JPH09168881A - レーザ加工装置 - Google Patents

レーザ加工装置

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JPH09168881A
JPH09168881A JP7348685A JP34868595A JPH09168881A JP H09168881 A JPH09168881 A JP H09168881A JP 7348685 A JP7348685 A JP 7348685A JP 34868595 A JP34868595 A JP 34868595A JP H09168881 A JPH09168881 A JP H09168881A
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JP
Japan
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work
laser
laser light
optical system
energy density
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JP7348685A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kotaki
健一 小瀧
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能XーYステージやそれを制御するため
の複雑なソフトウエアを用いることなく、ワークに所望
の加工面形状の微細加工を施こす。 【解決手段】 制御用コンピュータ17によりワーク1
1の加工形状に応じてレーザ光遮蔽手段6が制御され、
レーザ光の任意の遮蔽領域が設定されると、遮蔽領域以
外の部分を透過したレーザ光の光束が対物レンズ8、1
0を介してワーク11上に照射され、遮蔽領域の像がワ
ーク11の面上に結像され、これによりレーザ光のエネ
ルギによって遮蔽領域の設定に応じた形状の加工がワー
ク11に施される。従って、高性能XーYステージやそ
れを制御するための複雑なソフトウエアを用いることな
く、ワークに所望の加工面形状の加工を施こすことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ加工装置に係
り、さらに詳しくは、パルスレーザを用いて、そのレー
ザエネルギによりワークを加工するレーザ加工装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種レーザ加工装置ではレーザ
ビームのワークへの照射範囲は、固定の視野絞りやパタ
ーン投影用マスクによって決定されていたので、ワーク
には一定のエネルギ密度の一定形状のレーザ光が、レー
ザ照射光学系によって定められた位置に照射される構造
となっていた。そのため、そのレーザビームの照射位置
を基準としてワークを移動させ、ワーク上へのレーザビ
ームの照射位置を相対的に移動させることにより、ワー
ク上の各々の加工部分における、照射されるべきレーザ
光のエネルギ総量を調整し、ワークを所望の面形状に加
工することが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のレーザ
加工装置では、ワークに微細加工を施す際には、微小な
領域においてワークの各々の加工位置で必要な照射パル
ス数を照射するため、高精度のワークの移動制御をおこ
なうことにより、所望の加工面形状、例えば、傾斜面や
曲面を作りだしていた。
【0004】しかしながら、ワークに対し数ミクロン程
度の微細加工を施す際には、ワークを搭載し、微小領域
で高精度な位置制御が可能な高性能XYステージや、当
該XYステージを駆動するサーボ回路や、XYステージ
位置を例えば0.01μmという分解能で高精度に計測
するレーザ干渉計等の高価な構成部材を必要とするとと
もに、これらの構成部材(装置)の能力を十分に発揮さ
せて微細加工を高精度に行なうためには、特にXYステ
ージの高精度な位置制御のための複雑な制御アルゴリズ
ムが必須となり、ソフトウエアの開発にも時間と労力を
要するという不都合があった。
【0005】また、ワークの加工は、経験的あるいは実
験的に決定された加工エネルギやレーザ光の照射パルス
数の設定のもとで行なわれるため、XYステージの位置
制御をどんなに高精度に行なうことができたとしても、
レーザ光の不均一性やレーザ出力の不安定性、レーザ自
体の劣化による出力の減衰といった問題により加工精度
にバラ付きが生じることを防止することができないとい
う不都合をも有していた。
【0006】本発明は、かかる従来技術の有する不都合
に鑑みてなされたもので、その目的は、高性能XーYス
テージやそれを制御するための複雑なソフトウエアを用
いることなく、ワークに所望の加工面形状の微細加工を
施こすことができるレーザ加工装置を提供することにあ
る。
【0007】また、本発明の別の目的は、レーザ光の不
均一性やレーザ出力の不安定性、レーザ自体の劣化によ
る出力の減衰といった問題に起因する加工精度のバラ付
きの発生を防止することができるレーザ加工装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、パルスレーザ光源から出射されたレーザ光を対物レ
ンズを介してワーク上に照射し、前記レーザ光のエネル
ギによってワークに所望の加工を施すレーザ加工装置で
あって、前記パルスレーザ光源と対物レンズとの間の光
路上の前記ワーク上のレーザ照射面と略共役な位置に配
置された前記レーザ光の任意の遮蔽領域を設定可能なレ
ーザ光遮蔽手段を有する。
【0009】これによれば、レーザ光遮蔽手段によりワ
ークの加工形状に応じてレーザ光の任意の遮蔽領域を設
定すれば、遮蔽領域以外の部分を透過したレーザ光の光
束が対物レンズを介してワーク上に照射され、遮蔽領域
により決定された形状の像がワーク面上に結像され、こ
れによりレーザ光のエネルギによって遮蔽領域の設定に
応じた形状の加工がワークに施される。従って、高性能
XーYステージやそれを制御するための複雑なソフトウ
エアを用いることなく、ワークに所望の加工面形状の加
工を施こすことができる。
【0010】この場合において、所望の加工面形状に応
じてレーザ光遮蔽手段による遮蔽領域の設定をコンピュ
ータ制御により行なうようにすることが望ましい。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のレーザ加工装置において、前記パルスレーザ光源と前
