JPH0881437A - Dl−シスチンの製造方法 - Google Patents

Dl−シスチンの製造方法

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JPH0881437A
JPH0881437A JP24236594A JP24236594A JPH0881437A JP H0881437 A JPH0881437 A JP H0881437A JP 24236594 A JP24236594 A JP 24236594A JP 24236594 A JP24236594 A JP 24236594A JP H0881437 A JPH0881437 A JP H0881437A
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JP
Japan
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cystine
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salicylaldehyde
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optically active
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JP24236594A
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English (en)
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Yoshiharu Tamura
喜治 田村
Aki Shiyouji
亜希 庄司
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NIPPON RIKAGAKU YAKUHIN KK
Original Assignee
NIPPON RIKAGAKU YAKUHIN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラセミ化が短時間で効率よくなされ、かつ高
純度のDL−シスチンの製造方法を提供する。 【構成】 光学活性シスチンを鉱酸水溶液中でサリチル
アルデヒドと共に加熱してラセミ化反応を行い、その後
中和晶析によってDL−シスチンを得ることを特徴とす
るDL−シスチンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性なシスチンをラ
セミ化させ、DL−シスチンを製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光学活性な天然型L−シスチンは、医薬
および食品添加物として広範囲に利用されているアミノ
酸の1つである。一方、ラセミ型のDL−シスチンは、
抗生物質の合成中間体である非天然型D−システイン製
造の原料としての用途や、DL−シスチンを還元して得
られるDL−システインは、パーマネントウェーブ剤と
して用いられる等の用途に近年その需要が増加している
ものである。
【0003】従来、DL−シスチンの製造方法としては
化学合成法および光学活性シスチンのラセミ化による方
法が採られている。しかし、前者では反応工程が比較的
長く、有毒な青酸化合物を用いたり操作が煩雑になる等
の種々の欠点を有している。従って後者において、簡便
な操作でDL−シスチンを得るラセミ化法が見出されれ
ば有用な製造方法となり得る。
【0004】光学活性シスチンのラセミ化法としては酢
酸と塩化アセチルを用いる方法[J.Biol.Che
m.,140,779(1941)]、無水酢酸と苛性
ソーダを用いる方法[J.Biol.Chem.,9
6,511(1932)]等の文献例が挙げられるが、
工業的製造方法としてはより簡便な、光学活性シスチン
を高濃度の鉱酸水溶液中で煮沸する方法が用いられてい
る[J.Biol.Chem.,102,287(19
33)]。
【0005】しかしながら、鉱酸水溶液中でのラセミ化
反応は緩慢であり長時間を要するため生産効率が悪く、
また中和晶析後に得られるDL−シスチンには、水に不
溶の不純物が混入して濾過操作時の目詰まり等の操作性
の低下、ひいては得られるDL−シスチンの品質の低下
をもたらす等の種々の問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の課題を解消し、ラセミ化が短時間で効率よくなさ
れ、かつ高純度のDL−シスチンの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは光学活性シ
スチンのラセミ化によるDL−シスチンの製造方法に関
し、鋭意検討を行ったところ、次のことを知見した。
【0008】(1)鉱酸水溶液中での加熱によるラセミ
化に際し、サリチルアルデヒドを触媒量添加することに
よりラセミ化反応は大きく加速され、短時間で効率良く
ラセミ化が進行することを見出した。なお、アルデヒド
類による一般アミノ酸のラセミ化法の例は数例(特公昭
36−21517号公報、特公昭58−167562号
公報等)知られているが、これらの反応条件は中性付近
および、重金属の銅イオンやクロムイオンの添加を必要
