JPH085557Y2 - ウエーハキャリヤにおける緩衝支持具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、半導体ウエーハを破損
及び汚染することなく安全に輸送するためのウエーハキ
ャリヤのウエーハ緩衝支持具に関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体ウエーハを運搬輸送するための容
器は、ウエーハを収納するウエーハキャリヤ、これを収
納する容器（本体及び蓋）、さらにウエーハを輸送中の
振動による破損などから保護するための半導体ウエーハ
緩衝支持具の組み合わせで構成されている。

【０００３】ウエーハキャリヤは、半導体メーカの作業
上の便宜さから、ウエーハ処理用のふっ素樹脂製のキャ
リヤと寸法特にウエーハの整列ピッチを合致させること
が要求されるが、このピッチは国際的に４．７６ｍｍ
（３／１６インチ）に統一されている。ウエーハ緩衝支
持具は一般に容器の蓋に取り付けられ、輸送時にウエー
ハを振動による破損やキャリヤ材料が擦られて発生する
削りくずによる汚染から守る役割を果たすものである。
かかる目的から、個々のウエーハを確実に支持するため
に緩衝支持具は個々のウエーハに対応する長方形状の弾
性部材とその先端に設けられたウエーハ保持部材で構成
し、これをウエーハの整列ピッチに合わせて配置する構
造を取るのが一般的である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】このように保持具をウ
エーハキャリヤに収納し得るウエーハのそれぞれを保持
するように分離することによって個々の保持具が単独に
弾力性を有し、従ってウエーハの直径に多少のバラツキ
があってもウエーハをほぼ同一の圧力で保持することが
できるが、整列されるウエーハ間のピッチが４．７６ｍ
ｍと小さく、従ってそれに対応する各の櫛歯型支持具の
幅は、前記のウエーハの整列ピッチ（４．７６）から各
櫛歯を分離形成するためのスリットの幅を減じた寸法と
なる。したがって細く弱いものになるのみならず、この
スリットがウエーハの汚染の原因となっている。

【０００５】このような櫛歯状の指示具をプラスチック
で成形するための金型は、強度及び構造上の制約から櫛
歯間のスリットの幅を０．５ないし１ｍｍ以下に薄くす
ることは不可能である。例えばこのスリットを０．５ｍ
ｍ以下として製造するためには成形用金型において０．
５ｍｍ以下の剃刀状平板を金型内に組み込んでおき、各
櫛歯型支持具を形成するために金型内の流動プラスチッ
クの仕切板とする必要があるが、成形を行うためのプラ
スチック充填圧力によって該仕切板に歪みを生じ、成形
品寸法に誤差を生じ、或いは該仕切板の組み込み部へ溶
融樹脂が浸入しウエーハ汚染の原因となるバリを生じ、
更には金型の破損に至ることもある。

【０００６】したがって櫛歯型保持具においてそのスリ
ットの幅は０．５〜１ｍｍ異常になるのが通例である。
ウエーハを装填した容器に蓋をする場合に、その蓋の内
面に取り付けたこの櫛歯型支持具が各のウエーハに当接
しウエーハを保持するのであるが、ウエーハの整列にお
いてしばしば位置ずれを生じ０．５〜１ｍｍ以上もある
このスリット内にウエーハが挟み込まれることがあり、
輸送時に振動でこのウエーハが支持具側面やウエーハキ
ャリヤとの間で摺動摩擦を生じる。その摩擦によりプラ
スチックの摩耗くずが発生し、その摩耗くずがウエーハ
を汚染する結果となりウエーハとしての使用ができない
ことになる。また、該スリットにウエーハを挟み込み、
ウエーハに歪み、変形を与えることにより破損事故に至
ることがしばしばであった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる従来技術の問題点
を解決するために、本考案者らはウエーハ緩衝支持具の
構造について鋭意研究の結果以下に詳記するように、各
の櫛歯型支持弾性片をセパレートするための間隙（スリ
ット）を無くし、ウエーハが挟み込まれることを絶無に
するために該支持弾性片の各を段差を設けて形成したも
のである。