記レーザ光遮蔽手段との間の前記レーザ光の光路上に配
置されたエネルギ密度可変手段を更に有する。これによ
れば、エネルギ密度可変手段によりエネルギ密度を可変
できるので、所望のエネルギ密度に設定することが可能
になり、例えば、レーザ自体の劣化による出力の減衰が
おこっても容易にこれに対処することができる。
【0012】この場合において、材質の異なるワークを
加工する装置の場合には、エネルギ密度可変手段を、例
えば、コンピュータによりワーク材質に応じて自動制御
するようにするようにしても良い。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
のレーザ加工装置において、前記エネルギ密度可変手段
を透過したレーザ光のエネルギ密度を測定するパワー測
定手段を更に有する。これによれば、パワー測定手段に
よってエネルギ密度可変手段を透過したレーザ光のエネ
ルギ密度が測定されるので、この測定値を用いてエネル
ギ密度可変手段を調整することが可能になり、経験的あ
るいは実験的に決定された加工エネルギではなく、現実
の加工の状況に応じたレーザ光のエネルギ密度の設定が
可能になり、例えばレーザ光の不均一性やレーザ出力の
不安定性への対処が可能になる。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
のレーザ加工装置において、前記パワー測定手段によっ
て測定されたエネルギ密度と加工速度と目標とする加工
深度とに基づいて照射パルス数を演算する演算手段を更
に有する。
【0015】これによれば、演算手段により測定された
エネルギ密度と加工速度と目標とする加工深度とに基づ
いて照射パルス数が演算される(決定される)ので、従
来のように経験的あるいは実験的に決定されたレーザ光
の照射パルス数ではなく、加工状況に応じた必要パルス
数のレーザ光の照射が可能となり、ワークに対する所望
形状の微細加工を容易に行なうことが可能になる。ここ
で、加工速度とは、レーザ光1パルス当たりの加工深度
を意味する。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項1ないし
4のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前
記対物レンズを介してレーザ光軸と同軸上に、前記ワー
クの表面を撮像する観察光学系を有することを特徴とす
る。これによれば、例えば、観察光学系で撮像されたワ
ーク表面の画像を適宜な表示手段に表示させることによ
り、加工の状況を見ながらワークの微細加工を行なうこ
とが可能になる。
【0017】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
に記載のレーザ加工装置において、前記観察光学系の焦
点が前記ワーク表面に一致するように前記観察光学系と
前記ワーク表面との間隔を調整するオートフォーカス手
段を更に有する。これによれば、オートフォーカス手段
により観察光学系の焦点が前記ワーク表面に一致するよ
うに前記観察光学系と前記ワーク表面との間隔が調整さ
れるので、ワーク表面が加工される際に、常にその加工
部位に観察光学系がオートフォーカスされ、観察光学系
が合焦状態でワークの加工部位を撮像する。従って、観
察光学系で撮像されたワーク表面の画像を適宜な表示手
段に表示させることにより、常に鮮明な加工部位の画像
を見ながらワークの微細加工を行なうことが可能にな
る。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項5又は6
に記載のレーザ加工装置において、前記観察光学系によ
って撮像されたワーク表面の画像データ又はその画像か
ら特徴抽出されたデータに基づいて前記ワークの加工状
態の良否を判定する判定手段を更に有することを特徴と
する。
【0019】これによれば、判定手段により観察光学系
によって撮像されたワーク表面の画像データ又はその画
像から特徴抽出されたデータに基づいてワークの加工状
態の良否が判定されるので、加工状態が不良であると判
定された場合に、直ちに加工を中止すること等が可能に
なる。ここで、加工状態良否の判定は、例えば、予めワ
ークの加工段階毎にワーク表面の輪郭画像を参照画像
(テンプレート)として用意しておき、この参照画像と
観察光学系によって撮像されたワーク表面の画像データ
からエッジ検出された輪郭画像とを比較して、いわゆる
パターンマッチングの手法により行なうことが可能であ
る。
【0020】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
のレーザ加工装置において、前記ワークの加工状態の良
否判定の結果に基づいて、前記エネルギ密度可変手段や
レーザ光遮蔽手段の状態設定の変更を行う変更手段を更
に有することを特徴とする。これによれば、変更手段に
よりワークの加工状態の良否判定の結果に基づいて、エ
ネルギ密度可変手段やレーザ光遮蔽手段の状態設定の変
更が行なわれるので、加工状態に対応して適切なエネル
ギー密度と適切な断面形状のレーザ光をワーク表面に照
射でき、加工状況の自動修正が可能になる。この場合に
おいて、ワークの加工状態の良否判定の結果に基づい
て、エネルギ密度可変手段、レーザ光遮蔽手段に代え
て、あるいはこれらとともに出射パルス数を調整しても
よい。
【0021】請求項9に記載の発明は、パルスレーザ光
源から出射されたレーザ光を対物レンズを介してワーク
上に照射し、前記レーザ光のエネルギによってワークに
所望の加工を施すレーザ加工装置であって、前記対物レ
ンズを介してレーザ光軸と同軸上に配置された前記ワー
クの表面を撮像する観察光学系と;前記観察光学系の焦
点が前記ワーク表面に一致するように前記観察光学系と
前記ワーク表面との間隔を調整するオートフォーカス手
段とを有する。
【0022】これによれば、前記請求項6に記載の発明
と同様に、ワーク表面が加工される際に、常にその加工
部位に観察光学系がオートフォーカスされ、観察光学系
が合焦状態でワークの加工部位を撮像する。従って、観
察光学系で撮像されたワーク表面の画像を適宜な表示手
段に表示させることにより、常に鮮明な加工部位の画像
を見ながらワークの微細加工を行なうことが可能にな
る。
【0023】請求項10に記載の発明によれば、請求項
9に記載のレーザ加工装置において、前記観察光学系に
よって撮像されたワーク表面の画像データ又はその画像
