JPH08225906A - TiAl基合金薄板およびその製造方法 - Google Patents

TiAl基合金薄板およびその製造方法

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JPH08225906A
JPH08225906A JP3358895A JP3358895A JPH08225906A JP H08225906 A JPH08225906 A JP H08225906A JP 3358895 A JP3358895 A JP 3358895A JP 3358895 A JP3358895 A JP 3358895A JP H08225906 A JPH08225906 A JP H08225906A
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JP
Japan
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tial
based alloy
thin plate
rolling
alloy thin
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JP3358895A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Fujitsuna
宣之 藤綱
Koichi Sakamoto
浩一 坂本
Tatsuhiko Sodo
龍彦 草道
Atsuyuki Miyamoto
淳之 宮本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 金属間化合物TiAlを主要構成相とするTiAl基
合金の溶湯を、板厚方向に対して片側断熱、片側冷却構
造の鋳型に注湯して指向性凝固をさせることにより薄板
状に鋳造し、得られた薄板状鋳片に対して、圧下率20%
以上の熱間圧延を行なうことを特徴とするTiAl基合金薄
板の製造方法、及び、かかる製造方法によって得られる
微細粒組織を有するTiAl基合金薄板。 【効果】 二次成形加工性に優れ、二次成形加工し得る
TiAl基合金薄板を実施上困難でなく容易な製造方法によ
り得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TiAl基合金薄板及びそ
の製造方法に関し、特には航空・宇宙分野での飛行体の
機体材料に適したTiAl基合金薄板とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】TiAl基合金は、 800℃程度まで強度が低
下しないという特性を有しており、合金の主構成元素が
Ti及びAlという軽量元素であるから極めて軽量である。
そのため、Ni基あるいはCo基超合金等の従来の耐熱材料
に代る材料として、航空機や発電機等のタービンエンジ
ン部品(タービンブレード、ベーン、ケーシング等)
や、自動車エンジン部品(特にバルブ)及び航空・宇宙
分野での飛行体の機体材料として非常に有利である。
【0003】ところが、TiAl基合金は室温での延性が乏
しく、又、熱間での加工性、成形性が悪いことが実用化
の大きな障害となっている。特に、熱間での加工性や成
形性の悪いことが原因となり、実用に供せられる素形材
(特に薄板)の製造が困難となっている。
【0004】このTiAl基合金の熱間での加工性や成形性
を悪くしている要因としては、合金組織内に加工性を劣
化させる粗大な層状組織が生じ易いことが挙げられる。
その対策として、例えば特公昭63-6625 号公報、特開昭
63-171862 号公報等に記載の如く、恒温鍛造やシース加
工等により加工方法に工夫を加え、同時に加工中の再結
晶を利用して組織を微細化する方法(以降、従来法Aと
いう)が試みられている。又、薄板製造方法で見ると、
特開平2-224803号公報に記載の如く、20℃/秒以上の凝
固速度で鋳片を製造し、恒温圧延する方法(以降、従来
