JPH08239208A - アパタイトおよびその製造方法ならびに炭酸ガス検出素子 - Google Patents

アパタイトおよびその製造方法ならびに炭酸ガス検出素子

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JPH08239208A
JPH08239208A JP4466295A JP4466295A JPH08239208A JP H08239208 A JPH08239208 A JP H08239208A JP 4466295 A JP4466295 A JP 4466295A JP 4466295 A JP4466295 A JP 4466295A JP H08239208 A JPH08239208 A JP H08239208A
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JP
Japan
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apatite
carbon dioxide
calcium phosphate
fine particles
slurry
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Application number
JP4466295A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Saeki
達哉 佐伯
Naoyuki Ashida
直幸 芦田
Masayuki Nagai
正幸 永井
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 所定濃度のACP粒子1を含むアパタイトス
ラリーと、有機系分散剤2と、上記ACP粒子1に対し
て所定の添加量の臭素イオンとが混合され、造粒乾燥さ
れて、この造粒乾燥物を焼成して、臭素イオンの濃度が
調整されたアパタイトを得る。 【効果】 臭素イオン濃度の調整されたアパタイトは、
室温にて炭酸ガス検出能を有するから、例えば炭酸ガス
検出装置に用いられた場合、従来必要であった加熱手段
を省けるので、上記炭酸ガス検出装置を簡素化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定濃度の臭素イオン
を含有したアパタイト粒子およびその製造方法ならびに
それを用いた炭酸ガス検出素子に関する。さらに詳しく
は、炭酸ガスとの反応性に富み、炭酸ガス検出素子材料
として好適なアパタイトおよびその製造方法ならびに上
記アパタイトを用いた炭酸ガス検出素子に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、アパタイトの一種である水酸
アパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2 〕を、炭酸ガスの検出に
利用することが提案され(特公平4-18260号)、また、
水酸アパタイトと炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウム
との複合材料を炭酸ガスの検出素子として利用すること
が提案され(特公平4-36337号)、さらに、水酸アパタ
イトと無機ハロゲン化物との複合材料を炭酸ガス検出素
子として利用することが提案されている(特開昭62−24
2847号公報)。
【0003】従来から、塩素イオン含有のアパタイトの
合成については、乾式法、水熱法、溶融法等が知られて
いるが、湿式法による常温常圧の条件下では合成できな
いとされていたところ、本願発明の発明者らによって、
水酸アパタイトを水性媒体において塩化アンモニウムと
反応させることにより、水酸アパタイトの水酸基がほぼ
塩素イオンに置換したアパタイトが得られることが見出
されている(特開平1-28212号公報参照)。
【0004】また、上記の公報では、塩素イオンを含有
したアパタイトの単一相の固溶体、または塩素イオンを
含有したアパタイトと、塩素イオンを含有しない水酸ア
パタイトとの固溶体が、他の材料と複合しなくても炭酸
ガスと接触したとき、その電気抵抗が変動することも見
出している。
【0005】さらに、本願発明者らは、均一な粒状状態
の塩素イオン含有のアパタイトおよびこれを用いた検出
素子は、炭酸ガスに対してセンサ特性を示すことも見出
している(特開平3-96845号公報参照)。
【0006】上記従来のアパタイトの製造法では、過剰
