JPH0890218A - 熱交換器用ベント管のロウ付け方法及びその装置及びそのロウ付け用加熱コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロウ付け作業効率を向上させると共に、安定
したロウ付け品質が得られる、熱交換器用ベント管のロ
ウ付け方法及びその装置及びそのロウ付け用加熱コイル
を提供する。 【構成】 熱交換器本体のパイプにベント管を嵌合さ
せ、該嵌合部の周囲に、導体を屈曲させて垂直なリング
状に形成され、両端部に電極を有する加熱コイルを配置
すると共に、加熱コイルの電極に可橈性のケーブルを介
して、トランジスタインバータを接続して高周波電流を
供給し、嵌合部を誘導加熱してベント管をパイプにロウ
付けする。加熱コイルは、例えば角パイプを積み重ねる
ことによって形成され、その電極がロボットを介してト
ランジスタインバータに接続される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器用ベント管の
ロウ付け方法及びその装置及びそのロウ付け用加熱コイ
ルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、熱交換器においては、水路を形成
するために、熱交換器本体に設けたパイプにベント管を
ロウ付け固定している。このロウ付け方法としては、例
えば作業者がバーナでベント管とパイプの嵌合部を加熱
し、この加熱部分にロウ材を当接させることによって行
っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このロ
ウ付け方法にあっては、ロウ付けの作業効率が劣ると共
に、安定したロウ付け品質が得られ難いという問題点が
あった。すなわち、嵌合部の加熱がバーナによる加熱で
あるため、加熱に時間がかかったり、作業環境が悪化し
易く、作業者による作業効率が劣る。また、嵌合部を均
一に加熱することが難しく、安定したロウ付け品質が得
られ難くい。特に、ベント管が接近している箇所におい
ては、ロウ付けしようとする嵌合部の周囲を均等に加熱
することが極めて困難で、安定したロウ付け品質が一層
得難くなると共に、作業効率も劣ることになる。

【０００４】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、ロウ付けの作業効率を向上させ
ると共に、安定したロウ付け品質が得られる、熱交換器
用ベント管のロウ付け方法及びその装置及びそのロウ付
け用加熱コイルを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、請求項１記載の熱交換器用ベント管のロウ付け方法
は、熱交換器の水路を形成するベント管を、熱交換器本
体のパイプにロウ付け固定するロウ付け方法において、
パイプにベント管を嵌合させ、該嵌合部の周囲に、導体
を屈曲させてリング状に形成され、両端部に電極を有す
る加熱コイルを配置すると共に、該加熱コイルの電極
に、可橈性のケーブルを介してトランジスタインバータ
を接続して高周波電流を供給し、前記嵌合部を誘導加熱
して、ベント管をパイプにロウ付けすることを特徴とす
る。

【０００６】また、請求項２記載の熱交換器用ベント管
のロウ付け装置は、熱熱交換器の水路を形成するベント
管を、熱交換器本体のパイプにロウ付け固定するロウ付
け装置において、パイプにベント管を嵌合させた際の、
嵌合部の周囲形状に対応すると共に、導体をリング状に
屈曲して形成され、その両端部に電極を有する加熱コイ
ルと、該加熱コイルの電極に接続され、加熱コイルに高
周波電流を供給するトランジスタインバータと、該トラ
ンジスタインバータの出力端子と前記電極間に配設され
た可橈性のケーブルと、を具備することを特徴とする。

【０００７】また、請求項３記載のロウ付け装置は、ケ
ーブルを、ロボットのアームに配設すると共に、アーム
の先端にケーブルの一端が接続された電極部を配設し、
電極部を前記電極に接続して、ケーブルと加熱コイルを
接続することを特徴とする。

【０００８】また、請求項４記載のロウ付け用加熱コイ
ルは、熱交換器本体のパイプにベント管を嵌合させた際
の、嵌合部の周囲形状に対応する如く屈曲された垂直な
平板状の導体と、導体内もしくは導体外に配設された冷
却パイプと、導体の両端部に配設された電極と、を具備
することを特徴とする。