法Bという)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来法Aにおいては、組織が均一なTiAl基合金を得るため
には70%以上の強加工が必要であり、そのため、得られ
る素材は不均質な組織となり易く、二次成形加工に適し
た均質微細粒組織が得られない。そのため(組織が不均
質なため)、二次成形加工中の変形が不均質となり、従
って、二次成形加工が困難であるという問題点がある。
更に、この方法は押出し及び鍛造による加工方法であ
り、そのため薄板製造に適用するのは極めて困難であ
る。
【0006】前記従来法Bでは、二次成形加工に適した
微細粒組織を有するTiAl基合金薄板を製造することは出
来るものの、具体的な鋳造手段がストリップキャスティ
ングとなっており、又、凝固速度が20℃/秒以上となっ
ているために、その実施上で困難をともなうという問題
点がある。
【0007】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、前記従来法A、Bの有する
問題点を解消し、二次成形加工性に優れ、二次成形加工
し得るTiAl基合金薄板を提供すると共に、かかるTiAl基
合金薄板を容易に製造し得るTiAl基合金薄板の製造方法
を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るTiAl基合金薄板及びその製造方法
は、次のような構成としている。即ち、請求項1記載の
TiAl基合金薄板の製造方法は、金属間化合物TiAlを主要
構成相とするTiAl基合金の溶湯を、板厚方向に対して片
側断熱、片側冷却構造の鋳型に注湯して指向性凝固をさ
せることにより薄板状に鋳造し、得られた薄板状鋳片に
対して、圧下率20%以上の熱間圧延を行なうことを特徴
とするTiAl基合金薄板の製造方法である。
【0009】請求項2記載の製造方法は、前記指向性凝
固の際の冷却速度を5℃/秒以上とする請求項1記載の
TiAl基合金薄板の製造方法である。請求項3記載の製造
方法は、前記鋳片の熱間圧延を恒温で圧延する恒温圧延
により行う請求項1又は2に記載のTiAl基合金薄板の製
造方法である。請求項4記載の製造方法は、前記鋳片の
熱間圧延を動的再結晶の起こる温度及びひずみ速度で行
う請求項1、2又は3に記載のTiAl基合金薄板の製造方
法である。請求項5記載の製造方法は、前記熱間圧延の
際の圧延温度が900 ℃以上であり、ひずみ速度が 100
10-4/秒である請求項1、2、3又は4に記載のTiAl基
合金薄板の製造方法である。請求項6記載の製造方法
は、前記鋳片の熱間圧延を、鋳片をシースに封入して圧
延するパック圧延により行なう請求項1、2、4のいず
れかに記載のTiAl基合金薄板の製造方法である。又、請
求項7記載の製造方法は、前記溶湯の溶製、前記鋳造及
び熱間圧延の際の雰囲気として真空又は不活性雰囲気が
適用される請求項1ないし6のいずれかに記載のTiAl基
合金薄板の製造方法である。
【0010】請求項8記載のTiAl基合金薄板は、請求項
1、2、3、4、5、6又は7に記載のTiAl基合金の薄
板製造方法により製造され、金属間化合物TiAlを主要構
成相としてなるTiAl基合金薄板である。
【0011】請求項9記載のTiAl基合金薄板は、結晶の
平均粒径が15μm以下である請求項8に記載のTiAl基合
金薄板である。請求項10記載のTiAl基合金薄板は、結
晶の平均粒径が5μm以下で、超塑性伸びが 200%以上
である請求項8又は9に記載のTiAl基合金薄板である。
又、請求項11記載のTiAl基合金薄板は、成形加工用で
ある請求項8、9又は10に記載のTiAl基合金薄板であ
る。
【0012】
【作用】本発明は、前記目的を達成するため鋭意研究を
重ねた結果、金属間化合物TiAlを主要構成相とするTiAl
基合金の溶湯を板厚方向に対して片側断熱、片側冷却構
造の鋳型に注湯して指向性凝固をさせることにより薄板
状に鋳造し、得られる薄板状鋳片を圧下率20%以上で熱
間圧延するという実施上困難でなく容易な方法により、
二次成形加工性に優れたTiAl基合金薄板を製造できるこ
