JPH08246599A - 円弧状屋根を有する構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型の窓を容易に形成することができ且つ高
い強度を有する。 【構成】 間隔をあけて互いに平行に固定された複数枚
の円弧状屋根部材３と、屋根部材３を互いに連結するた
めの棒状連結部材４とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、円弧状屋根を有する
構造物、特に、大型の窓を形成することができ且つ高い
強度を有する、円弧状屋根を有する構造物に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、図７に示すような、柱や梁のない
円弧状屋根を有する構造物は、波付け方向と直交する方
向に円弧状に折り曲げたものからなる円弧状屋根部材１
を複数枚、間隔をあけずに連続して接続したものであ
り、倉庫等の構築物として知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来構造物は、次のような問題を有していた。即ち、
採光のために設けられる窓２は、図７に示すように、屋
根部材１の一部を切断することによって作られていたの
で、窓２を大型化すると、構造物全体の強度が低下す
る。従って、従来構造物においては、窓２を大型化する
ことは困難であった。このために倉庫内に十分に日光を
取り入れることができず、照度不足は、照明灯に頼らざ
るを得なかった。

【０００４】従って、この発明の目的は、窓を大型化す
ることができ、しかも、高い強度を有する、円弧状屋根
を有する構造物を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、間隔をあけ
て互いに平行に固定された複数枚の円弧状屋根と、前記
屋根を互いに連結するための棒状連結部材とからなるこ
とに特徴を有するものである。

【０００６】この発明の別の特徴は、屋根は、波板をそ
の波付け方向と直交する方向に円弧状に折り曲げたもの
からなっていることにある。

【０００７】この発明の更に別の特徴は、前記屋根間の
隙間は、透明または半透明の材料によって塞がれている
ことにある。

【０００８】

【作用】複数枚の円弧状屋根部材を間隔をあけて互いに
連結部材によって連結すれば、屋根間隔が全て窓になり
得るので、窓を大型化することができ、しかも、屋根同
士は、連結部材によって互いに連結されるので、屋根の
湾曲方向と直交する方向にかかる外力に対して、高い強
度を有する。

【０００９】

【実施例】次に、この発明の、円弧状屋根を有する構造
物の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。

【００１０】図１は、この発明の、円弧状屋根を有する
構造物の一実施態様を示す概略斜視図、図２は、この発
明の、円弧状屋根を有する構造物の一実施態様を示す概
略側面図、図３は、図１のＡ−Ａ線断面図である。

【００１１】図１から図３において、３は、間隔をあけ
て互いに平行に固定された複数枚の円弧状屋根部材であ
り、波板をその波付け方向と直交する方向に円弧状に折
り曲げたものからなっている。屋根部材３は、波板以外
に平板を円弧状に折り曲げたものであってもよい。４
は、屋根部材３を互いに平行に連結するための山形鋼等
の棒状連結部材である。この実施例においては、連結部
材４は、屋根部材３の上部内面に沿って２本固定されて
いる。５は、屋根部材３間に形成された隙間であり、ガ
ラス板等の透明板を取り付けることによって窓が形成さ
れる。このようにして形成される窓の大きさは、屋根部
材３間の隙間を広げることによって自在に調整すること
ができる。

【００１２】このようにして、円弧状屋根を有する構造
物に大型の窓を容易に形成することができるが、図７に
示す従来の構造物と同様に、構造物の側面に出入口等を
作ることは勿論可能である。なお、図１に示すように、
円弧状屋根の全長に亘って窓を作る必要がない場合に
は、窓の上下部分の隙間を、屋根部材と同一形状の波板
によって塞いでもよい。この発明による倉庫の一例を図
４に示す。図４から明らかなように、従来構造物に比べ
て窓を大型化できることがわかる。

【００１３】この発明によれば、間隔をあけて設けられ
た複数枚の円弧状屋根部材３同士を互いに連結部材４に
よって連結することによって、高い強度を得ることがで
きるのであるが、この理由について、図面を参照しなが
ら説明する。

【００１４】図５は、連結部材によって連結されていな
い２枚の円弧状屋根部材に応力が作用した場合の屋根部
材の変形を示す正面図、図６は、連結部材によって連結
した２枚の円弧状屋根部材に応力がかかった場合の屋根
部材の変形を示す正面図である。この場合、屋根部材３
は、図２におけると同様に２本の連結部材４によって互
いに連結されている。

【００１５】図５に示すように、円弧状屋根部材３が連
結部材４によって連結されていない場合には、個々の屋
根部材３は、屋根部材の湾曲方向と直交する方向に作用
する外力（Ｐ）の大きさに応じて大きく変形する。しか
しながら、図６に示すように、円弧状屋根部材３が連結
部材４によって連結されている場合には、屋根部材３に
外力（Ｐ）が作用しても、個々の屋根部材３には、連結
部材４の作用によって、図６中矢印で示すように、外力
（Ｐ）を打ち消すような反力が作用する。従って、屋根
部材３の変形を大幅に小さくすることができ、構造物と
して十分な耐力を発揮する。実験および解析の結果、連
結部材４の作用によって、変形量を約１／５程度に減少
させることができることが分かった。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、複数枚の円弧状屋根部材を間隔をあけて互いに連結
部材によって連結すれば、屋根部材間の隙間が全長に亘
って全て窓になり得るので、大型の窓を容易に形成する
ことができ、しかも、屋根部材同士は、連結部材によっ
て互いに連結されるので、屋根部材の湾曲方向と直交す
る方向にかかる外力、例えば、地震や風荷重に対して、
高い強度を有する等、種々の有用な効果がもたらされ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の、円弧状屋根を有する構造物の一実
施態様を示す概略斜視図である。

【図２】この発明の、円弧状屋根を有する構造物の一実
施態様を示す概略側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】この発明によって構築された倉庫の斜視図であ
る。

【図５】連結部材によって連結されていない２枚の円弧
状屋根部材に応力か作用した場合の屋根部材の変形を示
す正面図である。

【図６】連結部材によって連結した２枚の円弧状屋根部
材に応力がかかった場合の屋根部材の変形を示す正面図
である。

【図７】従来構造物を示す概略斜視図である。

【符号の説明】

１ 従来構造物にかかる屋根部材 ２ 窓 ３ この発明にかかる屋根部材 ４ 連結部材 ５ 隙間

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 間隔をあけて互いに平行に固定された複
   数枚の円弧状屋根部材と、前記屋根部材を互いに連結す
   るための棒状連結部材とからなることを特徴とする、円
   弧状屋根を有する構造物。
2. 【請求項２】 前記屋根部材は、波板をその波付け方向
   と直交する方向に円弧状に折り曲げたものからなってい
   ることを特徴とする、請求項１記載の構造物。
3. 【請求項３】 前記屋根間の隙間は、透明または半透明
   な材料によって塞がれていることを特徴とする、請求項
   １または２記載の構造物。