JPH0864535A - プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置 - Google Patents

プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置

Info

Publication number
JPH0864535A
JPH0864535A JP21520994A JP21520994A JPH0864535A JP H0864535 A JPH0864535 A JP H0864535A JP 21520994 A JP21520994 A JP 21520994A JP 21520994 A JP21520994 A JP 21520994A JP H0864535 A JPH0864535 A JP H0864535A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
substrate
film
source gas
high frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP21520994A
Other languages
English (en)
Inventor
Suzuya Yamada
鈴弥 山田
Ryozo Nonogaki
良三 野々垣
Tetsuya Wada
徹也 和田
Shinji Nakai
進治 中居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP21520994A priority Critical patent/JPH0864535A/ja
Publication of JPH0864535A publication Critical patent/JPH0864535A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 2種類の原料ガスを用いたプラズマCVD法
による成膜において、形成される膜の微細組織、化学組
成の制御性を向上させ、高品質で化学量論比に近い薄膜
を低温で成膜可能とする。 【構成】 第1の原料ガスのプラズマ中に、第2の原料
ガスのプラズマを到達させることなく、第2の原料ガス
のラジカルのみを供給して、第1の原料ガスのイオン・
ラジカルと第2の原料ガスのラジカルとを反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマCVD法によ
る成膜技術に関する。更に詳しくは、プラズマ励起した
複数の原料ガスの反応を利用した成膜技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラズマCVD法による実用的な
成膜技術としては、平行平板電極による高周波2極放電
型のプラズマ発生装置を用いた成膜技術が代表的なもの
として知られている。
【0003】上記平行平板電極による高周波2極放電型
のプラズマ発生装置を用いたプラズマCVD装置は、図
6に示されるように、真空容器101内に設けられた一
対の平行平板電極102,103の一方をグランド電位
とし、他方に高周波電源104から高周波を印加すると
共に、両平行平板電極102,103間に原料ガスを供
給して、両平行平板電極102,103間に形成したプ
ラズマ105で原料ガスを励起し、基板106上に膜を
析出させるものである。
【0004】また、その他の成膜技術として、アフター
グロープラズマを利用したプラズマCVD装置を用いる
ものがある。
【0005】上記装置は、図7に示されるように、真空
容器101に接続された石英管107の周囲に設けたコ
イル状の高周波電極108に高周波を投入することによ
って、石英管107上部から導入した原料ガスを、プラ
ズマ励起して、プラズマ109が到達しない距離に取り
付けた基板106付近に供給すると共に、基板106付
近に別途原料ガスを供給して成膜を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高周波2極放電型のプラズマ発生装置を用いた成膜法で
は、プラズマによって原料ガスを励起する原料励起場
と、励起された原料ガスによって膜の析出を行う析出場
とが同じであるため、複数種類の原料ガスを用いる場
合、単一のプラズマ中で全原料ガスの励起と析出を行わ
なければならず、次のような問題を生じている。
【0007】即ち、各原料ガスの安定性が異なるため
に、単一のプラズマ中で励起を行うと、一部の原料ガス
の優先的な活性化や分解が生じ、化学組成のずれ、不純
物の混入、低密度化、余剰粉体の発生等が顕著になる。
【0008】例えばSiOx の成膜にSiH4 とO2
用いると、両者の化学反応性が激しいことから、両原料
