089】ここで、式を簡潔な形にするために、k 4
等の項の係数をP1〜P8に書き換えると、上式は以下のよ
うに表される。 R1 =[ α/A1][( P1k4 − P2k6 + P3k8 − P4k10)cos
φ1− P5k2 + P6k4 − P7k6 + P8k8 ] 更に、A1はサイン関数なので、これを近似すると、A1=
sinkd1sinkd3≒ d1d3k 2 となる。このA1の近似値を代入
し、先に表記を省略したe -jkr0 を戻すと、上式は以下
のように表される。 R1 =[ αe -jkr0 /( d1d3k2 )] [(P1k4 − P2k6 + P3k8 − P4k10)cosφ1 − P5k2 + P6k4 − P7k6 + P8k8 ] =[ αe -jkr0 /(d1d3)][( P1k2 − P2k4 + P3k6 − P4k8 )cosφ1 − P5 + P6k2 − P7k4 + P8k6 ] 以上により、相互インピーダンスZ13の実数部R1が求ま
る。
【0090】次に、相互インピーダンスZ13の虚数部I1
は以下のように表される。なお、(数8)に示す式と
(数9)に示す式とは併せて連続して展開される式を示
す。また、以下の式において、e -jkr0 を省略してあ
る。
【0091】
【数8】
【0092】
【数9】
【0093】ここで、式を簡潔な形にするために、k3
等の項の係数をQ1〜Q8に書き換えると、上式は以下のよ
うに表される。 I1 =[ α/A1][( Q1k3 − Q2k5 + Q3k7 − Q4k9 )cos
φ1− Q5k+ Q6k3 − Q7k5 + Q8k7 ] 更に、A1の近似値A1=sinkd1sinkd3≒d1d3k2 を代入
し、また、先に表記を省略したe -jkr0 を戻すと、上述
の場合と同様にして、上式は以下のように表される。 I1 =[ αe -jkr0 /( d1d3k2 )] [(Q1k3 − Q2k5 + Q3k7 − Q4k9 )cosφ1 − Q5k+ Q6k3 − Q7k5 + Q8k7 ] =[ αe -jkr0 /(d1d3)][(Q1k − Q2k3 + Q3k5 − Q4k7 )cosφ1 − Q5/k + Q6k− Q7k3 + Q8k5 ] 以上により、相互インピーダンスZ13の第1項I1が求ま
る。
【0094】ゆえに、相互インピーダンスZ13は以下の
ように表される。 Z13=R1 + jI1 =[ αe -jkr0 /(d1d3)][( P1k2 − P2k4 + P3k6 − P4k8 )cosφ1 − P5 + P6k2 − P7k4 + P8k6 ] +j[αe -jkr0 /(d1d3)][(Q1k − Q2k3 + Q3k5 − Q4k7 )cosφ1 − Q5/k + Q6k− Q7k3 + Q8k5 ] 相互インピーダンスZ14についても同様にして求めるこ
とができる。相互インピーダンスZ14を表す式は、相互
インピーダンスZ13を表す式において、cos φの乗ぜら
れていない項を逆極性としたものとなる。即ち、相互イ
ンピーダンス14は以下のように表される。なお、P及
びQに相当する係数としてR及びSが用いられる。 Z14=[ αe -jkr0 /(d1d4)][( R1k2 − R2k4 + R3k6
− R4k8 )cosφ2+ R5 − R6k2 + R7k4 − R8k6 ]+j
[αe -jkr0 /(d1d4)][(S1k − S2k3 + S3k5 − S4k7 )
cosφ2+ S5/k − S6k+ S7k3 − S8k5 ] ゆえに、相互インピーダンス(Z13+Z14)は、一般的
に、以下のように表される。 Z13+Z14=e -jkr0 [(C0+C1k 2 + C2k4 + C3k6
C4k8 +・・・+j(C5k -1+C6k + C7k3 + C8k5 + C
9k7 +・・)] 相互インピーダンス(Z23+Z24)についても同様にし
て求めることができる。Z23はモノポールとモノポー
ルの相互インピーダンスであり、Z24はモノポール
とモノポールの相互インピーダンスである。
【0095】従って、相互インピーダンス(Z13+Z14
+Z23+Z24)も、上式と同様に、波数k(即ち、周波
数f)の多項式により表すことができる。 (相互アドミッタンスについて)相互アドミッタンスに
ついては、上記相互インピーダンスと同様にして周波数
の多項式で近似できることが証明でき、かつ、その近似
式も前述のように相互インピーダンスの近似式と全く同
一であるので、その証明は省略する。 (相互リアクションが周波数の多項式で近似できること
の証明)相互リアクションが近似式により近似できるこ
とを証明する。相互リアクションの近似式について説明
するために、図5に示すモノポールを考える。図5にお
いて、太線はモノポールを示し、点線は展開関数の形状
を示す。
【0096】まず、電流源による磁界について考える。