量の塩素イオンを水酸アパタイトスラリー中に混入する
ことにより、塩素イオンを含有したアパタイトを得てい
るが、同じハロゲンイオンである臭素イオンを含有した
アパタイトは得られなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
塩素イオン含有のアパタイトを用いて炭酸ガス検出素子
を調製した場合、上記炭酸ガス検出素子は、 300℃以上
に加熱しなければ炭酸ガスを検出できないため、ヒータ
ー等の加熱手段を必要としており、上記炭酸ガス検出素
子を用いた検出装置の構造が複雑なものとなるという問
題を生じている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来では
困難であった臭素イオンを含有するアパタイトの製造法
について鋭意検討したところ、臭素イオンの含有量が調
整されたアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2-X BrX (0<X≦
2)〕を用いた炭酸ガス検出素子が極めて有用であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の請求項1記載のアパタ
イトは、以上の課題を解決するために、アパタイトに臭
素イオンが含有されていることを特徴としている。
【0010】本発明の請求項2記載のアパタイトの製造
方法は、以上の課題を解決するために、非晶質のリン酸
カルシウム微粒子を所定濃度にて含むスラリーに、有機
系分散剤を混合して混合液を得た後、上記リン酸カルシ
ウム微粒子に対して所定の添加量となる臭素イオンを上
記混合液に添加して、臭素イオン含有のリン酸カルシウ
ム微粒子を含む懸濁液を得た後、上記懸濁液を造粒乾燥
したリン酸カルシウム造粒物を得、続いて、上記リン酸
カルシウム造粒物を焼成することにより、臭素イオンの
含有量が調整されたアパタイトを得ることを特徴してい
る。
【0011】本発明の請求項3記載のアパタイトを用い
た炭酸ガス検出素子は、以上の課題を解決するために、
請求項1または請求項2に記載されたアパタイトを成形
した素子本体が設けられ、上記素子本体における炭酸ガ
スの存在によって変化する抵抗値を検出する一対の電極
が、上記素子本体の表面にそれぞれ設けられていること
を特徴としている。
【0012】上記有機系分散剤としては、懸濁液を焼成
したときにガス化して消失するものであり、その水溶液
が中性あるいはアルカリ性のものを用いる。また、上記
有機系分散剤を混合液に混合する際には、例えば臭素イ
オンとして臭化アンモニウムを添加したときに混合液が
酸性となることによるアパタイトの溶解を回避するため
に、上記混合液をpH7〜11に調整することが好まし
い。
【0013】上記アパタイトとしては、化学式M10(Z
4)6 2 で表される物質群が挙げられる。上記のMと
して、Ca、Pb、Ba、Sr、Cd、Zn、Ni、M
g、Na、K、Fe、Al の元素の中から少なくとも1
種が選択され、上記のZO4として、PO4 、AsO
4 、VO4 、SiO4 またはCO3 の原子団の中から少
なくとも1種が選択され、さらに、上記のXとして、O
H、F、Cl、Br、Iの原子団の中から少なくとも1
種が選択される。
【0014】上記スラリーに含まれる非晶質のリン酸カ
ルシウム(Amorphous Calcium Phosphate :以下、AC
Pと略す)微粒子は、このACP微粒子を造粒乾燥して
得られる造粒物の比表面積を大きくするために粒径約
0.1μm以下が望ましい。
【0015】上記ACP粒子を含むスラリーは、攪拌下
の水酸化カルシウム懸濁液に、リン酸水溶液の滴下によ
ってpH11〜6に調整することにより得られる。上記A
CP微粒子は、粉末X線回折法により、そのパターンか
らリン酸カルシウムであり、また、そのパターンがブロ
ードであることから、非晶質なリン酸カルシウム〔Ca
3(PO4)2 ・nH2O〕であることが確認される。
【0016】また、添加する臭素イオンとしては、水酸
基を臭素イオンに置換する反応を阻害しない、例えば臭
化アンモニウムの水溶液が好ましい。ただし、上記水溶
液は酸性を示すため、高濃度の上記水溶液をACPスラ
リー中に添加すると上記ACPが溶解するおそれがある
ので、上記水溶液の臭化アンモニウム濃度を50重量%以
下となるように調製することが望ましい。
【0017】また、ACPスラリーと上記水溶液とは、
室温条件下で混合することが望ましい。これは、室温条