から特徴抽出されたデータに基づいて前記ワークの加工
状態の良否を判定する判定手段を更に有することを特徴
とする。これによれば、判定手段により観察光学系によ
って撮像されたワーク表面の画像データ又はその画像か
ら特徴抽出されたデータに基づいてワークの加工状態の
良否が判定されるので、加工状態が不良であると判定さ
れた場合に、直ちに加工を中止すること等が可能にな
る。この場合、判定手段による加工状態の良否判定は、
観察光学系によって撮像されたワーク表面の画像データ
又はその画像から特徴抽出されたデータに基づいて行な
う判定方法であれば如何なる方法を用いても良い。
【0024】請求項11に記載の発明によれば、請求項
9に記載のレーザ加工装置において、複数の加工段階に
おける良品のワークの形状の画像データ又はこれらの画
像から特徴抽出されたデータが予め記憶された記憶手段
と;加工段階毎に前記良品のワークの画像データ又はこ
の画像から特徴抽出されたデータを読み出す読出手段
と;前記読出手段により読み出されたデータと前記観察
光学系によって撮像されたワーク表面の画像データ又は
その画像から特徴抽出されたデータとを比較する比較手
段と;前記比較手段の比較結果に基づいて前記ワークの
加工状態の良否を判定する判定手段とを更に有すること
を特徴とする。
【0025】これによれば、比較手段において読出手段
により読み出されたその時点の加工段階に対応する良品
のワークの画像データ又はこの画像から特徴抽出された
データと観察光学系によって撮像されたワーク表面の画
像データ又はその画像から特徴抽出されたデータとが比
較され、判定手段では比較手段の比較結果に基づいてワ
ークの加工状態の良否を判定する。従って、ワークのあ
る加工段階でその加工段階の良品のワークの画像データ
と現実に加工されているワークの画像データとが比較さ
れて加工状態の良否が判定されるので、非常に微細な加
工を行なう場合であっても目標とするワークの表面加工
形状とのずれが生じれば、直ちにそのずれを確認するこ
とが可能になる。
【0026】請求項12に記載の発明は、請求項10又
は11に記載のレーザ加工装置において、前記ワークの
加工状態の良否判定の結果に基づいて、前記レーザ光源
から出射されるレーザ光のパルス数を調整する調整手段
を更に有する。
【0027】これによれば、調整手段によりワークの加
工状態の良否判定の結果に基づいて、レーザ光源から出
射されるレーザ光のパルス数が調整されるので、この良
否判定の結果、目標とするワークの表面加工形状とのず
れが生じたと判定した場合には、このずれの程度に応じ
てレーザ光のパルス数が調整され、常に最適なレーザエ
ネルギによりワークを加工することが可能になり、レー
ザ光の不均一性やレーザ出力の不安定性、レーザ自体の
劣化による出力の減衰といった問題に起因する加工精度
のバラ付きを防止することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
ないし図9に基づいて説明する。
【0029】図1には、一実施形態に係るレーザ加工装
置50の全体構成が概略的に示されている。このレーザ
加工装置50は、レーザ光の照射光学系と、観察光学系
ユニット19と、観察光学系駆動ユニット30と、画像
処理装置31、ワーク11が搭載された加工台12と、
制御用コンピュータ17等を備えている。
【0030】照射光学系は、パルスレーザ光源1、エネ
ルギー密度可変手段3、ホモジナイザー4、ハーフミラ
ー5、レーザ光遮蔽手段6、ダイクロイックミラー7、
第二対物レンズ8、開口絞り9、第一対物レンズ10を
含んで構成されている。ここで、この照射光学系の上記
構成各部について、その作用とともに説明する。
【0031】このレーザ加工装置50では、パルスレー
ザ光源1として紫外線波長域のパルス光を出射するKr
F、ArF等のエキシマレーザが用いられており、この
パルスレーザ光源1から水平方向に出射されたレーザ光
は図1に2点鎖線で示される光路2上を進み、まず、エ
ネルギ密度可変手段3(これについては、後に詳述す
る)に入射する。このエネルギー密度可変手段3によっ
て所望のエネルギー密度に調整されたレーザ光は次にホ
モジナイザー4に入射し、均一なプロファイルを有する
レーザ光となってハーフミラー5で二方向に分割され
る。ホモジナイザー4は、例えばシリンドリカルレンズ
を縦方向、横方向に複数本ずつ互いに直交配置して成る
レンズ系や、フライアイレンズ等によって構成される。
また、ハーフミラー5としては、透過率と反射率が10
00:1といった比をもつものが使用され、90度光軸
を曲げられたレーザ光(反射光)は非常に微弱な光とな
る。
【0032】ハーフミラー5で分割された一方の光軸、
すなわちハーフミラー5を透過したレーザ光はレーザ光
遮蔽手段6(これについては、後に詳述する)に入射さ
れる。このレーザ光遮蔽手段6は、制御用コンピュータ
17によって遮蔽形状を制御できるようになっている。
【0033】レーザ光遮蔽手段6から出射されたレーザ
光はダイクロイックミラー7によって90度折り曲げら
れ鉛直下方に進む。このダイクロイックミラー7は、紫
外線であるレーザ光のみを全反射し、他の波長の光は透
過する特性を持っている。このダイクロイックミラー7
で反射されたレーザ光は、第二対物レンズ8に入射さ
れ、そこを透過してつぎに開口絞り9によって瞳径を制
限され、第一対物レンズ10によって、レーザ光遮蔽手
段6と略共役な位置にあるワーク11の面に照射され、
そのワーク11面にレーザ光遮蔽手段6によって遮蔽さ
れた形状が結像される。このとき、レーザ光遮蔽手段6
の遮蔽領域外を透過したレーザ光が照射されるワーク上
の領域がそのエネルギによって加工される。
【0034】ハーフミラー5で分割され90度折曲げら
れた他方の光軸、すなわちハーフミラー5で反射された
レーザ光はパワー測定手段としてのエネルギ密度モニタ
15に入力され、ここでエネルギ密度に比例した電気信
号であるエネルギ密度モニター信号S1に変換され、制
御用コンピュータ17にリアルタイムでレーザ光のエネ
ルギ密度の情報を送る。制御用コンピュータ17では信
号S1をモニタしつつ、既知のハーフミラー5の分割比
(ここでは、1000:1)に基づいてレーザ光の実際
のエネルギ密度を算出し、後述するようにして前記エネ
ルギ密度可変手段3を制御、すなわちエネルギ密度可変
手段3の状態設定を変更する。
【0035】次に、観察光学系ユニット19について説
明する。この観察光学系ユニット19内には、リレーレ