区分正弦波モーメント法において、図5のモノポール
〜の展開関数は以下のように表すことができる。ここ
で、d1はモノポールの長さ、d2はモノポールの長
さ、d3はモノポールの長さ、d4はモノポールの長さ
である。 電流モノポール J1 =sink(z-z0)/sinkd1 電流モノポール J2 =sink(z2-z)/sinkd2 磁流モノポール M3 =sink(t-t0)/sinkd3 磁流モノポール M4 =sink(t2-t)/sinkd4 また、単位ベクトルは以下のように表すことができる。
【0097】
【数10】
【0098】電流源がz座標にのみ存在する場合、電磁
界は円対称(φ座標に無関係)となり、Hφのみが存在
し、以下のように表すことができる。
【0099】
【数11】
【0100】次に、リアクションについて考える。図5
において、ワイヤ#2の接戦方向の磁界成分は、Ht =
−h/ρ×Hφ sinψであるから、リアクションBは以下
のように表すことができる。
【0101】
【数12】
【0102】ここで、上式に以下の条件を代入する。
【0103】
【数13】
【0104】従って、リアクションBは、以下のように
表すことができる。
【0105】
【数14】
【0106】更に、ダイポールz1、t1間の中心の距離は
同様に、r0=(z1 2 + t1 2 −2z1t1cosφ+ h2 ) 1/2
r0+d と表すことができるので、リアクションBは、以
下のように表すことができる。
【0107】
【数15】
【0108】従って、モノポールとモノポールとの
間のリアクションB13、及び、モノポールとモノポー
ルとの間のリアクションB14は、以下のように表すこ
とができる。
【0109】
【数16】
【0110】ここで、式を簡潔な形にするために、z−
z0=u 、t−t0=v 、w=−t+t2とおく。また、モノ
ポールが短いものとして、以下のような多項式近似を行
う。即ち、sinku ≒ku−(ku)3 /6及びcosku ≒1−(ku)
2 /2である。
【0111】以上により、相互リアクションB13の右辺
第2項は以下のように表される。なお、(数17)に示
す式と(数18)に示す式とは併せて連続して展開され
る式を示す。
【0112】
【数17】
【0113】
【数18】
【0114】ここで、式を簡潔な形にするために、k 2
等の項の係数をP1〜P8に書き換えると、上式は以下のよ
うに表される。 P1k2 + P2k4 + P3k6 + P4k8 + j(P5k3 + P6k5
P7k7 + P8k9 ) 次に、相互リアクションB13の右辺第1項も、同様に以
下のように表される。なお、(数19)に示す式と(数
20)に示す式とは併せて連続して展開される式を示
す。
【0115】
【数19】
【0116】
【数20】
【0117】ここで、式を簡潔な形にするために、k 2
等の項の係数をQ1〜Q8に書き換えると、上式は以下のよ
うに表される。 Q1k4 + Q2k6 + Q3k8 + Q4k10+ j(Q5k3 + Q6k5
Q7k7 + Q8k9 ) ゆえに、相互リアクションB13は以下のように表され
る。 B13=(h1sinψ1 /4πsinkd1sinkd3)e -jkr0×[ P1k
2 + P2k4 + P3k6 + P4k8 +j( P5k3 + P6k5 + P7k
7 + P8k9 )+ Q1k4 + Q2k6 + Q3k8 + Q4k10+j( Q5
k3 + Q6k5 + Q7k7 + Q8k9 )] ここで、上式に近似値sinkd1sinkd3≒d1d3k 2 を代入す
ると、相互リアクションB13は以下のように表される。 B13=(h1sinψ1 /4πd1d3)e -jkr0× [ P1+ (P2+Q1)k2 + (P3+Q2)k4 + (P4+Q3)k6 + Q4k8 +j[ (P5+Q5)k+ (P6+Q6)k3 + (P7+Q7)k5 + (P8+Q8)k7 ) ]] =e -jkr0 [ R1+ R2k2 + R3k4 + R4k6 + R5k8 +j (R6k+ R7k3 + R8k5 + R9k7 ) ] 相互リアクションB14についても同様にして求めること
ができる。即ち、相互リアクションB14は以下のように
表される。 B14==e -jkr0 [ S1+ S2k2 + S3k4 + S4k6 + S5k
8+j(S6k + S7k3 + S8k5 + S9k7 )] ゆえに、相互リアクション(B13+B14)は、以下のよ
うに表される。
【0118】B13+B14=e -jkr0 [ C1+ C2k2 + C3k
4 + C4k6 + C5k8+j(C6k + C7k3 + C8k5 + C9
k7 )] 相互リアクション(B23+B24)についても同様にして
求めることができる。B23はモノポールとモノポール
の相互リアクションであり、B24はモノポールとモ
