JPH09136233A - 開先加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 傾斜材料について必要な傾斜角度を容易に設
定でき、安定した保持力を確保できる機構により効率良
く作業でき、高精度の開先加工を可能とする開先加工装
置を提供する。 【解決手段】 材料Ｗの端部に対して開先加工用の切削
ヘッド21を水平方向へ移動自在に設け、材料ストッパ22
を上下方向へ回動自在に設ける。材料Ｗの一側であって
開先加工が行われる端部側に材料Ｗを位置決め保持する
際の基準となる基準保持部15を配置する。この基準保持
部15に対し基準保持部15との関係で材料Ｗの傾斜角度を
設定して材料Ｗの一側を位置決め保持する傾斜設定保持
部16を移動可能に設ける。基準保持部15および傾斜設定
保持部16に対し材料Ｗの他側を位置決め保持する二つの
移動保持部17，18をそれぞれ移動可能に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、開先加工装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】材料間の溶接部の機械的強度を図る上で
材料端面に開先加工を施すようにしている。例えば、図
７（Ａ）に示す材料（Ｈ形鋼）Ｗの場合、ウエブ部ａと
両側のフランジ部b1，b2との両接合隅部に円弧状の切欠
き部ｃ，ｃを加工するとともに、両側のフランジ部b1，
b2の端面に面取り部ｄ，ｄを加工する。

【０００３】そして、この開先加工を材料端面の片側の
フランジ部b1もしくはb2に行うようにした単頭型の開先
加工装置は、例えば特公平７−１６８４５号公報に記載
されているように、材料搬入方向に平行に設けられた材
料保持部の保持面により材料Ｗを固定し、その材料搬入
方向に対して直交する方向に切削ヘッドを移動して、材
料Ｗの端面に切欠き部ｃおよび面取り部ｄを開先加工す
る。

【０００４】この場合、材料Ｗに当接する材料保持部の
保持面は任意の幅を持ち切削ヘッドの移動方向に対して
直角な固定面であった。

【０００５】このような直角な固定面は、材料Ｗのフラ
ンジ端面の形状が、材料Ｗの長手方向に対して直角面す
なわち端面が切削方向に対して平行であれば開先加工を
行うことができるが、図７（Ｂ）に示すように、材料Ｗ
の端面が傾斜している傾斜面すなわち端面が切削方向に
対して平行でない場合は開先加工を行うことは不可能で
ある。

【０００６】したがって、フランジ端面が傾斜面の材料
（Ｈ形鋼）Ｗの場合には、その端面が切削方向に対して
平行になるようにするためには、材料自体を傾斜させる
必要がある。このため、材料保持部として、傾斜した保
持面を有する専用保持具に交換して開先加工を行ってい
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
保持面を傾斜させる場合は、傾斜角度に合わせた保持面
を有する複数の保持具を用意して付替える必要があるば
かりでなく、フランジ部b1とb2とでは保持面の角度は反
対になり、この場合にも保持具の交換が必要となる。

【０００８】さらに、角度が大きくなると保持具の製作
が困難になるとともに、保持面に相対する位置から対向
する保持部が外れてしまうため、材料Ｗの保持が不安定
になり、加工精度が安定しない問題や、場合によっては
加工ができなくなる問題がある。

【０００９】このように、端面が傾斜している場合は、
端面が直角の場合に比べ２倍以上の開先加工の時間がか
かり非効率である。また、傾斜角度が大きくなれば開先
加工を機械で行うことが困難になっている。

【００１０】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、必要な傾斜角度を容易に設定でき、安定した保持
力を確保できる機構により傾斜材料について効率良く作
業でき、高精度の開先加工を可能とする開先加工装置を
提供することを目的とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載された発
明は、材料の端部に開先加工を行う開先加工装置におい
て、材料の一側であって開先加工が行われる端部側に配
置されて材料を位置決め保持する際の基準となる基準保
持部と、この基準保持部に対し材料の同側で移動可能に
設けられ基準保持部との関係で材料の傾斜角度を設定し
て材料の一側を位置決め保持する傾斜設定保持部と、前
記基準保持部および前記傾斜設定保持部に対し材料の反
対側でそれぞれ移動可能に設けられ材料の他側を位置決
め保持する複数の移動保持部とを具備した開先加工装置
である。

【００１２】そして、基準保持部に対し移動調整された
傾斜設定保持部により、材料を任意の傾斜角度に設定
し、これらの保持部と複数の移動保持部とにより材料を
設定角度で固定保持する。

