JPH08504352A - ピストン注射器の後方移動を妨げる機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ピストン（３０）を備え、ピストンの引出しを妨ける機構（５２、６０）を含む、注射器アセンブリーの形態である放出装置（２０）。注射器（２０）は、好ましくは予め充填されており、かつ滅菌されていて、滅菌内容物を含む滅菌注射器アセンブリーを提供するものである。ピストン（３０）の引出しを妨げることにより、滅菌内容物と注射器バレルのピストン後部の露出部との接触およびその結果生じる汚染の危険を回避するものである。

Description

【発明の詳細な説明】 ピストン注射器の後方移動を妨げる機構 発明の分野 本発明は、一般に容器部内に入れられた流体物質を放出するために、ピストン またはプランジャーがその中で摺動し得る容器部を含む、注射器アセンブリーな どの放出装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、ピストンの移動が制限また は限定されている注射器類に関する。 従来技術の説明 放出端またはノズル端および反対側にピストンまたはプランジャー受容開口端 を設けたバレル部を有する注射器の形態をした放出装置は、従来技術として知ら れている。このような装置では、ピストンは、注射器バレルの内表面を密封保持 状態で摺動可能であり、放出端に向かって前方へ移動して注射器内容物を放出し 得る。ピストンは、また様々な仕事、例えば、注射器バレル内に入れられている 液体の吸引、または注射器バレル内への吸引、その後生体中へ注入するための吸 引、あるいは、カテーテル等としての吸引を行う、即ち、放出端とは逆方向に動 かすことも出来る。 さらに、注射器の形態をした既充填滅菌済放出装置の製造についても当該分野 では知られており、それはまず、薬液を充填し、封止して、注射器バレルにより 形成された貯蔵容量の範囲内で該液を閉じ込め、滅菌して、滅菌内容物を有する 滅菌注射器アセンブリーとするものである。このような既充填注射器の開示とし ては、米国特許第４，６２８，９６９号および４，７１８，４６３号を参照され たい。参照特許に開示された型の既充填滅菌注射器は、充填、封止および滅菌状 態で病院などに供給される。この注射器類を使用するにあたっては、放出先端部 またはノズルのシールをこわし、ピストンに適当な駆動手段を取り付け、滅菌流 体を投与するだけでよい。 上記既充填滅菌型の注射器類を使用する場合、貯蔵容量を形成する注射器バレ ルの内部と、その中の流体内容物は滅菌状態であるが、注射器バレル外部は、ピ ストン後部に配置された注射器バレル内部の露出部分も含めて、外界条件にさら されているため恐らく滅菌状態ではない。従って、ピストンは引き出されたり、 引き込ませられたりしないことが重要である。何故なら、引出すと貯蔵容量中の 滅菌内容物と引き出す前はピストン後部にある非滅菌領域とを接触させてしまい 、そうして滅菌内容物を汚染してしまうからである。ピストンをバレルの放出端 方向に動かすと、このピストン後方のバレル内部領域が拡大し、非滅菌外界条件 にさらされる。その結果、バレル内容物を十分に放出する前にピストンをバレル の放出端から引き離すことは、重大な汚染の危険を生むのである。この危険は、 滅菌内容物を中に有するバレルの滅菌貯蔵容量が、ピストンを前以て前方に動か し放出することにより非滅菌状態にせしめられたバレルのピストン後方領域と接 触することによってもたらされる。従って、本発明の目的は、上記した問題点を 克服する放出装置を供給することである。 発明の概要 本発明は、密封状態で容器部の内表面を摺動し得るように構成されたピストン の付いた容器部を含む既充填滅菌注射器の形態をした放出装置を提供するもので あり、容器部およびピストンには、ピストンを容器の放出端とは逆方向に引き出 すのを妨げ、容器部内に入れた流体内容物の滅菌状態を維持する手段が設けられ ている。 