ノポールの相互リアクションである。
【0119】従って、相互インピーダンス(B13+B14
+B23+B24)も、上式と同様に、波数kの多項式によ
り表すことができる。 (モーメント法の連立方程式の拡大)前述のように、例
えば相互インピーダンスZijについてのモーメント法の
連立方程式の代表的なものは〔Zij〕〔Ii 〕=〔Vi
〕である。この連立方程式に求めた相互インピーダン
スZijが代入され、各要素を流れる電流の値Ii が求め
られる。
【0120】しかし、電磁流計算処理部10において用
いられるモーメント法の連立方程式は上述のものに限ら
れない。換言すれば、前述の近似式を用いて求めた相互
インピーダンス等の近似値は、種々の形のモーメント法
の連立方程式に適用できる。即ち、そのまま代入でき
る。電磁流計算処理部10は、以下に述べるように電気
回路装置を分割した各要素の種類に応じて、種々のモー
メント法の連立方程式を用いて電流の値Ii 等を求め
る。
【0121】解析対象となる電気回路装置の構造情報に
基づいて、入力処理部1は、電気回路装置の構造体をメ
ッシュに分割する。例えば、金属のワイヤ部分について
は線分割することにより、ワイヤのダイポールを生成す
る。金属や誘電体の面部分については面分割することに
より、サーフェイスパッチのダイポールを生成する。ま
た、必要に応じてその他の形状のダイポールを生成す
る。
【0122】続いて、分割した金属同士の相互インピー
ダンスZ0 C,C 、分割した金属と誘電体との相互インピ
ーダンスZ0 c,d /Z0 d,c 、分割した誘電体同士の相
互インピーダンスZ0 d,d /Zd d,d 、分割した誘電体
同士の相互アドミッタンスY 0 d,d /Yd d,d 、分割し
た金属と誘電体との相互リアクションB0 C,d /B0
d,c 、及び、分割した誘電体同士の相互リアクションB
0 d,d /Bd d,d とが算出される。従って、実際の電気
回路装置の解析においては、相互インピーダンス、相互
アドミッタンス及び相互リアクションが全て求められ
る。
【0123】ここで、肩付き文字“0”は空気中での計
算値を表し、肩付き文字“d”は誘電体中での計算値を
表し、添え字“c”は金属を表し、添え字“d”は誘電
体を表し、添え字“c,c ”は、金属から金属への相互関
係を表し、添え字“d,d ”は、誘電体から誘電体への相
互関係を表し、添え字“c,d ”は、誘電体から金属への
相互関係を表し、添え字“d,c ”は、金属から誘電体へ
の相互関係を表している。
【0124】サンプリング周波数における相互インピー
ダンス等は、サンプル計算処理部4において、周知の計
算処理によって算出される。周波数範囲内の所定の周波
数(例えば高調波成分)における相互インピーダンス等
は、近似計算処理部9において、本発明により近似式を
用いた計算処理によって算出される。
【0125】続いて、入力処理部1又は電磁流計算処理
部10において、モーメント法の連立方程式が設定され
る。どのような式を設定するかは、2個の要素であるダ
イポールの種類により、予め定められる。
【0126】プリント板に存在する波源Vi と、分割し
た金属に流れる電流の大きさを表す係数Ic,n と、分割
した誘電体の表面に流れる等価電流の大きさを表す係数
d, n と、分割した誘電体の表面に流れる等価磁流の大
きさを表す係数Mn とを用いて、以下のモーメント法の
連立方程式が設定される。なお、「〔 〕」はマトリク
スを表す。
【0127】金属の表面電界値がゼロを示すという境界
条件からは次のモーメント法の連立方程式が設定され
る。 〔Z0 C,C 〕〔Ic,n 〕+〔Z0 C,d 〕〔Id,n 〕+
〔B0 C,d 〕〔Mn 〕=〔Vi 〕 誘電体の境界面の両側で電界の接線成分が等しいという
境界条件からは次のモーメント法の連立方程式が設定さ
れる。
【0128】〔Z0 d,c 〕〔Ic,n 〕+〔Z0 d,d +Z
d d,d 〕〔Id,n 〕+〔B0 d,d +Bd d,d 〕〔Mn
〔0〕 誘電体の境界面の両側で磁界の接線成分が等しいという
境界条件からは次のモーメント法の連立方程式が設定さ
れる。
【0129】〔B0 d,c 〕〔Ic,n 〕+〔B0 d,d +B
d d,d 〕〔Id,n 〕+〔−Y0 d,d −Yd d,d
〔Mn 〕=
〔0〕 以上をまとめると、図6(A)に示すモーメント法の連
立方程式が設定される。なお、このモーメント法の連立
方程式の設定にあたって、ケーブルにコモンモード電流
の低減化を実現するコアが挿入されるときには、そのケ
ーブルの持つ相互インピーダンスZ0 c,c をそのコアの
インピーダンスZL 分減じる必要がある。従って、この
場合、モーメント法の連立方程式は図6(B)に示すよ
うに変形される。
【0130】また、反射波を生成する大地面があるとき
には、反射波を生成する構造体イメージを生成するとと
