JPH08241704A - 電池セパレータ及びこれを用いたアルカリ二次電池 - Google Patents

電池セパレータ及びこれを用いたアルカリ二次電池

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JPH08241704A
JPH08241704A JP7043081A JP4308195A JPH08241704A JP H08241704 A JPH08241704 A JP H08241704A JP 7043081 A JP7043081 A JP 7043081A JP 4308195 A JP4308195 A JP 4308195A JP H08241704 A JPH08241704 A JP H08241704A
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JP
Japan
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separator
sulfonate
secondary battery
fiber sheet
alkaline secondary
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JP7043081A
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English (en)
Inventor
Yasuhisa Tojo
泰久 東條
Kazunori Kawamura
和典 河村
Shuji Yano
周治 矢野
Toshimitsu Tachibana
俊光 橘
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリオレフィン系繊維シートを基材とし、これ
にスルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体をともに
グラフト共重合させて電池セパレータ3を形成すること
により、繊維強度の低下などの特性を低下させずに効率
良く親水性を付与し、十分なサイクル寿命を有するセパ
レータ及び二次電池を提供する。 【構成】セパレータ3はポリオレフィン系繊維を用いた
不織布に、パラスチレンスルフォン酸カリウム等のスル
フォン酸塩誘導体と、アクリル酸等のカルボン酸誘導体
を存在させてグラフト共重合する。正極1と負極2はセ
パレータ3を介して重ね合わせ、渦巻状に巻回して渦巻
状電極体4として底部に絶縁体13を配した電池ケース
5内に挿入し、その上部には絶縁体14を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系繊維
シートからなる電池セパレータ及びこれを用いたアルカ
リ二次電池に係わり、更に詳しくは、電解液を含浸保持
するセパレータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ二次電池のセパレータには、一
般に以下の機能が必要とされている。 (1)アルカリ水溶液の電解液を含浸保持する。 (2)正負電極を隔離する。 (3)電極巻回時の引っ張り張力に耐える。 (4)正負極関の短絡を生じさせない。 (5)イオン、水を移動させる。 (6)発生したガスを通過させる。
【0003】従来イオン二次電池のセパレータにはポリ
アミド繊維製不織布または親水性を付与したポリオレフ
ィン系繊維不織布が用いられてきた(例えば特開昭58
−94752号公報、同61−78053号公報、同6
4−86445号公報、特開平2−291665号公
報、同4−167355号公報など)。
【0004】しかし、ポリアミド繊維は親水性が優れて
いるものの、アルカリ電解液中で加水分解し、その分解
生成物が貯蔵に伴う容量保持率を低下させるという問題
があった[たとえば、H.W.Lim 等:Proceedings of the
27th Power Sources Conference", 83 〜85頁(1976)]
【0005】親水性を付与したポリオレフィン系繊維不
織布については、様々な方法、様々な官能基の導入がこ
れまで提案されてきた。例えば界面活性剤などを塗布し
てポリオレフィンを親水化させる方法が提案されている
が、これには塗布した界面活性剤が電解液中に容易に溶
解し、貯蔵による容量保持率を低下させたり[たとえ
