JPH09195591A - 傾斜地用フェンスにおける支柱とフェンス枠との連結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】様々な傾斜地に対応して設置することができる
ものでありながら、フェンスが受ける鉛直荷重に対して
強固であると共に施工性にも優れる傾斜地用フェンスに
おける支柱とフェンス枠との連結構造を提供する。 【解決手段】支柱７への装着部６ａと装着部の側端縁を
側方に延出して形成した平板状の連結部６ｂとから継手
部材６を構成し、連結部６ｂには所定形状を有する単位
連結孔１０ａをその端縁同士を互いに重合させて上下に
連設して形成した多段連結長孔１０を設け、多段連結長
孔１０より所望の単位連結孔１０ａを選択してフェンス
枠の胴縁１、２の端縁の連結孔１２と合わせ、単位連結
孔１０ａの所定形状に対応する形状の根元部１３ａを有
する連結ボルト１３を前記選択した単位連結孔１０ａに
嵌入して上下動を規制し、所望の傾斜に回動調節した胴
縁１、２をナット１４で固定したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、間柱式フェンスの
支柱とフェンス枠との連結構造に係り、詳しくは、傾斜
地に設置される傾斜地用フェンスにおける支柱とフェン
ス枠の胴縁との連結構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上下に胴縁を有するフェンス枠を所定間
隔を存して立設した支柱間に連結して形成するフェンス
を傾斜地に設置するには、上下方向の長孔を有する継手
部材を支柱に取り付け、継手部材にフェンス枠の胴縁の
端部を該長孔を介してボルトにより連結することが行わ
れている。このものは、ボルトの取り付け位置が長孔の
長さ内で調節でき、かつ、胴縁の端部がボルト接合によ
り回動調節可能に支柱に取り付けられることによって、
様々な傾斜角度に対応できるようになっている。

【０００３】しかしながら、フェンス枠の胴縁は長孔を
介して継手部材に連結されているため、鉛直方向の荷重
に対して脆弱であり、折角傾斜に対応して設置したフェ
ンスの傾斜角度がフェンスが受ける鉛直荷重によりズレ
てしまう畏れがある。また、継手部材と胴縁端部との連
結は通常は六角ボルトとナットを用いて行っているた
め、フェンスの表裏両面からの施工が必要となり、作業
が煩雑で施工性が悪いものとなっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不具
合を一掃するべく創案されたものであって、様々な傾斜
地に対応して設置することができるものでありながら、
フェンスが受ける鉛直荷重に対して強固であると共に施
工性にも優れる傾斜地用フェンスにおける支柱とフェン
ス枠との連結構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が採用した技術手段は、支柱への装着部と装着
部の少なくともいずれか一方の側端縁を側方に延出して
形成した平板状の連結部とから継手部材を構成し、前記
連結部には所定形状を有する単位連結孔をその端縁同士
を互いに重合させて上下に連設して形成した多段連結長
孔を設け、前記多段連結長孔より所望の単位連結孔を選
択してフェンス枠の胴縁端縁の連結孔と合わせ、前記単
位連結孔の所定形状に対応する形状の根元部を有する連
結ボルトを前記選択した単位連結孔に嵌入して上下動を
規制し、所望の傾斜に回動調節した胴縁をナットで固定
したことを特徴とするものである。好ましくは、前記単
位連結孔を略正方形状とし、該正方形の頂部同士を互い
に重合させて上下に連設して多段連結長孔を形成し、前
記連結ボルトを角根ボルトで構成するのがよい。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施例に
基いて詳細に説明する。図１は、傾斜地に設置された傾
斜地用フェンスの全体図であって、上下の胴縁１、２を
上下方向に連結する複数の経格子３、３．．と複数の経
格子３、３．．に対して緯方向に設けた複数の緯格子
４、４．．とから格子状に形成してフェンス枠５を構成
し、フェンス枠５の上下の胴縁１、２の端部を継手部材
６を介して所定間隔を存して傾斜地に立設された支柱
７、７．．に連結してフェンスを構成している。もっと
も、本願発明はこのようなフェンスに限定されるもので
はなく、例えば、フェンス枠５を上下の胴縁と複数の経
桟のみから形成してもよい。