もに、その構造体イメージに対して実像とは同じ大きさ
を持つ逆向きの電磁流を想定する。そして、図7(A)
に示すような実像間のモーメント法のマトリクスを算出
するとともに、図7(B)に示すような実像とイメージ
との間のモーメント法のマトリクスを算出して、この2
つのマトリクスを使って、図7(C)に示すモーメント
法の連立方程式を設定する。
【0131】イメージが理論的には実像に対して負の極
性を持つことを利用して、イメージ電流を実像電流に対
して負の極性を持つもので表すという反射波処理を行う
ことによって、未知数の増加を避けることができるの
で、計算時間は概略2倍程度で済む。これに対して、イ
メージ電流を未知数として扱う場合、未知数が2倍とな
るので、計算時間も概略4倍となる。従って、この反射
波処理を行うことにより、近似計算と併せて更に高速処
理が実現できる。
【0132】電磁流計算処理部10は、以上のように設
定したモーメント法の連立方程式に、近似計算によって
求めた相互インピーダンス等を代入して、この連立方程
式を解く。即ち、プリント板の持つ金属に流れる電流、
プリント板の持つ誘電体の表面に流れる等価電流/等価
磁流、ケーブルやワイヤやリードに流れる電流(コモン
モード電流も含む)、金属筐体や金属構造物に流れるコ
モンモード電流等を算出する。 (近似係数算出処理の拡大)前述のように、近似係数計
算部2における処理は、サンプル計算処理部4において
相互インピーダンス等を近似式を用いない周知の方法に
よって算出し、これを用いて近似係数算出処理部5にお
いて連立方程式を解くことによって近似係数を求める処
理であった。しかし、近似係数計算部2において近似係
数を求める処理は上述の処理に限定されない。
【0133】例えば、近似係数はこれを直接計算して算
出しても良い。前述の相互インピーダンスの近似式の導
出についての証明において示したように、近似係数は距
離の関数である。簡単に説明すると、近似係数の導出の
直前の段階における係数C0等は、その直前の段階におけ
る係数P1等、Q1等、R1等及びS1等で表される。これらの
係数P1等は、u、v、w及びd等で表される。これらの
u等の値は、モノポール間の距離rを規定するものであ
るから、距離を与えるものであり、また、モノポール間
の距離rが前述のように規定できるものである以上、そ
の値も求めることができる。従って、近似係数を直接計
算によって求めることができる。
【0134】これは、相互アドミッタンス及び相互リア
クションについても同様である。従って、近似係数計算
部2において、相互インピーダンス、相互アドミッタン
ス及び相互リアクションについて、当該相互インピーダ
ンス等を表す近似式における複数の近似係数を、直接計
算によって算出するようにしても良い。
【0135】
【実施例】本発明の有効性を検証するため、本発明によ
る電磁界強度算出装置20によって求めた相互インピー
ダンスの値と、モーメント法による計算を実行する電磁
界強度算出装置によって求めた相互インピーダンスの値
とを、互いに比較して誤差を調べる。
【0136】図8は誤差の比較のために用いた周波数を
示す。なお、図8において、各周波数に対応する波数k
の値を示した。サンプリング周波数は5個とした。従っ
て、n=5である。即ち、相互インピーダンスZijにつ
いての近似式は、Zij=exp(−jkr)〔a0+a1f2 +a2f
4 +a3f6 +a4f8 +j(b0/f+b1f+b2f3 +b3f
5 +b4f7 )〕を用いた。5個のサンプリング周波数f
s1、fs2、fs3、fs4及びfs5は、各々、30MHz
(3e+007 即ち、3×107 )、250MHz、500
MHz、750MHz及び1GHzとした。これは、周
波数範囲が30MHz〜1GHzである場合に相当す
る。5個のサンプリング周波数における相互インピーダ
ンスZijは、サンプル計算処理部4において、モーメン
ト法において用いられる周知の計算処理によって求めら
れる。
【0137】近似式を用いた計算により相互インピーダ
ンスZijを求める周波数fは、100MHz(1e+008
即ち、1×108 )とした。この周波数における相互イ
ンピーダンスZijは、比較のために、モーメント法にお
いて用いられる周知の計算処理と本発明による近似式を
用いた計算処理との双方によって求められる。
【0138】また、この比較試験におけるモノポールの
構造は図9に示す構造を想定した。この構造は図4に示
す構造と同一である。この比較試験では、モノポール
及びは変化せず図中左端のモノポールとされる。一
方、モノポール及びは図中#1乃至#6の何れかが
選択される。これにより、モノポール間の距離rが変更
される。図9においては各モノポール間の距離を等しく
表したが、モノポール及びとモノポール#1との距
離は0.0001m(メートル) 、モノポール#2との距離は0.