ば、特開昭64−57568号公報]、電解液保持能力
の低下により、電池の内部抵抗が増加し、放電電圧の低
下や活物質利用率の低下を招くという問題があった。
【0006】化学処理(例えば発煙硫酸処理、SO3
理)、各種グラフト重合(例えばUV、電子線照射、γ
線照射、プラズマ処理等従来公知の手法)などで、親水
性の官能基(例えば、スルフォン基、カルボキシル基、
あるいはこれらのエステル、水酸基、など)をポリオレ
フィンに導入する方法は各種提案されている。セパレー
タとして、これらの親水性官能基の優劣を様々な面から
考えた場合、スルフォン基は主にその極性の高さからす
ぐれた特性を示す。例えば、同程度のポリオレフィンの
親水化を行うのにスルフォン基の導入量は、カルボキシ
ル基の2分の1〜5分の1でできるし、これにより不織
布の空孔を無駄に減らすことなく、また無駄な重量増加
なしに親水化を行なうことが出来る。またスルフォン基
は保存性、安定性の面でもきわめて優秀である。これは
スルフォン基が立体障害性が高く、ポリオレフィン内部
に潜り込まないためとされている。
【0007】ところで、このスルフォン基の導入方法で
は、特開昭62−115657号公報に見られるよう
に、発煙硫酸処理を行うのが一般的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭62−115657号公報で提案されている発煙硫
酸によるスルフォン基の導入処理は、親水化を付与する
と同時に主鎖のポリオレフィンの劣化も引き起こし、引
っ張りまたは引き裂き強度が著しく低下するという問題
があった。各種グラフト重合のモノマーとして、不飽和
結合とスルフォン基をともに持つもの(例えばビニルス
ルフォン酸及び/またはスチレンスルフォン酸)を使用
したときも、同様に強酸の処理になるため、引き裂き強
度が著しく低下するという問題があった。
【0009】そこで、スルフォン基を中和して塩にし、
例えばスチレンスルフォン酸ナトリウム、スチレンスル
フォン酸カリウム、ビニルスルフォン酸ナトリウム、ビ
ニルスルフォン酸カリウムなどのモノマーとして使用し
てみたところ、強度劣化なしにスルフォン基を導入する
事ができた。ところが、これらの塩は反応性に乏しく好
適な導入率を得る事が出来ないか、あるいは反応が遅す
ぎて作製に膨大な時間がかかるという問題があった。
【0010】本発明は、前記従来のセパレータが有して
いた問題点を解決し、繊維強度の低下などの特性を低下
させずに効率良く親水性を付与したポリオレフィン系繊
維シートからなるセパレータ、及びこれを用いた、より
小型で高容量で、安価なアルカリ二次電池を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を解決するた
め、本発明の電池セパレータは、ポリオレフィン系繊維
シートを基材とし、これにスルフォン酸塩誘導体及びカ
ルボン酸誘導体をともにグラフト共重合したという構成
を備えたものである。
【0012】次に本発明のアルカリ二次電池は、負極
と、正極と、セパレータにアルカリ水溶液からなる電解
液を含浸保持してなるアルカリ二次電池において、前記
セパレータが、ポリオレフィン系繊維シートを基材と
し、これにスルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体
をともにグラフト共重合させて形成されていることを特
徴とする。
【0013】前記構成においては、スルフォン酸塩誘導
体が、パラスチレンスルフォン酸カリウム、パラスチレ
ンスルフォン酸ナトリウム、ビニルスルフォン酸ナトリ
ウム、ビニルスルフォン酸カリウムから選ばれる少なく
とも一つの物質を含んでいることが好ましい。
【0014】また前記構成においては、カルボン酸誘導
体が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、グリシ
ジルメタクリレート、ハイドロキシエチルメタクリレー
ト、ビニルアセテートから選ばれる少なくとも一つの物
質を含んでいることが好ましい。
【0015】また前記構成においては、ポリオレフィン
系繊維シートが、ポリプロピレンを芯とし、ポリエチレ
ンを鞘とする芯鞘構造の複合繊維を含有することが好ま
しい。
【0016】また前記構成においては、ポリオレフィン
系繊維シートが、ポリプロピレン系の繊維シートである
ことが好ましい。また前記構成においては、負極が、カ
