JPH083430A - ポリエステル容器及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル容器及びその製造方法

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JPH083430A
JPH083430A JP6143227A JP14322794A JPH083430A JP H083430 A JPH083430 A JP H083430A JP 6143227 A JP6143227 A JP 6143227A JP 14322794 A JP14322794 A JP 14322794A JP H083430 A JPH083430 A JP H083430A
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container
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ethylene terephthalate
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 口部が高度に結晶化していて、剛性及び耐熱
変形性に優れていると共に、容器各部において、延伸成
形時の応力が低減され形状出現性に優れていると共に残
留応力が低減されて耐熱性に優れており、しかも透明性
や機械的強度及び寸法安定性にも優れている耐熱性ポリ
エステル容器及びその製法を提供する。 【構成】 エチレンテレフタレート単位を主体とする直
接重合法による熱可塑性ポリエステル(A)にブチレン
テレフタレート単位を主体とする熱可塑性ポリエステル
(B)を A:B=99.9:0.1乃至91:9 の重量比で組み合わせてポリエステル組成物を形成し、
該ポリエステル組成物から製造した延伸成形容器の口部
を加熱結晶化させ、必要により延伸成形された胴部を熱
固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエチレンテレフタ
レートと著しく少量のポリブチレンテレフタレートとの
組成物から形成され、口部の高結晶性及び耐熱性に優れ
たポリエステル容器及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルの内でも、ポリエ
チレンテレフタレートは、機械的性質、耐薬品性、耐熱
性等に優れ、延伸や熱固定により、剛性や寸法安定性等
も向上させ得ることから、各種フィルム、容器、繊維等
の製造に広く使用されている。同じ熱可塑性ポリエステ
ルに属するポリブチレンテレフタレートは、ポリエチレ
ンテレフタレートに比して結晶化温度が低く、射出成形
条件下にも十分結晶化した樹脂成形品を得ることがで
き、このものは寸法安定性や耐熱性に優れているため、
電子部品、機械部品等の製造に広く利用されている。
【0003】ポリエチレンテレフタレート(PET)と
ポリブチレンテレフタレート(PBT)とを組成物の形
で用いることについても従来多くの提案がなされてお
り、例えば特公昭50−33832号公報には、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂5〜35重量%およびポリブ
チレンテレフタレート樹脂95〜65重量%からなる熱
可塑性ポリエステル樹脂組成物が記載され、この組成物
はPBTの優れた結晶化特性を阻害することなく、PB
Tの欠点である大きい成形収縮性や強度の温度依存性を
改善し得ることが開示されている。
【0004】同様な趣旨の提案として、特開平2−82
43号公報には、PBT50〜90重量%と、エチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール及びテレフタ
ル酸の重組合物から成るコポリエステル10〜50重量
%の組成物が記載されている。
【0005】また、特公昭63−30954号公報に
は、PET95〜5重量%及びPBT5〜95重量%か
ら成るポリエステル組成物に、充填剤、ポリカプロラク
トン及び核剤を配合した樹脂組成物が記載されている。
【0006】最近に至って、特開平4−63836号公
報には、PBT10乃至100重量部とPET90〜0
重量部とを含む樹脂組成物をシートに成形し、30〜1
00℃に加熱後真空成形等により成形するか、或いはこ
の組成物をコールドパリソン法により成形し、このパリ
ソンを30〜100℃に加熱後、より高温の金型内でブ
ロー成形して、結晶性の耐熱性樹脂容器を製造すること
が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来公知のPET及び
PBTの組成物は、PBTの有する迅速な結晶化特性を
利用する一方で、PBTの欠点である成形収縮性や強度
の温度依存性をPETの配合により改善しようとするも
のであり、PBT自体の結晶化特性以外の特性を利用し
ようとする提案は殆ど見当たらない。
【0008】PETはPBTに比べれば、延伸成形性や
延伸成形物の機械的特性、耐熱性等に優れているが、P
ETを主体とするポリエステルの延伸成形、特に容器へ
の延伸成形では、延伸成形時の応力が大き過ぎて、容器
の形状出現性、特に底部構造の形状出現性が悪いこと、
及び得られた延伸成形構造物に熱固定を行った場合にも
残留応力の緩和が不十分で加熱により尚変形する等、未
だ改善すべき問題がある。
【0009】本発明者等も、PETに種々の改質用樹脂
を配合し、これらの特性を改善することを種々試みた
が、延伸成形前の状態では透明なものでも、延伸成形後
には、樹脂相互の光学的特性の差異が顕著になる傾向が
あり、未だ十分満足し得るものではなかった。
【0010】本発明者等は先に、ポリエチレンテレフタ