ンズ21、ダイクロイックミラー22、赤外光カットフ
ィルタ23、ハーフミラー24、CCDカメラ25及び
ハロゲンランプ28から成る観察光学系と、オートフォ
ーカス検出ユニット27等が収納されている。
【0036】ここで、観察光学系の上記構成各部につい
てその作用とともに説明する。ハロゲンランプ28によ
って水平方向に出射された可視光はハーフミラー24で
反射され鉛直下方に光軸が曲げられ、赤外光カットフィ
ルタ23とダイクロイックミラー22を透過する。この
ダイクロイックミラー22は、赤外光のみを全反射し他
の波長は透過する特性を持っている。ダイクロイックミ
ラー22を透過した可視光は、リレーレンズ21を透過
し所望の倍率を掛けられ、ダイクロイックミラー7を透
過し、ここから観察光軸20はレーザ光軸2と同軸上と
なり、第二対物レンズ8を透過し、開口絞り9によって
瞳径を制限されたのち、第一対物レンズ10によってワ
ーク11を照明する。ワーク11の表面で反射した可視
光は、観察光軸20上を前述した順番と逆に進み、CC
Dカメラ25の撮像面上に結像する。これにより、CC
Dカメラ25の撮像面上には、ワーク11の表面の像が
結像され、CCDカメラ25では光電変換を行ないビデ
オ信号(光電変換信号)S2を画像処理装置31に出力
する。
【0037】前記オートフォーカス検出ユニット27
は、例えば特開平1−202708号公報に開示された
オートフォーカス装置と同様の構成のもの、具体的に
は、検出光として赤外光を用い、物体面、ここではワー
ク11の表面に対して指標光束としてスリット状の赤外
光を照射し、そのワーク11表面での指標像(反射光
束)の光束を瞳位置において瞳分割プリズムで2分割
し、その分割されたそれぞれの光束を2分割受光素子で
それぞれ受光して2つの2分割受光素子からの各2つ合
計4つの出力に基づいてデフォーカス信号S3を発生す
るものが使用されている。このオートフォーカス検出ユ
ニット27の特徴は、前記公報の発明の効果の欄にも記
載されている通り、焦点検出する物体の反射率の不均一
や、パターンの有無にかかわらず、正確なリアルタイム
の焦点検出が可能な点である。
【0038】図1の装置では、上記オートフォーカス検
出ユニット27から赤外光(指標光束としてスリット状
の赤外光)が水平方向に出射され、可視光カットフィル
タ26を透過し、ダイクロイックミラー22で反射さ
れ、観察光軸20と同軸上の光線となる。そして、可視
光と同様の光路を進み、ワーク11上に指標光束の像を
結像する。この像はワーク11の表面で反射され、ダイ
クロイックミラー22まで到達し、ここで全反射して可
視光カットフィルタ26を透過しオートフォーカス検出
ユニット27に入射する。このユニット27内で上記の
如くしてフォーカス誤差の検出が行なわれ、フォーカス
誤差に対応するデフォーカス信号S3が前記観察光学系
駆動ユニット30に送られる。
【0039】観察光学系駆動ユニット30は、このデフ
ォーカス信号S3を受けると、不図示の駆動機構を介し
てフォーカス誤差が零となるように観察光学系ユニット
19を上下動させて、観察光学系の焦点が前記ワーク表
面に一致するように観察光学系とワーク11表面との間
隔を調整する(オートフォーカスを行なう)。加工中、
オートフォーカス検出ユニット27からのデフォーカス
信号S3は、連続的に観察光学系駆動ユニット30に入
力されるので、観察光学系駆動ユニット30では連続的
に上記オートフォーカス動作を行なう。ところで、観察
光学系駆動ユニット30には、制御用コンピュータ17
からオートフォーカスを指示する旨の指令と、オートフ
ォーカスを停止する旨の指令とが入力されるようになっ
ており、観察光学系駆動ユニット30では制御用コンピ
ュータ17からの指令に基づいて上記連続的オートフォ
ーカス動作を実行するか、オートフォーカスを停止して
観察光学系ユニット19を現在の位置に固定しておくか
の判断を行い、必要な動作を行う。制御用コンピュータ
17からオートフォーカスの停止が指示されるのは、例
えば、ワーク11の孔明け加工をする場合のように、ワ
ーク11表面から指標光束の反射光が得られず、オート
フォーカス検出ユニット27がフォーカス誤差を検出不
能になる場合等である。
【0040】次に、画像処理装置31について説明す
る。この画像処理装置31は、図2に示されるように、
第1の画像メモリ34、第2の画像メモリ35、第1の
特徴抽出回路38A、第2の特徴抽出回路38B、比較
手段としての比較回路39及び判定手段としての判定回
路40とを含んで構成されている。これらの構成各部
は、制御信号バス33を介して制御用コンピュータ17
に接続されている。ここで、画像処理装置31の上記構
成各部についてその作用と共に説明する。
【0041】前記の如く、CCDカメラ25で撮像され
たワーク11の表面の像はビデオ信号S2に変換され画
像処理装置31に入力されるが、この入力された一画面
分のビデオ信号は制御用コンピュータ17からの命令に
より、任意の時間に第1の画像メモリ34に格納され
る。
【0042】一方、良品を得るためのワーク11の加工
途中の複数段階(加工終了後を含む)における理想的な
表面形状の画像データ(この画像は、良品のワークの加
工途中でワーク表面を撮像して得たものである)が各段
階毎にそれぞれ一画面分のビデオ信号として予め制御用
コンピュータ17の内部メモリ(RAM)に格納されて
おり、制御用コンピュータ17では加工状況に合わせて
(これについては後述する)、その加工段階のものに対
応する一画面分のビデオ信号を制御信号バスを介して第
2の画像メモリ35にロードするようになっている。
【0043】第1の画像メモリ34の画像出力S4、第
2の画像メモリ35の画像出力S5が、第1の特徴抽出
回路38A、第2の特徴抽出回路38Bにそれぞれ入力
され、これらの特徴抽出回路38A、38Bでそれぞれ
の画像の特徴抽出が行なわれ、得られた特徴抽出データ
S4’、S5’同士が比較回路39で比較される。そし
て、判定回路40ではこの比較結果に基づいて加工状態
の良否を判定する。すなわち、このようにして、画像処
理装置31では、第2の画像メモリ35の画像出力から
得られた特徴抽出データS5’をリファレンスとして、
第1の画像メモリ34の画像出力から得られた特徴抽出
データS4’との比較を行い、この比較結果基づいて加
工状態の良否を判定するのである。ここで、特徴抽出回
路38A、38Bは、例えば画像のエッジ抽出を行なう
いわゆるエッジ抽出回路によって構成することができ
る。なお、第2の画像メモリ35の画像出力S5をリフ