【０００９】

【作用】まず、請求項１記載の熱交換器用ベント管のロ
ウ付け方法、もしくは請求項２記載のロウ付け装置によ
れば、ベント管を熱交換器本体のパイプに嵌合させ、そ
の外周に加熱コイルを配置する。加熱コイルは、銅板等
からなる導体を屈曲させることによりリング状に形成さ
れ、ベント管が接近する箇所でも容易に配置し得る。加
熱コイルには電極が形成され、この電極に可橈性のケー
ブルを接続することによって、加熱コイルにトランジス
タインバータが接続される。

【００１０】そして、トランジスタインバータから加熱
コイルに高周波電流を供給することにより、嵌合部が誘
導加熱される。加熱コイルを、例えば各ベント管の嵌合
部に予め配置し、この加熱コイルの各電極部に、ケーブ
ルを順次接続することによって、嵌合部が誘導加熱さ
れ、ロウ付けが効率的に行われる。また、請求項３記載
のロウ付け装置は、ケーブルと加熱コイルの電極との接
続を、ロボットによって行うことにより、ロウ付けの自
動化が図れる。

【００１１】また、請求項４記載のロウ付け用加熱コイ
ルによれば、例えば銅板を垂直状態で屈曲させることに
より、ベント管が接近している箇所にも容易に配置し得
ると共に、冷却パイプにより加熱コイルの発熱が抑えら
れる。加熱コイルの電極は、例えばロボットによる接続
が可能になって、多数のベント管を有する熱交換器のロ
ウ付け作業の効率を向上させることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図１は、本発明に係わるロウ付け装置の
概略構成図を示している。このロウ付け装置１は、ロボ
ット２と、トランジスタインバータ３と、トランジスタ
インバータ３の出力端子に接続された可橈性のケーブル
４と、熱交換器５の本体５ａに配置された加熱コイル６
を有している。

【００１３】ロボット２は、可動部分としてのアーム７
を有し、このアーム７は駆動装置８によって、例えば上
下動する。アーム７の先端には、取付部材９を介して電
極部１０が配設されている。この電極部１０は、図５に
示すように、絶縁部材１１を介して圧接固定された一対
の電極板１２ａ、１２ｂを有し、この電極板１２ａ、１
２ｂが、後述する加熱コイル６の電極１３ａ、１３ｂに
接続される。なお、取付部材９の電極板１２ａ、１２ｂ
の近傍には、図示しないカプラーが設けられると共に、
電極板１２ａ、１２ｂの先端には、傾斜面１４がそれぞ
れ形成されている。

【００１４】トランジスタインバータ３は、例えばパワ
ーＭＯＳＦＥＴ、ＩＧＢＴ、サイリスタ等の半導体素子
を有し、半導体素子のオン・オフによって、所定周波数
の高周波電流を発生する。このトランジスタインバータ
３は、ロボット２の動作と連動して作動する。トランジ
スタインバータ３の出力端子に接続されたケーブル４
は、金属線入りのホース１５と、このホース１４内に収
納された導体としての網線（図示せず）とからなり、通
電時に、ホース１５内に冷却水が循環供給され、網線の
発熱が抑えられる。

【００１５】加熱コイル６は、図２〜図４に示すよう
に、平面視略楕円形状のコイル部１６と、このコイル部
１６の両端部に固定された電極１３ａ、１３ｂとを有し
ている。コイル部１６は、図４に示すように、複数本の
銅パイプからなるパイプ部材１７を積層することによっ
て形成され、各パイプ部材１７は、楕円形状に屈曲され
た角パイプ１７ａの両端部に、直線状の角パイプ１７ｂ
がロウ付け固定され、この直線部１７ｂの外側面に、銅
板からなる電極１３ａ、１３ｂがロウ付け固定されてい
る。

【００１６】また、加熱コイル６の直線部１７ｂの先端
には、上下方向に角パイプ１７ｃがそれぞれロウ付け固
定され、この角パイプ１７ｃによって各パイプ部材１７
が並列的に連通することになる。また、この角パイプ１
７ｃの上端部には、鈎状に屈曲した銅の丸パイプ１９の
一端がロウ付け固定され、この丸パイプ１９の他端は上
方に延び、その先端部にはホースコネクタ２０がそれぞ
れ固定されている。このホースコネクタ２０の一方か
ら、冷却水が供給されることにより、各パイプ部材１７
内に冷却水が循環し、加熱コイル６の発熱が抑えられ
る。すなわち、パイプ部材１７が冷却パイプを兼ねるこ
とになる。なお、電極１３ａ、１３ｂの上端には、図５
に示すように、傾斜面２１が形成されている。