レートに対して、限定された極く少量のポリブチレンテ
レフタレートを配合すると、延伸成形前は勿論のこと、
延伸成形後においても優れた透明性が得られると共に、
延伸成形時の応力を低減させて成形物に対して優れた形
状出現性を付与し且つ成形物中の残留応力を低減させる
のに有効であること及びこのポリエステル組成物はポリ
エチレンテレフタレートに比して著しく増大化した熱結
晶化速度を示すことを見出した(特許出願中)。
【0011】ポリエステルの製造法には、商業的に用い
られているものとして、直接重合法とエステル交換法と
の二つがあるが、本発明者等は今回、上記ポリエステル
組成物のポリエチレンテレフタレート成分として、直接
重合法によるポリエチレンテレフタレートを使用する
と、エステル交換法によるポリエチレンテレフタレート
を使用する場合に比して、ポリエステル組成物の到達結
晶化度及び結晶化速度の顕著な増大がもたらされること
を見いだした。
【0012】即ち、本発明の目的は、口部が高度に結晶
化していて、剛性及び耐熱変形性に優れていると共に、
容器各部において、延伸成形時の応力が低減され形状出
現性に優れていると共に残留応力が低減されて耐熱性に
優れており、しかも透明性や機械的強度及び寸法安定性
にも優れている耐熱性ポリエステル容器及びその製法を
提供するにある。
【0013】本発明の他の目的は、口部の熱結晶化を比
較的短時間乃至は比較的低温で行うことが可能な耐熱性
ポリエステル製延伸成形容器の製法を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、エチレ
ンテレフタレート単位を主体とする熱可塑性ポリエステ
ル(A)とブチレンテレフタレート単位を主体とする熱
可塑性ポリエステル(B)とを A:B=99.9:0.1乃至91:9 の重量比で含有するポリエステル組成物で形成され、且
つ該ポリエステル組成物中の少なくともエチレンテレフ
タレート系ポリエステルが直接重合法で製造されたエチ
レンテレフタレート系ポリエステルであることを特徴と
する耐熱性ポリエステル容器が提供される。
【0015】本発明によればまた、エチレンテレフタレ
ート単位を主体とする直接重合法による熱可塑性ポリエ
ステル(A)とブチレンテレフタレート単位を主体とす
る熱可塑性ポリエステル(B)とを A:B=99.9:0.1乃至91:9 の重量比でブレンドする工程と、得られるポリエステル
組成物を、口部を有する非晶質の有底プリフォームに溶
融成形する工程と、プリフォームを軸方向及び周方向に
延伸ブロー成形して容器に成形する工程と、延伸ブロー
成形に先立って有底プリフォームの口部或いは延伸ブロ
ー成形後に容器の口部を選択的に熱処理して口部を結晶
化させる工程と、必要により延伸成形された胴部を熱固
定する工程とから成ることを特徴とする耐熱性ポリエス
テル容器の製法が提供される。
【0016】本発明の容器に用いるエチレンテレフタレ
ート系ポリエステル(A)は、エステル交換触媒残渣の
含有量が5ppm以下、特に1ppm以下であるものが
望ましい。またポリエステル組成物は、全体として、エ
ステル交換触媒残渣を5ppm以下、特に3ppm以下
であるものが望ましい。
【0017】本発明では、容器口部を25%以上、特に
35%以上の結晶化度となるように結晶化させることが
容易である。
【0018】また、エチレンテレフタレート系ポリエス
テル(A)が0.4乃至1.5dl/gの固有粘度を有
するものであり、且つブチレンテレフタレート系ポリエ
ステル(B)が0.4乃至2.0dl/gの固有粘度を
有するものであることが好ましい。
【0019】
【作用】本発明の容器に用いる組成物は、エチレンテレ
フタレート単位を主体とする熱可塑性ポリエステル
(A)とブチレンテレフタレート単位を主体とする熱可
塑性ポリエステル(B)とから成るが、ブチレンテレフ
タレート系ポリエステル(B)を限定された極く少量の
量、即ち2成分合計基準で、0.1乃至9重量%、特に
0.5乃至5重量%の量で含有するが、これらの内、少
なくともエチレンテレフタレート系ポリエステル(A)
として、直接重合法によるポリエステルを用いることが
顕著な特徴である。
【0020】即ち、本発明ではエチレンテレフタレート
系ポリエステル(A)として直接重合法によるものを使
用し、しかもこれをブチレンテレフタレート系ポリエス
テル(B)との特定量比でのブレンド物として使用する
ことにより、単位熱量当たりの結晶化度を顕著に高める
ことができる。
【0021】図1及び2を参照されたい。これらの図は
種々のポリエステル組成物について、一定出力の赤外線
ヒーターを用いた加熱時間とポリエステル組成物の結晶
化度との関係をプロットしたものである(詳細は後述す
る例参照)。この図1において、曲線に付された番号は
実施例の試料の番号に対応するものであり、試料1は直
接重合法ポリエチレンテレフタレート単独のもの、試料
2は直接重合法ポリエチレンテレフタレート99重量部
に直接重合法ポリブチレンテレフタレート1重量部を配
合したもの、試料3は直接重合法ポリエチレンテレフタ
レート99重量部にエステル交換法ポリブチレンテレフ
タレート1重量部を配合したもの、試料7は直接重合法
ポリエチレンテレフタレート90重量部に直接重合法ポ
リエチレンテレフタレート9重量部とエステル交換法ポ
リブチレンテレフタレート1重量部のメルトブレンド物
を配合したもの、及び試料6はエステル交換法ポリエチ
レンテレフタレート99重量部にエステル交換法ポリブ
チレンテレフタレート1重量部を配合したものについて
の熱−結晶化度試料である。
【0022】ポリエチレンテレフタレート単独を加熱す
ると、ある熱量までは、結晶化が全く進まない誘導期を
示した後、加熱と共に結晶化を開始し、結晶化速度はほ
ぼ一定となる傾向を示す(試料No.1)。一方、エス
