JPH09154436A - 天敵の飼育及び輸送方法 - Google Patents

天敵の飼育及び輸送方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】天敵、特に捕食性昆虫であるクサカゲロウ類、
テントウムシ類、カメムシ類の飼育又は輸送において、
共食いを防ぎ歩留りをよくする。 【解決手段】天敵の飼育又は輸送に際して、発泡プラス
チックシェルターを用いる。また、発泡プラスチックと
共に天敵が収容されてなる容器に、天敵は通過できるが
発泡プラスチックは通過できない大きさの孔を設けるこ
とで、そのまま施用するのに便利な天敵の収容容器とす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、節足動物である天
敵、特に捕食性昆虫である天敵の飼育方法、輸送方法及
び天敵が収容されてなる容器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】捕食性昆虫である天敵を利用して農作物
を加害する害虫を防除するためには、該捕食性昆虫を大
量に飼育することが必要になる。一般に、捕食性昆虫は
飼育中に共食いにより個体数が減少することが多いこと
から、紙、籾殻、蕎麦殻等をシェルターとして用いて飼
育する方法が推奨されてきた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小容器
内で大量に効率よく天敵を飼育する場合や天敵を輸送す
る場合においては、従来の紙製シェルターの使用では充
分な共食い防止は困難であることから、飼育中又は輸送
中における共食い防止効果を上げる方法が求められてい
る。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決するものであり、天敵を飼育又は輸送するに際し
て、発泡プラスチック（プラスチックフォーム）シェル
ターを用いることを特徴とする天敵の飼育及び輸送方法
を提供するものである。さらに、本発明は天敵収容容器
を提供するものであり、天敵は通過し得るが発泡プラス
チックは通過し得ない大きさの孔が設けられてなる容器
内に、天敵と発泡プラスチックとを収容することによ
り、天敵を該容器内に入れて輸送したり、該容器内の天
敵をそのまま農作物にふりかけるように施用することが
できるというものである。
【０００５】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる発泡プ
ラスチックシェルターは特に限定されないが、例えば、
ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ＡＢＳ
フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリエチレンフォ
ーム、ポリプロピレンフォーム、フェノール樹脂フォー
ム、ユリア樹脂フォーム等のシェルターが挙げられる。
【０００６】本発明のシェルターの形状は特に限定され
ないが、飼育に適した形状である粒状、棒状、紐状のシ
ェルターの使用が好ましい。形状が粒状である場合、そ
の直径が１〜10mmのものの使用が好ましく、棒状の場合
は長さ５〜30mm、太さ１〜10mm径、紐状の場合は長さ10
〜30mm、太さ１〜10mm径のものの使用が好ましい。
【０００７】本発明方法により飼育又は輸送される天敵
は節足動物であり、一般に捕食性昆虫であって、具体例
としては、ヨツボシクサカゲロウ、ヤマトクサカゲロ
ウ、ヒメクサカゲロウ、タイワンクサカゲロウなどのク
サカゲロウ類、ナミテントウ、ナナホシテントウ、ダン
ダラテントウなどのテントウムシ類、ハリクチブトカメ
ムシ、シロヘリクチブトカメムシなどのカメムシ類等が
挙げられる。
【０００８】本発明の飼育方法は、通常の飼育方法（例
えば、湯嶋健ら編、日本植物防疫協会発行「昆虫の飼育
法」を参照）にしたがって天敵を飼育する際に、飼育場
所にシェルターとして発泡プラスチックを置くことによ
りなされる。用いられる発泡プラスチックの量は、天敵
の種類等により異なるが、一般に、飼育容器 100ml当り
10〜90ml（資材間の空隙を含む）、好ましくは30〜70ml
である。
【０００９】具体的な操作例としては、飼育容器中に、
天敵である節足動物、例えば捕食性昆虫の孵化幼虫を飼
育容器 100ml当り２〜20頭を放し、餌となる鱗翅目若し
くは鞘翅目昆虫の卵、鱗翅目昆虫の若令幼虫又はアブラ
ムシ類等を給餌すればよい。餌となる昆虫卵の種類は天
敵である節足動物の種類により異なり、例えば、クサカ
ゲロウ類の場合、鱗翅目若しくは鞘翅目昆虫の卵又はア
