JPH0854403A - 複合顕微鏡の導電性カンチレバ−構造 - Google Patents

複合顕微鏡の導電性カンチレバ−構造

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JPH0854403A
JPH0854403A JP20926694A JP20926694A JPH0854403A JP H0854403 A JPH0854403 A JP H0854403A JP 20926694 A JP20926694 A JP 20926694A JP 20926694 A JP20926694 A JP 20926694A JP H0854403 A JPH0854403 A JP H0854403A
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JP20926694A
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Hiroshi Kawami
浩 川見
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Nissin Electric Co Ltd
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 原子間力顕微鏡と静電容量顕微鏡を合体した
顕微鏡を作ろうとすると、センサ部分に導電性のカンチ
レバ−を必要とする。カンチレバ−の先端下部に探針を
設け、探針と試料との間の静電容量を検出する。しかし
カンチレバ−の全体、ホルダ−の全体を金属にすると、
これらと試料の間の静電容量が大きくなり、探針と試料
の間の容量変化を検出することができない。探針・試料
間の容量変化を正確に測定できるようにすることが目的
である。 【構成】 探針を除き導電性カンチレバ−の下面、下面
と側面或いは全面を絶縁膜で覆い、さらに金属製のシ−
スで絶縁膜を覆う。シ−スは接地する。カンチレバ−と
シ−スの間に大きい容量が発生する。しかしこれは一定
値を取り、カンチレバ−の撓みなどによらない。カンチ
レバ−と試料間の容量が減少するので、撓みなどのカン
チレバ−の状態変化による全容量の変動が少なくなる。
探針・試料間の容量変動のみを抽出することができる。
静電容量顕微鏡としての機能を強化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合顕微鏡のセンサ部と
して利用される導電性のカンチレバ−、ホルダ−に関す
る。ここで複合顕微鏡というのは、次の3種類の顕微鏡
を合体したものである。走査型トンネル顕微鏡(ST
M)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型静電容量顕微
鏡(SCaM)の3種類である。これら3つの顕微鏡の
機能を結合し、1台の顕微鏡により、試料のさまざまな
性質、特性を調べる事ができるようにしたものである。
しかし本発明で直接に関係するのは、原子間力顕微鏡と
静電容量顕微鏡の二つである。
【0002】走査型トンネル顕微鏡は、尖った探針を試
料に数nmの程度に近づけ試料と探針の間に電圧を印加
し、試料と探針の間に流れるトンネル電流を測定し、試
料表面の微細な形状や、電子状態を観測する。電流を一
定値に保持するようにすれば、試料表面の凹凸の状態を
原子レベルで観察する事ができる。検出部は、探針であ
る。鋭く短い金属の針である。たわむ事はない。探針は
圧電素子に取り付けられており、上下(Z方向)、水平
方向(XY)に動く事ができる。試料と探針の間隔は,
0.5nm〜1.5nmの程度である。トンネル電流は
数nAの程度である。試料を相対移動させて、試料表面
の形状を調べるので走査型というのである。
【0003】走査型静電容量顕微鏡は、導電性の探針を
試料に接近させ、探針と試料表面の電荷との間で形成さ
れる静電容量を測定し、試料表面の静電容量分布を検出
するものである。これもセンサ部は、金属の短い探針で
ある。撓む必要はない。試料面に垂直に電流を流す事が
できるから、探針の他の部分と、試料の間に生ずる静電
容量は小さくする事ができる。原理図を図2に示す。