テル交換法ポリエチレンテレフタレートに上記量比でエ
ステル交換法ポリブチレンテレフタレートを配合する
と、未配合のものに比して結晶化速度は確かに増大する
が、依然として同様な長さの誘導期の存在が認められる
(試料No.6)。これに対して、ポリエチレンテレフ
タレートとして直接重合法によるものを使用し、これに
ポリブチレンテレフタレートを配合すると、上記誘導期
が短くなった上に、結晶化速度も増大することがわかる
(試料No.2,3および7)。特に、ポリブチレンテ
レフタレートとしても直接重合法のものを使用し、ドラ
イブレンド方式を採用した場合には、結晶化時間を短縮
する効果が特に著しく大きいことがわかる。
【0023】本発明において、直接重合法ポリエチレン
テレフタレートとポリブチレンテレフタレートとを組み
合わせる場合にのみ、熱結晶化の誘導期が解消され、結
晶化速度も向上する理由は、多数の実験の結果、現象と
して見いだされたものであり、その理由は推測の域を出
ないが次のようなものと考えられる。
【0024】ポリエチレンテレフタレート(PET)
は、一般にガラス転移点(Tg)が50乃至90℃及び
融点(Tm)が220乃至260℃の範囲にあるのに対
して、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、一般
にガラス転移点(Tg)が20乃至40℃及び融点(T
m)が210乃至230℃の範囲にあり、融点はポリエ
チレンテレフタレート(PET)よりも低いが、その結
晶化はポリエチレンテレフタレートのそれよりも低いガ
ラス転移点以上の温度で容易に生じる。
【0025】しかしながら、PBTはそれが単独の相で
存在するか、或いは他の重合体のブレンド物で存在する
場合でもPBTの量比が或る最低限度以上の量で存在す
る場合に、その結晶化が可能となる。即ち、これは、ブ
レンド物においてはその量比が少なくなると分散粒子径
も小さくなり、分散粒子径が或る限度以上小さいともは
や結晶として安定に存在し得ないことによる。
【0026】かくして、本発明に用いるポリエステル組
成物の場合、その結晶化に寄与するのは、圧倒的に多い
PETであるが、この組成物の熱結晶化に対して、直接
重合法によるPETであることと、少量のPBTを配合
することの両方が組み合わされて、熱結晶化の誘導期の
短縮が可能となる。即ち、PETの結晶化には、重合体
鎖が再配列のために運動することが必要であり、これが
誘導期の現れる理由と思われるが、PET中に分散され
たPBTはPET重合体鎖の再配列を容易にするように
作用する。ただ、PBTによるこの作用が有効に機能す
るのはPETに限られている。エステル交換法により製
造されたPETとの組み合わせの場合には、PET中に
存在するエステル交換触媒のためにPETとPBTの間
でエステル交換反応が起こり、PBTの作用が相殺され
ると考えられる。
【0027】実際、本発明で好適に使用できるPET中
には、エステル交換触媒残査は、上述した5ppm以
下、特に1ppm以下であるものが望ましい。本発明で
用いる組成物は、PBTも直接重合法によるものが好ま
しく、これに関連して、組成物中のエステル交換触媒残
査の全体の量も、5ppm以下、特に3ppm以下であ
るものが望ましい。
【0028】本発明では、上記ポリエステル組成物を延
伸ブロー成形容器の製造に用いることにより、高結晶化
の利点に加えて、他の付加的な利点が達成される。
【0029】先ず、エチレンテレフタレート系ポリエス
テルに他の樹脂をブレンドした場合には、このブレンド
物を延伸成形すると、各成分の光学的特性の差異から不
透明化することは先に指摘した通りであるが、本発明の
組成物は、高倍率での延伸成形を行った場合にも優れた
透明性が維持され、またブレンド物の高倍率延伸によく
見られるフイブリル系傾向も全くないことがみられる。
これは、ブチレンテレフタレート系ポリエステルはエチ
レンテレフタレート系ポリエステルになじみがよく、し
かも前述した量比ではテレフタレート系ポリエステル連
続相中に著しく微細な形で分散しているためと推定され
る。
【0030】次に、この組成物を延伸成形すると延伸成
形時の応力を、エチレンテレフタレート系ポリエステル
単独の場合に比して低減させることが可能となり、延伸
成形作業性を向上させることが可能となるばかりではな
く、容器への成形に際しては、細部の構造を正確に現出
させることが可能となる。例えば、炭酸飲料等を充填す
るポリエステル容器では、容器に耐圧性と自立性とを同
時に付与するために、容器の底部周辺に複数個の膨出部
を設けるのが一般的であるが、本発明では延伸成形時の
応力を低減させることにより、成形型の底形状通りの容
器底形状とすることが容易となる。
【0031】この理由は、エチレンテレフタレート系ポ
リエステル中に一様且つ微細な状態で分散しているブチ
レンテレフタレート系ポリエステルが、分子鎖運動を活
発化してブレンド物を可塑化し、その流動性を向上させ
ているためと思われる。
【0032】更に、この組成物から形成された延伸成形
物は、これを熱固定等の熱処理に付したとき、残留応力
や容易に緩和され、また配向結晶化もより進行する結果
として、成形物の耐熱性や寸法安定性も向上するという
好都合な作用をもたらす。さらに、熱固定時の処理時間
を短縮することにより、高い生産性を得ることが可能と
なる。また、処理温度を低温化することにより、金型へ
の異物の付着を著しく低減することが可能となり、煩雑
な金型清掃の操作を省き、生産効率を高めることができ
る。これは、微細分散相として存在するブチレンテレフ
タレート系ポリエステルが運動しやすいため、エチレン
テレフタレート系ポリエステルの分子鎖運動も容易に
し、これにより再配列による残留応力の緩和と配向結晶
化とが可能となるためであろう。
【0033】本発明において、ブチレンテレフタレート
