JPH08247177A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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Publication number
JPH08247177A
JPH08247177A JP4940395A JP4940395A JPH08247177A JP H08247177 A JPH08247177 A JP H08247177A JP 4940395 A JP4940395 A JP 4940395A JP 4940395 A JP4940395 A JP 4940395A JP H08247177 A JPH08247177 A JP H08247177A
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JP
Japan
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clutch
differential
pressing member
thermal expansion
high coefficient
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JP4940395A
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English (en)
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Kunio Tanaami
邦男 田名網
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無理なクラッチ締結時の発熱を有効に抑制し
てクラッチ板の劣化や焼着きを防止し、長期間の使用を
可能にしたクラッチ装置を提供する。 【構成】 押圧部材15を介して差動回転部材1、5間
に配設された多板クラッチ14を締結するように構成さ
れたクラッチ装置において、前記多板クラッチ14の所
定の高温度下において膨張する高熱膨張率の部材17
(18、19)を前記押圧部材15に対向して配置し、
前記所定の高温度下において前記高熱膨張率の部材17
が膨張して前記押圧部材15を前記多板クラッチ14の
締結を解除する方向に移動させるように構成したことを
特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、差動回転により発生す
るスラスト力により多板クラッチを締結するように構成
されたクラッチ装置に関するものであり、トランスファ
ーや差動制限装置等にも適用可能である。
【0002】
【従来の技術】この種の、クラッチ装置としては、数多
くの装置が採用されている。図4に示すものは特開平5
−221246号公報に記載された電磁石式差動制限装
置に採用されている多板クラッチの例である。この従来
例では、図示しないエンジンからの駆動力がドライブピ
ニオンと傘歯噛合するリングギヤに伝えられ、該リング
ギヤを一体に固定するデフケース31を回転させる。該
デフケース31内に差動歯車装置を構成するプラネタリ
ーギヤを挟んで軸方向にメインクラッチ44とパイロッ
トクラッチ41が配置される。これらのクラッチがプラ
ネタリーギヤの差動制限作用を行う。
【0003】前記デフケース31から入力された駆動力
は、前記デフケース31の一部として差動装置を構成す
るところのプラネタリーギヤのインターナルギヤ32に
伝えられ、さらにピニオンギヤ33を介して、キャリヤ
36およびサンギヤ34に配分伝達されて行く。前記ピ
ニオンギヤ33はピニオン軸によって前記キャリヤ36
の円周上に複数個軸支され、これら各ピニオンギヤ33
の内外には、外接噛合する前記インターナルギヤ32
と、内接噛合する前記サンギヤ34がそれぞれ噛合して
いる。前記インターナルギヤ32を有するデフケース3
1はさらにアウターとしてパイロットクラッチ41の外
側まで延び、該パイロットクラッチ41のロータ38と
一体に回転するよう構成されている。前記ロータ38
は、前記キャリヤ36内周にスプライン嵌合する右出力
軸37に外嵌し、該右出力軸37の軸部内には図示しな
いが右車輪駆動軸がスプライン嵌合される。また、前記
サンギヤ34は左出力軸35を構成し、該左出力軸35
の軸部内には同様に図示しないが左車輪駆動軸がスプラ
イン嵌合される。前記ピニオンギヤ33に伝えられたデ
フケース31からの駆動力は、左右車輪間の駆動抵抗あ