ガスを供給するための配管内にSiOx 粉が発生してし
まう。従って、O2 の代わりに反応性の低いN2 Oを使
用するのが通常であるが、SiH4 の方がN2 Oより優
先的に分解しやすいため、Siリッチな薄膜が形成され
る。また、SiOx 膜中にSiH4 からのHが多量混入
してしまう。
【0009】これに対してアフターグロープラズマを利
用した成膜装置を用いることによって、O2 を高周波プ
ラズマ励起して、Oラジカルを基板付近に供給し、別途
導入したSiH4 と反応させて成膜を行い、Hの混入が
少ない、化学量論比に近いSiOx 薄膜を形成すること
が検討されている。しかし、SiH4 とO2 の励起条件
を各々独立して制御できないため、成膜温度の低い条件
においては充分な成果が得られていない。
【0010】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、複数種類の原料ガスを用いたプラズマCVD法に
よる成膜において、形成される膜の微細組織、化学組成
の制御性を向上させ、高品質で化学量論比に近い薄膜を
低温で成膜できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このために請求項1の発
明では、図1に示されるように、第1の原料ガスを励起
する第1のプラズマと第2の原料ガスを励起する第2の
プラズマを合流させることなく、基板1付近の析出場2
における第1のプラズマ中に第2のプラズマで励起した
第2の原料ガスのラジカルを供給して基板1面に成膜を
行うこととしているものである。
【0012】また、請求項6の発明では、やはり図1に
示されるように、第1の原料ガスをプラズマ励起する第
1のプラズマ発生装置3aと第2の原料ガスをプラズマ
励起する第2のプラズマ発生装置3bを、真空容器4内
の基板ホルダー5にセットされる基板1付近の析出場2
に向けて設け、第1のプラズマ発生装置3aはプラズマ
が析出場2に到達する位置に設け、第2のプラズマ発生
装置3bはプラズマを析出場2に到達させることなくラ
ジカルを析出場2に供給できる位置に設けることとして
いるものである。
【0013】更に請求項8の発明では、図3に示される
ように、夫々独立して接続された第1及び第2の原料ガ
ス導入管6a,6bから供給される第1及び第2の原料
ガスを夫々プラズマ励起する第1及び第2のプラズマ室
7a,7bと、後部が第1及び第2のプラズマ室7a,
7bの先端に連なり、前部に開口部8を備えた混合反応
室9とを設け、しかも第1のプラズマ室7aにおけるプ
ラズマの形成が第2のプラズマ室7bにおけるプラズマ
の形成に比して混合反応室9寄りで行われるようにして
いるものである。
【0014】
【実施例及び作用】まず、請求項6の発明の実施例を説
明すると共に、請求項1の発明を更に説明する。
【0015】図1は請求項6の発明に係るプラズマ成膜
装置の一実施例を示すもので、図中4は圧力調整装置2
7を介して排気装置10が接続された真空容器である。
【0016】真空容器4内には、成膜を施すべき基板1
をセットする基板ホルダー5が設けられている。
【0017】この基板ホルダー5には、ヒーター11を
設けておき、成膜時に基板1の温度制御ができるように
しておくことが好ましい。12はヒーター11による加
熱を制御する温度制御器である。
【0018】真空容器4には、第1及び第2のプラズマ
発生装置3a,3bが基板1付近の析出場2に向けて各
々設けられている。第1のプラズマ発生装置3aは第1
の原料ガスをプラズマ励起するためのものであり、第2
のプラズマ発生装置3bは第2の原料ガスをプラズマ励
起するものである。
【0019】図中右側に位置する第2のプラズマ発生装
置3bは、第2の原料ガスが供給される石英管13と、
マイクロ波電源14からのマイクロ波を導く導波管15
とを有するもので、マイクロ波によりプラズマの形成を
行うマイクロ波プラズマ発生装置である。この第2のプ
ラズマ発生装置3bでは、石英管13に導入される第2
の原料ガスが、マイクロ波電源14から導波管15を経
由して投入されるマイクロ波によってプラズマ励起され
るものである。
【0020】図中左側に位置する第1のプラズマ発生装
置3aは、高周波電極16の背面側に高周波の効率を改
善して高密度のプラズマ形成を行うための磁石17を設
けたマグネトロン型プラズマ発生装置である。
【0021】高周波電極16の前面には、高周波電極1
6のスパッタリングによるコンタミを防ぐために電極カ
バー18が取り付けられている。この電極カバー18の
材質としては、スパッタリングされた場合のコンタミの
原因とならないもの、例えばSiOx 、SiNx の成膜
ではSi、SiOx 、SiNx 製とすることが好まし
い。
【0022】上記電極カバー18の前方には、安定なプ
ラズマ形成を行うために、中間電極19が設けられてい