【0004】原子間力顕微鏡は、絶縁性の撓み易い部材
を試料に接近させ、この部材と試料原子の間に働く原子
間力による部材の撓みを、光学的或いは静電的に検出す
るものである。片持ちばりであり、よく撓むので、この
部材をカンチレバーと呼ぶ。カンチレバーは絶縁性で撓
み易いのが条件である。Si34 、Si02 、Si等
のヤング率の低い材料の薄膜を用いる。カンチレバー
は、板バネとも、バネともいう人がいる。探針を試料表
面に接近させると、試料原子とカンチレバーの先に力が
生じるのでこの力を測定する。電気的な機構を用いない
ので、カンチレバーは絶縁性でよいのである。カンチレ
バーの撓みは、レ−ザ光を当てて反射する光の変位を受
光素子によって検出して求める。原理図を図1に示す。
【0005】
【従来の技術】これら3つの顕微鏡は、別々の目的と構
造を持つものである。本発明者はこれらの三者を一体に
結合した複合顕微鏡を提案している。この場合、試料に
対向し試料の状態を検知するものは、探針とカンチレバ
ーの2種類がある。複合顕微鏡とするには、両者の性質
を兼ね備える必要がある。そこで本発明者は、カンチレ
バーの先に短い探針を取り付けた構造のものをセンサに
採用する事にした。原子間力顕微鏡は電気的な測定でな
く、部材の撓みを検出すれば良いのである。これは光学
的に検出する。ところが静電容量と、トンネル電流の場
合は、いずれも電気的な信号を必要とする。静電容量を
測定するには、高周波電圧を印加して探針、試料間の容
量を検出する。トンネル電流の場合は、探針と試料の間
に直流電圧を印加して僅かなトンネル電流を測定する。
【0006】印加する電圧の形態が違うので、同じ探針
を同時にふたつの目的に使うことができない。そこで、
切り替えスイッチを用いて、高周波電圧と、直流電圧を
択一的に印加するようにした。本発明者はこのように3
つの顕微鏡機能を合体することに鋭意努力した。もうひ
とつの問題は、板バネつまりカンチレバ−である。原子
間力顕微鏡に用いるカンチレバ−は絶縁体であり、ヤン
グ率の低い撓みやすい材料を選びやすい。しかしトンネ
ル顕微鏡、静電容量顕微鏡とする場合は、カンチレバ−
の他に探針を設けるということができないので、カンチ
レバ−の先に探針を付けることになる。
【0007】探針からの電流を導かなければならない。
ためにカンチレバ−自体が導電性のものでなければなら
なくなる。従来のように絶縁物によりカンチレバ−を作
るという訳にはゆかない。この問題は、原子間力顕微鏡
と静電容量顕微鏡を結合することによって初めて生ずる
問題である。トンネル顕微鏡を欠いた2種類の複合顕微
鏡においてもなお導電性のカンチレバ−が必要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】導電性のカンチレバ−
というものはこれまでになかったものである。静電容量
顕微鏡を原子間力顕微鏡に結合するために必要性が発生
したのである。しかし単に絶縁体を金属にすればよいと
いうようなものでないことが分かってきた。カンチレバ
−は長い棒状の部材であるが、これを金属にすると、カ
ンチレバ−と試料の間にも静電容量C2 が発生する。探
針と試料の間の静電容量C1 の変化を正確に捕らえる必
要がある。試料と探針の距離が短く、試料の電荷分布状
態が変化した時に、大きく容量が変化するのは、探針・
試料間のC1 である。試料・カンチレバ−間の容量C2
は試料の電荷分布によってあまり変動しない。ところが
カンチレバ−と、試料の間に高周波を印加し容量測定す
る時に、容量の多くはC2 から来る。これは信号C1
対するノイズとなる。
【0009】本発明者が作成した原子間力静電容量顕微
鏡において、印加電圧を変えて半導体の空乏層の厚みの
電圧に対する変化を測定したが、−10V〜+10Vの
印加電圧の範囲で容量の変化を観測することができなか
った。これはどうしてか?本発明者はカンチレバ−・試
料間の容量C2 が大きすぎて、探針・試料間の容量C1
の変化を覆い隠しているのであろうと考える。印加する
電圧が変動すると、空乏層が増えたり、減ったりする。
空乏層が広がると、探針・試料間の容量C1 が減るはず
である。しかしカンチレバ−・試料間の容量C2 が大き