図面の簡単な説明 本発明の他の特徴は、添付図面と照らし併せて行った下記の好ましい実施態様 の説明から明らかとなる： 図１は、本発明の第１の実施態様に従う、放出装置の断面図である； 図２は、図１に示した実施態様の線２−２に沿う断面図である； 図３は、本発明の第２の実施態様の断面図である； 図４は、図３に示した実施態様の線４−４に沿う断面図である； 図５は、本発明の第３の実施態様の断面図である； 図６は、図５に示した実施態様の線６−６に沿う断面図である； 図７は、図５−６に示した実施態様の挿入部および移動止めの平面図である； 図８は、本発明の第５の実施態様の断面図である； 図９は、図８に示した実施態様の線９−９に沿う断面図である； 図１０は、図８−９に示した実施態様において使用される挿入具の断面図であ る； 図１１は、本発明の第６の実施態様の断面図である； 図１２は、図１１に示した実施態様の線１２−１２に沿う断面図である； 図１３は、本発明の第７の実施態様の断面図である； 図１４は、図１３に示した実施態様に従うピストンおよび支持板の側面図であ る； 図１５は、本発明の第８の実施態様の断面図である； 図１６は、図１５の実施態様に従うアダプターの側面図である。 好ましい実施態様の詳細な説明 図１および２に示した本発明の実施態様では、総括的に２０で示す放出装置は 、放出端２４およびその反対側の開口端２８を有するハウジング部またはバレル ２２を含んでいる注射器アセンブリー形態のものである。ピストン３０は、ハウ ジング部２２の内表面と摺動可能なように保持されており、先端シール２６によ り封止されている放出端と一緒に、流体内容物３４の貯蔵容量を形成している。 本明細書で使用する場合、流体は、薬剤、例えば、造影剤を含有する薬液を意味 する。ハウジング部２２は、シリンダー形であるように描いているが、当業者に は、この形状は、一例であって、本明細書における“ハウジング部”または“バ レル”の用語の使用は、シリンダー形および例えば、これらに限定されるわけで はないが、三角形または四角形の容器などの非シリンダー形の注射容器部のいず れもを包含することが理解されるはずである。従って、上記の貯蔵容量は、一端 が先端シール２６で封止されており、もう一端がピストン３０で封止されている 。放出端２４は、所望によって別の医療的装置への結合を容易にするように設計 されており、例えば、これに限定されるわけではないが、常用のカテーテルのル アコネクター（図示していない）への固着のための、図１に示した螺合手段２５ などの手段を有することもできる。また注射器アセンブリーは、以下に記載する ように、ピストン３０を動かすための押し棒（プッシュロッド）３２を含んでい る。 本発明の好ましい実施態様においては、注射器アセンブリー２０は、滅菌内容 物を含む滅菌注射器を提供するために予め滅菌した既充填滅菌放出装置である。 このような既充填滅菌注射器は、本願と同じ承継人に譲渡された米国特許第４， ６２８，９６９号および第４，７１８，４６３号に開示されたものと同様であり 、それらの特許の主題は、参照して本明細書の一部としてある。これらの既充填 滅菌注射器は、組み立て、充填し、封止し、そして滅菌して、滅菌内容物を含む 滅菌放出装置とし、病院などへ運び、そこでこれらを容易に用いて医療診断およ び／または治療処置時に内容物を注射することが出来る。かかる既充填注射器は 、様々なサイズまたは容量の、即ち、異なる量の流体内容物をその中に有するも のを提供することが望ましい。また、製造所で多くの異なるサイズの注射器ハウ ジング部を手元に抱えるのではなく、多様な水準の充填ができ、上記異なる容量 の流体を供給できるような標準サイズの注射器ハウジング部を利用することが望 ましい。 結果として、これらの既充填滅菌注射器は、図１に示したように、部分的に充 填した状態、即ち、開口端２８からハウジング部２２内にピストン３０を移動配 置されるようにして、最終使用に提供されることが多い。上記のように、ピスト ン３０と封止した放出端２４の間のハウジング部２２内に入れられた流体内容物 ３４が、滅菌状態であるのに対し、ピストン３０の後方にあるハウジング部２２ 内の部分４２は、一般に恐らく滅菌状態ではないであろう。従って、滅菌内容物 ３４と前記のハウジング部２２の非滅菌部４２とが接触しないようにすることが 重要である。多くの場合、注射器を吸引するためのピストンの移動、さらには最 初のピストン引き出しさえも妨げることが望ましい。 図１−２の実施態様に示すように、押し棒３２は、親指板５０、および押し棒 ３２から外側に伸びている一連のランチェット歯または突起５２を備えている。 注射器ハウジング部２２に関して上記したように、押し棒３２は、横断面がシリ ンダー形であるように示しているが、そのような形状は一例にすぎず、押し棒３ ２が別の形であっても良いと理解されるものである。