JPH09122979A - 高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤInfo
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- JPH09122979A JPH09122979A JP30637695A JP30637695A JPH09122979A JP H09122979 A JPH09122979 A JP H09122979A JP 30637695 A JP30637695 A JP 30637695A JP 30637695 A JP30637695 A JP 30637695A JP H09122979 A JPH09122979 A JP H09122979A
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- carbide
- flux
- chromium iron
- arc welding
- cored wire
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐摩耗性が良好でかつ剥離脱落し難い肉盛溶
着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラ
ックス入りワイヤの提供。 【解決手段】 Ti炭化物、Cr炭化物、Si炭化物、
Zr炭化物のいずれか1種以上をワイヤ中に含有させる
ことでCr炭化物の核を生成させ、結晶の成長が同方向
に一直線になることを防ぎ、異方向に成長することで素
地に溶接歪が集中する事を防いだことを特徴とする高ク
ロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ。
着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラ
ックス入りワイヤの提供。 【解決手段】 Ti炭化物、Cr炭化物、Si炭化物、
Zr炭化物のいずれか1種以上をワイヤ中に含有させる
ことでCr炭化物の核を生成させ、結晶の成長が同方向
に一直線になることを防ぎ、異方向に成長することで素
地に溶接歪が集中する事を防いだことを特徴とする高ク
ロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大きな衝撃荷重が
かかる石炭粉砕用クラッシャーなどの肉盛に使用される
高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ
に関し、特に、耐摩耗性が良好で、かつ剥離脱落し難い
肉盛溶着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接
用フラックス入りワイヤに関するものである。
かかる石炭粉砕用クラッシャーなどの肉盛に使用される
高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ
に関し、特に、耐摩耗性が良好で、かつ剥離脱落し難い
肉盛溶着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接
用フラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラッ
クス入りワイヤで肉盛溶接すると高クロム鉄系溶着金属
が得られる。高クロム鉄系溶着金属は、そのものの硬さ
がビッカース硬さでHv1600〜1800程度あるC
r炭化物を生成させることで組織全体の平均硬さを硬く
するのが基本的な考え方であり、このCr炭化物を多く
発生させればさせるほど組織全体の平均硬さは硬くな
る。
クス入りワイヤで肉盛溶接すると高クロム鉄系溶着金属
が得られる。高クロム鉄系溶着金属は、そのものの硬さ
がビッカース硬さでHv1600〜1800程度あるC
r炭化物を生成させることで組織全体の平均硬さを硬く
するのが基本的な考え方であり、このCr炭化物を多く
発生させればさせるほど組織全体の平均硬さは硬くな
る。
【0003】図1に高クロム鉄系溶着金属組織を示す
が、Cr炭化物1は、炭化物の中でも生成自由エネルギ
ーが非常に低いため、溶着金属の溶融から凝固に至る初
