【発明の詳細な説明】
鎮痛剤及び抗炎症剤としての7−アザビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン及
び−ヘプテン誘導体
本発明は、7−アザビシクロ−〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘプテン誘導
体及びそれらの製造方法及び薬剤的使用の領域に関する。
発明の背景
阿片薬、そして特にモルヒネは、中等度ないし重度の疼痛の治療のために日常
的に投与されている。コデイン、作用−拮抗混合型モルヒネ様薬物、及び非ステ
ロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む非阿片系の鎮痛薬等の様な、モルヒネ程
強力でない薬剤が、軽い乃至中等度の疼痛を緩解させるためにしばしば使用され
ている。化学的依存性及び呼吸抑制を含む阿片薬の周知の副作用のために、阿片
系鎮痛剤の強さに匹敵し又はこれに勝りしかも阿片薬の投与に関連した重大な副
作用を持たない、中等度ないし重度の疼痛用の非阿片系の鎮痛剤に対する強い需
要が存在する。Spande等は、非阿片系の強力な鎮痛薬がエクアドル毒ガエル、Ep
ipedobates tricolorの皮膚から単離されたことを1992年に報告した。Spande,e
t al.,1992,J.Am.Chem.Soc,114,3475-3478.その化合物の構造は、質量
分析法、赤外分光法、及び核磁気共鳴によって、エキソ−2−(2−クロロ−5
−ピリジル)−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(図1を参照)と決定
された。この化合物は、エピバチジン(epibatidine)と命名されたが、天然に
見いだされた7−アザビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプタン化合物のクラスの最初のものである。エピバチジン
の限られた薬理学的評価が、Straub挙尾反応の誘発においてそれがモルヒネより
約500倍強力であること、及びこの効果が阿片薬拮抗薬であるナロキソンによっ
て逆転されないことを示した。ホットプレート鎮痛アッセイにおいて、エピバチ
ジンは、モルヒネの約200倍強力であった。エピバチジンが阿片類受容体に対し
無視できる親和性(モルヒネの1/8000倍)しか有しないことも測定された。この
データに基づいて、エピバチジンは、非阿片類機序を介して作用する非常に強力
な鎮痛薬であるように思われた。エピバチジンはエクアドル毒ガエルの皮膚より
単離されたことから、その同定及び特徴付けは、該化合物の合成に基づいてはい
なかった。実際、7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘプテン(
それぞれ、7−アザノルボルナン及び7−アザノルボルネンとも呼ばれる)のフ
ァミリーの化合物は歴史的に合成が困難であった。
7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及びー−ヘプテンにへの可能性あ
る入口は、以下に示したような、適当に置換された3−ビニルピリジン及びピロ
ールフラグメントの2+4付加環化によるビシクロ環の構築を伴う。
残念なことに、報告された僅かな例外(Wittig,G.,Angew Chem
.1957 69,245)があるだけで、ピロール及びその誘導体は、ジエノフィルで処
理したとき容易に置換反応を受ける(Diels,O.and Alder,K.,Ann.1932,49
8,1.)。ピロールの部分的な芳香族性が、ジエンとしてのその反応性を限定し
、通常、Michaelタイプの反応生成物が主である。(Jones,R.A.,The Chemistr
y of Heterocyclic Compounds,v.48 Pyrroles Wiley & Sons:New York.1990.
)ピロールとオレフィンとの間におけるDiels-Alder反応の速度及び収率の向上
が、Lewis酸を(Donnini,G.P.;Just,G.J.Heterocycl.Chem.1977,14,142
3;Bansal,R.C.;McCulloch,A.W.;McInnes,A.G.Can.J.Chem.1969,47,
2391)、及び高圧を(Kotsuki,H.;Mori,Y;Nishizawa,H.;Masamitsu,O.;
Matsuoka,K.Heterocycles,1982,19,1915;Drew,M.G.B.;George,A.V.;Is
aacs,is N.S.;Rzepa,H.S. T.C.S.Perkin Trans 1,1985,1277)用いて得
られたが、しかしこれまでのところ、これらのアプローチは範囲が限られている
。これらの反応の限界は、しばしば、7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−
2−エン生成物の、逆付加環化又は逆Mannich及び再芳香族化経路に関する固有
の不安定性に求められる。このことは、得られたオレフィンが電子吸引基によっ
て官能化されている場合には特に真である。(Altenbach,H.J.;Constant,D.
;Martin,H.D.;Mayer,B.;Muller,M.;Vogel,E.Chem.Ber.1991,124,7
91.)7−アザノルボルナン系の合成のための代わりの一方法が、Fraser等によ
って報告された(Can.J.Chem.1970,48,2065)が、含まれる長い合成経路及
び激しい反応条件は、エピバチジンの合成には適さない。7−アザノルボルネン
の化学については、Heterocycl.Chem.1974,16,87中のKricka,L.
J.;Vernon,J.M.Adv.を参照)。
ノルボルナン誘導体を製造するために、N−カルボアルコキシピロールが、Di
els-Alder反応において数種のアセチレン系ジエノフィルと共に用いられてきた
。しかしながらこれらの報告されている方策は、芳香族又はヘテロ芳香族群をい
ずれも、ヘプタン又はヘプテン環の重要な2位に入れない。(Altenbach,H-J.
et al.,Chem.Ber.1991,124,791;Altenbach,H-J.,et al.,Angew.Chem
.Int.Ed.Engl.1992 21(10),778; Gabel,N.W.,J.Org.Chem.1962,2
7,301;Pyrroles,Part2(Jones,R.A.,ed)Johe Wiley,New York.pp 92-9
5中のToube,T.P.(1992)).
エピバチジンの鎮痛作用の強さ並びに新しい、非阿片系の鎮痛剤に対する需要
に照らし、薬理活性、取り分け鎮痛活性を有する又は、薬理作用を有する化合物
へと誘導体化することのできる7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び
−ヘプテン誘導体の合成のための方法を提供することは有用であろう。
従って、本発明の一目的は、鎮痛活性を有する新しい7−アザビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプタン及び−ヘプテン誘導体を提供することである。
本発明の別の一目的は、鎮痛活性を有する7−アザビシクロ〔2.2.1〕−
ヘプタン及び−ヘプテン誘導体の合成のための方法を提供することである。
本発明の更なる一目的は、疼痛の治療のための新しい方法を提供することであ
る。
発明の要約
式(I)の7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘ
プテン化合物が開示される:
ここに、
R1及びR4は、独立して、水素、CH3を含むアルキル、CH2OHを含むアル
キルヒドロキシ、−CH2OCH3を含むアルキルオキシアルキル、−CH2SC
H3を含むアルキルチオアルキル、−CH2NH2を含むアルキルアミノ、CH2N
H(CH3)及びCH2N(CH3)2を含むアルキルアミノアルキル又はアルキル
アミノジアルキル、−OCH3を含むオキシアルキル、カルボメトキシを含むカ
ルボアルコキシ、アリル、アリール、及び−SCH3を含むチオアルキルであり
、
R3、R5及びR6は、独立して、水素、−CH3を含むアルキル、−CH2OH
を含むアルキルヒドロキシ、−CH2OCH3を含むアルキルオキシアルキル、−
CH2SCH3を含むアルキルチオアルキル、−CH2NH2を含むアルキルアミノ
、CH2NH(CH3)及びCH2N(CH3)2を含むアルキルアミノアルキル又
はアルキルアミノジアルキル、−OCH3を含むオキシアルキル
、−SCH3を含むチオアルキル、Cl、Fを含むハロ、CF3を含むハロアルキ
ル、NH2、−N(CH3)2及び−NHCH3を含むアルキルアミノ又はジアルキ
ルアミノ、
を含む環状ジアルキルアミノ、アミジン及び
を含む環状アミジン、及びそれらのN−アルキル誘導体、
−CO2H、−CO2CH3を含むCO2アルキル、−C(O)CH3を含む−C(
O)アルキル、−CN、−C(O)NH2、−C(O)NH(アルキル)、−C
(O)N(CH3)2を含む−C(O)N(アルキル)2、アリル、−SO2(アル
キル)、−SO2
(C6H5)を含む−SO2アリール、−S(O)アルキル、−S(O)アリール
、アリール、ヘテロアリール、又は
であり、
R5及びR6は、一緒になって−CH2−及び−CF2−を含むアルキリデン又は
ハロアルキリデン、エポキシド(−O−)、エピスルフィド(−S−)、イミノ
(−N(アルキル)−又は−N(H)−)、又は融合したフェニル環を含む融合
したアリール若しくはヘテロアリール環であることができ、
R2は、独立して、水素、CH3を含むアルキル、−CH2−HC=CH2を含む
アルケニル、−CH2−OHを含むアルキルヒドロキシ、−CH2−O−(アルキ
ル)を含むアルキルオキシアルキル、−CH2NH2を含むアルキルアミン、カル
ボキシラート、CO2Meを含むC(O)Oアルキル、C(O)Oアリール、C
(O)Oヘテロアリール、COOアラルキル、−CN、Q、C(O)Q、−アル
キル(Q)、―アルケニル(Q)、―アルキニル(Q)、−O−(Q)、−S−
Q、−NH−Q又は−N(アルキル)−Qであり、
R2及びR3は、一緒になって、−C(O)−N(R8)−C(O)又はCH(
OH)−N(R8)−C(O)−であることができ
、ここにR8は、フェニルを含むアリル、アリールか又はヘテロアリールである
ことができ、
R7は、水素、CH3又はCH2CH3を含むアルキル、CH2CH2Clを含む1
つ又はより多くのハロゲンで置換されたアルキル、−CH2−(シクロプロピル
)を含む−CH2−(シクロアルキル)、−CH2CH=CH2、−CH2CH2(
C6H5)、CH2CH2OHを含むアルキルヒドロキシ、CH2CH2N(CH3)2
を含むアルキルアミノ(アルキル)2、アルキルオキシアルキル、アルキルチオ
アルキル、アリール、
を含む第4級アンモニウムを形成するジアルキル、又は
(ここに、R9は水素又はアルキルであり、
ここに、Y’はCN、NO2、アルキル、OH、−O−アルキルであり、
ここに、ZはO又はSであり、
ここにR10及びR11は、各々独立して、−O-、−OH、−O−アルキル、−O
−アリール、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリ
ール)及び−N(アリール)2である。)であり、
Qは、
であり、
そしてここにQ部分は、所望により1乃至3個のW置換基で置換されていても
よく、そして
Wは、CH3を含むアルキル、Cl及びFを含むハロ、アリール、ヘテロアリ
ール、OH、−OCH3を含むオキシアルキル、SH、−SCH3を含むチオアル
キル、−SOCH3を含む−SO(アルキル)、−SO2CH3を含む−SO2アル
キル、−OCH2CH=CH2、−OCH2(C6H5)、CF3、CN、―メチレン
ジオキシ―を含むアルキレンジオキシ、−CO2H、−CO2CH3を含む−CO2
アルキル、−OCH2CH2OH、−NO2、−NH2、−NHCH3を含む−NH
(アルキル)、−N(CH3)2を含む−N(アルキル)2、−NHC(O)CH3
を含む−NHC(O)アルキル、−SO2CF3、又は−NHCH2(C6H5)を
含む−NHCH2アリールであり、そしてここに、
---は二重結合でもよいことを示す。
これらの化合物は、中枢的及び末梢的鎮痛活性及び、又は代わりに、抗炎症活性
を有し、それにより、疼痛及び炎症性疾患を治療するためにヒトを含む哺乳類に
投与できる。該化合物又はをの薬剤学的に許容し得る塩又は誘導体又はそれらの
混合物の有効量を、鎮痛療法を必要とするホストに、所望により薬剤学的に許容
し得る担体又は希釈剤に入れて投与することを含む、疼痛の治療のための一方法
もまた提供される。
開示された7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘプテンの容易
な製造方法もまた提供される。一具体例においては、該薬剤学的に活性な化合物
又はそれらの前駆体は、ピロールのペン
タアミンオスミウム(II)錯体と、3−ビニルピリジン誘導体を含むジポーラロ
フィルとの付加環化反応によって製造される。別の一具体例においては、薬剤学
的に活性な化合物又はそれらの前駆体は、N−(電子吸引性置換)ピロールと、
(所望によりアリール、アルキル、ヘテロ環状又はヘテロアリールで置換されて
いてもよい)アリールスルホニルアセチレンとのDiels-Alder反応によって製造
される。
図面の簡単な記述
図1は、エキソ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−7−アザビシクロ〔2
.2.1〕ヘプタン(エピバチジン)の図解である。
図2a及び2bは、N−(電子吸引性置換)ピロールとアリールスルホニル(
アリール又はヘテロ環で置換されていてよい)アセチレンとのDiels-Alder反応
による活性化合物の製造のための方法を概要的に図解する。
発明の詳細な記述
1.定義
ここに用いるものとして、術語「アルキル」は、飽和した直鎖、分枝鎖又は環
状(又はそれらの組み合わせ)の、C1乃至C10の炭化水素をいい、具体的には
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチ
ルメチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソ
ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3−メチ
ルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、ヘプチル、オ
クチル、ノニル、及びデシルを含む。
ここに用いるものとして、術語「低級アルキル」は、C1乃至C
6の飽和した直鎖、分枝鎖又は環状(C5〜6の場合)の炭化水素をいい、具体
的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブ
チル、シクロプロピルメチル、ペンチル、シクロペンチル、シクロブチルメチル
、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、3
−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、及び2,3−ジメチルブチルを含
む。
術語「アルキルアミノ」は、アルキル置換基を有するアミノ基をいう。
ここにいうものとして、術語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を
有するC2乃至C10の直鎖又は分枝鎖の炭化水素をいう。
ここにいうものとして、術語「低級アルキニル」は、C2乃至C6アルキニル
基をいい、具体的にはアセチレン及びプロピニルを含む。
ここにいうものとして、術語「アリール」は、フェニル、又は置換されたフェ
ニルをいい、ここに置換基はハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロ
アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコシキアルキル、メチレンジオキシ、シア
ノ、C(O)(低級アルキル)、カルボキシ、CO2アルキル、アミド、アミノ
、アルキルアミノ及びジアルキルアミノであり、アリール基は3個までの置換基
を有することができる。
ここに用いるものとして、術語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およ
びヨードを含む。
術語「アラルキル」は、アルキル置換基を有するアリール基をい
う。
術語「アルカリール」は、アリール置換基を有するアルキル基をいい、ベンジ
ル、置換されたベンジル、フェネチル又は置換された(ここに該置換基はアリー
ル基に関するものに限定されている)フェネチルを含み、。
ここで用いるものとして、術語「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」は、
少なくとも1つのイオウ、酸素、又は窒素を当該芳香環に含んだ芳香族系の部分
をいう。限定的でない例は、フリル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチ
アゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、キノリル、イソキノリ
ル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインド
リル、ベンズイミダゾリル、プリニル、カルバゾリル、オキサゾリル、チアゾリ
ル、イソチアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリ
ル、ピラゾリル、キナゾリニル、ピリダジニル、ピラジニル、シンノリニル、フ
タラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル
、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾ
ロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びピラゾロピリミジニルである。
術語「有機又は無機の陰イオン」は、負電荷を担持し且つ塩の陰性の部分とし
て使用できる有機又は無機の部分をいう。
術語「薬剤学的に許容し得る適用」は、正電荷を担持し且つ薬剤と関連させて
、例えば塩における相手陽イオンとして投与できる有機又は無機の部分をいう。
術語「鏡像体的に濃厚化させた組成物又は化合物」は、該化合物
の単一の鏡像体を少なくとも95重量%含む組成物又は化合物をいう。
術語「薬剤学的に活性な誘導体」は、受け手に投与したとき、ここに開示され
た化合物を直接的又は間接的に提供する能力のある如何なる化合物をもいう。
ここに用いるものとして、術語「ジポーラロフィル」は、双極種と反応して付
加環化反応の生成物を形成する化合物又は部分をいう。
ここに用いるものとして、術語「ジエノフィル」は、ジエンと反応して付加環
化反応の生成物を形成する化合物又は部分をいう。
ここに用いるものとして、術語「η」は、金属との不飽和化合物のπ軌道錯体
をいい、ここに「η」の後の添字は、該金属と結合しているsp2炭素原子の数
をいう。
ここに用いるものとして、術語「電子吸引性置換基」は、それが結合している
部分から、誘起又は共鳴によって電子密度を引く置換基をいう。広範な種々の電
子吸引性置換基が有機合成の当業者に周知である。
II.活性化合物の例
中枢的及び末梢的鎮痛活性及び、又は代わりに、抗炎症活性を有し従って疼痛
及び炎症を治療するためにヒトを含む哺乳類に投与することができる、式(I)
の7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘプテン誘導体が提供され
る。該化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩又は誘導体又はそれらの混合物の
有効量を、鎮痛療法を必要とするホストに、所望により薬剤学的に許容し得る担
体又は希釈剤に入れて投与することを含む、疼痛の治療のための方法もまた提供
される。
7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及びヘプテン誘導体
の番号付与法を下に示す。
ここに開示した7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及びヘプテンは、
多くの立体化学的配置を有する。上述のように、該化合物は、ジエノフィルとピ
ロールとのDiels-Alder付加環化反応、又はジポーラロフィルとペンタアミンオ
スミウム(II)活性化ピロールとの反応を伴うDiels-Alder反応の変形において
製造される。付加環化反応の遷移状態におて、ジエン及びジエノフィルの、エン
ド及びエキソと呼ばれる2つの可能な相対的配向がある。エンド配置は、ジエノ
フィル(又はジポーラロフィル)の他の不飽和基が、ジエン中に形成されつつあ
る二重結合の近くに存する場合に形成される。エキソ配置は、ジエノフィル(又
はジポーラロフィル)の他の不飽和基が、ジエン中に形成されつつある二重結合
から離れて存する場合に形成される。炭素原子上の置換基に依存して、エンド及
びエキソ配向は、異なった立体異性体を与え得る。
7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンの2,3,5及び6位の炭素原子及
び7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプテン2及び3
又は5及び6位の炭素原子は、異なった置換基に結合している場合、キラルであ
る。もしも分子中の炭素のうち少なくとも1つがキラルであると、その非対称に
置換されたビシクロ化合物は、1つ以上のジアステレオマー対のうちの1つとし
て存在する。ここに記述される活性化合物中のR基もまた、キラルな炭素を、従
って光学活性中心を含むことができる。
生物学的に活性な化合物の1つ又はより多くの鏡像体が、同じ化合物の他の鏡
像体に比して一層活性(且つおそらく一層毒性が低い)なものであることがしば
しば見出される。そのような鏡像体的に濃厚化した化合物は、ヒトその他のホス
トへの薬剤学的投与のためには好ましい。
当業者は、これら開示された化合物の該鏡像体を、慣用の方法を用いて容易に
分離し、そして単離された鏡像体の生物学的活性を、ここに開示された又は他の
既知の方法を用いて評価することができる。キラルなNMRシフト試薬、旋光分
析、又はキラルなHPLCの使用によって、該化合物の光学的濃厚度を測定する
ことができる。
分割の古典的方法は、種々の物理的及び化学的技法を含む。例えば、該化合物
が塩基性アミン(N7)を有することから、有意に相違する溶解性を有するジア
ステレオマー塩を形成させるために、それをキラルな酸と反応させることができ
る。キラルな酸の限定的でない例は、リンゴ酸、マンデル酸、ジベンゾイル酒石
酸、3−ブロモカンファー−β−スルホン酸、10−カンファースルホン酸、及び
ジ−p−トルオイル酒石酸、及びクロロ蟻酸(−)−メンチルを含む。同様に、
キラルな酸による、分子中の遊離のアミン又はヒドロ
キシル基のアシル化もまた、その物理的性質が分離を許容するに十分異なるもの
であるジアステレオマーアミド又はジアステレオマーエステルの形成をもたらす
。鏡像体的に純粋な又は濃厚化した化合物は、ラセミ混合物を、Rainin Corpora
tionによって販売されているシクロデキストリン結合カラムを含むキラルな分離
用に設計されたクロマトグラフィーカラムに通すことによっても得られる。
以下は、本発明の範囲に入る具体的な化合物の限定的でない例である。これら
の例は、単に模範であり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない
。
(A) エピバチジン異性体:
l−7−アザ−2−エキソ−(2−クロロ−5−ピリジル)−ビシクロ〔2.