るいは回転数差に応じて前記ピニオンギヤ33が公自転
して右車輪系の前記キャリヤ36および左車輪系の前記
サンギヤ34に配分して伝えるられるものである。
【0004】このような差動駆動状態での走行時に、泥
濘地等の悪路に遭遇して左右車輪間での差動作用を制限
する必要が生じた場合には、前記パイロットクラッチ4
1のロータ38の外側に配置された電磁石39を励磁す
ることによって、アーマチャとして採用された永久磁石
45に励磁力が作用する。電磁石39に流れる電流によ
って永久磁石45との間に所定の差動制限力を得るもの
である。電磁石39に逆電流が流れると、永久磁石45
との磁力が拮抗してパイロットクラッチ41は中立とな
り、差動フリーの状態となる。前記逆電流の供給量を順
次下げていくと、永久磁石45によるパイロットクラッ
チ41の締結力によって中間的な差動制限状態となる。
次に、電磁石39に正電流が流れると、永久磁石45と
電磁石39とは互いに吸引し合ってパイロットクラッチ
41の締結力が増大する。
【0005】かくして、アーマチャとしての永久磁石4
5の吸引による軸方向右側への移動によって該永久磁石
45と前記ロータ38の間に交互に配列されたパイロッ
トクラッチ41を締結し、差動回転状態にあった前記ア
ウター37とボールカム装置のカムリング42とが回転
を共にしようとする際に、前記ボールカム装置を構成す
る前記キャリヤ36との間にボール43を介して生ずる
スラスト力によってプレッシャーリングを兼ねる前記キ
ャリヤ36を軸方向左方に押圧し、前記ピニオンギヤ3
3を軸支したキャリヤ36全体が左方に移動して、プラ
ネタリーギヤとデフケース31との間に配置されたメイ
ンクラッチ44を締結させる。これによって、前記キャ
リヤ36とサンギヤ34とは相対回転差がなくなり、左
右車輪間の差動は制限状態となるので、前記各ピニオン
ギヤ33は自転が制限され、前記インターナルギヤ3
2、ピニオンギヤ33、キャリヤ36およびサンギヤ3
4も相対回転を制限されて回転し、前後輪間での路面と
タイヤとの摩擦係数の差によっていずれか一方の駆動系
が空転するという差動作用を有するが故の差動装置の宿
命を取り除き、悪路脱出を可能にするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のクラッチ装置にあっては、荒地走行時の泥濘
地からの脱出等のために多板クラッチを締結するには差
動回転による締結トルクを発生させる必要があるが、通
常は多板クラッチを完全に締結するだけの強大な締結ト
ルクを得ることは困難であり、無理な悪路脱出等を試み
ようとすると、クラッチ締結時に多板クラッチがスリッ
プして高温になり、例えばクラッチ板の表面にフェーシ
ング材を貼りつけた場合、このフェーシング材が剥がれ
たり、劣化する虞れがあった。また、金属板のみにより
構成されたクラッチ板の場合には隣接するクラッチ板同
士が焼き付いてしまう虞れもあった。このため本発明
は、前記従来の課題を解決して、無理なクラッチ締結時
の発熱を有効に抑制してクラッチ板の劣化や焼着きを防
止し、長期間の使用を可能にしたクラッチ装置を提供す
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明では、上記
した従来の課題を解決するための手段として、押圧部材
を介して差動回転部材間に配設した多板クラッチを締結
するように構成されたクラッチ装置において、前記多板
クラッチの所定の高温度下において膨張する高熱膨張率
の部材を前記押圧部材に対向して配置し、前記所定の高
温度下において前記高熱膨張率の部材が膨張して前記押
圧部材を前記多板クラッチの締結を解除する方向に移動
させるように構成したことを特徴とするもので、これを
課題解決のための手段とするものである。また本発明で
は、前記高熱膨張率の部材がフェノールまたはヨウ素で
あり、何れか一方を封入した圧力室にて発生した圧力に
より移動する軸方向のピストン部材によって前記押圧部
材を前記多板クラッチの締結を解除する方向に移動させ
るように構成してもよいし、前記高熱膨張率の部材が軸
方向に配置された所定温度により形状を可変とする金属
等で構成してもよく、これらを課題解決のための手段と
するものである。
【0008】
【作用】本発明では、押圧部材15を介して差動回転部
材間に配設された多板クラッチ14を締結するように構
成されたクラッチ装置において、前記多板クラッチ14
の所定の高温度下において膨張する高熱膨張率の部材を
押圧部材に対向して配置される、例えば圧力室16内に