ドミウム、亜鉛、鉄、及びそれらの酸化物もしくは水酸
化物、もしくは水素吸蔵合金から選ばれる少なくとも一
つの物質であり、正極が、金属酸化物または金属水酸化
物から選ばれる少なくとも一つの物質からなることが好
ましい。
【0017】また前記構成においては、ポリオレフィン
系繊維シートが不織布であることが好ましい。
【0018】
【作用】前記した本発明の電池セパレータの構成によれ
ば、ポリオレフィン系繊維シートを基材とし、これにス
ルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体をともにグラ
フト共重合したことにより、前記従来の技術の項で説明
したセパレータ本来の機能を満足する他、繊維強度の低
下などの特性を低下させずに効率良く親水性を付与でき
る。
【0019】前記した本発明の二次電池の構成によれ
ば、セパレータがポリオレフィン系繊維シートを基材と
し、これにスルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体
をともにグラフト共重合させて形成されていることによ
り、繊維強度の低下などの特性を低下させずに効率良く
親水性を付与できる。すなわち、化学的に安定であり、
効率良く親水性を付与されており、かつ強度を損なうこ
ともないので、このセパレータを用いたアルカリ二次電
池は、十分なサイクル寿命をもつ。前記において、グラ
フト共重合率は3〜50重量%が好ましく、さらには1
0〜30重量%が好ましい。
【0020】前記において、スルフォン酸塩誘導体がパ
ラスチレンスルフォン酸カリウム、パラスチレンスルフ
ォン酸ナトリウム、ビニルスルフォン酸ナトリウム、ビ
ニルスルフォン酸カリウムから選ばれる少なくとも一つ
の物質を含んでいるという好ましい例によれば、さらに
化学的に安定であり、効率良く親水性を付与されてお
り、かつ強度を損なうこともないので、このセパレータ
を用いたアルカリ二次電池は、十分なサイクル寿命を有
す。
【0021】また前記において、カルボン酸誘導体がア
クリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、アクリロニトリル、グリシジルメタク
リレート、ハイドロキシエチルメタクリレート、ビニル
アセテートから選ばれる少なくとも一つの物質を含んで
いるという好ましい例によれば、さらに化学的に安定で
あり、効率良く親水性を付与されており、かつ強度を損
なうこともないので、このセパレータを用いたアルカリ
二次電池は、十分なサイクル寿命を有す。
【0022】また前記構成においては、ポリオレフィン
系繊維シートが、ポリプロピレンを芯とし、ポリエチレ
ンを鞘とする芯鞘構造の複合繊維を含有することが好ま
しい。
【0023】また前記構成において、ポリオレフィン系
繊維シートがポリプロピレンを芯とし、ポリエチレンを
鞘とする芯鞘構造の複合繊維を含有するものであるとい
う好ましい例によれば、強度劣化を伴わずにスルフォン
基を効率良く導入できる。、この結果本発明によって得
られる二次電池は、十分なサイクル寿命を有するのみな
らず、より高密度、高容量なものとなる。
【0024】また前記構成において、ポリオレフィン系
繊維シートが、ポリプロピレン系の繊維シートであると
いう好ましい例によれば、ポリオレフィンの親水性を従
来の繊維に比べ非常に高くすることができる。また、強
度が高くてかつ反応性が低く、親水化が難しかったポリ
プロピレン系樹脂に対しても親水化でき、その結果より
強度の高いセパレータが得られる。さらにセパレータを
薄くすることが可能となる。この結果、本発明によって
得られる二次電池は、十分なサイクル寿命を有するのみ
ならず、より高密度、高容量なものとなる。
【0025】また前記構成において、負極が、カドミウ
ム、亜鉛、鉄、及びそれらの酸化物もしくは水酸化物、
もしくは水素吸蔵合金から選ばれる少なくとも一つの物
質であり、正極が、金属酸化物または金属水酸化物から
選ばれる少なくとも一つの物質からなるという好ましい
例によれば、アルカリ二次電池として優れた性能を発揮
できる。
【0026】また前記構成において、ポリオレフィン系
繊維シートが不織布であるという好ましい例によれば、
前記従来の技術の項で説明したセパレータ本来の機能を
満足する他、安価なセパレータとすることができる。
【0027】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説