2.1〕ヘプタン及びその薬剤学的に許容し得る、塩酸塩を含む塩、l−7−ア
ザ−2−エキソ−(2−クロロ−5−ピリジル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
タン及びその薬剤学的に許容し得る、塩酸塩を含む塩、
d及びl−7−アザ−エンド−(2−クロロ−5−ピリジル)−ビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプタン及びその薬剤学的に許容し得る、塩酸塩を含む塩、
(B)次の置換基を含んだ7−アザ−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン誘導
体のd及びl鏡像体:
7−メチル、7−アリル、7−シクロプロピルメチル、7−シクロブ
チルメチル、7−フェネチル、7−ヒドロキシエチル、7−メトキシエチル、7
−メチルチオエチル、7−ジメチルアミノプロピル、7−ホルムアミジニル、7
−(2−クロロエチル)、7−リン酸二ナトリウム及び7−(4−メトキシベン
ジル)置換基
と、2−エキフ−(2−クロロ−5−ピリジル)置換基との組み合わせ、
2−エキソ−(3−ピリジル)、
2−エンド−(3−ピリジル)、7−メチル−2−エキソ−(3−ピリジル)、
7−シクロプロピルメチル−2−エキソ−(3−ピリジル)、7−フェネチル−
2−エキソ−(3−ピリジル)、
2−エキソ−(4−ピリジル)、7−メチル−2−エキソ−(4−ピ
リジル)、7−アリル−2−エキソ−(4−ピリジル)、7−シクロプロピルメ
チル−2−エキソ−(4−ピリジル)、
2−エキソ(3−クロロ−4−ピリジル)、7−シクロプロピルメチ
ル−2−エキソ−(3−クロロ−4−ピリジル)、7−フェネチル−2−エキソ
−(3−クロロ−4−ピリジル)2−エキソ−(2−クロロ−3−ピリジル)、
2−エキソ−(2−クロロ−4−ピリジル)、
2−エキソ−(2−フルオロ−5−ピリジル)、2−エキソ−(2−
メトキシ−5−ピリジル)、2−エキソ−(2−メチルチオ−5−ピリジル)、
2−エキソ−(2−メチル−5−ピリジル)、2−エキソ−(2−ジメチルアミ
ノ−5−ピリジル)、2−エキソ−(2−ヒドロキシ−5−ピリジル)及びそれ
らの7−シクロプロピルメチル誘導体、
次のもののエキソ及びエンド異性体:
2−フェニル、2−(3−クロロフェニル)、2−(3−ジメチルアミノフェニ
ル)、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)、2−(3,4−メチレンジオ
キシフェニル)、2−(3,4−ジメトキシフェニル)、2−(4−フルオロフ
ェニル)、
2−(4−ヒドロキシフェニル)、2−(4−メチルチオフェニル)、
2−(4−メチルスルホニルフェニル)、2−(3,5−ジフルオロフェニル)
、2−(2−クロロフェニル)、2−(2−ナフチル)、2−(7−メトキシ−
2−ナフチル)、2−(5−クロロ−2−チエニル)、2−(クロロ−5−チア
ゾリル)、2−(4−ピリミジル)、2−(2−クロロ−5−ピリミジル)、2
−(5−クロロ−2−ピリダジニル)、2−(1,2,5−チアジアゾール−3
−イル)、2−(5−ジメチルアミノ−2−フリル)、2−(5−インドリル)
、2−(5−フルオロ−3−インドリル)、2−(5−メトキシ−3−インドリ
ル)、2−(4−クロロベンジル)、2−(5−クロロ−3−ピリジルメチル)
、2−(4−ピリジルメチル)、2−ニコチニル、2−(6−クロロニコチニル
)、2−イソニコチニル、2−(3−クロロ−イソニコチニル)、2−(4−ク
ロロベンゾイル)、2−(4−ジメチルアミノベンゾイル)、2−(3,4−ジ
メトキシベンゾイル)、及びそれらの7−メチル、7−シクロプロピルメチル、
7−アリル及び7−フェネチル誘導体。
(C)1,2,3,4,5又は6位に次の置換基を含む7−アザ−2−(
2−クロロ−5−ピリジル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンのエキソ及びエ
ンド異性体。
1又は4−メチル、1又は4−ヒドロキシメチル、1又は4−メトキ
シメチル、1又は4−カルボメトキシ、1又は4−アリル、1又は4−ベンジル
、1又は4−(4−フルオロベンジル)、1又は4−(4−メトキシベンジル)
、1,4−ジメチル、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)、1,4−ビス(メト
キシメチル)
、1,6−又は4,5−ブチリデン、
エンド又はエキソ−3−メチル、
3−ヒドロキシメチル、3−メトキシメチル、3−カルボメトキシ、3−カルボ
キシ、3−カルバミル、3−シアノ、3−アセチル、3−アミノメチル、3−ジ
メチルアミノメチル、3−メチルチオメチル、3−フェニルスルホニル、3−メ
タンスルホニル、3−ベンジル、3−アリル、3−シアノ−1,4−ジメチル、
3−ヒドロキシメチル−1,4−ジメチル、3−メトキシメチル−1,4−ジメ
チル、3−メチルチオメチル−1,4−ジメチル、5,6−ビス(トリフルオロ
メチル)、5又は6−メトキシ、5又は6−メチル、5,6−ジメチル、5,6
−ジカルボメトキシ、5,6−ビス(ヒドロキシメチル)、5,6−ビス(メト
キシメチル)、5又は6−クロロ、5又は6−ヒドロキシ、5,6−デヒドロ、
5,6−デヒドロ−1,4−ジメチル、3,3−ジメチル、2−メチル、2,3
−ジメチル、5,6−メチレン、
及びそれらの対応する7−メチル、7−シクロプロピルメチル、7−
アリル、7−フェネチル及び7−(4−フルオロベンジル)誘導体。
(D)7−アザ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−ビシクロ〔2.2
.1〕ヘプト−2−エン及びその7−メチル、7−アリル、7−シクロプロピル
メチル、7−フェネチル及び7−(4−メトキシフェネチル)誘導体、及び
対応する1,4−ジメチル、1又は4−メチル、5,6−ジメチル及
び5,6−ビス(トリフルオロメチル)類縁体。
(E)ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン及びそのN−メチ
ル誘導体、2,3−デヒドロエピバチジン、5,6−ビス(トリフルオロメチル
)デスクロロエピバチジン、2−カルボメトキシ−7−メチル−7−アザビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプタン、2−シアノ−7−メチル−7−アザビシクロ〔2.
2.1〕ヘプタン、トランス−2,3−ビス−カルボメトキシ−7−アザビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプタン、エキソ−2−アミノ−7−メチル−7−アザビシ
クロ〔2.2.1〕−ヘプタン、エキソ−2−(1−ピロリルメチル)−7−メ
チル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、エキソ−2−ヒドロキシメチ
ル−7−メチル−2−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン。
III.置換されていてよい7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及び−ヘ
プテンの合成のための方法
A. ペンタアミンオスミウム(II)錯体を介したピロールからの7−アザビシ
クロ〔2.2.1〕−ヘプタン又は−ヘプテン環系の合成
7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタン及びヘプテン誘導体が、ジポーラ
ロフィルを、ペンタアミンオスミウム(II)と錯体形成させた所望により置換さ
れていてよいピロールと合わせることによって製造できることが見出された。
この反応においては、ペンタアミンオスミウムピロール錯体と反応する如何な
るジポーラロフィルも、所望により置換されていてよい7−アザビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプテン(これは対応する7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタ
ンへと容易に変換される)を提供するために使用できる。ジポーラロフィルの例
には、Z1−
C=C−Z2構造を有する化合物が含まれる。ここにZ1及びZ2は、独立して、
電子吸引性の基であり、エステル、ニトリル、ケトン、アルデヒド、アミド、−
NO2、スルホン、無水物、−CF3、ピリジニウム塩、例えば、CO(アルキル
、アリール又はヘテロアリール)、C(O)H、CO2(アルキル、アリール又
はヘテロアリール)、SO2(アルキル、アリール又はヘテロアリール)を含む
(限定はされない)か又は、Z1及びZ2は一緒になって(CO2)O若しくは(
CO)2Nである。具体的化合物としては、N−メチル化された及び6−カルボ
キシル化されたピリジルアクリレート、アルキルアクリレート、アルキルメタク
リレート、ピリジル置換ビニルスルホン、アクリロニトリル、無水物、マレイミ
ド、α−メチレン−δ−ブチロラクトン、マレイン酸エステル、及びフマル酸エ
ステルが含まれる。
同様に、ペンタアミンオスミウム(II)と錯体形成したときジポーラロフィル
と反応することのできる、如何なる所望により置換されたピロールも使用できる
。適したピロールの例には、2,5−ジアルキルピロール、2−アルキルピロー
ル、3−アルキルピロール、1−アルキルピロール、3,4−ジアルキルピロー
ル、ピロール、1−シリル化ピロール、(1,2,又は3)アルコキシ又はアミ
ノピロール、2,3−ジアルコキシピロール、2,5−ジアルコキシピロール、
及び3,4−ジアルコキシピロールが含まれる。
以下のスキーム1に示したように、ピロールとπベースのペンタアミンオスミ
ウム(II)(それにおいては、オスミウムがC2及びC3を横切って該ヘテロ環
に配位している)との間で錯体が容易に形成される。20℃において、この種は、
金属がC3及びC4を横切
って結合しているその結合異性体と平衡状態にある。3,4−η種は、主要でな
い成分に過ぎない(△Giso>3 kcal/モル)が、この種における金属の
配位は、ピロールの残り部分をアゾメチンイリドにし(R2C+−N(R)−C−
R2←→R2C=N+(R)−CR2)、それにより、適当なジポーラロフィルとの
1,3−双極付加環化を受けるリガンドの傾向を劇的に増大させる。
得られた7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン・リガンドは、逆
付加環化に関し不安定であるが、金属の配位が該複合体を大きく安定化し、こう
して、このビシクロ骨格を無傷に維持したまま置換基の変更を行なう機会を与え
る。例えば、ノルボルネン骨格の2−又は3−位における電子吸引性基の慣用の
方法による誘導体化は、広範な官能化された7−アザノルボルネンを与える。具
体的には、下のスキーム2に示されているように、2,5−ジメチルピロールか
らワン・ポットの合成で製造されるエキソ−カルボニル−シクロ付加錯体2は、
対応するアルコールへと還元されそして酸化的に錯体を分解させて、比較的入手
しにくい5−ヒドロキシメチル−7−アザノルボルネン3を与える。
このアプローチは、ジポーラロフィルとして3−ビニルピリジンを用いた場合
に、エピバチジン環系を構築するために使用できる。(スキーム2に示した2,
5−ジメチルピロール錯体を用いた)上記反応順序におけるメチル−トランス−
3−(3−ピリジル)−アクリレートの使用は、下記の化合物4を与え、それは
天然の産物の炭素骨格を含んでいた。
エピバチジンは、橋頭炭素(C1及びC4)に置換基を有しない。簡単なペンタ
アミンオスミウム(II)−ピロール錯体のジポーラロフィルとの反応性は、2,
5−ジメチルピロール >N−メチルピロール >ピロールの順に低下する。橋
頭位置における置換を伴うことなく付加環化物を得るには、一般に、オレフィン
に結合している電子吸引性基の慎重な選択によるジポーラロフィルの更なる活性
化か又は高圧が必要である。親ピロール錯体は錯体混合物を与えるが、N−メチ
ルピロールは、N−メチル化及び6−カルボキシル化したピリジルアクリレート
と反応して付加環化体5及び6を単一のジアステレオマーとして与える。
アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン核の安定化のための代わりの方法は、第
2級アミン(及びピリジル基)のプロトン化、及びそ
れに続く金属の酸化的除去及びアザノルボルネンのin situ水素添加を伴う。こ
の方法の一例は、1,4−ジメチル−エキソ−カルボメトキシ−ノルクロロエピ
バチジン7の合成に関して下記のスキーム3に示されている。
所望により置換されていてよい7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン及び
7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エンをペンタアミンオスミウム(
II)錯体を経て製造するための方法は、3つのステップで進行する。第1のステ
ップにおいては、所望により置換されていてよいピロールが、ペンタアミンオス
ミウム(II)で処理される。過剰のピロール錯体が通常好ましい。ペンタアミン
オスミウム(II)は、水素に対して−0.75Vより低い還元電位を有する一電子還
元剤でペンタアミンオスミウム(III)を還元することによってそのままの部位
で産生される。ペンタアミンオスミウム(II)の相手陰イオンは、上記の反応全
体に有害な影響を及ぼさない如何なる陰イオンであってもよい。典型的な相手陰
イオンは、CF3
SO3 -(Otf-)、PF6、X-、及び(アルキル又はアリール)SO3 -である
。
オスミウム錯体をIII価状態からII価状態へと還元することができ且つ望まし
からざる副反応を引起したりそれに参加したりすることのない如何なる化学的又
は電気化学的還元剤も適している。適した還元剤には、マグネシウム、亜鉛、ア
ルミニウム、ナトリウム、コバルトセン及び電気化学的還元が含まれる。好まし
い一具体例においては、活性化したマグネシウム粉末が用いられる。
所望により置換されていてよいピロール、ペンタアミンオスミウム(III)、
及び還元剤が、所望の有機金属錯体が形成されるまで、0℃乃至50℃の範囲の温
度において、典型的には0.1乃至1.0時間攪拌される。この反応は、N,N−ジメ
チルアセタミド、N,N−ジメチルホルムアミド、水、メタノール、アセトニト
リル、アセトン、ジメチルスルホキシド、CH2Cl2、又はジメトキシエタンを
含むがこれらに限定されない極性又は非極性溶媒中で行なうことができる。該反
応は、O2の非存在下に、典型的には1気圧又はそれより高い圧力の窒素下に行
なわれる。
この方法の第2のステップにおいては、所望により置換されていてよい7−ア
ザビシクロ〔2.2.1〕ペプト−5−エンを産生させるためにジポーラロフィ
ルがピロール・ペンタアミンオスミウム(II)錯体の攪拌溶液に加えられる。所
望の結果を与えるピロールに対するジポーラロフィルの如何なるモル比も使用で
きる。典型的には、ピロールに対するジポーラロフィルのモル比約1乃至10が、
生成物の適切な収率を与える。反応溶液は、10乃至50℃の範囲の温度で、生成物
が形成されるまで、典型的には1乃至24時間攪拌され
る。
ビシクロ環系が形成された後のステップにおいて、そしてペンタアミンオスミ
ウムが依然としてヘプテン部分のπ軌道に錯体形成している間に、慣用の方法を
用いて該ビシクロ環上の官能基を誘導体化することができる。例えば、エステル
はアルコールへと還元でき、ニトリルはアミンへと、スルホンはスルフィドへ、
ニトロ基はアミンへ、そしてアミドはアミンへと還元できる。スルホン及びカル
ボキシラートは、Barton脱カルボキシル法を用いて還元的に除去することができ
る。環の破裂及び望まない副反応を回避するために、高温及び強塩基は、官能化
操作においては避けるべきである。
反応の第3のステップにおいては、ペンタアミンオスミウム(II)錯体が、所
望により置換されていてよい7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン
より、例えば酸性溶液中におけるセリウム(IV)又は酸素による処理によって除
去される。例えば、7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エンを、1当
量のセリウム試薬によって、20℃にてアセトニトリルのような極性溶媒中におい
て処理することができる。適当な試薬には、Ce(NO3)6(NH4)2、DDQ
、及び水素に対してE>+0.70Vを有するその他の無機又は有機の酸化剤が含ま
れる。代わりとして、必要に応じて錯体を、通常約50℃乃至100℃に加熱するこ
とによって、オスミウム試薬を除去することができる。
上述の合成方法を用いて、広範な種々の置換された7−アザノルボルナン及び
7−アザノルボルネンを製造することができる。代表的化合物の例が、表1及び
2にまとめられている。
それらのうちの幾つかは、複合ヘテロアリール又はR2及び/又
はR3として極性置換基を含んだ望ましい化合物の中間体として有用である。
5,6−η2−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エンを介して式
(I)の化合物を製造するための方法が下に提示されている。これらの実施例は
、単に説明するものであって、本発明の範囲を限定すること意図したものではな
