JPH0869287A - 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置

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Publication number
JPH0869287A
JPH0869287A JP6203714A JP20371494A JPH0869287A JP H0869287 A JPH0869287 A JP H0869287A JP 6203714 A JP6203714 A JP 6203714A JP 20371494 A JP20371494 A JP 20371494A JP H0869287 A JPH0869287 A JP H0869287A
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JP
Japan
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signal
vibration
noise
cycle
reference signal
Prior art date
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Application number
JP6203714A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Nakaji
義晴 中路
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置にお
いて、アナログ信号をディジタル信号に変換する部分の
簡略化を図る。 【構成】コントローラ20を、アナログ信号として供給
される基準信号xk 及び残留騒音信号el を読み込む信
号入力部21A,21Bと、駆動信号ym を生成する駆
動信号生成部22と、駆動信号ym をアナログ信号に変
換するD/A変換器23と、更新用基準信号rklm を生
成する更新用基準信号生成部24と、適応ディジタルフ
ィルタWkmのフィルタ係数Wkmi を更新するフィルタ係
数更新部25とから構成し、信号入力部21A,21B
では、アナログ信号である基準信号xk ,残留騒音信号
l を、一旦所定信号の周期に変換し、次いでその所定
信号をディジタル信号に変換するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、騒音源から発せられ
た騒音に制御音源から発せられる制御音を干渉させるこ
とにより騒音の低減を図る能動型騒音制御装置及び振動
源から発せられた振動に制御振動源から発せられる制御
振動を干渉させることにより振動の低減を図る能動型振
動制御装置に関し、特に、実測されたアナログ信号をデ
ィジタル信号処理のためにディジタル値に変換すること
が必要な能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置にお
いて、そのアナログ信号をディジタル信号に変換する部
分の簡略化を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型騒音制御装置として、例え
ば特開昭64−58200号公報に開示されたものがあ
り、この従来の能動型騒音制御装置にあっては、対象と
なる騒音の伝搬経路内に配設されて騒音の音圧を測定す
るマイクロフォンM1 と、このマイクロフォンM1 より
も下流側に配設されて騒音と干渉する制御音を発生する
ラウドスピーカSと、このラウドスピーカSよりもさら
に下流側に配設されて干渉後の残留騒音の音圧を測定す
るマイクロフォンM2 と、両マイクロフォンM1及びM
2 の測定結果を受けて所定のディジタル信号処理を実行
してラウドスピーカSに駆動信号を出力するコントロー
ラと、を備えている。
【0003】そして、コントローラは、フィルタ係数可
変の適応ディジタルフィルタと、この適応ディジタルフ
ィルタのフィルタ係数を適応アルゴリズムに従って更新
する制御部と、を有していて、基本的には、上流側のマ
イクロフォンM1 の測定結果を適応ディジタルフィルタ
でフィルタ処理して駆動信号を生成する一方、両マイク
ロフォンM1 及びM2 の測定結果に応じて残留騒音が低
減するように適応アルゴリズムに従って適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数を更新する処理を実行するよう
になっている。また、コントローラの入力側にはアナロ
グ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部が設け
られていて、アナログ信号であるマイクロフォンM1
びM2 の測定結果が、そのA/D変換部によってディジ
タル信号に変換されて、後のディジタル信号処理に用い
られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、例えば上述の
適応アルゴリズムを利用した能動型騒音制御装置のよう
な従来の能動型騒音制御装置,能動型振動制御装置にあ
っては、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新
演算等のディジタル信号処理に膨大な演算が必要である
ため、通常はDSP(ディジタル・シグナル・プロセッ
サ)と呼ばれる高速での乗算が可能な専用の処理装置が
用いられるのであるが、DSPはA/D変換器を内蔵し
ていない場合が多いので、A/D変換器及びその周辺部
品を別途設ける必要があり、コントローラ周辺部分の回
路基板が大型化してしまうという問題点がある。このよ
うな問題点は、騒音源が複数存在する場合や、制御効果
を向上させるために残留騒音を測定するマイクロフォン
を複数設ける場合等に顕著になってしまう。
【0005】また、上記のような能動型騒音制御装置
を、車両のように温度,振動等の使用環境条件が比較的
厳しいものに適用する場合には、耐久性等の条件から8
ビットのA/D変換器が適用されるのが一般的である
が、8ビットで表現できる数値は±128(厳密には、
−128から+127)であるから、表現できる信号レ
ベルの最小と最大の比は約42dBとなる。しかしなが
ら、車両の車輪及び路面間を騒音源として発生するロー
ド・ノイズは、人間の耳に聞こえ難く且つ車両に搭載さ
れる小径のスピーカでは出力し難い20〜40Hzの低
周波成分が大きく、その低周波成分の振幅が、基準信号
(騒音源の騒音発生状態を表す信号)や残留騒音信号
(騒音と制御音とが干渉した後の騒音の信号)の最大振
幅を略決定しているのに対し、人間の耳に聞こえ易く実
際の制御対象となる100Hz以上の周波数成分は、車
両の構造や基準信号,残留騒音信号の検出位置にもよる
が、最大振幅に比べて30dBほど低いのが一般的であ
る。
【0006】さらに、走行路面の表面粗さによってもロ
ード・ノイズのレベルが異なり、本発明者が実際の路面
で実験を行って確認したところ、粗い路面と滑らかな路
面とでは、ロード・ノイズのレベルが約10dBほど違
ってくることが判った。つまり、ロード・ノイズのレベ
ルが最も大きいのは、粗い路面を走行している場合の2
0〜40Hz程度の周波数成分ということになり、A/
D変換器は、そのレベルの高い成分が入力されてもオー
バーフローしないでディジタル値に変換できるようにダ
イナミックレンジが設定されることになる。しかしなが
ら、これでは8ビットのA/D変換器を用いることを考
えると、滑らかな路面を走行している場合の100Hz
程度の周波数成分はせいぜい1〜2ビットで表現しなく
てはならず、特に重要な部分で十分な分解能が得られな
いことになってしまう。
【0007】そこで、十分な分解能を得るために、10
ビット,12ビットといったA/D変換器を用いること
が考えられるが、これでは大幅なコストアップを招いて
しまうし、A/D変換器のビット数によっては車両等の
使用環境条件に耐えられないことがある。本発明はこの
ような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなさ
れたものであって、大幅なコストアップや装置の大型化
等を招くことなく十分な分解能でディジタル信号をアナ
ログ信号に変換する機能を備えた能動型騒音制御装置及
び能動型振動制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、騒音源から発せられた騒音
と干渉する制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源
の騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信
号生成手段と、前記制御音源による干渉後の残留騒音を
検出し残留騒音信号として出力する残留騒音検出手段
と、前記基準信号及び前記残留騒音信号に基づき前記干
渉後の騒音が低減するように前記制御音源を駆動する駆
動信号を生成する処理を実行するディジタル信号処理手
段と、を備えた能動型騒音制御装置において、入力信号
のレベルを搬送波の周期に変換するレベル周期変換手段
と、このレベル周期変換手段の出力をディジタル信号に