と等を知見し、かかる知見に基づき完成されたものであ
る。
【0013】即ち、TiAl基合金の加工性が悪い原因とし
ては、鋳造段階で合金組織内にTiAlと Ti3Alとからなる
粗大な層状組織が生成することにある。従って、TiAl基
合金の薄板を容易に製造できるようにするためには、加
工方法を工夫することに加えて鋳造組織を制御すること
が有効であり、この鋳造組織の制御としては層状組織
の方向の制御、鋳造組織の微細化、鋳造欠陥の低減
が考えられる。より詳細には、層状組織そのものは加
工方向に平行又は垂直に向いていない限り容易に変形す
ることが知られており(例えば、Philos. Mag. A, 61(1
990), 591 )、そこで多結晶体で層状組織の方向を制御
し得れば、TiAl基合金の加工性を改善し得ることにな
り、鋳造組織を微細化できれば加工性の改善が可能に
なると考えられ、更に、ブローホールや引け巣などの
鋳造欠陥が存在すると、加工時の割れの原因になるた
め、素材鋳塊の鋳造欠陥を低減させることも重要であ
る。
【0014】かかる観点からTiAl基合金の鋳造方法を検
討した結果、板厚方向に対して片側断熱、片側冷却構造
の鋳型にTiAl基合金溶湯を注湯して鋳型の冷却側から断
熱側に指向性を持たせて凝固させる指向性凝固法が有効
であることが判明した。その理由は以下に示す通りであ
る。
【0015】鋳造したTiAl基合金で認められる層状組織
は、面心正方晶構造のTiAlと稠密六方晶構造の Ti3Al
が、{111}γ//{0001}α2 の結晶方位関係
(ここで、γ:TiAl,α2 :Ti3Al )を有しており、凝
固の方向に対して45°の角度を持って形成される(例え
ば、Acta Metall., 37(1989),1321 参照)。従って、板
厚方向に指向性凝固させれば、層状組織は板厚方向(即
ち圧延加工の際に圧延荷重がかかる方向)に対して45°
の角度を持って形成される。そうすると、圧延加工の際
に剪断変形が層境界に沿って起こり(例えば、Philos.
Mag. A, 61(1990), 591 )、そのため変形が容易にな
り、圧延加工性が向上するはずである。指向性凝固法
は、かかる指向性凝固が可能であり、故に圧延加工性を
向上させ得る。以上が、指向性凝固法が有効である第1
の理由である。
【0016】ここで、指向性凝固法によれば、かかる板
厚方向への指向性凝固が可能である理由を以下説明す
る。指向性凝固法によれば、板厚方向に対して片側断
熱、片側冷却構造の鋳型に溶湯が注湯されることに起因
し、熱流は断熱側から冷却側に向かうので、鋳型面で多
様な方位を持つ初晶が晶出しても、熱流に対して最適な
成長方向を有する結晶のみが優先的に成長し、そのため
デンドライトの主軸は冷却側から断熱側に向けて伸びて
いき、従って、板厚方向に凝固するからである。
【0017】かかる指向性凝固法においては、冷却側を
金型等の冷却能の高い構造にすることにより、その抜熱
効果が高められ、一般的な鋳造法(砂型鋳造や金型鋳造
や黒鉛鋳型を用いるブロック状鋳塊の製造方法)よりも
凝固速度を上昇させることができ、従って、微細な鋳造
組織が得られるようになる。これが、指向性凝固法が有
効である第2の理由である。
【0018】又、最終凝固部が断熱側に存在するため、
鋳造欠陥を断熱側に集中除去することが可能になり、従
って、実質的に鋳造欠陥を低減させ得る。これが、指向
性凝固法が有効である第3の理由である。
【0019】このように、板厚方向に対して片側断熱、
片側冷却構造の鋳型にTiAl基合金溶湯を注湯して鋳型の
冷却側から断熱側に指向性を持たせて凝固させる指向性
凝固法が加工性の向上に有効であり、かかる指向性凝固
法によれば圧延加工性に優れたTiAl基合金薄板状鋳片が
得られる。そして、この鋳片を熱間圧延することによ
り、TiAl基合金薄板を製造し得る。
【0020】このとき、従来法BやAでの如き製造上困
難性がなく、従来法BやAに比して製造が容易である。
また、得られるTiAl基合金薄板は、組織が均質かつ微細
であり、成形加工中の変形も均質となり、二次成形加工