件下の方がpHの調整が容易であり、また、混合中の温
度が高いとACPが結晶化したり、ACPの成分が溶出
したりして、造粒やpHの調整が困難なものとなるから
である。
【0018】一方、ACPスラリーにおけるACP微粒
子の含量を1〜90重量%の範囲で変更することにより、
所望の平均粒径を有するACP粒子を得ることができ
る。なお、ACPスラリーにおけるACP微粒子が90重
量%を越えると、ACPスラリーの粘度が高くなるので
造粒に不適となり、1重量%未満となると、ACPスラ
リーの溶媒を除去するのに手間取り、造粒化が不経済と
なる。
【0019】また、臭素イオン含有のACP粒子の造粒
法としては、得られる造粒粒子が、100μm以下の略球
状で、その比表面積を大きくでき、かつ、炭酸ガス検出
素子として、例えばシート状に成形された際に、成形体
に凝集粒子や亀裂を生じないものであれば、特に限定さ
れるものではないが、例えば噴霧乾燥造粒法を用いるこ
とができ、他にフリーズドライ後に粉砕してなる造粒
法、また、高速撹拌型造粒法を用いてもよい。
【0020】なお、上記臭素イオン含有のACP造粒粒
子を、炭酸ガス検出素子として用いる場合、上記造粒粒
子の平均粒径は、隣接する造粒粒子間の接触部位を確保
するために、50μm以下が望ましい。
【0021】上記の焼成とは、 0.1〜5時間、酸化雰囲
気下 800〜1300℃にて加熱焼成することであり、これに
よって、造粒粒子に含まれる有機系分散剤を、酸化しガ
ス化することにより飛散させ消失させて除去するための
ものであり、かつ、ACPを用いた場合、上記ACPを
結晶化させ、臭素イオン含有のアパタイトにするための
ものである。
【0022】上記焼成温度が 800℃未満では、ACPの
結晶化が不十分となり、一方、上記焼成温度が1300℃を
越えると、臭素イオン含有のアパタイトが分解してしま
う。
【0023】前記素子本体の形態としては、ペレット
型、厚膜型、薄膜型等、当該分野で公知のいずれの形態
であってもよい。ペレット型の場合は、臭素イオン含有
のアパタイト粒子が所望の形状に加圧成形される。
【0024】また、厚膜型の場合は、上述した臭素イオ
ン含有のアパタイト粒子が適当なバインダーおよび可塑
剤と共に適当な溶剤に混合され、さらに粘度調整された
後、所定の厚さに塗布成型され、続いて、 500〜1300℃
にて焼成することにより、上記バインダー、可塑材およ
び溶剤が消失し、厚膜状の素子本体となる。
【0025】このような素子本体により炭酸ガス検出素
子を形成する場合、上記素子本体の表裏両面で一対の電
極を設け、絶縁基板上に設けられるものであってもよ
く、また、絶縁基板上に上記素子本体を設置し、上記素
子本体の表面に、一対の櫛型電極が形成されたものであ
ってもよい。具体的には後述する実施例の記載が参照さ
れる。
【0026】
【実施例】本発明の各実施例について図1ないし図11
に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、AC
P粒子を含むスラリーの製造方法について説明すると、
最初に、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液に、pH11付
近に至るまで2〜4倍に水で希釈したリン酸水溶液を滴
下し、続いて、5〜8倍に水で希釈したリン酸水溶液を
滴下して、上記混合溶液をpH11〜7、好ましくはpH
11〜9に調整することにより、粒径約0.1μm以下のA
CP微粒子を含むスラリーを得た。
【0027】〔実施例1〕上記スラリーをイオン交換水
により希釈して、ACPの濃度が20重量%になるよう
に調製したACPスラリーを得た。弱アルカリ性の有機
系分散剤であるトリアクリル酸アンモニウム塩(第一工
業製薬社製、商品名:セラモD-134)を、上記ACPに対
し 0.5重量%となるように上記ACPスラリーに混入
し、さらに、臭化アンモニウムを上記ACPに対し10 m
ol%となるように上記ACPスラリーに混入し、攪拌モ
ーターで1時間攪拌して、混合物スラリーを得た。な
お、上記臭化アンモニウムは、水溶液(10重量%溶液)
の状態で添加した。
【0028】続いて、図1に示すように、ACP粒子
1、有機系分散剤2および臭化アンモニウム水溶液を含
む上記混合物スラリー3を、定量ポンプ4によりスプレ
ードライヤー(大川原化工機械社製 L−8)5に供給す
る。スプレードライヤー5のアトマイザー6を高速回転
させて、上記混合物スラリー3を、スプレードライヤー