期の段階から発生するが、冷却速度の速い母材側から成
長し始め、ビード表面に向かって一直線に柱状に成長す
る。
が、Cr炭化物1は、炭化物の中でも生成自由エネルギ
ーが非常に低いため、溶着金属の溶融から凝固に至る初
期の段階から発生するが、冷却速度の速い母材側から成
長し始め、ビード表面に向かって一直線に柱状に成長す
る。
【0004】凝固時の収縮応力により、延性の乏しいC
r炭化物1に沿って割れ3が発生するが、Cr炭化物1
が直線状で有る場合、割れ3はより発生しやすくかつ直
線状になる。
r炭化物1に沿って割れ3が発生するが、Cr炭化物1
が直線状で有る場合、割れ3はより発生しやすくかつ直
線状になる。
【0005】また素地2の面からみると、Cr炭化物1
を多く生成させるためにC添加量を増やして行くと、素
地2のC量も高くなるため、素地2は硬く脆い組織にな
り割れやすくなる。(図中に割れ3を示す。) この高クロム鉄系溶着金属は、大きな衝撃荷重がかかる
石炭粉砕用クラッシャーなどの肉盛に使用されるが、前
述の素地が割れやすいことと、一直線に成長したCr炭
化物1に沿って割れ3が発生することの2つの理由によ
り、大きな衝撃荷重がかかると割れが伝搬/拡大しやす
くなるため、肉盛した溶着金属が欠け落ちるように剥離
し、溶着金属の寿命を著しく短くしていた。
を多く生成させるためにC添加量を増やして行くと、素
地2のC量も高くなるため、素地2は硬く脆い組織にな
り割れやすくなる。(図中に割れ3を示す。) この高クロム鉄系溶着金属は、大きな衝撃荷重がかかる
石炭粉砕用クラッシャーなどの肉盛に使用されるが、前
述の素地が割れやすいことと、一直線に成長したCr炭
化物1に沿って割れ3が発生することの2つの理由によ
り、大きな衝撃荷重がかかると割れが伝搬/拡大しやす
くなるため、肉盛した溶着金属が欠け落ちるように剥離
し、溶着金属の寿命を著しく短くしていた。
【0006】特開昭64−83397において、Al+
Tiの添加により、この様な剥離を防ぐ事が記載されて
いるが、実際には実用上十分な効果を得るまでには到っ
ていない。
Tiの添加により、この様な剥離を防ぐ事が記載されて
いるが、実際には実用上十分な効果を得るまでには到っ
ていない。
【0007】溶着金属の剥離を防ぐためには、割れの低
減が有効であるが、割れ低減対策として、予熱パス間温
度を高く保持すること、入熱を低く抑えること、積層数
を限定することなどの施工上の方策及びCの添加量を下
げ溶着金属の硬さを低めに抑えるなどの成分設計上の方
策がとられているが、剥離による摩耗寿命の劣化を防止
できるに至っていないのが現状である。
減が有効であるが、割れ低減対策として、予熱パス間温
度を高く保持すること、入熱を低く抑えること、積層数
を限定することなどの施工上の方策及びCの添加量を下
げ溶着金属の硬さを低めに抑えるなどの成分設計上の方
策がとられているが、剥離による摩耗寿命の劣化を防止
できるに至っていないのが現状である。
【0008】以上の割れ対策の他に、組織制御の観点か
ら、Crの他にV、Nb、Moなどを添加してそれぞれ
の微細な炭化物を発生させることで、Cr炭化物の成長
を妨げCr炭化物を微細化させ、溶接歪を分散させよう
という試みがある。しかしながら、これら金属では、C
r炭化物より生成自由エネルギーが高いためCr炭化物
より生成が遅れてしまい、効果を発揮させるには添加量
を多くしなければならず、添加量を多くしたために素地
に影響を与えてしまうという欠点があり、あまり効果的
とは言えず割れを減少させるには到っていない。
ら、Crの他にV、Nb、Moなどを添加してそれぞれ
の微細な炭化物を発生させることで、Cr炭化物の成長
を妨げCr炭化物を微細化させ、溶接歪を分散させよう
という試みがある。しかしながら、これら金属では、C
r炭化物より生成自由エネルギーが高いためCr炭化物
より生成が遅れてしまい、効果を発揮させるには添加量
を多くしなければならず、添加量を多くしたために素地
に影響を与えてしまうという欠点があり、あまり効果的
とは言えず割れを減少させるには到っていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような実状に鑑
みて本発明は、耐摩耗性が良好で、かつ剥離脱落し難い