性に優れていることがわかった。
【0021】以上の知見に基づき、本発明に係るTiAl基
合金薄板の製造方法(請求項1記載のTiAl基合金薄板の
製造方法)は、金属間化合物TiAlを主要構成相とするTi
Al基合金の溶湯を、板厚方向に対して片側断熱、片側冷
却構造の鋳型に注湯して指向性凝固をさせることにより
薄板状に鋳造し、得られた薄板状鋳片に対して、圧下率
20%以上の熱間圧延を行なうようにしている。従って、
二次成形加工性に優れ、二次成形加工し得るTiAl基合金
薄板を容易に製造し得るようになる。
【0022】ここで、熱間圧延の際に圧下率20%以上と
しているのは、20%未満では、再結晶に必要な合金組織
内のひずみの蓄積が不十分であり、動的再結晶のみなら
ず圧延後の熱処理によっても再結晶があまり起こらず、
微細粒組織が得られないためである。尚、更に、薄板内
部での位置による組織の差がない均質な組織とするため
には、圧下率を50%以上とすることが望ましく、特に圧
延加工で組織を均質化する観点からは圧下率を70%以上
とすることが望ましい。熱間圧延温度としては900 〜12
00℃にすればよい。
【0023】本発明において、指向性凝固の際の冷却速
度(鋳造の際の冷却速度、即ち、凝固速度)は1〜30℃
/秒にすればよいが、5℃/秒以上とすることが望まし
い(請求項2記載のTiAl基合金薄板の製造方法)。これ
は、前記の如き層状組織の方向制御及び鋳造組織の微細
化効果が、5℃/秒未満では低下する傾向にあり、5℃
/秒以上では高水準で確実に確保されるからである。更
に、かかる微細化効果を高めるには、10℃/秒以上とす
ることが望ましい。
【0024】前記鋳片の熱間圧延に際し、圧延時のロー
ルと鋳片との接触や放熱による鋳片の温度低下に起因す
る圧延割れを確実に防止するためには、鋳片をTi合金、
ステンレス鋼、Ni基合金等よりなるシースに封入して圧
延するパック圧延により熱間圧延を行なうことが望まし
い(請求項6記載のTiAl基合金薄板の製造方法)。但
し、かかるパック圧延では圧延温度を高くする(好まし
くは1200℃以上)必要があるから、動的再結晶による微
細化は生ずるものの、結晶粒の粗大化も顕著に起こるた
め、二次成形加工を超塑性成形により行う場合に適した
微細粒組織を有するTiAl基合金薄板が得られ難くなる。
この対策として、超塑性成形に適した微細粒組織とする
には、より低い温度で熱間圧延する必要があり、この観
点から恒温で圧延する恒温圧延により熱間圧延を行うこ
とが望ましい(請求項3記載のTiAl基合金薄板の製造方
法)。
【0025】TiAl基合金薄板の二次成形加工性をより向
上するには、その組織をより結晶粒の小さい組織(微細
粒組織)にすることが有効である。かかる微細粒組織と
するためには、動的再結晶を利用するのが有効であり、
前記鋳片の熱間圧延を動的再結晶の起こる温度及びひず
み速度で行うことが望ましい(請求項4記載のTiAl基合
金薄板の製造方法)。例えば、温度を900 ℃以上、ひず
み速度を 100〜10-4/秒にして行うことが望ましく(請
求項5記載のTiAl基合金薄板の製造方法)、また、この
とき恒温圧延により行うことが望ましい。特に、結晶の
平均粒径5μm以下の微細粒組織にするためには、温度
を900 〜1100℃、ひずみ速度を10-3/秒以上にすること
が好ましい。更に微細粒組織にするためには、ひずみ速
度を1×10-1/秒以上にすることが好ましい。
【0026】又、常温延性を阻害する酸素等の有害ガス
元素の混入を防ぐために、前記溶湯の溶製、前記鋳造及
び熱間圧延は真空又はアルゴン等の不活性雰囲気下で行
われることが望ましい(請求項7記載のTiAl基合金薄板
の製造方法)。パック圧延の場合には、シース内を真空
又は不活性雰囲気にした状態で圧延すればよく、有害ガ
ス元素の混入を防げる。尚、熱間圧延後のTiAl基合金薄
板に未再結晶粒があり、それが問題となる場合には、再
結晶化のための熱処理を行えばよい。
【0027】以上のようなTiAl基合金薄板の製造方法に
より得られるTiAl基合金薄板は、二次成形加工性に優