【０００８】

【実施例】本考案に係るウエーハ容器の緩衝支持具を図
面に従って説明する。第１図に示すようにウエーハを運
搬する容器において、ウエーハキャリヤに装填されたウ
エーハは容器本体に収納され、さらにウエーハが運搬中
の振動によってキャリヤ中を摺動し或いは破損しないよ
うに緩衝支持具で押圧しその上から蓋をすることは従来
のウエーハ容器と同様で、本考案の特徴とするところは
ウエーハを押圧する支持具にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】ウエーハキャリヤの上部
にあるこの緩衝支持具２０は、その外枠２１が容器の蓋
体１０の内側に係合して保持されるものである。その支
持具２０の対向する外枠２１に一対の垂下壁面２２、２
２を形成し、その垂下壁面２２、２２にそれぞれに長方
形弾性片群が互いに対向するように設けられている。こ
の長方形弾性片群は、短形弾性片２３ａと短形弾性片２
３ａより１〜３ミリメートル長い長形弾性片２３ｂとが
相接近して交互に、かつ、短形弾性片２３ａの上面と長
形弾性片２３ｂの下面とが同一平面になるように段違い
に配置されることにより形成されたものであり、短形弾
性片２３ａと長形弾性片２３ｂとは、その断面が幅と上
下方向の厚さとが同一である方形であると共に、この方
形断面の幅がウエーハの整列間隔Ｐとほぼ同じであり、
さらに、その先端下面にＶ字型保持部２４を備えたもの
である。この短形弾性片２３ａの先端下面のＶ字型保持
部２４は、ウエーハの外径肩部に当接し、長形弾性片２
３ｂの先端下面のＶ字型保持部２４はウエーハの外径上
部に当接する構成としている。したがって、この複数の
弾性片間にウエーハＷが挟み込まれる可能性がなくなっ
た。

【００１０】以上の構成になる本考案のウエーハ緩衝支
持具２０をその内面に挟着保持した蓋１は、ウエーハＷ
を収納したウエーハキャリヤ３を収容した容器２の上部
に嵌合され、その蓋１及び容器２の開口周縁の帯状段部
４に連接して設けられた係合凸状部６と帯状段部５に設
けた係合凹状部７とを嵌合させることによって蓋１と容
器２の緊密な結合がなされる。このような状態において
本考案ウエーハ緩衝支持具２０の各の長方形状弾性片２
３ａ、２３ｂはそのＶ字型保持部２４で収納されたウエ
ーハＷの上方外径部を押圧保持する。

【００１１】

【発明の効果】以上に説明したように本考案のウエーハ
緩衝支持具は交互に段差をもちかつ長さの異なる長方形
状弾性片２３ａ、２３ｂを突出形成しているので、各の
弾性片を分離しているスリットがなく、従ってウエーハ
カートリッジに収納されたウエーハＷの上方から押圧す
る際にウエーハＷがこのスリットに誤って挟着される事
がなく、確実にウエーハ保持部２４に押圧固定されるよ
うになった。その結果輸送中の振動によりウエーハが弾
性片２３の側面に接触し、擦り傷や摩耗くずを生じて汚
損し、或いは破損するようなことはなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のウエーハ緩衝支持具を備えたウエーハ
容器の実施態様と構造を示した斜視図である。

【図２】本考案のウエーハ緩衝支持具の平面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【符号の説明】

１ 蓋 ２ 容器 ３ ウエーハキャリヤ ４ 帯状段部 ５ 帯状段部 ６ 係合凸状部 ７ 係合凹状部 ２０ ウエーハ緩衝支持具 ２１ 外枠 ２２ 垂直壁面 ２３ａ 長方形状弾性片 ２３ｂ 長方形状弾性片 ２４ ウエーハ保持部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウエーハキャリヤの上部緩衝支持具であ
   って、その支持具の対向する一対の垂下壁面のそれぞれ
   に長方形弾性片群が互いに対向するように設けられてお
   り、この長方形弾性片群は、短形弾性片と短形弾性片よ
   り１〜３ミリメートル長い長形弾性片とが相接近して交
   互に、かつ、短形弾性片の上面と長形弾性片の下面とが
   同一平面になるように段違いに配置されることにより形
   成されたものであり、短形弾性片と長形弾性片とは、そ
   の断面が幅と上下方向の厚さとが同一である方形である
   と共に、この方形断面の幅がウエーハの整列間隔とほぼ
   同じであり、さらに、その先端下面にＶ字型保持部を備
   えたものであり、短形弾性片の先端下面のＶ字型保持部
   は、ウエーハの外径肩部に当接し、長形弾性片の先端下
   面のＶ字型保持部はウエーハの外径上部に当接すること
   に特徴を有するウエーハキャリヤの上部緩衝支持具。