とすること等、シスチンが持つ中性水溶液には難溶であ
り重金属との親和性のある物性には適用し難く、実験例
の記載も見出されない。
【0009】(2)DL−シスチンに混入する水に不溶
の不純物は中和晶析時に生成して析出するものであり、
用いる塩基の種類には無関係である。また、中和点を変
化させても防ぐことはできず、中和時の処理温度を下げ
ることにより若干の析出低下が見られるが有効な手段と
はなり得ないことが判った。
【0010】そこで本発明者らは、ラセミ化反応を終了
した酸性水溶液中に存在する還元性物質に着目し、酸化
剤存在下で中和晶析を行うと不純物の析出を完全に妨げ
ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、光学活性シスチンを
鉱酸水溶液中でサリチルアルデヒドと共に加熱してラセ
ミ化反応を行い、その後中和晶析によってDL−シスチ
ンを得ることを特徴とするDL−シスチンの製造方法に
ある。このようにサリチルアルデヒドを用いることによ
って、ラセミ化が短時間で効率よく行うことができる。
【0012】また、本発明のDL−シスチンの製造方法
は、上記中和晶析を酸化剤存在下に行うものである。こ
のように酸化剤存在下に中和晶析を行うことによって、
高純度のDL−シスチンが得られる。
【0013】以下、本発明をさらに詳述する。本発明で
ラセミ化反応に使用する鉱酸としては、硫酸、リン酸、
臭化水素酸、または殊に塩酸等の従来のシスチンのラセ
ミ化に用いられているものが挙げられる。鉱酸の濃度は
3〜10規定、好ましくは4〜8規定である。これより
低い濃度ではシスチンの分解が増大するため好ましくな
く、逆に高い濃度では反応後のシスチンの中和晶析操作
時に必要とする塩基の量が多くなり、従って中和により
生成する塩の量も増大するなど利点はない。
【0014】本発明で使用する光学活性シスチンは、ラ
セミ化率と収率の点からみて使用する鉱酸水溶液量に対
し5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%が有利
である。
【0015】ラセミ化の速度は添加するサリチルアルデ
ヒドの量に比例して増大するが、工業的製造方法として
みた場合、用いる光学活性シスチンに対しサリチルアル
デヒドを2〜20重量%、好ましくは5〜10重量%添
加する。これより少ない場合には充分なラセミ化の加速
効果は得られず、また逆にサリチルアルデヒドが多い場
合にはラセミ化はさらに加速されるが、シスチンの分解
も増大しはじめ、同時にサリチルアルデヒド自身の分解
による副生成物も多くなるため好ましくない。
【0016】ラセミ化反応は高温で処理することにより
ラセミ化は迅速に進行するが工業的には鉱酸水溶液の沸
点付近の温度、つまり還流下に行うのが有利である。
【0017】L−シスチン3.0gを6規定塩酸50m
lに溶解させ、サリチルアルデヒド無添加および添加時
(5重量%および10重量%)のラセミ化反応における
シスチンの比旋光度と収率の経時変化を示すグラフを図
1に示す。
【0018】ラセミ化反応の後、中和晶析を行いDL−
シスチンを単離するが、まず中和により生成する塩類の
量を少なくするため、鉱酸を極力留去した後に行うこと
が好ましい。例えば塩酸を用いた場合は、減圧にて塩酸
分を留去する方法等が採られる。
【0019】また、塩基による中和の前に酸化剤を加え
ることが、高純度のDL−シスチンを得るといった観点
から望ましい。ここに用いられる酸化剤としては、塩
素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、過酸化水素、過酸化
ナトリウム等の過酸化物類、過ギ酸、過酢酸、過安息香
酸等のペルオキソ酸類、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭
素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム等の酸素酸塩類
等を例示することができる。用いる酸化剤の量は、DL
−シスチンを含有したラセミ化反応終了溶液中の還元性
物質の含量をヨウ素滴定法により算出した値をもとに、
各酸化剤についての適性量を求めることにより決定され
る。例えば、酸化剤としてヨウ素を用いる場合、還元性
物質と等モルで充分な効果があり、過酸化水素では4〜
8倍モルが好ましく、特には5〜7倍モルが好ましい。
また、次亜塩素酸ナトリウムでは6〜10倍モル、特に
は7〜9倍モルが好ましい。
【0020】中和晶析温度は低温で行うことが好ましい
が、操作が容易な室温付近(20〜30℃)においても
良好な結果が得られる。中和に用いる塩基については特
に制限はなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ア
ンモニア水、炭酸ナトリウム、重曹、炭酸カリウム等が
例示される。中和点については、シスチンの等電点であ
るpH4.5〜5.5の範囲になるように温度上昇を抑
えつつ徐々に塩基を添加することが望ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。
【0022】実施例1 L−シスチン([α] 20 D=−222°;c=2,N−
HC1)24.0gを6規定塩酸200mlに溶解さ
せ、これにサリチルアルデヒド1.22gを加え加熱
し、15時間還流させた。室温まで冷却し、活性炭1.