変換するディジタル信号変換手段と、を設けるととも
に、前記基準信号及び前記残留騒音信号のうちの少なく
とも一方を前記レベル周期変換手段及びディジタル信号
変換手段を介して前記ディジタル信号処理手段に供給す
るようにした。
【0009】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型騒音制御装置において、前記
レベル周期変換手段を入力信号のレベルに応じて搬送波
の位相を変化させる位相変調手段とするとともに、前記
ディジタル信号変換手段の出力を復調するディジタルF
M復調手段を設け、前記ディジタルFM復調手段の出力
を前記ディジタル信号処理手段に供給するようにした。
【0010】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項1又は請求項2に係る発明である能動型騒音制御装置
において、前記ディジタル信号変換手段を、前記レベル
周期変換手段から出力される信号の一周期を所定クロッ
クの間隔で計数しその計数結果を出力するカウント手段
とした。さらに、請求項4に係る発明は、上記請求項3
に係る発明である能動型騒音制御装置において、前記カ
ウント手段を複数設けるとともに、それらカウント手段
の計数開始時点を互いにずらした。
【0011】また、請求項5に係る発明は、上記請求項
3又は請求項4に係る発明である能動型騒音制御装置に
おいて、前記レベル周期変換手段から出力される信号の
最大周期を、前記ディジタル信号処理手段のサンプリン
グ周期よりも短くした。特に請求項6に係る発明は、こ
の請求項5に係る発明において、前記レベル周期変換手
段から出力される信号の最大周期を、前記ディジタル信
号処理手段のサンプリング周期の1/3よりも短くし
た。
【0012】そして、請求項7に係る発明は、上記請求
項1〜請求項6に係る発明である能動型騒音制御装置に
おいて、前記基準信号生成手段を複数備えるとともに、
それら複数の基準信号生成手段の出力のうちのいずれか
一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力する入力
選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換える状態
切換手段と、を設けた。
【0013】これに対し、請求項8に係る発明は、上記
請求項1〜請求項7に係る発明である能動型騒音制御装
置において、前記残留騒音検出手段を複数備えるととも
に、それら複数の残留騒音検出手段の出力のうちのいず
れか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力する
入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換える
状態切換手段と、を設けた。
【0014】上記目的を達成するために、請求項9に係
る発明は、騒音源から発せられた騒音と干渉する制御音
を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態を
検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、前
記制御音源による干渉後の残留騒音を検出し残留騒音信
号として出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号及
び前記残留騒音信号に基づき前記干渉後の騒音が低減す
るように前記制御音源を駆動する駆動信号を生成する処
理を実行するディジタル信号処理手段と、を備えた能動
型騒音制御装置において、入力信号の瞬時値を保持する
瞬時値保持手段と、この瞬時値保持手段が保持した値を
減衰させる減衰手段と、前記瞬時値が保持されてから所
定値に減衰するまでの周期を計測する周期計測手段と、
を設けるとともに、前記基準信号及び前記残留騒音信号
のうちの少なくとも一方を前記瞬時値保持手段,減衰手
段及び周期計測手段を介して前記ディジタル信号処理手
段に供給するようにした。
【0015】そして、請求項10に係る発明は、上記請
求項9に係る発明である能動型騒音制御装置において、
前記周期計測手段を、前記瞬時値が保持されてから所定
値に減衰するまでの周期を所定クロックの間隔で計数し
その計数結果を出力するカウント手段とした。一方、上
記目的を達成するために、請求項11に係る発明は、振
動源から発せられた振動と干渉する制御振動を発生可能
な制御振動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し基
準信号として出力する基準信号生成手段と、前記制御振
動源による干渉後の残留振動を検出し残留振動信号とし
て出力する残留振動検出手段と、前記基準信号及び前記
残留振動信号に基づき前記干渉後の振動が低減するよう
に前記制御振動源を駆動する駆動信号を生成する処理を
実行するディジタル信号処理手段と、を備えた能動型振
動制御装置において、入力信号のレベルを搬送波の周期
に変換するレベル周期変換手段と、このレベル周期変換
手段の出力をディジタル信号に変換するディジタル信号
変換手段と、を設けるとともに、前記基準信号及び前記
残留振動信号のうちの少なくとも一方を前記レベル周期
変換手段及びディジタル信号変換手段を介して前記ディ
ジタル信号処理手段に供給するようにした。
【0016】また、請求項12に係る発明は、上記請求
項11に係る発明である能動型振動制御装置において、
前記レベル周期変換手段を入力信号のレベルに応じて搬
送波の位相を変化させる位相変調手段とするとともに、
前記ディジタル信号変換手段の出力を復調するディジタ
ルFM復調手段を設け、前記ディジタルFM復調手段の
出力を前記ディジタル信号処理手段に供給するようにし
た。
【0017】そして、請求項13に係る発明は、上記請
求項11又は請求項12に係る発明である能動型振動制
御装置において、前記ディジタル信号変換手段を、前記
レベル周期変換手段から出力される信号の一周期を所定
クロックの間隔で計数しその計数結果を出力するカウン
ト手段とした。さらに、請求項14に係る発明は、上記
請求項13に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記カウント手段を複数設けるとともに、それらカ
ウント手段の計数開始時点を互いにずらした。
【0018】またさらに、請求項15に係る発明は、上
記請求項13又は請求項14に係る発明である能動型振
動制御装置において、前記レベル周期変換手段から出力
される信号の最大周期を、前記ディジタル信号処理手段
のサンプリング周期よりも短くした。特に請求項16に
係る発明は、この請求項15に係る発明において、前記
レベル周期変換手段から出力される信号の最大周期を、
前記ディジタル信号処理手段のサンプリング周期の1/
3よりも短くした。
【0019】また、請求項17に係る発明は、上記請求
項11〜請求項16に係る発明である能動型振動制御装
置において、前記基準信号生成手段を複数備えるととも
に、それら複数の基準信号生成手段の出力のうちのいず
れか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力する
入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換える
状態切換手段と、を設けた。
【0020】これに対し、請求項18に係る発明は、上
記請求項11〜請求項17に係る発明である能動型振動
制御装置において、前記残留振動検出手段を複数備える
とともに、それら複数の残留振動検出手段の出力のうち
のいずれか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入
力する入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り
換える状態切換手段と、を設けた。
【0021】一方、上記目的を達成するために、請求項
19に係る発明は、振動源から発せられた振動と干渉す
る制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振
動発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生
成手段と、前記制御振動源による干渉後の残留振動を検
出し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、
前記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記干渉後
の振動が低減するように前記制御振動源を駆動する駆動
信号を生成する処理を実行するディジタル信号処理手段
と、を備えた能動型振動制御装置において、入力信号の
瞬時値を保持する瞬時値保持手段と、この瞬時値保持手
段が保持した値を減衰させる減衰手段と、前記瞬時値が
保持されてから所定値に減衰するまでの周期を計測する
周期計測手段と、を設けるとともに、前記基準信号及び
前記残留振動信号のうちの少なくとも一方を前記瞬時値
保持手段,減衰手段及び周期計測手段を介して前記ディ
ジタル信号処理手段に供給するようにした。