る。
【0023】真空容器4と中間電極19はグランド電位
に接続されており、第1の原料ガスを電極カバー18付
近に導入すると共に、高周波電源(通常整合基を含む)
20から高周波電極16に高周波を印加することで電極
カバー18付近にプラズマが形成され、これによって第
1の原料ガスの励起が行われる。
【0024】図示される形式の第1のプラズマ発生装置
3aは、電極カバー18付近に形成したプラズマにより
原料ガスを励起し、基板1付近の析出場2に供給できる
ものであればよく、高周波電極16の背面側の磁石17
や中間電極19がないものでもよい。また、高周波電源
20の代わりにDC電源を用いてプラズマ形成を行うこ
ともできる。
【0025】第1のプラズマ発生装置3aは、そのプラ
ズマが少なくとも析出場2に届く位置に設けられている
ことが必要で、好ましくはそのプラズマが基板1面へ届
く位置に設けられていることである。これに対し第2の
プラズマ発生装置3bは、そのプラズマを析出場2に到
達させることなく、ラジカルを析出場2に供給できる位
置に設けられているものである。
【0026】第1及び第2のプラズマ発生装置3a,3
bの形式は特に上述の形式に制限されるものではなく、
第1の原料ガスと第2の原料ガスを別個のプラズマで励
起して析出場2へと供給できるものであればよく、上述
の高周波やマイクロ波を用いる形式のものの他、電子ビ
ーム衝撃によってプラズマを形成する形式のものでもよ
い。
【0027】また、どのような形式の第1及び第2のプ
ラズマ発生装置3aと3bを組み合わせるかは、第1及
び第2の原料ガスの物性や成膜条件に合わせて選択すれ
ばよく、例えば第1のプラズマ発生装置3aとしてマイ
クロ波プラズマ発生装置を用い、第2のプラズマ発生装
置3bとしてマグネトロン型プラズマ発生装置を用いた
り、第1及び第2のプラズマ発生装置3a,3bを同じ
形式のものとすることもできる。
【0028】一方、基板1に入射するイオンやラジカル
の種類やエネルギーを制御することによって、形成する
薄膜の微細組織、化学組成の制御を更に向上させるた
め、基板1付近の析出場2に別途プラズマ形成を行うこ
とが好ましい。
【0029】上記プラズマを形成するため、基板ホルダ
ー5の基板1の保持面側は絶縁層21を介して設けられ
た高周波電極22となっており、高周波電源(通常整合
器を含む)23が接続されていて、もう一つのプラズマ
発生装置を形成している。このもう一つのプラズマ発生
装置は、高周波電界によって、基板1付近の電子を加速
し、原料ガスを衝突・電離させることでプラズマを形成
・維持するものである。
【0030】析出場2にプラズマを形成するための上記
もう一つのプラズマ発生装置は、高周波によるプラズマ
励起をするものであり、高周波の効率を改善して高密度
のプラズマ形成を行うために磁石を設けることもでき
る。また、マイクロ波や電子ビーム衝撃によってプラズ
マを形成する形式のものとしてもよい。
【0031】次に、図1のプラズマ成膜装置の作動につ
いて説明する。
【0032】まず、排気装置10を作動させて真空容器
4内を所望の真空度にした後、第1及び第2のプラズマ
発生装置3a,3bに第1の原料ガスと第2の原料ガス
を夫々供給する。高周波電源20によって高周波電極1
6に高周波を印加し、電極カバー18付近にプラズマを
形成して第1の原料ガスのプラズマ励起を行うと共に、
マイクロ波電源14により石英管13の中央にマイクロ
波を投入し、第2の原料ガスのプラズマ励起を行う。
【0033】第1のプラズマ発生装置3aで形成された
プラズマは、少なくとも基板1付近の析出場2まで伸び
る一方、第2のプラズマ発生装置3bで形成されたプラ
ズマは、析出場2には届かないがプラズマ励起した第2
の原料ガスのラジカルを析出場2に供給する。そして、
析出場2へ伸びた第1のプラズマ発生装置3aからのプ
ラズマ内で、第1の原料ガスと第2の原料ガスが合流し
て、基板1の表面に成膜が施される。この時、第1のプ
ラズマ発生装置3aからのプラズマが基板1の表面まで
届くものであると、成膜速度が向上するので好ましい。
【0034】第1の原料ガスと第2の原料ガスの組み合
わせ例としては、例えばSiOx の成膜を行う場合、第
1のプラズマ形成装置でプラズマ励起する第1の原料ガ
スとしてSiを含む揮発性ガス、第2のプラズマ形成装
置3bでプラズマ励起する第2の原料ガスとしてO2
び/又はO3 を用いることが好ましい。また、SiNx
の成膜を行う場合、第1のプラズマ形成装置3aでプラ
ズマ励起する第1の原料ガスとしてSiを含む揮発性ガ
ス、第2のプラズマ形成装置3bでプラズマ励起する第
2の原料ガスとしてN2 及び/又はNH3 を用いること
が好ましい。
【0035】Siを含む揮発性ガスとしては、SiCl
4 、SiH4 、Si26 、TEOS[Si(OC2