明する。本発明は、強度劣化をもたらすことなく、安全
で簡単にしかも速くスルフォン基を導入したポリオレフ
ィン系繊維シートからなるセパレータを使用することに
より、高密度高容量となり十分なサイクル寿命を持っ
た、アルカリ二次電池を得ることができる。
【0028】本発明者らは実施例を作成するにあたり以
下の手順で行なった。 (1)グラフト液の作製 (2)ポリオレフィン繊維シートのラジカル形成処理 (3)ポリオレフィン繊維シートとグラフト液の反応、
及び洗浄 (4)ポリオレフィン繊維シートのアルカリ二次電池へ
の組み込み ではそれぞれの手順について詳しい説明を行なう。
【0029】実施例1 (1)グラフト液の作製 グラフト液には、(A)スルフォン酸塩誘導体および
(B)カルボン酸誘導体が含まれており、これと溶媒を
加えたものが主成分である。
【0030】まず(A)スルフォン酸塩誘導体は、1分
子中に1つ以上のスルフォン酸塩(例えばスルフォン酸
カリウム、スルフォン酸ナトリウム、スルフォン酸リチ
ウム、スルフォン酸カルシウムなど)を含み、かつ1つ
以上の反応性不飽和結合(例えば、アリル基、ビニル基
など)を持っている。分子量は通常100から5000
ものが好ましく、さらに好ましくは100から1000
の物が用いられる。これ以上分子量が大きいと、溶媒に
溶けにくかったり、反応性の制御がしにくくなる。また
パラスチレンスルフォン酸カリウム、パラスチレンスル
フォン酸ナトリウム、ビニルスルフォン酸ナトリウム、
ビニルスルフォン酸カリウムなどのスルフォン酸塩誘導
体は、入手が簡単なだけでなく、分子量なども適当で特
に好ましく用いられる。これらは単独、あるいは2種類
以上を混合して用いられる。
【0031】次に(B)カルボン酸誘導体は、分子中に
少なくとも1つ以上のカルボン酸基またはエステルなど
の誘導体を含んでいる必要がある。また好ましくは1つ
以上の反応性不飽和結合(例えば、アリル基、ビニル基
など)を持っている。分子量は通常50から5000の
ものが好ましく、さらに好ましくは50から500の物
が用いられる。これ以上分子量が大きいと、溶媒に溶け
にくかったり、反応性の制御がしにくくなる。またアク
リル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、アクリロニトリル、グリシジルメタクリ
レート、ハイドロキシエチルメタクリレート、ビニルア
セテートなどのカルボン酸誘導体は、入手が簡単なだけ
ではなく、分子量なども適当で特に好ましく用いられ
る。これらは単独、あるいは2種類以上を混合して用い
られる。
【0032】溶媒としては上記二成分を良く溶かし、ポ
リオレフィン繊維シート悪影響を与えないものが最低条
件であり、できれば洗浄/乾燥が容易で、反応に適した
沸点、粘度を持つものが好ましい。具体的には蒸溜水が
好ましく、また蒸溜水/アルコールの混合溶媒も使うこ
とができる。
【0033】なお、グラフト液には他に必要に応じて反
応促進剤、反応禁止剤、等を適宜入れてもよい。実施例
で使用したグラフト液は以下の材料を用い、撹拌溶解さ
せて作製した。 (グラフト液A)パラスチレンスルフォン酸カリウム1
00g、メタクリル酸50g、蒸留水150g (グラフト液B)パラスチレンスルフォン酸ナトリウム
100g、ハイドロキシエチルメタクリレート50g、
蒸留水200g (グラフト液C)ビニルスルフォン酸カリウム100
g、アクリル酸50g、蒸留水300g (2)ポリオレフィン繊維シートのラジカル形成処理 本発明に使用されるポリオレフィン繊維シートはポリプ
ロピレン(PP)及び/またはポリエチレン(PE)の
単独であっても、ポリプロピレンとポリエチレンをブレ
ンドしたりアロイ化したり、芯鞘構造または他のタイプ
のコンジュゲート繊維にするなど複合化したものでもよ
い。これらの繊維シートは通常50μmから300μm
の厚みで、気孔率は30%から80%のものを用いるの
が好ましく、100から200μmの厚みで、60から
70%の気孔率がさらに好ましい。また繊維シートは、
織物、編物、不織布などいかなるものでも良いが、この
実施例では不織布を用いた。不織布としては以下のもの
を用意した。 不織布(a):PE不織布(厚さ170μm目付54g
/m2 、空孔率66%、) 不織布(b):PP/PE芯鞘構造不織布(厚さ180
μm、目付55g/m2、空孔率67%) 不織布(c):PP不織布(厚さ145μm、目付49