【0022】そして、請求項20に係る発明は、上記請
求項19に係る発明である能動型振動制御装置におい
て、前記周期計測手段を、前記瞬時値が保持されてから
所定値に減衰するまでの周期を所定クロックの間隔で計
数しその計数結果を出力するカウント手段とした。
【0023】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、基準信号及び
残留騒音信号のうちの少なくとも一方がレベル周期変換
手段に入力され、その入力された信号のレベルに応じて
搬送波の周期が変動する。例えば、入力信号のレベルが
中立レベル(入力信号が正負に振れる場合には0レベ
ル)よりも高い場合には入力信号のレベルと中立レベル
との差に応じて搬送波の周期を長く(又は短く)し、入
力信号のレベルが中立レベルよりも低い場合には入力信
号のレベルと中立レベルとの差に応じて搬送波の周期を
短く(又は長く)する、という具合に搬送波の周期が変
動する。そして、その周期が適宜変化した搬送波(被変
調信号)が、ディジタル信号変換手段によってディジタ
ル値に変換され、その後にディジタル信号処理装置に供
給される。
【0024】また、請求項2に係る発明にあっては、基
準信号及び残留騒音信号のうちの少なくとも一方が、レ
ベル周期変換手段としての位相変調手段に入力され、そ
の入力された信号のレベルに応じて搬送波の位相が変化
する。例えば、入力信号のレベルが中立レベルよりも高
い場合には入力信号のレベルと中立レベルとの差に応じ
て搬送波の位相が進み(又は遅れ)、入力信号のレベル
が中立レベルよりも低い場合には入力信号のレベルと中
立レベルとの差に応じて搬送波の位相が遅れ(又は進
む)、という具合に搬送波の位相が変化する。なお、搬
送波の位相が時々刻々と変化するということは、FM変
調と同様に瞬時の周波数(周期)が変化することと結果
として同じであるから、位相変調手段がレベル周期変換
手段に含まれることは明らかである。
【0025】そして、被位相変調波は、ディジタル信号
変換手段によってディジタル信号に変換され、その後に
ディジタルFM復調手段によってFM復調(周波数−レ
ベル変換)される。ここで、位相変調(PM:Phase Mo
dulation)方式は、周波数変調(FM:Frezuency Modu
lation)方式に比べて、同一振幅の入力信号に対する搬
送波の周波数偏移が、入力信号の周波数によって異なる
という特性を有している。具体的には、周波数変調と位
相変調とで、低周波の入力信号に対する搬送波の周波数
偏移が同一であるとすると、高周波の入力信号に対して
は、位相変調の方が周波数偏移が大きくなる傾向があ
る。このため、位相変調した信号をFM復調すると、も
との入力信号に対して高周波が強調された信号が再生さ
れる。
【0026】次に、請求項3に係る発明にあっては、デ
ィジタル信号変換手段としてのカウント手段が、レベル
周期変換手段が出力する被変調信号(被位相変調信号)
の一周期を、所定クロックの間隔で計数するから、その
計数結果はそのままディジタル信号となる。また、請求
項4に係る発明にあっては、カウント手段が複数設けら
れており、しかもそれらカウント手段の計数開始時点が
ずれているから、全体としては、被変調信号(被位相変
調信号)の周期が短い間隔でディジタル値に変換される
ことになる。
【0027】そして、請求項5に係る発明にあっては、
ディジタル信号処理手段が基準信号又は残留騒音信号を
サンプリングする際に、被変調信号(被位相変調信号)
の周期が短い間隔でディジタル値に変換されていること
が保証される。この場合、請求項6に係る発明であれ
ば、ディジタル信号処理手段のサンプリング・クロック
の間に少なくとも二回は被変調信号(被位相変調信号)
の周期が計数されてディジタル値に変換される。従っ
て、そのうちの一回を例えば搬送波の周期を補正する処
理等に利用することが可能となる。
【0028】次に、請求項7に係る発明にあっては、入
力選択手段で選択された一つの基準信号生成手段の出力
がレベル周期変換手段に入力される一方、その入力選択
手段の状態が状態切換手段によって切り換えられるか
ら、複数の基準信号生成手段から出力される各基準信号
が、順番にレベル周期変換手段に入力される。同様に、
請求項8に係る発明にあっては、入力選択手段で選択さ
れた一つの残留騒音検出手段の出力がレベル周期変換手
段に入力される一方、その入力選択手段の状態が状態切
換手段によって切り換えられるから、複数の残留騒音検
出手段から出力される各残留騒音信号が、順番にレベル
周期変換手段に入力される。
【0029】そして、請求項9に係る発明にあっては、
基準信号又は残留騒音信号の瞬時値が瞬時値保持手段に
よって保持され、その保持された値が減衰手段によって
減衰し、瞬時値が保持されてから所定値に減衰するまで
の周期が周期計測手段によって計測されるが、この周期
計測手段が計測する周期の長さは、保持した瞬時値のレ
ベルによって決まる。よって、瞬時値保持手段,減衰手
段及び周期計測手段を経ることによって、基準信号又は
残留騒音信号のレベルを周期に変換し、その周期を計測
したことと同じ結果が得られる。
【0030】さらに、請求項10に係る発明にあって
は、周期計測手段としてのカウント手段が、瞬時値が所
持されてから所定値に減衰するまでの周期を、所定クロ
ックの間隔で計数するから、その計数結果はそのままデ
ィジタル信号となる。ここで、上記請求項1乃至請求項
10に係る発明はいずれも騒音を対象としているのに対
し、請求項11乃至請求項20に係る発明は振動を対象
としている。従って、それら請求項11乃至請求項20
に係る発明の作用は、音と振動との違いはあるが、実質
的に上記請求項1乃至請求項10に係る発明と同様であ
る。
【0031】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の第1実施例の全体構成を示す図
であって、この実施例は本発明に係る能動型騒音制御装
置を、車両車室内の騒音の低減を図る車両用能動型騒音
制御装置1に適用したものである。
【0032】先ず、構成を説明すると、この車両用能動
型騒音制御装置1は、騒音源としての路面及び各車輪2
a〜2d(図1には、車両左側の車輪2a,2cのみ図
示している。)間から車室6内に伝達される騒音として
のロード・ノイズを低減する装置である。なお、ロード
・ノイズとは、走行路面上の凹凸を車輪が通過する際の
車輪上下動に起因して発生する騒音であり、通常は多く
の周波数成分を含むランダムノイズである。
【0033】そして、車体9及び各車輪2a〜2d間に
介在するサスペンション10a〜10d(図1には、サ
スペンション10a,10cのみ図示している。)のそ
れぞれには、各サスペンション10a〜10dの上下方
向の振動入力を検出するための加速度センサ5a〜5d
(図1には、加速度センサ5a,5cのみ図示してい
る。)が取り付けられていて、各加速度センサ5a〜5
dが検出したロード・ノイズの発生状態を表す加速度信
号が、基準信号xk (k=1〜K:Kは基準信号xk
個数であり、これは車輪の個数に対応することから、本
実施例ではK=4である。)として、コントローラ20
に供給されるようになっている。
【0034】一方、車室6内には、その車室6内に制御
音を発生する複数のラウドスピーカ7a〜7d(図1に
は、ラウドスピーカ7a,7cのみ図示している。)が
例えば前部座席の足下位置及び後部座席のヘッドレスト
後方に配設されていて、これらラウドスピーカ7a〜7
dは、コントローラ20から供給される駆動信号y
m(m=1〜M:Mはラウドスピーカ7a〜7dの個数
であり、本実施例ではM=4である。)に応じて駆動し
て制御音を発生するようになっている。
【0035】さらに、車室6内の各座席の天井には複数
のマイクロフォン8a〜8dが配設されていて、配設位
置に残留する騒音の音圧を測定し、これを残留騒音信号
l(l=1〜L:Lはマイクロフォン8a〜8dの個
数であって、本実施例ではL=4である。)としてコン
トローラ20に供給するようになっている。ここでコン
トローラ20は、インタフェース回路やマイクロコンピ
ュータ等から構成されていて、供給される基準信号xk
及び残留騒音信号el に基づいて所定の演算処理を実行
し、車室6内に伝達されているロード・ノイズが打ち消
されるような制御音がラウドスピーカ7a〜7dから発
せられるように、各ラウドスピーカ7a〜7dに駆動信
号y1 〜y4 を供給するようになっている。
【0036】コントローラ20は、基本的には、フィル
タ係数可変の適応ディジタルフィルタWkmで各基準信号
k をフィルタ処理(実際には、畳み込み演算)し、そ
の結果を添字m毎に加算することにより駆動信号ym
生成し、それら駆動信号ymを各ラウドスピーカ7a〜
7dに供給する一方、適応ディジタルフィルタWkmのフ
ィルタ係数Wkmi (i=0,1,2,…,I−1:Iは
適応ディジタルフィルタWkmのタップ数)をFilte
red−X LMSアルゴリズムに従って逐次更新する
処理を実行するようになっている。なお、駆動信号ym
の演算処理は下記の(1)式に、通常のFiltere
d−X LMSアルゴリズムにおける適応ディジタルフ