54 ]又はこれらの2種以上の混合ガスを用いること
ができる。
【0036】また、プラズマの安定性や膜品質を改善す
るために、第1及び/又は第2の原料ガスにAr、He
等の不活性ガスを混合しておくこともできる。
【0037】更に、第1の原料ガスとしてSiH4 を用
い、第2の原料ガスとしてO2 を用いてSiOx の成膜
を行う場合を例に本発明を説明すると、本発明による
と、Hの含有量が少なく、化学量論比(O/Si=2)
に近いSiOx 膜が低温で得られる。これは、SiH4
プラズマによりSiH4 が一部解離された後に酸素ラジ
カルと合流されて反応されることになるため、SiH4
のHが効率的に脱離すると共に、SiH4 プラズマと酸
素ラジカルの反応により、気相中に中間体(プリカーサ
ー)が形成され、この中間体がHを離脱させやすい状態
にあることからSi−OH基の生成が押えられるためと
考えられる。
【0038】形成される薄膜の微細組織、化学組成は、
成膜圧力、第1及び第2の原料ガスの種類及びそのプラ
ズマ励起状態、装置の構成、基板1の温度等の成膜条件
は勿論のこと、基板に入射するイオン・ラジカルの種類
やエネルギーに深く関係している。従って、例えば基板
1に高周波を導入してバイアス電圧を印加し、基板1付
近の析出場2に別途プラズマを形成すると、基板1への
イオン入射(イオンボンバーメント)により更にHの脱
離が促進され、緻密なSiOx 膜を形成することが可能
となるので好ましい。
【0039】本発明によると、例えばSiH4 とO2
第1及び第2の原料ガスとしてSiOx の成膜を行った
場合、プラズマ励起されたO2 のイオン・ラジカルの
内、ラジカルのみが基板1付近の析出場2に供給され
て、別途プラズマ励起されて供給されたSiH4 のイオ
ン・ラジカルと反応して基板1に成膜されることにな
る。加えて、SiH4 及びO2 である第1及び第2の原
料ガスの励起状態を各々独立して制御できることから、
形成される薄膜の微細組織、化学組成の制御性が向上
し、高品質で化学量論比に近い薄膜を低温で形成するこ
とができる。
【0040】図2は請求項6の発明に係るプラズマ成膜
装置の他の実施例を示すもので、図中右側のプラズマ発
生装置3cは、高周波によりプラズマ形成を行う形式の
ものであるが、図1で説明したマイクロ波によるものと
は別のタイプのもので、第2の原料ガスが導入される石
英管24と、その周囲に巻かれたコイル状電極25とを
有するものとなっている。石英管24に導入される第2
の原料ガスは、高周波電源(通常整合器を含む)26よ
りコイル状電極25に投入される高周波によってプラズ
マ励起されるものである。
【0041】上記プラズマ発生装置3cは、そのプラズ
マを析出場2に到達させることなく、ラジカルを析出場
2に供給できる位置に設けられているものである。プラ
ズマ発生装置3aは、図1で説明したものと同じもの
で、そのプラズマが少なくとも析出場2に届く位置に設
けられているものである。尚、図2において図1と同じ
符号は同様の部材を示すものである。
【0042】図3は請求項8の発明に係るプラズマ形成
装置3dの一実施例を示すもので、このプラズマ形成装
置3dは、図1における第1及び第2の2台のプラズマ
形成装置3a,3bや図2における第1及び第2の2台
のプラズマ形成装置3a,3cの役割を1台で果たすも
のである。
【0043】本プラズマ形成装置3dは、仕切り壁28
で仕切られた第1及び第2の2つのプラズマ室7a,7
bを有するもので、この第1及び第2のプラズマ室7
a,7bには夫々第1及び第2の原料ガス導入管6a,
6bが独立して接続されている。第1及び第2の原料ガ
ス導入管6a,6bは、夫々第1及び第2の原料ガスを
第1及び第2のプラズマ室7a,7bに導入するための
ものである。
【0044】第1及び第2のプラズマ室7a,7b内に
は、プラズマ室7a,7b内にプラズマを形成するため
の高周波電極29a,29b夫々が設けられている。こ
の高周波電極29a,29bには、高周波導入電極30
a,30bを介して高周波電源31a,31bから高周
波が投入されるものである。
【0045】第1のプラズマ室7aの奥行きが浅いのに
対して第2のプラズマ室7bの奥行きが深くなっている
ことから、高周波電極29aは浅い位置に位置し、高周
波電極29bは深い位置に位置している。従って、第1
のプラズマ室7aにおけるプラズマ形成は、第2のプラ
ズマ室7bにおけるプラズマ形成に比して、後述する混
合反応室9寄りで行われるものとなっている。
【0046】第1及び第2のプラズマ室7a,7bを仕
切る仕切り壁28内には、高周波の効率を改善し、高密
度のプラズマ形成を行うために磁石32a,32bを設
けることが好ましい。高周波電極29a,29bの設置
位置に対応して、磁石32aは浅い位置に位置し、磁石
32bは深い位置に位置しており、磁石32aは第1の
