JPH0891081A - 自動変速機用操作レバー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レバー本体のシフト操作に対してスライドカ
バーを一体関係で摺動させてシフト表示部でのシフト位
置を正確に表示する。 【構成】 車体側に固定されるレバー支持体１０に対し
てレバー本体３０がシフト操作方向へ回動可能に支持さ
れ、このレバー本体３０は前記レバー支持体１０の側に
配置されたシフト表示部２０の開口２４に沿ってシフト
操作され、このシフト操作に連動して摺動するスライド
カバー４０によって前記シフト表示部２０の開口２４を
常に塞いでいるとともに、このスライドカバー４０の摺
動によって前記シフト表示部２０でシフト位置を表示す
る形式の自動変速機用操作レバー装置において、前記ス
ライドカバー４０が前記レバー本体３０と一体に形成さ
れ、しかもこのスライドカバー４０及び前記シフト表示
部２０がレバー本体３０の前記回動支点を中心とする円
弧形状に設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として車両における
自動変速機用の操作レバー装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図７に従来の自動変速機用操作レバー装
置の一例が断面図で示されている。この図面で示すよう
にレバー本体８０は、その下端部がレバー支持体９０に
対し、支持軸８２によってシフト操作方向へ回動可能に
支持されている。またレバー本体８０のシフト操作位置
を示すためのシフト表示部９２は前記レバー支持体９０
の側に固定されており、このシフト表示部９２の開口に
沿ってレバー本体８０がシフト操作されるようになって
いる。前記シフト表示部９２の開口を塞ぐ目的で軟質樹
脂によって帯状に形成されたスライドカバー９４は、前
記レバー本体９０のシフト操作に連動して前記シフト表
示部９２の意匠的な円弧曲線に倣って摺動するように組
付けられている。またこのスライドカバー９４は、その
スライドによって前記シフト表示部９２でシフト位置を
順次表示する指示部（図示外）を備えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このように軟質樹脂で
形成されているスライドカバー９４を前記レバー本体８
０のシフト操作により、前記シフト表示部９２の曲線に
倣って摺動させるためには、このスライドカバー９４を
シフト表示部９２の開口に沿って形成されたガイド溝や
その他の位置規制部材によって案内する必要がある。ま
たシフト操作時にはスライドカバー９４がレバー本体８
０の軸線方向へも相対的に変位できるように、このスラ
イドカバー９４に開けた穴にレバー本体８０の外周を隙
間をもって挿通させている。これらのことから前記スラ
イドカバー９４は、前記レバー本体８０のシフト操作時
において摺動抵抗を受け、レバー本体８０に対して相対
的に変位する。この結果、レバー本体８０のシフト位置
と、前記シフト表示部９２におけるスライドカバー９４
の前記指示部の位置とにずれが生じてシフト位置の表示
が不正確となる。また前記シフト表示部９２の側にはガ
イド溝やその他の位置規制部材が要求され、しかもスラ
イドカバー９４には軟質でかつ耐磨耗性を有する高価な
樹脂材で成形することが要求され、結果的にコストが高
くなる。

【０００４】本発明が解決しようとする一つの課題は、
レバー本体のシフト操作に対してスライドカバーを一体
関係で摺動させてシフト表示部でのシフト位置を正確に
表示することである。本発明が解決しようとする他の一
つの課題は、スライドカバーの強度を高めることによ
り、シフト表示部の側ではスライドカバーの摺動を案内
するためのガイド溝などを不要とし、スライドカバー自
体は安価な材質の使用を可能としてコストの低減を図る
ことである。本発明が解決しようとするさらに他の一つ
の課題は、スライドカバーに第二ディテント機構のため
の機能の一部を負担させることで、この第二ディテント
機構をレバー本体のシフト操作の回動支点から比較的離
れた位置に設定可能とし、これによってディテント荷重
の要求特性を満足するための調整を容易とすることであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の自動変速機用操作レバー装置はつぎのよう
に構成されている。請求項１記載の発明は、車体側に固
定されるレバー支持体に対してレバー本体がシフト操作
方向へ回動可能に支持され、このレバー本体は前記レバ
ー支持体の側に配置されたシフト表示部の開口に沿って
シフト操作され、このシフト操作に連動して摺動するス
ライドカバーによって前記シフト表示部の開口を常に塞
いでいるとともに、このスライドカバーの摺動によって
前記シフト表示部でシフト位置を表示する形式の自動変
速機用操作レバー装置において、前記スライドカバーが
前記レバー本体と一体に形成され、しかもこのスライド
カバー及び前記シフト表示部がレバー本体の前記回動支
点を中心とする円弧形状に設定されている。請求項２記
載の発明は、請求項１記載の自動変速機用操作レバー装
置においてスライドカバーがレバー本体と同程度の剛性
に設定されている。請求項３記載の発明は、請求項２記
載の自動変速機用操作レバー装置においてスライドカバ
ーに対し、レバー本体のシフト操作に節度感を与えるた
めの第二ディテント機構用のディテント係合部が形成さ
れている。