ピストンをバレル内に装着 した後、ハウジング部２２の内表面に挿入具５７を供給する。挿入具５７は、ハ ウジング部２２の開口端２８に適合するように成型されており、下記のような任 意の適切な手段によってぴったりと嵌合される。半可撓性つめまたは移動止め具 ６０は、挿入具５７によって支持されており、挿入具５７の下方（ピストン３０ 方向）に向いている。移動止め具６０は、ランチェット歯５２と噛合するように 形成されており、下方には偏向可能であるが、後述のように、上方への移動は、 予め定められた範囲に制限されている。移動止め具６０は、この限界まで伸び、 ランチェット歯５２と噛み合うよう適当な手段で偏向させられている。好ましい 実施態様においては、スプリング偏向手段を採用するか、または別法として、移 動止め具６０を下方に、ただし上方は不可、偏向させ得る板ばねの形状にしても 良い。 挿入具５７は、下記のように、押し棒３２に設けられた整合手段と嵌合するよ うに形成された整合手段５９の形態の整合手段をも含むものである。挿入具５７ および移動止め具６０は、開口端２８に隣接するハウジング部２２内部にあるよ うに示しているが、当業者には、そのような位置は例示にすぎず、挿入具５７お よび移動止め具６０を他の位置に配置することは、本発明の範囲内であると認識 されよう。ピストン３０をハウジング部２２内に配置した後、挿入具５７をその 中の開口端近くに配置する。挿入具５７をハウジング部２２に固着するのに使用 される適切な手段には、粘着剤、プレスまたはスナップ圧着またはネジ螺着があ るが、これらに限定されるわけではない。その後、押し棒３２を、押し棒３２が 下方へ動くときに移動止め具６０と噛合するランチェット歯５２と共に、開口端 ２８からハウジング部２２内へ挿入する。押し棒３２は、溝５５の形状の整合手 段を含んでおり、押し棒３２をハウジング部２２に挿入したときに挿入具５７の 整合具５９がそこに配置される。整合具５９と溝５５とが合わさることにより、 下記のように、ピストン引き出しを妨げる移動止め具６０とランチェット歯５２ との噛合が保証されるのである。図１の実施態様では、押し棒３２をハウジング 部２２内に挿入し、スナップ圧着によってピストンに装着する。詳細には、押し 棒３２の指板５０の反対側の端には、ノブ３３の形態の突起があり、ピストン３ ０に設けられた凹部３１と嵌合するように押し込まれている。ノブ３３と凹部３ １との嵌合は、その嵌合を行う間にピストン３０が前方に動いてしまう程十分な 力でなくても達成できる。 ランチェット歯５２のそれぞれは、平坦水平面５４を含むものであり、そこか ら傾斜勾配面５６が下方に伸びている。面５４および５６は、移動止め具６０と 既知手段で噛合しており、押し棒３２の上記した下方向への移動を許容するが、 他方向への移動を妨げるものである。ハウジング部２２内でのピストン３０と押 し棒３２の下方への移動は、整合具５９を溝５５と嵌合し、押し棒３２を押し下 げることで容易に行える。整合手段は、移動止め具６０が歯５２と噛合するのを 保証するものである。押し棒３２を放出端２４に向かって下方へ移動させる間、 移動止め具６０は、傾斜面５６をすり上がるが、押し棒３２を引出すときは、移 動止め具６０が、平坦面５４と噛合してピストンの引出しを妨げる。かくして、 ピストン３０と押し棒３２は、放出端２４方向へは移動できるか、反対方向への 移動は阻止されるのである。 図１−２の実施態様に示したように、ランチェット歯５２を押し棒３２の片側 に設け、挿入具５７から伸びている移動止め具６０と噛み合わせる。所望によっ て、押し棒を取り巻き間隔をあけて伸びている多数の突起物として歯５２を設け ることも可能である。さらに、非円形状押し棒の使用も、本発明には包含され、 それは、その一面または他面から伸びているランチェット歯または突起物を備え ているものである。挿入具５７は、ピストン３０を設置後、好ましくは注射器を 滅菌操作、例えば、オートクレーブ処理に付した後、注射器バレル２２の開口端 ２８に配置するが、その場合は、ピストン３０に固着させた押し棒の付いた、ま たは付いていない既充填滅菌注射器アセンブリーを最終使用に提供することがで きる。押し棒がついていない後者の場合、押し棒３２とピストン３０の連結は、 医者にまかされるであろう。しかしながら、押し棒３２を滅菌前に、ピストン３ ０に固着させた押し棒３２を用いてハウジング部２２に装着することが可能であ る。