ブラムシ類、テントウムシ類の場合、鱗翅目昆虫の卵若
しくは若令幼虫又はアブラムシ類、カメムシ類の場合、
鱗翅目昆虫の卵又は若令幼虫が用いられる。
【００１０】本発明の輸送方法としては、例えば、天敵
である節足動物の輸送容器を発泡プラスチックで充たし
ておき、そこに該節足動物、さらに、必要によりその餌
となる寄主を詰めればよい。
【００１１】輸送用又はそのまま施用できる天敵収容容
器としては、天敵は通過し得るが発泡プラスチックは通
過し得ない大きさの孔、例えば直径１〜10mmの孔が通常
複数個設けられてなる容器を利用するのが実際の施用に
便利である。例えば、図１に示されるように、容器内に
発泡プラスチックと共に天敵を収容しておき、該容器の
孔を下に向けてふりかけるように農作物に散布すること
で簡便な施用を可能とすることができる。該天敵収容容
器は、容量 200ml〜1000ml程度のポリエチレン等のプラ
スチック製、ガラス製などの容器内に発泡プラスチック
と共に天敵が収容されており、通常、一容器当り、約 1
00〜500 頭の天敵が収容されてなるものである。
【００１２】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明をより詳細に説
明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものでは
ない。 実施例１ 200ml容のポリエチレンカップ内に、直径５mmのポリス
チレンフォーム 100ml（粒間の空隙も含む体積）を入
れ、さらに、水をしみ込ませた綿球（直径１cm）１個を
入れた。該ポリエチレンカップ内にヨツボシクサカゲロ
ウの孵化幼虫10頭を放し、餌としてスジコナマダラメイ
ガ卵を与えた。餌は飼育中適宜補給した。９日後に終令
幼虫となった生存虫数を数え、生存率を求めた。３反復
実験後の平均生存率を以下に示す。また、ポリスチレン
フォームにかえて、４cm×５cmに切った濾紙を波状に折
ったシェルターを用いて上記と同様に飼育した場合（比
較区）の平均生存率も合わせて示す。
【００１３】
【表１】 尚、本発明の試験区においては、黴の発生が見られなか
ったが、比較区においては黴の発生が認められた。
【００１４】実施例２ 実施例１において、ヨツボシクサカゲロウにかえてナミ
テントウを用いた以外は、全て実施例１と同様に飼育し
て、８日後に終令幼虫となった生存虫数を数え、生存率
を求めた。結果を表２に示す。
【００１５】
【表２】 尚、本発明の試験区においては、黴の発生が見られなか
ったが、比較区においては黴の発生が認められた。
【００１６】実施例３ 500ml容のポリエチレン製瓶内に、直径５mmのポリスチ
レンフォームを充填し、さらに、ヨツボシクサカゲロウ
の２令幼虫 100頭とスジコナマダラメイガ卵 500mgとを
入れ、48時間輸送に付した。輸送後の歩留りは９０％以
上であった。
【００１７】
【発明の効果】本発明の飼育方法及び輸送方法により、
天敵の効率的な飼育及び輸送が可能となる。また、本発
明の天敵収容容器は、そのまま農作物に施用できる便利
なものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明の天敵収容容器の一例を表す説
明図である。
【符号の説明】
１は本発明の天敵収容容器を、２は容器内に入れられた
粒状の発泡プラスチックシェルターを、３は天敵（捕食
性昆虫）を、４は孔をそれぞれ表す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】天敵を飼育するに際して、発泡プラスチッ
    クシェルターを用いることを特徴とする天敵の飼育方
    法。
  2. 【請求項２】発泡プラスチックシェルターの形状が粒状
    である請求項１記載の天敵の飼育方法。
  3. 【請求項３】天敵を輸送するに際して、発泡プラスチッ
    クシェルターを用いることを特徴とする天敵の輸送方
    法。
  4. 【請求項４】発泡プラスチックシェルターの形状が粒状
    である請求項３記載の天敵の輸送方法。
  5. 【請求項５】発泡プラスチックと共に天敵が収容されて
    なる容器であって、該容器には天敵は通過し得るが発泡
    プラスチックは通過し得ない大きさの孔が設けられてな
    ることを特徴とする天敵収容容器。
  6. 【請求項６】粒状の発泡プラスチックと共に天敵が収容
    されてなる容器であって、該容器には天敵は通過し得る
    が発泡プラスチック粒は通過し得ない大きさの孔が設け
    られてなることを特徴とする天敵収容容器。
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