系ポリエステルの配合量が前記範囲に有ることも重要で
あり、この範囲よりも多くなると、延伸成形物の不透明
化やフイブリル化(容器壁面等が欠けたり、クラックが
入ったりする傾向)が生じるようになり、またブチレン
系テレフタレート系ポリエステルの結晶化による好まし
くない影響、例えば容器口部以外の白化、延伸成形性の
低下等も生じるので好ましくない。一方、この配合量が
前記範囲よりも下回ると、本発明が意図する改善、口部
の熱結晶化度の向上、寸法安定性や耐熱性の改善は達成
されないことになる。
【0034】
【発明の好適な態様】
(エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル)本
発明に用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエ
ステルは、直接重合法によるものである。直接重合法と
は、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(E
G)とを直接反応させて重縮合を行うものであり、この
反応は、下記式(1)
【0035】
【化1】
【0036】式中、Φはパラフェニレン基であり、nは
1乃至4の数である、で示されるグリコールエステル形
成反応と、下記式(2)
【0037】
【化2】
【0038】で示される重縮合反応との二段の反応で行
われる。
【0039】前段のグリコールエステル形成反応では、
生成するエステル(HBT)中の反復単位数nは一般に
1乃至4の範囲にあり、この反応ではテレフタル酸(T
PA)自体が触媒となり、無触媒でも或いは触媒を使用
するとしても著しく少ない量で進行するのが有利な点で
ある。
【0040】後段の重縮合反応は、前段のHBTからエ
チレングリコールが離脱して重縮合が進行するものであ
り、一般に高真空下、溶融条件下に行われる。高重合度
のPETを製造するために重縮合の後段を固相重合によ
り行うのがよい。この重縮合には、一般に金属系の重縮
合触媒が使用されるが、結晶化に対して阻害因子乃至障
壁因子となる触媒の使用はさけるべきである。
【0041】例えば、チタン系の触媒は重縮合に対する
活性は大きいが、その反面分解に対する活性も大きく、
また結晶化に対して阻害因子乃至障壁因子と成りやすい
ので避けるべきである。ゲルマニウム化合物等の他の金
属触媒の使用が推奨される。また、重縮合時における分
解を抑制するためにリン系の安定剤の添加も好ましいこ
とである。
【0042】本発明に使用するエチレンテレフタレート
系ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に
60モル%以上、特に80モル%以上をエチレンテレフ
タレート単位を占めるものであり、ガラス転移点(T
g)が50乃至90℃、特に70乃至90℃で、融点
(Tm)が220乃至260℃、特に240乃至260
℃にある熱可塑性ポリエステルが好適である。ホモポリ
エチレンテレフタレートが耐熱性の点で好適であるが、
エチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の少量
を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0043】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,
6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の
1種又は2種以上が挙げられる。
【0044】用いるエチレンテレフタレート系熱可塑性
ポリエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る
分子量を有するべきであり、用途に応じて、射出グレー
ド或いは押出グレードのものが使用される。その固有粘
度(I.V.)は一般的に0.4乃至1.5dl/g、
特に0.5乃至1.5dl/gの範囲にあるものが望ま
しい。
【0045】(ブチレンテレフタレート系熱可塑性ポリ
エステル)ブチレンテレフタレート系ポリエステルとし
ては、直接重合法によるものもエステル交換法によるも
のも使用できる。直接重合法とは、エチレングリコール
の代わりにブチレングリコール(1,4ブタンジオー
ル)を使用する点をのぞけば、前に述べたのと同様の方
法である。ただ、ブチレンテレフタレートの場合、テト
ラヒドロフラン副生の問題があるので、触媒として高活
性の触媒を使用する場合があり、例えば、チタン系の触
媒残渣が残留している場合がある。直接重合法によるも
のが本発明の目的に好適である。
【0046】一方、エステル交換法では、グリコールエ
ステル(BHT)の合成に、テレフタル酸ジメチルエス
テルとブチレングリコールとを使用する。後段の重縮合
は、直接重合法と同様である。
【0047】本発明に用いるブチレンテレフタレート系
熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、
一般に60モル%以上、特に80モル%以上をブチレン
テレフタレート単位を占めるものであり、ガラス転移点
(Tg)が20乃至40℃、特に25乃至35℃で、融
点(Tm)が200乃至240℃、特に210乃至23
0℃にある熱可塑性ポリエステルが好適である。ホモポ
リブチレンテレフタレートが耐熱性の点で好適である
が、ブチレンテレフタレート単位以外のエステル単位の
少量を含む共重合ポリエステルも使用し得る。
【0048】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、ブチレングリコール
以外のジオール成分としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−
ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種
又は2種以上が挙げられる。
【0049】用いるブチレンテレフタレート系熱可塑性
ポリエステルは、少なくともフィルムを形成するに足る
分子量を有するべきであるが、ブチレンテレフタレート
系熱可塑性ポリエステルが結晶化しないような微細粒子
サイズで、エチレンテレフタレート系ポリエステル中に
分散させるためには、溶融時にエチレンテレフタレート
系ポリエステルと同等の粘度となることが好ましく、そ
の融点差より、固有粘度はエチレンテレフタレート系ポ
リエステルより若干高いことが好ましい。その固有粘度
(I.V.)は一般的に0.4乃至2.0dl/g、特
に0.7乃至2.0dl/gの範囲にあるものが望まし
い。
【0050】(ポリエステル組成物)本発明では、直接
重合法エチレンテレフタレート系ポリエステル(A)と
ブチレンテレフタレート系ポリエステル(B)とを A:B=99.1:0.1乃至91: 9 特に 99.5:0.5乃至95: 5 の重量比で含有するポリエステル組成物を使用する。
【0051】このポリエステル組成物においては、多量
のエチレンテレフタレート系ポリエステル中に著しく少
量のブチレンテレフタレート系ポリエステルが著しく微
細な状態で均質に分散していることが特徴であり、ブチ
レンテレフタレート系ポリエステルのガラス転移点以上
の温度に加熱された場合にもこれが実質上結晶化しない
ような微細な状態で存在している。
【0052】本発明の組成物では、相溶性がよいので、
ドライブレンドによる混合が好ましいが、所謂マスター
バッチによる混合乃至混練方式を用いることもできる。
即ち、比較的多量のブチレンテレフタレート系ポリエス
テルを含有するブチレンテレフタレートポリエステル−
エチレンテレフタレート系ポリエステルの組成物を調製
し、この組成物をエチレンテレフタレート系ポリエステ
ルと混合乃至混練することができる。この混合乃至混練
操作は、勿論二段以上の多段で行うことができる。
【0053】混合乃至混練操作は、ブレンダーやヘンシ
ェルミキサー等を用いて乾式混合を行った後、各種ニー
ダー或いは一軸乃至二軸の押出型溶融混練装置や射出機
用混練装置を用いて、溶融混練を行うことができる。
【0054】(延伸容器の製造)本発明によれば、上記
ポリエステル組成物を、口部を有する非晶質の有底プリ
フォームに溶融成形し、この有底プリフォーム乃至これ
から形成される容器の口部を選択的に熱処理して口部の
みを結晶化させ、且つプリフォームを軸方向及び周方向
に延伸成形すると共に、必要により延伸成形胴部を熱固
定する。プリフォームへの成形は、射出成形や押出成形
で行うことができる。
【0055】射出成形に際して、前記組成物を冷却され
た射出型中に溶融射出する。射出機としては、射出プラ
ンジャーまたはスクリューを備えたそれ自体公知のもの
が使用され、ノズル、スプルー、ゲートを通して前記混
合物を射出型中に射出する。これにより、ポリエステル
組成物は射出型キャビティ内に流入し、固化されて延伸
ブロー成形用の非晶質状態のプリフォームとなる。射出
型としては、容器形状に対応するキャビティを有するも
のが使用されるが、ワンゲート型或いはマルチゲート型
の射出型を用いるのがよい。射出温度は250乃至31
0℃、圧力は100乃至2500kg/cm2 程度が好
ましい。
【0056】押出成形の場合、押出機としては、任意の
スクリュウを備えた押出機が使用される。ダイスとして
は、チューブ、パイプ、パリソンの形のプリフォームを
成形するためのリングダイやフィルム或いはシートの形
のプリフォームを成形するためのフラットダイが使用さ
れる。押出機のヘッドの温度は250乃至310℃の範
囲にあるのが適当である。
【0057】容器の口部の熱結晶化は、プリフォームの
状態で延伸成形に先立って行うこともできるし、延伸成
形後に容器口部の状態で行うこともできる。射出成形に
よりプリフォームを成形する場合には、成形後得られる
非晶質プリフォームを、口部のみを選択的に加熱して口
部の熱結晶化を行い、次いで口部が熱結晶化したプリフ
ォームを延伸及び熱固定に付することが好ましい。勿
論、本発明はこの場合に限定されること無く、最初に延
伸成形を行い、次いで形成される容器口部の熱結晶化を
行う方法にも適用することができる。
【0058】口部の熱結晶化は、一般に100乃至22
0℃、特に150乃至200℃の温度で行うことができ
る。口部加熱には、口部のみが選択的に加熱されるよう
に、必要により口部とそれ以外の部分とに断熱手段を設
けて、赤外線加熱、熱風加熱、誘導加熱等のそれ自体公
知の加熱手段により加熱する。この加熱により、口部の
ポリエステル組成物は高度に熱結晶化し、その剛性及び
耐熱性は顕著に向上する。また、結晶化に伴って、白化
も生じる。
【0059】プリフォームからの延伸成形には、一旦過
冷却状態のプリフォームを製造し、このプリフォームを
延伸温度に加熱して延伸成形を行う方法や、成形される
プリフォームに与えられた熱、即ち余熱を利用して、予
備成形に続いて延伸成形を行う方法等が採用される。後
者の方法では、口部の熱結晶化は延伸成形後に行うこと
になる。
【0060】その延伸温度は、80〜200℃、特に9
0〜120℃の範囲が適当である。延伸は、一軸延伸で
も二軸延伸でもよい。延伸成形には、成形物の形状や要
求される特性に応じて、それ自体公知の任意の手段が採
用される。
【0061】ボトル等の中空成形容器の場合、延伸温度
にあるプリフォーム乃至パリソンをブロー成形金型内で
軸方向に引っ張り延伸すると共に、流体吹き込みにより
周方向に膨張延伸する。延伸倍率は、軸方向延伸倍率を
1.0乃至5.0倍、特に1.5乃至 4.0倍、周方
向延伸倍率を2.0乃至6.0倍、特に2.5乃至5.