れ、二次成形加工し得るTiAl基合金薄板である(請求項
8記載のTiAl基合金薄板)。又、前記の如く微細粒組織
となっているので、その後の熱処理により容易に任意の
組織形態(等軸粒組織、Duplex組織、層状組織)を作り
分けることができ、常温延性を重視したり高温強度を重
視したりという任意の特性を持たせることができて有用
である。中でも、結晶の平均粒径が15μm以下のもの
(請求項9記載のTiAl基合金薄板)は、二次成形加工性
に優れており、特に結晶の平均粒径が5μm以下のもの
は超塑性伸びが 200%以上であり、超塑性成形が可能で
ある(請求項10記載のTiAl基合金薄板)。従って、これ
らの本発明に係るTiAl基合金薄板は特に成形加工用とし
て好適である(請求項11記載のTiAl基合金薄板)。
【0028】本発明において、TiAl基合金は、金属間化
合物TiAlを主要構成相とするものであり、金属間化合物
TiAlだけの場合もあるし、それ以外に必要な合金元素を
含む場合もあるし、又、不可避的不純物を含む場合もあ
る。金属間化合物TiAlは、TiとAlとよりなる金属間化合
物であり、TiとAlとの原子比は通常約1:1である。
【0029】TiAl基合金の溶湯を得るための溶解法とし
ては、例えば高周波誘導スカル溶解炉による溶解法、プ
ラズマアーク溶解法、真空アーク溶解法等を適用でき、
溶解原料としてはTiAl基合金や、Ti材とAl材とを配合し
たものを使用できる。鋳型としては、板厚方向に対して
片側断熱、片側冷却構造のものとする必要があるが、そ
のためには例えば片側をアルミナ系耐火ボード、セラミ
クスウール等の如く熱伝導率の低い材質で構成し、片側
(対向面側)を黒鉛、金型等の如く熱伝導率の高い材質
で構成すればよい。鋳型形状としては縦型板状キャビテ
ィーを有するものを使用でき、そのキャビティー面は必
ずしも平行である必要はない。鋳型キャビティー寸法と
しては、例えば、厚みを5〜15mmとし、深さ、幅を必要
な大きさにすればよい。鋳型へ注湯する際の溶湯の温度
は液相線温度+(50〜100)℃にすればよい。
【0030】
【実施例】本発明の実施例を以下説明するが、これによ
って本発明は何ら限定されるものではない。 (実施例1)Ti-46 at%(原子%)Al合金を高周波誘導スカ
ル溶解炉によって溶解し、得られた溶湯を板厚方向に対
して片側断熱、片側冷却構造の鋳型に注湯して指向性凝
固をさせることにより薄板状に鋳造し、薄板状鋳片(以
下、指向性凝固鋳片という)を得た。ここで、鋳型とし
ては、湯口及び 160×300 ×6mmの板状キャビティーを
有する鋳型であって、板厚方向に対して片側断熱、片側
冷却構造とするために片側を熱伝導率の低い材質、片側
(対向面側)を熱伝導率の高い材質で構成した鋳型、具
体的には鋳型材質として冷却側を黒鉛、断熱側をアルミ
ナ系耐火ボードで構成した鋳型を使用した。鋳型に注湯
する溶湯の温度は1560℃である。鋳造の際の冷却速度、
即ち、凝固速度は約6℃/秒であった。
【0031】上記指向性凝固鋳片を用いて、(A) 圧延温
度1000〜1300℃の熱間圧延、(B) 圧延温度1000〜1300℃
のパック圧延、(C) 圧延温度1100℃(一定)、ひずみ速
度1×10-3/秒、圧下率67%の恒温圧延をそれぞれ行
い、それによりTi-46at%Al合金薄板(本発明の実施例1
に係るTiAl基合金薄板)を得た。
【0032】一方、比較のため、上記実施例1と同様の
溶湯を 160×210 ×80mmのブック状キャビティーを有す
る黒鉛鋳型に注湯して鋳造し、板状鋳片(以下、通常凝
固鋳片という)を得た後、該鋳片から板厚4mmの圧延素
材用板(以下、通常素板という)を機械加工により切り
出し、これを用いて上記実施例と同様の恒温圧延(C)を
行い、Ti-46at%Al合金薄板(比較例1に係るTiAl基合金
薄板)を得た。尚、この場合、鋳造の際の凝固は指向性
凝固ではなく、所謂通常凝固であり、両側から凝固され
る。
【0033】上記鋳片及び薄板の性状調査、圧延の際の
変形抵抗の調査等を行った。その結果を以下説明する。