5内の高温で乾燥した熱空気流中に噴霧することによ
り、噴霧造粒法によって造粒乾燥した。
【0029】造粒乾燥により得られた臭素イオンが吸着
されたACP造粒粒子7は、略球状であり、サイクロン
8によって、その平均粒径が10〜100 μmとなるように
分級、採取された。なお、サイクロン8により採取しき
れない超微粉体はバグフィルター(図示せず)により別
に採取された。続いて、上記ACP造粒粒子7は、酸化
雰囲気下で 800℃にて2時間焼成され、よって、上記A
CP造粒粒子7に含まれる有機系分散剤は酸化されてガ
ス化することにより蒸散・消失し、一方、上記ACP造
粒粒子7のACPが結晶化して臭素イオン含有のアパタ
イトとなり、所定濃度の臭素イオンを含有した粒子状の
アパタイトが得られた。
【0030】なお、上記スプレードライヤー5における
操作条件は次の通りである。定量ポンプ4による混合物
スラリー3のスプレードライヤー5に対する供給量は、
1〜3kg/hに設定され、エアフィルター9を介して電気
ヒーター10によって加温された乾燥用の熱空気の温度
および流量は、スプレードライヤー5における熱ガス室
11の入口温度が 200〜 250℃に、サイクロン8に繋が
るスプレードライヤー5の排出孔12における出口温度
が80℃を常に越えるように制御され、また、アトマイ
ザー6の回転数は 10000〜37000rpmの範囲内に設定され
た。
【0031】また、上記スプレードライヤー5をよりス
ケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原化
工機械社製 FOC-20,OD-25G、FOC-25,OC-25) を用いて、
混合物スラリー3の供給量を100kg/hrとし、他の条件は
上記と同様にACP粒子を調製したところ、上記スプレ
ードライヤー5によるACP粒子と同様のACP粒子が
得られた。
【0032】次に、前記臭化アンモニウム水溶液を上記
ACPに対し10、20、30、40、50、60、70、80、90、10
0 mol %となるように上記ACPスラリーにそれぞれ混
入し、以下同様に操作して、臭素イオンの吸着量の異な
る略球状のACP粒子をそれぞれ得た。
【0033】このようにして得られた各ACP粒子を焼
成した後、臭素イオン含有量を、イオンクロマトグラフ
ィ(横川電機製、商品名:IC500)によりそれぞれ定量分
析し、それらの結果から、臭素イオンの添加状態に換算
した分析換算値をそれぞれ算出した。それらの結果を表
1および図2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】そこで、上記各分析換算値と、それぞれに
対応する臭素イオンの添加量とを比較したところ、図2
に示すように、添加した臭素イオンが 100%吸着された
際の理論値である傾き1の直線上に、上記各分析換算値
は分布せず、50%以上添加した場合、理論値のほぼ1
/2の値になるところに分布していることから、添加し
た臭素イオンは、アパタイト粒子に対してほぼ50%吸
着されていることが判った。
【0036】このように上記実施例1の構成は、ACP
を含むスラリーを用い、上記スラリーに有機系分散剤を
用いたことにより、臭素イオンを吸着できる範囲内にて
所望する臭素イオン含有量を有するアパタイト粒子であ
って、後述するように室温においても、炭酸ガスを含有
する雰囲気中と含有しない雰囲気中とではインピーダン
スが変化し、その変化によって炭酸ガスを検出できるも
のである。
【0037】これにより、上記構成は、炭酸ガス検出素
子に用いられると、従来では、300℃程度に加熱しない
と炭酸ガス検出能が出現しなかったものが、室温にて炭
酸ガスを検出できるため、加熱手段を省くことができて
上記炭酸ガス検出素子を用いた検出装置を簡素化でき
る。
【0038】また、臭素イオン添加量が、10〜50mol
%、50、70、90mol %となる各ACP粒子について焼成
後、X線回折法により分析したところ、図3および図4
に示すように、臭素イオン含有量が増加するに伴って、
ピークBに対するピークAの大きさが大きくなり、これ
によっても、臭素イオンの含有量が判る。
【0039】なお、上記実施例1の構成では、臭素イオ
ンの原料として臭化アンモニウムを用いた例を挙げた
が、上記に特に限定されることはなく、例えば臭化カル
シウムを用いることも可能である。
【0040】〔実施例2〕次に、上記実施例1にて得ら
れたアパタイト粒子をそれぞれ用いた炭酸ガス検出素子
について、図5ないし図11に基づいて説明する。炭酸