5倍とするのがよい。
【0062】本発明の延伸成形物は、必要により熱固定
することができる。この場合、熱固定が迅速にしかも有
効に進行するのが利点でもある。この熱固定は、延伸成
形物を緊張下に120乃至220℃、特に130乃至1
80℃の温度で熱処理することにより行われる。この熱
固定により、延伸成形物中の残留応力が有効に緩和さ
れ、配向結晶化が有効に進行する。
【0063】熱固定はワンモールド法或いはツウモール
ド法で行うことができる。ワンモールド法では、ブロー
成形金型を上記範囲の温度に加熱しておき、成形された
容器が金型表面と接触して熱固定が行われる。この際容
器内に吹き込む流体として高温のガスを使用して、熱固
定を短時間で行うようにすることもできる。熱固定され
た容器は、保形性が維持される温度まで冷却した後、金
型外に取り出す。ツウモールド法では、ブロー成形金型
の他に高温に加熱された熱固定用金型を使用し、成形さ
れた容器をこの熱固定用金型に入れ、この容器を流体圧
を印加した状態で金型表面と接触させて熱固定を行う。
また、加熱した金型に接触させる方法の他に、オーブン
で加熱し熱固定する方法もある。
【0064】(容器)本発明の容器では、口部が高度に
結晶化され、高度の耐熱性、剛性及び寸法精度が維持さ
れていることが特徴である。このため、本発明の容器は
密封信頼性に優れており、熱間充填や加熱殺菌等の温度
履歴を受けた前後でも些かも密封性を損なうことがな
い。
【0065】また、この容器では、エチレンテレフタレ
ート系ポリエステルにブチレンテレフタレート系ポリエ
ステルが含有されているにもかかわらず、高倍率での延
伸成形を行った場合にも優れた透明性が維持され、また
ブレンド物の高倍率延伸によく見られるフイブリル系傾
向も全くない。この延伸成形構造物の透明性及び耐衝撃
性は、エチレンテレフタレート系ポリエステル単独から
なるものと殆ど同一である。
【0066】本発明の容器では、延伸成形時の応力を、
エチレンテレフタレート系ポリエステル単独の場合に比
して低減させることが可能となるため、容器への成形に
際しては、細部の構造を正確に現出させることが可能と
なるという利点を有する。これは、例えば炭酸飲料等を
充填するポリエステル容器の場合、容器構造に基づく耐
圧性と自立性とを同時に付与する上で重要である。
【0067】本発明の容器では、延伸成形時の応力が減
少され、高速且つ高倍率の延伸可能であることにより、
高度の分子配向が行われているという利点がある。ポリ
エステルの二軸配向の程度は、偏光蛍光法、複屈折法、
密度勾配管法密度、X線回折法等で確認することができ
るが、本発明によれば、アッベの屈折率計をを用いて測
定した主延伸方向の屈折率が1.60以上、特に1.6
2以上となるような分子配向を与えることが可能であ
る。
【0068】本発明の容器は勿論熱固定でき、この場
合、エチレンテレフタレート単位系ポリエステル単独か
らなるものに比して残留応力を顕著に減少させながら、
配向結晶化を有効にさせ得る。配向結晶化度は、密度に
より評価し得るが、本発明によるポリエステル成形物
は、1.350g/cm3 以上、特に1.365g/cm
3以上の密度を有するように分子配向及び熱固定されて
いることが望ましい。
【0069】本発明の容器は、口部が結晶化され、胴部
等が延伸されているため、耐圧性、耐熱性、耐熱圧性に
優れており、種々の液体内容物等を熱間充填し、或いは
内容物を充填後加熱殺菌する用途に有用であり、内容物
としても炭酸系飲料や、窒素充填内容物等に適用するこ
とができる。
【0070】
【実施例】本発明を次の実施例で更に説明する。実施例
中の測定は次の方法によった。
【0071】固有粘度(IV) 使用した樹脂の固有粘度(I.V.)は、フェノールと
1,1,2,2−テトラクロロエタンの50:50混合
溶媒(重量比)に樹脂を1g/100ml溶解させ、ウ
ベローデ型粘度計を用いて30℃の時の落下時間より次
式に従って求めた。
【0072】
【数1】
【0073】ここで、[η];固有粘度(dl/g) ηsp ;比粘度(−) k´ ;ハギンスの恒数(=0.33) C ;濃度(=1g/100ml)。
【0074】結晶化度 結晶化度は、まず20℃四塩化炭素−nヘプタン系密度
勾配管により密度を求め、ブチレンテレフタレート系成
分は結晶化しないと仮定して、次式に従い、エチレンテ
レフタレート系成分中の結晶領域の分率を計算した。 ここで、x ;結晶化度(%) d ;試料の密度(g/cm3 ) da ;エチレンテレフタレート系成分の非晶領域の密度
(g/cm3 ) db ;ブチレンテレフタレート系成分の非晶領域の密度
(g/cm3 ) dc ;エチレンテレフタレート系成分の結晶領域の密度