001m、モノポール#3との距離は0.01m 、モノポール#
4との距離は0.1m、モノポール#5との距離は1m、モノ
ポール#6との距離は10m とした。モノポールであるワ
イヤーの直径は2μmとした。また、モノポールの各々
の長さは0.03m とした。
【0139】図10はダイポール間の距離r=0mであ
る場合の相互インピーダンスZijの計算値を示す。な
お、距離r=0mであるから、正確には、図10はモノ
ポール及びについての自己インピーダンスを近似式
を用いた計算により算出した値等を示す。本明細書にお
いては、相互インピーダンスは自己インピーダンスをも
含む概念である。
【0140】図10の近似係数の欄において、c0、c1、
c2、c3及びc4は、各々、前述の近似式の実数部における
近似係数ao、a1、a2、a3及びa4の計算値を示す。m0、
m1、m2、m3及びm4は、各々、前述の近似式の虚数部にお
ける近似係数b0、b1、b2、b3及びb4の計算値を示す。な
お、図10におけるc0、c1、c2、c3及びc4は、先に示し
た相互リアクションの近似式において用いられている近
似係数とは異なるものであり区別される。近似係数c0〜
c4及びm0〜m4は、前述の5個のサンプリング周波数等を
用いて、近似係数算出処理部5において求められる。
【0141】図10において、各近似係数に波数kの巾
乗を掛けた値を示した。例えば、c1*k^2 は近似係数c1
に波数kの2乗を掛けた値を示す。波数kの値は、式k
=2πf/cに解析の対称である周波数f=100MH
zを代入することにより求めた。近似係数に波数kの巾
乗を掛けた値は、近似係数に周波数fの巾乗を掛けた値
と同様の意味を持つ。図11乃至図16においても同様
である。
【0142】指数部の欄に近似式におけるe -jkrの値を
示す。指数部の欄において、括弧内のカンマで区別した
前半に実数部の値を示し、後半に実数部の値を示す。近
似値の欄に本発明の近似式によって算出した相互インピ
ーダンスの値を示す。近似値の欄において、括弧内のカ
ンマで区別した前半に実数部の値を示し、後半に実数部
の値を示す。以上の値は近似計算処理部9において求め
られる。図11乃至図16においても同様である。
【0143】モーメント法の欄に従来のモーメント法に
よって算出した相互インピーダンスの値を示す。モーメ
ント法の欄において、括弧内のカンマで区別した前半に
実数部の値を示し、後半に実数部の値を示す。これらの
値は従来の電磁界強度算出装置において求めたものであ
る。図11乃至図16においても同様である。
【0144】誤差の欄に従来のモーメント法によって算
出した相互インピーダンスの値と本発明の近似式によっ
て算出した相互インピーダンスの値との間の誤差を示
す。誤差の欄において、点線で区別した前半に実数部の
誤差を示し、後半に実数部の誤差を示す。
【0145】モーメント法の欄に示す値と近似値の欄に
示す値との比較から判るように、両者の値は極めて近似
している。そして、誤差の欄に示すように、有効数字の
小数点以下5桁までの誤差を求めると、その値は0%と
なる。従って、極めて優れた近似であることが判る。
【0146】図11はダイポール間の距離r=0.0001m
である場合、図12はダイポール間の距離r=0.001mで
ある場合、図13はダイポール間の距離r=0.01m であ
る場合について示す。図示のように、これらの場合も、
有効数字の小数点以下5桁までの誤差は0%である。周
波数100MHzである場合、距離0.01m 以下において
は誤差がないと考えて良い。
【0147】図14はダイポール間の距離r=0.1mであ
る場合、図15はダイポール間の距離r=1mである場
合、図16はダイポール間の距離r=10m である場合に
ついて示す。図14乃至図16に示す場合においては、
図示のような誤差が発生している。周波数100MHz
である場合、誤差のピークはr=0.1mにある。誤差は、
図から判るように、ダイポール間の距離rが大きくなる
につれて拡大することなく収束する。従って、この点か
らも極めて優れた近似であることが判る。
【0148】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
解析対象となる電気回路装置の放射する電磁界強度を算
出する電磁界強度算出装置において、周波数の多項式と
言う極めて簡潔な形で表される近似式によって各周波数
毎に相互インピーダンス等を求めることにより、その演
算処理を極めて短時間で行うことができるので、電界及
び磁界の算出に要する時間の大部分を占めていた相互イ
ンピーダンス等の算出を極めて短時間で行うことがで
き、電磁界強度の算出を極めて短時間で行うことがで
き、この結果、規制周波数帯域内にある多くの高調波成
分について解析する場合でも電磁界強度の算出を極めて
短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】電磁界強度算出装置構成図である。
【図3】電磁界強度算出処理フローである。