ガス検出素子では、 100gの臭素イオン含有のアパタイ
ト粒子に対し、バインダーとしてのポリビニルブチラー
ル(積水化学社製、商品名:エスレックB,BH-3)を20〜
30重量%、可塑剤としてのジエチルフタレートとジブチ
ルフタレートの混合液を20〜30重量%、溶剤としてトル
エンとエタノールの混合液を50重量%、消泡剤(三洋化
成社製、商品名:イオネットS-85)を 0.1重量%となる
ようにそれぞれ加え、ボールミルにて20時間混合して、
均一な混合物を得た。
【0041】その後、上記混合物を、ロータリーエバポ
レーターにて脱泡し、ドクターブレード法によって膜厚
約 300μmのグリーンシートを得た。上記グリーンシー
トを焼成して、図5に示すように、素子膜片(素子本
体)14を得た。
【0042】上記焼成の条件は、5℃/分の昇温速度に
て室温から 500℃まで昇温した後、その 500℃の状態を
2時間維持し、続いて、 500℃から 800℃まで5℃/分
の昇温速度にて昇温した後、その 800℃の状態を2時間
維持し、続いて、 800℃から室温まで5℃/分の降温速
度にて降温する。
【0043】次いで、上記素子膜片14を、絶縁基板で
あるアルミナ基板15上に接着し、続いて、上記素子膜
片14上に一対の櫛形電極16・16を形成し、4本の
白金リード線17を一対の電流端子と一対の電圧端子と
してそれぞれ設けて、4端子法によってインピーダンス
を測定できる炭酸ガス検出素子18を作製した。上記各
櫛形電極16・16では、相互に対抗する電極板16a
が3本ずつ形成されている。なお、上記電極板16aの
数は、上記に限定されることはなく、2本から7本程度
形成してもよい。
【0044】上記4端子法は、つまりケルビンダブルブ
リッジ法であって、4端子の内、一対の電流端子に大き
な電流を流し、測定機内の可変標準抵抗値を可変して検
流計Gの振れが零となるようにして、検体のインピーダ
ンスが測定される。
【0045】上記炭酸ガス検出素子18のインピーダン
スを測定する測定システムでは、図6に示すように、上
記炭酸ガス検出素子18を収納するためのチェンバー2
0が、所定のガス雰囲気を維持できるように設けられて
いる。
【0046】また、上記測定システムでは、0.1 %の炭
酸ガス(CO2 )含有の空気が封入されたガスボンベ2
1aと、合成空気(N2 79%+O2 21%)が封入さ
れたガスボンベ21bと、上記各ガスボンベ21a・2
1bからのガスを混合するガスミクサ22とが設置さ
れ、さらに、上記ガスミクサ22からのガスを乾燥する
五酸化リンを含むガスドライヤ23と、上記ガスミクサ
22からのガスに対し加湿する加湿器24とが、前記チ
ェンバー20にガスを供給するように設けられている。
【0047】さらに、上記チェンバー20内には、チェ
ンバー20内の温度を測定するための熱電対25と、チ
ェンバー20内に設置された被検体である炭酸ガス検出
素子18を保温するセラミックヒータ28が設けられて
いる。
【0048】よって、上記熱電対25からの信号に基づ
いて、上記セラミックヒータ28の温度を制御するため
の温度コントローラ26と、この温度コントローラ26
からの制御信号によって上記セラミックヒータ28に給
電する電源30を制御するSSR(Solid State Relay
)31とが設けられている。
【0049】また、チェンバー20内のガス組成を検出
するためのガス分析器29が上記チェンバー20に接続
されている一方、炭酸ガス検出素子18のインピーダン
スを測定するためのインピーダンスアナライザー27が
設けられている。なお、上記インピーダンスアナライザ
ー27からの測定結果を示す信号は、マイクロコンピュ
ーター32に入力されて記憶され分析される。
【0050】次に、臭素イオン濃度50mol%の上記炭酸ガ
ス検出素子18について、合成空気、および、空気に10
00ppm の炭酸ガスを含有する混合ガス( 0.1%CO2 )雰
囲気下を、30分毎に切り替えて4端子法によって周波
数の変化に対するインピーダンスの変化を測定した。
【0051】なお、上記測定システムに用いたインピー
ダンスアナライザー27には、横河ヒューレットパッカ
ード社製のインピーダンスゲインフェイズアナライザ4
194Aを用いた。また、上記インピーダンスアナライ
ザー27は下記の条件にて測定した。
【0052】 測定条件 測定周波数 0.1 kHz、1kHz、10kHz 測定信号レベル 1.0V 積分時間 100msec 切替時間 30分毎 ただし、上記の測定では、上記チェンバー20に、ガス
