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突合せ多層溶接における裏波溶接ビードのルート止端部の折込み防止方法

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼構造物の溶接または円周溶接に際して突合
せ多層溶接の割れ状擬似欠陥を解消する溶接方法を提供
する。 【構成】 突合せ多層溶接の初層裏波溶接に引き続く少
なくとも第2層〜第3層ビードの溶接において、目違い
により裏面側にずれた母材側を先行パスとする溶接入熱
が各パス5〜15kJ/cmの2パスの振分け溶接を行
う。またこのときさらに先行パスの溶接入熱を15〜2
5kJ/cmとし、後行パスの溶接入熱を5〜12kJ
/cmとする。

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JPH0857640A

Japan

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English
Inventor
Hidesato Mabuchi
秀里 間渕
Rokuro Kono
六郎 河野
Eiko Matsuda
英光 松田
Current Assignee
Nippon Steel Corp

Worldwide applications
1994 JP

Application JP21325094A events
Withdrawn

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼構造物溶接または円周
溶接の裏波溶接継手部において健全な溶接施工が要求さ
れる突合せ多層溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼構造物の大型化とともに地球環
境問題の深刻化に伴って構造物に対する安全性の要求は
一段と厳しくなってきている。一方、非破壊検査機器の
性能向上に基づく検査技術の進歩に伴って、従来許容さ
れていた微小な溶接欠陥や類似の形態を示す擬似欠陥す
ら将来的には問題となる可能性がある。
【0003】日本溶接協会規格のレ形開先多層溶接割れ
試験方法(WES 1105−1985)解説図9に示
される溶接金属割れ状欠陥は、レ形開先多層溶接を始め
として隅肉多層溶接や目違いのある突合せ溶接部等の継
手部には軽微なものも含めれば、かなりの頻度で発生が
認められる。すなわち、図3は上記解説図である溶接部
の顕微鏡組織のスケッチ図で、3は溶接金属、4は熱影
響部であり、5の部分が溶接金属割れ状欠陥である。
【0004】鋼構造物の大型化、地球環境問題の深刻化
に伴う構造物に対する安全性要求の厳格化から前記する
突合せ多層溶接における裏波ビードのルート止端部近傍
における溶接金属割れ状の擬似欠陥は溶接欠陥ではない
とはいうものの、溶接欠陥と紛らわしくPL(製造物責
任)の導入時における対応の困難さを増すばかりでな
く、溶接棒の乾燥が不十分な場合の低温割れや異常に大
きな応力が構造物に負荷された時の割れ発生及び疲労破
壊の起点になりはしないかとの懸念を有していた。
【0005】本発明者等がかかる鋼構造物溶接または円
周溶接における突合せ多層溶接部の割れ状擬似欠陥につ
いて仔細に調査を行ったところ、この擬似欠陥は溶接割
れではなく目違いのある突合せ多層溶接部の少なくとも
第2層〜第3層ビードの溶接金属凝固時の収縮応力によ
って初層裏波溶接ビードのルート止端部が折込むことに
より生ずる擬似欠陥であることを見い出した。特に突合
せ円周溶接では、たが締め現象により擬似欠陥が助長さ
れることも見い出された。その結果、目違いのある突合
せ層溶接における初層裏波溶接ビード形状がかかる擬似
欠陥発生に極めて関係が深いことを知見するに至り、本
課題を解決するために特願平5−37167の方法が先
に提案されている。しかしながら、特願平5−3716
7の方法はルート止端部の折込みを大幅に削減したもの
の溶接施工上のバラツキ、またはなんらかの原因による
と思われるルート止端部に発生する折込みが残存する場
合が見られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記する溶接金属割れ
状欠陥は軽微かつ溶接欠陥ではないものの、他のトラブ
ル発生時においてかかる趨勢のなかでは、その対応の困
難さが増大し将来的には解決されるべき課題の一つと考
えられる。本発明は溶接施工上のバラツキにより残存す