い。
実施例1 1,4−ジメチル−2−エキソ−(ヒドロキシメチル)−7−アザ
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エンの製造
2gのアセトニトリル中の化合物8(727mg,1.0mmol)の5,6−η2オス
ミウム錯体の溶液を、過剰のトリフルオロメタンスルホン酸(250mg,1.67mmo
l)でプロトン化し、そして−10℃にて、2gのアセトニトリル中の同様に冷却
した硝酸第二セリウムアンモニウム(560mg,1.02mmol)及びトリフルオロメ
タンスルホン酸(560mg,3.73mmol)で処理した。析出した塩を水(1〜2m
l)を加えて溶解させ、混合物を40mlの10%炭酸ナトリウム水溶液で塩基性に
し、5×20mlの塩化メチレンで生成物を抽出した。抽出液をMgSO4上で乾
燥させ、溶媒を溜去し、147mgの褐色油を得た。この粗生成物を、シリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより、1:10の15重量%NH3含有メタノール/塩
化メチレンを用いて精製し、62mg(41%)の純粋な8(油状物、Rf=0.5)
を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)d 6.31(d,J=5.3Hz,1H),6
.09(d,J=5.3Hz,1H),3.99(dd,J=10.3,2.1Hz,1H),3.67(dd,J=10.3,
2.1,1H),3.6-2.8(vbr,約2H,OH及びNH),1.4-1.8(m,3H),1.48(s,3H
),1.47(s,3H);13C NMR(75MHz,CDCl3)d 145.2(CH),1
41.5(CH),69.9(C),67.0(C),61.5(CH3),41.7(CH),37.0(C
H2),18.9(CH3),15.7(CH3);この材料は、ピクリン酸塩へ変換することに
よって更に特徴付けされた。融点186〜188℃。元素分析理論値:C15H18N4O8
として、C,47.12;H,4.75;N,14.65。実測値:C,46.96;H,4.52;N
,14.66
実施例2 N−CBZ−1,4−ジメチル−2−エキソ−(ヒドロキシメチル
)−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン(9)及びN,O−ビス
−CBZ−1,4−ジメチル−2−エキソ−(ヒドロキシメチル)−7−アザビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン(10)の製造
上記のようにして1.0mmolのオスミウム錯体から得られた粗製アミノアルコー
ル8を、Na2CO3(水2g中0.38g)の水溶液中に懸濁させ、そして混合物を
0℃まで冷却した。クロロ蟻酸ベンジル(510mg,3mmol)を加え、激しく攪
拌しつつ混合物を室温まで温まらせた。25℃にて20時間の後、混合物を塩化メチ
レンで抽出し、抽出液を乾燥させ回転溜去し、0.4gの褐色油状物を得た。この
粗製材料を、1:8の酢酸エチル/石油エーテルを用いて2回クロマトグラフィ
ーにかけ、43mg(10%)の9及び64mg(22%)の10(それぞれ、Rf=0.5
及び0.1)を得た。9について:1H NMR(300MHz,CDCl3)d 7.32
(m,5H,フェニル),6.06(ABq,J=5.7Hz,2H,H5及びH6),5.04(s,2H,OC
H2Ph),3.69(m,2H,CH2OH),2.18(br s,1H,OH),1.75(2×s,6H,CH3
),1.7(m,重なり,1H),1.55(m,2H),13C NMR(75MHz,CDCl3
)d 155.2(CO),140.5(CH,C5又はC6),140.2(CH,C6又はC5),136.4(
C,ipso),128.3(CH),127.9(CH),127.8(CH),71.1(C),69.0(C),
66.4(CH2OH),63.0(CH2),
45.6(CH),37.7(CH2),19.4(CH3),16.8(CH3)。10について:1H NM
R(300MHz,CDCl3)d 7.37(m,5H,フェニル),7.32(m,5H,フェ
ニル),6.07(ABq,J=5.5Hz,2H,5H及びH6),5.16(s,2H,OCH2フェニル)
,5.05(ABq,J=13.5Hz,2H,OCH2Ph),4.33(dd,J=10.5,7Hz,1H,1/2 CH2O
CBZ),4.06(dd,J=10.5,7.5Hz,1H,1/2 CH2OBZ) 1.94(m,1H,H2),1.7
9(s,3H,CH3),1.75(s,3H,CH3),1.60(dd,J=11.4,9Hz,1H,H3endo)
,1.4(dd,J=11.4,3.6Hz,H3exo)。13C NMR(75 MHz,CDCl3)
d 155.0(CO),154.9(CO),140.5(CH,C5又はC6),140.5(CH,C6又はC5
),136.4(C,ipso),135.2(C,ipso),128.5(2×CHの重なり),128.4(C
H),128.3(CH),128.0(CH),127.8(CH),70.8(C),69.6(2×CH2の重
なり),68.9(C),66.3(CH2O),43.2(CH,C5),38.7(CH2,C6),19.3(
CH3),17.0(CH3)
実施例3 1,4−ジメチル−2−エンド−(3’−ピリジル)−3−エキソ
−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン(
11)の製造
対応する5,6−η2オスミウム錯体を、化合物8について上に記載したよう
にして処理した。
識別のための1H NMR情報:6.43(d,J=6H,1H,H5又はH6),6.0(d,J=6H
z,1H,H6又はH5),4.0(dd,J=10,2.5Hz,1H,1/2 CH2OH),3.75(dd,J=10
,2.5Hz,1/2 CH2OH),1.55(s,CH3),1.38(S,CH3)
実施例4 1,4−ジメチル−2−エキソ−(ヒドロキシメチル)−7−アザ
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(12)の製造
粗化合物8(85mg,0.56mmol)を、30mgの10%Pd/C及び0.5gのメタ
ノールと共に、5mlの丸底フラスコ中において1気圧のH2下に30分間攪拌し
た。反応混合物をセライトを通して濾過し、蒸発させて78mgの油状物を得た。
調製用薄層クロマトグラフィー(0.25mm,20×20cm,溶離液=1:6の15%
NH3含有MeOH/CH2Cl2)による精製は、14mg(16%)の純粋な12を
与えた(Rf=0.5)。1H NMR(300MHz,CDCl3)d 3.89(br,2H
,NH及びOH),3.82(d,J=10.6Hz,1/2 CH2OH),3.38(d,J=10.6Hz,1/2 CH2
OH),1.7-1.5(m,7H,3×CH2+CH),1.41(s,3H,CH3),1.37(s,3H,CH3
)。13C NMR(75MHz,CDCl3)d 66.8,64.0,63.8,45.5,40.0
,39.1,39.07,20.6,17.8
実施例5 1,4−ジメチル−2−エキソ−カルボキシメチル−7−アザビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプタン(13)の製造
対応する2,3−η2−オスミウム錯体18を、8について記述したようにして
プロトン化しCe(IV)で錯体を分解した。アセトニトリルを蒸発させて不安定
な、プロトン化した7−アザノルボルネンを、12について記述したようにしてメ
タノール中において水素添加した。水性処理(8についての手順を参照)の後、
化合物13が油状物として得られ、そして調製用薄層クロマトグラフィー精製した
。1H NMR(300MHz,CDCl3)d 3.60(s,3H,CH3O),2.63(dd,
J=8.1,5.1Hz,1H,H2),2.49(br s,1H,NH),1.82(dd,J=12.2,8.1Hz,1
H,H3end),1.75-1.2(m,重なり,5H),1.32(s,CH3),1.2(s,3H,CH3)
。13
C NMR(75MHz,CDCl3)d 176.5(CO),67.7,
63.4,53.0,51.3,44.0,38.3,36.7,20.5,18.3
実施例6 1,4−ジメチル−2−エンド−(3’−ピリジル)−3−エキソ
−カルボキシメチル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(14a)及び
そのエキソ−ピリジル−エンド−カルボキシル異性体(14b)
これらの異性体は、13についての手順に従ってオスミウム錯体の対応する混合
物から、分離不能の94:6の混合物として得られた。14aについて、1H NM
R(300MHz,CDCl3)d 8.45(m,2H,H2'及びH6'重なり),7.49(dt
,J=7.8,1.5Hz,1H,H4'),7.23(dd,J=7.8,4.8Hz,1H,H5'),3.64(s,3
H,CH3O),3.29(dd,J=5.9,2.1Hz,1H,H2),2.95(d,J=5.9Hz,1H,H3)
,2.62(br s,1H,NH),1.85-1.6(m,2H,CH2's),1.5(m,1H),1.35(m
,1H),1.29(s,3H,CH3),1.26(s,3H,CH3)。13C NMR(75MHz,
CDCl3)d 175.7(CO),149.8(CH),148.2(CH),135.3(CH),134.1
(C),123.1(CH),67.6(2×C重なり),58.7(CH),58.3(CH),51.7(CH3
O),38.6(CH2),30.3(CH2),19.3(CH3),18.7(CH3)。14bの識別的特
徴:d 3.36(d,J=6Hz,H2),2.8(dd,J=6,2Hz,H3)
実施例7 1,4−ジメチル−2−エンド−(3’−ピリジル)−3−エキソ
−(ヒドロキシメチル)−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(15)の製
造
化合物14をエーテル中水素化アルミニウムリチウムで還元し、水性処理の後透
明な樹脂を得た。識別的1H NMR共鳴:3.87(dd,J=10.6,2.8Hz,1H,1/2
CH2OH),3.46(dd,J=10.6,3.0Hz,1H,1/2 CH2OH),3.16(dd,J=5.0,1.9H
z,1H,H2),1.5(s,
3H,CH3),1.25(s,3H,CH3)
実施例8 1,4−ジメチル−2−エンド−(3’−ピリジル)−3−エキソ
−フェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(16a)及び
そのエキソ−ピリジル,エンド−フェニルスルホニル異性体(16b)の製造
化合物13及び14の手順に従い、異性体である7−アザノルボルナンの混合物を
得た。主要な異性体についての識別的1H NMRピーク:3.6(d,J=7Hz,1H,
CHendo),2.95(dd,J=7,1.5Hz,1H,CHexo),1.85(s,3H,CH3),1.25(s
,3H,CH3)
実施例9 〔Os(NH3)5(2,3−η2−2,5−ジメチルピロール)〕
(OTf)2(17)の製造
1.5gのN,N−ジメチルアセタミド中の〔Os(NH3)5OTf〕OTf2(
1.445g,2.00mmol)の溶液に、2,5−ジメチルピロール(1.5g,16mmol)及
び活性化させたMg°(1.0g,41mmol)を加え、スラリーを45〜60分攪拌した
。中等度の多孔度のフリットを通してスラリーを150mlのCH2Cl2中に濾過
し、淡黄色の沈殿を得、これを濾過し、CH2Cl2で、次いでエーテルで洗浄し
、次いで乾燥させた。淡黄色の粉末の収量は1.23〜1.31g(92〜98%)であった
。
実施例10 5,6−エキソ−η2−Os(NH3)5−1,4−ジメチル−2
−エキソ−カルボメトキシ−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン
)(OTf)2(18)の製造
該2,5−ジメチルピロール錯体(669mg,1.0mmol)を、2gのメチルアク
リレート中に懸濁させ、該スラリーを1時間攪拌した。アセトニトリル(c.1
ml)を加えて固形物を溶解させ、
得られた溶液を50mlのエーテル中に攪拌しつつ滴下して加えた。沈殿を濾過し
、エーテルで洗浄し、乾燥して、730mg(97%)の僅かに灰色がかった白色の
粉末を得た。1H NMR(300MHz,CD3CN)d 3.97(br s,3H,トラ
ンス-NH3),3.65(s,3H,CH3O),3.34(br s,12H,シス-NH3),3.17(d,J
=6.3Hz,2H,H5又はH6),3.13(d,J=6.3,1H,H6又はH5),2.77(dd,J=8.1
,4.2Hz,1H,H2),2.14(br s,1H,NH),2.05(dd,J=11.6,8.1Hz,1H,H3endo
),1.63(dd,J=11.6,4.2Hz,H3exo),1.39(s,3H,CH3),1.24(s,3
H,CH3)。13C NMR(75MHz,CD3CN)d 176.4(CO),75.7(C)
,71.0(C),59.1(CH),58.0(CH),55.3(CH),51.6(OCH3),47.1(CH2
),18.3(CH3),15.9(CH3)。
元素分析理論値:C12H30N6O8S2F6Os:C,19.10;H,4.01;N,11.14
.実測値:C,18.57;H,3.96;N,11.02
実施例11 ペンタアミンオスミウム−ピロール錯体:2,3−η2−〔Os
(NH3)5〕−リガンド〕(OTf)2の製造(ここにリガンドはピロール又は
N−メチルピロールである)
〔Os(NH3)5OTf〕(OTf2)(723g,1.0mmol)、N,N−ジメチ
ルアセタミド(1g)、DME(3g)、ピロール又はN−メチルピロール(1
g)及びマグネシウム(0.5g)を1時間攪拌した。溶液を、10〜15mlのDM
Eの助けをかりて60mlの中等度フリットガラス漏斗を通して濾過し、濾液を塩
化メチレン(150ml)に滴下して加えた。得られた沈殿を濾過し、塩化メチレ
ン(20ml)及びエーテル(2×20ml)で洗浄し、窒素下
に乾燥させた。この反応の収率は、約8%の2核の不純物を有する黄〜橙色固体
典型的につき、90〜95%である。
実施例12 ペンタアミンオスミウム付加環化錯体の製造
実施例11より得られたペンタアミンオスミウムピロール錯体を、エーテルア
セトニトリル又はN,N−ジメチルアセタミド溶液中において、過剰(3〜30当
量)のジポーラロフィルで処理した。1〜10時間後、溶液をエーテル又は塩化メ
チレン(アセトニトリル1g当たり20mlのエーテル又はN,N−ジメチルアセ
タミド1g当たり75mlの塩化メチレン)に攪拌しつつ加えた。得られる沈殿を
実施例11において記述したようにして処理し、85〜95%の収率を得た。
実施例13 ペンタアミンオスミウム−付加環化錯体の製造のためにワンポッ
ト法
ジポーラロフィル(例えばメチルアクリレート)を、実施例11に記述されて
いるようにして親のピロール錯体の合成において反応混合物に加えた。適当な反
応時間(例えば1〜10時間)の後、混合物を濾過してマグネシウムを除去し、
濾液を1:1の塩化メチレン/エーテル(合成に用いられたN,N−ジメチルア
セタミド1グラムにつき100ml)に加えた。実施例11に記述されているよう
にして固体を単離し、付加環化錯体をモノ−N,N−ジメチルアセタミド溶媒化
合物として約95%の収率で得た。
実施例14 ペンタアミンオスミウム−付加環化錯体からの7−アザノルボル
ナンの合成のためのワンポット法
実施例13において製造された付加環化錯体(1.0mmol)をアセトニトリル(
4g)に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸
(3〜5当量)でプロトン化させ、DDQ(1当量)で処理した。追加の20ml
のアセトニトリルの助けをかりて暗色の溶液を50mlの丸底フラスコへ移し、10
%Pd/C(約0.5g,40mole%)で処理し、そして1気圧のH2(バルーン)下
に適当な時間(2〜20時間)水素添加した。(ピロール−から誘導された錯体は
、窒素上に置換基を欠いているため、アセトニトリル中においてN−エチル誘導
体へと還元的アミノ化を受けた。これらの場合には、溶媒を蒸発させ、還元をメ
タノール中で行なった。)処理A:反応混合物をセライトに通してPd/Cを濾
過し、ケーキをアセトニトリル(又はメタノール)で洗浄し、濾液を蒸発させた
。残渣を水(約10〜15ml)に溶解させ、分液漏斗へ移し、10%Na2CO3水溶
液で塩基性とし、塩化メチレン(3×40ml)で抽出した。抽出液をMgSO4
上で乾燥させ、蒸発させて、粗7−アザノルボルナンを得た。処理B:水素添加
反応混合物を1mlのNH4OHで処理し、等量の塩化メチレン(約30ml)で
希釈し、次いで、30mlの中等度フリットガラス漏斗中において20ccのシリカ
ゲルを直接通して濾過した。フラスコ及びシリカゲルを、1:1の塩化メチレン
/約3〜5%NH4OH含有アセトニトリル(又はメタノール)の追加の2×30
mlので洗浄し、合わせた溶出液を蒸発させて、粗7−アザノルボルナンを得た
。
実施例15 2−カルボメトキシ−7−メチル−7−アザビシクロ〔2.2.