封入されたフェノールまたはヨウ素17が液化さらには
気化して膨張し、第1ピストン18および第2ピストン
19を介して前記押圧部材15を前記多板クラッチ14
の締結を解除する方向に移動させることにより、各クラ
ッチ板間のスリップによる過度の発熱を有効に抑制する
ことができ、多板クラッチの耐久性を向上させることが
できる。また、前記高熱膨張率の部材として、軸方向に
配置され所定温度により形状を可変とする金属材21等
で構成するならば、比較的簡素な構造によって多板クラ
ッチ14の高温時における締結の解除機能を付与せしめ
ることができる。この金属としては2方向性の形状記憶
合金もしくはバイメタル22を用いることが好ましい。
【0009】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1は本発明のクラッチ装置の第1実施例を示すも
ので、トランスファーに採用されて前後輪間の差動制限
作用を行うものである。エンジンからの駆動力が図示し
ない図面左方に配置されたピニオンギヤとこれに噛合す
る一対のサイドギヤとから構成される差動装置のピニオ
ンキャリヤに入力され、一方のサイドギヤはフロント出
力軸筒を有するデフケース1に連結され、他方のサイド
ギヤにはリヤ出力軸筒5が連結される。該リヤ出力軸筒
5にはリヤ出力軸23がスプライン嵌合される。デフケ
ース1とリヤ出力軸筒5とからなる差動回転部材間に後
述するメインクラッチ(多板クラッチ)14が配設され
ている。デフケース1内には前記図示しない差動装置に
おける各サイドギヤ間の差動を制限するためのメインク
ラッチ14とパイロットクラッチ11が配置される。前
記差動装置のピニオンキャリヤに入力された駆動力は、
前後輪間の走行抵抗に応じて前記ピニオンギヤおよび一
対のサイドギヤからなる差動装置によって前後輪に駆動
トルクを適切に配分される。つまり前後輪間での差動時
にはフロント出力軸筒側であるデフケース1とリヤ出力
軸筒5との間に差動回転が生じている。デフケース1は
パイロットクラッチ11の外側まで延び該パイロットク
ラッチ11のロータ8と一体に回転するよう構成されて
いる。
【0010】一方、電磁石9の励磁によって吸引され、
パイロットクラッチ11を締結するアーマチャ10が前
記メインクラッチ14とロータ8との間に設けられる。
パイロットクラッチ11は、ロータ8と回転を共にして
軸方向にスライド可能な多板クラッチ群と、カムボール
装置を構成するカムリング12と回転を共にしてスライ
ド可能な多板クラッチ群とで構成され、その締結時には
デフケース1の回転と連れ回ろうとするカムリング12
とボール13を介したキャリヤ6との間の相対回転によ
ってスラスト力が発生し、キャリヤ6をして軸方向に移
動せしめ、押圧部材15を介してメインクラッチ14を
締結するように構成される。メインクラッチ14は、デ
フケース1と回転を共にして軸方向にスライド可能な多
板クラッチ群と、リヤ出力軸筒5と回転を共にしてスラ
イド可能な多板クラッチ群とで構成され、その締結時に
はデフケース1とリヤ出力軸筒5とが一体に回転するい
わゆる差動制限状態となる。
【0011】本発明では、前記メインクラッチ14の軸
方向に隣接せるデフケース1内に圧力室16を設けて該
圧力室16内に、所定の高温度下において膨張する高熱
膨張率の部材例えば本実施例では、個体状態のフェノー
ルまたはヨウ素17を封入し、その圧力室16の出口に
配設した軸方向の第1ピストン18を、これに隣接する
第2ピストン19を介して押圧部材15に対向配置して
いる。これらのピストン18、19は前記デフケース1
と回転を共にするクラッチ板群のデフケース1とのスプ
ライン嵌合部を避けた円周上の位置に配置される。な
お、20は第1ピストン18からの前記フェノール等の
圧力気体が漏洩することのないようにデフケース1内に
設けられたフッ素系ゴム、焼結金属製Oリング等の密封
部材である。また、24は皿ばね等のリターンプリング
で、締結解除によって多板クラッチの温度が低下した時
(図1の下半分に示した状態)に、第1ピストン18の
確実なリセットにより前記フェノール等の初期状態での
適正な固化を促進するために挿入されたものである。
【0012】次に、本実施例の作用を説明すると、通常
の前後輪間の差動駆動状態での走行時に、泥濘地等の悪
路や坂路に遭遇して前後車輪間での差動作用を制限する
必要が生じた場合には、主電磁石9の励磁によってアー
マチャ10を吸引してパイロットクラッチ11を締結
し、ロータ8すなわちデフケース1の外周部とカムリン
グ12とが回転を共にしようとする際に、キャリヤ6と