いために、信号の変動が分からないのであると考える。
【0010】カンチレバ−・試料間の静電容量は、導電
性のカンチレバ−を採用することにより初めて発生した
ものである。カンチレバ−+探針により、原子間力顕微
鏡と、静電容量顕微鏡、トンネル顕微鏡のセンサとする
ところから、カンチレバ−を導電性にしなければならな
い。導電性のカンチレバ−はこれにより初めて登場した
訳である。従来、静電容量顕微鏡の場合は小さい探針の
みに高周波電圧を印加していたので、その他の部分と試
料の間の容量は問題にならなかった。しかしカンチレバ
−のように面積の広いものを探針の上に取り付けると、
カンチレバ−と試料間の静電容量が問題になる。
【0011】それでは探針・試料間、カンチレバ−・試
料間の容量がどのぐらいであるのかを評価する。探針の
下方は半球状であると仮定する。そこで図3のように、
球体(導体球)と無限に広がる導体面(大地)との間の
容量を計算する。半球の場合電荷が分布するのは下半分
であるから、球が存在するとしても同じことである。図
3において、球の半径をr、球の下端と導体面の距離を
s、球の中心と導体面の距離をdとする(d=s+
r)。導体面をXZ面とする。これに直角の方向がY軸
である。球の中心の座標は(0,d,0)である。この
球に+Qの電荷があるとする。導体面を電位0にするた
めに、鏡像球を考える。(0,−d,0)の位置に−Q
の電荷の鏡像球がある。球を結ぶ線状の点P(0,y,
0)での電界強度Eは、(ε0 は真空の誘電率)
【0012】 E=Q(4πε0-1{(d−y)-2+(d+y)-2} (1) である。これをyによって0〜sまで積分したものが電
圧Vである。
【0013】 V=∫Edy=Q(2πε0-1{r(2s+r)}-1s (2) となる。コンデンサとしての容量C1 は、
【0014】 C1 =(2πε0 ){r(2s+r)}s-1 (3) となる。これは探針と試料(導体面)との間の、静電容
量である。
【0015】一例を考える。探針の先が試料と距離s=
5nm離れており、探針の先端の曲率半径rが0.5μ
mであるとする。これを(3)に代入すると、C1
2.8fFである。きわめて小さい値である。次に図4
によりカンチレバ−と試料(導体面)との間の容量につ
いて考える。間隔d、面積Sの平行平板電極の容量は、
εS/dである。無限に広がる導体面の上に距離dを隔
てて存在する導体片(面積S)が、導体面との間に作る
容量は、同じようにεS/dである。カンチレバ−の場
合は傾斜しており、一方の端Aは試料に極めて接近して
おり、他方の(ホルダ−に支持される部分)端Bは試料
から遠い。斜めの導体が電荷+Qを有する。試料面をX
Z面として鏡像を考える。鏡像は−Qの電荷を持つ。
【0016】実電極と鏡像電極の間に電気力線ができる
が、これは真っすぐではなくて円弧状に彎曲する。電極
(カンチレバ−)の導体面に一番近い端Aでの面との距
離をdとする。導体面(XZ面)に対する電極の傾き角
をΘとする。電極の端Aからの電極の任意の点Pまでの
距離をlとする。これと導体面との円弧電気力線の長さ
は(d+lΘ)によって与えられる。電界Eは電気力線
に沿って一様であると仮定して、E(d+lΘ)が定数
cになる。また電極近傍の閉空間にガウスの定理を適用
して、P点での表面電荷ηは、η=ε0 Eである。全電
荷Qはηをlにより0からLまで積分したものに電極幅
wを掛けたものである。
【0017】 Q=w∫ηdl=cε0 w∫(d+lΘ)-1dl=cε0 wΘ-1log{(d+ LΘ)/d}(4) c=QΘ/[wε0 log{(d+LΘ)/d}](5)
【0018】電圧Vは、電界EをY方向に積分したもの
である。 V=−∫Edy=QΘ/[wε0 log{(d+LΘ)/d}] (6)
【0019】静電容量Cは、 C2 =wε0 [log{(d+LΘ)/d}]/Θ (7) これはΘが0の極限でε0 wL/dになる。平板コンデ
ンサの式ε0 S/dに合致する。
【0020】dはカンチレバ−と試料の距離である。探
針がほぼ試料に接触する程度に近いので、dは探針の長
さの程度である。一例を考える。カンチレバ−の長さ、
幅、傾き角、距離を次のように仮定する。L=2.0m