【図4】近似式の前提の説明図である。
【図5】近似式の前提の説明図である。
【図6】モーメント法の連立方程式の説明図である。
【図7】反射波処理の説明図である。
【図8】実施例の前提説明図である。
【図9】実施例の前提説明図である。
【図10】近似結果説明図である。
【図11】近似結果説明図である。
【図12】近似結果説明図である。
【図13】近似結果説明図である。
【図14】近似結果説明図である。
【図15】近似結果説明図である。
【図16】近似結果説明図である。
【図17】従来技術説明図である。
【図18】本発明の背景説明図である。
【図19】本発明の背景説明図である。
【符号の説明】
1 入力処理部 2 近似係数計算部 3 サンプル指定処理部 4 サンプル計算処理部 5 近似係数算出処理部 6 データファイル 7 インピーダンスファイル 8 係数ファイル 9 近似計算処理部 10 電磁流計算処理部 11 電界磁界計算処理部 12 出力ファイル

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気回路装置の放射する電磁界強度を算
    出する電磁界強度算出装置において、 相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リア
    クションのいずれか又は全てについて、当該相互インピ
    ーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクションを
    表す近似式における複数の近似係数を算出する近似係数
    計算部と、 前記近似係数計算部が算出した複数の近似係数を用い
    て、前記近似式に従って、指定された周波数における相
    互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアク
    ションのいずれか又は全ての近似値を算出する近似計算
    処理部と、 前記近似計算処理部が算出した近似値を用いた所定の計
    算によって、各要素を流れる電流,磁流のいずれか又は
    両方の値を算出する電磁流計算処理部と、 前記電磁流計算処理部が算出した複数の電流,磁流のい
    ずれか又は両方の値を用いた所定の計算によって、電界
    及び磁界を算出する電界磁界計算処理部とを備えること
    を特徴とする電磁界強度算出装置。
  2. 【請求項2】 前記近似係数計算部は、 複数のサンプリング周波数における相互インピーダン
    ス、相互アドミッタンス及び相互リアクションのいずれ
    か又は全てを、近似式を用いない所定の計算によって算
    出するサンプル計算処理部と、 前記サンプル計算処理部が算出した複数の相互インピー
    ダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクション及び
    複数のサンプリング周波数を用いて、近似係数と周波数
    のべき乗との積の多項式で表された近似式であって当該
    周波数における相互インピーダンス、相互アドミッタン
    ス及び相互リアクションを表す近似式に従って、複数の
    近似係数を算出する近似係数算出処理部とを備え、 前記近似計算処理部は、前記近似係数算出処理部が算出
    した複数の近似係数を用いて近似値を算出することを特
    徴とする請求項1に記載の電磁界強度算出装置。
  3. 【請求項3】 前記電磁流計算処理部が実行する所定の
    計算は、前記近似計算処理部が算出した近似値を用いて
    モーメント法の連立方程式を構成してこれを解く計算処
    理であることを特徴とする請求項2に記載の電磁界強度
    算出装置。
  4. 【請求項4】 相互インピーダンスZijについての前記
    近似式は、周波数をf、波数をk(但し、k=2πf/
    c、cは光速)、距離をr、jを虚数、近似係数をa0、
    a1、・・・及びb0、b1、・・・とする時、Zij=exp (
    −jkr)〔a0+a1f2 +a2f4 +a3f6 +a4f8 +・・・
    +j(b0/f+b1f+b2f3 +b3f5+b4f7 +・・
    ・)〕であることを特徴とする請求項2に記載の電磁界
    強度算出装置。
  5. 【請求項5】 相互アドミッタンスYijについての前記
    近似式は、周波数をf、波数をk(但し、k=2πf/
    c、cは光速)、距離をr、jを虚数、近似係数をa0、
    a1、・・・及びb0、b1、・・・とする時、Yij=exp (
    −jkr)〔a0+a1f2 +a2f4 +a3f6 +a4f8 +・・・
    +j(b0/f+b1f+b2f3 +b3f5+b4f7 +・・
    ・)〕であることを特徴とする請求項2に記載の電磁界
    強度算出装置。
  6. 【請求項6】 相互リアクションBijについての前記近
    似式は、周波数をf、波数をk(但し、k=2πf/
    c、cは光速)、距離をr、jを虚数、近似係数をc0、