【００１７】熱交換器５は、図２及び図３に示すよう
に、熱交換器本体５ａの一側面に、多数のパイプ２３が
固定され、このパイプ２３の一端は、熱交換器本体５ａ
内の図示しないパイプで適宜連結されている。そして、
この各パイプ２３の他端である熱交換器本体５ａ外に位
置する部分に、略コ字状に屈曲したベント管２４をロウ
付け固定することにより、各パイプ２３が連結され、所
定の水路が形成されている。なお、パイプ２３の開口端
は、ベント管２４の嵌合を容易にするために、外側に拡
開されている。

【００１８】次に、この熱交換器５におけるベント管２
４のロウ付け方法について説明する。まず、熱交換器本
体５ａをロボット２の近傍所定位置に、そのパイプ２３
が上方を向くようにしてセットし、各パイプ２３にベン
ト管２４を嵌合させる。その後、この嵌合部に、例えば
リング状の銀ロウ（図示せず）を載置してセットすると
共に、図２に示すように、ベント管２４の周囲を取り囲
むように、加熱コイル６を熱交換器本体５ａ上に載置す
る。

【００１９】加熱コイル６は、予め複数個用意し、互い
に所定距離以上接近しているベント管２４の周囲にセッ
トする。そして、ロボット２の入力装置２５（図１参
照）により、加熱コイル６をセットしたベント管２４の
位置を入力し、ロボット２を作動させる。ロボット２が
作動すると、アーム７が移動して、取付部材９の電極部
１０が、最初の加熱コイル６の電極１３ａ、１３ｂ上に
位置（図５の２点鎖線の位置）し、この位置から取付部
材９が下降する。

【００２０】この取付部材９の下降により、電極部１０
が加熱コイル６の電極１３ａ、１３ｂ間に挿入されると
共に、カプラーが、ホースコネクタ２０に連結される。
この時、電極部１０の電極板１２ａ、１２ｂの下端及び
電極１３ａ、１３ｂの上端に、傾斜面１４、２１が形成
されているため、電極板１２ａ、１２ｂの電極１３ａ、
１３ｂ間への挿入が確実に行われる。電極部１０が所定
位置まで下降して電極１３ａ、１３ｂに接続されると、
トランジスタインバータ３が作動し、ケーブル４、電極
部１０、電極１３ａ、１３ｂを介して、加熱コイル６に
高周波電流が供給される。また、電流の供給と同時に、
トランジスタインバータ３内の冷却水供給装置から、ケ
ーブル４のホース１５内、カプラー、ホースコネクタ２
０、丸パイプ１９を介して、加熱コイル６の各パイプ部
材１７内に冷却水が循環供給される。

【００２１】加熱コイル６に高周波電流が供給される
と、ベント管２４とパイプ２３の嵌合部が誘導加熱さ
れ、嵌合部にセットされている銀ロウが溶融して、嵌合
部がロウ付けされる。高周波電流が所定時間供給され、
嵌合部がロウ付けされると、ロボット２のアーム７が作
動し、取付部材９が上昇する。そして、取付部材９の電
極部１０と電極１３ａ、１３ｂの接続が遮断されると、
トランジスタインバータ３の作動が停止し、電流の供給
と冷却水の供給が停止する。

【００２２】アーム７が上昇したロボット２は、次の加
熱コイル６がセットされている位置まで移動し、上記と
同様にして、第２の加熱コイル６がセットされているベ
ント管２４をパイプ２３にロウ付け固定する。この間
に、ロウ付けが完了している加熱コイル６を他のベント
管２４の位置にセットし、加熱コイル６を順送りにして
使用する。これにより、熱交換器本体５ａの複数のベン
ト管２４が各パイプ２３にそれぞれロウ付けされる。

【００２３】このように、上記のロウ付け方法にあって
は、角パイプ１７ａ、１７ｂを積み重ねて略板状に形成
した加熱コイル６を、ベント管２４の周囲にセットし、
ロボット２を作動させるだけで、ベント管２４をロウ付
けすることができるため、ロウ付け作業の効率を向上さ
せることができると共に、加熱が誘導加熱であるため、
作業現場の雰囲気の悪化が防止され、作業の安全性の向
上も図れる。