【００１３】請求項２に記載された発明は、請求項１記
載の開先加工装置における基準保持部、傾斜設定保持部
および複数の移動保持部が、材料の側面に当接して材料
を位置決めする位置決めローラと、位置決めされた材料
を上方から挟圧固定する挟圧部と、この挟圧部を上下動
する駆動部とをそれぞれ備えているものである。

【００１４】そして、各保持部において、位置決めロー
ラを材料の側面に当接して材料を位置決めし、この位置
決めされた材料を駆動部により下降された挟圧部により
固定する。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を参照しながら説明する。

【００１６】図１に示すように、本体フレーム11に材料
搬入ローラ12を回転自在に軸支するとともに、これらの
ローラ12と平行に長尺の支持体13および支持体14を架設
する。一方の支持体13の上面に基準保持部15を設け、他
方の支持体14の上面に移動可能な傾斜設定保持部16を設
ける。

【００１７】前記基準保持部15は、材料（Ｈ形鋼）Ｗの
右側であって開先加工が行われる端部側の定位置に固定
配置されて、材料Ｗを位置決め保持する際の基準となる
固定保持具である。

【００１８】前記傾斜設定保持部16は、前記基準保持部
15に対し材料Ｗの同側で移動可能に設けられ、基準保持
部15との関係で材料Ｗの傾斜角度を設定して材料Ｗの右
側を位置決め保持する傾斜角度設定用保持具である。

【００１９】さらに、一方の支持体13の上面に基準保持
部15と対向する位置で移動可能の移動保持部17を設け、
また、他方の支持体14の上面に傾斜設定保持部16と対向
する位置で移動可能の移動保持部18を設ける。

【００２０】一方の移動保持部17は、前記基準保持部15
に対し材料Ｗの反対側で移動可能に設けられ材料Ｗの左
側を位置決め保持する移動可能保持具である。

【００２１】他方の移動保持部18は、前記傾斜設定保持
部16に対し材料Ｗの反対側で移動可能に設けられ材料Ｗ
の左側を位置決め保持する移動可能保持具である。

【００２２】また、材料Ｗの長手方向の位置決めを行う
ため、支持体13に沿って移動自在に設けられた切削ヘッ
ド21の移動方向と平行に、カッター基準位置を０位置と
する材料ストッパ22を設ける。

【００２３】図２に示すように、前記切削ヘッド21は、
切削ヘッド送り用モータ19にて回転される送りネジ20に
より移動され、材料Ｗのフランジ部b1，b2の端面を加工
するための円筒形のカッター21a と、ウエブ部ａに円弧
状の切欠き部ｃ，ｃを加工するための円弧曲面形のカッ
ター21b と、フランジ部b1，b2の端面に面取り部ｄ，ｄ
を加工するための円錐形のカッター21c とを備え、これ
らのカッター21a ，21b ，21c により順次加工を行う。

【００２４】図３に示すように、前記材料ストッパ22
は、本体フレーム11に軸23により回動自在に取付けたア
ーム24の先端に設け、本体フレーム11とアーム24との間
に連結された流体圧シリンダ25により軸23を支点に上下
動する。

【００２５】図４に示すように、前記傾斜設定保持部16
は、支持体14に対して保持部ベース31を摺動自在に設
け、この保持部ベース31と一体の底板部32に雌ネジ33を
一体に取付け、この雌ネジ33に送りネジ34を螺合し、こ
の送りネジ34を図３に示した角度調整機構35の駆動モー
タ35a および微調整用ハンドル36により回転することに
より保持部ベース31を移動調整可能としたものである。

【００２６】図５は、前記基準保持部15において材料Ｗ
のフランジ部b1を幅方向に位置決めするとともに厚み方
向に固定する位置決め固定機構を示している。

【００２７】すなわち、保持部ベース41の上面に立設し
たロッド42の下部に、材料Ｗの下側フランジ部b1の側面
に当接してこの材料Ｗを位置決めする位置決めローラ
（ベアリング）43を回転自在に嵌着し、この位置決めロ
ーラ43の外周面を材料当接面43a とする。

【００２８】さらに、この材料Ｗの下側フランジ部b1
は、保持部ベース41と一体かつ面一の材料受部44により
材料荷重を支持するとともに、前記ロッド42に摺動自在
に嵌合した昇降体45の下面に取付けた挟圧部46により上
方から挟圧固定する。