肉盛溶着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接
用フラックス入りワイヤを提供することにある。
みて本発明は、耐摩耗性が良好で、かつ剥離脱落し難い
肉盛溶着金属が得られる高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接
用フラックス入りワイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、高クロム鉄系
硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤに炭化物を添
加することでCr炭化物の核にすることにあり、詳しく
は重量%で金属ケース及び充填フラックス中の成分元素
の合計がワイヤ全体に対し C :2.0〜7.0% Si:0.1〜1.5% Mn:0.2〜3.0% Cr:15〜29% を含有し、 Ti:0.5〜2.0% 更に炭化物を Cr炭化物:0.5〜3.0% Ti炭化物:1.0〜3.0% Si炭化物:1.5〜3.0% Zr炭化物:1.5〜3.0% のうち一種以上を含有し、かつその合計量が3.0%以
下であり、そして Mo:0.1〜2.8% V :0.1〜3.3% Nb:0.1〜1.0% のうち1種以上を含有することを特徴とする高クロム鉄
系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤであること
を要旨とするものである。
硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤに炭化物を添
加することでCr炭化物の核にすることにあり、詳しく
は重量%で金属ケース及び充填フラックス中の成分元素
の合計がワイヤ全体に対し C :2.0〜7.0% Si:0.1〜1.5% Mn:0.2〜3.0% Cr:15〜29% を含有し、 Ti:0.5〜2.0% 更に炭化物を Cr炭化物:0.5〜3.0% Ti炭化物:1.0〜3.0% Si炭化物:1.5〜3.0% Zr炭化物:1.5〜3.0% のうち一種以上を含有し、かつその合計量が3.0%以
下であり、そして Mo:0.1〜2.8% V :0.1〜3.3% Nb:0.1〜1.0% のうち1種以上を含有することを特徴とする高クロム鉄
系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤであること
を要旨とするものである。
【0011】以下に本発明高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶
接用フラックス入りワイヤについて、その作用を詳細に
説明する。
接用フラックス入りワイヤについて、その作用を詳細に
説明する。
【0012】高クロム鉄系の肉盛溶接において、溶接プ
ール内で最も早く生成されるのは、Cr炭化物である。
これは、炭化物の中でも標準生成自由エネルギーが低
い、即ち、小さいエネルギーで生成されるため他の炭化
物よりも早く生成、成長する。Cr炭化物はほぼ六角柱
の形をしており、溶接プール内ではプールの底にある結
晶粒界などを起点として順次冷却される方向に柱状に成
長する。
ール内で最も早く生成されるのは、Cr炭化物である。
これは、炭化物の中でも標準生成自由エネルギーが低
い、即ち、小さいエネルギーで生成されるため他の炭化
物よりも早く生成、成長する。Cr炭化物はほぼ六角柱
の形をしており、溶接プール内ではプールの底にある結
晶粒界などを起点として順次冷却される方向に柱状に成
長する。
【0013】素地はこの成分系の高いC量によって、硬
く脆い組織になっており、溶接歪によって割れが発生す
る。
く脆い組織になっており、溶接歪によって割れが発生す
る。
【0014】本発明においてはCr炭化物、Ti炭化
物、Si炭化物、Zr炭化物などを予めワイヤ中に添加
することで、Cr炭化物を生成させるための核にした。
物、Si炭化物、Zr炭化物などを予めワイヤ中に添加
することで、Cr炭化物を生成させるための核にした。
【0015】炭化物を核として機能させる為には、最終
的に生成させるCr炭化物よりも早く、核にする為の炭
化物を生成させなければならない。
的に生成させるCr炭化物よりも早く、核にする為の炭