2gを加え脱色濾過後、減圧濃縮して塩酸分を留去し、
水を加え300mlとした。
【0023】液温25〜30℃にて濃アンモニア水を徐
々に滴下し、pHを5.0に調整した。一晩静置後、析
出した結晶を濾過して水洗した後、減圧にて乾燥させD
L−シスチン21.2gを得た。
【0024】この結果、収率88.3%、[α] 20 D
−28.12°、透過度:T%=42.53(白濁)で
あった。ここにおいて透過度は、DL−シスチン1gを
精秤し、これに1規定塩酸を加えて溶解させ200ml
とし、2分間超音波処理をした後、1cmセルを用い4
30nmの透過度を測定し不溶な不純物混入の尺度とし
た。
【0025】比較例 L−シスチン24.0gを6規定塩酸200mlに溶解
させ、加熱して15時間還流させた。室温まで冷却し、
活性炭1.2gを加え脱色濾過後、減圧濃縮し塩酸分を
留去し、水を加え300mlとした。
【0026】液温25〜30℃にて濃アンモニア水を徐
々に滴下し、pH5.0に調整した。一晩静置後、析出
した結晶を濾過した後、減圧乾燥した。
【0027】この結果、収量21.6g、収率90.0
%、[α] 20 D=−144°、T%=43.29(白
濁)であった。
【0028】実施例2 L−シスチン([α] 20 D=−222°;c=2,N−
HC1)24.0gを6規定塩酸200mlに溶解さ
せ、これにサリチルアルデヒド1.22gを加え加熱
し、15時間還流させた。室温まで冷却し、活性炭1.
2gを加え脱色濾過後、減圧濃縮して塩酸分を留去し、
水を加え300mlとした(ヨウ素滴定により還元性物
質1.47mmol含有する)。
【0029】液温25〜30℃にて30%過酸化水素水
1.0mlを加え、撹拌しながら同温度範囲で濃アンモ
ニア水を徐々に滴下し、pHを5.0に調整した。一晩
静置後、析出した結晶を濾過して水洗した後、減圧にて
乾燥させDL−シスチン20.8gを得た。
【0030】この結果、収率86.7%、[α] 20 D
−28.4°、透過度:T%=99.20(無色澄明)
であった。
【0031】実施例3 L−シスチン24.0gを8規定塩酸200mlに溶解
させ、これにサリチルアルデヒド1.22gを加え加熱
し、15時間還流させた。室温まで冷却し活性炭1.2
gを加え脱色濾過後、減圧濃縮して塩酸分を留去し、水
を加え300mlとした。
【0032】液温25〜30℃にて次亜塩素酸溶液(有
効塩素濃度12%)3.5mlを加え、撹拌しながら同
温度範囲で濃アンモニア水を徐々に滴下し、pHを5.
0に調整した。一晩静置後、析出した結晶を濾過して水
洗した後、減圧にて乾燥させDL−シスチンを得た。
【0033】この結果、収量20.5g、収率85.4
%、[α] 20 D=−29.3°、T%=99.5(無色
澄明)であった。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、光学
活性シスチンを鉱酸水溶液中でサリチルアルデヒドと共
に加熱してラセミ化を行うので、簡便、かつ迅速にラセ
ミ化がなされる。また、本発明では、酸化剤存在下に中
和晶析を行うので、高純度のDL−シスチンを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シスチンの比旋光度と収率の経時変化を示す
グラフ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性シスチンを鉱酸水溶液中でサリ
    チルアルデヒドと共に加熱してラセミ化反応を行い、そ
    の後中和晶析によってDL−シスチンを得ることを特徴
    とするDL−シスチンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中和晶析を酸化剤存在下に行う請求
    項1に記載のDL−シスチンの製造方法。
JP24236594A 1994-09-12 1994-09-12 Dl−シスチンの製造方法 Pending JPH0881437A (ja)

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