【００２９】この挟圧部46により材料Ｗの下側フランジ
部b1を挟圧固定する駆動部として、前記保持部ベース41
上に立設した前記ロッド42と支持板47とにより流体圧シ
リンダ（油圧シリンダ）48を垂直に取付け、この流体圧
シリンダ48のピストンロッド48a に、前記ロッド42に摺
動自在に嵌合した連結体49を嵌着してピストンロッド48
a と螺合するナット48b により一体に取付け、この連結
体49の下側に前記昇降体45を一体に設ける。

【００３０】そして、流体圧シリンダ48により連結体49
を介して昇降体45を下方へ押動することにより、挟圧部
46を材料Ｗの下側フランジ部b1に押付け、材料受部44と
挟圧部46とにより下側フランジ部b1を挟圧固定する。

【００３１】この図５に示された位置決め固定機構は、
図６に示すように、基準保持部15だけでなく、傾斜設定
保持部16および移動保持部17，18にも同様に設ける。

【００３２】すなわち、各保持部15，16，17，18におい
て、挟圧部46を流体圧シリンダ48により昇降駆動して、
材料Ｗのフランジ部b1，b2を厚み方向に押圧する保持機
構をそれぞれ設ける。

【００３３】さらに、移動保持部17，18には、この厚み
方向の保持機構に加えて、前記位置決めローラ43により
材料Ｗのフランジ部b1，b2を幅方向に押圧する保持機構
をそれぞれ設ける。

【００３４】この移動保持部17，18における幅方向の保
持機構は、図１に示すように支持体13，14の端面に取付
けた流体圧シリンダ（油圧シリンダ）51のピストンロッ
ドに、支持体13および支持体14の上面に押動可能に設け
た保持部幅決め用ラチェット53を直結し、このラチェッ
ト53に対し、支持体13および支持体14に対し摺動自在に
嵌合された移動保持部17，18に軸支された逆Ｌ形のラチ
ェット爪54を係合し、左方への戻りを防止する。このラ
チェット爪54は、図６（Ｃ）に示すように軸55を支点に
上方へ回動することによりラチェット53との係合を解除
できる。

【００３５】次に、この実施形態の作用を説明する。

【００３６】本装置では、材料Ｗのフランジ傾斜角度を
傾斜設定保持部16で設定する角度設定方式と、傾斜切断
された材料Ｗの傾斜端面を材料ストッパ22に当て、これ
を基準に傾斜設定保持部16を移動設定するストッパ基準
方式の２通りの加工方法が可能である。以下は、前記角
度設定方式を説明する。

【００３７】図１（Ａ）に示すように、先ず、角度調整
機構35の駆動モータ35a および微調整用ハンドル36を回
して、支持体14上にある傾斜設定保持部16を送りネジ34
にて移動調整することにより、支持体13上に固定された
基準保持部15の位置決めローラ43に対して、傾斜設定保
持部16の位置決めローラ43をフランジ傾斜角度上に設定
する。

【００３８】材料Ｗのフランジ幅方向の端面を、この基
準保持部15および傾斜設定保持部16の位置決めローラ43
に係合したまま、材料Ｗのフランジ部b1の切削面側の先
端部を材料ストッパ22に当てる。

【００３９】このように、材料Ｗのフランジ部b1の先端
を材料ストッパ22に当てるとともに、フランジ部b1の一
側面を２箇所の位置決めローラ43に当接した状態で、基
準保持部15および傾斜設定保持部16の挟圧部46を流体圧
シリンダ48により押下げて、下側フランジb1の右側をフ
ランジ厚み方向に挟圧保持する。

【００４０】さらに、基準保持部15および傾斜設定保持
部16と対向する２個の移動保持部17，18を、材料幅に合
わせて任意の位置まで手動で移動した後、クランプ時に
流体圧シリンダ51によりラチェット53を右方へ押圧し、
このラチェット53と係合したラチェット爪54を介して移
動保持部17，18をフランジ部b1の幅方向に押圧する。そ
の際、材料Ｗが回転しないように、基準保持部15と傾斜
設定保持部16の位置決めローラ43を結ぶ底辺と対向する
位置にある移動保持部18の方を先に押圧するとよい。

【００４１】２個の移動保持部17，18は、保持部幅決め
用ラチェット53とラチェット爪54との係合により後退を
防止されているので、材料Ｗのフランジ幅方向を確実に
保持できる。

【００４２】この２個の移動保持部17，18によるフラン
ジ幅方向の保持が完了した後、これらの移動保持部17，
18の挟圧部46を流体圧シリンダ48により押下げて、両者
ともに材料Ｗの下側フランジb1の左側をフランジ厚み方
向に挟圧保持する。これにより、全ての材料保持動作を
完了する。