【００２４】また、加熱コイル６が垂直な板状であるた
め、ベント管２４の間隔が狭い箇所でも、加熱コイル６
をセットすることができ、従来自動化が困難とされてい
た、上記箇所のロウ付けをロボット２で自動的に行うこ
とができる。その結果、熱交換器５のロウ付け作業の一
層の効率化が図れると共に、安定したロウ付け品質が得
られる。さらに、加熱コイル６は、角パイプ１７ａ、１
７ｂを積層して構成されるため、外側面に冷却パイプを
別途設ける必要がなく、充分な冷却効果が得られると共
に、小型に形成することができる。

【００２５】なお、上記実施例においては、加熱コイル
を角パイプを積層して構成したが、本発明はこれに何等
限定されず、例えば銅板を単に屈曲させてその上端面及
び下端面に冷却パイプをロウ付け固定するようにしても
良い。このようにすれば、加熱コイルの構成が簡略化さ
れ、その製造コストを低減させることができる。

【００２６】また、上記実施例においては、加熱コイル
を、予め熱交換器本体のベント管にセットし、この加熱
コイルの電極にロボットの電極部を接離させるようにし
たが、例えばロボットのアーム先端の取付部に、加熱コ
イルを予め固定し、この加熱コイルを、ロボットによっ
てベント管の周囲にセットしてロウ付けするようにして
も良い。また、上記実施例における、加熱コイルの形
状、ロウ付け方法も一例であって、本発明の要旨を逸脱
しない範囲において、種々変更可能であることは言うま
でもない。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の熱交換器
用ベント管のロウ付け方法及びその装置及びそのロウ付
け用加熱コイルにあっては、ロウ付けの作業効率を向上
させると共に、安定したロウ付け品質が得られる等の効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる熱交換器用ベント管のロウ付け
装置の概略構成図

【図２】同その要部の斜視図

【図３】同要部の断面図

【図４】同要部の断面図

【図５】同要部の断面図

【符号の説明】

１ ロウ付け装置 ２ ロボット ３ トランジスタインバータ ４ ケーブル ５ 熱交換器 ５ａ 熱交換器本体 ６ 加熱コイル ７ アーム １０ 電極部 １２ａ、１２ｂ 電極板 １３ａ、１３ｂ 電極 １７ パイプ部材 ２３ パイプ ２４ ベント管

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器の水路を形成するベント管を、熱
   交換器本体のパイプにロウ付け固定するロウ付け方法に
   おいて、パイプにベント管を嵌合させ、該嵌合部の周囲
   に、導体を屈曲させてリング状に形成され、両端部に電
   極を有する加熱コイルを配置すると共に、該加熱コイル
   の電極に、可橈性のケーブルを介してトランジスタイン
   バータを接続して高周波電流を供給し、前記嵌合部を誘
   導加熱して、ベント管をパイプにロウ付けすることを特
   徴とする、熱交換器用ベント管のロウ付け方法。
2. 【請求項２】熱交換器の水路を形成するベント管を、熱
   交換器本体のパイプにロウ付け固定するロウ付け装置に
   おいて、前記パイプにベント管を嵌合させた際の、嵌合
   部の周囲形状に対応すると共に、導体をリング状に屈曲
   して形成され、その両端部に電極を有する加熱コイル
   と、該加熱コイルの電極に接続され、加熱コイルに高周
   波電流を供給するトランジスタインバータと、該トラン
   ジスタインバータの出力端子と前記電極間に配設された
   可橈性のケーブルと、を具備することを特徴とする、熱
   交換器用ベント管のロウ付け装置。
3. 【請求項３】前記ケーブルを、ロボットのアームに配設
   すると共に、該アームの先端にケーブルの一端が接続さ
   れた電極部を配設し、該電極部を前記電極に接続して、
   ケーブルと加熱コイルを接続することを特徴とする、請
   求項２記載の熱交換器用ベント管のロウ付け装置。
4. 【請求項４】熱交換器本体のパイプにベント管を嵌合さ
   せた際の、嵌合部の周囲形状に対応する如く屈曲された
   垂直な平板状の導体と、該導体内もしくは導体外に配設
   された冷却パイプと、前記導体の両端部に配設された電
   極と、を具備することを特徴とする、熱交換器用ベント
   管のロウ付け用加熱コイル。