【０００６】

【作用】請求項１記載の発明によれば、前記スライドカ
バーが前記レバー本体とが一体に成形され、しかもこの
スライドカバーと前記シフト表示部とがレバー本体のシ
フト操作のための回動支点を中心とする円弧形状にそれ
ぞれ形成されていることから、レバー本体のシフト位置
とスライドカバーによる前記シフト表示部でのシフト位
置の表示とが正確に対応する。請求項２記載の発明にお
いては、前記スライドカバーの強度が高められ、前記シ
フト表示部の側ではスライドカバーの摺動を案内するた
めのガイド溝やその他の位置規制部材が不要となり、ま
たスライドカバー自体は安価な材質を使用することがで
きる。請求項３記載の発明では前記スライドカバーに対
し、その剛性を利用して第二ディテント機構のための機
能の一部を負担させているので、この第二ディテント機
構をレバー本体のシフト操作の回動支点から比較的離れ
た位置に設定でき、これによってディテント荷重の要求
特性に応じた調整が容易となる。

【０００７】

【実施例】つぎに本発明の実施例を図１〜６にしたがっ
て説明する。図１は自動変速機用の操作レバー装置を表
した斜視図、図２は同じく操作レバー装置の側断面図、
図３は図２のＡ−Ａ線断面図、図４は操作レバー装置の
平面図である。これらの図面で示されているレバー支持
体１０は、周知のように車体のフロア（図示外）などに
固定される構造となっており、その下部にはつぎに説明
するレバー本体３０の支持部１２が形成されている。前
記レバー支持体１０の上部にはシフト表示部２０が設け
られていて、このシフト表示部２０の表示プレート２２
には図４で示すように各シフトポジションの表示とそれ
ぞれ対応させた表示窓２３が形成されている。なおシフ
ト表示部２０の中央部は、前記レバー本体３０が位置す
る開口２４となっている。

【０００８】前記レバー本体３０は、図２，３から明ら
かなように中空形状のレバー軸部３２と、このレバー軸
部３２の上端部のレバーノブ３８と、同じくレバー軸部
３２の下端部においてその軸線と直交する円筒形状のボ
ス部３３とを備えている。このボス部３３は前記レバー
支持体１０の支持部１２に対し、支持軸３４によって回
動可能に支持されている。つまりこのレバー軸部３２を
レバー支持体１０に対して前記支持軸３４の軸線回りに
回動されることで、前記レバー本体３０が前記シフト表
示部２０の開口２４に沿ってシフト操作されることとな
る。また前記レバー本体３０は、前記レバー軸部３２の
ほぼ中間部においてスライドカバー４０を備え、かつス
ライドカバー４０の下面において図２で示すようにシフ
トケーブルのインナワイヤ６８が結合される連結部４４
を備えている。

【０００９】図５に前記レバー本体３０が斜視図で示さ
れている。この図面からも明らかなように、前記レバー
本体３０は合成樹脂材などによる一体成形品であり、前
記レバー軸部３２、ボス部３３、レバーノブ３８、スラ
イドカバー４０及び連結部４４は互いに一体化されてい
る。なお図２においてレバー軸部３２の左側（レバー本
体３０の前方側）には、スライドカバー４０の表面から
連結部４４の下面まで貫通したガイド孔４６が形成され
ていて、ここには図示外のシフトロック機構のロックを
手動で解除するためのロック解除ピン６６が挿入されて
いる。