1〕ヘプタンの製造
異性体の1:1混合物として得られるこれらの化合物を、実施例13及び14
に提示された方法(処理B)を用いて、N−メチルピロール及びメチルアクリレ
ートから66%の全体収率で製造した。こ
の異性体を、1:1.5のHMDS/メタノール/塩化メチレンを用いて調製用薄
層クロマトグラフィーによって分離した。エキソ異性体(1):Rf=0.76、1
H NMR(CDCl3)δ 3.66(s,3H,CH3O),3.62(d,J=4.2Hz,1H,H4
),3.30(t,J=4.0Hz,1H,H4),2.40(dd,J=9.6,5.4Hz,1H,H2),2.21(
s,3H,CH3N),2.18(m,1H),1.86(m,2H),1.57(dd,J=12.6,9.6Hz,1H
,H3endo),1.33(m,2H)。13C NMR(CDCl3)δ 174.6(C,CO),6
4.2(CH,C1又はC4),61.1(CH,C4又はC1),51.9(CH3,CH3O),47.4(CH,
C2),34.5(CH3,CH3N),33.3(CH2),26.7(CH2),26.2(CH2)。エンド異
性体(2):Rf=0.62、1H NMR(CDCl3)δ 3.65(s,3H,CH3O)
,3.44(t,J=4.5Hz,1H,H1又はH4),3.21(t,J=4.5Hz,1H,H4又はH1),3.
08(m,1H,H2),2.26(s,3H,CH3N),1.95(m,1H),1.75(m,重なり,3H
),1.36(m,2H)。13C NMR(CDCl3,50℃)δ 174.3(C,CO),64
.1(CH,C1又はC4),62.1(CH,C4又はC1),51.4(CH3,CH3O),45.2(CH,C
2),34.4(CH3,CH3N),30.6(CH2),28.0(CH2),24.2(CH2)。沈殿した
塩(両方の異性体の組み合わせ)をエタノールから結晶化させた(融点102〜108
℃)。元素分析理論値:C15H18N4O9として;C,45.23;H,4.55;N,14.
07。実測値:C,45.42;H,4.59;N,14.10
実施例16 2−シアノ−7−メチル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
タンの製造
異性体の1:1混合物として得られるこれらの化合物を、実施例13及び14
に提示された方法(処理B)を用いて、N−メチルピ
ロール及びアクリロニトリルから57%の全体収率で製造した。異性体を調製用薄
層クロマトグラフィーにより、1:1.8のHMDS/メタノール/塩化メチレン
を用いて分離した。エキソ異性体(3):Rf=0.71、1H NMR(CDCl3
)δ 3.53(d,J=3.3Hz,1H,H1),3.37(t,J=3.8Hz,1H,H4),2.44(dd,
J=9.3,5.1Hz,1H,H2),2.36(s,3H,CH3N),2.1(m,1H),1.83(m,2H)
,1.75(dd,J=12.6,9.3Hz,1H,H3endo),1.3(m,2H)。13C NMR(C
DCl3)δ 122.7(C,CN),65.5(CH,C1又はC4),60.8(CH,C4又はC1)
,35.7(CH2),35.3(CH3),31.9(CH),27.5(CH2),26.9(CH2)。エンド
異性体(4):Rf=0.55。1H NMR(CDCl3)δ 3.44(t,J=4.5Hz,
1H,H1又はH4),3.29(t,J=4.5Hz,1H,H4又はH1),2.92(dtd[11のラインパターン
],J=12,約4.8,1.8Hz,1H,H2),2.26(s,m重なり,4H,CH3N及びH3exo)
,2.0〜1.8(m,3H),1.57(dd,J=12.3,5.1Hz,1H,H3endo),1.45(m,1H
)。13C NMR(CDCl3,50℃)δ 121.7(C,CN),63.8(CH,C1又はC4
),61.6(CH,C4又はC1),34.6(CH2),34.4(CH3,CH3N),29.9(CH,C2)
,27.9(CH2),24.1(CH2)。ピクリン酸塩(両異性体の組み合わせ)を、エタ
ノールから結晶化させた(融点218〜214℃)。元素分析理論値:C14H15N5O7
として:C,46.03;H,4.14;N,19.17.実測値:C,45.85;H,4.08;N
,18.88
実施例17 トランス−2,3−ビスカルボメトキシ−7−アザビシクロ〔2
.2.1〕ヘプタン
ピロール及びフマル酸ジメチルから、実施例11、12(溶媒と
してはアセトニトリルを用いた)及び14(水素添加溶媒−メタノール、反応時
間−2時間;処理A)に提示された手順を用いてこの化合物を42%の全体収率で
製造した。1H NMR(CDCl3)δ 3.95(t,J=4.5Hz,1H,H4),3.84(
d,J=4.8Hz,1H,H1),3.70(s,3H,CH3O),3.695(s,3H,CH3O),3.22(t
d,J=4.8,1.8Hz,1H,H3),3.03(d,J=4.8Hz,1H,H2),2.55(br s,1H,N
H),1.8-1.3(重なったm,4H)。13C NMR(CDCl3)δ 174.8(C,CO
),172.1(C,CO),61.8(CH,C1又はC4),59.1(CH,C4又はC1),52.3(CH
),52.1(CH3,CH3O),52.0(CH3,CH3O),50.1(CH),28.7(CH2),24.9
(CH2)。
実施例18 ヘキサヒドロ−2−フェニル−4,7−イミノ−1H−イソインド
ール−1,3(2H)−ジオン
この化合物は、ピロール及びN−フェニルマレイミドから、実施例11及び1
2(アセトニトリルを溶媒として使用)及び14(水素添加溶媒−メタノール:
反応時間−2時間、処理A)を用いて、39%の全体収率でエキソ及びエンド異性
体のそれぞれ4:1の混合物として得られた。粗材料を、約4%濃度のNH4O
Hと5,10、及び20%のメタノールを含有するエーテルの勾配的溶出を用いて、
調製用薄層クロマトグラフィー板(20×20cm,2mm)上でクロマトグラフィ
ーした。エーテル−メタノールで2つのバンドが抽出された。F1(Rf=0.75
、3%NH4OH及び10%メタノール含有エーテル)。この材料を、酢酸エチル
−石油エーテルから再結晶させ、無色結晶(融点206〜209℃)を得た。エキソ異
性体。1H NMR(CDCl3)δ 7.5〜7.3(m,5H,Ph),4.15(t,J=2Hz
,2H,H1,H4),2.86(s,2H,H2,H3),1.7(m,4H,2
×CH3),1.54(br s,1H,NH)。13C NMR(CDCl3)δ 177.3(CO)
,132.1(C),129.0(CH),128.5(CH),126.5(CH),59.9(CH,C1,C4)
,49.0(CH,C2,C3),29.5(CH2)。第2の画分(Rf=0.21)はエンド異性
体を与えた。1H NMR(δ 7.6-7.2(m,5H,Ph),14.18(br s,2H,H1及
びH4),3.64(br s,1H,NH),341(br s,2H,H2及びH3),1.8-1.6(m,4H
)。13C NMR δ 175.9(C),132.0(C),129.7(CH),129.3(CH),
126.9(CH),59.6(CH),51.5(CH),26.5(CH2)。
実施例19 8−エチルヘキサヒドロ−2−フェニル−エキソ−4,7−イミ
ノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
この化合物は、実施例14に示した方法の水素添加ステップ(反応時間−18時
間、処理A)においてアセトニトリルを用いてヘキサヒドロ−2−フェニル−4
,7−イミノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの合成を行なっ
たときに形成された。粗材料をシリカゲルクロマトグラフィー(3.5×13cmカ
ラム)にかけた。エーテルによる溶出は、56mg(21%)の標記化合物(Rf=
0.8、NH4OH含有エーテル)を与えた。10%メタノール及び3%濃度NH4O
Hを含有するエーテルによる更なる溶出は、69mgの粗ヘキサヒドロ−2−フェ
ニル−4,7−イミノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(Rf
=0.2、NH4OH含有エーテル)含有の第2の画分を与えた。第1の画分は、脱
色活性炭濾過し、蒸発させ、そして残渣を酢酸エチル/石油エーテルから再結晶
させた。収量=21mgの光沢のある無色の結晶。融点126〜128℃ 1H NMR
(CDCl3)δ 7.5-7.25(m,5H,Ph),3.
82(t,J=2.2Hz,2H,H1,H4),2.80(s,2H,H2,H3),2.37(q,J=7.2HZ,2
H,NCH2),1.93(m,2H,H5exo,H6exo),1.51(m,2H,H5endo,H6endo),1
.04(t,J=7.2Hz,3H,CH3)。13C NMR(CDCl3)δ 177.8(CO),13
2.4(C,C1'),129.1(CH),128.5(CH),126.7(CH),62.6(CH,C1,C4)
,149.5(CH,C2,C3),40.4(CH2N),25.0(CH2),14.5(CH3)
実施例20 ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−2−フェニル−4,7−イミノ
−1H−イソインドール−3(2H)−オンの製造
実施例18において形成されたエキソイミド(25mg、約0.1mmol)を、5m
lのエタノール中過剰の水素化ホウ素ナトリウム(40mg,約10mmol)で処理し
、混合物を20分間還流させた。エタノールを蒸発させ、残渣を1MのHClで酸
性にし、Na2CO3及び塩化メチレンで処理した。抽出液の蒸発は20mgの粗材
料を与えた。調製用薄層クロマトグラフィー(勾配的溶出:5%NH4OH及び1
0〜20%メタノールを含有するエーテル)は、生成物(Rf=0.25、3%NH4O
H及び10%メタノールを含有するエーテル)を与えた(依然として主要でない生
成物が夾雑していた)。1H NMR(CDCl3)δ 7.55(m,5H,Ph),5.2
2(s,1H,NCH(OH)),3.82(d,J=2Hz,1H),2.60(d,J=2H,1H),2.71(
d,J=10Hz,1H),2.08(d,J=10Hz,1H),1.63-1.3(m,重なり,6H,2×CH2
,NH,OH).
実施例21 エキソ−2−アミノメチル−7−メチル−7−アザビシクロ〔2
.2.1〕ヘプタン
実施例16において形成されたニトリル(55mg,0.4mmol)を、10mlのエ
ーテル中において攪拌しつつ過剰の水素化アルミニ
ウムリチウム(30mg,0.79mmol)で処理した。5分後、(白色の懸濁液が形成
された)、メタノール(0.1g)、次いで水(0.1g)で反応を停止させ、1M塩
酸で酸性化し、次いで濃NH4OHで塩基性とし、塩化メチレンで抽出した。抽
出液の乾燥及び蒸発は、対応する第1級アミンを油状物として与えた(17mg,
30%)。1H NMR(CDCl3)δ 3.18(t,J=3.9Hz,1H,H4),3.03(d
,J=3.9Hz,1H,H1),2.70(dd,J=12,7.8Hz,1H,1/2 CH2N),2.51(dd,J=
12,6Hz,1H,1/2 CH2N),2.22(s,2H,CH3N),1.86(m,2H),1.6-1.2(m
,7H,CH2+NH2重なり)。
実施例22 エキソ−2−(1−ピロリルメチル)−7−メチル−7−アザビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプタンの製造
実施例21において形成された第1級アミン(17mg,0.121mmol)を、酢酸
(0.1g)中において150℃にて5分間油浴中で2,5−ジメトキシテトラヒドロ
フラン(25mg,0.189mmol)で処理した。塩基性にした(10%Na2CO3水溶
液)反応混合物の塩化メチレンによる抽出は、生成物の混合物を与え、そこから
、1:1.8のヘキサメチルジシラザン/メタノール/塩化メチレンを用いて調製
用薄層クロマトグラフィーにより8mg(約30%)の粗エキソ−2−(1−ピロ
リルメチル)生成物が得られた。1H NMR(CDCl3)δ 6.68(s,2H)
,6.18(s,2H),3.92(dd,J=15,12Hz,1H,1/2 CH2N),3.72(dd,J=15,7
Hz,1H,1/2 CH2N),3.22(m,1H),2.69(m,1H),2.26(s,3H,CH3N),1
.98(m,1H),1.83(m,2H),1.5-1.22(m,4H).
実施例23 エキソ−2−ヒドロキシメチル−7−メチル−7−アザビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタンの製造
実施例15において形成されたアミノエステル(41mg,0.243mmol)を、5
mlのエーテル中水素化アルミニウムリチウム(10mg,0.264mmol)で処理し
た。5分後メタノールで反応を停止させ、1M塩酸で酸性にし、濃NH4OHで
塩基性にして、塩化メチレンで抽出した。抽出液の蒸発は、所望の生成物を与え
た(11mg,32%)。1H NMR(CDCl3)δ 3.80(dd,J=9,1Hz,1H
,1/2 CH2O),3.39(dd,J=9,2Hz,1H,1/2 CH2O),3.21(t,J=5Hz,1H,H4
),3.19(d,J=Hz,1H,H1),2.18(s,3H,CH3N),1.82(m,3H),1.7(m
,1H),1.5-1.2(m,4H).
実施例24 エキソ−2−ベンゾイルオキシメチル−7−メチル−7−アザビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプタンの製造
実施例23において形成されたアルコール(11mg,0.078mmol)を、塩化メ
チレン中無水安息香酸(34mg,0.15mmol)及びDMAP(10mg)で処理した
。生成物を、1:3:80のNH4OH/メタノール/エーテルを用いて調製用薄
層クロマトグラフィー(20×20cm×0.25mm)で精製した(Rf=0.6)。収
量:10mg(52%)。1H NMR(CDCl3)δ 8.05(d,J=7.2Hz,2H,オ
ルト-H),7.55(t,J=7.2Hz,1H,パラ-H),7.44(t,J=7.2Hz,2H,メタ-H)
,4.18(m,2H,CH 2O),3.22(t,J=3.9Hz,1H,H4),3.18(d,J=3.6Hz,1H
,H1),2.25(s,3H,CH3N),2.05-1.85(m,重なり,3H),1.48(dd,J=12,9
Hz,1H,H3endo),1.34(m,3H).
実施例25 還元的Heck法を用いたエピバチジンのノルボルナン類縁体の製造
: エキソ−2−(3−ピリジル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン
この手順は、R.Larock等(J.Chem.Soc.Chem.Comm.1989,1368)によっ
て記載されたところに基づく。ノルボルネン(101mg,1.07mmol)、3−ヨー
ドピリジン(205mg,1.0mmol)、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム(287
mg,1.03mmol)、蟻酸カリウム(255mg,3.03mmol)、及び酢酸パラジウム
(28mg,0.125mmol)の混合物を、DMF(1.2g)中室温にて72時間攪拌した
。混合物を10%Na2CO3(水性)及び10mlのエーテルで希釈し、水相をエー
テルにより再度抽出した。合わせた抽出液をMgSO4上で乾燥させ、濾過して
蒸発させ、残渣を調製用薄層クロマトグラフィー(20×20,2.0mm、1:1の
石油エーテル/酢酸エチル、Rf=0.5)で精製し、標記化合物を油状物として
得た(73mg,42%)。1H NMR(CDCl3)δ 8.42(s,1H,H2'),8.
33(d,J=4.5Hz,1H,H6'),7.43(d,J=7.8Hz,1H,H4'),7.11(dd,J=7.8
,4.5Hz,1H,H5'),2.67(dd,J=8.7,5.7Hz,1H,H2),2.30(m,2H,1H,H
1及びH4),1.8-1.2(m,重なり,8H,4×CH2)。13C NMR(CDCl3)δ
149.1(CH),146.3(CH),142.3(C),134.0(CH),122.9(CH),44.7(
CH),42.5(CH),38.7(CH2),36.7(CH),35.9(CH2),30.3(CH2),28.
6(CH2).