プラズマ室7aのプラズマ形成に寄与し、磁石32bは
第2のプラズマ室7bのプラズマ形成に寄与するものと
なっている。
【0047】第1及び第2のプラズマ室7a,7bの前
方には、後部が第1及び第2のプラズマ室7a,7bに
連なり、前部に開口部8を備えた混合反応室9が設けら
れている。
【0048】本プラズマ形成装置3dにおいては、第1
及び第2の原料ガス導入管6a,6bから第1及び第2
のプラズマ室7a,7bに第1及び第2の原料ガスを導
入して、高周波電源31a,31bから高周波電極29
a,29bに高周波を投入することによってプラズマ励
起が行われる。
【0049】この時、第1のプラズマ室7aにおけるプ
ラズマ形成は混合反応室9よりで行われることから、そ
のプラズマは混合反応室9内まで伸び、プラズマ励起さ
れた第1の原料ガスのイオン・ラジカルが混合反応室9
に供給される。
【0050】一方、第2のプラズマ室7bにおけるプラ
ズマ形成は、混合反応室9から離れた位置で行われるこ
とから、そのプラズマは混合反応室9まで届かず、プラ
ズマ励起された第2の原料ガスのラジカルのみが混合反
応室9に供給される。
【0051】混合反応室9では、プラズマ励起された第
1の原料ガスのイオン・ラジカルと、プラズマ励起され
た第2の原料ガスのラジカルとが合流し、反応して開口
部8から噴出することになる。
【0052】従って、図3に示されるプラズマ形成装置
3dの場合、図4に示されるように、これ1台を真空容
器4内の基板ホルダー5にセットされる基板1に向けて
設けることによって、図1及び図2のプラズマ成膜装置
と同様の成膜を行うことができる。尚、図4において図
1及び図2と同じ符号は同様の部材を示すものである。
【0053】次に請求項1の発明の実施例及び比較例を
示す。
【0054】実施例1〜5 図1に示される構成のプラズマ成膜装置を用いてSiO
x の成膜を行い、得られた膜の屈折率、組成比(O/S
i)、IRスペクトルの測定を行った。
【0055】第1の原料ガスとしてはSiH4 を用い、
第2の原料ガスとしてはO2 を用いた。
【0056】図1中右側の第2のプラズマ形成装置3b
は、直径45mm、長さ1500mmの石英管13の中
央部に2.45GHzのマイクロ波を投入して第2の原
料ガスのプラズマ励起を行うものとした。
【0057】図1中左側の第1のプラズマ形成装置3a
は、直径25.4mm、厚さ3mmのSi製電極カバー
18を取り付けた高周波電極16に13.56MHzの
高周波電源20の整合器を接続して第1の原料ガスのプ
ラズマ励起を行うものとした。
【0058】上記第1及び第2のプラズマ形成装置3
a,3bを、外径400mm、高さ400mmの真空容
器4に、その内部に設けられる基板1付近の析出場2に
向けて取り付けた。第1のプラズマ形成装置3aは、そ
のプラズマが、析出場2から基板1へ届く距離に位置さ
せ、第2のプラズマ形成装置3bは、そのプラズマは析
出場2に到達しないが、ラジカルは析出場2に到達する
距離に位置させた。
【0059】基板ホルダー5にSi製基板1をセット
し、成膜に先立って排気装置(複合型ターボ分子ポン
プ)10を用いて、真空容器4内を8×10-5Torr
まで排気した。その後、マスフローコントローラーによ
り、100ccmの第2の原料ガス(O2 )を第2のプ
ラズマ発生装置3bに、5ccmの第1の原料ガス(S
iH4 )を第1のプラズマ発生装置3aに導入し、圧力
調整装置27を用いて真空容器4内の圧力を200mT
orrに調整した。
【0060】第2のプラズマ発生装置3bに50Wのマ
イクロ波を投入して第2の原料ガス(O2 )のプラズマ
を形成すると共に、第1のプラズマ形成装置3aに5W
から20Wの範囲で投入する高周波を変えて第1の原料
ガス(SiH4 )のプラズマを形成した。実施例5にお
いては、基板ホルダー5に設けた高周波電極22に1
3.56MHzの高周波を投入し、基板1のバイアス電
圧が−50Vになるように高周波電力を調整した。ま
た、基板1の温度はいずれも室温とした。
【0061】成膜後、エリプソメーターにより、実施例
1〜5で得られた膜の屈折率を測定し、ESCA分析を
行ってO/Si比を調べ、また実施例4で得られた膜に
ついてはIRスペクトルの測定を行った。各結果を表1
及び図5に示す。また、これらの結果を評価するための
参考データーとして、熱酸化膜の屈折率、O/Si比及
びIRスペクトルを表1及び図5に示す。
【0062】本発明のプラズマ成膜方法によると、熱酸
化膜に匹敵する屈折率、O/Si比及びIRスペクトル
を有するSiOx 膜が得られることが分かる。
【0063】比較例1 図6に示される構成のプラズマCVD装置を用いてSi
x の成膜を行った。真空容器101中に直径160m
mの高周波投入側の平行平板電極102とグランド電位