【００１０】さて前記レバー軸部３２の中空部内には第
一ディテント機構のディテントロッド６０が軸線方向へ
移動可能に設けられており、このディテントロッド６０
の軸上にはその軸線と直交するディテントピン６１が固
定されている。一方、前記レバー軸部３２の両側部には
その軸線方向に長い孔３５が形成されていて、これらの
孔３５を通じて前記ディテントピン６１の両端部が図３
で示すようにレバー軸部３２の外部に突出し、前記レバ
ー支持体１０の両側部に形成されている第一ディテント
機構のディテント係合部１４にそれぞれ位置している。

【００１１】前記ディテントロッド６０は図２，３で示
すスプリング６２の弾性により、常時は前記ディテント
ピン６１と共に押し上げられている。このためディテン
トピン６１の両端部は前記ディテント係合部１４の一つ
の凹部に係合していて、周知のように前記レバー本体３
０のシフト操作が規制されている。そこで前記ディテン
トロッド６０を前記スプリング６２の弾性に抗してディ
テントピン６１と共に押し下げ操作することにより、シ
フト操作の前記規制が解除される。

【００１２】前記スライドカバー４０は、前記シフト表
示部２０の開口２４を常に塞ぐように位置しており、か
つ前記レバー本体３０に要求される所定の強度（剛性）
と同程度の剛性を有している。またこのスライドカバー
４０の形状は、レバー本体３０の回動支点である前記支
持軸３４の軸心を中心とする円弧状に前記レバー軸部３
２の前後方向へ延びている。そして前記シフト表示部２
０もスライドカバー４０と対応させて前記支持軸３４の
軸心を中心とする円弧形状に設定されている。これらの
ことから前記スライドカバー４０はガイド溝などで案内
しなくても、前記レバー本体３０のシフト操作により前
記シフト表示部２０に沿って適正に摺動する。

【００１３】図３〜５で示すように前記スライドカバー
４０の側部には、前記シフト表示部２０における表示プ
レート２２の内側に位置する指示部４１が一体に形成さ
れている。この指示部４１は、その表面に例えば赤色テ
ープなどが貼り付けられていてシフト表示部２０におけ
る一つのシフトポジション表示部の前記表示窓２３に位
置することにより、そのときのレバー本体３０のシフト
位置を表示する。

【００１４】しかも前記スライドカバー４０の裏面（下
面）には、図２で示すようにシフト操作方向に凹凸を繰
り返す第二ディテント機構のためのディテント係合部４
２が形成されている。これに対して前記レバー支持体１
０の側にはプランジャ保持部１６が形成されていて、そ
こに組付けられているプランジャ１７はスプリング１８
の弾力によって前記ディテント係合部４２に押付けられ
ている。この第二ディテント機構においては、前記レバ
ー本体３０のシフト操作に伴って前記ディテント係合部
４２の凹凸と前記プランジャ１７とが相対的に変位し、
これによってレバー本体３０のシフト操作に節度感が与
えられる。

【００１５】図６に図２のＢ−Ｂ線拡大断面図が示され
ている。この図面からも明らかなように前記連結部４４
には孔４５が形成されていて、この孔４５に挿入される
合成樹脂製の結合ピン６９によって図２で示すシフトケ
ーブルのインナワイヤ６８の端部が連結部４４に結合さ
れる。なおこのインナワイヤ６８の他端部は自動変速機
のシフトアーム（図示外）に結合されるのであり、前記
レバー本体３０のシフト操作によって任意の変速段（シ
フト）が得られることとなる。