何故なら、半可撓性移動止め具６０は、歯５２と噛合した状態であるが、上 記オートクレーブ処理中の流体および／またはピストン３０の膨張に適応するた め、ピストン３０および押し棒３２の上方への移動を制限的に許容するからであ る。この場合、ピストン３０に固着させた押し棒３２の付いた既充填滅菌注射器 アセンブリーが最終使用に提供されるであろう。 本発明の第２の実施態様は、図３−４に示しており、修飾挿入具５７ａおよび 修飾押し棒３２ａを含んでいる。この実施態様の挿入具５７ａは、そこから伸び ている半可撓性移動止め具６０ａを有しているが、整合具は、この実施態様では 必要でないため、備えていない。押し棒３２ａは、その長さに沿って設けられた 一連の同軸ランチェット歯を有しており、その歯５２ａは、図４に示した押し棒 ３２ａを完全に囲むように伸びている。歯５２ａは、押し棒３２ａの周り全方向 に伸びているため、移動止め具６０ａは、押し棒３２ａをハウジング部２２に挿 入するときに、押し棒３２ａおよび移動止め具６０ａが比較的角位置にあるにも かかわらず、歯５２ａと噛合するであろう。歯５２ａを移動止め具６０ａと整合 するために押し棒３２ａを回転させる必要はない。押し棒３２ａをハウジング部 ２２に挿入するときの移動止め具６０ａと歯５２ａ間の一方向の噛合は、第１の 実施態様と同様である。押し棒３２ａとピストン３０ａとの噛合は、第１の実施 態様におけるようして達成でき、また別法として、これに限られる訳ではないが 、押し棒３２ａのネジ部を刻設した伸長部をピストン３０ａに設けられたネジ部 を刻設した凹部に螺合する他の手段によっても容易に出来る。歯５２ａを移動止 め具６０ａに噛合させながら、押し棒３２ａを回転させることも可能である。 第１の実施態様の場合のように、ピストン３０ａを装着後、好ましくは、オー トクレーブ処理中の膨張によるピストン移動を許容する移動止め具６０ａが半可 撓性であることから、再度押し棒３２ａを滅菌前にピストン３０ａに装着するの は可能であるが、注射器を滅菌操作、例えば、オートクレーブ処理に付した後、 挿入具５７ａを適切な手段によってハウジング部２２の開口端２８に配置する。 かくして、本発明の既充填滅菌注射器は、滅菌流体３４とハウジング部２２内の 部分４２との接触から生じる上記した汚染の危険を誘起する、ピストン３０ａの 引出しを妨ける手段を有するのてある。 本発明の第３の実施態様は、図５−７に示しており、更に移動止め具６０ｂを 備えた修飾挿入具５７ｂを含むものである。この実施態様における押し棒は、第 １の実施態様の歯５２と同様の歯５２ｂを有するように示されている。挿入具５ ７ｂは、挿入具５７ｂの内部縁から内側に突出する半可撓性移動止め具６０ｂを 有する。図７に見られるように、移動止め具６０ｂは、挿入具５７から（ピスト ン３０ｂに向かって）下方に伸びており、押し棒３２ｂがそこを通って上方へは 不可だが下方へは移動し得る中心孔６１を備えた連続した平坦部品の形態である 。移動止め具６０ｂのこの形態は例示にすぎず、また移動止め具６０ｂは、押し 棒３２ｂが押し棒３２ｂの様々な角位置でその止め具６０ｂと噛合しさえすれば 、どんな形であっても良いことが、認識されるであろう。ピストン３０ｂの逆移 動を阻止するための移動止め具６０ｂと歯５２ｂの操作は、上記実施態様の場合 と同様である。押し棒３２ｂは、適切な手段、例えば、最初の２つの実施態様の スナップ適合または螺合により、ピストン３０ｂに連結出来る。挿入具５７ｂは 、最初の２つの実施態様に関して上記した適切な手段によりハウジング部２２内 に配置する。移動止め具６０ｂは、半可撓性であるので、オートクレーブ処理中 ピストン３０ｂの移動を制限的に許容するものであり、従って、上記のようにオ ートクレーブ処理にかける前に、押し棒３２ｂをピストン３０ｂに固着出来るの である。 本発明の他の実施態様（図示していない）は、図３−４の実施態様の押し棒３ ２ａを結合させた図５−７の実施態様の挿入具５７ｂが固着されているハウジン グ部２２を含む。ランチェット歯５２ａは、上記のように押し棒３２ａの周囲全 体に伸びており、挿入具５７ｂは、押し棒をハウジング部２２に挿入するときに 、押し棒３２ａを取り囲む連続部品の形態の移動止め具６０ｂを有する。この実 施態様の利点は、挿入具５７ｂの移動止め具６０ｂと押し棒３２ａの歯５２ａと の噛合が押し棒３２ａの周囲全体で起こり、ピストンの逆移動を一層強く阻止す る噛合が与えられることである。 