JPH08197718A - 孔版印刷装置のインキ検知供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷後数時間以上を経過した後に印刷を再開
した場合でも、良質の印刷物を得ることができる孔版印
刷装置を提供する。 【構成】 多孔性で回転自在な版胴１の内部に設けられ
たインキ溜まり部５にインキを供給するインキ供給手段
２と、インキ溜まり部５のインキ量を検知するインキ量
検知手段６と、印刷枚数を設定する印刷枚数設定手段
と、印刷枚数をカウントする印刷枚数カウント手段と、
印刷枚数設定手段と印刷枚数カウント手段とにより印刷
枚数の残量を算出し、この残量とインキ量検知手段６に
より検知されたインキ溜まり部５のインキ量とに応じ
て、インキ供給手段２からインキ溜まり部５へ供給され
るインキ量を制御する制御手段１０とを具備することを
特徴とする孔版印刷装置のインキ検知供給装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、孔版印刷装置におけ
るインキ供給機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】多孔性の支持円筒体と樹脂若しくは金属
繊維の網体であるメッシュスクリーン層とから構成さ
れ、その外周面に、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性でイ
ンキ透過性を有する支持体とからなり、穿孔製版された
孔版印刷用マスタ（以下、「マスタ」という）が巻装さ
れる円筒状の版胴と、この版胴の内周面に接触し、版胴
の外周面に巻装されたマスタに対してインキを供給する
インキローラーとを有し、インキローラーが形成するイ
ンキ溜まり部にインキ供給手段からインキを供給し、印
刷用紙を介して版胴の外周面をプレスローラー等の押圧
部材で押圧することで、版胴開口部及びマスタ穿孔部よ
りインキを滲出させ、印刷用紙に転移させることで印刷
を行う孔版印刷が広く知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般的に前述の孔版印
刷装置においては、割に固いエマルジョンタイプ（油中
水型）のインキが使用され、このインキを印刷枚数の多
少に関わらず、常に一定量、インキ溜まり部に供給して
印刷を行っている。しかし、この印刷装置では、印刷終
了後にもインキ溜まり部に一定量のインキが残存してお
り、このインキは経時変化によって水分が蒸発してしま
う。印刷終了後、数時間以上経過した後に印刷を再開す
ると、インキ溜まり部に残存している経時変化により水
分が蒸発したインキが印刷に供され、このインキが消費
されるまでの数百枚は、水分が蒸発しているために高濃
度で印刷され、文字の潰れや印刷用紙の裏汚れが発生
し、仕上がりの悪い印刷物となってしまうという問題点
があった。

【０００４】本発明は、印刷後数時間以上を経過した後
に印刷を再開した場合でも、良質の印刷物を得ることが
できる孔版印刷装置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
多孔性で回転自在な版胴の内部に設けられたインキ溜ま
り部にインキを供給するインキ供給手段を具備した孔版
印刷装置のインキ検知供給装置において、前記インキ溜
まり部のインキ量を検知するインキ量検知手段と、印刷
枚数を設定する印刷枚数設定手段と、印刷枚数をカウン
トする印刷枚数カウント手段と、前記印刷枚数設定手段
と前記印刷枚数カウント手段とにより前記印刷枚数の残
量を算出し、該残量と前記インキ量検知手段により検知
された前記インキ溜まり部のインキ量とに応じて、前記
インキ供給手段から前記インキ溜まり部へ供給されるイ
ンキ量を制御する制御手段とを具備することを特徴とす
る。

【０００６】請求項２記載の発明は、請求項１記載の孔
版印刷装置のインキ検知供給装置において、さらに、前
記印刷枚数設定手段で設定された前記印刷枚数以下の前
記残量を設定可能な残量設定手段を有し、前記制御手段
は、前記残量が前記残量設定手段で設定された設定値以
下となった場合に、前記インキ量検知手段により検知さ
れた前記インキ溜まり部のインキ量に関わらず、前記イ
ンキ供給手段からの前記インキ溜まり部へのインキの供
給を停止させることを特徴とする。

【０００７】

【作用】請求項１記載の発明によれば、インキ供給手段
からインキ溜まり部へのインキ供給量を印刷枚数の残量
に応じて制御手段が制御するので、インキ溜まり部に残
存するインキ量は印刷枚数の残量と対応する。

【０００８】請求項２記載の発明によれば、制御手段
は、残量が残量設定手段で設定された設定値以下となっ
た場合に、インキ量検知手段により検知されたインキ溜
まり部のインキ量に関わらず、インキ供給手段からのイ
ンキ溜まり部へのインキの供給を停止させるので、イン
キ溜まり部への余分なインキの供給が停止される。