    c1、・・・及びd0、d1、・・・とする時、Bij=exp (
    −jkr)〔c0+c1f2 +c2f4 +c3f6 +c4f8 +・・・
    +j(d0f+d1f3 +d2f5 +d3f7 +d4f9 +・・
    ・)〕であることを特徴とする請求項2に記載の電磁界
    強度算出装置。
  7. 【請求項7】 サンプリング周波数の個数が前記近似式
    の実数部における項数及び虚数部における項数と等しい
    ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記
    載の電磁界強度算出装置。
  8. 【請求項8】 シミュレーションの範囲として入力され
    た周波数範囲とサンプリング周波数の個数とに基づい
    て、複数のサンプリング周波数の値を指定するサンプル
    指定処理部を更に備えることを特徴とする請求項7に記
    載の電磁界強度算出装置。
  9. 【請求項9】 前記サンプル計算処理部が算出した複数
    の相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リ
    アクションを所定のファイルに格納し、 前記近似係数算出処理部が、複数の近似係数を算出する
    ために複数の相互インピーダンス、相互アドミッタンス
    及び相互リアクションを前記ファイルから読み出し、こ
    れらを用いて複数の近似係数を算出し、この算出した複
    数の近似係数を先に複数の相互インピーダンス、相互ア
    ドミッタンス及び相互リアクションが格納されていたフ
    ァイルに格納することを特徴とする請求項2に記載の電
    磁界強度算出装置。
  10. 【請求項10】 電気回路装置における相互インピーダ
    ンスを算出する電磁界強度算出装置であって、 複数のサンプリング周波数における相互インピーダンス
    を近似式を用いない所定の計算によって算出するサンプ
    ル計算処理部と、 前記サンプル計算処理部が算出した複数の相互インピー
    ダンスを用いて、近似係数と周波数のべき乗との積の多
    項式で表された近似式であって当該周波数における相互
    インピーダンスの近似値を表す近似式に従って、複数の
    近似係数を算出する近似係数算出処理部と、 前記近似係数算出処理部が算出した複数の近似係数を用
    いて、前記近似式に従って、指定された周波数の各々に
    ついての相互インピーダンスの近似値を算出する近似計
    算処理部とを備えることを特徴とする電磁界強度算出装
    置。
  11. 【請求項11】 電気回路装置における相互アドミッタ
    ンスを算出する電磁界強度算出装置であって、 複数のサンプリング周波数における相互アドミッタンス
    を近似式を用いない所定の計算によって算出するサンプ
    ル計算処理部と、 前記サンプル計算処理部が算出した複数の相互アドミッ
    タンスを用いて、近似係数と周波数のべき乗との積の多
    項式で表された近似式であって当該周波数における相互
    アドミッタンスの近似値を表す近似式に従って、複数の
    近似係数を算出する近似係数算出処理部と、 前記近似係数算出処理部が算出した複数の近似係数を用
    いて、前記近似式に従って、指定された周波数の各々に
    おける相互アドミッタンスの近似値を算出する近似計算
    処理部とを備えることを特徴とする電磁界強度算出装
    置。
  12. 【請求項12】 電気回路装置における相互リアクショ
    ンを算出する電磁界強度算出装置であって、 複数のサンプリング周波数における相互リアクションを
    近似式を用いない所定の計算によって算出するサンプル
    計算処理部と、 前記サンプル計算処理部が算出した複数の相互リアクシ
    ョンを用いて、近似係数と周波数のべき乗との積の多項
    式で表された近似式であって当該周波数における相互リ
    アクションの近似値を表す近似式に従って、複数の近似
    係数を算出する近似係数算出処理部と、 前記近似係数算出処理部が算出した複数の近似係数を用
    いて、前記近似式に従って、指定された周波数の各々に
    おける相互リアクションの近似値を算出する近似計算処
    理部とを備えることを特徴とする電磁界強度算出装置。
  13. 【請求項13】 電気回路装置の放射する電磁界強度を
    電磁界強度算出装置によって算出する電磁界強度算出方
    法において、 前記電磁界強度算出装置が、 相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リア
    クションのいずれか又は全てを算出するサンプル計算処
    理部と、 近似係数と周波数のべき乗との積の多項式で表された近
    似式であって当該周波数における相互インピーダンス、
    相互アドミッタンス及び相互リアクションを表す近似式