ボンベ21bからの合成空気と、ガスボンベ21aから
の混合ガス(CO2 含空気)とを、例えば200ml/min に
て30分毎に切り替えて流しながら、室温(25℃)、50
%RHにて、炭酸ガス検出素子18のインピーダンスを
周波数毎に測定した。
【0053】臭素イオン濃度50mol %の炭酸ガス検出素
子18における4端子法での測定結果を、図7に示し
た。図7から、CO2 含空気が流れている間は、いずれ
の測定周波数であっても合成空気が流れている間のイン
ピーダンスよりも小さくなっていることが判る。したが
って、この結果から、臭素イオン濃度50mol %の炭酸ガ
ス検出素子18では、室温にて、良好な炭酸ガス検出特
性を示すことが判った。
【0054】このように上記実施例2における炭酸ガス
検出素子18は、 100Hzから10kHzの測定周波数を用い
て、4端子法によりインピーダンスを測定することによ
り、室温にて炭酸ガスを検出できるものである。
【0055】したがって、上記炭酸ガス検出素子18
は、 100Hzから10kHzの測定周波数を用いることによ
り、比較的安価な回路構成とでき、その上、従来のよう
に検出素子を 300℃以上に加熱する必要がなく、ヒータ
ー等の加熱手段を省くことができるから、炭酸ガス検出
装置を簡素化でき、省エネルギー化でき、かつ、コスト
ダウンできるものとなっている。
【0056】なお、上記実施例2では、素子膜片14を
グリーンシートを焼成して得るために、上記焼成の条件
として、5℃/分の昇温速度にて室温から 500℃まで昇
温した後、その 500℃の状態を2時間維持し、続いて、
500℃から 800℃まで5℃/分の昇温速度にて昇温した
後、その 800℃の状態を2時間維持し、続いて、 800℃
から室温まで5℃/分の降温速度にて降温している。
【0057】ここで、臭素イオン濃度50 mol%のアパタ
イト粒子からなる素子膜片14の焼成温度と比表面積と
の関係を、図8に示す。この図では、比較例として塩素
イオン濃度60 mol%のアパタイト粒子からなる素子膜片
の焼成温度と比表面積との関係を示す。
【0058】図8から、臭素イオン濃度50 mol%のアパ
タイト粒子と塩素イオン濃度60 mol%のアパタイト粒子
いずれの粒子であっても、焼成温度が高くなるほど比表
面積が小さくなっている。これは、前述したように、焼
成温度が高くなれば、焼結が進行して、多孔質な造粒粒
子内の空孔が減少することに起因しているためである。
また、同じ焼成温度であれば、臭素イオン濃度50 mol%
のほうが塩素イオン濃度60 mol%よりも比表面積が大き
くなっていることも判る。
【0059】但し、ACP粒子の焼成パターンは、臭素
イオン濃度50 mol%と塩素イオン60濃度 mol%のいずれ
の場合も、図9に示すパターンにて焼成されるものとす
る。
【0060】また、上記実施例2では、グリーンシート
を、焼成用の基板上にて焼成して素子膜片14を形成し
た例を挙げたが、上記グリーンシートをアルミナ基板等
の絶縁基板上に形成し、上記絶縁基板上のグリーンシー
トを焼成して素子膜片を形成してもよい。これにより、
上記グリーンシートの絶縁基板への接着を省くことがで
きる。
【0061】また、上記炭酸ガス検出素子は、 250℃以
下の温度にても、炭酸ガスを検出できるものであり、2
5℃程度の常温においても、炭酸ガスの検出測定可能と
なっている。なお、上記実施例2の構成では、図5に示
すように、櫛形電極16を設けた例を挙げたが、図10
に示すように、素子膜片14の両面に櫛形電極46aを
有する電極46・46をそれぞれ形成した炭酸ガス検出
素子48を使用してもよい。また、図11に示すよう
に、アパタイト粒子を略直方体形状に成形し焼成したペ
レット状の検出素子54を形成し、その検出素子54の
表面に、各電極16を形成した炭酸ガス検出素子58を
使用してもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のアパタイトは、
以上のように、アパタイトに臭素イオンが含有されてい
る構成である。
【0063】それゆえ、上記構成は、アパタイトに、例
えば濃度調整された臭素イオンを含有させることによ
り、室温において炭酸ガスを検出できるものであり、よ
って、炭酸ガス検出装置に用いると、従来のように加熱
する必要がないため、上記炭酸ガス検出装置を簡素化で
きるという効果を奏する。
【0064】本発明の請求項2記載のアパタイトの製造
方法は、以上のように、非晶質のリン酸カルシウム微粒