の間にボール13を介して生ずるスラスト力によってキ
ャリヤ6を軸方向左方に押圧する。これによって、キャ
リヤ6が図面左方に移動して押圧部材15を介してメイ
ンクラッチ14を締結させる。この時、主電磁石9の吸
引によるアーマチャ10がパイロットクラッチ11を押
し付けてクラッチ締結状態にしてロータ8とキャリヤ6
側との間に殆ど差動回転がなくなるものの、電磁石9に
よる励磁力にては完全な締結状態を得られるほどの差動
トルクの発生は困難であり、したがって差動制限作用下
でのメインクラッチ14の締結時に無理なエンジン操作
を繰り返すと、メインクラッチ14を構成する各クラッ
チ板が摩擦により発熱する。そして、多板クラッチ14
の温度が上昇し、前記圧力室16付近の温度が141°
Cに達すると、該圧力室16内に封入されたフェノール
が液化する。さらに温度上昇を続けて181°Cに達す
ると、液状のフェノールが気化し、大きな圧力を生ず
る。これによって、第1ピストン18および第2ピスト
ン19を図面右方向に軸動させ、前記押圧部材15を前
記多板クラッチ14の締結を解除する方向に移動させる
ことにより、各クラッチ板間のスリップによる過度の発
熱を有効に抑制することができる(図1の上半分に示し
た状態)。
【0013】本発明による所定の高温度下において膨張
する高熱膨張率の部材として前記のフェノールの他にヨ
ウ素等、クラッチ装置における実用的な温度範囲、沸点
が200°C以下の物質であれば適宜の部材が選択でき
る。フェノールを用いた場合、この種クラッチ装置の通
常のサイズに基づいた諸元で例えば、圧力室の外径11
5mm、内径79mm、幅5mmとすると、圧力室の容
積すなわちフェノールの体積は27.4cm3 、フェノ
ールの比重は1、27g/cm3 であるから、その重量
は27、4cm3 ×1、27g/cm3 =34、8gと
なる。フェノールの分子量は94であるから、1g=1
/94mol、したがって1mol=22、4lであ
り、1/94mol=22、4/94=0、238lと
なる。つまり1gで0、238lとなる。前記体積の圧
力室16のフェノールが全て気化したとすると(圧力は
無視)、34、8gでは0、238l×34、8=8、
28lとなる。温度が仮に200°Cに上昇すると、P
V/T=一定であるから、(273+(200−18
1))/273=1、07倍となり、すると、8、28
lでは8、28l×1、07=8、86l、元の容積は
27、4cm3 であるから、圧力は8、86l/27、
4cm2 =323倍すなわち323Kgf/cm2 とな
る。ピストン面積をほぼ8cm2 程度にして323Kg
f/cm3 ×8cm2 =2584Kgf程度の押圧力
(締結解除力)が得られる。
【0014】次に、図2によって本発明のクラッチ装置
の第2実施例を説明する。本実施例も前記第1実施例同
様にトランスファーに採用された例であるが、本実施例
では、前記実施例同様にフロント出力軸筒(図面左端)
に連結されたデフケース1内に差動歯車装置を構成する
プラネタリーギヤを挟んで軸方向にメインクラッチ14
とパイロットクラッチ11が振り分けて配置され、図示
外のエンジンからの駆動力は前記実施例におけるキャリ
ヤ6の内周にスプライン嵌合される入力軸(図示省略)
から入力される。該キャリヤ6から入力された駆動力
は、該キャリヤ6にピニオン軸7に軸支されて円周上に
複数個配置されたピニオンギヤ3を介してこれらのピニ
オンギヤ3の内外から噛合するサンギヤ4およびインタ
ーナルギヤ2に配分伝達されて行く。プラネタリーギヤ
はダブルピニオン式であり、前後に円滑に回転差を与え
ることができる。サンギヤ4とキャリヤ6との間とは差
動回転部材であり、これらの間に後述するメインクラッ
チ14(多板クラッチ)が配設されている。前記インタ
ーナルギヤ2を有するデフケース1はさらにパイロット
クラッチ11の外側まで延び、該パイロットクラッチ1
1のロータ8と一体に回転するよう構成されている。前
記ロータ8には、図示しない前記キャリヤ6内周にスプ
ライン嵌合する入力軸が外嵌軸支される。また、前記サ
ンギヤ4はリヤ出力軸筒5を構成し、該リヤ出力軸筒5
内には図示しない後車輪駆動軸がスプライン嵌合され
る。前記ピニオンギヤ3に伝えられたキャリヤ6からの
駆動力は、前後車輪間の走行抵抗あるいは回転数差に応
じて前記ピニオンギヤ3が公自転して前車輪系のフロン
ト出力軸筒を有するデフケース1および後車輪系の前記
サンギヤ4と一体のリヤ出力軸筒5に配分して伝えるら
れるものである。なお、パイロットクラッチ11および