鋳片のX線透過試験をしたところ、通常凝固鋳片の場合
には板厚中心部に引け巣が存在しているが、指向性凝固
鋳片では欠陥が認められなかった。これより、指向性凝
固によって鋳造欠陥が確実に著しく低減することがわか
る。
【0034】指向性凝固鋳片及び通常凝固鋳片のミクロ
組織模式図(板厚方向の組織を明示する直角方向の断面
のもの)を図1及び2に各々示し、又、ミクロ組織顕微
鏡写真を図3及び4に各々示す。通常凝固鋳片の場合、
図2、4に示す如く、内部の層状組織がランダムな方向
を向いた等軸粒組織となっており、層状組織の方向性は
認められない。これに対し、指向性凝固鋳片の場合は、
図1、3に示す如く、熱流の方向(凝固進行方向)に平
行な結晶が優先生長したと考えられる柱状晶帯が形成さ
れており、内部の層状組織は凝固進行方向に対して45〜
60°程度の角度を有していることがわかる。これより、
指向性凝固によって圧延加工に有利な方向に層状組織を
制御できることがわかる。
【0035】指向性凝固鋳片及び通常鋳造材について恒
温圧延をしたときの圧下率と平均変形圧力(変形抵抗)
との関係を図5に示す。指向性凝固鋳片の方が変形抵抗
が小さく、指向性凝固によって圧延加工性が著しく向上
することがわかる。又、圧延後、得られたTiAl基合金薄
板を調べたところ、圧延素板として通常鋳造材を用いた
場合には耳割れが発生しているのに対して、指向性凝固
鋳片を用いた場合には耳割れ等の支障が認められず、健
全であった。
【0036】指向性凝固鋳片についての熱間圧延(A) 及
びパック圧延(B) の結果を、圧延条件(圧延温度及び圧
下率)と共に表1に示す。熱間圧延(A) 即ち通常の熱間
圧延の場合、表1に示す圧延条件では圧延割れの発生が
あるが、パック圧延(B) の場合には、圧延割れが抑えら
れ、1200℃以上に加熱することにより30%程度の圧下率
でも圧延割れがなく、良好な圧延が可能であることがわ
かる。従って、パック圧延の場合、1200℃以上に加熱
し、1回の加熱で圧延する圧下率を安定して加工できる
10〜20%とし、その後再加熱をするパターンで繰り返し
圧延することにより、任意の厚さのTiAl基合金薄板を製
造できるようになる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】(実施例2)実施例1と同様の指向性凝固
鋳片を用いて、表2に示す圧延条件(圧延温度、歪速
度、圧下率))で恒温圧延を行ない、得られたTiAl基合
金薄板(恒温圧延材)について断面ミクロ組織を光学顕
微鏡で観察して組織形態及び平均粒径を求め、又、二次
成形加工特性を確認するために、1050℃で5×10-4/秒
の歪速度での超塑性伸びを測定した。これらの結果をま
とめて表2に示す。一方、比較のために、実施例1にお
ける指向性凝固鋳片のパック圧延(B) で得られたTiAl基
合金薄板(パック圧延材)の中、圧延割れがなかったも
のについて、上記実施例2の場合と同様にミクロ組織と
超塑性伸びを調べた。その結果を表3に示す。
【0041】表3から明らかな如く、パック圧延材では
内部のミクロ組織は、再結晶粒と残存している層状組織
との混在組織(No.11, 12, 14 〜16)或いは再結晶粒が
あまり存在せず、変形した層状組織が主要構成組織とな
っている(No.10, 13)。これに対し、表2に示す恒温圧
延材では、900 ℃で圧延をしたものには割れが認められ
たり(No.2)、内部のミクロ組織が層状組織との混在組
織(No.1)になっているものもあるが、1000℃以上で恒
温圧延を行うと、初期の層状組織の残存率が10%以下と
なり、粒径が5μm程度の微細粒組織になっていること
がわかる。
【0042】又、表3でのパック圧延材の場合、微細粒
組織となっていないため、1050℃、歪速度5×10-4/秒
での伸びが最大で125 %であり、超塑性変形能を有して
いるとはいえない。これに対し、表2のNo.1, 2 以外の
恒温圧延材では粒径が5μm程度の微細粒組織となって
いるため、最低でも220 %の伸びを示しており、超塑性
成形能を有している。従って、微細粒組織を有し、超塑