側の平行平板電極103(基板ホルダー)を対向して設
け、両者間に1ccmのSiH4 と100ccmのN2
Oを導入した後、真空容器101内の圧力を200mT
orrに調整し、高周波投入側の平行平板電極102に
13.56MHzの高周波を50W投入して室温にて成
膜を行った。
【0064】その他の試験条件及び測定方法は実施例1
と同様とした。結果を表1に示す。
【0065】比較例2 図7に示されるプラズマCVD装置を用いてSiOx
成膜を行った。
【0066】真空容器101中に、直径50mm、長さ
900mmの石英管107を取り付け、周囲にコイル状
の高周波電極108を設けた。石英管107に100c
cmのO2 を導入し、基板106付近に1ccmのSi
4 を導入した後、真空容器101内の圧力を200m
Torrに調整し、高周波電極108に13.56MH
zの高周波を50W投入して室温にて成膜を行った。そ
の他の試験条件及び測定方法は実施例1と同様とした。
結果を表1及び図5に示す。
【0067】比較例3 第1のプラズマ形成装置3aのSiH4 のプラズマを形
成しなかったことを除いて実施例1と同様にして成膜を
行い、同様に測定を行った。結果を表1に示す。
【0068】比較例4 第2のプラズマ形成装置3bを、そのプラズマも基板1
付近の析出場2に到達するよう、基板1側に移動させた
点を除いて実施例4と同様にして成膜と測定を行った。
結果を表1に示す。
【0069】実施例6 図3に示される構成のプラズマ形成装置3dを用いた図
4に示される構成のプラズマ成膜装置を用いてSiOx
の成膜を行った。
【0070】実施例1と同じ真空容器4に、基板1に向
けてプラズマ形成装置3dを取り付けた。プラズマ形成
装置3dの開口部8は直径26mmの円形とした。
【0071】基板ホルダー5にはSi製基板1をセット
し、成膜に先立って排気装置(複合型ターボ分子ポン
プ)10を用いて、真空容器4内を8×10-5Torr
まで排気した。その後、第1のプラズマ室7aに1cc
mのSiH4 を、第2のプラズマ室7bに30ccmの
2 をマスフローコントローラーにより導入し、圧力調
整装置27を用いて真空容器4内の圧力を200mTo
rrに調整した。
【0072】第1のプラズマ室7a側の高周波電極29
aに20Wの高周波、第2のプラズマ室7b側の高周波
電極29bに50Wの高周波を投入してプラズマを形成
した。プラズマ励起された第1及び第2の原料ガス(S
iH4 、O2 )は混合反応室9に供給されるが、第2の
プラズマ室7bのプラズマは混合反応室9に到達せず、
ラジカルのみが混合反応室9に供給され、両者の反応が
得られた。更に、第1及び第2の原料ガスは開口部8よ
り基板1付近に送り出され、Si製の基板1上にSiO
x 膜が形成された。
【0073】尚、析出場2におけるプラズマの形成は行
わずに室温で成膜を行った。
【0074】上記成膜後、実施例1と同様の測定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】本発明は、以上説明した通りのものであ
り、本発明によると、プラズマ励起された第2の原料ガ
スのイオン・ラジカルの内、ラジカルのみが基板1付近
の析出場2に供給されて、別途プラズマ励起されて供給
された第1の原料ガスのイオン・ラジカルと反応して基
板1に成膜されることになる。加えて、第1及び第2の
原料ガスの励起状態を各々独立して制御できることか
ら、形成される薄膜の微細組織、化学組成の制御性が向
上し、高品質で化学量論比に近い薄膜を低温で形成する
ことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項6の発明に係るプラズマ成膜装置の一実
施例を示す図である。
【図2】請求項6の発明に係るプラズマ成膜装置の他の
実施例を示す図である。
【図3】請求項8の発明に係るプラズマ形成装置の一実
施例を示す図である。
【図4】図3のプラズマ形成装置を用いたプラズマ成膜
装置を示す図である。
【図5】実施例4で得られた膜のIRスペクトル、熱酸
化膜のIRスペクトル及び比較例2で得られた膜のIR
スペクトルを示す図である。
【図6】従来のプラズマ成膜装置の説明図である。