ァレンスとして第1の画像メモリ34の画像出力S4と
の比較を行なうようにしても良い。判定回路40の判定
結果が制御信号バス33を介して制御用コンピュータ1
7に転送される。
【0044】次に、制御用コンピュータ17の構成及び
制御機能について詳述する。この制御用コンピュータ1
7は、これまでの説明から明かなように、この装置全体
を統括的に制御するものであり、CPU、ROM、RA
M、I/Oインターフェース(いずれも図示省略)等か
ら成るミニコンピュータ又はマイクロコンピュータであ
る。この制御用コンピュータ17の主要な制御機能とし
て、パルスレーザ光源1の制御機能、エネルギ密度可変
手段3の制御機能、レーザ光遮蔽手段6の制御機能等が
ある。以下、この制御用コンピュータ17のこれらの制
御機能と共にエネルギ密度可変手段3、レーザ光遮蔽手
段6について詳述する。
【0045】エネルギ密度可変手段3は、例えば、図3
に示されるような液晶パネルによって構成される。図3
(A)の状態は液晶パネル上のすべてのセルがレーザ光
を透過する状態を示しており、同図(B)〜(D)にお
いては、黒く塗りつぶされたセルではレーザ光が遮蔽さ
れていることを示している。従って、図3(A)の状態
が最も当該液晶パネル(エネルギ密度可変手段3)を透
過したレーザ光のエネルギ密度が大きく、(B)、
(C)、(D)の順にエネルギ密度が小さくなる。すな
わち、この図3に示される液晶パネルによってエネルギ
密度可変手段3を構成した場合には、白い部分と黒い部
分の面積比を変えることによりレーザ光のエネルギ密度
を可変にすることができる。
【0046】図4には、物質M0、M1、M2につい
て、予め実験で求めたエネルギ密度E〔J/cm2 〕と
パルスレーザ光源1の1パルスあたりの加工深度(以
下、これを「加工速度」という)V〔μm/shot〕
との関係の一例が示されている。このエネルギ密度−加
工深度曲線は、各物質ごとに固有の曲線となる。これ
は、次のような理由による。すなわち、パルスレーザ光
を照射することにより、ワーク11は紫外線を吸収し、
その吸収量がある一定の値を越えるとアブレーションが
発生して、分子結合が離されることにより、ワーク11
が加工されるのであるから、異なる分子構造を有する異
なる物質同士では、エネルギ密度Eが同一でも加工速度
は当然に異なるからである。エネルギ密度と加工速度と
の関係は一般的に図4のような形状を示す。このレーザ
加工装置50では、制御用コンピュータ17内のRAM
に、図4に示されるような形状の複数の物質についての
エネルギ密度−加工深度曲線が、マップの形で記憶され
ている。この図4から明らかなように、加工速度が定ま
れば、エネルギ密度−加工深度曲線に基づいて必要なエ
ネルギ密度が一意的に決定されるので、制御用コンピュ
ータ17では、目標とする加工速度に基づいてエネルギ
密度可変手段3を制御してエネルギ密度を所望の値に設
定したり、あるいは反対に15で測定されたエネルギ密
度に基づいて加工深度を調整したりすることができるよ
うになっている。
【0047】図5には、エネルギ密度E=E0,E1,
E2(図4参照)の各場合における累積照射パルス数N
〔ショット〕と加工深度D〔μm〕との関係が示されて
いる。すなわち、所望の加工深度を得るためには、エネ
ルギ密度Eが一定であれば、累積照射パルス数Nと加工
深度Dは比例関係にあり、必要なレーザの照射パルス数
は一意的に定まる。また、各直線(累積照射パルス数−
加工深度直線)の傾きは、前述した加工速度で決定され
る。そこで、制御用コンピュータ17では、RAM内に
記憶したエネルギ密度−加工速度曲線に基づいて、計測
されたエネルギ密度に対応する加工速度を求め、これに
より累積照射パルス数−加工深度直線の式を求めて、目
標とする加工深度Dを得るための累積照射パルス数Nを
演算し、この累積照射パルス数Nだけパルスレーザ光が
照射されるように、パルスレーザ光源1からの出射パル
ス数を制御する。
【0048】レーザ光遮蔽手段6は、例えば、図6又は
図8に示されるような液晶パネルによって構成される。
図6(A)はすべてのセルがレーザ光を遮蔽している状
態を示している。また、同図(B)は左側の二列のセル
以外でレーザ光を遮蔽している状態を示している。同様
に同図(C)〜(F)においても、白で示したセル以外
の部分ではレーザ光を遮蔽している状態を示している。
【0049】次に、図8(A)(B)(C)について説
明する。これらも同様にレーザビーム遮蔽手段6として
用いられる液晶パネルの表面状態を表したものであるあ
るが、この図8の場合は図6の場合に比べてセルがより
細かい例であり、やはり白で示したセル以外の部分では
レーザ光を遮蔽している状態を示している。
【0050】次に、上述のようにして構成された本実施
形態のレーザ加工装置50の動作を、レーザビーム遮蔽
手段6を構成する液晶パネルを図6(A)の状態から同
図(B)〜(F)に示されるように順次設定変更してい
くことにより、図7(A)に示される立方体のワーク1
1を図7(F)の形状に加工する場合を例にとって説明
する。
【0051】 まず、制御用コンピュータ17により
レーザ光遮蔽手段6が図6(A)で示されるように全て
のレーザ光を遮断する状態に設定され、その後にワーク
11を加工台12上に載せる。そして、制御用コンピュ
ータ17によりパルスレーザ光源1が制御され、パルス
レーザ光源1から出射されたレーザ光が図1の光軸2上
を進み、ハーフミラー5で分割され光軸が折曲げられた
レーザ光のエネルギ密度がエネルギ密度モニタ15で測
定され、エネルギ密度モニタ信号S1として、制御用コ
ンピュータ17に送られる。制御用コンピュータ17で
は、予め外部から入力されRAM内に格納されているデ
ータに基づいて、ワーク11の加工に最適なエネルギ密
度になるよう、前述の如くしてエネルギ密度可変手段3
を制御する。例えば、制御用コンピュータ17では、現
在のエネルギ密度可変手段3の状態が図3(C)である
として、もし所望のエネルギ密度が測定されたエネルギ
密度(現在の値)より小さくなければならないときは、
図3(D)の状態にセルの状態を変化させるようエネル
ギ密度可変手段3を構成する液晶パネルを駆動し、反対
に、所望のエネルギ密度が現在の値より大きくなければ
ならないときは、図3(B)の状態にセルの状態を変化
させるようエネルギ密度可変手段3を構成する液晶パネ
ルを駆動する。
【0052】ここでは、エネルギ密度モニタ15、制御
用コンピュータ17、エネルギ密度可変手段3によって