B Diels-Alderアプローチを用いた7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
タン又はヘプテン環系の合成
代わりの具体例においては、図2a及び2bに図解されているように、活性化
合物又はそれらの前駆体は、N−(電子吸引性置換)ピロールとアリールスルホ
ニル(所望により置換されていてよいアリール又はヘテロ環)アセチレンとのDi
els-Alder反応によって製
造される。N7位にある電子吸引性の基は、ピロール環の芳香族性を減少させて
付加環化反応に有利なように環を活性化させる。
N−(電子吸引性置換)ピロールとアリールスルホニル(所望により置換され
ていてよいアリール又はヘテロ環)アセチレンとの間の反応の生成物は、7−(
電子吸引性置換)−2−(所望により置換されていてよいアリール又はヘテロ芳
香族)−3−アリールスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2
,5−ジエン(化合物23及び32、図2)である。このジエンは、慣用の方法を用
いて、広範な種々の7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン及びヘプテンへと
誘導体化することができる。例えば、化合物23又は32の飽和したビシクロヘ
プタン誘導体をn−ブチルリチウム及びR3Iと反応させ、続いて3−アリール
スルホニル部分を除去するために還元剤で処理することによって、R3アルキル
又はアラルキル基を加えることができる。(Julia,M.and Paris,J-M.,Tetra
hedron Letters,49,4833(1973).)R5及びR6基は、化合物24(図2)に、
二重結合の適当な且つ慣用の反応によって加えることができる。(Advanced Org
anic Chemistry F.A.Carey and R.J.Sundberg(1990)pp.167-218 Plenum Pu
blishing Co.を参照)付加反応の、限定的でない例には、水素添加、ヒドロホウ
素化、ハロゲン化水素化、ヒドロキシル化、ハロヒドリン化、アルキル化、カル
ベン及びジハロカルベン付加、及び、エポキシ化に続くアルコシキド、アミン、
アルキルスルフィド、ハロゲン化物、水酸化物等の求核剤による開環反応が含ま
れる。
化合物24及び25中のの反応性の塩素(図2)は、メトキシを含むアルコキシ、
アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、アジド
、臭化物、ヨウ化物及びジメチルアミノのような求核剤により容易に置換される
。
N−(電子吸引性置換)ピロールとアリールスルホニル(所望により置換され
ていてよいアリール又はヘテロ環)アセチレンとの反応は、過剰のN−(電子吸
引性置換)ピロール中又は、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムア
ミド、ジエトキシエタンその他の不活性な溶媒中で行なわれる。許容し得る収率
の生成物を与えるジエノフィルに対するピロールの如何なるモル比も用いること
ができ、典型的な範囲は0.5:1乃至50:1、好ましくは(1〜5):1である
。
反応は、所望の生成物を与える如何なる温度にても、典型的には室温乃至150
℃でそして、反応が完了するまで、典型的には、1気圧又はシールした反応器中
の高圧の下で、1時間乃至72時間行なわれる。
N−電子吸引性置換基、特に、所望の7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ
ン又は−ヘプテン骨格の合成後のN−カルボメトキシ保護基の除去のために幾つ
かの方法が検討された。メタノール中水酸化カリウムによる化合物25(図2)の
加水分解は、メトキシ基によるピリジン環の中等度に反応性の塩素の置換をもた
らす。メチルリチウムによる25の処理は、N−アセチル−エピバチジン(以下に
記述するようにラセミ−エピバチジンのアシル化により得られた基準試料と同一
である)の形成で停止し、それは長い処理においてさえメチルリチウムによる更
なる脱離に抵抗する。これは、N−アセチルエピバチジンの既知の安定性に従う
。化合物25は、酢酸中における室温での214時間の臭化水素酸による処理によっ
て成功裏に脱保
護される。酢酸エチル、塩化メチレン及びアンモニア含有メタノールの混合溶媒
系を溶離液として用いてシリカゲルクロマトグラフィーより単離された生成物は
、ラセミ−エピバチジン(19,25%)、ラセミ−エンド−エピバチジン(19’,
28.4%)及び未変化のカルバメート(25,20%)であった。注目すべきことに、
この回収された出発材料は、25の本質的に純粋なエンド異性体であり、臭化水素
酸によるN−カルボメトキシ基の脱離における何らかの立体選択性を示している
。エキソ−異性体は、おそらくピリジル基及びカルバメート基が近いことによる
影響を受けて、明らかにエンド−異性体より速い速度で、脱離された。こうして
得られたラセミ−エピバチジン(融点50〜51℃)は、スペクトルデータによって
証明されたところによれば、非常に純粋である。
i) N−(電子吸引性置換)ピロール
多くの置換ピロールが知られており、それらは、7−アザビシクロ〔2.2.
1〕ヘプタン及び−ヘプテンを製造するためのDiels-Alder工程において使用す
るためのN−(電子吸引性置換)ピロールへと容易に変換される。例えば、3−
(SCH3)ピロールを含む3−(チオアルキル)ピロール,2,5−ジメチル
ピロールを含む2,5−ジアルキルピロール、3,4−ビス(トリフルオロメチ
ル)ピロールを含む3,4−ジハロアルキルピロール、2−メチルピロールを含
む2−アルキルピロール、2−メトキシメチルピロールを含む2−アルコキシア
ルキルピロール、2−メチルチオメチルピロールを含む2−アルキルチオアルキ
ルピロール、2−ジメチルアミノメチルピロールを含む2−ジアルキルアミノア
ルキルピロール、ジメチルアミノメチルピロールを含む 、メチルピロール2−
アセテートを含むアルキルピロール2−アセテート、2−メトキシメトキシエチ
ルピロールを含む2−アルコキシアルコキシアルキルピロール、3−ベンジルオ
キシメチルピロールを含む3−アリールオキシアルキルピロール、2−メトキシ
ピロールを含む2−アルコキシピロール、3−メトキシピロールを含む3−アル
コキシピロール、3−ベンジルオキシピロールを含む3−アリールオキシピロー
ル、3,4−ジメチルピロールを含む3,4−ジアルキルピロール、及び3−メ
チルピロールを含む3−アルキルピロール、及び3,4−ジメチルピロール、4
,5,6,7−テトラヒドロインドール及び2−メチル−4,5,6,7−テト
ラヒドロインドールを含む1,6及び4,5−アルキリデンピロール。
ピロール環上のN−置換基は、電子吸引性でジエノフィルとの付加環化へ向け
て環を活性化する如何なる部分であってもよい。N−置換基は、好ましくは、カ
ルボメトキシであるか、しかし、カルボベンジルオキシ、tert−ブトキシカルボ
ニル及び、(+)及び(−)−メチルオキシカルボニルを含む光学活性なアルコ
キシカルボニルを含む他の電子吸引性部分もまた用いることができる。
ii) アリールスルホニル(所望により置換されたアリール又はヘテ
ロ芳香環)アセチレン
この工程においては、アリール−SO2C≡C−(所望により置換されたアリ
ール又はヘテロ芳香環)を、N−(電子吸引性置換)ピロール又はその誘導体と
反応させる。
アリールスルホニル(所望により置換されたアリール又はヘテロ芳香環)アセ
チレンは、当業者に既知の方法で製造することができる。一具体例においては、
下の実施例26に詳細に記述されている
が、該化合物は、メチル(アリール)スルホンのリチウム塩を所望により置換さ
れたアリール又はヘテロ芳香族酸塩化物と反応させて1−(アリール又はヘテロ
芳香環)−2−アリールスルホニルエタンを産生し、これを、下の実施例27に
記述されているようにエノールホスフェート中間体を経て対応するアセチレンへ
と変換する。ニコチン酸、イソニコチン酸、5−クロロニコチン酸、6−メチル
ニコチン酸、6−メトキシニコチン酸、6−フェニルニコチン酸、6−メチルチ
オニコチン酸、2−クロロピリジン−4−カルボン酸、2,6−ジメチルピリジ
ン−4−カルボン酸、1−メチル−2(1H)−ピリドン−3−カルボン酸、6
−メチルチオニコチン酸、3−キノリン酸、4−キノリン酸、7−クロロ−3−
キノリン酸、6−メトキシ−3−キノリン酸、イソキノリン−4−カルボン酸、
5−クロロ−チオフェン−2−カルボン酸、ピリミジン−5−カルボン酸、5−
メトキシインドール−3−カルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−2−カル
ボン酸、チアゾール−5−カルボン酸、2−クロロチアゾール−5−カルボン酸
、及び5−クロロピリダジン−2−カルボン酸、の酸塩化物を(限定することな
く)含む如何なる所望により置換されたアリール又はヘテロ芳香族酸塩化物も使
用できる。該芳香環又はヘテロ芳香環に配置することのできる置換基には、アル
キル、ハロ、アリール、アルコキシ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、ヒドロ
キシ、ヒドロキシアルキル、及びC(O)(アルキル又はアリール)が含まれる
がこれらに限定されない。
スルホンに取り付けられたアリール基は、活性かされたピロールへ向けてジエ
ノフィルとして作用するようアセチレン基を十分に活
性化させ且つ付加環化反応を妨害しないる如何なる基であってもよい。限定的で
ない例には、フェニル、p−メチルフェニルを含むp−アルキルフェニル、p−
クロロフェニル、p−フルオロフェニルを含むp−ハロフェニル、及びp−ニト
ロフェニルが含まれる。CF3SO2及びC4F9SO2を含むフルオロアルカンス
ルホニルもまた、アリール−又はヘテロアリールアセチレンを活性化するのに使
用できる。
広範な種々のアリールスルホニル(アリール又はヘテロ芳香環)アセチレンを
製造する方法が、Bhattacharya,S.N.,et al.,Organomet.Chem.Synth.l,1
45(1970)に記述されており、また、塩化アルミニウムのようなLewis酸の存在
下におけるアリール及びヘテロ芳香環トリメチルシリルアセチレンの塩化トシル
との反応(Sakamoto,T.,et al.,Synthesis,312(1983))が記述されている
。
N−(電子吸引性置換)ピロールとアリールスルホニル(所望により置換され
ていてよりアリール又はヘテロ環)アセチレンとのDiels-Alder反応により活性
化合物を製造するための方法は、下の作業実施例に詳細に示されている。これら
の実施例は、単に説明的するものであり、該方法の範囲や該方法に従って作られ
る化合物の範囲を限定することを意図していない。上述のように、これは、いず
れも本発明の範囲に属すると考えられる広範な種々の生成物を提供するために慣
用の合成技術と組み合わせることのできる一般的な方法である。それらの化合物
は、図2に示されているように番号づけられる。
実施例26 1−(2−クロロ−5−ピリジル)−2−フェニ
ルスルホニルエタン(9)の製造
400mlの乾燥テトラヒドロフラン中の20mgのメチルフェニルスルホンの冷
溶液(−30℃)に、128mlの2.5Mのn−ブチルリチウム(2.4当量)を徐々に
加えた。得られた溶液を−30℃にて30分間攪拌した。100mlのテトラヒドロフ
ラン中の26gの塩化6−クロロニコチニルを次いで20分間かけて加えた。同じ温
度にて30分間攪拌した後、混合物を飽和塩化アンモニウム(約100ml)の添加
によって反応停止させた。有機層を分離し、水層をクロロホルムで3回抽出した
。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶
媒の除去の後、褐色の固体をメタノール(150ml)でこねて、7.06gの僅かに
黄色の固体を得た。母液から、50%酢酸エチル含有石油エーテル中のを溶離液と
して用いた短いシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーによって該生成物の
別の収穫(11.75g)が得られた。総収量は18.81g(49.7%)。融点152〜153℃
。MS(CI)m/z 296,298(M+1).
同様の仕方で、縮合反応において塩化6−クロロニコチニルに代えて、ニコチ
ン酸、イソニコチン酸、5−クロロニコチン酸、6−メチルニコチン酸、6−メ
トキシニコチン酸、6−フェニルニコチン酸、6−メチルチオニコチン酸、2−
クロロピリジン−4−カルボン酸、2,6−ジメチルピリジン−4−カルボン酸
、1−メチル−2(1H)−ピリドン−3−カルボン酸、6−メチルチオニコチ
ン酸、3−キノリン酸、4−キノリン酸、7−クロロ−3−キノリン酸、6−メ
トキシ−3−キノリン酸、イソキノリン−4−カルボン酸、5−クロロ−チオフ
ェン−2−カルボン酸、ピリミジン−5−カルボン酸、5−メトキシインドール
−3−カルボン酸、1,2
,4−チアジアゾール−2−カルボン酸、チアゾール−5−カルボン酸、2−ク
ロロチアゾール−5−カルボン酸、5−クロロピリダジン−2−カルボン酸の酸
塩化物が用いられた場合には、対応するケトスルホンが得られる。
実施例27 2−クロロ−5−ピリジルフェニルスルホニルアセチレン(22)
の製造
100mlの乾燥テトラヒドロフラン中の3.34g(11.3mmol)の20の溶液を、テ
トラヒドロフラン中の840mgの60%水素化ナトリウム(エーテルで洗浄)の懸
濁液に加えた。10分間の攪拌の後、1.88ml(11.3mmol)のジエチルクロロホス
フェートを一度に加えた。混合物を室温にて終夜攪拌し、次いで−78℃に冷却し
、そして1.35gのカリウムt−ブトキシドを分割して加えた。褐色の溶液を−78
℃にて更に10分間攪拌し、約−30℃まで温まらせた。水を加え、水層を塩化メチ
レンで抽出した。乾燥させそして減圧溜去し残渣をシリカゲルカラム上で精製し
、25%酢酸エチル含有石油エーテルで溶出させた。溶媒の蒸発の後得られた白色
の固体(1.2g)は、融点140〜141℃を有する。MS(CI)m/z 278,280
(M+1).収率38%
同様の仕方で、実施例26に記述された他のヘテロ環ケトスルホンが化合物2
0の代わりに用いられた場合には、対応するアセチレンが得られる。
実施例28 N−カルボメトキシピロール(21)の製造
カリウム(5.85g,0.15mol)を、80mlの熱シクロヘキサン中の10mlのピ
ロール(0.145mol)溶液に、数回に分けて加えた。この溶液を1時間還流させた
。この冷えた溶液に、15g(0.16mol
)のクロロ蟻酸メチルを徐々に加えた。添加後、混合物を室温にて30分間攪拌し
た。この期間の間に、2.5mlのジメチルスルホキシドを接触反応のために加え
た。氷水で反応を停止させた後、有機層を分離し、水層をエーテルで抽出した。
合わせた有機層を10%重炭酸ナトリウム、飽和塩化ナトリウで洗浄し、硫酸マグ
ネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去の後、17.4gの液体が得られた。バルブ−
バルブ間の蒸留により、16.5gのN−カルボメトキシピロール21が無色の液体と
して得られた。収率91%。この生成物は、−20℃での貯蔵を要する。
同様な仕方で、2,5−ジメチルピロール,3,4−ビス(トリフルオロメチ
ル)ピロール、2−メチルピロール、2−メトキシメチルピロール、2−メチル
チオメチルピロール、2−ジメチルアミノメチルピロール、ピロール−2−酢酸
メチル、2−メトキシメトキシエチルピロール、3−ベンジルオキシメチルピロ
ール、2−メトキシピロール、3−メトキシピロール及び3−ベンジルオキシピ
ロールの、N−カルボメトキシ、N−カルボベンジルオキシ及びN−tert−
ブトキシカルボニル誘導体か製造される。
実施例29 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3−
フェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕−2,5−ジエン(23)
の製造
2−クロロ−5−ピリジル フェニルスルホニルアセチレン22(1.12g,40.3
mmol)を、8.0gのN−カルボメトキシピロール21に溶解させた。混合物を、覆
ったフラスコ中で80〜85℃にて24時間攪拌した。N−カルボメトキシピロールを
回収するための減圧溜去の後、残渣を、25%乃至50%の酢酸エチル含有石油エー
テルを溶離
液として用いたシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付し、0.2gのア
セチレン22を回収し、1.21gの僅かに暗色の生成物を得た。この粗生成物をメタ
ノールでこねて0.94g(回収された出発物資にしたがって58%又は70%)の白色
固体を得た。融点101℃ MS(CI)m/z 403,405(M+1).実施例27に
記述されたアリルスルホニルアセチレン誘導体をこの実験の化合物22の代わりに
用いる場合には、対応するDiels-Alder付加体が得られる。
実施例30 7−カルボメトキシ−5−(2−クロロ−5−アザビシクロ〔2
.2.1〕ヘプト−2−エン(24)の製造
化合物23(0.726g,1.9mmol)を、50mlの無水メタノール及び1.0g(8.0mm
ol)のリン酸二水素ナトリウムを含有する7mlの乾燥テトラヒドロフランに溶
解させた。この混合物に、3.0gの6%ナトリウムアマルガムを2つに分けて−2
0℃にて窒素下に加えた。攪拌した混合物を、2時間の間に室温にまで自然に温
まらせ、室温にて更に1時間攪拌した。上層を傾捨し、残渣をメタノールで洗浄
した。合わせたメタノール性抽出液に水及び10%塩酸を加えてpHを6にし、大
部分のメタノールを減圧溜去した。次いで混合物を塩化メチレンで抽出した。合
わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の
除去の後、残渣を、33%酢酸エチル含有石油エーテルを溶離液として用いてシリ
カゲルカラムで精製し、215.3mg(42.9%)の無色油状物を得た。1H NMR
は、それがエキソ異性体とエンド異性体との(1:2)混合物であることを示し
た。MS(CI)m/z 256,267(M+1).1HNMR 6.01-6.53(2H,H5,6
),4.61-4.91(2H,H1,4)
実施例29に記述された他のDiels-Alder付加体を、同様な仕方
でナトリウムアマルガムで処理した場合は、対応する置換7−アザビシクロ〔2
.2.1〕ヘプト−2−エンが得られる。
実施例31 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−7−
アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(25)
化合物24(178.4mg,0.6714mmol)(異性体の混合物)を、5mgの10%P
d/Cを含有する10mlのメタノール中に溶解させた。混合物を1気圧の水素下
に水素添加した。18mlの水素が吸収された後(5分)、触媒を濾去し、メタノ
ールを減圧除去して165mg(92%)の無色油状物を得た。1H−NMRは、それ
がエキソ異性体とエンド異性体との(1:2)の混合物であることを示したMS
(CI)m/z 267,269(M+1).1H−NMR 4.21-4.44(2H,H1,4).同
様な仕方で、実施例30に記述された他の置換7−アザビシクロ〔2.2.1〕
ヘプト−2−エンが、対応する置換7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン類
縁体へと水素添加される。
実施例32 ラセミ体エピバチジン(19)及びエンド−エピバチジン(19’)
の製造
化合物25(90mg,0.338mmol)を2.5mlの臭化水素酸(酢酸中33%)に溶解
させた。混合物を室温にて20時間攪拌した。混合物を減圧溜去した後、残渣を水
に溶解させてエチルエーテルで抽出して出発材料を回収した(26mg)。水層を
水酸化カリウムでpH11に中和し、塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を
飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去の後、56m
gの残渣を酢酸エチル、塩化メチレン及びアンモニウム飽和メタノール(2:1
:0.03)を用いたシリカゲルカラムによりクロマ
トグラフィーに付し、18mg(25%)のエピバチジン(19)、融点50〜51℃及び
20mg(28.4%)のエンド−エピバチジン(19’)を得た。これらの化合物のス
ペクトルデータは、表3に与えられている。
エピバチジンのN−アセチル誘導体は、トリエチルアミンの存在下、エピバチ
ジン及び無水酢酸から製造することができる。同様に、実施例31に記述された
他のN−置換−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンは、対応する遊離のア
ミンへと脱保護される。これらのアミンは、慣用の方法を用いて、アミドへと容
易にアシル化され、第3級アミン及び第4級アンモニウム誘導体へとアルキル化
される。これらのアミンはまた、有機及び無機の酸と共に、薬剤処方化に好まし
い安定な水溶性塩を形成する。
実施例33 7−カルボメトキシ−2−(2−メトキシピリジル)−7−アザ
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(29)の製造
7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−7−アザビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタン25(20mg,0.076mmol)を、12.8mg(0.2mmol)の水
酸化カリウム含有の1.0mlのメタノール中に溶解させた。混合物を1時間還流
させ、次いで濃縮し、酢酸エチルと水との間に分配させた。水層をエーテルで再
び抽出し、そして合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネ
シウム上で乾燥させた。溶媒の除去は、10mgの残渣を与えた。H1 NMRは、
それが標記化合物の1:2のエキソ異性体とエンド異性体の混合物であることを
示している。H1 NMR 3.92,3.90(2s,ピリジル-OCH3),3.71,3.66(2s
,NCOOCH3).