m、w=0.3mm、Θ=10°、d=5.0μm。こ
の場合C2 =64fFとなる。
【0021】カンチレバ−の方が大きいので、カンチレ
バ−の静電容量が、探針の容量よりもずっと大きい。こ
のために、試料と探針の間の容量が、カンチレバ−と試
料の間の信号に埋もれてしまう。であるから探針と試料
の間にバイアス電圧を加えて、探針と試料間の容量を変
化させても、これが容量の変化として検出できない。こ
のような導電性カンチレバ−と、試料間の容量を減少さ
せ、カンチレバ−の状態変化や、撓みによりカンチレバ
−の容量成分が変動しないようにしたカンチレバ−の構
造を提案することが本発明の目的である。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、導電性カンチ
レバ−の周り又は下方を金属製のシ−スによって覆い、
シ−スを接地しカンチレバ−とシ−スの間に生ずる容量
を一定とし、シ−スによって覆われない探針と試料の間
の容量の変動を正確に求めることができるようにしたも
のである。
【0023】
【作用】従来は、カンチレバ−と試料の間の容量C2
大きいということだけではなく、これの撓みにより、変
動するということが問題であった。探針と試料との容量
の時間的変化がカンチレバ−の状態変化のために変動す
るので、試料の電荷状態の変動を正確に反映しないとい
う問題があった。このために、C2 の時間変動がC1
時間変動を打ち消し、C1 の時間変化に対してノイズと
なるのである。
【0024】しかしカンチレバ−容量C2 の全体がノイ
ズであるのではない。試料の空乏層が広がると、試料と
探針間の容量C1 が減る。同様にカンチレバ−と試料間
の容量C2 も減少する。コンデンサとした場合の実効的
な厚みが増大するからである。つまり試料の状態変化に
対してはカンチレバ−もセンサとして機能している筈で
ある。どうしてこれがノイズであるのか疑問に思える。
この点を明らかにしよう。
【0025】カンチレバ−は試料から遠く離れているの
で、コンデンサとしての実効厚みD2 が大きいのであ
る。探針と試料間は狭いので、厚みD1 が小さい。空乏
層の厚みが10μm増大しても、D2 に対しては僅かで
ある。カンチレバ−の実効的な面積をK2 、探針の実効
的な面積をK1 とすると、試料と交流電源の間にある全
容量Cは、C1 +C2 になるので、
【0026】 C=C1 +C2 =(K1 /D1 )+(K2 /D2 ) (8)
【0027】バイアス電圧Vの変化dVによる空乏層の
変化をdDとすると、Vの変化による全容量の変化は dC=dV(dD/dV){(K1 /D1 2)+(K2 /D2 2)} (9)
【0028】となる。これはカンチレバ−が、試料の電
荷状態変化を検出するセンサとして機能することを意味
している。これだけならカンチレバ−の存在はむしろ望
ましいのであるが、カンチレバ−の撓み、状態変化によ
り容量変動を引き起こす。カンチレバ−の撓みMによる
全容量の変化は、カンチレバ−・試料間容量C2の変動
のみから来る。これは、
【0029】 dC=dM(K2 /D2 2)(dD2 /dM) (10)
【0030】(9)式から、バイアス変化による容量変
化は厚みの二乗に反比例する。C1 とC2 そのものの比
よりも、容量変動の比(dC1 /dV)、(dC2 /d
V)はC1 の側に大きくなる。しかしそれでも、探針の
容量変化A=dV(dD/dV)(K1 /D1 2)が、撓
みによる全容量変化(C2 からくる)E=dM(K2
2 2)(dD2 /dM)より小さい。このためにバイア
ス電圧の変化による容量の変化を検知できなかったので
ある。
【0031】本発明はカンチレバ−の下または全周を、
接地された導体のシ−スによって覆う。このためにカン
チレバ−とシ−スの間に新たな容量C3 が発生する。シ
−スによって遮蔽されるために、カンチレバ−と試料の
間の静電容量C2 が減少する。探針と試料との間の容量
1 は不変である。さらにまたシ−スと試料の間に容量
4 が発生する。しかし、試料は直流バイアスがかかっ
ているだけで、交流的には接地されているのと同じこと
である。C4 は接地電極間の容量であり、容量測定には