図８−９に示した本発明の第５の実施態様は、開口端１２８および放出端２４ を有するハウジング部１２２を備えた注射器を含むものであり、その放出端２４ は、別の医療機器（図示していない）、例えば常用カテーテルのルアーコネクタ ーへの装着を容易にするためのスリーブまたはシュラウド４０を含んでいる。ハ ウジング部１２２は、その上部内表面に一連の輪状ランチェット様歯１５２を備 えている。ランチェット歯のそれぞれ１つは、水平面１５４と、その水平面から 上方に伸びている傾斜面１５６を含むものである。ランチェット歯は、図１０に 示したように、別法として、ハウジング部２２２内または他の実施態様のハウジ ング部内に適合するよう形成された挿入具２００に支持されていることもある。 挿入具２００は、粘着剤または隙間のない摩擦適合を含むがこれらに限定される 訳ではない適切な手段によりハウジング部２２２内に装着できる。押し棒１３２ は、上端に親指板１５０を有し、その下端は、適切な手段、例えば、前記実施態 様のスナップ適合または螺合により、ピストン１３０に連結させる。カラー様部 材１５８は、親指板１５０下部の上端に隣接する押し棒１３２に固着されており 、一対のつめ様移動止め具１６０はカラー部材１５８に取り付けられていて、そ のカラー部材の位置から伸びている。当業者には、２つ以外の移動止め具、例え ば、１つ、３つ、またはそれ以上の移動止め具の利用は、本発明の範囲内である と認識されるであろう。カラー部材１５８を図示した以外の様式で押し棒１３２ に配置するか、あるいは、移動止め具１６０を直接押し棒１３２に固着させる、 またはさらに別法として、押し棒１３２の一部として移動止め具１６０を形成す ることもまた本発明の範囲内である。 移動止め具１６０は、押し棒１３２の下方への移動は許容するが、図１の実施 態様に関して記載したのと同様の方法で反対方向への移動を妨げるように、ラン チェット歯１５２と噛合している。移動止め具１６０は、ランチェット歯１５２ と噛合した状態で偏向、好ましくはスプリング偏向させる。図１−４の実施態様 の場合のように、注射器１２０に、滅菌流体３４を部分的に充填し、ピストン３ ０と押し棒１３２の取り付けを、好ましくは滅菌操作前に実施するが、図示１− ７の実施態様においては、移動止め具１６０が半可撓性であるので、上記のよう に滅菌前に押し棒１３２をピストン３０に取り付けできる。バレル壁内部に装着 されたランチェット歯１５２と押し棒１３２に支持されている移動止め具１６０ との組み合わせにより、滅菌流体３４がハウジング部１２２の内の一部分１４２ と接触するに至って重要な汚染の危険を生ずる原因となるピストン１３０の引出 しが防がれる。 本発明の第６の実施態様は、図１１−１２に示しており、ハウジング部１２２ ａおよび上記実施態様に関して記載した適切な手段により押し棒１３２ａを取り 付けたピストン１３０ａを含む注射器の形態である。ハウジング部１２２ａの内 部には、上記図１０に記載のように、２００で示すものなどの別々の挿入部に備 えることが出来る一連のランチェット歯１５２ａが備えられている。ランチェッ ト歯１５２ａは、図８−９の実施態様におけるようにハウジング部１２２ａの内 表面全体に及ぶわけではない。押し棒１３２ａは、ランチェット歯１５２ａと噛 合させるため、移動止め具１６０ａを押し棒に固着させた状態で有しており、こ れは押し棒１３２ａとピストン１３０ａの逆移動を阻止するためである。移動止 め具１６０ａは、押し棒１３２ａから伸びている連続した平坦部材の形態であり 、上記のようにハウジング部１２２ａのランチェット歯１５２ａと噛合するもの である。これは、即ち、押し棒１３２ａとピストン１３０ａを放出端方向に移動 させて流体３４を放出するが、逆方向への移動は阻止するためである。 本発明の更なる実施態様は、ランチェット歯で覆われている図８−９のハウジ ング部１２２および図１１−１２の連続移動止め具１６０ａを有する押し棒１３ ２ａを備えた注射器を含むものである。加えて、本発明の実施態様は、ランチェ ット歯１５２ａで部分的に覆われている図１１−１２のハウジング部１２２ａお よび図８−１０の押し棒１３２および移動止め具１６０を有する注射器の形態で あることも可能である。図１１−１２の実施態様において示した螺合などの適切 な手段により達成される、押し棒１３２ａのピストン１３０ａへの固着は、ラン チェット歯１５２ａを備えた移動止め具１６０ａを永久的に整合するものである 。 