g/m2 、空孔率66%) ラジカル形成処理には、UV、電子線照射、γ線照射、
プラズマ処理等従来公知の手法が用いられる。各手法で
の好ましい処理条件については、基本的には概ね従来公
知のグラフト重合の好ましい処理条件に準ずる。ただ
し、本発明のグラフト液を使用する場合には系にもよる
が、反応性が通常よりかなり高くなるので、反応時間を
短縮することが好ましい場合もある。実施例でのラジカ
ル形成処理には以下のものを用いた。 ラジカル形成処理条件 高圧UV(電力:1200W、波長365nm)、処
理時間:2分 プラズマ処理(Ar置換下、電力:10.0W・se
c/cm2 ) (3)ポリオレフィン繊維シートとグラフト液の反応、
及び洗浄 ラジカルを形成させたポリオレフィン繊維シートはグラ
フト液に浸漬して反応させる。この時は通常加温して行
なう。好ましくは40度から100度、さらに好ましく
は60度から80度に加熱したグラフト液中に繊維シー
トを入れ、好ましくは30秒から30分、さらに好まし
くは1分から10分反応させる。その後この繊維シート
を水、又は温水で十分すすぎ、乾燥させて二次アルカリ
電池用セパレータとした。
【0034】なお、ラジカル形成処理によっては上記
(2)、(3)の工程を一度にやってしまうことも可能
である。例えば高圧UVを、グラフト液に浸漬したポリ
オレフィン繊維シートに直接照射しラジカルの形成と繊
維シート/グラフト液の反応を同時に行なう事ができ
る。実施例では以下表1の組合せの二次電池用セパレー
タを作製した。
【0035】
【表1】
【0036】(4)ポリオレフィン繊維シートのアルカ
リ二次電池への組み込み これらのセパレータを用い、シート状電極、つまりシー
ト状の正極及びシート状の負極と重ね合わせ、渦巻状に
巻回して電極体にし、その渦巻状電極体を用いて、図1
に示す構造の単3アルカリ二次電池を作成した。
【0037】上記電池の作製には、正極には焼結式ニッ
ケル電極を用い、負極には焼結式水素吸蔵合金電極を用
い、電解液には濃度30重量%の水酸化カリウム水溶液
を用いた。
【0038】ここで図1に示す電池について説明する
と、1は正極、2は負極、3はセパレータ、4は渦巻状
電極体、5は電池ケース、6は環状ガスケット、7は封
口蓋、8は端子版、9は封口板、10は金属バネ、11
は弁体、12は正極リード体、13は絶縁体、14は絶
縁体である。
【0039】正極1は、活物質として水素ニッケルを含
むシート状の焼結式ニッケル電極であり、その寸法は3
9mm×82mm×0.66mmで、理論電気容量は1
160mAhである。負極2は、活物質となる水素吸蔵
合金そのものを焼結したシート状の水素吸蔵合金電極で
あり、その寸法は41mm×111mm×0.30mm
で、理論電気容量は1800mAhである。
【0040】セパレータ3は本発明の好ましい実施例と
して表1に示した組み合わせで作成したものであり、ポ
リオレフィン系繊維を用いた不織布にスルフォン酸塩誘
導体及びカルボン酸誘導体が共にグラフト共重合された
ものである。上記正極1と負極2はセパレータ3を介し
て重ね合わせられ、渦巻状に巻回して渦巻状電極体4と
して底部に絶縁体13を配した電池ケース5内に挿入さ
れ、その上部には絶縁体14が配置されている。
【0041】環状ガスケット6はナイロン66で作製さ
れ、封口蓋7は端子板8と封口板9とで構成され、電池
ケース5の開口部はこの封口蓋7と上記環状ガスケット
6とで封口されている。
【0042】つまり、底部に絶縁体13を配した電池ケ
ース5内に渦巻状電極体4を挿入した後、濃度30重量
%の水酸化カリウム水溶液を電解液として注入し、さら
に絶縁体14を載せる。そして、電池ケース5の開口部
近傍部分に内周側に突出した環状の溝5aを形成し、こ
の溝5aの突出部に環状ガスケット6および封口蓋7と
を載せ、電池ケース5の開口部を内方に締め付けて封口
した。
【0043】上記端子板8にはガス排出孔8aが設けら
れ、封口板9にはガス検知孔9aが設けられ、端子板8
と封口板9との間には金属バネ10と弁体11とが配置
されている。端子板8は封口板9の外周を内方に折り曲
げることによって一体化され、封口蓋7となる。
【0044】この電池は、通常の状況下では金属バネ1
0の押圧力により弁体11がガス検知孔9aを閉鎖して
いるので、電池内部は密閉状態に保たれているが、電池
内部でガスが発生して内圧が異常に上昇した場合には、
金属バネ10が収縮して弁体11とガス検知孔9aとの