【図7】従来のプラズマ成膜装置の説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 析出場 3a 第1のプラズマ形成装置 3b,3c 第2のプラズマ形成装置 3d プラズマ形成装置 4 真空容器 5 基板ホルダー 6a 第1の原料ガス導入管 6b 第2の原料ガス導入管 7a 第1のプラズマ室 7b 第2のプラズマ室 8 開口部 9 混合反応室 10 排気装置 11 ヒーター 12 温度制御器 13 石英管 14 マイクロ波電源 15 導波管 16 高周波電極 17 磁石 18 電極カバー 19 中間電極 20 高周波電源 21 高周波電極 22 絶縁層 23 高周波電源 24 石英管 25 コイル状電極 26 高周波電源 27 圧力調整装置 28 仕切り壁 29a,29b 高周波電極 30a,30b 高周波導入電極 31a,31b 高周波電源 32a,32b 磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中居 進治 東京都千代田区有楽町1丁目4番1号 電 気化学工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の原料ガスを励起する第1のプラズ
    マと第2の原料ガスを励起する第2のプラズマを合流さ
    せることなく、基板付近の析出場における第1のプラズ
    マ中に第2のプラズマで励起した第2の原料ガスのラジ
    カルを供給して基板面に成膜を行うことを特徴とするプ
    ラズマ成膜方法。
  2. 【請求項2】 第1のプラズマを基板面に到達させるこ
    とを特徴とする請求項1のプラズマ成膜方法。
  3. 【請求項3】 析出場において別途プラズマ励起を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2のプラズマ成膜方法。
  4. 【請求項4】 第1の原料ガスをSiを含む揮発性ガ
    ス、第2の原料ガスをO2 及び/又はO3 として、Si
    x の成膜を行うことを特徴とする請求項1ないし3い
    ずれかのプラズマ成膜方法。
  5. 【請求項5】 第1の原料ガスをSiを含む揮発性ガ
    ス、第2の原料ガスをN2 及び/又はNH3 として、S
    iNx の成膜を行うことを特徴とする請求項1ないし3
    いずれかのプラズマ成膜方法。
  6. 【請求項6】 第1の原料ガスをプラズマ励起する第1
    のプラズマ発生装置と第2の原料ガスをプラズマ励起す
    る第2のプラズマ発生装置が、真空容器内の基板ホルダ
    ーにセットされる基板付近の析出場に向けて設けられて
    おり、第1のプラズマ発生装置はプラズマが析出場に到
    達する位置に設けられ、第2のプラズマ発生装置はプラ
    ズマを析出場に到達させることなくラジカルを析出場に
    供給できる位置に設けられていることを特徴とするプラ
    ズマ成膜装置。
  7. 【請求項7】 析出場において別途プラズマ励起を行う
    プラズマ発生装置が設けられていることを特徴とする請
    求項6のプラズマ成膜装置。
  8. 【請求項8】 夫々独立して接続された第1及び第2の
    原料ガス導入管から供給される第1及び第2の原料ガス
    を夫々プラズマ励起する第1及び第2のプラズマ室と、
    後部が第1及び第2のプラズマ室の先端に連なり、前部
    に開口部を備えた混合反応室とが設けられており、第1
    のプラズマ室におけるプラズマの形成が第2のプラズマ
    室におけるプラズマの形成に比して混合反応室寄りで行
    われることを特徴とするプラズマ発生装置。
  9. 【請求項9】 請求項8のプラズマ発生装置が、真空容
    器内の基板ホルダーにセットされる基板に向けて設けら
    れていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
JP21520994A 1994-08-18 1994-08-18 プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置 Withdrawn JPH0864535A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21520994A JPH0864535A (ja) 1994-08-18 1994-08-18 プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21520994A JPH0864535A (ja) 1994-08-18 1994-08-18 プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0864535A true JPH0864535A (ja) 1996-03-08

Family

ID=16668508

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21520994A Withdrawn JPH0864535A (ja) 1994-08-18 1994-08-18 プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0864535A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003059924A (ja) * 2001-08-17 2003-02-28 Sekisui Chem Co Ltd 多段型の放電プラズマ処理方法及び装置