ィルタWkmのフィルタ係数Wkmi の更新演算処理は下記
の(2)式にそれぞれ示すようになる。
【0037】 ただし、αはフィルタ係数Wkmi の最適値への近似速度
やその安定性に関与するパラメータである収束係数であ
り、(n),(n+1),(n−i)が付く項はそれぞ
れサンプリング時刻n,n+1,n−iにおける値であ
ることを表している。また、上記(2)式中のr
klm は、フィルタ係数Wkmi を更新するための基準信号
(更新用基準信号,リファレンス信号)であって、基準
信号xk を、ラウドスピーカ7a〜7d及びマイクロフ
ォン8a〜8d間の伝達関数をモデル化したディジタル
フィルタである伝達関数フィルタC^lmでフィルタ処理
した値に対応する。従って、伝達関数フィルタC^lm
フィルタ係数をC^lmj (j=0,1,2,…,J:J
は伝達関数フィルタC^lmのタップ数である。)とすれ
ば、更新用基準信号rklm は、具体的には、下記の
(3)式により演算される。
【0038】 以上から、本実施例のコントローラ20は、その機能構
成を表すブロック図である図2に示すように構成されて
いる。
【0039】即ち、本実施例のコントローラ20は、ア
ナログ信号として供給される基準信号xk 及び残留騒音
信号el をディジタル信号処理に用いられるように読み
込む信号入力部21A,21Bと、ディジタル信号に変
換された基準信号xk と適応ディジタルフィルタWkm
各フィルタ係数Wkmi とを上記(1)式に従って畳み込
んで且つ添字m毎に加算して駆動信号ym を生成する駆
動信号生成部22と、この駆動信号生成部22が生成し
たディジタル信号としての駆動信号ym をアナログ信号
に変換するD/A変換器23と、ディジタル信号に変換
された基準信号xk と伝達関数フィルタC^lmの各フィ
ルタ係数C^lmj とを上記(3)式に従って畳み込んで
更新用基準信号rklm を生成する更新用基準信号生成部
24と、更新用基準信号rklm 及び残留騒音信号el
基づきLMSアルゴリズムに従って適応ディジタルフィ
ルタWkmのフィルタ係数Wkmi を更新するフィルタ係数
更新部25と、から構成されている。
【0040】これらのうち、信号入力部21A及び21
Bは、その機能構成をブロック図で表した図3に示すよ
うに構成されている。なお、信号入力部21A及び21
Bは同様の構成であるため、以下の説明は一方の信号入
力部21Aについてのみ行うこととする。即ち、信号入
力部21Aは、アナログ信号である基準信号xk のレベ
ルに応じて所定周波数の搬送波の位相を進め又は送らせ
てその位相変調された搬送波(被位相変調波)CWを出
力する位相変調部26と、この被位相変調波CWをディ
ジタル信号に変換するA/D変換器27と、ディジタル
信号に変換された被位相変調波CWをFM復調するディ
ジタルFM復調部28と、から構成されている。
【0041】位相変調部26が行う位相変調(PM)
は、搬送波の振幅は変えずに、入力される基準信号xk
の振幅に応じて搬送波CWの位相を変化させる変調方式
であって、例えば基準信号xk の振幅が正の場合にはそ
の絶対値に応じて搬送波CWの位相が進み、基準信号x
k の振幅が負の場合にはその絶対値に応じて搬送波CW
の位相が遅れるようになっている。従って、結果として
得られる被位相変調波CWは、被FM変調波と同様に瞬
時の周波数が変化するものとなる。
【0042】A/D変換器27は、被位相変調波CWの
振幅が一定であることからその分解能(ビット数)は少
なくてもよい(例えば、4ビット程度でよい)が、被位
相変調波CWの最大周波数を後で再生できる程度のサン
プリング・クロックで動作させる必要がある。そして、
ディジタルFM復調部28は、その機能構成をブロック
図で表した図4に示すように、ディジタル信号に変換さ
れた被位相変調波CWが入力されるFM−AM変換フィ
ルタ28aと、その出力が入力される整流フィルタ28
bと、その出力が入力される平滑フィルタ28cと、そ
の出力が入力される直流成分除去フィルタ28dと、か
ら構成されていて、その直流成分除去フィルタ28dの
出力が所定のサンプリング・クロックでサンプリングさ
れて後の駆動信号生成部22及び更新用基準信号生成部
24におけるディジタル信号処理に用いられるようにな
る。
【0043】FM−AM変換フィルタ28aは、例えば
図5(a)に示すような特性を有するディジタルフィル
タで実現される。具体的には、下記の(4)式で表され
るようなディジタルフィルタとなる。 H(z)=1−z-1 ……(4) ただし、変換の線形性を保つため、搬送波CWの周波数
が図5(a)の網掛け部分に来るように、搬送波CWの
周波数に対してA/D変換器27のサンプリング周波数
は十分に高くすることが必要となる。
【0044】整流フィルタ28bは、具体的には入力信
号の絶対値をとる処理を実行するようになっている。ま
た、平滑フィルタ28cは、位相変調される前の搬送波
CWの周波数成分を除去するフィルタであり、その出力
は基準信号xk に直流成分が重畳されたような波形とな
る。ただし、この場合の平滑フィルタ28cの特性は、
位相変調される前の搬送波CWの周波数が一定であるこ
とから、必ずしもAMラジオで用いられるようなローパ
ス・フィルタをディジタルフィルタで忠実に表現する必
要はなく、その搬送波CWの周波数のみを遮断するよう
な例えば図5(b)に示すような特性のノッチ・フィル
タでよい。具体的には、下記の(5)式で表されるよう
なディジタルフィルタとなる。
【0045】 H(z)=1+z-2 ……(5) ただし、図5(b)の網掛け部分で示された遮断周波数
は、位相変調される前の搬送波CWの周波数ではなく、
その2倍の周波数とする必要がある。その理由は、整流
フィルタ28bで絶対値をとったため、周波数が2倍に
なっているからである。
【0046】そして、直流成分除去フィルタ28dは、
平滑フィルタ28cの処理によって重畳された不要な直
流成分を除去するようになっている。この直流成分除去
フィルタ28dの処理を経た時点で、元の基準信号xk
が復調されたことになる。図6はコントローラ20内で
実行される処理の流れの概要を示すフローチャートであ
り、以下、図6に従って本実施例の動作を説明する。た
だし、車両は走行中であって、車室6内にはロード・ノ
イズが伝達されているものとする。
【0047】即ち、この図6に示す処理は所定のサンプ
リング・クロックに同期して実行されるようになってい
て、先ずそのステップ101において信号入力部21
A,21Bから供給される基準信号xk 及び残留騒音信
号el が読み込まれ、次いでステップ102に移行し、
基準信号xk 及び伝達関数フィルタC^lmに基づき上記
(3)式に従って更新用基準信号rklm が演算される。
次いで、ステップ103に移行し、更新用基準信号r
klm 及び残留騒音信号el に基づき上記(2)式に従っ
て、適応ディジタルフィルタWkmの各フィルタ係数W
kmi が更新される。
【0048】そして、ステップ104に移行し、基準信
号xk 及び適応ディジタルフィルタWkmに基づき上記
(1)式に従って駆動信号ym が演算され、これがステ
ップ105においてD/A変換器23を介して各ラウド
スピーカ7a〜7dに出力される。なお、駆動信号ym
がラウドスピーカ7a〜7dに出力されたら、今回のこ
の処理を終了し、次のサンプリング・クロックのタイミ
ングまで待機した後に、上記ステップ101から再び処
理を実行する。
【0049】このような処理が実行されると、各ラウド
スピーカ7a〜7dにはサンプリング・クロックに同期
して次々と駆動信号ym が供給されるため、車室6内に
はその駆動信号ym に応じた制御音が発生するようにな
るが、制御開始直後は、適応ディジタルフィルタWkm
各フィルタ係数Wkmi が最適値に収束しているとは限ら
ないので、ラウドスピーカ7a〜7dから発せられる制
御音によって、ロード・ノイズが低減されるとはいえな
い。
【0050】しかし、図6に示す処理が繰り返し実行さ
れると、フィルタ係数更新部25がLMSアルゴリズム
に従い適応ディジタルフィルタWkmの各フィルタ係数W
kmiを更新するので、それらフィルタ係数Wkmi は最適
値に向かって収束していき、車室6内に伝達されるロー
ド・ノイズが制御音によって打ち消されるようになり、
車室6内の騒音レベルが低減する。
【0051】そして、本実施例にあっては、基準信号x
k 及び残留騒音信号el を直接ディジタル信号に変換し
てディジタル信号処理に用いるのではなく、信号入力部
21A,21Bにおいて被位相変調波CWに変換した後
にディジタル信号に変換し、それからディジタル信号処
理に用いることとしているため、10ビット,12ビッ
ト等の多ビットのA/D変換器27を用いなくても、例
えば100Hz以上の高周波成分の分解能を十分に得る
ことができる。つまり、振幅一定の被位相変調波CWを
ディジタル信号に変換できればよいのであるから、せい
ぜい3〜4ビット程度のA/D変換器27で十分であ
り、その結果、回路基板の合理化,小型化及びコストの
削減が図られるのである。
【0052】特に、本実施例では、基準信号xk ,残留
騒音信号el を位相変調方式により搬送波の周期に変換