【０００７】図２乃至図４は、上下の胴縁１、２の端部
と支柱７に装着した継手部材６との連結状態を示す部分
拡大図であって、図２は、支柱７がフェンス左右の両端
に位置する場合、図３は支柱７の左右にフェンス枠が連
結されて傾斜が連続する場合、図４（ａ）は支柱７の左
右にフェンス枠が連結され、傾斜が両側へ上がる場合の
支柱の上方部位を示す図、（ｂ）は支柱７の両側にフェ
ンス枠が連結され、傾斜が両側へ下がる場合の支柱の上
方部位を示す図である。

【０００８】本願発明の継手部材６は、支柱７の形状に
対応した形状を有する装着部６ａと、装着部６ａの少な
くともいずれかの側端縁を側方に延出して平板状に形成
した連結部６ｂとから構成される。装着部６ａの中央部
位には水平方向の長孔８が穿設されており、継手部材６
はかかる長孔８を介してボルト９で支柱７に装着される
ようになっている。実施例では、継手部材６は円柱状の
支柱７に装着されるため、継手部材６の装着部６ａは支
柱７の外周に対応するように断面視において円弧状の形
状を有しているが、支柱７の形状及び装着部材６ａの形
状は実施例のものに限定されず、例えば支柱７は角柱で
あってもよい。要は、装着部６ａの形状は支柱７に装着
できるよう支柱７の形状に対応するものであればよく、
半円筒状のものに限定されるものではない。例えば、強
度を得たい場合には、装着部６ａを図６（ｃ）のように
断面視２７０度の円弧状に形成してもよい。図６に示す
ように連結部６ｂは装着部６ａの一側端に設けても、両
側端に設けてよく、それぞれ設置条件によって好適なも
のが選択される。尚、図中６ｃは装着部６ａに設けられ
た補強リブである。

【０００９】連結部６ｂには、複数の単位連結孔１０ａ
から多段状に形成された多段連結長孔１０が設けてあ
る。多段連結長孔１０は、所定形状を有する単位連結孔
１０ａをその端縁同士を互いに重合させて上下に連設し
て形成してなる。図２乃至図４は好適な実施例として、
略正方形状の単位連結孔１０ａをその頂部同士を重合さ
せて上下に４つ連設して多段状に形成した多段連結長孔
１０を示している。実施例では４個の単位連結孔１０ａ
からなる多段連結長孔１０を示したが、単位連結孔１０
ａの個数はこれには限定されない。

【００１０】上下の胴縁１、２の端部には、先端を舌状
に形成した連結部１１が設けてあり、連結部１１には連
結孔１２が穿設されている。本実施例では、胴縁端部の
連結部１１を別体で形成し、胴縁１、２に挿入して装着
するようにしたものを示しているが、胴縁の連結部の構
成はこのようなものに限定されるものではなく、胴縁端
部に連結部を一体的に形成してもよい。

【００１１】継手部材６と胴縁１、２端部との連結に用
いられる連結ボルト１３は、単位連結孔１０ａの所定形
状に対応する形状の根元部１３ａを有しており、上述の
ように正方形状の単位連結孔１０ａから多段連結長孔１
０を形成した場合には、角根ボルトが選択され、ボルト
の根元１３ａの寸法は単位連結孔１０ａに抜き差し自在
に嵌入できるような大きさを有する。正方形状の単位連
結孔１０ａに角根ボルトの根元部１３ａを嵌入させたも
のでは、根元部１３ａと連結孔１０ａの納まりがよいの
で連結ボルト１３すなわち胴縁端部の上下動が確実に規
制され、また、角根ボルトは入手が容易であるのでコス
トの面においても有利である。