子を所定濃度にて含むスラリーに、有機系分散剤を混合
して混合液を得た後、上記リン酸カルシウム微粒子に対
して所定の添加量となる臭素イオンを上記混合液に添加
して、臭素イオン含有のリン酸カルシウム微粒子を含む
懸濁液を得た後、上記懸濁液を造粒乾燥したリン酸カル
シウム造粒物を得、続いて、上記リン酸カルシウム造粒
物を焼成することにより、臭素イオンの含有量が調整さ
れたアパタイトを得る方法である。
【0065】それゆえ、上記方法は、臭素イオン濃度を
調整できることにより、室温において炭酸ガスを検出で
きるアパタイトを得ることができ、従来のように加熱す
る必要がないため、簡便な炭酸ガス検出装置とすること
の可能なアパタイトを得ることができるという効果を奏
する。
【0066】本発明の請求項3記載の炭酸ガス検出素子
は、以上のように、請求項1または2記載のアパタイト
を成形した素子本体が設けられ、上記素子本体における
炭酸ガスの存在によって変化するインピーダンスを検出
する一対の電極が、上記素子本体の表面にそれぞれ設け
られている構成である。
【0067】それゆえ、上記構成は、請求項1記載の臭
素イオン含有のアパタイトを用いることにより、室温に
おいても炭酸ガスを検出することができるから、例えば
炭酸ガス検出装置に用いると、従来の炭酸ガス検出素子
では、 300℃以上でないと炭酸ガス検出能を発揮できな
かったため、上記炭酸ガス検出素子の加熱手段が必要で
あったが、上記構成では、上記加熱手段を省けるから、
上記炭酸ガス検出装置を簡素化できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の臭素イオン含有のアパタイト粒子を製
造する際に用いたスプレードライヤーの概略構成図であ
る。
【図2】上記臭素イオンを含有する各アパタイト粒子に
おける含有臭素イオン量と、臭素イオンの添加量との関
係を示すグラフである。
【図3】上記臭素イオンを10〜50 mol%それぞれ含有す
る各アパタイト粒子のX線回折図である。
【図4】上記臭素イオンを60〜 90mol%それぞれ含有す
る各アパタイト粒子のX線回折図である。
【図5】上記アパタイト粒子を用いた炭酸ガス検出素子
の斜視図である。
【図6】上記炭酸ガス検出素子のインピーダンスを測定
するための測定システムを示す構成図である。
【図7】臭素イオン含有量の異なる上記各炭酸ガス検出
素子におけるインピーダンスをガス雰囲気を30分毎に
切り替えながら、測定周波数0.1 kHzないし10kHzにて
測定したグラフである。
【図8】臭素イオン濃度50 mol%の素子膜片と塩素イオ
ン濃度60 mol%の素子膜片との焼成温度と比表面積との
関係を示すグラフである。
【図9】臭素イオン濃度50 mol%の素子膜片の焼成パタ
ーンを示すグラフである。
【図10】上記炭酸ガス検出素子の一変形例を示す斜視
図である。
【図11】上記炭酸ガス検出素子の他の一変形例を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 ACP粒子(リン酸カルシウム微粒子) 2 有機系分散剤 14 素子薄片(素子本体) 16 電極 18 炭酸ガス検出素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アパタイトに臭素イオンが含有されている
    ことを特徴とするアパタイト。
  2. 【請求項2】非晶質のリン酸カルシウム微粒子を所定濃
    度にて含むスラリーに、有機系分散剤を混合して混合液
    を得た後、上記リン酸カルシウム微粒子に対して所定の
    添加量となる臭素イオンを上記混合液に添加して、臭素
    イオン含有のリン酸カルシウム微粒子を含む懸濁液を得
    た後、上記懸濁液を造粒乾燥したリン酸カルシウム造粒
    物を得、続いて、上記リン酸カルシウム造粒物を焼成す
    ることにより、臭素イオンの含有量が調整されたアパタ
    イトを得ることを特徴とするアパタイトの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載されたアパ
    タイトを成形した素子本体が設けられ、上記素子本体に
    おける炭酸ガスの存在によって変化する抵抗値を検出す
    る一対の電極が、上記素子本体の表面にそれぞれ設けら
    れていることを特徴とする炭酸ガス検出素子。
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