【００４３】このようにして材料Ｗを位置決め固定した
後、材料ストッパ22を下方へ後退させ、切削ヘッド21を
支持体13に沿って移動して、その複数のカッター21a ，
21b，21c により開先加工を行う。最初は、材料Ｗの下
側フランジ部b1の端部に面取り部ｄを開先加工するとと
もに、ウエブ部ａと下側フランジ部b1との接合部に切欠
き部ｃを開先加工する。

【００４４】さらに、上側フランジ部b2の端部に面取り
部ｄを、ウエブ部ａと上側フランジ部b2との接合部に切
欠き部ｃを開先加工するときは、図１（Ｂ）に示すよう
に、材料Ｗを上下反転するとともに、前記の場合と同様
に基準保持部15および傾斜設定保持部16による位置決め
固定を行った後、さらに移動保持部17，18による位置決
め固定を行い、材料ストッパ22を下方へ後退させて、切
削ヘッド21のカッター21a ，21b ，21c により開先加工
を行う。

【００４５】図７（Ａ）に示すように、材料Ｗの切断端
面が長手方向に対し直角の場合は、材料ストッパ22に対
し基準保持部15および傾斜設定保持部16を直角に配置す
るとともに、移動保持部17，18を直角に配置すればよ
い。

【００４６】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、基準保持
部に対し移動調整された傾斜設定保持部により材料を任
意の傾斜角度に設定し、これらの保持部と複数の移動保
持部とにより材料を保持するようにしたので、従来のよ
うに傾斜角度に合わせた固定保持面を有する複数の保持
具を用意して付替える必要がなく、前記各保持部により
任意の傾斜角度を容易に設定でき、傾斜材料の開先加工
について効率良く作業できるとともに、その設定された
傾斜角度で安定した保持力を確保でき、高精度の開先加
工が可能である。

【００４７】請求項２記載の発明によれば、基準保持
部、傾斜設定保持部および複数の移動保持部は、材料の
側面に当接して材料を位置決めする位置決めローラと、
位置決めされた材料を上方から挟圧固定する挟圧部と、
この挟圧部を上下動する駆動部とをそれぞれ備えている
から、材料の傾斜角度が小さくても大きくなっても複数
の位置決めローラにより材料を確実に位置決めできると
ともに、挟圧部により材料を確実に固定保持でき、常に
安定した加工精度を得ることができる。また、各保持部
において共通の位置決めローラ、挟圧部および駆動部に
より各保持部を容易に製作できる利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本発明に係る開先加工装置の一実施形
態を示す加工前半の平面図、（Ｂ）はその加工後半の平
面図である。

【図２】同上開先加工装置の正面図である。

【図３】同上開先加工装置の側面図である。

【図４】同上開先加工装置の傾斜設定保持部の移動調整
機構を示す断面図である。

【図５】（Ａ）は同上開先加工装置における材料幅方向
の位置決め手段および厚み方向の保持手段を示す垂直断
面図、（Ｂ）はその水平断面図ある。

【図６】（Ａ）は同上開先加工装置における基準保持
部、（Ｂ）は傾斜設定保持部、（Ｃ）は移動保持部を示
す平面図である。

【図７】（Ａ）は材料の端面が長尺方向に対し直角であ
る場合の加工例を示す斜視図、（Ｂ）は材料の端面が長
尺方向に対し傾斜している場合の加工例を示す斜視図で
ある。

【符号の説明】

Ｗ 材料（Ｈ形鋼） 15 基準保持部 16 傾斜設定保持部 17，18 移動保持部 43 位置決めローラ 46 挟圧部 48 駆動部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 材料の端部に開先加工を行う開先加工装
   置において、 材料の一側であって開先加工が行われる端部側に配置さ
   れて材料を位置決め保持する際の基準となる基準保持部
   と、 この基準保持部に対し材料の同側で移動可能に設けられ
   基準保持部との関係で材料の傾斜角度を設定して材料の
   一側を位置決め保持する傾斜設定保持部と、 前記基準保持部および前記傾斜設定保持部に対し材料の
   反対側でそれぞれ移動可能に設けられ材料の他側を位置
   決め保持する複数の移動保持部とを具備したことを特徴
   とする開先加工装置。
2. 【請求項２】 基準保持部、傾斜設定保持部および複数
   の移動保持部は、材料の側面に当接して材料を位置決め
   する位置決めローラと、位置決めされた材料を上方から
   挟圧固定する挟圧部と、この挟圧部を上下動する駆動部
   とをそれぞれ備えていることを特徴とする請求項１記載
   の開先加工装置。