実施例34 エピバチジン(30)の脱クロロ類縁体の製造
N−カルボメトキシ−5−(2−クロロ−5−ピリジル)−7−アザビシクロ
〔2.2.1〕ヘプト−2−エン25(16mg)を、7mgの10%Pd/Cを含ん
だ3mlのメタノール中に溶解させた。混合物を僅かに高めた水素圧下に1時間
水素添加した。触媒及び溶媒を除去した後、残渣をエーテルと重炭酸ナトリウム
水溶液との間に分配させた。水層を、エーテルで抽出し、そして合わせた有機層
を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去は10mgの7−カルボメトキシ
−2−(3−ピリジル)−7−アザノルボルナン(12)を与えた。MS(CI)
m/z 233(M+1).H1-NMR 3.72,3.66(2s,N-COOCH3)
実施例35 エピバチジンの5,6−デヒドロ類縁体の製造
実施例30において製造されたN−アシル化した7−アザビシクロ〔2.2.
1〕ヘプト−5−エン誘導体が、実施例32に記述されたのと同様の条件下に加
水分解されると、対応するエピバチジン
(19)の5,6−デヒドロ類縁体及びそのエンド−異性体(19’)が得られる。
実施例36 1,4−ジメチル−2−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−フ
ェニルスルホニル−7−カルボメトキシ−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
ト−2,5−ジエンの製造
0.14g(0.5mmol)の2−クロロ−5−ピリジルフェニルスルホニルアセチレ
ン(22)及び0.7gの2,5−ジメチル−N−カルボメトキシピロール(31)を
加熱し、85℃に48時間維持した。過剰のピロール(31)を減圧除去し、暗色の残
渣を25%〜33%の酢酸エチル含有石油エーテルを溶離液として用いてシリカゲル
によるクロマトグラフィーに付し76mg(35%)の標記化合物を得た。MS(C
I)m/z 431,433(M+1).H1-NMR 6.79,6.55(AB J=5.4Hz,H5,6)
,3.52(s,3H,N-COOCH3),1.96,1.68(2s,6H,2CH3).
実施例37 ベンゾイルフェニルスルホニルメタン(32)の製造
化合物20の製造と同様の手順を用いた。生成物は、60%の収率で白色結晶とし
て得られた(四塩化炭素から結晶化)。融点91〜93℃(文献融点:93〜94℃)
4−クロロ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、3,4−メチレンジオキシ安息
香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、3−トリフルオロメチル安息香酸、
3−ジメチルアミノ安息香酸、4−メチルチオ安息香酸、4−メチルスルフィニ
ル安息香酸、4−メチルスルホニル安息香酸、3,5−ジフルオロ安息香酸、2
−ナフトエ酸、4−ジメチルアミノ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフ
トエ酸、2−フェニルプロピオン酸及び2−(3,4−メチレンジオキシフェニ
ル)プロピオン酸の酸塩化物が上記塩化ベンゾイルの代わりに用いられた場合に
は、対応する置換ケトスルホンが製造される。
実施例38 フェニル フェニルスルホニルアセチレン(34)の製造
化合物22の製造と同様の手順を用いた。粗生成物の、5%酢酸エチル含有石油
エーテルを溶離液として用いたシリカゲルによるクロマトグラフィーは、収率20
%でアセチレン34を固体として与えた。
同様の手順を用いて、実施例37に記述された他のケトスルホンが、対応する
置換アリール及びアラルキルアセチレン誘導体へと変換される。
実施例39 7−カルボメトキシ−2−フェニル−3−フェニルスルホニル−
7−アザノルボルナ−2,5−ジエン(35)
フェニル フェニルスルホニルアセチレン34(84.3mg,0.35mmol)を0.42g
のN−カルボメトキシピロール(21)と混合した。混合物を加熱し、85℃に48時
間維持した。過剰のピロールの除去の後、残渣をシリカゲルカラムにより25〜33
%酢酸エチル含有石油エーテルを溶離液として用いてクロマトグラフィーに付し
、30mg(23%)の付加体を無色油状物として得た。MS(CI)m/z 368
(M+1).H1-NMR 7.05(s,2H,H5,6),5.51,5.48(2s,2H,H1,4),3.
5(br.s.3H,N-COOCH3).
同様の手順を用いて、実施例28に記述された置換ピロールと実施例38で製
造された置換アセチレン誘導体とのの付加環化は、対
応する7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン付加体を与える
。
実施例40 2−フェニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(36)
の製造
ビシクロ付加体35は、実施例30,31及び32に記述されているようにして
還元的に脱スルホン化、水素添加、及び酸加水分解されて、36を与える。同様
に、実施例39の他のビシクロ付加体は、対応する2−置換されたアリール−7
−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンへと変換される。
実施例41 2−フェニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エ
ン(37)の製造
ビシクロ付加体35は、実施例30及び31に記述されているようにして還元的
に脱スルホン化及び酸加水分解されて37を与える。同様に、実施例39中の他の
ビシクロ付加体は、対応する2−置換されたアリール−7−アザビシクロ〔2.
2.1〕ヘプト−5−エンへと変換される。
実施例42 対応する7−N−アシル又は7−アザ−2−アリール(又はヘテ
ロアリール)−ノルボルン−5−エンからの、5及び/又は6置換された2−ア
リール(又はヘテロアリール)−7−アザノルボルナンの製造
5及び/又は6置換基は、慣用の反応、例えは付加、ホウ水素化、エポキシド
化に続く求核剤(アルコキシド、アミン、アジド、アルキルスルフィド、ハロゲ
ン化物、水酸化物等)による開環等によって、5,6−二重結合を機能させるこ
とにより導入される。
実施例43 3−メチル−7−アザ−2−エキソ−(2−クロロ
−5−ピリジル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(38)の製造
7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3−フェニルスル
ホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2,5−ジエン(23)は、10
%Pd/C含有メタノール中で両二重結合が飽和されるまで水素添加される。生
成物である7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3−フェ
ニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン39を、乾燥テトラヒ
ドロフラン中に溶解させ、n−ブチルリチウム(1.1当量)で−30乃至0℃にて
処理し、続いてテトラヒドロフラン中ヨウ化メチル(1.1当量)で処理する。反
応混合物を次いで室温にて攪拌し、氷水中に注ぐ。生成物をエーテルで抽出し、
水で洗浄する。乾燥及びエーテル溶液の溜去の後、粗生成物を石油エーテルと酢
酸エチル(体積で3:1)の混合物を用いてシリカゲルカラムによりクロマトグ
ラフィーに付し、7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3
−メチル−3−フェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン
(40)の立体異性体を得る。これらのアルキル化生成物を、実施例30における
ようにして各々ナトリウムアマルガムで処理してフェニルスルホニル基を除去し
、続いて7−カルボメトキシ基を実施例32におけるようにして酸性脱離させて
、化合物8及び8’の異性体である3−メチル類縁体を得る。
同様に、ヨウ化メチルが臭化エチル、臭化アリル、塩化ベンジル、塩化メトキ
シメチル及びメタンスルホン酸メトキシエチルに置き換えられた場合には、対応
する3−エチル、3−アリル、3−ベンジル−3−メトキシメチル及び3−メト
キシエチル誘導体が得られる。
実施例29に記述されている7−N−アシル−7−アザ−3−フェニルスフホ
ニル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエンの他の2−アリール又は
2−ヘテロアリール誘導体は、同様に、水素添加され、スルホニルカルボアニオ
ンへ変換され、アルキル化され、脱スルホン化され、そして脱アシル化されて、
対応する3−アルキル又はアラルキル類縁体を与える。
実施例44 7−メチル−7−アザ−2−エキソ−(2−クロロ−5−ピリジ
ル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(41)の製造
実施例32において製造されたエピバチジン19を、室温にて乾燥テトラヒドロ
フラン中ヨウ化メチル(1.1当量)でアルキル化し、続いて通常の単離操作を行
ない、7−N−メチル誘導体を得る。
同様に、ヨウ化エチル、臭化イソプロピル、臭化アリル、臭化シクロプロピル
メチル、塩化ベンジル、塩化4−メトキシベンジル、塩化3,4−ジメトキシベ
ンジル、臭化フェネチル、臭化プロパルギル、塩化ヒドロキシエチル及びヨウ化
メトキシエチルによるアルキル化は、対応する7−N−アルキル化誘導体を与え
る。
上の実施例に記述された他の置換された7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプ
タン類縁体は、同様の仕方でそれぞれの7−N−アルキル誘導体へとアルキル化
される。
実施例7のエピバチジンのN−アセチル誘導体は、室温にて乾燥テトラヒドロ
フラン中水素化アルミニウムリチウム処理によりN−エチル誘導体へと還元され
る。同様に、エピバチジンの7−N−プロピオニル、N−ベンゾイル、N−フェ
ニルアセチル及びN−2−フロイル誘導体は、対応する7−プロピル、7−ベン
ジル、7−フェネチル及び7−(2−フルフリル)誘導体へと還元される。
実施例45 ラセミ化合物の分割
該置換された7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン誘導体は、キラルなカ
ラムによるクロマトグラフィー、キラルな酸のジアステレオマーの分別結晶化、
キラルなエステル又はアミド誘導体の分離に続く光学的に純粋な鏡像体の再生を
含む、慣用の方法によってそれらの光学的異性体に分割される。〔Optical Reso
lution Procedures for Chemical Compounds,Vol.1,Amines.by P.Newman,
1980,(Optical Resolution Information Center,N.Y.10471)を参照。〕
実施例46 ラセミ体エピバチジン(19)の分割
塩化メチレン中のラセミ体エピバチジン19及びトリエチルアミン(1.1当量)
の溶液に、クロロ蟻酸(−)−メンチル(1.1当量)を加える。反応混合物を室
温にて6時間攪拌し、氷水で洗浄しそして硫酸マグネシウム上で乾燥させる。溶
媒の蒸発の後、残渣を石油エーテル及び酢酸エチル(体積で5:1)の混合液を
用いてシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付し、d−及びl−エピバ
チジンの7−N−(−)−メンチルオキシカルボニル誘導体の2つのジアステレ
オ異性体の混合物を得る。キラルなカラムによるHPLCによるこれらのジアス
テレオ異性体分離及び実施例32におけるような各異性体のHBr/AcOHに
よる処理は、対応するd及びl−エピバチジンを与える。
実施例47 キラルな中間体からの置換された7−アザビシクロ〔2.2.1
〕ヘプタン誘導体の光学異性体の製造
ピロール及びクロロ蟻酸(−)−メンチルから、上述の方法によりN−カルボ
−(−)−メンチルオキシピロールを製造する。この
キラルなピロールを、実施例29におけるようにしてスルホニルアセチレン22又
は34で処理して、キラルな付加環化体である7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘ
プタ−2,5−ジエン誘導体のジアステレオ異性体混合物を得る。実施例30に
おけるようなナトリウムアマルガムによる処理の後、2−エキソ−アリール−7
−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−5−塩誘導体のジアステレオ異性体混合
物が得られる。これらのジアステレオマーをクロマトグラフィーによって分離し
てd及びl−鏡像体を得る。光学的に活性な中間体を各々還元し、HBr/Ac
OHで処理して、光学活性のエピバチジン鏡像体を得る。同様に、他の置換7−
アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン類縁体が、対応するキラルなピロール及び
キラルな付加環化体から製造される。
実施例48 ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン(39)の製造
スキーム4は、化合物39の製造を図解する。
a) N−メタンスルホニルイソインドール(40)の製造
水素化ナトリウム(0.88g)を3mlのジメチルホルムアミド中に懸濁させた
。この攪拌溶液に、5mlのジメチルホルムアミド中のメタンスルホンアミド(
0.95g,10mmol)を滴下して窒素下に加えた。60℃にて0.5時間攪拌の後、7m
lのDMF中の2.64g(10mmol)のα,α’−ジブロモ−o−キシレンの溶液を
、60〜70℃に温度を維持するに適した速度で加えた。混合物を室温にて更に1時
間攪拌し、次いで水中に注ぐことにより反応を停止させた。得られた沈殿を収集
し、水、石油エーテル及びエーテルで順次洗浄した。重量1.57g(80%)。1H−
NMR δ 2.37(s,3H,-CH3),4.709(s,4H,2CH2),7.25-7.35(m.4H,
ArH).
b) 2−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−フェニルスルホニル−1,
4−ジヒドロナフタレン−1,4−イミン(41)の製造
カリウムt−ブトキシド(560mg,5.0mmol)を、窒素下に3mlのDMSO
中に溶解させた。この攪拌溶液に197mg(1.0mmol)のN−メタンスルホニルイ
ソインドールを分割して加えた。添加後、混合物を室温にて1.5時間攪拌し、3
mlの水の添加によって反応を停止させた。45mlのエーテルによる抽出の後、
合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で10分間乾燥させた
。濾過の後、濾液を83mg(0.3mmol)の1−(6−ク
ロロ−3−ピリジル)−2−フェニルスルホニルアセチレン22と合わせた。反応
混合物を室温にて終夜攪拌し、減圧溜去してシリカゲルカラムによりクロマトグ
ラフィーに付した。混合溶媒(酢酸エチル、塩化メチレン及びアンモニア含有メ
タノール)による溶出は、108mgの青色の残渣を与えた。酸性にした材料を洗
浄することによって、この着色材料を除去した。塩基性としエーテルで抽出して
、62mgの純粋な化合物41が泡状で得られた。収率52%。MS(CI),395,3
97(M+1).1H−NMR(CDCl3):δ 5.242(d,J=1.5Hz,1H),5.362
(d,J=0.9Hz,1H).(H1又はH4).
c) エキソ及びエンド−ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン(39)の製
造
化合物41(54mg,0.137mmol)を3mlのメタノール及び1mlのテトラヒ
ドロフランの混合物中に溶解させた。溶液を−20℃まで冷却し、66mgの6%ナ
トリウムアマルガムを加えた。混合物を2時間攪拌した。過剰の試薬を水で分解
し液層を傾捨した。液を減圧濃縮し、残渣を塩化メチレン(3×5ml)で抽出
した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた
。溶媒の除去の後、残渣を、33%塩化メチレン含有酢酸エチルを用いて調製用薄
層クロマトグラフィーにより分離し、5.5mgのエキソ−ベンゾ〔5a,6a〕
エピバチジン及び8.5mgのエンド−ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジンを得た
。両異性体は油状物である。収率はそれぞれ、15%及び25%である。MS(CI
),257,259(M+1).1H−NMR(CDCl3)(エキソ異性体につき)2.753
(dd,J=4.8,8.4Hz,1H,H2),4.371(s,1H,H1),4.656(d,J=4Hz,1H,H
4).
