JPH086875Y2 - トンネル支保工における吹付材の剥離容易化装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、NATMトンネルの吹付材施工において、Ｈ型
鋼の支保工に表面に付着した吹付材の剥離を容易化する
ための装置に関するものである。

「従来の技術、考案が解決せんとする問題点」 従来、NATMトンネルにおいては、地山にセメントを主
剤とする急結性の吹付材料を吹付けた上で二次巻きコン
クリート覆工を行うが、その際にＨ型鋼の支保工に表面
にも吹付け材料が付着し、これが付着したまま二次巻き
コンクリート覆工を行うと、その強度等に悪影響を及ぼ
すため、付着した吹付材料をパックホー等により削り取
っている。

バックホーではショベルアームの微妙な操作が不可能
であるため、削り取り作業中にＨ型鋼の支保工に振動や
衝撃を加え、支保工のみならず地山や吹付材層を損傷さ
せることが少なくなく、また高度が操作技術を要求され
るオペレータが必要となるなどの問題があった。

そのため従来、ゴムまたは合成樹脂のシートの素材中
に磁性粉末を混入したり、シート中に磁石片を埋設した
りしてシートに磁性を帯びさせ、このシートをＨ型鋼の
支保工の表面に磁着させてこれに吹付材料を付着させ、
吹付施工後に吹付材料をシートと共に剥離するようにし
た方法も知られている（実開昭63−198699号）。

しかし、このような磁性シートを製造するのにコスト
がかかる上に、支保工の表面にシートを磁気で取付ける
施工も非常に手間がかかるなどの問題がある。

「問題点を解決するための手段」 この考案は前記従来の課題を解決するために、トンネ
ル支保工１の表面に合成樹脂皮膜２を塗布または吹付に
より塗着してなる吹付材の剥離容易化装置を提案するも
のである。

「作用」 吹付施工後、吹付材３が付着した合成樹脂皮膜２を剥
離することにより、Ｈ型鋼の表面から合成樹脂皮膜２と
共に吹付材３を極めて容易に、しかも支保工等に振動を
与えることなく安全に剥離することができる。

さらに合成樹脂は、吹付または塗布の塗装方法により
Ｈ型鋼の支保工１の表面に極めて簡単に皮膜状に塗着す
ることができる。

「実施例」 以下この考案を図面に示す実施例について説明する
と、Ｈ型鋼の支保工１にはこれを坑内に搬入する前等、
事前にその表面に吹付或いは塗布の塗装方法によりポリ
エチレン、塩化ビニール等の合成樹脂皮膜２が塗着され
ている。

このように合成樹脂皮膜２を被覆した支保工１を建込
み、吹付材３の吹付施工後において合成樹脂皮膜２をこ
れに付着した吹付材３と共に剥離する。

「考案の効果」 以上の通りこの考案によれば、吹付施工後、吹付材が
付着した合成樹脂皮膜を剥離することにより、Ｈ型鋼の
表面から合成樹脂皮膜と共に吹付材を極めて容易かつ迅
速に、しかも支保工等に振動や衝撃などを与えることな
く安全に剥離することができる。

また、特殊な技能者や機械を要することなく単純労働
により剥離することが可能で、経済的である。

さらに合成樹脂は、安価で一般的な液状のものを使用
でき、吹付または塗布の塗装方法によりＨ型鋼表面に極
めて簡単に皮膜状に塗着することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るトンネルの縦断正面図、第２図
はこの考案による合成樹脂皮膜の被覆状態を示す部分縦
断正面図、第３図はこの考案の合成樹脂皮膜の剥離状態
を示す部分縦断正面図である。 １…支保工、２…合成樹脂皮膜、３…吹付材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】トンネル支保工の表面に合成樹脂皮膜を塗
   布または吹付により塗着してなることを特徴とするトン
   ネル支保工における吹付材の剥離容易化装置。