一種の閉ループ制御系が構成されており、所望のエネル
ギ密度を目標値としてエネルギ密度モニタ15の計測値
がそれに追従するようにエネルギ密度可変手段3の制御
が行われるので、容易に所望のエネルギ密度に設定する
ことが可能になる。
【0053】 上記のエネルギ密度の設定後、制御用
コンピュータ17ではパルスレーザ1の発光を一旦停止
し、次にレーザ光遮蔽手段6を構成する液晶パネルのセ
ルを図6(B)の状態に変化させる。
【0054】レーザ光遮蔽手段6を図6(B)の状態に
設定後、制御用コンピュータ17ではワーク11を図7
(B)に示されるように加工するのに必要な累積照射パ
ルス数Nを、前記の如く、エネルギ密度Eと所望の加工
深度Dとに基づいて演算する。
【0055】具体的には、制御用コンピュータ17で
は、現在設定されているエネルギ密度からRAM内に格
納された図4のエネルギ密度−加工速度曲線に基づい
て、加工速度を演算し、この加工速度から図5に示され
る累積照射パルス数−加工深度直線を求め、この直線に
基づいて所望の加工深度を得るに必要な照射パルス数を
求める。例えば、ワーク11の材質がM0の場合に加工
深度D0に加工するためには、エネルギー密度E0にお
いては、累積照射パルス数は、
【数1】N0=D0/V0 となる。
【0056】次に、制御用コンピュータ17では、上で
演算されたN(=N0)個のレーザ光のパルスを照射す
るときに、観察光学系ユニット19を用いて、加工途中
のワーク11の表面形状を監視する準備を行う。すなわ
ち、制御用コンピュータ17では、まず、観察光学系駆
動ユニット30にオートフォーカスを指示する旨の指令
を行なう。これにより、オートフォーカス検出ユニット
27及び観察光学系駆動ユニット30による連続的なオ
ートフォーカス動作が開始され、ワーク11表面に観察
光学系の焦点が合わされる。次いで、制御用コンピュー
タ17では画像処理装置31に、現在のレーザ光遮蔽手
段6の設定によって加工されるべき形状の良品のワーク
の加工途中の画像データを、RAM内から予め第2の画
像メモリ35にロードしておく。
【0057】以上の準備が完了した時点で、制御用コン
ピュータ17では、パルスレーザ光源1に指令を与えて
レーザ光のパルスを発光させる。このパルスの発光中
に、制御用コンピュータ17では、画像処理装置31を
用いて、逐一ワーク11の表面状態を監視すべく、所定
のタイミングでCCDカメラ25で撮像された画像デー
タ(ビデオ信号S2)を1画面分づつ第1の画像メモリ
35Aに取り込む。このようにして1画面分づつ第1の
画像メモリ35A内にCCDカメラ25で撮像された画
像データ(ビデオ信号S2)が取り込まれると、この画
像データと第2の画像メモリ35にロードしてある良品
の画像データとが、第1、第2の特徴抽出回路38A,
38Bによってそれぞれ特徴抽出され、それぞれの特徴
抽出データ同士が比較回路39で比較され、この比較結
果に基づいて判定回路40によって加工状態の良否が判
定され、この判定結果が制御用コンピュータ17に送ら
れる。
【0058】ここで、判定回路40では、上記の如くし
て予め第2の画像メモリ35にロードしてある良品画像
と1画面分づつ第1の画像メモリ35Aに取り込まれた
画像データとを逐次比較判定した結果に基づいて予め第
2の画像メモリ35にロードしてある良品画像の状態と
同等までワークの加工が進んだと判断した場合には、予
定パルス数の照射完了前でも加工状態良好と判定してレ
ーザ光のパルスを止めることを制御用コンピュータ17
に要求するようにすることが望ましい。このようにして
おけば、例えば、(N0−M)個のパルスがワーク11
に照射された段階で、判定回路40がレーザ光のパルス
を止めることを制御用コンピュータ17に要求する状況
が起る可能性は十分にある。何故ならば、図4に示され
る曲線はあくまでも実験的に求められたものであり、同
一の材質であってもロットの違いによって微妙に成分が
異なっていたり、各パルス毎に照射エネルギ密度のばら
つきがあったりするので、実験データに基づいて計算さ
れた照射パルス数には、殆どの場合誤差が含まれるから
である。
【0059】勿論、上述したレーザ光のパルスを止める
ことの要求が判定回路40から制御用コンピュータ17
に対しなされることなく、N0個のパルスが照射される
と、制御用コンピュータ17ではレーザ光源1の発光を
停止する。しかしながら、この場合は、N0個のパルス
のレーザ光を照射したにもかかわらず、ワーク11は所
望の形状に未だ加工されていない場合であるから、さら
にレーザ光を照射しなければならず、判定回路40では
加工状態不良と判定して制御用コンピュータ17に対し
レーザ光を発光させる要求を行なう。これにより、制御
用コンピュータ17によってレーザ光源1の発光が再開
され、判定回路40が加工状態良好と判定してレーザ光
のパルスを止めることの要求を制御用コンピュータ17
に行なうまで、パルス発光が続けられる。
【0060】制御用コンピュータ17では、判定回路4
0の要求によってパルスレーザ光源1のレーザ発光を停
止する。これによって、図7(B)の状態へのワーク1
1の加工が終了する。
【0061】このようにして、このレーザ加工装置50
では、画像処理装置31で監視を行い、そこからの要求
によって、レーザの発光をつづけるか、停止させるかを
制御用コンピュータ17が判断する。このレーザ加工装
置50では、制御用コンピュータ17により連続してエ
ネルギ密度モニタ15の出力がモニタされ、照射パルス
のエネルギ密度が常時監視されているので、上記の(N
0±M0)個のレーザパルスの照射により所望の加工深
度D0の加工が行なわれる場合、その結果に基づいて図
4の曲線を校正することが可能である。すなわち、真の
加工速度をV’とすると、
【数2】N0±M0=D0/V’ であるから、これに基づいて、
【数3】V’=D0/(N0±M0) により、真の加工速度Vを求めることができ、このV’
と、計測されたエネルギ密度E’とに基づいて定まる点
(E’,V’)に基づいて図4の曲線を校正する。これ
によって、以後同様のワーク11を加工する際に、最適
な照射パルス数を正確に求めることが可能になる。
【0062】 以後、加工途中に加工形状を変化させ
る場合は、パルスレーザ光源1の発光を一旦停止させた
後に、制御用コンピュータ17では予め外部から入力さ
れRAM内に格納された各加工段階毎のレーザ光遮蔽手
段6で透過させるレーザ光の形状のデータをもとに、各
段階毎にレーザ光遮蔽手段6を構成する液晶パネルのセ