るルート止端部の折込みを更に安定して解決することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、目違いのある突合せ多層溶接の初層
裏波溶接に引き続く少なくとも第2層〜第3層ビードの
溶接において、目違いにより裏面側にずれた母材側を先
行パスとする溶接入熱が各パス5〜15kJ/cmの2
パスの振分け溶接を行うことを特徴とする突合せ多層溶
接における裏波ビードのルート止端部の折込み防止方法
である。
【0008】また、目違いのある突合せ多層溶接の初層
裏波溶接に引き続く少なくとも第2層〜第3層ビードの
溶接において、目違いにより裏面側にずれた母材側の先
行パスの溶接入熱を15〜25kJ/cmとし、目違い
により表面側にずれた母材側の後行パスの溶接入熱を5
〜12kJ/cmとする2パスの振分け溶接を行うこと
を特徴とする突合せ多層溶接における裏波ビードのルー
ト止端部の折込み防止方法である。また上記各方法にお
いて、目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波溶接に際
して、溶接の進行方向に対して垂直にウィービングして
溶接することも特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の対象とする溶接方法は被覆アーク溶
接、セルフシールドアーク溶接、ガスシールドアーク
(マグ、ミグ、ティグ)溶接、潜弧(サブマージドアー
ク)溶接とし、積層数は3層以上とする。開先形状は、
本発明の対象とする平板溶接、鋼管シーム溶接および円
周溶接等突合せ多層溶接の初層裏波溶接ビードにおける
目違いのあるルート止端部近傍において擬似欠陥が発生
し易いV形開先またはレ形開先とする。
【0010】本発明者等が特願平5−37167の方法
において、溶接施工上のバラツキにより発生する目違い
のある突合せ多層溶接のルート止端部の折込みによる擬
似欠陥について仔細に調査したところ、振分け溶接の積
層順およびその先行パスの溶接入熱が、かかる擬似欠陥
の発生と極めて深い関係を示すことを新たに知見するに
至った。
【0011】本発明は前記する将来的な懸念および溶接
施工上のバラツキによるかかる問題の発生を解決すべ
く、目違いのある突合せ多層溶接における第2層以降の
溶接金属の収縮応力を制御するとともに初層裏波溶接の
ビード形状を改善して該裏波溶接ビードのルート止端部
における折込みによる擬似欠陥の発生を防止する方法を
提供する。これにより大型構造物の安全性向上と信頼性
向上とを同時に図り、立会検査等への対応を併せて円滑
化して品質競走力および工期短縮による非価格競争力を
強化するものである。以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】鋼構造物溶接または円周溶接における目違
いのあるV形またはレ形開先突合せ多層溶接では、特願
平5−37167に示すように初層裏波溶接ビード厚に
対する目違い量の割合が40%以上では、初層裏波ビー
ド余盛側に隣接する溶接熱影響部が折れ込んで擬似欠陥
が発生する。すなわち図4は目違いのある突合せ多層溶
接における裏波ビード厚に対する目違い量の割合を示す
溶接部の断面図で、(a)図はV形突合せ継手の場合、
(b)図はレ形突合せ継手の場合を示している。ここに
おいて1,2は母材、61,62,63,64はそれぞ
れ初層,第2層,第3層,第4層の溶接ビードで、Lが
初層裏波溶接ビード厚、Hが目違い量であり、上記割合
はH/Lとなる。また図5は折込み発生を説明する溶接
部の断面図で(a)は初層溶接後、(b)は第2層溶接
後を示している。図において71,72はそれぞれ初
層,第2層の熱影響部で、8は折込みによる溶接割れ状
擬似欠陥である。これの原因は、第2層〜第3層の溶接
金属の凝固に際して発生する収縮応力が狭い断面積で、
かつ溶接熱の伝達によって高温強度が低くなる初層裏波
溶接ビードのルート止端部に負荷される結果によるもの
である。
【0013】そこで、目違いのある突合せ多層溶接の初
層裏波溶接に引き続く少なくとも第2層〜第3層溶接は
1パスで溶接するよりも、2パスに振分けて溶接する方
が各パスの溶接金属の凝固収縮が2回に分散する結果、
この収縮応力の裏波溶接ビードのルート止端部への集中
を緩和することができる。このため、目違いのある突合
せ多層溶接の初層裏波溶接に引き続く少なくとも第2層
〜第3層の溶接に際して、ビードを2パスに振分けると
ルート止端部の折込みによる擬似欠陥は大幅に減少す
る。しかし、特願平5−37167の方法のように少な