性成形能を有するTiAl基合金薄板を製造するためには、
指向性凝固鋳片を恒温圧延により薄板化することが有効
であることがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明は、二次成形加工性に優れ、二次
成形加工し得るTiAl基合金薄板が得られ、しかも、かか
るTiAl基合金薄板を実施上困難でなく容易な製造方法に
より得ることができるという効果を奏するものであり、
産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る指向性凝固鋳片のミ
クロ組織を示す模式図である。
【図2】 比較例1に係る通常凝固鋳片のミクロ組織を
示す模式図である。
【図3】 本発明の実施例1に係る指向性凝固鋳片の金
属組織を示す図面代用写真である。
【図4】 比較例1に係る通常凝固鋳片の金属組織を示
す図面代用写真である。
【図5】 本発明の実施例1に係る指向性凝固鋳片及び
比較例1に係る通常鋳造材についての恒温圧延の際の圧
下率と変形抵抗との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 淳之 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属間化合物TiAlを主要構成相とするTi
    Al基合金の溶湯を、板厚方向に対して片側断熱、片側冷
    却構造の鋳型に注湯して指向性凝固をさせることにより
    薄板状に鋳造し、得られた薄板状鋳片に対して、圧下率
    20%以上の熱間圧延を行なうことを特徴とするTiAl基合
    金薄板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記指向性凝固の際の冷却速度を5℃/
    秒以上とする請求項1記載のTiAl基合金薄板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記鋳片の熱間圧延を恒温で圧延する恒
    温圧延により行う請求項1又は2に記載のTiAl基合金薄
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記鋳片の熱間圧延を動的再結晶の起こ
    る温度及びひずみ速度で行う請求項1、2又は3に記載
    のTiAl基合金薄板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱間圧延の際の圧延温度が900 ℃以
    上であり、ひずみ速度が 100〜10-4/秒である請求項
    1、2、3又は4に記載のTiAl基合金薄板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記鋳片の熱間圧延を、鋳片をシースに
    封入して圧延するパック圧延により行なう請求項1、
    2、4のいずれかに記載のTiAl基合金薄板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記溶湯の溶製、前記鋳造及び熱間圧延
    の際の雰囲気として真空又は不活性雰囲気が適用される
    請求項1ないし6のいずれかに記載のTiAl基合金薄板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7に
    記載のTiAl基合金の薄板製造方法により製造され、金属
    間化合物TiAlを主要構成相としてなるTiAl基合金薄板。
  9. 【請求項9】 結晶の平均粒径が15μm以下である請求
    項8に記載のTiAl基合金薄板。
  10. 【請求項10】結晶の平均粒径が5μm以下で、超塑性
    伸びが 200%以上である請求項8又は9に記載のTiAl基
    合金薄板。
  11. 【請求項11】成形加工用である請求項8、9又は10
    に記載のTiAl基合金薄板。
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