ルを図6(C)、(D)、(E)、(F)と順次変化さ
せ、上記で説明した工程と同様の動作を繰り返すこと
により、次々に図7(C)、(D)、(E)、(F)と
加工工程を進めて行くことができる。
【0063】また、ワーク11の加工深度が進んでいっ
た場合は、オートフォーカスにより最適な画像を観察光
学系を通して画像処理装置31に供給することができ、
しかも対物レンズのN.A.はレーザ光学系の制約から
観察光学系においても0.1以下で使用するので、焦点
深度を十分に確保でき、高さ方向に大きな段差を付ける
ようなワーク11の加工も良好に行なうことができる。
【0064】次に、図9(A)の状態のワーク11から
図9(B)の状態のワーク11へ加工を行う場合につい
て説明する。この場合、加工面の滑らかさはレーザ光遮
蔽手段6を構成する液晶パネルのセルサイズに依存する
ので、レーザ光遮蔽手段6を図8に示される小さなセル
サイズの液晶パネルにより構成することが望ましい。
【0065】さて、このようなワーク11の加工の場合
は、図8(A)の状態から図8(B)を経て図8(C)
の状態まで液晶パネル(レーザ光遮蔽手段6)のセルを
一列づつレーザを透過する状態に変化させながら、各々
において同一エネルギを照射すればよい。
【0066】そのために、各々の状態において所望のエ
ネルギが照射され、所望の形状が形成されているか、上
述した方法とまったく同様にして監視を行い、照射パル
ス数の制御を行う。もし、ある特定の部分に加工形状の
不備が生じていることが、画像処理装置31で検出され
た場合(もちろん、既に加工をし過ぎている場合には修
正不能である。)には、制御用コンピュータ17では、
その部分のみ修正加工を行うために、レーザ光遮蔽手段
6の遮蔽領域の形状を修正に必要な形状のレーザが照射
できるように変更し、レーザの照射を行う。この際にも
画像処理装置31で監視を行い、所望の加工形状になっ
た時点で加工を停止し、そのあと所望の加工シーケンス
に戻り、最終的加工形状になるまで、加工を続ける。
【0067】これにより、図9(A)に示されるような
立方体のワーク11は、最終的に図9(B)のような形
状に加工される。その表面の拡大図が図9(C)に示さ
れている。
【0068】これまでの説明から明らかなように、本実
施形態のレーザ加工装置50では、オートフォーカス検
出ユニット27と観察光学系駆動ユニット30とによっ
てオートフォーカス手段が構成され、制御用コンピュー
タ17の機能によって演算手段、変更手段、読出手段及
び調整手段が実現されている。また、制御用コンピュー
タ17を構成するRAMによって記憶手段が構成されて
いる。
【0069】以上説明したように、本実施形態のレーザ
加工装置50によると、レーザ光遮蔽手段6としてより
小さいセルサイズの液晶パネルを使用し、レーザ光遮蔽
手段6の遮蔽領域をワーク11の加工形状に合わせて設
定し、レーザ光の照射エネルギが最適になるようにエネ
ルギ密度可変手段3を用いてエネルギ密度を設定した状
態で、レーザ光をワーク11に照射するので、ワーク1
1を一定速度で移動させレーザ光の照射領域を変化させ
ていくといった複雑な制御をすることなしに、微細な加
工や、斜面を加工できる。また、照射パルス数を一定の
関数に基づいて変化させることにより、より複雑な曲面
の加工も可能になる。
【0070】そして、レーザ光遮蔽手段6を構成する液
晶パネルのセルサイズが小さければ小さいほど微細加工
が可能になるので、照射エネルギーの制御に精度が必要
となるが、本実施形態のレーザ加工装置50では、ワー
ク11の加工形状を観察光学系ユニット19と画像処理
装置31とにより加工中に監視しながら照射エネルギを
制御するので、結果的に精度のよい加工が可能となる。
それは、理論的あるいは実験的に決定された加工エネル
ギで盲目的に加工するのではなく、良品状態をあらかじ
め認識しておき、それと比較することにより、現在の加
工状態を判断して加工エネルギ、すなわち累積照射パル
ス数を制御して良品と同等の微細加工形状を実現するこ
とができるからである。
【0071】また、一般的にパルスレーザは各パルス毎
に照射エネルギ密度のばらつきがあり、また使用中に経
年変化でプロファイルの変動や照射エネルギの減衰とい
った問題もあるが、本実施形態のレーザ加工装置50で
は、ワーク11の加工状態に着目し、良品から得た加工
状態の情報と比較しながらその結果をレーザ光の制御に
フィードバックしているので、ワーク加工時におけるレ
ーザ自体の劣化に対しての許容範囲を大きくするといっ
た効果もある。
【0072】以上のように、レーザ加工装置50では、
パルスレーザのエネルギ密度とレーザ光の照射領域と照
射パルス数とが、照射中のパルスレーザのパルス発生数
の計測データと照射エネルギー密度の計測データと実際
のワーク11の加工状態を画像処理により判定したデー
タの三種類のデータを基に制御される。
【0073】なお、上記実施形態では、オートフォーカ
ス手段を構成するオートフォーカス検出ユニット27か
らのフォーカス信号に基づいて観察光学系駆動ユニット
30によって観察光学系が上下駆動動される場合につい
て説明したが、本発明がこれに限定されるものではな
く、フォーカス信号に基づいてワーク側が上下動するよ
うな構成にしても良い。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし8
に記載の発明によれば、高性能XーYステージやそれを
制御するための複雑なソフトウエアを用いることなく、
ワークに所望の加工面形状の微細加工を施こすことがで
きるという従来にない優れた効果がある。
【0075】また、請求項9ないし12に記載の発明に
よれば、レーザ光の不均一性やレーザ出力の不安定性、
レーザ自体の劣化による出力の減衰といった問題に起因
する加工精度のバラ付きの発生を防止することができ、
これにより不良品の発生を防止することができるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例形態に係るレーザ加工装置の
全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像処理装置の内部構成例を示すブロッ
ク図である。
【図3】液晶パネルをエネルギ密度可変手段として用い
た場合の液晶パネル表面の状態を示す図であって、
(A)はすべてのセルがレーザ光を透過させる状態を示
す図(B)は(A)と比較して3/4だけのレーザ光を
透過させるようにセルが制御された状態を示す図、
(C)は(A)と比較して2/4だけのレーザ光を透過