実施例49 N−メチル−ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン(42)の製造
スキーム5は、N−メチル−ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン42の製造のた
めの方法を図解している。
a) N−メチルイソインドール(43)の製造
N−メチルイソインドールを、B.Zeeh ad K.H.Konig,Synthesis 1972,45
に示された方法に従って製造した。
b) 2−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−フェニルスルホニル−1
,4−ジヒドロナフタレン−1,4−イミン(44)
N−メチルイソインドール(91mg,0.7mmol)を、エチルエーテル中におい
て1−(6−クロロ−3−ピリジル)−2−フェニ
ルスルホニルアセチレン22(139mg,0.5mmol)と混合した。室温にて1時間攪
拌の後、混合物を濃縮し、シリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付し、
酢酸エチルで溶出させた。これは204mgの化合物44を透明な油状物として与え
た。収率100%.MS(CI),409,411(M+1).H1-NMR(CDCl3)δ
2.36(br,3H,NCH3),4.805(s,1H),4.93(br.s.,1H),(H1又はH4)
.
c) N−メチル−ベンゾ〔5a,6a〕エピバチジン(42)の製造
化合物44(125mg,0.306mmol)を10mlのメタノール及び4mlのテトラヒ
ドロフラン中に溶解させた。溶液を−20℃まで冷却し、溶液に216mgのリン酸
二水素ナトリウムと加え、続いて1.0gの6%ナトリウムアマルガムを加えた。
混合物を次いで室温にて3時間攪拌し、水で反応を停止させた。有機層を傾捨し
、減圧濃縮した。残渣を塩化メチレン(2×10ml)で抽出した。合わせた有機
層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去の後、
残渣をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付し50%酢酸エチル含有石
油エーテルで溶出させた。これは19mg(19%)のエキソ−N−メチル−ベンゾ
〔5a,6a〕エピバチジンを与えた。混合溶媒(酢酸エチル、塩化メチレン及
びアンモニア含有メタノール)による更なる溶出は、55mg(66%)のエンド異
性体を与えた。総合収率85%。MS(CI),271,273(M+1).H1-NMR(
CDCl3),(エキソ異性体につき):2.679(dd,J=4.5,8.7Hz,1H,H2),
3.935(s,1H,H1),4.203(d,J=4.0Hz,1H,H4),2.072(s,3H,NCH3).
実施例50 N−ホルムアミジニル エピバチジン二塩酸塩(45)の製造
スキーム6は、化合物45の製造を示している。
ラセミ体エピバチジン19(42mg,0.2mmol)を、1mlのアセトニトリル中
において77mg(0.7mmol)の新たに製造した塩酸エチルホルムアミジナート(f
ormamidinate)及び129mg(1.0mmol9のジイソピルエチラミンと混合した。室
温にて48時間攪拌の後、1.0Mの塩化水素含有エーテルで混合物を酸性にした。
減圧溜去後、残渣を、25%メタノール含有クロロホルムよりなる溶媒系を用いて
シリカゲル調製用薄層クロマトグラフィーにより分離し、25mgの化合物45を吸
湿性固体として得た。収率36%。MS(CI),236,238(遊離の塩基,M+1)
.H1-NMR(CD3OD)δ 3.40(M,1H,H2).
実施例51
実施例50の方法を、エチルホルムアミジナートをS−メチルプソイドチオ尿
素、S−メチル−N−メチルプソイドチオ尿素、S−メチル−N−ニトロプソイ
ドチオ尿素、又はメチルアセタミジナー
トに置き換えて繰り返し、N−グアニジル、N−メチルグアニジル、N−ニトロ
グアニジル、及びN−アセタミジニルエピバチジンを製造した。
実施例52 N−ホルムアミジニルデスクロロエピバチジン二塩酸塩(46)の
製造
N−ホルムアミジニルエピバチジン(12mg,0.04mmol)45を、5mgの10%
Pd/Cを含有する2mlのメタノール中に溶解させた。1気圧下の水素におけ
る3時間の水素添加の後、触媒を濾去した。濾液を減圧濃縮して10mgの化合物
46を吸湿性固体として得た。収率100%。MS(CI),202(M+1-2HCl).H1-
NMR(CD3OD),δ 3.5(m.1H,H2).
実施例53 1−メチルエピバチジン(47)、及び4−メチルエピバチジン(
48)の製造
a) 2−メチルピロール(49)の製造
J.Org.Chem.28,3052.に示されている方法に従って、2−メチルピロール
を製造した。
b) N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルピロール(50)の製造
2−メチルピロール(2.5g)を6mlのテトラヒドロフラン中に溶解させ、3
0mlのテトラヒドロフラン中の2.4gの60%水酸化ナトリウム(エーテルで洗浄
)の懸濁液に徐々に加えた。同じ溶媒20ml中の7.6gのジ−t−ブチルジカル
ボナート溶液を、この冷却した混合物に加えた。3時間の間ときどき震盪した後
、水で注意深く分解し、エーテルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗
浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去は6gの残渣を与えた。バ
ルブ−バルブ間蒸留は、14.5gの僅かに黄色の油状物を与えた(約80℃/5mm
Hg)。収率80%。MS(CI),183(M+1).H1-NMR(CDCl3)δ 1
.584(s,9H,3CH3),2.421(s,3H,CH3).
c) 1−(及び4)−メチル−2−(6−クロロ−3−ピリジル)−3
−フェニルスルホニル−7−t−ブトキシカルボニル−7−アザノルボルナ−2
,5−ジエン(51)
化合物50(10mmol,1.8g)を1−(6−クロロ−3−ピリジル)−2−フェ
ニルスルホニルアセチレン(22)555mg(2.0mmol)と混合した。気密的覆いを
したフラスコ内において窒素下に混合物を78℃に24時間加熱した。混合物をシ
リカゲルカラムにより、25%酢酸エチル含有石油エーテルで溶出させて分離した
。1.5gの化合物50及び120mgの化合物22の回収の後、636mgの化合物51を黄
色油状物として得た。収率69.3%。H1-NMRは、該油状物が1−メチル異性体
及び4−メチル異性体の2:1の混合物であることを示した。MS(CI),45
9,461(M+1).H1-NMR
(CDCl3),(主要異性体について):1.37(s,9H,3CH3),1.748(s,3H
,CH3),5.45(d,J=3Hz,1H,H4).(主要でない異性体について)、1.346(
s,9H,3CH3),1.958(s,3H,CH3),5.26(d,1H,J=3Hz,H1).
d) N−t−Boc−1(及び4)−メチルエピバチジン(52)の製造
化合物51(1.0mmol,459mg)を、20mlのメタノールと10mlのテトラヒド
ロフランの混合物中に溶解させた。溶液を攪拌し−20℃まで冷却した。この溶液
に、720mgのリン酸二水素ナトリウムを加え、続いて1.5g(6.0mmol)の6%
ナトリウムアマルガムを加えた。室温にて2時間攪拌の後、別の0.8gの6%ナ
トリウムアマルガムを加え、更に2時間攪拌を続けた。過剰の試薬を水で分解し
、溶液を傾捨した。溶液を室温にて減圧濃縮後、残渣を塩化メチレン(4×15m
l)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で
乾燥させた。溶媒を除去した後、残(372mg)を、8.4mgの酸化白金の存在下
に1気圧の水素のもとで2時間水素添加した。触媒を濾過して除き、濾液を減圧
濃縮して残渣(360mg)とした。分離は、シリカゲルカラムにより、17%酢酸
エチル含有石油エーテルで溶出して行なった。95mgのエンド−異性体及び65m
gのエキソ−異性体が得られた。総収率50%。MS(CI),323,325(M+1)
.H1-NMR(CDCl3)(主であるエキソ異性体について)、2.78(dd,1H
,J=5.4Hz,7.8Hz,H2),4.45(t,1H,J=4.5Hz,H4).
e) 1−メチルエピバチジン(47)及び4−メチルエピバチジン(48)
の製造
化合物52のエキソ異性体(65mg)を、5mlの塩化メチレンに溶解させた。
この冷却溶液(0℃)に、2.5mlのトリフルオロ酢酸を加えた。得られた桃色
の溶液を、次いで室温で1.5時間攪拌した。10mlの水中の4.5gの炭酸カリウム
で中和した後、有機層を分離し、水層を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機
層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒の除去及び、
シリカゲル調製用薄層クロマトグラフィーにより混合溶媒(酢酸エチル、塩化メ
チレン及びアンモニア含有メタノール)によって展開して分離し、6mgの4−
メチルエピバチジン48及び12mgの1−メチルエピバチジン47を得た。総収率40
.2%。MS(CI),223,225(M+1).H1-NMR(CDCl3)、(主要な1
−メチルエピバチジン、エキソ異性体について)δ 2.657(dd.J=4.8,8.7Hz,
1H,H2),3.694(t,J=4.7Hz,1H,H4).(主要でない4−メチルエピバチジ
ン、エキソ異性体について)2.887(dd,J=4.7,1H,H2),3.1486(d,J=4.5Hz
,1H,H1).
実施例54 2−(2−フルオロ−5−ピリジル)−7−アザノルボルナン(
53)の製造
a) 1−(2−フルオロ−5−ピリジル)−2−フェニルスルホニルエ
タノン(54)の製造
塩化6−クロロニコチニルを塩化6−フルオロニコチニルに置き
換えて、実施例26に提示した方法を用い(Anderson et al.,J.Med.Chem.,1
990,33(6)1667を参照)、化合物54を白色結晶として得た。融点127〜128℃。
収率72%。MS(CI),280(M+1).H1-NMR(CDC3)δ 2.70(s,2H
,CH2).
b) 1−(2−フルオロ−5−ピリジル)−2−フェニルスルホニルア
セチレン(55)の製造
実施例27に示した方法の使用は、化合物55を化合物54から62%の収率で白色
固体として与えた。融点97〜98.5℃。MS(CI)262(M+1).
c) 7−カルボメトキシ−2−(2−フルオロ−5−ピリジル)−3−
フェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕−ヘプタ−2,5−ジエ
ン(56)の製造
実施例29に示した方法の使用は、化合物56を66%の収率で与え、アセチレン
55は22%が回収された。化合物56は白色立方結晶である。融点85〜87℃。MS(
CI)387(M+1).H1-NMR(CDCl3),3.446(br.s.,3H,CH3),5.45
9(d,J=7.2Hz,2H,H1,4).
d) 7−カルボメトキシ−5−(2−フルオロ−5−ピリジル)−7−
アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(57)の製造
実施例30に示されている方法の使用は、化合物57を、エキソ及びエンド異性
体の1:2.5の混合物として、化合物56からの総収率64%で与えた。MS(CI
)249(M+1).H1-NMR(CDCl3),(エンド異性体について)3.682(s
,3H,OCH3),(エキソ異性体について)3.655(s,3H,OCH3).
e) 7−カルボメトキシ−2−(2−フルオロ−5−ピリジル)−7
−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(58)の製造
実施例31に示された方法の使用は、化合物58を無色油状物として化合物57か
ら収率93.3%で与えた。MS(CI)251(M+1).H1-NMR(CDCl3),
(エンド異性体について)δ 3.722(s.OCH3)、(エキソ異性体について)δ
3.671(s,3H,OCH3).
f) 2−(2−フルオロ−5−ピリジル)−7−アザノルボルナン(53
)の製造
実施例32に示された方法を、23mg(16.2%)の化合物53のエキソ異性体及
び54.8mg(38%)の化合物53のエンド異性体を、185mg(0.74mmol)の化合
物58から油状物として生成させるために用いた。MS(CI)193(M+1).H1-
NMR(CDCl3).δ 2.763(dd,J=8,9.0Hz,1H,H2),3.532(s,1H,
H1),3.769(t,J=3.6Hz,1H,H4).(エンド異性体につき)δ 3.3214(dt,
J=12Hz,5.7Hz,1H,H2),3.779(q,J=5.1Hz,2H,H1,4).
実施例55 2−(2−クロロ−3−ピリジル)−7−アザノルボルナン(59
)の製造
a) 1−(2−クロロ−3−ピリジル)−2−フェニル
−スルホニルエタノン(60)の製造
実施例26に示された方法の使用は、化合物60を塩化2−クロロニコチニルか
ら74%の収率で白色の固体として与えた。融点103〜104℃。MS(CI)296,2
97(M+1).H1-NMR(CDCl3)δ 4.871(s,2H,-CH2-).
b)1−(2−クロロ−3−ピリジル)−2−フェニルスルホニルアセチ
レン(61)の製造
実施例27に示された方法の使用は、化合物61を化合物60から27%の収率で白
色の固体として与えた。融点90〜94℃。MS(CI)278,280(M+1).
c) 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−3−ピリジル)−3−フ
ェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン(
62)
実施例29に示された方法の使用は、化合物62を61から62.14%の収率で油状
物として与えた。MS(CI)403,405(M+1).H1-NMR(CDCl3)δ
3.612(s,3H,OCH3).5429(t,J=2.1Hz,1H),5.497(t,J=2.1Hz,1H).
d) 7−カルボメトキシ−5−(2−クロロ−3−ピリジル)−7−ア
ザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(63)
実施例30に示された方法の使用は、化合物63をエキソ異性体として12%、そ
してエンド異性体として35%の収率で与えた。MS(CI)265,267(M+1).
H1-NMR(CDCl3)(エキソ異性体について)δ 3.66(s,3H,OCH3),
6.502(br.s.2H,H5,6).H1-NMR(CDCl3)(エンド異性体について
)δ 3.686(s,3H,OCH3),4.882,5.029(2br.s.2H,H1,4).5.88,6.5
44(2br.s.,2H,H5,6).
e) 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−3−ピリジル)−7−ア
ザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(64)の製造
実施例31に示された方法を用いて、エキソ化合物63を水素添加して化合物64
を定量的収率で得た。MS(CI)267,269(M+1).H1-NMR(CDCl3)
δ 3.277(dd,J=4.5,8.4Hz,1H,H2),3.654(s,3H,OCH3).
f)2−(2−クロロ−3−ピリジル)−7−アザノルボルナン(59)の
製造
実施例32に示された方法の使用は、化合物59を化合物64から41%の収率で油
状物として与えた。MS(CI)209,211(M+1).H1-NMR(CDCl3)δ
3.162(dd,J=14.8,8.7Hz,1H,H2),3.681(s,1H),3.795(t,J=3.6Hz
,1H)(H1,H4).
実施例56 2−(2−クロロ−4−ピリジル)−7−アザビシクロ〔2.2
.1〕ヘプタン(65)の製造
a) 1−(2−クロロ−4−ピリジル)−2−フェニルスルホニルエタ
ン(66)の製造
実施例26に示された方法を用いて、塩化6−クロロニコチニルの代わりに塩
化2−クロロイソニコチニル(Anderson et al,J.Med.Chem.1990,33(b)
,1667を参照)を用いたとき、化合物66が51%の収率で白色結晶として得られた
。融点124〜125.5℃(メタノール)。MS(CI)296,298(M+1).
b) 1−(2−クロロ−4−ピリジル)−2−フェニルスルホニルアセ
チレン(67)の製造
実施例27に示された方法を用いて、化合物67が化合物66から54%の収率で白
色結晶として得られた。融点78〜79℃。MS(CI)278,289(M+1).
c) 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−4−ピリジル)−3−フ
ェニルスルホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン(
68)の製造
実施例29に示された方法を用いて化合物68を化合物67から68%の収率で僅か
に褐色の油状物として得た。MS(CI)1403,1405(M+1).H1-NMR(C
DCl3)δ 3.502(br.s.3H,OCH3),5.420,5483(2s,2H,H1,4),7.065
(s,2H,H5,6).
d) 7−カルボメトキシ−5−(2−クロロ−4−ピリジル)−7−ア
ザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(69)の製造
実施例30に示された方法を用いて、化合物69が化合物68の脱スルホン化によ
り13.6%の収率で、エキソ異性体とエンド異性体との1:2の混合物として得ら
れた。MS(CI)265,267(M+1).H1-NMR(CDCl3),(エンド異性
体につき)δ 3.682(s,3H,OCH3),(エキソ異性体につき)δ 3.665(s,
3H,OCH3).
e) 7−カルボメトキシ−2−(2−クロロ−4−ピリジル)−7−ア
ザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(70)の製造
実施例31に示された方法を用いて、化合物70が化合物69の水素添加により95
%の収率で得られた。MS(CI)267,269(M+1).1H−NMR(CDCl3
)(エンド異性体につき)δ 3.694(s,3H,OCH3),(エキソ異性体につき)
δ 3.655(s,3H,OCH3).
f) 2−(2−クロロ−4−ピリジル)−7−アザビシクロ〔2.2.