し、その被位相変調波CWをディジタル信号に変換し、
その後にFM復調方式により元の振幅を再生しているた
め、その再生された基準信号xk ,残留騒音信号e
l は、アナログ信号であった元の信号に比べて高周波帯
域が強調されるようになる。その理由は、上述したよう
に、PM変調方式とFM変調方式とを比較すると、高周
波帯域の周波数偏移がPM変調方式の方が大きいからで
ある。
【0053】そして、再生された信号で高周波が強調さ
れればそこが重点的に制御されることになるが、低減対
象としてのロード・ノイズは、低周波成分よりも100
Hz以上の高周波成分が人間に聞こえ易く不快感を与え
ることが判っている。つまり、本実施例のように、PM
変調方式とFM復調方式とを組み合わせるだけで、ロー
ド・ノイズのような周波数特性を有する騒音を低減する
上で効率的なディジタル信号処理が実行されるようにな
る。なお、ロード・ノイズに限らなくても、一般的な騒
音や振動は高周波成分の方がレベルが低い傾向にあるか
ら、特別な強調フィルタ等を設けなくても高周波成分を
強調できる本実施例の構成は特に有効である。
【0054】さらに、本実施例では、ディジタルFM復
調部28を、図4に示すように複数のフィルタ28a〜
28dによって実現しているが、個々の演算は非常に簡
易であるから、アナログのFM信号をAM信号に復調す
る公知のFM復調器をそのままディジタル信号の復調に
転用する場合に比べて、処理の複雑化や信頼性の低下を
招かないという利点がある。
【0055】ここで、本実施例では、ラウドスピーカ7
a〜7dが制御音源に対応し、マイクロフォン8a〜8
dが残留騒音検出手段に対応し、加速度センサ5a〜5
dが基準信号生成手段に対応し、駆動信号生成部22,
更新用基準信号生成部24,フィルタ係数更新部25及
びステップ102〜104の処理がディジタル信号処理
手段に対応し、位相変調部26がレベル周期変換手段並
びに位相変調手段に対応し、A/D変換器27がディジ
タル信号変換手段に対応し、ディジタルFM復調28が
ディジタルFM復調手段に対応する。
【0056】図7は本発明の第2実施例を示す図であ
り、上記第1実施例の図3と同様に信号入力部21Aの
機能構成を示すブロック図である。なお、その他の構成
は上記第1実施例と同様であるため、その図示及び説明
は省略し、また上記第1実施例と同様の構成には同じ符
号を付し、その重複する説明は省略する。即ち、本実施
例では、上記第1実施例のA/D変換器27に代えて周
期測定カウンタ30を設けている。この周期測定カウン
タ30は、被位相変調波CWの一周期をクロックパルス
P の間隔で計数するカウンタであり、他のディジタル
信号処理を実行するマイクロプロセッサに内蔵されたカ
ウンタを利用すれば十分である。なお、この周期測定カ
ウンタ30に入力されるクロックパルスCP は、そのマ
イクロプロセッサの動作クロックを分周したものでよ
い。
【0057】そして、周期測定カウンタ30の計数値C
Tが周期レベル変換部31に入力さるようになってい
る。なお、周期レベル変換部31は、入力される計数値
CTを信号レベルに復調し、その結果をディジタル信号
としての基準信号xk として後段のディジタル信号処理
部に供給するようになっている。つまり、基準信号xk
及び残留騒音信号el の振幅を搬送波CWの周期に変換
する構成である以上、その搬送波CWの周期のみが必要
な情報であって、その振幅は意味のない情報であるか
ら、本実施例のように周期情報を周期測定カウンタ30
によって抽出する構成であっても、騒音低減制御が可能
なのである。
【0058】そして、A/D変換器に代えて周期測定カ
ウンタ30を用いれば、回路基板の一層の単純化・小型
化及びコストの削減が可能となる。ここで、周期測定カ
ウンタ30で測定される周期は、周波数一定の搬送波を
位相変調したものであるから、平均的には変調前の搬送
波の周期に一致するが、その最大周期は、基準信号
k ,残留騒音信号el の振幅の大きさと、位相変調の
周波数偏移によって決まってくる。そして、その最大周
期が、後段のディジタル信号処理部のサンプリング周期
よりも長いと、そのディジタル信号処理部のサンプリン
グ時に計数が終了しておらず、正確な周期が求められな
い場合が生じてしまう。
【0059】そこで、本実施例では、被位相変調波CW
の最大周期が後段のディジタル信号処理部のサンプリン
グ周期よりも短くなるように、基準信号xk ,残留騒音
信号el の振幅の大きさを考慮しつつ、位相変調の周波
数偏移を選定している。この結果、ディジタル信号処理
部のサンプリングの際に周期が得られていないという事
態を避けることができる。
【0060】その他の作用効果は、上記第1実施例と同
様である。ここで、本実施例では、周期測定カウンタ3
0がカウント手段並びにディジタル信号変換手段に対応
する。図8及び図9は本発明の第3実施例を示す図であ
り、図8は上記第1実施例の図3と同様に信号入力部2
1Aの機能構成を示すブロック図である。なお、その他
の構成は上記第1実施例と同様であるため、その図示及
び説明は省略し、また上記第1実施例又は第2実施例と
同様の構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省
略する。
【0061】即ち、本実施例では、位相変調部26の入
力側に配設され且つ調整指示信号SAに同期して一時的
に入力信号を遮断する入力遮断スイッチ35と、周期測
定カウンタ30の出力側に配設され且つ調整指示信号S
Aに同期して信号の出力先を切り換える出力切換スイッ
チ36と、この出力切換スイッチ36の状態が通常の状
態から切り換わった場合に周期測定カウンタ30から計
数値CTが供給されそれを記憶する周期メモリ37と、
が設けられている。また、周期メモリ37は、記憶して
いる最新の計数値CTを、周期レベル変換部31に供給
するようになっている。
【0062】そして、本実施例では、被位相変調波CW
の最大周期が後段のディジタル信号処理部のサンプリン
グ周期の1/3よりも短くなるように、基準信号xk
残留騒音信号el の振幅の大きさを考慮しつつ、位相変
調の周波数偏移を選定している。従って、基準信号xk
と、被位相変調波CWと、ディジタル信号処理部のサン
プリング・クロックSCとの関係は、例えば図9に示す
ようになる。
【0063】このような構成であると、調整指示信号S
Aが入力された時点で、位相変調部26に入力される基
準信号xk は図9に一点鎖線で示すように一時的にゼロ
になる。すると、周期測定カウンタ30は、全く位相変
調がされていない搬送波CWの周期Bを計数することに
なり、その時の計数値CTは、出力切換スイッチ36に
よって周期メモリ37に供給され記憶されることにな
る。
【0064】つまり、周期メモリ37には、位相変調前
の搬送波CWの実際の周期が記憶されていることになる
から、調整指示信号SAが入力されなくなって通常の状
態になり、周期レベル変換部36に計数値CTが供給さ
れるようになると、その周期レベル変換部36は周期メ
モリ37に記憶されている値を参照することにより、周
期レベル変換部36の変換基準の自動調整が行われ、そ
の変換精度が向上するという利点がある。
【0065】ここで、被位相変調波CWの最大周期をデ
ィジタル信号処理部のサンプリング周期の1/3よりも
短くした理由を、図9を伴って説明する。先ず、最新の
サンプリング・クロックSCn で使用するために被位相
変調波CWの一つの周期Aを測定した後に調整指示信号
SAが発せられたとすると、上述のように入力遮断スイ
ッチ35,出力切換スイッチ36の状態が切り換わり、
基準信号xk は遮断され、計数値CTは周期メモリ37
に供給されるようになるが、信号の立ち下がり時間を考
慮すると、周期メモリ37には、周期Aの直後の周期で
はなく、その次の周期Bの計数値CTが供給されること
になる。
【0066】次に、周期Bの計数値CTが計数された
ら、調整指示信号SAが打ち切られて入力遮断スイッチ
35,出力切換スイッチ36は元の状態に戻るが、信号
の立ち上がり時間を考慮すると、次に計数される周期
は、周期Bの直後の周期ではなく、その次の周期Cであ
る。従って、各サンプリング・クロックSCn-1 ,SC
n ,SCn+1 …の時点で被位相変調波CWの実際の計数
値CTが得られるとともに、上述のような変換基準の自
動調整を確実に行うためには、少なくとも各サンプリン
グ・クロックSCの間隔が、被位相変調波CWの周期の
3倍を越えている必要がある。つまり、被位相変調波C
Wの周期は、ディジタル信号処理部のサンプリング周期
の1/3よりも短くなっていることが必要となるのであ
る。
【0067】なお、位相変調部26による周波数偏移が
大きいため、被位相変調波CWの周期がディジタル信号
処理部のサンプリング周期の1/3よりも長くなること
が考えられる場合には、被位相変調波CWの周期が、位
相変調前の搬送波の周期よりも短い場合(例えば、基準
信号xk ,残留騒音信号el が正の場合)にのみ、調整
指示信号SAを出力するようにすればよい。
【0068】図10及び図11は本発明の第4実施例を
示す図であり、図10は上記第1実施例の図3,上記第
2実施例の図7と同様に、信号入力部21Aの機能構成