くとも第2層〜第3層の振分け溶接に際して積層順を定
めてなく目違いにより表面側にずれた母材側(以下、目
違い側という)を先行パスとすると溶接金属の凝固収縮
が裏波ビードのルート止端部に集中する結果、必ずしも
満足する結果を得られない場合がある。すなわち図6は
この状況を示す溶接部の断面図で、1,2の母材のうち
2が目違い側の母材である。そして符号61ないし66
は初層ないし第6層の溶接ビードを示すが、62A,6
3Aはそれぞれ第2層,第3層の先行パスによるもので
ある。
【0014】従って本発明の第1のものは、裏波ビード
のルート止端部の折込みによる擬似欠陥を溶接施工上の
バラツキ減少により安定的に低減することを目的とし
て、目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波溶接に引き
続く少なくとも第2層〜第3層の振分け溶接において目
違いにより裏面側にずれた母材側(以下、目違いの反対
側という)を先行パスとする。これにより目違い側後行
パスの溶接入熱が目違いの反対側先行パスに分散する結
果、溶接金属の凝固収縮が裏波ビードのルート止端部に
集中しない。図1はこの方法を示す溶接部の断面図で
1,2の母材のうち1が目違いの反対側の母材である。
そして符号61ないし66は初層ないし第6層の溶接ビ
ードを示すが、62A,63Aはそれぞれ第2層,第3
層の先行パスによるものである。
【0015】また目違いのある突合せ多層溶接の少なく
とも第2層〜第3層ビードを、溶接入熱が各パス5〜1
5kJ/cmとする2パスの振分け溶接を行う。溶接入
熱が5kJ/cm未満では溶接金属量が少なすぎて溶接
効率が悪く、15kJ/cm超では溶接金属の凝固収縮
が大きすぎて振分け溶接する意味がなくなるため、目違
いのある突合せ多層溶接の少なくとも第2層〜第3層ビ
ードの溶接入熱を5〜15kJ/cmに限定する。
【0016】さらに本発明の第2のものは、裏波ビード
のルート止端部の折込みによる擬似欠陥を溶接施工上の
バラツキの抜本的な減少により安定して解消することを
目的として、目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波溶
接に引き続く少なくとも第2層〜第3層の振分け溶接に
おいて目違いの反対側先行パスの溶接入熱を大きくす
る。これにより目違い側後行パスの溶接入熱が極小化す
る結果、溶接金属の凝固収縮が減少して裏波ビードのル
ート止端部への集中が飛躍的に緩和する。図2はこの方
法を示す溶接部の断面で、図1の場合と類似しているが
先行パスの溶接ビード62A,63Aが大きくなってい
る。
【0017】目違いのある突合わせ多層溶接の少なくと
も第2層〜第3層ビードを2パスの振分け溶接を行うに
際して目違いの反対側先行パスの溶接入熱を15〜25
kJ/cmとすることにより目違い側後行パスの溶接入
熱を5〜12kJ/cmとする。目違いの反対側先行パ
スの溶接入熱が15kJ/cm未満では目違い側後行パ
スの溶接入熱を極小化する効果が得られず、25kJ/
cm超では溶接入熱が大きすぎて安定した振分け溶接が
出来ないため、目違いの反対側先行パスの溶接入熱を1
5〜25kJ/cmに限定する。また、目違い側後行パ
スの溶接入熱が5kJ/cm未満では溶接金属量が少な
すぎて溶接効率が悪く、12kJ/cm超では溶接金属
の凝固収縮が大きすぎて目違い側後行パスの溶接入熱を
極小化する効果が得られないため、目違い側後行パスの
溶接入熱を5〜12kJ/cmに限定する。
【0018】また本発明の第3のものは、裏波ビードの
ルート止端部の折込みによる擬似欠陥を溶接施工上のバ
ラツキがあったとしても別の観点から複合的に解決する
ことを目的として、突合せ多層溶接の初層溶接金属の溶
着量を増加することにより、初層裏波溶接ビード厚に対
する目違い量の割合を低めに改善するとともに初層裏波
溶接ビード厚さを増加する。これにより第2層目以降の
溶接金属の収縮応力に対する変形抵抗を増加させ、かつ
ルート止端部への応力集中を緩和する。このため突合せ
多層溶接の初層裏波溶接に際して溶接方向に垂直にウィ
ービングして溶接することとする。
【0019】
【実施例】表1に被覆アーク溶接(電流150A、電圧
25V)による目違いのあるV形突合せ多層溶接におけ
る少なくとも第2層〜第3層における振分け溶接の積層
順および溶接入熱が、初層裏波ビードのルート止端部の
折込みによる疑似欠陥の発生率に及ぼす影響を示す。
【0020】
【表1】
【0021】A〜Eが本発明例であり、F〜Hが比較例
である。詳しくは、比較例Hは振分け溶接を実施せず、