1〕ヘプタン(65)の製造
実施例32に示された方法を用いて、化合物65が化合物70の脱保護基によって
23.6%(エキソ異性体)の収率で得られた。MS(CI)209,211(M+1).1H
−NMR(CDCl3)δ 2.738(dd,J=9.0,5.1Hz,1H,H2),3.629(d,J=
2.4Hz,1H),3.791(br.s.,1H).幾らかのエンド異性体が単離できる。
実施例57 7−エピバチジニルリン酸ジナトリウム(71)の製造
エピバチジン(40.0mg)をオキシ塩化リン3ml中に溶かし、混合物を水分
の不存在下3時間還流した。減圧下過剰の試薬を除去
し、7−エピバチジニルホスホリルクロライド100mgを褐色の油状残渣とし
て得た。テトラヒドロフラン2ml中この残渣28mgへ氷浴中で1M水酸化ナ
トリウム2mlを加えた。混合物を室温でさらに4時間攪拌した。有機溶媒の蒸
発後、水溶液をエチルエーテル(2×5ml)で洗った。水層を減圧下約0.5
mlへ蒸発し、室温で数時間放置し、化合物71を白色結晶として得た。収量1
4mg(80%)
1H−NMR(D2O)δ2.745(p,J=4.5Hz,1H,H2),3
.723(br.s.,1H),3.920(br.s.,1H),7.357
(d,J=8.4Hz,1H),8.073(dd,J=2.4,8.4Hz,
1H),8.263(d,J=2.4Hz,1H);31P−NMR(D2O),
5.332
エピバチジンおよびその類縁体のN−硫酸誘導体を製造するための反応条件下
、オキシ塩化リンの代わりにクロルスルホン酸または他のN−硫酸化試薬を使用
することができる。
実施例58 2,3−ジヒドロエピバチジン(72)の製造
スキーム7は化合物72の製造を示している。
a) 7−カルホ−t−ブトキシ−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3−フ
ェニルスルホニル−7−アザヒシクロ〔2.2.1〕ペプタ−2,5−ジエン(
73)の製造
実施例29に述べた方法を用いて、1−(2−クロロ−5−ピリジル)−2−
フェニルスルホニルアセチレン22とN−カルボ−t−ブトキシピロール(N−
t−Boc−ピロール)とのディルス−アンダー反応から化合物73を白色固体
として64%収率で得た。mp.133−134℃,MS(CI)445,44
7(M+1)
b) 7−t−boc−2−(2−クロロ−5−ピリジル)−3−フェニルスル
ホニル−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(73)の製造
付加体73(445mg)を酸化白金8mgを含有するメタノール20mlと
テトラヒドロフラン10mlの混液に溶かした。1気圧水素下3時間の水素化後
、触媒を濾過して除去した。濾液を減圧下濃縮し残渣440mgを得た。メタノー
ル中でこねた後これは固化した。収率98%,MS(CI)447,449(M
+1),1H−NMR(CDCl3)δ1.266(s,9H,C(CH3)3),
4.905,4.945(2br.s.,2H,H2,4)
C) 2−(2−クロロ−5−ピリジルノ−3−フェニルスルホニル−7−アザ
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(75)
実施例53eに記載した方法を用いて、化合物74のt−Bocはトリフルオ
ロ酢酸によって0℃において容易に脱保護され、化合
物75を白色固体として95.4%収率で得た。MS(CI)347,349(
M+1),1H−NMR(CDCl3)δ4.423(d,J=4.2Hz,1H
),4.500(d,J=3.6H2,1H)(H1.4)
d) 2,3−デヒドロエピバチジン(72)の製造
実施例30に述べた方法を使用し、化合物72を脱スルホニル化し、化合物7
2(365mg)を無色オイルとして23mg得た。収率19%。MS(CI)2
07,209(M+1),1H−NMR(CDCl3)δ4.323(s,1H,
H1),4.574(d,J=3.OHz,1H,H4),6.560(d,J=
2.4Hz,1H,H3)
実施例59 クロロエチルエピバチジン(76)の製造
実施例44に述べた方法を用いて、エピバチジン19を1−クロロ−2−ブロ
モエタンでアルキル化し、化合物76を透明なオイルとして収率35%で得た。
MS(CI)271,273,275(M+1),1H−NMR(CDCl3)δ
3.225,3.476(25,2H,H1.4),3.568(t,J=6.
6Hz,2H)
実施例60 2−(2−ヒドロキシ−5−ピリジル)−7−アザノルボルナン
(77)の製造
化合物53(8.5mg,0.044mmol)をt−ブタノール1ml溶か
した。この溶液へ2M水酸化カリウム1mlを加えた。20時間還流およびブタ
ノール蒸発の後、混合物を1M塩化水素酸でpH6〜7に調節した。減圧下溶媒
を蒸発し、クロロホルム中20%7Nアンモニアメタノールで展開するシリカゲ
ル薄層クロマトグラフィーで生成物の精製は、オイルとして4.2mgの化合物
77を与えた。収率50 MS(CI)191(M+1),1H−NMR(CD
Cl3)δ2.554(br.s.,1H,H2),3.503,3.743(2
br.s.,2H,H1.4)
実施例61 2−(2−メチルチオ−5−ピリジル−7−アザノルボルナン(
78)の製造
実施例33に述べた方法を使用し、エタノール中のメチルメルカプタンナトリ
ウム塩から化合物78を無色オイルとして28%の収率で得た。
MS(CI)221,223(M+1),1H−NMR(CDCl3)δ2.54
2(s,3H,SCH3),2.757(dd,J=5.1,8.7Hz,1H
,H2),3.546,3.781(2br.s.,2H,H1.4)
実施例62 5,6−ビス(トリフルオロメチル)デスクロロ
エピバチジン(79)の製造
スキーム8は化合物79の製造を示す。
a) 7−t−Boc−1,2−ビス(トリフルオロメチル)−7−アザビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン(80)の製造
化合物80は、J.Leory et al,Synthesis,1982
,313に述べた方法に従って製造した。
b) 7−t−Bot−2,3−ビス(トリフルオロメチル)−5−(ピリジル
)−7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(81)の製造
化合物80(165mg,0.5mmol)と、3−ヨードピリジン105mg
(0.5mmol)を、酢酸パラジウム9mg,トリフェニルホスフィン21m
g,ピペリジン120mg,88%ギ酸60mgを含有するジメチルホルムアミ
ド1mlに溶かした。混合
物を窒素下60〜70℃で1.5時間、そして室温で一夜攪拌した。溶媒を減圧
下留去し、残渣を塩化メチレンと水の間で分配した。有機層を分離し、水層を塩
化メチレンで抽出した。合併した有機層を飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウム
上で乾燥した。減圧下溶媒を除去した後、残渣(218mg)をシリカゲルカラ
ムにおいて石油中の20%酢酸エチルで溶出し、赤色オイルとして不安定化合物
81を48mg得た。MS(CI)409(M+1)収率23%。1H−NMR
(CDCl3)δ1.427(s,9H,OC(CH3)3),2.974(dd
,J=4.2,8.4Hz,1H,H2),4.906,5.147(2br.
s.,2H,H1.4)
上の反応においてヨードピリジンを2−クロロ−5−ヨードピリジンで置換す
ることにより、5−(2−クロロ−5−ピリジル)類縁体を得た。
c) 2,3−ビス(トリフルオロメチル)−5−ピリジル−7−アザビシクロ
〔2.2.1〕ペプタ−2−エン(82)の製造
実施例53eに述べた方法を使用し、化合物81はトリフルオロ酢酸で容易に
脱保護され、化合物82を90%の収率で与えた。1H−NMR(CDCl3)δ
2.02(dd,J=8.4,2.1Hz,2H,H3),2.88(dd,J
=4.8,8.4Hz,1H,H2),4.36,4.63(2br.s.,2
H,H14)
5−(2−クロロ−5−ピリジル)類縁体は上に述べた方法で得られた。
d) 5,6−ビス(トリフルオロメチル)デスクロロエピバチジン(79)の
製造
化合物82を高圧下水素で水素化し、化合物79を得た。
5,6−ビス(トリフルオロメチル)エピバチジンは上に述べたやり方で得ら
れた。
IV.医薬組成物
疼痛を有するヒト、ウマ、イヌ、ウシおよび他の動物、特に哺乳類は、薬学的
に許容できる担体もしくは希釈剤中の一種以上の上に同定した化合物またはその
薬学的に許容し得る誘導体もしくは塩の有効量を患者へ投与することによって処
置することができる。活性物質は、液体、クリーム、ゲルまたは固体形において
任意の適切なルートにより、例えば経口、非経口、静脈内、皮内、皮下または局
所的に投与することができる。
ここで使用する薬学的に許容し得る塩または錯塩なる術語は、上で同定した化
合物の所望の生物学的活性を保持し、そして最小の望まない毒性効果を示す塩又
は複合体を意味する。そのような塩の非限定的な例は、(a)無機酸(例えば塩
酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成した酸付加塩、および酢酸、
シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン
酸、パモイック酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナ
フタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸のような有機酸との塩、(b)
亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コ
バルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウム等の金属陽イオンとのま
たはアンモニア、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テ
トラエチルアンモニウムまたはエチレンジアミンから生成した陽イオンとの塩基
付加塩、または(c)タンニン酸亜鉛塩等の(a)と
(b)との組合せである。
活性化合物は、処置される患者に重大な毒性効果を発生させることなく治療上
有効量を患者へ放出するに十分な量において薬学的に許容し得る担体または希釈
剤中に含められる。前記した症状のすべてに対して好ましい活性化合物の投与量
は、1日当たり約0.0001ないし20mg/kg,好ましくは0.001な
いし2mg/kgであり、もっと一般的には1日当たり受領体重kgあたり、0
.05ないし約0.5mgの範囲内である。典型的な局所投与量は適当な担体中
0.001%ないし0.5%w/wの範囲内であろう。薬学的に許容し得る誘導
体の有効投与量は、放出すべき親化合物の重量を基にして計算することができる
。もし誘導体自体が活性を示すならば、有効投与量は誘導体の重量を使用して上
のように、または当業者に既知の他の手段によって推算することができる。
化合物は、限定するものではないが単位投与形態あたり活性成分0.001な
いし1000mg,好ましくは0.01ないし500mgを含んでいる任意の適
当な単位投与形態において便利に投与される。0.1乃至200mgの経口投与量が通
常便利である。
活性成分は、場合により食塩水または水性媒体中の活性成分の溶液または製剤
の静注により投与することができ、または活性成分のボーラスとして投与するこ
とができる。
薬物組成物の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、分布、不活性化および排泄速
度と、そして当業者に既知他のファクターに依存するであろう。投与量値はまた
、緩和すべき症状の重篤度によっても変動することを認識すべきである。どんな
特定の対象についても、特定の投与量計画は個々の必要性と、組成物を投与する
者または投与
を監督する者の職業的判断に従って経時的に調節すべきことと、そしてここに述
べた濃度範囲は例示であり、特許請求した組成物の範囲または実際を意図しない
ことを理解すべきである。活性成分は一度に投与することができ、または変動す
る時間間隔において投与すべき少ない投与量に分割してもよい。
経口組成物は一般に不活性希釈剤または服用し得る担体を含んでいる。それら
はゼラチンカプセル中に包囲または錠剤に圧縮することができる。経口治療投与
の目的のため、活性化合物は賦形剤と混合し、そして錠剤、トローチまたはカプ
セルの形で使用することができる。薬学的に両立し得る結合剤および/またはア
ジュバンド材料を組成物の一部として含めることができる。
錠剤、ピル、カプセル、トローチ等は以下の成分または同種の化合物を含むこ
とができる。微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンのような結合
剤;デンプンまたは乳糖のような賦形剤;アルギン酸、プリモゲルまたはコーン
スターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートのような
滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような滑剤;ショ糖またはサッカリンのよう
な甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料のような香料で
ある。単位投量形態はカプセルの時は、上記タイプの材料に加え、脂肪油のよう
な液体担体を含むことができる。加えて、単位投与形態は単位投与形態の物理的
形態を修飾する種々の他の材料、例えば糖衣、シエラックまたは他の腸溶剤を含
むことができる。
活性化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは誘導体は、所望の作用を
妨害しない他の活性物質と、または抗生物質、抗カビ
剤、抗炎症剤、または抗ビールス化合物のような所望の作用を補足する物質と混
合することができる。
非経口、皮内、皮下または局所適用に使用する溶液または懸濁液は以下の成分
を含むことができる。注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶剤のような無菌希釈剤;ベン
ジルアルコールまたはメチルパラペンのような抗バクテリア剤;アスコルビン酸
または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸のよ
うなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤および塩化
ナトリウムまたはブドウ糖のような等張化剤である。非経口製剤はガラスまたは
プラスチック製のアンプル,使い捨てシリンジまたは多数回投与バイアル中に収
容することができる。もし静脈内投与するならば、好ましい担体は生理食塩水ま
たはリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
一具体例において、活性化合物は内植物およびマイクロカプセル化放出システ
ムを含む、徐放性製剤のような、体内からの急速な排出に対して化合物を保護す
る担体で処理される。エチレン−酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸
、コラーゲン、ポリオルソエステルおよびポリ乳酸のような生体分解性の生体両
立性のポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製法は当業者に明
らかであろう。材料はAlza Corporationから商業的に得ること
もできる。
V.7−アザビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンおよびヘプテン類の鎮痛活性
広範囲の種類の生物学的アッセイがある化合物が鎮痛剤として作
用する能力を評価するために使用されている。ここに開示した化合物の鎮痛活性
を評価するためこれら既知アッセイのどれも使用することができる。阿片アルカ
ロイドに特徴Straub−Tail反応は阿片アゴニストおよびアンタゴニス
トのためのアッセイとして使用されている。このアッセイは、Br.J.of
Pharmacol.1969,36,225に詳しく記載されている。鎮痛活
性のための他の認められたアッセイはJ.of Pharmacol.Exp.
Therap.1953,107,385に記載されているホットプレート鎮痛
アッセイである。ある化合物が阿片レセプターへ結合する能力の評価のためのア
ッセイがMol.Pharmacol.1974,10,868に記載されてい
る。
それらの強力な中枢鎮痛効果に加えて、置換7−アザ−ビシクロ〔2.2.1
〕ヘプタンおよびヘプテン類のあるものは、治療用途に有効な変動する程度の末
梢抗炎症および鎮痛効果を持っている。末梢抗炎症活性評価のための以下のアッ
セイは、Barber,A.およびGottschlich,R.による、Op
ioid Agonists and Antagonists:An Eva
luation of Their Peripheral Actions
in Inflammation,Medical Research Rev
iew,Vol.12,No.5,525−562(September,19
92)に記載されている。プラスタグランジンE2またはカラギーナンによって
誘発されたラット肢過痛感;カラギーナ,ブラジキニンまたはPGE2によって
誘発されたネコの炎症膝関節;ホルマリンによって誘発されたマウスまたはラッ
トのホルマリンテスト;知覚神経の逆行性刺激によっ
て誘発されたラット、マウスまたはモルモットの神経炎症;酢酸、フェニルベン
ゾキノン、プロスタグランジンまたはブラジキニンによって誘発されたマウスの
もだえテスト;およびフロインドアジュバンドによって誘発されるラットのアジ
ュバンド関節炎。
実施例63 鎮痛活性の評価
表4は、J.Daly et al.J.Am.Chem.Soc.,198
0,102,830;T.F.Spande et al.J.Am.Chem
.Soc.1992,114,3475;T.Li,et al.Bioorg
anic and Medicinal Chemistry Letters
1993,3,2759に記載されているStraube−Tailアッセイ
を用いて測定した、ここに記載した選定化合物についてED50(μg/kg)と
して測定した鎮痛活性を提供する。
実施例64 ニコチンレセプター結合活性
参照化合物として硫酸ニコチン、組織基質としてラット皮質、および〔3H〕
−MMCI放射性リガンドを用い、標準的結合アッセイ、例えばX.Zhang
,A.Nordberg,Arch.Pharmacol.,348,28(1
993);R.E.Middleton,J.B.Cohen,Biochem
istry,30,6987(1991)を用いてアセチルコリン−ニコチンレ
セプターへ結合するそれらの能力について評価した。結果は表5に提供される。
本発明の修飾および改変は以上の本発明の詳細な説明から当業者には自明であ
ろう。そのような修飾および改変は請求の範囲に属することが意図される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 31/445 ABE 9454−4C A61K 31/445 ABE
31/47 9454−4C 31/47
31/495 9454−4C 31/495
31/505 9454−4C 31/505
C07D 487/18 9271−4C C07D 487/18
491/147 9271−4C 491/147
495/18 9165−4C 495/18
C07F 9/6561 9450−4H C07F 9/6561 Z
(72)発明者 ゴンザレス,ジャビアー
アメリカ合衆国32707フロリダ、キャッセ
ルベリー、リフレクションズサークル
320、ナンバー 205