化物を生成させなければならない。
【0016】しかし、溶融プール内の様に酸素分圧が高
い場合、酸化が優先的に行われる為炭化物を生成し難
い。したがってCr炭化物よりも早く、核にする為の炭
化物を生成させるのは難しい。そこではじめから炭化物
の形でワイヤに添加しておけば、高温域で分解しなかっ
た炭化物を核として利用できる。
い場合、酸化が優先的に行われる為炭化物を生成し難
い。したがってCr炭化物よりも早く、核にする為の炭
化物を生成させるのは難しい。そこではじめから炭化物
の形でワイヤに添加しておけば、高温域で分解しなかっ
た炭化物を核として利用できる。
【0017】なお、本発明において炭化物は、2000
℃付近の高温域で分解しにくいものを選択した。
℃付近の高温域で分解しにくいものを選択した。
【0018】高温域で分解しなかった炭化物は、プール
内の至るところで存在しているため、これを核にしてC
r炭化物を発生させることでランダムな方向に微細なC
r炭化物を生成する事ができ、様々な方向に成長したC
r炭化物により組織を微細化し、素地の特定箇所に集中
していた凝固時の収縮応力による割れを細かく分散させ
る。また溶接後、溶着金属に大きい衝撃荷重がかかって
も割れが細かく分散しているため、衝撃荷重が特定箇所
の割れに集中せず吸収され、溶着金属の剥離を防ぐ。
内の至るところで存在しているため、これを核にしてC
r炭化物を発生させることでランダムな方向に微細なC
r炭化物を生成する事ができ、様々な方向に成長したC
r炭化物により組織を微細化し、素地の特定箇所に集中
していた凝固時の収縮応力による割れを細かく分散させ
る。また溶接後、溶着金属に大きい衝撃荷重がかかって
も割れが細かく分散しているため、衝撃荷重が特定箇所
の割れに集中せず吸収され、溶着金属の剥離を防ぐ。
【0019】図2に本発明により得られる高クロム鉄系
溶着金属組織を示すが、Cr炭化物4の生成は冷却方向
の成長が支配的であるが、Cr炭化物、Ti炭化物、S
i炭化物、Zr炭化物などを核として細かいCr炭化物
5を生成し、組織を微細化する。
溶着金属組織を示すが、Cr炭化物4の生成は冷却方向
の成長が支配的であるが、Cr炭化物、Ti炭化物、S
i炭化物、Zr炭化物などを核として細かいCr炭化物
5を生成し、組織を微細化する。
【0020】以下に本発明ワイヤの各成分の作用を示
す。
す。
【0021】C:Cは本発明ワイヤの主要元素であり、
Crなどの炭化物形成元素と結合して、硬さの高い炭化
物を析出し、耐摩耗性の向上に寄与するが、2.0%未
満の含有量では、炭化物の析出量が少なく、十分な耐摩
耗性を有することが出来ず、また、7.0%超では炭化
物の析出量が過多となり、Tiを添加して炭化物の成長
方向を異方性にしても割れの発生が実用上差し支えない
範囲を超え、脆化した肉盛層の剥離が生じやすくなるの
で、2.0〜7.0%の範囲とする。
Crなどの炭化物形成元素と結合して、硬さの高い炭化
物を析出し、耐摩耗性の向上に寄与するが、2.0%未
満の含有量では、炭化物の析出量が少なく、十分な耐摩
耗性を有することが出来ず、また、7.0%超では炭化
物の析出量が過多となり、Tiを添加して炭化物の成長
方向を異方性にしても割れの発生が実用上差し支えない
範囲を超え、脆化した肉盛層の剥離が生じやすくなるの
で、2.0〜7.0%の範囲とする。
【0022】Si:Siは通常の潜弧溶接では脱酸のた
め0.1%以上必要になるが、1.5%超になると溶接
金属の靭性の低下をきたしやすい傾向があるから0.1
〜1.5%の範囲とする。
め0.1%以上必要になるが、1.5%超になると溶接
金属の靭性の低下をきたしやすい傾向があるから0.1
〜1.5%の範囲とする。
【0023】Mn:Mnについても通常の鋼に含有して
いる0.2%程度以上を、合金及び脱酸の為に必要とす
るが、3.0%超の添加によっても、溶接金属の靭性、
硬さなどに顕著な改善がみられないので0.2〜3.0
%の範囲とする。
いる0.2%程度以上を、合金及び脱酸の為に必要とす
るが、3.0%超の添加によっても、溶接金属の靭性、
硬さなどに顕著な改善がみられないので0.2〜3.0
%の範囲とする。
【0024】Cr:CrはCと結合し、硬さの高いCr
炭化物を析出し、耐摩耗性を増加させると共に、耐食
性、耐熱性を付与する元素であるが、その含有量が15