を示すブロック図である。なお、その他の構成は上記第
1実施例と同様であるため、その図示及び説明は省略
し、また上記第1実施例又は第2実施例と同様の構成に
は同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0069】即ち、本実施例の信号入力部21Aは、上
記第2実施例の周期測定カウンタ30及び周期レベル変
換部31を、周期測定カウンタ30A,30B及び周期
レベル変換部31A,31Bとして二系統有していて、
それぞれの系が上記第2実施例と同様に構成され且つ同
様に作用するようになっている。ただし、図11に示す
ように、一方の周期測定カウンタ30Aは、被位相変調
波CWの正側のピーク間の周期を計数するようになって
おり、他方の周期測定カウンタ30Bは、被位相変調波
CWの負側のピーク間の周期を計数するようになってい
る。つまり、それら周期測定カウンタ30A及び30B
の計数開始点を、被位相変調波CWの半周期分だけずら
しているのである。
【0070】このような構成であれば、二つの周期測定
カウンタ30A及び30Bが、被位相変調波CWの半周
期毎に交互に計数値CTA ,CTB を出力するから、信
号入力部21Aからは、上記第2実施例に比べて半分の
間隔でディジタル信号に変換された基準信号xk をディ
ジタル信号処理部に供給することができる。従って、デ
ィジタル信号処理部の動作クロックを、上記第2実施例
の場合に比べて倍にすることができる。逆に、ディジタ
ル信号処理部の動作クロックはそのままで、被位相変調
波CWの基本周波数を低く設定し、クロックパルスCP
の周期も低くして、回路全体の動作クロックを下げて安
定化を図ることができる。
【0071】なお、周期測定カウンタは三つ以上設けて
もよいし、例えば三つ設けた場合には、各周期測定カウ
ンタの計数開始点を、被位相変調波CWの1/3周期ず
つずらせばよい。図12は本発明の第5実施例を示す図
である。なお、その他の構成は上記第1実施例と同様で
あるため、その図示及び説明は省略し、また上記各実施
例と同様の構成には同じ符号を付し、その重複する説明
は省略する。
【0072】即ち、本実施例では、信号入力部21Bの
入力側にチャンネル切換器40を配設し、これによりL
個の残留騒音信号el のうちの一つの残留騒音信号e*
(*=1,2,…,L)が信号入力部21Bを介してデ
ィジタル信号処理部のフィルタ係数更新部25に供給す
るようになっている。チャンネル切換器40は、例えば
後段のディジタル信号処理部のサンプリング・クロック
に同期したパルス列でなるチャンネル指示信号CCe
応じて残留騒音信号el のうちの一つの残留騒音信号e
* を順番に且つ繰り返し選択するようになっている。具
体的には、チャンネル指示信号CCe は、幅の広いパル
スをL回の1回の割合で含むパルス列からなり、チャン
ネル切換器40は、幅の広いパルスが入力されるタイミ
ングでカウンタを1にセットし、幅の狭いパルスが入力
されるタイミングでカウンタをインクリメントするよう
になっていて、そのカウンタの値に応じて残留騒音信号
l のうちの一つの残留騒音信号e* を、e1 ,e2
…,eL ,e1 ,…、という具合に順番に選択して次々
と出力するようになっている。
【0073】一方、フィルタ係数更新部25は、各サン
プリング時刻毎に一つずつ入力される残留騒音信号e*
に基づいてLMSアルゴリズムを実行して、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新する。ただし、ある
サンプリング時刻には一つの残留騒音信号e* の値しか
更新演算に用いられないことから、ここではエラースキ
ャンニング・アルゴリズム(例えば、本出願人等が先に
提案した特開平3−274897号公報や、“日本音響
学会講演論文集”平成2年3月「アクティブ・ノイズコ
ントロール・チェアー」等に詳しい。)が実行されるこ
とになる。
【0074】そして、本実施例の構成であれば、信号入
力部21B以降の構成が1チャンネルで済むから、配線
類等を含んだ回路基板の構成をさらに簡単にすることが
できるという利点がある。その他の作用効果は、上記各
実施例と同様である。ここで、本実施例では、チャンネ
ル切換器40が入力選択手段に対応し、チャンネル指示
信号CCe 及びその出力回路が状態切換手段に対応す
る。
【0075】図13は本発明の第6実施例を示す図であ
る。なお、その他の構成は上記第1実施例と同様である
ため、その図示及び説明は省略し、また上記各実施例と
同様の構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省
略する。即ち、本実施例は、上記第5実施例と同様の構
成を基準信号xk の入力側に設けたものであり、信号入
力部21Aの入力側にチャンネル切換器41を設け、そ
のチャンネル切換器41の状態をチャンネル指示信号C
x によって切り換えるようになっている。各部の動作
は、上記第5実施例と同様である。
【0076】そして、本実施例の構成であれば、信号入
力部21A以降の構成が1チャンネルで済むから、配線
類等を含んだ回路基板の構成をさらに簡単にすることが
できるという利点がある。その他の作用効果は、上記各
実施例と同様である。ここで、本実施例では、チャンネ
ル切換器41が入力選択手段に対応し、チャンネル指示
信号CCx 及びその出力回路が状態切換手段に対応す
る。
【0077】図14は本発明の第7実施例を示す図であ
り、信号入力部21Aの構成を示している。ただし、図
14は複数の基準信号xk のうちの一つの基準信号x*
(*=1,2,…,K)に関する部分のみを示してい
る。なお、信号入力部21Bの構成もこれと同様である
ため、その図示及び説明は省略するとともに、その他の
構成は上記第1実施例と同様であるため、その図示及び
説明は省略し、また上記各実施例と同様の構成には同じ
符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0078】即ち、本実施例の信号入力部21Aは、ラ
ッチ信号RSが入力されるタイミングで開状態(遮断状
態)となり且つ一方の端子に基準信号x* が入力される
スイッチ45と、このスイッチ45の他方の端子及び接
地間に介在するコンデンサ46と、このコンデンサ46
と並列に配置された抵抗器47と、スイッチ45及びコ
ンデンサ46間の電位を反転するインバータ48と、ラ
ッチ信号RS及びインバータ48の出力が入力されるカ
ウンタ49と、このカウンタ49の計数値CTが入力さ
れる周期レベル変換部31と、から構成されている。
【0079】ラッチ信号RSは、図示しないラッチ信号
生成回路から供給されていて、ディジタル信号処理部の
サンプリング・クロックに同期したパルス信号である。
また、カウンタ49は、ラッチ信号RSが入力された時
点からインバータ48の出力が論理値“1”(HIGH
レベル)となるまでの時間を、クロックパルスCP の間
隔で計数してその結果を計数値CTとして出力するカウ
ンタである。
【0080】このような構成であると、スイッチ45が
閉状態の間はコンデンサ46は基準信号x* のレベルに
応じた電圧まで充電されるが、ラッチ信号RSが入力さ
れてスイッチ45が開状態となると、コンデンサ46に
はそのラッチ信号RSが入力された瞬間の基準信号x*
のレベルに応じた電圧が保持されることになる。ラッチ
信号RSはカウンタ49の開始信号でもあるため、基準
信号x* の瞬時値が保持された瞬間からカウンタ49は
計数を開始する。その一方で、コンデンサ46の電圧は
抵抗器47を介して放電され徐々に減衰するが、コンデ
ンサ46の電圧が所定電圧よりも高い状態ではインバー
タ48の出力は論理値“0”であるため、カウンタ49
は計数を継続する。しかし、コンデンサ46の電圧がさ
らに低下して所定電圧よりも低くなると、インバータ4
8の出力は反転して論理値“1”となり、その時点でカ
ウンタ49は計数を停止し、計数値CTが周期レベル変
換部31に供給される。周期レベル変換部31は、入力
される計数値CTを信号レベルに復調し、その結果をデ
ィジタル信号としての基準信号x* として後段のディジ
タル信号処理部に供給する。
【0081】つまり、カウンタ49は、基準信号x*
瞬時値が保持されてから所定値に減衰するまでの時間を
計測するようになっており、その計測される時間は結局
のところ基準信号x* の瞬時値の大きさによって決まる
ことになる。従って、本実施例の信号入力部21Aによ
れば、非常に簡易な構成で、基準信号x* のレベルを周
期信号としての計数値CTに変換し、これを復調してデ
ィジタル信号処理部に入力することができるから、上記
各実施例よりも回路基板の構造をさらに簡略化すること
ができる。
【0082】特に本実施例では、カウンタ49により時
間を計測する構成としたため、極めて簡易な構造で済む
という利点がある。ここで、本実施例では、スイッチ4
5及びコンデンサ46が瞬時値保持手段に対応し、抵抗
器47が減衰手段に対応し、カウンタ49が周期計測手
段並びにカウント手段に対応する。
【0083】なお、上記各実施例では、制御対象となる
騒音をロード・ノイズとしているが、低減し得る騒音は