    に従って、複数の近似係数を算出する近似係数算出処理
    部と、 前記近似式に従って、指定された周波数における相互イ
    ンピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクショ
    ンのいずれか又は全ての近似値を算出する近似計算処理
    部と、 各要素を流れる電流,磁流のいずれか又は両方の値を算
    出する電磁流計算処理部と、 電界及び磁界を算出する電界磁界計算処理部とを備え、 前記サンプル計算処理部が、前記近似式の実数部の項数
    及び虚数部の項数と等しい数のサンプリング周波数にお
    ける相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互
    リアクションのいずれか又は全てを、前記近似式を用い
    ない所定の計算によって算出し、 前記近似係数算出処理部が、複数のサンプリング周波数
    と前記サンプル計算処理部の算出した複数の相互インピ
    ーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクションと
    を用いて、前記近似式に従って連立方程式を立てこれを
    解くことにより、複数の近似係数を算出し、 前記近似計算処理部が、前記近似係数算出処理部の算出
    した複数の近似係数を用いて、前記近似式に従って、指
    定された周波数の各々における相互インピーダンス、相
    互アドミッタンス及び相互リアクションのいずれか又は
    全ての近似値を算出し、 前記電磁流計算処理部が、前記近似計算処理部の算出し
    た近似値を用いてモーメント法の連立方程式を構成し、
    各要素を流れる電流,磁流のいずれか又は両方の値を算
    出し、 前記電界磁界計算処理部が、前記電磁流計算処理部の算
    出した複数の電流,磁流のいずれか又は両方の値を用い
    た所定の計算によって電界及び磁界を算出することを特
    徴とする電磁界強度算出方法。
  14. 【請求項14】 電気回路装置の放射する電磁界強度を
    電磁界強度算出装置によって算出する電磁界強度算出方
    法において、 前記電磁界強度算出装置が、 相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リア
    クションのいずれか又は全てを算出するサンプル計算処
    理部と、 近似係数と周波数のべき乗との積の多項式で表された近
    似式であって当該周波数における相互インピーダンス、
    相互アドミッタンス及び相互リアクションを表す近似式
    に従って、複数の近似係数を算出する近似係数算出処理
    部と、 前記近似式に従って、指定された周波数における相互イ
    ンピーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクショ
    ンのいずれか又は全ての近似値を算出する近似計算処理
    部と、 各要素を流れる電流,磁流のいずれか又は両方の値を算
    出する電磁流計算処理部と、 電界及び磁界を算出する電界磁界計算処理部とを備え、 当該電磁界強度算出方法が、 複数のサンプリング周波数について実行される第1の処
    理と、 前記第1の処理の後に、シミュレーションの範囲として
    入力された周波数範囲内の所定の周波数について繰り返
    し実行される第2の処理とからなり、 前記第1の処理は、 前記サンプル計算処理部が複数のサンプリング周波数に
    おける相互インピーダンス、相互アドミッタンス及び相
    互リアクションのいずれか又は全てを、前記近似式を用
    いない所定の計算によって算出する処理と、 前記近似係数算出処理部が、複数のサンプリング周波数
    と前記サンプル計算処理部の算出した複数の相互インピ
    ーダンス、相互アドミッタンス及び相互リアクションと
    を用いて、前記近似式に従って連立方程式を立てこれを
    解くことにより、複数の近似係数を算出する処理とから
    なり、 前記第2の処理は、 前記近似計算処理部が、前記近似係数算出処理部の算出
    した複数の近似係数を用いて、前記近似式に従って、指
    定された周波数の各々における相互インピーダンス、相
    互アドミッタンス及び相互リアクションのいずれか又は
    全ての近似値を算出する処理と、 前記電磁流計算処理部が、前記近似計算処理部の算出し
    た近似値を用いてモーメント法の連立方程式を構成し、
    各要素を流れる電流,磁流のいずれか又は両方の値を算
    出する処理と、 電界磁界計算処理部が、前記電磁流計算処理部の算出し
    た複数の電流,磁流のいずれか又は両方の値を用いた所
    定の計算によって電界及び磁界を算出する処理とからな
    ることを特徴とする電磁界強度算出方法。
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