%未満では、析出する炭化物が少なく十分な特性を発揮
することができず、また29%超では析出する炭化物量
が過多となり脆化するので、15〜29%の範囲とす
る。
炭化物を析出し、耐摩耗性を増加させると共に、耐食
性、耐熱性を付与する元素であるが、その含有量が15
%未満では、析出する炭化物が少なく十分な特性を発揮
することができず、また29%超では析出する炭化物量
が過多となり脆化するので、15〜29%の範囲とす
る。
【0025】Ti:Tiは炭素と最も早く結合する元素
の一つでそのためTi炭化物を生成する事で、Cr炭化
物の核になる元素である。この方法はTi炭化物の核を
生成するプロセスが多い分だけ、本発明の予め炭化物を
ワイヤ中に含有させておく方法よりも効率が悪いが、効
果はある。その含有量が0.5%未満では、組織を変え
るだけの核を生成できず、また2.0%超では、溶接の
ア−ク安定性、スラブの剥離性が悪化するため、0.8
〜2.0%の範囲とする。
の一つでそのためTi炭化物を生成する事で、Cr炭化
物の核になる元素である。この方法はTi炭化物の核を
生成するプロセスが多い分だけ、本発明の予め炭化物を
ワイヤ中に含有させておく方法よりも効率が悪いが、効
果はある。その含有量が0.5%未満では、組織を変え
るだけの核を生成できず、また2.0%超では、溶接の
ア−ク安定性、スラブの剥離性が悪化するため、0.8
〜2.0%の範囲とする。
【0026】Cr炭化物、Ti炭化物、Si炭化物、Z
r炭化物:これら炭化物は本発明において重要な成分で
あり、これら炭化物はワイヤが溶融した後、溶融プール
中に移行するが、ワイヤ溶融時の熱により分解しなかっ
た炭化物が溶融プール中に分散している為、Cr炭化物
生成の核になり結果的に溶着金属組織を微細化させる。
これら炭化物は約2000℃の高温域においてCr炭化
物、Ti炭化物、Si炭化物、Zr炭化物の順で安定で
あり分解しずらく、したがって不安定なものほど添加量
を増やす必要がある。その含有量の下限はCr炭化物
0.5%、Ti炭化物1.0%、Si炭化物1.5%、
Zr炭化物1.5%であり、下限未満では組織を変える
には至らない。また上限は、これら炭化物の単独添加ま
たは複合添加いずれの場合も、3.0%超では溶接のア
ーク安定性、スラブの剥離性が悪化するため、3.0%
とする。
r炭化物:これら炭化物は本発明において重要な成分で
あり、これら炭化物はワイヤが溶融した後、溶融プール
中に移行するが、ワイヤ溶融時の熱により分解しなかっ
た炭化物が溶融プール中に分散している為、Cr炭化物
生成の核になり結果的に溶着金属組織を微細化させる。
これら炭化物は約2000℃の高温域においてCr炭化
物、Ti炭化物、Si炭化物、Zr炭化物の順で安定で
あり分解しずらく、したがって不安定なものほど添加量
を増やす必要がある。その含有量の下限はCr炭化物
0.5%、Ti炭化物1.0%、Si炭化物1.5%、
Zr炭化物1.5%であり、下限未満では組織を変える
には至らない。また上限は、これら炭化物の単独添加ま
たは複合添加いずれの場合も、3.0%超では溶接のア
ーク安定性、スラブの剥離性が悪化するため、3.0%
とする。
【0027】Mo:Moは溶着金属全体の硬さ上昇に寄
与し、温度上昇による軟化抵抗が大であるので、特に使
用環境が高温になる場合には有効であるが、2.8%超
添加では割れ発生が激しくなり実用上問題となるので
0.1〜2.8%の範囲とする。
与し、温度上昇による軟化抵抗が大であるので、特に使
用環境が高温になる場合には有効であるが、2.8%超
添加では割れ発生が激しくなり実用上問題となるので
0.1〜2.8%の範囲とする。
【0028】V:Vは焼入性を増加する元素であり、そ
の添加により溶着金属の硬さが上昇するが、多量に添加
すると割れ発生程度が激しくなり、実用上問題となるの
で0.1〜3.3%の範囲とする。
の添加により溶着金属の硬さが上昇するが、多量に添加
すると割れ発生程度が激しくなり、実用上問題となるの
で0.1〜3.3%の範囲とする。
【0029】Nb:NbはCと結合し、Nb炭化物を生
成し、硬さを増加するのに有効な元素であり、また耐割
れ性も改善できる元素であるが多量に含有させてもその
効果は大きくならず飽和してしまうので、0.1〜1.