現われない。交流電源端子間の全容量Cは
【0032】 C=C1 +C2 +C3 (11)
【0033】である。この内カンチレバ−・シ−ス間C
3 が最も大きい。しかしこれは一定値である。カンチレ
バ−の撓みMや、バイアス電圧によって変動しない。
【0034】(dC3 /dM)=0 (12) (dC3 /dV)=0 (13)
【0035】バイアスによる容量の変化は (dC/dV)=(dC1 /dV)+(dC2 /dV) (14)
【0036】撓みによる容量変化は、 (dC/dM)=(dC2 /dM) (15)
【0037】本発明においては、カンチレバ−がシ−ス
により静電遮蔽されている。C2 は極めて小さくC1
りも小さい。C2 は撓みM、バイアス電圧Vにより変化
するが、変化分もわずかである。すると結局、本発明に
おいては、
【0038】 (dC/dV)=(dC1 /dV) (16) (dC/dM)=0 (17)
【0039】が成り立つことになる。(17)は、カン
チレバ−の撓みは容量変化に影響を及ぼさないというこ
とである。(16)は探針・試料間の容量変化が、交流
電源の両端から見た容量の変化に等しいということを意
味している。
【0040】
【実施例】探針を除き、カンチレバ−の一部または全部
を接地されたシ−スにより覆う。シ−スとカンチレバ−
の距離が一定であるので、カンチレバ−と接地電位との
間の容量の大部分を一定値にすることができる。
【0041】[実施例1] このような例を図5〜図7
によって説明する。これはカンチレバ−自体を金属板に
して、これの下方に絶縁体を介して金属のシ−スを設け
たものである。金属製の長方形金属板のカンチレバ−1
の後端部は、ホルダ−2に固着される。金属製カンチレ
バ−1の前端には、尖った探針3が形成される。カンチ
レバ−1の下面には、絶縁膜4を被覆してある。絶縁膜
4のさらに下方には、金属製のシ−ス5が被覆してあ
る。絶縁物はSiO2 、Si34 、Siなどである。
金属は金、銅、アルミ、銀などである。これらの金属を
多層膜にすることもできる。探針3の周りには、円錐形
の絶縁膜6と円錐形の金属膜7が同心円錐状に設けられ
る。探針3の先端が僅かに突出している。探針3の先は
試料8に接近した位置にある。シ−ス5は接地される。
【0042】シ−スと導電性カンチレバ−の間に薄い絶
縁膜があるので、シ−ス・カンチレバ−の間にはコンデ
ンサが形成される。絶縁層の厚みは不変である。従っ
て、このコンデンサの容量は不変である。シ−スによ
り、カンチレバ−がシ−ルドされるので、カンチレバ−
・試料間の容量C2 が極めて小さくなる。
【0043】バイアス電圧は、接地電位と、試料8の間
にかけられる。容量測定のための交流電圧は、ホルダ
−、カンチレバ−、探針の組と、ア−ス間に印加され
る。試料には直流のバイアスがかかっているが、交流的
には接地電位と同じである。すると、交流電源の両端か
らみた容量Cは、探針・試料間C1 、カンチレバ−・試
料間C2 、カンチレバ−・シ−ス間C3 の和になる。C
=C3 +C2 +C1 である。C3 はこのうち一番大きい
が、これはカンチレバ−の撓みなどに無関係で一定であ
る。従って容量変化を観察する場合C3 は現われない。
【0044】カンチレバ−の撓みに依存するC2 は極め
て小さい値になっている。容量変化には殆ど影響を及ぼ
さない。C1 が相対的に重みを増す。容量変化だけを見
るならば、C1 の変化が最も強く現われる。探針・試料
間の容量変化を正確に検知することができる。試料表面
の電荷分布、空乏層の広がりなどを検出することができ
る。
【0045】[実施例2] 図8、図9により他の実施
例を説明する。絶縁体でカンチレバ−の主体を形成し、
これに金属皮膜を付けて導電性を付与したものである。
これは絶縁物によりカンチレバ−の主要部を作るので、
より弾性率を低くすることができる。
【0046】図において、絶縁性カンチレバ−10の下
面と側面には、金属膜11が被覆してある。金属膜11
と、絶縁物10が導電性カンチレバ−を構成する。カン
チレバ−の金属膜11が後端において、ホルダ−14に
接続される。ホルダ−14は、カンチレバ−を機械的に
支持するだけでなく、カンチレバ−を電気的にも外部回