【００１２】もっとも、多段連結長孔１０を形成する単
位連結孔１０ａの形状は上述したような略正方形のもの
に限定されるものではなく、要は、連結ボルト１３の根
元部１３ａを多段連結長孔１０から選択した単位連結孔
１０ａに嵌入することによって連結ボルト１３の上下動
を規制するものであればよい。図７は多段連結長孔１０
と連結ボルト１３の組合せの他の実施例を示すものであ
って、（ａ）は円形状の単位連結孔１０ａをその端部を
重合させて上下に連設してなる多段連結長孔１０と円形
の根元部１３ａを有する連結ボルト１３、（ｂ）は略正
三角形状の単位連結孔１０ａの頂部と底辺部同士を上下
方向に重合させて上下に連設してなる多段連結長孔１０
と三角形の根元部１３ａを有する連結ボルト１３を用い
て連結するようにしたものである。尚、図５ないし図６
に示すような角孔を連設した多段連結長孔１０に図７
（ａ）に示す円形の根元部１３ａを有する連結ボルト１
３を用いてもボルトの上下動を規制することができる。
また、図７（ｃ）に示すように、連結ボルト１３の根元
部１３ａを別部材で構成してもよい。

【００１３】このように構成された継手部材６と連結ボ
ルト１３を用いてフェンス枠５を支柱７に連結するに
は、まず、継手部材６の装着部６ａ中央部位に設けた取
付孔８を支柱７の所定部位に設けた図示しない取付孔に
合わせて、ボルト９で継手部材６を支柱７に装着する。
次に、継手部材６の連結部６ｂに形成した多段状の連結
長孔１０から所望の単位連結孔を１０ａ選択し、フェン
ス枠５の胴縁１、２端部に形成した連結孔１２を合わせ
て、角根ボルト１３を挿入させ、選択した単位連結孔１
０ａに角根ボルトの根元部１３ａを嵌入させて上下動を
規制する。この時、連結部６ｂに設けた多段連結孔１０
は長孔状に形成されているので、連結ボルト１３の先端
部を長孔に入れたまま上下に移動させて所望の単位連結
孔１０ａを決定することができ、いちいち連結部６ｂを
見なくても容易に連結ボルト１３を所望の単位連結孔１
０ａに挿入させることができる。

【００１４】胴縁１、２端部に形成した連結孔１２は連
結ボルト１３の螺子部に位置するので、胴縁１、２は支
柱７に固定された継手部材６に対して回動自在であっ
て、胴縁１、２を所望の傾斜角度に調節した後にナット
１４で堅締すればよい。このように、連結ボルト１３を
一方側から単に嵌入させ、他方側からナット１４で堅締
するようにしたので、フェンスの片面から施工をするこ
とができる。

【００１５】連結長孔１０は、単位連結孔１０ａの端縁
同士を重合させて上下に連設して構成されるので、限ら
れた上下の長さを有する連結部６ｂにありながら、より
多くの単位連結孔１０ａを設けることができるのみなら
ず、上下方向の連結位置の微調整が可能となる。