0%の範囲とする。
成し、硬さを増加するのに有効な元素であり、また耐割
れ性も改善できる元素であるが多量に含有させてもその
効果は大きくならず飽和してしまうので、0.1〜1.
0%の範囲とする。
【0030】
【実施例】本発明によるワイヤと比較の為に用意したワ
イヤを実際に肉盛溶接を行い、比較した。
イヤを実際に肉盛溶接を行い、比較した。
【0031】この時の溶接条件を表1に示し、フラック
スはメルト形の高塩基性を使用した。
スはメルト形の高塩基性を使用した。
【0032】なお、母材はSM490B(板厚50mm
×幅200mm×長さ300mm)を使用した。
×幅200mm×長さ300mm)を使用した。
【0033】また、硬化肉盛用ワイヤを母材であるSM
490Bに直接肉盛溶接すると、母材によりワイヤ成分
が希釈され、割れやすい成分系になってしまうので、3
09ステンレス鋼ワイヤを用いて潜弧溶接法による下盛
りを2層(約7mm)行い、初期の割れを防いだ。
490Bに直接肉盛溶接すると、母材によりワイヤ成分
が希釈され、割れやすい成分系になってしまうので、3
09ステンレス鋼ワイヤを用いて潜弧溶接法による下盛
りを2層(約7mm)行い、初期の割れを防いだ。
【0034】
【表1】 本発明例と比較例のワイヤ成分及び評価結果を表2に示
す。
す。
【0035】炭化物としては、Ti炭化物としてTiC
を、Cr炭化物としてCr3C2を、Si炭化物としてS
iCを、Zr炭化物としてZrCを添加した。
を、Cr炭化物としてCr3C2を、Si炭化物としてS
iCを、Zr炭化物としてZrCを添加した。
【0036】評価の指標として、ビッカース硬さ、落重
試験による剥離量、摩耗試験による摩耗量を示し、また
割れの状況とア−ク安定性を良否を○×で示した。
試験による剥離量、摩耗試験による摩耗量を示し、また
割れの状況とア−ク安定性を良否を○×で示した。
【0037】落重試験は、落下体を各試験片に15回ず
つ落とし、溶着金属に衝撃を与えることで強制的に剥離
させ、剥離重量を測定した。尚、落下体重量は4Kg、
落下高さは1mとした。
つ落とし、溶着金属に衝撃を与えることで強制的に剥離
させ、剥離重量を測定した。尚、落下体重量は4Kg、
落下高さは1mとした。
【0038】また、摩耗試験は土砂摩耗を想定し、硅砂
を研磨剤に使用したラバーホイル試験法で行い、摩耗重
量を測定した。尚、この試験法はASTM/Desig
nation:G65−91に規定されている。
を研磨剤に使用したラバーホイル試験法で行い、摩耗重
量を測定した。尚、この試験法はASTM/Desig
nation:G65−91に規定されている。
【0039】落重試験と摩耗試験の試験片の形状を図3
に示し、その大きさは20T×20W×55Lmmのサ
イズの物を使用した。なお、図中母材6、肉盛溶着金属
7、試験面8を示した。
に示し、その大きさは20T×20W×55Lmmのサ
イズの物を使用した。なお、図中母材6、肉盛溶着金属
7、試験面8を示した。
【0040】本発明例A1・A3・A5・A7は、標準
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを下限量添加したものである。
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを下限量添加したものである。
【0041】いずれも剥離量は非常に少ない。
【0042】本発明例A2・A4・A6・A8は、標準
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを上限量添加したものである。
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを上限量添加したものである。
【0043】剥離量は下限量添加した場合より更に減少
した。
した。
【0044】本発明例A9は、標準的な成分系にTi
C、Cr3C2、SiCを合計3.0%複合添加した例で
ある。剥離量は非常に少ない。
C、Cr3C2、SiCを合計3.0%複合添加した例で
ある。剥離量は非常に少ない。
【0045】本発明例A10・A11・A12は、標準
的な成分系にTiCを2.5%添加し、それぞれMo、
V、Nbを添加し硬さを向上させたものである。硬さが
向上しているにも関わらず、剥離量は非常に少ない。
的な成分系にTiCを2.5%添加し、それぞれMo、
V、Nbを添加し硬さを向上させたものである。硬さが
向上しているにも関わらず、剥離量は非常に少ない。
【0046】比較例B2・B4・B6・B8は、標準的
な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、ZrC
を下限未満の量添加したものである。
な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、ZrC
を下限未満の量添加したものである。
【0047】いずれも剥離量が増加した。
【0048】本発明例B3・B5・B7・B9は、標準
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを上限を超える量添加したものである。