【００１６】前記のように構成された操作レバー装置に
おいて前記レバー本体３０をシフト操作する場合、その
ときのレバー本体３０のシフト位置によっては前記のよ
うに第一ディテント機構によってシフト操作が規制され
ている。そこでこの第一ディテント機構の前記ディテン
トロッド６０を押し下げて前記ディテントピン６１を前
記ディテント係合部１４の凹部から外し、その状態でレ
バー本体３０を前記支持軸３４の軸線回りに回動させ
る。そしてレバー本体３０を任意のシフト位置に操作し
たら前記ディテントロッド６０の押し下げ力を解除する
ことにより、このディテントロッド６０が前記スプリン
グ６２によって押し上げられる。これによって前記ディ
テントピン６１が、そのときのシフト位置と対応するデ
ィテント係合部１４の凹部に係合し、レバー本体３０は
そのシフト位置で規制される。

【００１７】またレバー本体３０のシフト操作によって
前記スライドカバー４０が前記シフト表示部２０の開口
２４を常に塞ぐように摺動し、かつこのスライドカバー
４０の前記指示部４１により、すでに説明したようにレ
バー本体３０のシフト位置がシフト表示部２０において
表示される。

【００１８】さらにレバー本体３０のシフト操作に対し
ては、前記第二ディテント機構によって前記のように節
度感が与えられる。なおこれまでの操作レバー装置にお
ける第二ディテント機構は、シフト表示部の下部にスラ
イドカバーの摺動を案内するための規制部材が配置され
ているなどの理由から、この規制部材よりも下方、つま
りレバー本体の回動支点寄りにおいて例えばレバー支持
体側にディテント係合部を形成し、レバー本体側にその
ディテント係合部の凹凸に押付けられるプランジャを設
けた構成となっている。これに対して本実施例では、前
記スライドカバー４０の下面を利用して第二ディテント
機構のディテント係合部４２が形成されているので、こ
の第二ディテント機構はレバー本体３０の回動支点であ
る前記支持軸３４の軸心から離れた位置に配置されるこ
ととなり、ディテント荷重などをその要求に応じて容易
に調整することが可能である。

【００１９】

【発明の効果】本発明は、レバー本体のシフト操作に対
してスライドカバーが一体関係で摺動するので、このレ
バー本体のシフト位置とスライドカバーによるシフト位
置の表示とを正確に対応させることができる。また本発
明によれば、シフト表示部の側ではスライドカバーの摺
動を案内するためのガイド溝やその他の位置規制部材を
不要とし、かつスライドカバー自体は安価な材質を使用
できることから、自動変速機用操作レバー装置のコスト
を低減できる。さらに本発明においては、スライドカバ
ーに第二ディテント機構のための機能の一部を負担させ
ているので、この第二ディテント機構をレバー本体のシ
フト操作の回動支点から比較的離れた位置に設定でき、
これによってディテント荷重の要求特性に応じた調整を
容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動変速機用の操作レバー装置を表した斜視図
である。

【図２】同じく操作レバー装置の側断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】操作レバー装置の平面図である。

【図５】レバー本体を表した斜視図である。

【図６】図２のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図７】従来の自動変速機用操作レバー装置の一例を表
した断面図である。

【符号の説明】

１０ レバー支持体 ２０ シフト表示部 ２４ 開口 ３０ レバー本体 ４０ スライドカバー ４２ ディテント係合部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体側に固定されるレバー支持体に対し
   てレバー本体がシフト操作方向へ回動可能に支持され、
   このレバー本体は前記レバー支持体の側に配置されたシ
   フト表示部の開口に沿ってシフト操作され、このシフト
   操作に連動して摺動するスライドカバーによって前記シ
   フト表示部の開口を常に塞いでいるとともに、このスラ
   イドカバーの摺動によって前記シフト表示部でシフト位
   置を表示する形式の自動変速機用操作レバー装置におい
   て、 前記スライドカバーが前記レバー本体と一体に形成さ
   れ、しかもこのスライドカバー及び前記シフト表示部が
   レバー本体の前記回動支点を中心とする円弧形状に設定
   されていることを特徴とした自動変速機用操作レバー装
   置。
2. 【請求項２】 スライドカバーがレバー本体と同程度の
   剛性に設定されていることを特徴とした請求項１記載の
   自動変速機用操作レバー装置。
3. 【請求項３】 スライドカバーに対し、レバー本体のシ
   フト操作に節度感を与えるための第二ディテント機構用
   のディテント係合部が形成されていることを特徴とした
   請求項２記載の自動変速機用操作レバー装置。