路と接続するのである。図8ではカンチレバ−の金属部
分とホルダ−が接触していないが、これが中央縦断面だ
からである。側面において金属膜11とホルダ−14が
接触している。
【0047】金属膜11の下面と側面には、絶縁膜12
がある。これの下面と側面には金属膜よりなるシ−ス1
3がある。シ−ス13は接地される。探針の部分は、円
錐状絶縁体15とこれを囲む円錐状金属膜16がある。
これが組合わさって探針17となる。探針17の外側に
は円錐状絶縁体18がある。これは平面部の絶縁膜12
につながっている。円錐状絶縁体18の外側には円錐状
金属膜19がある。これはシ−スの一部分である。ホル
ダ−14は金属膜11につながり、これに容量測定用の
交流電圧が印加される。金属膜11とシ−ス13の間に
はコンデンサC3 ができる。絶縁膜12が十分に薄いの
で容量が大きい。しかし容量は一定である。カンチレバ
−の撓みによりC3 が変動しない。C3 の時間変化はな
い。
【0048】カンチレバ−の金属膜11が、シ−ス13
によって電気的に遮蔽されるので、カンチレバ−・試料
間の容量C2 が極めて小さくなる。C2 はカンチレバ−
の撓みにより著しく変動するはずであるが、絶対値が小
さいので容量変化分としては僅かなものである。結局、
探針・試料間の容量C1 の変化を的確に観測することが
できるようになる。
【0049】
【発明の効果】導電性のカンチレバ−を、金属シ−スに
より囲み、カンチレバ−と試料間の浮遊容量を大きく減
少させることができる。カンチレバ−と接地電極との間
の容量は増加するが、これが一定になる。探針と試料と
の間の容量は小さいが、試料の電荷状態の変化に対して
追随して変化する。出力の変化分を観測するので、探針
と試料間の容量変化のみが現われる。バイアス電位を変
えることによる、試料の電荷分布、空乏層の厚みの変化
などをより的確に検知することができる。
【0050】実際、シ−スのないカンチレバ−の場合、
−10V〜+10Vのバイアスの変化に対して、電源・
試料間の容量変化を検知できなかった。つまり数十nm
の空乏層の厚み変化を検知できない。しかし図5〜図
7、図8〜図9のようなシ−ス構造をとることにより、
バイアス電圧の変化に対応して容量変化を認めることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子間力顕微鏡の測定原理図。
【図2】静電容量顕微鏡の測定原理図。
【図3】平面導体に対向する球が持つ容量を計算するた
めの説明図。
【図4】平面導体に対向する長方形板が持つ容量を計算
するための説明図。
【図5】本発明の実施例に係り、金属製のカンチレバ−
の下に絶縁膜を介して金属製のシ−スを設けたものの縦
断面図。
【図6】図5と同じ実施例にかかるカンチレバ−の側面
図。
【図7】図5、図6のカンチレバ−の探針の近傍の下方
から見た斜視図。
【図8】本発明の他の実施例に係り、絶縁体の表面に金
属を被覆したカンチレバ−の下半を、シ−スで覆ったも
のを示す縦断面図。
【図9】図8のX−X断面図。
【符号の説明】 1 金属のカンチレバ− 2 ホルダ− 3 探針 4 絶縁膜 5 シ−ス 6 円錐状絶縁膜 7 円錐状金属膜 8 試料 10 絶縁性カンチレバ− 11 金属膜 12 絶縁膜 13 シ−ス 14 ホルダ− 15 円錐状絶縁体 16 円錐状金属膜 17 探針 18 円錐状絶縁膜 19 円錐状シ−ス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも走査型静電容量顕微鏡と原子
    間力顕微鏡の機能を合体した複合顕微鏡のカンチレバ−
    構造であって、試料に対向するように設けられ先の尖っ
    た探針と、探針を先端に取り付けてあり探針と試料原子
    との間に働く原子間力によって撓む導電性のカンチレバ
    −と、探針を除くカンチレバ−の下面または全面に形成
    された絶縁膜と、絶縁膜の上に形成され接地される金属
    製のシ−スとよりなることを特徴とする複合顕微鏡の導
    電性カンチレバ−構造。
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