的な成分系にそれぞれTiC、Cr3C2、SiC、Zr
Cを上限を超える量添加したものである。
【0049】いずれも、アーク安定性が悪化した。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明の成分構成によるワイヤで肉盛溶
接する事で、高い耐摩耗性を持ち、かつ割れが少なく剥
離脱落し難い肉盛溶着金属を得る事が出来る。
接する事で、高い耐摩耗性を持ち、かつ割れが少なく剥
離脱落し難い肉盛溶着金属を得る事が出来る。
【図1】高クロム鉄系溶着金属組織を示した図である。
【図2】本発明により得られる高クロム鉄系溶着金属組
織を示した図である。
織を示した図である。
【図3】試験片寸法を示した図である。
1 Cr炭化物 2 素地 3 割れ 4 Cr炭化物 5 細かいCr炭化物 6 母材 7 肉盛溶着金属 8 試験面
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で金属ケース及び充填フラックス
中の成分元素の合計がワイヤ全体に対し C :2.0〜7.0% Si:0.1〜1.5% Mn:0.2〜3.0% Cr:15〜29% を含有し、 Ti:0.5〜2.0% 更に炭化物を Cr炭化物:0.5〜3.0 Ti炭化物:1.0〜3.0 Si炭化物:1.5〜3.0 Zr炭化物:1.5〜3.0 のうち一種以上を含有し、かつその合計量が3.0%以
下であることを特徴とする高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶
接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項2】重量%で金属ケース及び充填フラックス中
の成分元素の合計がワイヤ全体に対し C :2.0〜7.0% Si:0.1〜1.5% Mn:0.2〜3.0% Cr:15〜29% を含有し、 Ti:0.5〜2.0% 更に炭化物を Cr炭化物:0.5〜3.0% Ti炭化物:1.0〜3.0% Si炭化物:1.5〜3.0% Zr炭化物:1.5〜3.0% のうち一種以上を含有し、かつその合計量が3.0%以
下であり、そして Mo:0.1〜2.8% V :0.1〜3.3% Nb:0.1〜1.0% のうち1種以上を含有することを特徴とする高クロム鉄
系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30637695A JPH09122979A (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30637695A JPH09122979A (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09122979A true JPH09122979A (ja) | 1997-05-13 |
Family
ID=17956298
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP30637695A Pending JPH09122979A (ja) | 1995-11-01 | 1995-11-01 | 高クロム鉄系硬化肉盛潜弧溶接用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09122979A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2004337871A (ja) * | 2003-05-13 | 2004-12-02 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 低合金耐熱鋼用低水素系被覆アーク溶接棒 |
| KR100517479B1 (ko) * | 2002-06-03 | 2005-09-28 | 김병두 | 내마모성이 우수한 티타늄계 용접와이어 |
| CN102059476A (zh) * | 2009-11-17 | 2011-05-18 | 株式会社神户制钢所 | 硬化堆焊用mig弧焊焊丝和硬化堆焊用mig弧焊方法 |
| CN114571127A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-03 | 西安理工大学 | 复合碳化物增强刮板堆焊用焊丝及制备方法 |
-
1995
- 1995-11-01 JP JP30637695A patent/JPH09122979A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| CN114571127A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-03 | 西安理工大学 | 复合碳化物增强刮板堆焊用焊丝及制备方法 |
| CN114571127B (zh) * | 2022-03-30 | 2024-02-13 | 西安理工大学 | 复合碳化物增强刮板堆焊用焊丝及制备方法 |
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