させるようにセルが制御された状態を示す図、(D)は
(A)と比較して1/4のみのレーザ光を透過させるよ
うにセルが制御された状態を示す図である。
【図4】パルスレーザによる照射エネルギとエネルギ照
射された任意のワークの加工速度との関係を示す線図で
ある。
【図5】一定の照射エネルギでワークを加工する際のワ
ークの加工深度と累積照射パルス数との関係を示す線図
である。
【図6】レーザ光遮蔽手段として用いられる液晶パネル
の一例を示す図であって、(A)〜(F)はワークの段
階的加工を行なう場合の遮蔽領域の状態変化の一例を示
す図である。
【図7】段階的加工の際のワークの表面形状の変化の様
子を示す図であって、(A)〜(F)は図6の(A)〜
(F)に示される遮蔽領域の変化にそれぞれ対応する図
である。
【図8】レーザ光遮蔽手段として用いられる液晶パネル
の他の例を示す図であって、(A)〜(C)はワークの
微細加工を行なう場合の遮蔽領域の状態変化の一例を示
す図である。
【図9】レーザ光遮蔽手段として図8の液晶パネルを用
いて加工されるワークの形状変化を説明するための図で
あって、(A)は加工前のワークの形状を示す図、
(B)は加工終了後のワークの形状を示す図、(C)は
(B)の表面の状態を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1 パルスレーザ光源 3 エネルギ密度可変手段 6 レーザ光遮蔽手段 8 第1対物レンズ 10 第1対物レンズ 11 ワーク 15 エネルギ密度モニタ(パワー測定手段) 17 制御用コンピュータ(演算手段、変更手段、読出
手段及び調整手段) 19 観察光学系ユニット 27 オートフォーカス検出ユニット(オートフォーカ
ス手段の一部) 30 観察光学系駆動ユニット(オートフォーカス手段
の一部) 39 比較回路(比較手段) 40 判定回路(判定手段) 50 レーザ加工装置

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルスレーザ光源から出射されたレーザ
    光を対物レンズを介してワーク上に照射し、前記レーザ
    光のエネルギによってワークに所望の加工を施すレーザ
    加工装置であって、 前記パルスレーザ光源と対物レンズとの間の光路上の前
    記ワーク上のレーザ照射面と略共役な位置に配置された
    前記レーザ光の任意の遮蔽領域を設定可能なレーザ光遮
    蔽手段を有するレーザ加工装置。
  2. 【請求項2】 前記パルスレーザ光源と前記レーザ光遮
    蔽手段との間の前記レーザ光の光路上に配置されたエネ
    ルギ密度可変手段を更に有する請求項1に記載のレーザ
    加工装置。
  3. 【請求項3】 前記エネルギ密度可変手段を透過したレ
    ーザ光のエネルギ密度を測定するパワー測定手段を更に
    有する請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 【請求項4】 前記パワー測定手段によって測定された
    エネルギ密度と加工速度と目標とする加工深度とに基づ
    いて照射パルス数を演算する演算手段を更に有する請求
    項3に記載のレーザ加工装置。
  5. 【請求項5】 前記対物レンズを介してレーザ光軸と同
    軸上に、前記ワークの表面を撮像する観察光学系を有す
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に
    記載のレーザ加工装置。
  6. 【請求項6】 前記観察光学系の焦点が前記ワーク表面
    に一致するように前記観察光学系と前記ワーク表面との
    間隔を調整するオートフォーカス手段を更に有する請求
    項5に記載のレーザ加工装置。
  7. 【請求項7】 前記観察光学系によって撮像されたワー
    ク表面の画像データ又はその画像から特徴抽出されたデ
    ータに基づいて前記ワークの加工状態の良否を判定する
    判定手段を更に有することを特徴とする請求項5又は6
    のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  8. 【請求項8】 前記ワークの加工状態の良否判定の結果
    に基づいて、前記エネルギ密度可変手段やレーザ光遮蔽
    手段の状態設定の変更を行う変更手段を更に有すること
    を特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
  9. 【請求項9】 パルスレーザ光源から出射されたレーザ
    光を対物レンズを介してワーク上に照射し、前記レーザ
    光のエネルギによってワークに所望の加工を施すレーザ
    加工装置であって、 前記対物レンズを介してレーザ光軸と同軸上に配置され
    た前記ワークの表面を撮像する観察光学系と;前記観察
    光学系の焦点が前記ワーク表面に一致するように前記観
    察光学系と前記ワーク表面との間隔を調整するオートフ
    ォーカス手段とを有するレーザ加工装置。
  10. 【請求項10】 前記観察光学系によって撮像されたワ
    ーク表面の画像データ又はその画像から特徴抽出された
    データに基づいて前記ワークの加工状態の良否を判定す
    る判定手段を更に有することを特徴とする請求項9に記
    載のレーザ加工装置。
  11. 【請求項11】 複数の加工段階における良品のワーク
    の形状の画像データ又はこれらの画像から特徴抽出され
    たデータが予め記憶された記憶手段と;加工段階毎に前
    記良品のワークの画像データ又はこの画像から特徴抽出
    されたデータを読み出す読出手段と;前記読出手段によ
    り読み出されたデータと前記観察光学系によって撮像さ
    れたワーク表面の画像データ又はその画像から特徴抽出
    されたデータとを比較する比較手段と;前記比較手段の
    比較結果に基づいて前記ワークの加工状態の良否を判定
    する判定手段とを更に有することを特徴とする請求項9
    に記載のレーザ加工装置。
  12. 【請求項12】 前記ワークの加工状態の良否判定の結
    果に基づいて、前記レーザ光源から出射されるレーザ光
    のパルス数を調整する調整手段を更に有する請求項10
    又は11に記載のレーザ加工装置。
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