図１３および１４に関しては、本発明の第７の実施態様を引用番号２２０によ って総括的に示しており、ピストン２３０がパワーインジェクターと嵌合、それ によって駆動されるように形成されている放出装置の形態である。この放出装置 は、放出端２２４およびその反対側に開口端を有する容器部２２２を含むもので ある。ピストン２３０は、容器部内に流体内容物２６０を封止するようにして容 器部３２２内に配置する。放出端２２４は、好ましくは、放出装置を補助医療機 器に装 着するための手段を有するものであり、それは、例えば、カテーテルのルアーコ ネクター（図示していない）と噛合するナット２２６で有り得る。 ピストン２３０は、ピストンに固着させた、および好ましくはピストンの一部 である支持板２３２を有する。支持板２３２は、図１４に示しており、上部円盤 ２３４と下部円盤２３６を有する。下部円盤２３６は、例えば、ピストン２３０ にぴったりと嵌め込むか、および／または粘着性のもので取り付けることにより 、ピストン２３０に固着されている段のついた伸長部分２３７を有する。支持板 ２３２は、上部円盤と下部円盤２３４、２３６の間にわたって伸長している、下 記のように支持板に強度と安定性を与えている、支持具２４２、２４４を有する 。支持板２３２は、上部円盤２３４から伸びている軸２４２、および軸２４２の 端上に設けられたボタン２４３を有する。軸２４２とボタン２４３は、当業者に は知られており、詳細に説明するまでもないが、パワーインジェクター２７０に 装着するように形成される。 容器部２２２は、図８に示したもの、即ち輪状突起と同様の一連のランチェッ ト歯または突起２５２をその内壁に備えている。所望によって、ラチェット歯は 、図１１に示した実施態様におけるように不連続であることが出来る。上記のよ うに、ピストン２３０には、パワーインジェクター２７０と噛合するように形成 されている支持板２３２を取り付ける。図１３に見られるように、支持板２３２ の上部円盤２３４は、放出装置の使用準備に際して、最上部のランチェット歯の １つ（または数個）２５２と非常に隣接している。パワーインジェクター２７０ が支持板２７０およひピストン２３０を前方に駆動させるとき、上部円盤２３４ は、歯２５２、上部円盤２３４、または歯および円盤双方のある程度の可撓性に より、歯２５２上をラチェット移動する。 前記実施態様におけるように、ランチェット歯２５２は、一旦、円盤２３４が 最上部の１歯または数歯を越えて滑動すると、ピストンの引出しを妨げるように 形作られている。この方法では、汚染の危険を引き起こすピストンの引出しが阻 止される。十分な数のランチェット歯２５２を容器内部に設けるか、または所望 によって、歯を、図１０におけるように容器２２２に配置される挿入部に設けて 、 支持板２３２の上部円盤２３４と歯とが離れることなく流体２６０を完全に放出 させるようにすることが出来る。これは、流体内容物を部分的に投与した後のピ ストンの引出しを妨げるものである。 図１３に仮想的に示したように、上部および下部円盤２３４間に位置する別の 中間円盤２３５を備えた支持板２３２を設けることが可能である。この円盤２３ ５は、ランチェット歯２５２によって動き、ピストン引出しに対する別の突起を 提供するものである。更に、円盤２３５は、支持板を駆動するに際し、均等なピ ストン移動を保証し、ノッキングを避けるように、支持板に更なる安定性を提供 するものである。もちろん、当業者には、本発明の範囲から離れることなく、１ つ以上の中間円盤２３５を支持板２３２上に利用できることが認識されるであろ う。 前記のとおり、様々な容量の放出装置に対し１サイズの容器部または注射器バ レルを利用することは、異なるサイズの複数のバレルを利用するよりもむしろ経 済的である。結果として、特定サイズの支持板は、流体３１０の容積がある水準 以下である場合、容器部３２２の開口端３２８まで届かないこともある。支持板 ３３２および特に２４２およびボタン２４３は、パワーインジェクターをピスト ンに装着し、それを前方に移動させ得るために、３２８方向に十分に長く伸びて いることが重要である。したがって、流体の容積が上記水準以下である場合、パ ワーインジェクターを、特定の支持板に装着できない。 