メインクラッチ14の構造は前記実施例と同様であるの
で説明を省略する。
【0015】本実施例では、メインクラッチ14の加熱
時の締結解除のための高熱膨張率の部材として、軸方向
に配置された全体の形状がリング状の金属材21等が押
圧部材15に対向して配設されている。この金属部材は
所定温度により形状を可変とするものである。該金属材
21等は図2の下半分にて示すように、一方が押圧部材
15を兼用するクラッチ板における両端のアウタープレ
ート間に、常温でこれらの間隔よりやや短い軸方向長さ
L0を有して配置されている。
【0016】次に、本実施例の作用を説明すると、泥濘
地や坂路等の悪路に遭遇して前後車輪間での差動作用を
制限する必要が生じた場合には、主電磁石9の励磁によ
ってアーマチャ10を吸引してパイロットクラッチ11
を締結し、ロータ8外周部とカムリング12とが回転を
共にしようとする際に、キャリヤ6との間にボール13
を介して生ずるスラスト力によってキャリヤ6を軸方向
左方に押圧する。これによって、ピニオンギヤ3を軸支
したキャリヤ6全体が図面左方に移動して、押圧部材1
5を介してプラネタリーギヤとデフケース1との間に配
置されたメインクラッチ14を締結させる。前記実施例
と同様に、差動制限作用下でのメインクラッチ14の締
結時に無理なエンジン操作を繰り返すと、メインクラッ
チ14を構成する各クラッチ板が摩擦により発熱して多
板クラッチ14の温度が上昇する。該多板クラッチ14
の温度がほぼ180°C前後に達すると、前記金属材2
1等が膨張してクラッチ板における両端のアウタープレ
ート間において膨張してその長さ(L1)を増大させ
(図2の上半分の状態)、該金属材21等は両端のアウ
タープレートの間隔を拡張して前記押圧部材15を前記
多板クラッチ14の締結を解除する方向に移動させるこ
とにより、各クラッチ板間のスリップによる過度の発熱
を有効に抑制することができる。
【0017】次に、図3によって本発明のクラッチ装置
の第3実施例を説明する。本実施例も前記第1実施例同
様にトランスファーに採用された例であり、差動装置、
パイロットクラッチ11およびメインクラッチ14の構
造は前記実施例と同様であるので説明を省略する。本実
施例では、メインクラッチ14の加熱時の締結解除のた
めの高熱膨張率の部材として、軸方向に配置された全体
の形状がリング状の2方向性形状記憶合金あるいはバイ
メタル22を押圧部材に対向して配設している。該形状
記憶合金あるいはバイメタル22は図3の下半分にて示
すように、一方が押圧部材15を兼用するクラッチ板に
おける両端のアウタープレート間に、常温でこれらの間
隔よりやや短い軸方向長さL0を有して配置されてい
る。締結解除のための高熱膨張率の部材が形状記憶合金
の場合は、常温形状はコ字断面形状で、高温形状はやや
拡いたコ字断面形状とされるものである。また、締結解
除のための高熱膨張率の部材がバイメタルの場合は、熱
膨張率を互いに異にする一対の材質のリング材22A、
22Bを組み合わせて、常温形状はコ字断面形状で、高
温形状はやや拡いたコ字断面形状としたものである。
【0018】次に、本実施例の作用を説明すると、前記
実施例と同様に、差動制限作用下でのメインクラッチ1
4の締結時に無理なエンジン操作を繰り返すと、メイン
クラッチ14を構成する各クラッチ板が摩擦により発熱
して多板クラッチ14の温度が上昇する。該多板クラッ
チ14の温度がほぼ180°C前後に達すると、前記形
状記憶合金あるいはバイメタル22はコ字断面形状から
やや拡いたコ字断面形状への変形により、その軸方向長
さをL0からL1に増大させてクラッチ板における両端
のアウタープレート間において膨張し(図2の上半分の
状態)、前記押圧部材15を前記多板クラッチ14の締
結を解除する方向に移動させることにより、各クラッチ
板間のスリップによる過度の発熱を有効に抑制する。
【0019】以上クラッチ装置における締結解除装置の
各実施例を説明してきたが、本発明はその趣旨の範囲内
で、押圧部材を介して差動回転部材間に配設した多板ク
ラッチを締結するように構成されたクラッチ装置であれ
ば、いかなるクラッチ装置についても適用が可能であ
り、また、差動制限作用をなす差動装置としても適宜の
構造のものが採用できる。さらに、締結解除のための高
熱膨張率の部材としては、この種クラッチ装置の実用的
な温度範囲にて適度の熱膨張率を有するものであれば、
適宜の材質のものが適宜の形状にて採用できることは言
うまでもないことである。そして、前記締結解除のため
の高熱膨張率の部材の力を適宜のカムや梃子等の倍力機