JP5689209B1 (ja) * 2014-03-31 2015-03-25 Sppテクノロジーズ株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2015198084A (ja) * 2015-03-11 2015-11-09 Sppテクノロジーズ株式会社 高周波電力システム及びこれを備えたプラズマ処理装置
JP2015198083A (ja) * 2015-02-03 2015-11-09 Sppテクノロジーズ株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003059924A (ja) * 2001-08-17 2003-02-28 Sekisui Chem Co Ltd 多段型の放電プラズマ処理方法及び装置
JP4546675B2 (ja) * 2001-08-17 2010-09-15 積水化学工業株式会社 多段型の放電プラズマ処理方法及び装置
JP5689209B1 (ja) * 2014-03-31 2015-03-25 Sppテクノロジーズ株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
WO2015151153A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 Sppテクノロジーズ株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2015198083A (ja) * 2015-02-03 2015-11-09 Sppテクノロジーズ株式会社 プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2015198084A (ja) * 2015-03-11 2015-11-09 Sppテクノロジーズ株式会社 高周波電力システム及びこれを備えたプラズマ処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3190745B2 (ja) 気相成長方法
US6423383B1 (en) Plasma processing apparatus and method
US5340621A (en) Plasma CVD method
US4948750A (en) Method and apparatus for producing semiconductor layers composed of amorphous silicon-germanium alloys through glow discharge technique, particularly for solar cells
US4986214A (en) Thin film forming apparatus
JPH06199594A (ja) ダイヤモンド材料被着方法
JP4555410B2 (ja) 半導体上に酸化膜を形成する装置及び方法
JPH0864535A (ja) プラズマ成膜方法、プラズマ成膜装置及びそれに用いるプラズマ発生装置
JPH0521983B2 (ja)
JPH06112133A (ja) 透明誘電体膜を基体上に被覆する方法
JP3010333B2 (ja) 成膜方法及び成膜装置
JP3161788B2 (ja) ダイヤモンド膜合成装置
JPH01234397A (ja) ダイヤモンド状薄膜の製造方法及び装置
JP3092559B2 (ja) プラズマ処理装置及びこの装置のガスの導入方法
JPH08222554A (ja) プラズマを利用した成膜装置およびその方法
JPH07258856A (ja) 成膜方法、成膜装置及びそれに用いるプラズマ装置
JP2805506B2 (ja) マイクロ波プラズマcvd法によるダイヤモンド膜合成装置
JP2680574B2 (ja) 立方晶窒化ホウ素膜の製造方法
JP3123203B2 (ja) プラズマ装置および該装置の使用方法
JP2617539B2 (ja) 立方晶窒化ほう素膜の製造装置
JP2001176870A (ja) 窒化膜形成方法
JPS6034013A (ja) 固体薄膜の製造方法
JPH05320895A (ja) ダイアモンド薄膜の形成装置および形成方法
JPS6357779A (ja) マイクロ波プラズマcvd法による機能性堆積膜形成装置
JPH07110995B2 (ja) 薄膜形成方法および薄膜形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011106