図１５および１６は、本発明の第８の実施態様を示しており、流体３６０を密 封して閉じ込めるために配置されているピストン３３０を有する容器部３２２を 含む。この流体３６０の容量は、支持板２３２が、開口端３２８方向に十分に伸 びておらず、パワーインジェクター２７０に装着され得ないような量である。ア ダプター４００は、本出願と同一の承継人に譲渡されたものであり、かつ参照し て本発明の一部としてある、米国特許第４，６３６，１９８号および第４，７０ ５，５０９号に開示されたアダプターと同様のものであることが出来る。 図１５および１６に示したように、アダプター４００は、伸長した支持具によ り接続した上部円盤４０２と下部円盤４０４を有し、該支持具は、好ましくはお 互いに垂直に並んでおり、その断面は十字型を形成している。アダプター４００ の上部円盤４０２は、そこから伸びている、パワーインジェクター２７０を取り 付けるために支持板２３２上に設けられたものと同様の、軸４０６とボタン４０ ７を有する。底部円盤４０４は、そこから伸びており、それそれ円盤２３４の上 部表面に装着するためのアバットメント４１２およびクリップ４１４、および支 持板３３２のボタン４０７を有する。アダプター４００は、駆動力をパワーイン ジェクター２７０からピストン２３０に伝達するために、固着的態様で支持板２ ３２に装着する。 アダプター４００の上部および下部円盤４０２、４０４は、ピストン２３０の 引出しを妨げ、またアダプター４００、支持板２３２およびピストン２３０を前 方に移動させて流体３６０を放出するときに、安定性を与えるため、好ましくは 容器部３２２の内側に装着する。アダプター４００を、クリップ４１４が支持板 ２３２のボタン４０７と軸４０６に固定的にはまるまで、容器２２２の内側を摺 動させ、歯２５２を越えてラチェット移動させる。パワーインジェクター２７０ は、アダプター４００のボタン４０７に装着されて、ピストン３３０を前方へ駆 動し、流体４６０を放出する。 当業者には、図１５に示した実施態様が、アダプター４００が適している、部 分的に充填した容器の一例にすぎないことが、容易に認識されるであろう。アダ プター４００の長さは可変であり、特定の施用に適合するように、即ち、具体的 な流体量によって変わる支持板の所要の有効長を伸ばすことが出来る。例えば、 図１６は、アダプター４００ａを示すものであり、その長さは、明瞭化のため誇 張されているが、アダプター４００よりも長く、従って、図１５におけるよりも 少ない流体容量を有する既充填放出装置における使用に適している。アダプター ４００ａの“ａ”の表す意味は、アダプター４００に相当するものということで ある。 全ての実施態様において、容器部、ピストン移動手段、およびピストン移動 阻止手段は、好ましくは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは他の適 当なポリマーなどのプラスチック材料を射出成型することにより、プラスチック で形成される。ピストンは、同様にして成型される適切なゴムまたはプラスチッ ク材料で形成することが出来る。各実施態様の容器部に入れた薬液は、好ましく は造影剤であるが、本発明の範囲から離れることなく、他の流体類を使用できる ことが認識されるであろう。 本発明が、ピストンが手動の押し棒などにより、またはパワー駆動インジェク ターにより駆動される放出装置のピストンの引出しを妨げるのに利用し得ること は明らかである。更に、当業者なら、本発明の多くの実施態様が、可能な多くの 組み合わせおよび取り合わせを提供して、ピストン引出しを妨げる既充填滅菌放 出装置を提供することを認識するであろう。 本発明および本明細書中の実施態様は、本発明の主題を十分かつ完全に開示す る目的で詳細に記述および説明されているが、いずれにしても本明細書の開示は 、同一の内容を添付の請求の範囲に記述しているように、本発明の真の範囲を限 定することを意図するものではない。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．既充填滅菌放出装置であって： 該容器部内に位置しその内表面に対して密封状態で摺動できるようなピストン を備えた、封止した放出端を有する容器部； 該容器部内に設けられた、流体を含有する貯蔵容量； 該ピストンを該容器内でその内面に沿って放出端に向かって前方に移動させ、 該容器内に含まれている流体を放出するために、該ピストンに連結させた手段； および 該ピストンが該放出端とは逆方向に移動するのを妨げる手段； を含んで成り、 滅菌内容物を有する滅菌済放出装置を提供するために、装置全体が滅菌された 装置。 ２．少なくとも１つの移動止め具が、容器部の内表面に固着させた挿入具によ って支持されており、移動止め具は、ピストンを該放出端方向へ移動させるため に該ピストンに連結させた押し棒上に設けた一連の突起と噛合している、請求の 範囲第１項記載の放出装置。 ３．少なくとも１つの移動止め具を該一連の突起と整合させるための整合手段 を含む、請求の範囲第２項記載の放出装置。 ４．ピストンが該放出端とは逆方向に移動するのを連続的に妨げる手段が、該 ピストンを移動させる手段により支持されている少なくとも１つの移動止め具、 および該容器部内に設けられた多数の突起を含み、そのようにして、該移動止め 具および該突起が、該ピストンの該放出端方向への移動は許容するが、該放出端 とは逆方向の移動は妨げるものである、請求の範囲第１項記載の放出装置。 ５．少なくとも１つの移動止め具を該多数の突起と整合させるための整合手段 を含む、請求の範囲第４項記載の放出装置。 ６．ピストンを移動させるための手段が、パワーインジェクターを装着できる ように形成されている支持板を含むものである、請求の範囲第４項記載の放出装 置。 ７．ピストンを移動させるための手段が、該支持板に取り付け可能であるアダ プターを含むものであり、該アダプターがパワーインジェクターを装着できるよ うに形成されているものである、請求の範囲第６項記載の放出装置。 ８．容器部に設けられている多数の突起が、容器部内に適合する挿入具上に備 えられているものである、請求の範囲第４項記載の放出装置。 ９．ピストンを移動させるための手段が、パワーインジェクターを装着できる ように形成されている支持板を含むものである、請求の範囲第１項記載の放出装 置。 10．ピストンを移動させるための手段が、該支持板に取り付け可能であるアダ プターを含むものであり、該アダプターがパワーインジェクターを装着できるよ うに形成されているものである、請求の範囲第９項記載の放出装置。 11．ピストンが逆方向に移動するのを妨げる手段が、該ピストンを逆方向に限 られた距離を移動することを許容し、充填封止放出装置をピストンに連結させた 押し棒と共に滅菌可能にするものである、請求の範囲第１項記載の既充填滅菌放 出装置。 12．ピストンを移動させるための手段が、パワーインジェクターを装着できる ように形成されている支持板を含むものである、請求の範囲第１１項記載の既充 填滅菌放出装置。 13．ピストンを移動させるための手段が、該支持板に取り付け可能であるアダ プターを含むものであり、該アダプターがパワーインジェクターを装着できるよ うに形成されているものである、請求の範囲第１２項記載の放出装置。 14．既充填滅菌放出装置の製法であって： 封止した放出先端およひ中空内部を有し、放出先端の反対側に開口端を有する 容器部を形成させ； 該容器部に、容器部内に配置したピストンが、封止した放出先端から反対側の 開口端に向かう方向に制限距離以上移動するのを妨げ、ピストンを該放出先端に 向って駆動させる手段と併せて前記方向へのピストンの移動を妨げる手段を設け ； 該容器部を予め定めた量の薬液で充填し、該開口端をピストンで封止して、内 部に薬液を有する封止容器部を形成させ； 内部にピストンが装着された充填封止容器部を滅菌して、既充填滅菌放出装置 とする 工程を含んでなる、製法。 15．該滅菌工程が、充填封止容器部をオートクレーブ処理することにより実施 するものである、請求の範囲第１４項記載の製法。 16．既充填滅菌放出装置の製法であって： 封止した放出先端および中空内部を有し、放出先端の反対側に開口端を有する 容器部を形成させ； 該容器部に、容器部内に配置したピストンが、封止した放出先端から反対側の 開口端に向かう方向に移動するのを妨げ、ピストンを該放出先端方向に駆動させ る手段と併せて前記方向へのピストンの移動を妨げる手段を設け； 該容器部を予め定めた量の薬液で充填し、該開口端をピストンで封止して、内 部に薬液を有する封止容器部を形成させ； 内部にピストンが装着された充填封止容器部を滅菌して、既充填滅菌放出装置 とする 工程を含んでなる、製法。 17．該滅菌工程が、充填封止容器部をオートクレーブ処理することにより実施 するものである、請求の範囲第１４項記載の製法。