比較例G,Fは目違い側から目違いの反対側に振分け溶
接を実施し、初層裏波ビード厚に対する目違い量の割合
の実績が異なる。本発明例E,Dは目違いの反対側から
目違い側に振分け溶接を実施する請求項1記載の発明
で、初層裏波ビード厚に対する目違い量の割合が異な
る。本発明例Cは目違いの反対側から目違い側に振分け
溶接を実施する際に、目違いの反対側先行パスの溶接入
熱を増加することにより、目違い側後行パスの溶接入熱
を極小化する請求項2記載の発明である。本発明例B,
Aは初層裏波溶接においてウィービング溶接を実施し、
それぞれ請求項1および2に対応した請求項3記載の発
明である。
【0022】比較例にも示されるごとく特願平5−37
167の方法によって擬似欠陥の発生率は初層裏波ビー
ド厚に対する目違い量の割合だけでなく振分け溶接の実
施により緩和している。しかしながら、少なくとも第2
層〜第3層における振分け溶接の積層順および溶接入熱
が擬似欠陥の発生率に影響する。すなわち、振分け溶接
において目違いの反対側を先行パスにすると擬似欠陥の
発生率は大幅に軽減し、その目違いの反対側先行パスの
溶接入熱を増加すると擬似欠陥の発生率は更に減少す
る。また、初層裏波溶接においてウィービング溶接を実
施して、平均裏波ビード厚を6mmから8mmに増加す
ると擬似欠陥の発生率はこれらの効果が重畳して抜本的
に低減する。従って、本発明により擬似欠陥の発生率お
よび折込み深さは比較例に比べるまでもなく減少してい
る。
【0023】
【発明の効果】本発明は鋼構造物溶接または円周溶接に
際して、目違いのある突合せ多層溶接における裏波ビー
ドのルート止端部近傍に発生する擬似欠陥を溶接割れで
はなく、折込みによる擬似欠陥であることを突き止める
ことによって、この折込み自体の発生もない溶接方法を
考案し提供するものである。これにより、大型構造物の
安全設計の厳格化、地球環境問題の深刻化に伴い検査基
準が厳格化される事態に対処を可能ならしめて大型構造
物への安全性向上と立会検査官との円滑な対応を可能に
すると共に、将来PL導入時に紛らわしい問題が発生す
る懸念をも解消したものである。従って、本発明により
大型鋼構造物に対する信頼性の向上はもとより、将来的
には非価格競争力向上とともに産業界に与える工期的、
経済的利益は多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を示す溶接部の断面図
【図2】本発明の方法を示す溶接部の断面図
【図3】溶接金属割れ状欠陥の例を示す顕微鏡組織のス
ケッチ図
【図4】裏波ビード厚に対する目違い量の割合を示す溶
接部の断面図で、(a)はV形突合せ継手、(b)はレ
形突合せ継手を示す
【図5】折込み発生を説明する溶接部の断面図で、
(a)は初層溶接後、(b)は第2層溶接後を示す
【図6】比較例の方法を示す溶接部の断面図
【符号の説明】
1,2 母材 3 溶接金属 4 熱影響部 5 溶接金属割れ状欠陥 61,62,62A,62B,63,63A,63B,
64,65,66 溶接ビード 71,72 熱影響部 8 折込みによる溶接割れ状擬似欠陥

Claims (3)
Hide Dependent

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波
    溶接に引き続く少なくとも第2層〜第3層ビードの溶接
    において、目違いにより裏面側にずれた母材側を先行パ
    スとする溶接入熱が各パス5〜15kJ/cmの2パス
    の振分け溶接を行うことを特徴とする突合せ多層溶接に
    おける裏波ビードのルート止端部の折込み防止方法。
  2. 【請求項2】 目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波
    溶接に引き続く少なくとも第2層〜第3層ビードの溶接
    において、目違いにより裏面側にずれた母材側の先行パ
    スの溶接入熱を15〜25kJ/cmとし、目違いによ
    り表面側にずれた母材側の後行パスの溶接入熱を5〜1
    2kJ/cmとする2パスの振分け溶接を行うことを特
    徴とする突合せ多層溶接における裏波ビードのルート止
    端部の折込み防止方法。
  3. 【請求項3】 目違いのある突合せ多層溶接の初層裏波
    溶接に際して、溶接の進行方向に対して垂直にウィービ
    ングして溶接することを特徴とする請求項1または2記
    載の突合せ多層溶接における裏波ビードのルート止端部
    の折込み防止方法。