構を介在させて伝達することもできる。
【0020】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明で
は、押圧部材を介して差動回転部材間に配設した多板ク
ラッチを締結するように構成されたクラッチ装置におい
て、前記多板クラッチの所定の高温度下において膨張す
る高熱膨張率の部材を前記押圧部材に対向して配置し、
前記所定の高温度下において前記高熱膨張率の部材が膨
張して前記押圧部材を前記多板クラッチの締結を解除す
る方向に移動させるように構成したので、多板クラッチ
の高温発熱時には多板クラッチの締結を解除させて、各
クラッチ板間のスリップによる過度の発熱を有効に抑制
することができ、多板クラッチの耐久性が向上する。特
に、前記高熱膨張率の部材としてフェノールまたはヨウ
素等の常温で固体で200°C前後で気化する部材を封
入した圧力室にて発生した圧力により移動する軸方向の
ピストン部材によって前記押圧部材を前記多板クラッチ
の締結を解除する方向に移動させるように構成すれば、
所定の温度を経ていくことによって、圧力室内に封入さ
れたフェノールまたはヨウ素が液化さらには気化して膨
張してその体積を大きく膨張させて強力な圧力を得て、
ピストンを介して前記押圧部材を前記多板クラッチの締
結を解除する方向に確実に移動させることができる。ま
た、前記高熱膨張率の部材として、軸方向に配置され、
所定温度により形状を可変とする金属等好ましくは2方
向性の形状記憶合金もしくはバイメタルを採用するなら
ば、比較的簡素な構造によって多板クラッチの高温時に
おける締結の解除機能を付与せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッチ装置の第1実施例を示す図で
ある。
【図2】本発明のクラッチ装置の第2実施例を示す図で
ある。
【図3】本発明のクラッチ装置の第3実施例を示す図で
ある。
【図4】従来の差動制限装置におけるクラッチ装置の例
を示す図である。
【符号の説明】 1 デフケース(差動回転部材) 4 サンギヤ(差動回転部材) 5 リヤ出力軸筒(差動回転部材) 6 キャリヤ(差動回転部材) 14 メインクッチ(多板クラッチ) 15 押圧部材 16 圧力室 17 高熱膨張率部材 18 第1ピストン 19 第2ピストン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押圧部材を介して差動回転部材間に配設
    した多板クラッチを締結するように構成されたクラッチ
    装置において、前記多板クラッチの所定の高温度下にお
    いて膨張する高熱膨張率の部材を前記押圧部材に対向し
    て配置し、前記所定の高温度下において前記高熱膨張率
    の部材が膨張して前記押圧部材を前記多板クラッチの締
    結を解除する方向に移動させるように構成したことを特
    徴とするクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記高熱膨張率の部材がフェノールまた
    はヨウ素であり、何れか一方を封入した圧力室にて発生
    した圧力により移動する軸方向のピストン部材によって
    前記押圧部材を前記多板クラッチの締結を解除する方向
    に移動させるように構成したことを特徴とする請求項1
    に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 前記高熱膨張率の部材が軸方向に配置さ
    れ所定温度により形状を可変とする金属等からなること
    を特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1736690A1 (de) * 2005-06-23 2006-12-27 Dr.Ing. h.c.F. Porsche Aktiengesellschaft Lamellen-Sperrdifferential
JP2007045194A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Nissan Motor Co Ltd 車両の駆動力配分装置
DE10111257B4 (de) * 2001-03-09 2013-10-31 Burani Consulting Limited Liability Company Kraftfahrzeug-Antriebsstrang

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