【００１６】

【発明の効果】本願発明は、支柱への装着部と装着部の
少なくともいずれか一方の側端縁を側方に延出して形成
した平板状の連結部とから継手部材を構成し、前記連結
部には所定形状を有する単位連結孔をその端縁同士を互
いに重合させて上下に連設して形成した多段連結長孔を
設け、前記多段連結長孔より所望の単位連結孔を選択し
てフェンス枠の胴縁端縁の連結孔と合わせ、前記単位連
結孔の所定形状に対応する形状の根元部を有する連結ボ
ルトを前記選択した単位連結孔に嵌入して上下動を規制
し、所望の傾斜に回動調節した胴縁をナットで固定した
ことを特徴とするので、従来の連結構造に比べて以下に
述べるような有利な効果を奏するものである。 （１）継手部材に設けた長孔を用いて連結するものであ
りながら、連結ボルトの根元部を選択された単位連結孔
に嵌入することで上下動が規制されるので、フェンスが
受ける鉛直方向の荷重に対して強固である。 （２）胴縁端部の連結孔を選択した所望の単位連結孔に
合わせて連結ボルトを嵌入させ、胴縁を所望の傾斜に回
動調整してナットで固定するようにしたので、従来のよ
うに連結ボルトを螺入させる必要がなく、フェンス片面
から施工することが可能となり、作業効率がよい。 （３）連結ボルトの根元部を単位連結孔に嵌入させた時
点でボルトの接合位置が決定されるので、従来のように
単なる長孔を用いるものに比べて、フェンス取り付けの
際の位置決めが容易である。また、連結部に設けた多段
連結孔は長孔状に形成されているので、連結ボルトの先
端部を長孔に入れたまま上下に移動させて所望の単位連
結孔を決定することができ、作業性がよい。 （４）連結長孔は所定形状の単位連結孔をその端部同士
を重合させて上下に連設させて形成したので、上下方向
に所定間隔を存して複数の連結孔を設けたようなものに
比べて上下方向の位置の微調整ができ、かつ、胴縁端部
はボルトの脚部に対して回動自在であるので、様々な傾
斜に対応した設置が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】支柱とフェンス枠からなるフェンスの全体図で
ある。

【図２】上下の胴縁の端部と支柱に装着した継手部材と
の連結状態を示す部分拡大図であって、支柱がフェンス
左右の両端に位置する場合の図である。

【図３】上下の胴縁の端部と支柱に装着した継手部材と
の連結状態を示す部分拡大図であって、支柱の左右にフ
ェンス枠が連結されて傾斜が連続する場合の図である。

【図４】（ａ）は支柱７の左右にフェンス枠が連結さ
れ、傾斜が両側へ上がる場合の支柱の上方部位を示す
図、（ｂ）は支柱７の両側にフェンス枠が連結され、傾
斜が両側へ下がる場合の支柱の上方部位を示す図であ
る。

【図５】継手部材と胴縁端部との連結構造を示す分解図
である。

【図６】継手部材の斜視図であって、（ａ）は片面タイ
プ、（ｂ）は両面取付タイプ、（ｃ）は２７０度直交タ
イプを示している。

【図７】多段長孔と連結ボルトの他の実施例を示す概略
図であって、（ａ）は円形の単位連結孔と円形の根元を
有するボルト、（ｂ）は三角形の単位連結孔と三角形の
根元を有するボルト、（ｃ）は、根元部を別部材から構
成した連結ボルトを示している。

【符号の説明】

１ 上方の胴縁 ２ 下方の胴縁 ５ フェンス枠 ６ 継手部材 ６ａ 装着部 ６ｂ 連結部 ７ 支柱 １０ 多段連結長孔 １０ａ 単位連結孔 １２ 胴縁端部の連結孔 １３ 連結ボルト １３ａ 根元部 １４ ナット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支柱への装着部と装着部の少なくともいず
   れか一方の側端縁を側方に延出して形成した平板状の連
   結部とから継手部材を構成し、前記連結部には所定形状
   を有する単位連結孔をその端縁同士を互いに重合させて
   上下に連設して形成した多段連結長孔を設け、前記多段
   連結長孔より所望の単位連結孔を選択してフェンス枠の
   胴縁端縁の連結孔と合わせ、前記単位連結孔の所定形状
   に対応する形状の根元部を有する連結ボルトを前記選択
   した単位連結孔に嵌入して上下動を規制し、所望の傾斜
   に回動調節した胴縁をナットで固定したことを特徴とす
   る傾斜地用フェンスにおける支柱とフェンス枠との連結
   構造。
2. 【請求項２】前記単位連結孔は略正方形状を有し、該正
   方形の頂部同士を互いに重合させて上下に連設して多段
   連結長孔を形成し、前記連結ボルトは角根ボルトである
   ことを特徴とする請求の範囲１に記載の傾斜地用フェン
   スにおける支柱とフェンス枠との連結構造。