JPH09133800A - 電子線照射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】照射窓に設けた窓箔の冷却効率を高めることを
目的とする。 【解決手段】照射窓の窓箔を走査管のウィンドウとのよ
ってはさむ箔押さえフランジの内部に、前記ガス供給配
管からの冷却ガスを停滞させる吹き溜まりの空間を設け
る。さらに前記箔押さえフランジの内側上端に前記吹き
溜まりの空間に連通した段部を設ける。前記段部と前記
真空チャンバーに取り付けられているウィンドウの内側
下端部とで、前記窓箔に平行なスリットを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子線照射装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように真空チャンバー内部にカソ
ードを設け、これより放射される電子線を照射窓から外
部に向けて照射するようにしたものは、既によく知られ
ている。この照射窓は、金属製の窓箔によって閉塞され
ている。そしてこの窓箔には冷却ガスを吹き付けること
により冷却するようになっている。

【０００３】前記冷却ガスを供給する冷却ガス供給配管
は、照射窓の両側のそれぞれに設け、窓箔の両側から冷
却ガスを吹き付け、窓箔を冷却する構成が取られてい
る。しかし、このような構成にすると２本の冷却ガス供
給配管を必要とするため、構成が複雑になる。これを回
避するためには、冷却ガス供給配管を箔押さえフランジ
の片側のみに設置することが望ましい。

【０００４】図４はその従来構成を示し、１は真空チャ
ンバー、４は真空チャンバー１の下部に設けられたウィ
ンドウ、３はウィンドウ４の下部の開口面を閉塞する窓
箔、５はウィンドウ４とによって窓箔３を挟み込んで支
持する箔押さえフランジ、６はウィンドウ４と窓箔３の
間をシールする金属シールである。ウィンドウ４、窓箔
３、箔押さえフランジ５などにより照射窓２が構成され
る。１５は前記真空チャンバー１内を真空にした時、前
記窓箔３が真空チャンバー１内に膨らむのを防ぐための
ウィンドウ桟である。電子線通過にともなって生ずる窓
箔３の発熱に対しては、照射窓２の一方の外側に設置さ
れた、冷却ガス供給配管７からの冷却ガス９を、先端が
窓箔３の方向に向かっているノズル８により窓箔３に斜
めに吹き付けることにより冷却する。

【０００５】しかしこのように窓箔３の片側から窓箔３
に向かって斜め上方に冷却ガス９を吹き付けるとその冷
却ガス９は箔面で反射、散乱し、箔面上での冷却ガス９
の流れが悪くなり、吹き付け側とは反対側の窓箔３の端
部にまで冷却ガス９が到達しにくくなり、冷却効率が悪
くなる。この冷却効率の悪さを補うとすれば、大量の冷
却ガス９を流し、前記窓箔３の反対側の端部まで届かせ
る必要があった。また、冷却ガス供給配管７内の冷却ガ
ス９は、図示しない冷却ガス用のタンク内に高気圧で封
入されてあり、前記ガス供給配管７は前記タンクに図示
しない接続配管で接続されてある。前記冷却ガス９は大
気圧との圧力差でガス供給配管７に流れるため冷却ガス
９の圧力は、流れる方向に向かって低くなる。そのた
め、この圧力低下に伴う冷却ガス９の吹き付け量はガス
供給配管７の長さ方向に沿って減少する。そのため冷却
ガス供給配管７の長さ方向に沿う窓箔３の両端部におい
て冷却効率は一定でないという問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、照射窓の窓
箔を冷却ガスの吹き付けによって冷却するにあたり、冷
却ガスの吹き付け方向の反射、散乱をなくすことによっ
て、窓箔に沿って均一に冷却ガスを流し、かつ、吹き溜
まりの空間を設けることによって冷却ガス供給配管の長
さ方向に沿う冷却ガスの吹き付け量の均一化を図ること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記真空チャ
ンバーの下部に設けられたウィンドウと、前記ウィンド
ウの下部の開口面を閉塞する窓箔と、前記窓箔を前記ウ
ィンドウとによってはさむ箔押さえフランジとによっ
て、前記真空チャンバーからの電子線の取り出し部であ
る照射窓を構成し、前記照射窓の一方の側縁に前記窓箔
を冷却するガスが供給される冷却ガス供給配管を設けて
なる電子線照射装置において、前記箔押さえフランジの
フレームの内部に前記ガス供給配管から供給される前記
ガスを停滞させるための、吹き溜まり空間を設けるとと
もに、前記箔押さえフランジの内側上端部に、前記ウィ
ンドウの内側下端部との間で、前記窓箔と平行するスリ
ットを形成する段部を設け、前記スリットより前記吹き
溜まり空間から供給されるガスを前記窓箔に平行に吹き
付けてなることを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１、図２
によって説明する。なお図４と同じ符号を付した部分は
同一または対応する部分を示す。本発明にしたがい、箔
押さえフランジ５の長手の一方のフレーム１０の内部に
その外面から内部に向かって、ガス供給配管７からの冷
却ガスが流通するための孔１１を、前記フレーム１０の
長さ方向に沿って複数一列に設ける。そして前記複数の
孔１１に連通して、ガス供給配管７の長さ方向であるｙ
方向（これは電子線の直行方向である）の冷却ガスの吹
き付け量の均一化を図るための吹き溜まりの空間１２
を、箔押さえフランジ５の内部に設ける。前記箔押さえ
フランジ５のフレーム１０の内側上端に設けた段部１６
は窓箔３の下面に面し、かつ前記ウィンドウ４の内側下
端部との間に、平行に前記空間１２に連通してスリット
１３を構成する。その間隔ｄは約１ｍｍ以下が望まし
い。