(g/cm3 ) C ;ブチレンテレフタレート系成分の重量分率(−)
【0075】触媒残渣の測定 材料中に残存する触媒を分析する方法として蛍光X線、
原子吸光、固体発光分光、ICP(高周波誘導結合プラ
ズマ)発光分光等がある。蛍光X線は、触媒量が数百p
pm以上であれば容易に定性分析が行える。固体分光は
微量の触媒でも検出できるが、定量性が低い。原子吸
光、ICP発光分光は、微量の触媒を定量分析するのに
適しており、特にICP発光分光は多くの元素について
検出感度が高く、測定精度が良い。しかし、いずれも試
料を水溶液化する必要があり、測定する元素の種類によ
って前処理方法が異なる。一例として、PETの触媒と
して使用される事の多いGe、PのICP分光分析を行
う場合の手順を示す。るつぼにサンプル樹脂約5gを精
秤し、樹脂成分を完全に焼却除去する。残った灰分にN
2 CO3 10%水溶液1mlを加え、乾固させた後赤
熱し、アルカリ溶融させる。これを蒸留水に溶解し、所
定量の標準液を加えて10ml溶液とし、測定に使用す
る。Ge、Pと同様に使用頻度の高いTi、Sb等はこ
の方法では完全に溶解する事はできず、硫酸で処理する
必要がある。しかし、定性的な分析を行う場合には同じ
手順で処理したものを使用する事が可能である。
【0076】耐熱性 容器の耐熱性の評価としてホットパック試験を行った。
容器を30℃−80%RHの雰囲気下に6時間保存した
後、87℃の熱水を規定の入れ目線まで充填、直ちに密
栓した。これを1分間横倒しにし、続いて4分間正立さ
せ、その後水中で冷却した。耐熱性が不十分な場合、第
3図に示した形状の容器では6のパネル状凹部に変形が
生じるので、この部分の変形の有無で耐熱性を評価し
た。
【0077】実施例及び比較例 PETとして、直接重合法で製造された三井PET社製
のJ125T(IV=0.78)、及びエステル交換法
で製造された帝人社製のTR8550T(IV=0.7
6)を、またPBTとして直接重合法で製造されたもの
(IV=1.45、サンプルA)、及びエステル交換法
で製造されたもの(IV=1.10、サンプルB)を使
用した。これらのポリエステルを混合した材料を用い
て、耐熱ボトル用プリフォーム(口径28mm、重量5
9g)を射出成形機により成形した。成形はバレル温度
を変えた二条件で行い、樹脂温はそれぞれ280℃、3
00℃であった。なお、メルトブレンドに使用したマス
ターバッチは、2軸押出機を用いて280℃で作成し
た。
【0078】このプリフォームの口部を赤外線ヒーター
(定格200V、250W)により加熱し、結晶化させ
た。ヒーター出力は一定とし、加熱時間を変えて材料間
の比較を行った。結晶化度の評価のため、口部の先端よ
り約3mm角の小片を切り出して密度を求めた。その結
果を図1,図2,図3に示す。口部の結晶化が不十分な
場合、充填直後のキャッピングの際に口部が変形する、
冷却後に内容液が漏れる、或いはキャップの締め付けが
緩む等の問題が生じる。必要とされる結晶化度は、口部
の肉厚、形状、キャップの材質、設計、或いはキャップ
の締め付けトルク等に依存するので一概には言えない
が、一般的には少なくとも25%以上、望ましくは35
%以上である。ここでは、J125T単体(サンプルN
o.1)の結晶化度が35%に達するのに要した時間を
100とする相対表示で比較を行った。
【0079】図1より、280℃で成形したものでは、
各材料の中で直接重合のPETと直接重合のPBTの組
み合わせ(No.2)が、最も結晶化速度の促進効果が
高かった。また、PBTにエステル交換法のものを使用
しても(No.3,No.7)、十分速い結晶化速度が
得られた。これらについてはドライブレンド、マスター
バッチ法のどちらでも、結晶化挙動に大きな差は見られ
なかった。
【0080】PBTをエステル交換法のものとし、PE
Tに直接重合法とエステル交換法のものをブレンドして
使用した場合(図2)、ブレンド率50%前後までは直
接重合法のみのものに近い結晶化速度が得られた(N
o.4)。しかしエステル交換法のPETを用いてマス
ターバッチを作成したものでは、エステル交換法成分の
ブレンド率が10%でも結晶化速度はPET単体と変わ
らないレベルまで低下した(No.8)。これは、マス
ターバッチの造粒時にすでにPETとPBTのエステル
交換反応が進んだ為であろう。
【0081】ドライブレンドの場合でも、エステル交換
法成分が50%を超えると結晶化速度は低下し、PE
T、PBTの両者がエステル交換法のものの場合、PE
T単体とほとんど変わらない結晶化速度となった(N
o.5,No.6)。
【0082】300℃で成形した場合(図3)、PET
が直接重合法のものでは280℃で成形した場合と同
様、十分速い結晶化速度が得られた(No.2,No.