これに限定されるものではなく、例えばエアコンディシ
ョナで発生する空調騒音,吸気管や排気管で発生する吸
排気騒音,ドアミラー位置で発生する風切り音等を対象
としてもよい。ただし、その場合には、騒音の発生状態
を表す基準信号を適宜検出する必要があり、例えば空調
騒音であればエアコンプレッサの回転に同期した信号を
基準信号とすればよく、吸排気騒音であればエンジンの
回転に起因することからエンジンのクランク軸の回転に
同期した信号を基準信号とすればよく、風切り音であれ
ばドアミラーに振動ピックアップを固定してその出力を
基準信号とすればよい。
【0084】また、上記各実施例では、制御対象を騒音
としているが、低減の対象は騒音に限定されるものでは
なく、例えば、サスペンション10a〜10d及び車体
間に能動的な制御力を発生する制御アクチュエータを介
在させるとともに、その車体側に残留振動を検出する加
速度センサ(残留振動検出手段)を配設し、そして、か
かる制御アクチュエータを上記実施例と同様の基準信号
k 及び加速度センサの出力信号(残留振動信号)に基
づいて制御すれば、各サスペンション10a〜10dか
ら車体側に伝達される振動を低減し得る車両用能動型振
動制御装置となる。
【0085】そして、本発明の適用対象は車両に限定さ
れるものではなく、例えば航空機や建物の室内の騒音を
低減する能動型騒音制御装置や、工作機から床に伝達さ
れる振動を低減する能動型振動制御装置に適用してもよ
い。さらに、上記各実施例では、適応アルゴリズムとし
てLMSアルゴリズム(Filtered−X LMS
アルゴリズム)を適用した場合について説明したが、そ
の他の適応アルゴリズム、例えば同期式Filtere
d−X LMSアルゴリズム(日本音響学会講演論文集
平成4年3月の515〜516頁に詳しい)や、伝達
関数フィルタC^を制御中に同定する処理を備えた適応
アルゴリズム等であってもよい。
【0086】また、上記各実施例では、レベル周期変換
手段として位相変調部26を設けた場合について説明し
ているが、入力信号のレベルを搬送波の周期に変換する
手段は位相変調方式に限定されるものではなく、例えば
通常のFM変調方式であってもよい。そして、上記第4
実施例では、上記第2実施例の構成を並列に設けた場合
について説明しているが、上記第3実施例の構成を並列
に設けてもよい。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び請求
項11に係る発明によれば、アナログ信号である基準信
号,残留騒音信号,残留振動信号のレベルを所定信号の
周期に変換し、その変換された信号をディジタル信号に
変換して、騒音低減制御,振動低減制御のためのディジ
タル信号処理に用いる構成としたため、多ビットのA/
D変換器が不要となり、回路基板の合理化,小型化及び
コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0088】特に、請求項2及び請求項12に係る発明
によれば、特別な強調フィルタ等を設けなくても高周波
成分を強調することができるから、高調波成分の方がレ
ベルが低い傾向にある一般的な騒音や振動を低減する制
御にとって、効率的なディジタル信号処理を実行できる
という効果がある。また、請求項3及び請求項13に係
る発明によれば、所謂A/D変換器も不要となるため、
さらなる回路基板の合理化,小型化及びコストの削減を
図ることができるという効果がある。
【0089】そして、請求項4及び請求項14に係る発
明によれば、アナログ信号である基準信号,残留騒音信
号,残留振動信号を、カウント手段を一つ設けた場合に
比べて数分の一の間隔でディジタル信号に変換してディ
ジタル信号処理手段に供給することができるという効果
がある。従って、ディジタル信号処理手段の動作クロッ
クを、数倍にすることができる、或いはディジタル信号
処理部の動作クロックはそのままで、回路全体の動作ク
ロックを下げて安定化を図ることができる。
【0090】さらに、請求項5及び請求項15に係る発
明によれば、ディジタル信号処理手段が必要なデータを
取り込む際に周期が得られていないという事態を確実に
避けることができるという効果がある。特に、請求項6
及び請求項16に係る発明によれば、そのような効果に
加えて、被搬送波の基本周期の補正等を行うことができ
るという効果がある。
【0091】また、請求項7,請求項8,請求項17及
び請求項18に係る発明によれば、基準信号生成手段,
残留騒音信号検出手段,残留振動信号検出手段を複数備
える場合であっても、配線類等を含んだ回路基板の構成
をさらに簡単にすることができるという効果がある。そ
して、請求項9及び請求項19に係る発明によれば、非
常に簡易な構造で、アナログ信号である基準信号,残留
騒音信号,残留振動信号を所定信号の周期に変換し、こ
れをディジタル信号に変換することができるから、回路
基板の構造を非常に簡易にできるという効果がある。特
に、請求項10及び請求項20に係る発明であれば、極
めて簡易な構造が実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における全体構成図であ
る。
【図2】第1実施例におけるコントローラの機能構成を
示すブロック図である。
【図3】第1実施例における信号入力部の機能構成を示
すブロック図である。
【図4】ディジタルFM復調部の機能構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】各フィルタの通過特性を示す周波数特性図であ
る。
【図6】第1実施例のコントローラ内で実行される処理
の概要を示すフローチャートである。
【図7】第2実施例における信号入力部の機能構成を示
すブロック図である。
【図8】第3実施例における信号入力部の機能構成を示
すブロック図である。
【図9】第3実施例の作用を説明する波形図である。
【図10】第4実施例における信号入力部の機能構成を
示すブロック図である。
【図11】第4実施例の作用を説明する波形図である。
【図12】第5実施例の特徴部分を示すブロック図であ
る。
【図13】第6実施例の特徴部分を示すブロック図であ
る。
【図14】第7実施例における信号入力部の機能構成を
示すブロック図である。
【符号の説明】
1 車両用能動型騒音制御装置 5a,5c 加速度センサ(基準信号生成手段) 7a,7c ラウドスピーカ(制御音源) 8a〜8d マイクロフォン(残留騒音検出手段) 20 コントローラ 21A,21B 信号入力部 22 駆動信号生成部 24 更新用基準信号生成部 25 フィルタ係数更新部 26 位相変調部(レベル周期変換手段,位相変
調手段) 27 A/D変換器(ディジタル信号変換手段) 28 ディジタルFM復調部(ディジタルFM復
調手段) 30 周期測定カウンタ(ディジタル信号変換手
段,カウント手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G10K 11/16 H03H 21/00 8842−5J

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源から発せられた騒音と干渉する制
    御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状
    態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段
    と、前記制御音源による干渉後の残留騒音を検出し残留
    騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記基準
    信号及び前記残留騒音信号に基づき前記干渉後の騒音が
    低減するように前記制御音源を駆動する駆動信号を生成
    する処理を実行するディジタル信号処理手段と、を備え
    た能動型騒音制御装置において、入力信号のレベルを搬
    送波の周期に変換するレベル周期変換手段と、このレベ
    ル周期変換手段の出力をディジタル信号に変換するディ
    ジタル信号変換手段と、を設けるとともに、前記基準信
    号及び前記残留騒音信号のうちの少なくとも一方を前記
    レベル周期変換手段及びディジタル信号変換手段を介し
    て前記ディジタル信号処理手段に供給することを特徴と
    する能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 前記レベル周期変換手段を入力信号のレ
    ベルに応じて搬送波の位相を変化させる位相変調手段と
    するとともに、前記ディジタル信号変換手段の出力を復
    調するディジタルFM復調手段を設け、前記ディジタル
    FM復調手段の出力を前記ディジタル信号処理手段に供
    給する請求項1記載の能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記ディジタル信号変換手段は、前記レ
    ベル周期変換手段から出力される信号の一周期を所定ク
    ロックの間隔で計数しその計数結果を出力するカウント
    手段である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の能