間に隙間が生じ、電池内部のガスはガス検知孔9aおよ
びガス排出孔8aを通過して外部に放出され、電池破裂
が防止できるように構成されている。
【0045】上記構成の電池を100個作製し、短絡個
数を調べたところ100個中0個であった。また、下記
の方法で高率放電での利用率、20℃、30日間貯蔵後
の容量保持率およびサイクル寿命を測定した。
【0046】高率放電での利用率は次の方法で求めた。
作製した電池を20℃の雰囲気中で、0.1Aで15時
間充電した後、0.2Aで1Vまで放電するという充放
電サイクルを3回繰り返す。この過程で電池は安定化さ
れる。さらに、0.1Aで15時間充電した後、3Aで
放電し、放電電圧が1.0Vに達するまでに時間から、
放電容量を求めた。高率放電利用率は、下記の式(数
1)によって求めた。
【0047】
【数1】
【0048】容量保持率は次の方法で求めた。作製した
電池を20℃の雰囲気中で、0.1Aで15時間放電し
た後、0.2Aで1Vまで放電するという充放電サイク
ルを3回繰り返し、3回目の放電容量を初期放電容量と
する。この過程で、電池は安定化される。さらに、0.
1Aで15時間充電し、20℃の雰囲気中で30日間貯
蔵し、貯蔵後の電池を0.2Aで放電し、貯蔵後の放電
容量を測定した。容量保持率は、下記の式(数2)によ
って求めた。
【0049】
【数2】
【0050】サイクル寿命は次の方法で求めた。作製し
た電池を20℃の雰囲気中で、0.1Aで15時間放電
した後、0.2Aで1Vまで放電するという充放電サイ
クルを3回繰り返し、初期放電容量電池を求めるととも
に、電池を安定化する。ついで、1Aで1.2時間充
電、1Aで1Vまでの放電(1.2時間以内)という充
放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期放電容量の8
0%になるまでのサイクル回数を求め、サイクル寿命と
する。結果を表1に示す。O/C元素の比率は0.05
〜0.7、純水吸収速度は10mm/2分以上で、電池
作製時の短絡はなかった。また、高率放電利用率80%
以上、容量保持率80%以上、サイクル寿命500回以
上と、良好な電池特性を示した。
【0051】比較例1〜8 実施例1と同様な手段でスルフォン基以外の下記の物質
のグラフト重合を行った。 グラフト液(D)メタクリル酸50g水150g グラフト液(E)アクリル酸50g水150g グラフト液(F)ハイドロキシエチルメタクリレート2
0g、メタクリル酸30g、水100g 結果は後にまとめて示す。
【0052】比較例9 実施例1と同様な手段でスルフォン酸塩だけのグラフト
重合を行った。 グラフト液(G)スチレンスルフォン酸カリウム10
g、水100g 上記グラフト液(D)〜(G)を調整し、セパレータ9
〜17を実施例と同様に作製した。セパレータ9〜17
の製造条件表を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】比較例10〜11 発煙硫酸処理によりセパレータ18、19を作製した。
以上の結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】これらのセパレータを用い実施例と同様に
比較例1〜11のアルカリ二次電池を作製した。結果を
表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】上記表4が示すように、本発明のアルカリ
二次電池は、スルフォン基導入の効果により高く、高率
放電利用率と容量保持率、長サイクル寿命を持つのみな
らず、強酸処理によるセパレータの強度劣化を伴わない
ために短絡発生率も低く抑えることができるようになっ
た。
【0059】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の電池セパレ
ータによれば、ポリオレフィン系繊維シートを基材と
し、これにスルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体
をともにグラフト共重合したことにより、前記従来の技
術の項で説明したセパレータ本来の機能を満足する他、
繊維強度の低下などの特性を低下させずに効率良く親水
性を付与できる。
【0060】次に本発明の二次電池によれば、セパレー
タがポリオレフィン系繊維シートを基材とし、これにス
ルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体をともにグラ
フト共重合させて形成されていることにより、繊維強度
の低下などの特性を低下させずに効率良く親水性を付与
できる。すなわち、化学的に安定であり、効率良く親水
性を付与されており、かつ強度を損なうこともないの
で、このセパレータを用いたアルカリ二次電池は、十分
なサイクル寿命をもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のアルカリ二次電池の断面図
を示す。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 渦巻状電極体 5 電池ケース 6 環状ガスケット 7 封口蓋 8 端子版 9 封口板 10 金属バネ 11 弁体 12 正極リード体 13 絶縁体 14 絶縁体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橘 俊光 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系繊維シートを基材と
    し、これにスルフォン酸塩誘導体及びカルボン酸誘導体
    をともにグラフト共重合した電池セパレータ。
  2. 【請求項2】 負極と、正極と、セパレータにアルカリ
    水溶液からなる電解液を含浸保持してなるアルカリ二次
    電池において、前記セパレータが、ポリオレフィン系繊
    維シートを基材とし、これにスルフォン酸塩誘導体及び
    カルボン酸誘導体をともにグラフト共重合されているこ
    とを特徴とするアルカリ二次電池。
  3. 【請求項3】 スルフォン酸塩誘導体が、パラスチレン
    スルフォン酸カリウム、パラスチレンスルフォン酸ナト
    リウム、ビニルスルフォン酸ナトリウム、ビニルスルフ
    ォン酸カリウムから選ばれる少なくとも一つの物質を含
    んでいる請求項1に記載の電池セパレータまたは請求項
    2に記載のアルカリ二次電池。
  4. 【請求項4】 カルボン酸誘導体が、アクリル酸、メタ
    クリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
    ル、アクリロニトリル、グリシジルメタクリレート、ハ
    イドロキシエチルメタクリレート、ビニルアセテートか
    ら選ばれる少なくとも一つの物質を含んでいる請求項1
    に記載の電池セパレータまたは請求項2に記載のアルカ
    リ二次電池。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系繊維シートが、ポリプ
    ロピレンを芯とし、ポリエチレンを鞘とする芯鞘構造の
    複合繊維を含有する請求項1に記載の電池セパレータま
    たは請求項2に記載のアルカリ二次電池。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系繊維シートが、ポリプ
    ロピレン系の繊維シートである請求項1に記載の電池セ
    パレータまたは請求項2に記載のアルカリ二次電池。
  7. 【請求項7】 負極が、カドミウム、亜鉛、鉄、及びそ
    れらの酸化物もしくは水酸化物、もしくは水素吸蔵合金
    から選ばれる少なくとも一つの物質であり、正極が、金
    属酸化物または金属水酸化物から選ばれる少なくとも一
    つの物質からなる請求項1に記載の電池セパレータまた
    は請求項2に記載のアルカリ二次電池。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィン系繊維シートが不織布で
    ある請求項1に記載の電池セパレータまたは請求項2に
    記載のアルカリ二次電池。
JP7043081A 1995-03-02 1995-03-02 電池セパレータ及びこれを用いたアルカリ二次電池 Pending JPH08241704A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6849702B2 (en) 1999-02-26 2005-02-01 Robert W. Callahan Polymer matrix material

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