3)。これに対してPETに直接重合法とエステル交換
法のものをブレンドして使用した場合には、ブレンド率
に関わらずPET単体と同レベルまで結晶化速度が低下
した(No.4)。このことは、PET成分中にエステ
ル交換法のものが存在する場合、成形温度の変動によっ
て結晶化挙動が大きく変化する事を示している。
【0083】口部の結晶化度が35%以上に達したもの
について、ボトル(内容量1.51、胴部の平均肉厚
0.35mm)の成形を行った。この際、ブロー金型を
145℃に加熱しておき、ワンモールド法にて熱固定を
行った。ホットパック試験を行ったところ、いずれのボ
トルも十分な耐熱性を示した。また、透明性も良好であ
った。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、直接重合法によるエチ
レンテレフタレート系ポリエステル(A)にブチレンテ
レフタレート系ポリエステル(B)の少量(0.1乃至
9重量%)を組み合わせて組成物とし、この組成物から
製造した延伸成形容器の口部を加熱結晶化させることに
より、熱結晶化の際の誘導期が短縮され、また全体とし
ての結晶化速度を高め、口部の耐熱性、剛性及び寸法精
度に優れた耐熱性ポリエステル容器を製造することが可
能となった。
【0085】また、口部の熱結晶化処理を短時間でしか
も低い熱エネルギーで行うことが可能となり、更に熱処
理が短時間で済むため、ポリエステルの熱分解等による
機械的特性の低下もないという利点が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のポリエステル組成物について、樹脂温2
80℃での加熱時間とポリエステル組成物の結晶化度と
の関係をプロットしたグラフ(曲線の番号は実施例の試
料番号に対応)である。
【図2】種々のポリエステル組成物について、図1と同
様に樹脂温280℃での加熱時間とポリエステル組成物
の結晶化度との関係をプロットしたグラフ(曲線の番号
は実施例の試料番号に対応)である。
【図3】種々のポリエステル組成物について、樹脂温3
00℃での加熱時間とポリエステル組成物の結晶化度と
の関係をプロットしたグラフ(曲線の番号は実施例の試
料番号に対応)である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】図1及び2を参照されたい。これらの図は
種々のポリエステル組成物について、一定出力の赤外線
ヒーターを用いた加熱時間とポリエステル組成物の結晶
化度との関係をプロットしたものである(詳細は後述す
る例参照)。この図1において、曲線に付された番号は
実施例の試料の番号に対応するものであり、試料1は直
接重合法ポリエチレンテレフタレート単独のもの、試料
2は直接重合法ポリエチレンテレフタレート99重量部
に直接重合法ポリブチレンテレフタレート1重量部を配
合したもの、試料3は直接重合法ポリエチレンテレフタ
レート99重量部にエステル交換法ポリブチレンテレフ
タレート1重量部を配合したもの、試料7は直接重合法
ポリエチレンテレフタレート90重量部に直接重合法ポ
リエチレンテレフタレート9重量部とエステル交換法ポ
リブチレンテレフタレート1重量部のメルトブレンド物
を配合したもの、及び試料6はエステル交換法ポリエチ
レンテレフタレート99重量部にエステル交換法ポリブ
チレンテレフタレート1重量部を配合したものである
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】耐熱性 容器の耐熱性の評価としてホットパック試験を行った。
容器を30℃−80%RHの雰囲気下に6時間保存した
後、87℃の熱水を規定の入れ目線まで充填、直ちに密
栓した。これを1分間横倒しにし、続いて4分間正立さ
せ、その後水中で冷却した。耐熱性が不十分な場合、
器胴壁部のパネル状凹部に変形が生じるので、この部分
の変形の有無で耐熱性を評価した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正内容】
【0078】このプリフォームの口部を赤外線ヒーター
(定格200V、2kw)により加熱し、結晶化させ
た。ヒーター出力は一定とし、加熱時間を変えて材料間
の比較を行った。結晶化度の評価のため、口部の先端よ
り約3mm角の小片を切り出して密度を求めた。その結
果を図1,図2,図3に示す。口部の結晶化が不十分な
場合、充填直後のキャッピングの際に口部が変形する、
冷却後に内容液が漏れる、或いはキャップの締め付けが
緩む等の問題が生じる。必要とされる結晶化度は、口部
の肉厚、形状、キャップの材質、設計、或いはキャップ
の締め付けトルク等に依存するので一概には言えない
が、一般的には少なくとも25%以上、望ましくは35
%以上である。ここでは、J125T単体(サンプルN
o.1)の結晶化度が35%に達するのに要した時間を
100とする相対表示で比較を行った。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を主体とす
    る熱可塑性ポリエステル(A)とブチレンテレフタレー
    ト単位を主体とする熱可塑性ポリエステル(B)とを A:B=99.9:0.1乃至91:9 の重量比で含有するポリエステル組成物で形成され、且
    つ該ポリエステル組成物中の少なくともエチレンテレフ
    タレート系ポリエステルが直接重合法で製造されたエチ
    レンテレフタレート系ポリエステルであることを特徴と
    する耐熱性ポリエステル容器。
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレート系ポリエステル
    (A)がエステル交換触媒残渣を5ppm以下の量で含
    有するものである請求項1記載の耐熱性ポリエステル容
    器。
  3. 【請求項3】 ポリエステル組成物がエステル交換触媒
    残渣を5ppm以下の量で含有するものである請求項1
    記載の耐熱性ポリエステル容器。
  4. 【請求項4】 口部が25%以上の結晶化度となるよう
    に結晶化されている請求項1記載の耐熱性ポリエステル
    容器。
  5. 【請求項5】 エチレンテレフタレート系ポリエステル
    (A)が0.4乃至1.5dl/gの固有粘度を有する
    直接重合法ポリエチレンテレフタレートであり、且つブ
    チレンテレフタレート系ポリエステル(B)が0.4乃
    至2.0dl/gの固有粘度を有する直接重合法ポリブ
    チレンテレフタレートである請求項1記載の耐熱性ポリ
    エステル容器。
  6. 【請求項6】 エチレンテレフタレート単位を主体とす
    る直接重合法による熱可塑性ポリエステル(A)とブチ
    レンテレフタレート単位を主体とする熱可塑性ポリエス
    テル(B)とを A:B=99.9:0.1乃至91:9 の重量比でブレンドする工程と、得られるポリエステル
    組成物を、口部を有する非晶質の有底プリフォームに溶
    融成形する工程と、プリフォームを軸方向及び周方向に
    延伸ブロー成形して容器に成形する工程と、延伸ブロー
    成形に先立って有底プリフォームの口部或いは延伸ブロ
    ー成形後に容器の口部を選択的に熱処理して口部を結晶
    化させる工程と、必要により延伸成形された胴部を熱固
    定する工程とから成ることを特徴とする耐熱性ポリエス
    テル容器の製法。
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