    動型騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 前記カウント手段を複数設けるととも
    に、それらカウント手段の計数開始時点を互いにずらし
    た請求項3記載の能動型騒音制御装置。
  5. 【請求項5】 前記レベル周期変換手段から出力される
    信号の最大周期を、前記ディジタル信号処理手段のサン
    プリング周期よりも短くした請求項3又は請求項4記載
    の能動型騒音制御装置。
  6. 【請求項6】 前記レベル周期変換手段から出力される
    信号の最大周期を、前記ディジタル信号処理手段のサン
    プリング周期の1/3よりも短くした請求項5記載の能
    動型騒音制御装置。
  7. 【請求項7】 前記基準信号生成手段を複数備えるとと
    もに、それら複数の基準信号生成手段の出力のうちのい
    ずれか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力す
    る入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換え
    る状態切換手段と、を設けた請求項1乃至請求項6記載
    の能動型騒音制御装置。
  8. 【請求項8】 前記残留騒音検出手段を複数備えるとと
    もに、それら複数の残留騒音検出手段の出力のうちのい
    ずれか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力す
    る入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換え
    る状態切換手段と、を設けた請求項1乃至請求項7記載
    の能動型騒音制御装置。
  9. 【請求項9】 騒音源から発せられた騒音と干渉する制
    御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状
    態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段
    と、前記制御音源による干渉後の残留騒音を検出し残留
    騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記基準
    信号及び前記残留騒音信号に基づき前記干渉後の騒音が
    低減するように前記制御音源を駆動する駆動信号を生成
    する処理を実行するディジタル信号処理手段と、を備え
    た能動型騒音制御装置において、入力信号の瞬時値を保
    持する瞬時値保持手段と、この瞬時値保持手段が保持し
    た値を減衰させる減衰手段と、前記瞬時値が保持されて
    から所定値に減衰するまでの周期を計測する周期計測手
    段と、を設けるとともに、前記基準信号及び前記残留騒
    音信号のうちの少なくとも一方を前記瞬時値保持手段,
    減衰手段及び周期計測手段を介して前記ディジタル信号
    処理手段に供給することを特徴とする能動型騒音制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記周期計測手段は、前記瞬時値が保
    持されてから所定値に減衰するまでの周期を所定クロッ
    クの間隔で計数しその計数結果を出力するカウント手段
    である請求項9記載の能動型騒音制御装置。
  11. 【請求項11】 振動源から発せられた振動と干渉する
    制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
    発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
    手段と、前記制御振動源による干渉後の残留振動を検出
    し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、前
    記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記干渉後の
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する駆動信
    号を生成する処理を実行するディジタル信号処理手段
    と、を備えた能動型振動制御装置において、入力信号の
    レベルを搬送波の周期に変換するレベル周期変換手段
    と、このレベル周期変換手段の出力をディジタル信号に
    変換するディジタル信号変換手段と、を設けるととも
    に、前記基準信号及び前記残留振動信号のうちの少なく
    とも一方を前記レベル周期変換手段及びディジタル信号
    変換手段を介して前記ディジタル信号処理手段に供給す
    ることを特徴とする能動型振動制御装置。
  12. 【請求項12】 前記レベル周期変換手段を入力信号の
    レベルに応じて搬送波の位相を変化させる位相変調手段
    とするとともに、前記ディジタル信号変換手段の出力を
    復調するディジタルFM復調手段を設け、前記ディジタ
    ルFM復調手段の出力を前記ディジタル信号処理手段に
    供給する請求項11記載の能動型振動制御装置。
  13. 【請求項13】 前記ディジタル信号変換手段は、前記
    レベル周期変換手段から出力される信号の一周期を所定
    クロックの間隔で計数しその計数結果を出力するカウン
    ト手段である請求項11又は請求項12のいずれかに記
    載の能動型振動制御装置。
  14. 【請求項14】 前記カウント手段を複数設けるととも
    に、それらカウント手段の計数開始時点を互いにずらし
    た請求項13記載の能動型振動制御装置。
  15. 【請求項15】 前記レベル周期変換手段から出力され
    る信号の最大周期を、前記ディジタル信号処理手段のサ
    ンプリング周期よりも短くした請求項13又は請求項1
    4記載の能動型振動制御装置。
  16. 【請求項16】 前記レベル周期変換手段から出力され
    る信号の最大周期を、前記ディジタル信号処理手段のサ
    ンプリング周期の1/3よりも短くした請求項15記載
    の能動型振動制御装置。
  17. 【請求項17】 前記基準信号生成手段を複数備えると
    ともに、それら複数の基準信号生成手段の出力のうちの
    いずれか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力
    する入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換
    える状態切換手段と、を設けた請求項11乃至請求項1
    6記載の能動型振動制御装置。
  18. 【請求項18】 前記残留振動検出手段を複数備えると
    ともに、それら複数の残留振動検出手段の出力のうちの
    いずれか一つを選択して前記レベル周期変換手段に入力
    する入力選択手段と、この入力選択手段の状態を切り換
    える状態切換手段と、を設けた請求項11乃至請求項1
    7記載の能動型振動制御装置。
  19. 【請求項19】 振動源から発せられた振動と干渉する
    制御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動
    発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
    手段と、前記制御振動源による干渉後の残留振動を検出
    し残留振動信号として出力する残留振動検出手段と、前
    記基準信号及び前記残留振動信号に基づき前記干渉後の
    振動が低減するように前記制御振動源を駆動する駆動信
    号を生成する処理を実行するディジタル信号処理手段
    と、を備えた能動型振動制御装置において、入力信号の
    瞬時値を保持する瞬時値保持手段と、この瞬時値保持手
    段が保持した値を減衰させる減衰手段と、前記瞬時値が
    保持されてから所定値に減衰するまでの周期を計測する
    周期計測手段と、を設けるとともに、前記基準信号及び
    前記残留振動信号のうちの少なくとも一方を前記瞬時値
    保持手段,減衰手段及び周期計測手段を介して前記ディ
    ジタル信号処理手段に供給することを特徴とする能動型
    振動制御装置。
  20. 【請求項20】 前記周期計測手段は、前記瞬時値が保
    持されてから所定値に減衰するまでの周期を所定クロッ
    クの間隔で計数しその計数結果を出力するカウント手段
    である請求項19記載の能動型振動制御装置。
JP6203714A 1994-08-29 1994-08-29 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 Pending JPH0869287A (ja)

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