【０００９】以上の構成において、冷却ガス供給配管７
から供給された冷却ガス９は、孔１１を通り空間１２に
供給される。ここで空間１２においてスリット１３の幅
が狭いため、前記スリット１３から放出される冷却ガス
９の流速よりも、前記孔１１を通過して前記ガス供給配
管７より供給される冷却ガス９の流速が遅くなる。その
ため空間１２内で冷却ガス９が停滞することになる。こ
の停滞した冷却ガス９は空間１２内で、ｙ方向に広が
り、ｙ方向の冷却ガス９の吹き付け量が均一となる。そ
のため窓箔３のｙ方向について、効率良く窓箔３を冷却
することができる次に冷却ガス９は、スリット１３を通
過して窓箔３に沿って平行に吹き出される。この吹き出
された冷却ガスは箔面に沿いながら前記スリット１３の
側の窓箔の端部から反対側の端部へ流れる。このため窓
箔３の前記ｙ方向と直行する方向であるｘ方向（これは
照射窓３の幅方向でもある。）については、従来のよう
に冷却ガス９の窓箔３における反射、散乱がおきないた
め窓箔３の両端部間に渡って円滑に流れるようになり、
効率良く窓箔３を冷却することができ、。

【００１０】なおウィンドウ桟１５が窓箔押さえとして
ウィンドウ４の内部に設けられているので、前記ウィン
ドウ桟１５の下部に接している窓箔には電子線は当たら
ない。そのため、このウィンドウ桟１５が接している部
分の窓箔の加熱は少なくなるので、窓箔の冷却は電子線
が当たる所だけでよい。このため図３に示すように段部
１６の表面にウィンドウ桟のピッチに合わせて突出部１
７を形成し、この突出部１７に向かいあう位置にウィン
ドウ桟の下面が乗るようにし、電子線が当たる窓箔のみ
の部分に冷却ガスを流してもよいのはもちろんである。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、冷
却ガス供給配管から供給されるガスを停滞させる吹き溜
まりの空間を箔押さえフランジの内部に設けたので、効
率よく冷却ガス供給配管の長さ方向に沿う窓箔の冷却が
行える。さらに、前記箔押さえフランジの内側上端に段
部を設けることで窓箔に平行になるように開口するスリ
ットを、前記窓箔に面して構成したので、箔面での冷却
ガスの反射、散乱を低減することができ、これにより窓
箔の冷却の効率化を図ることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態の構成図

【図２】本発明の箔押さえフランジの詳細図

【図３】本発明の箔押さえフランジの段部を矩形型に加
工した詳細図

【図４】従来例の構成図

【符号の説明】

１ 真空チャンバー ２ 照射窓 ３ 窓箔 ４ ウィンドウ ５ 箔押さえフランジ ７ 冷却ガス供給配管 ９ 冷却ガス １０ フレーム １２ 吹き溜まりの空間 １３ スリット １６ 段部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ウィンドウの下部の開口面を閉塞する窓箔
   と前記ウィンドウと、前記窓箔を前記ウィンドウとによ
   ってはさむ箔押さえフランジとによって、前記真空チャ
   ンバーからの電子線の取り出し部である照射窓を構成
   し、前記照射窓の一方の側縁に前記窓箔を冷却するガス
   が供給される冷却ガス供給配管を設けてなる電子線照射
   装置において、前記箔押さえフランジのフレームの内部
   に前記冷却ガス供給配管から供給される前記冷却ガスを
   停滞させるための、吹き溜まりの空間を設けるととも
   に、前記箔押さえフランジの内側上端部に、前記ウィン
   ドウの内側下端部との間で、前記窓箔と平行するスリッ
   トを形成する段部を設け、前記スリットより前記吹き溜
   まり空間から供給される冷却ガスを前記窓箔に平行に吹
   き付けてなる電子線照射装置。