【０００９】

【実施例】図１は本発明の位置実施例を採用した孔版印
刷装置の版胴の要部を示している。同図において、回転
自在に支持された版胴１は、インキ供給手段としてのイ
ンキパイプ２、インキローラー３、ドクターローラー４
をその内部に有している。

【００１０】版胴１の支軸を兼ねたインキパイプ２は図
示しない筐体側板に固着されており、その表面には、版
胴１の内部にインキを供給するための無数の小さな孔が
穿設されている。インキパイプ２には、版胴１の内部に
インキを供給するための図示しないポンプが接続されて
おり、このポンプは後述する制御手段によってその作動
を制御される。

【００１１】インキパイプ２の下方には、インキローラ
ー３とドクターローラー４とが配設されている。版胴１
の図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラ
ー３は、その外周面が版胴１の内周面と接するように設
置されており、インキパイプ２より供給されたインキを
版胴１に供給する。

【００１２】インキローラー３の近傍には、回転自在な
ドクターローラー４が配設されている。ドクターローラ
ー４は、その外周面とインキローラー３の外周面との間
に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキロ
ーラー３の外周面との近接部において楔状のインキ溜ま
り部５を形成している。インキパイプ２よりインキ溜ま
り部５へと供給されたインキは、インキローラー３とド
クターローラー４との間隙を通過することにより均一な
層状となりつつインキローラー３の表面に供給される。

【００１３】インキ溜まり部５の近傍には、インキ量検
知手段６が配設されている。インキ量検知手段６は、イ
ンキ溜まり部５のインキ量（少）を検知するためのイン
キ検知用電極針（長）７と、インキ量（多）を検知する
ためのインキ検知用電極針（短）８と、各インキ検知用
電極針７，８からの検知信号が入力されるインキ検知回
路９とから構成されている。

【００１４】図２に本発明の回路構成を示す。インキ検
知回路９は、制御手段としての制御回路１０に接続され
ている。制御回路１０には、インキ検知回路９からの信
号の他、孔版印刷装置の図示しない操作パネルに設けら
れた印刷スタートキー１１からのスタート信号、さら
に、図示しない操作パネルに設けられた印刷枚数設定手
段に入力された印刷枚数と印刷された枚数をカウントす
る印刷枚数カウント手段からの情報とによって求められ
た印刷枚数の残量情報とが入力される。

【００１５】制御回路１０からの出力信号は、版胴１を
駆動するメインモーターの作動を制御する第１回路１２
と、図示しない給紙装置の作動を制御する給紙機構１３
と、インキパイプ２に接続された図示しないポンプの作
動を制御する第２回路１４とにそれぞれ送られる。

【００１６】上記構成に基づき、この孔版印刷装置の動
作を図３を参照して説明する。制御回路１０には、スタ
ートキー１１の操作による印刷開始指令と、インキ検知
回路９からのインキありの信号と、印刷枚数の残量情報
とがそれぞれ入力される。これらの信号に応じて、制御
回路１０は第１回路１２及び給紙機構１３に作動指令を
出力し、版胴１及び図示しない給紙装置が作動して印刷
動作が開始される。

【００１７】上述の印刷動作の開始に先立ち、制御回路
１０は印刷枚数設定手段に入力された印刷枚数を確認
し、印刷枚数が多い場合（例えば５００枚以上）にはイ
ンキ検知用電極針（短）８まで、また、印刷枚数が少な
い場合（例えば１０〜５００枚）にはインキ検知用電極
針（長）７までインキがあるか否かを、各電極針７，８
からの信号によって調べ、インキが不足している場合に
第１回路１２及び第２回路１４に作動指令を出力し、版
胴１を回転させると共にポンプを作動させてインキ溜ま
り部５へのインキの供給を行う。この結果、インキ溜ま
り部５のインキ量が十分な量となると、各電極針７，８
からの信号がインキ検知回路９を経て制御回路１０にフ
ィードバックされ、第２回路１４への作動指令が解除さ
れてポンプの作動が停止されると共に給紙機構１３へ作
動指令が出力され、印刷工程が開始される。

【００１８】上述の印刷工程中においても、インキ溜ま
り部５のインキが消費され、インキ検知用電極針（長）
７にのみインキが接触しているときには、その情報がイ
ンキ検知回路９より制御回路１０に伝えられ、制御回路
１０に入力される印刷枚数の残量情報が多い場合（例え
ば５００枚以上）には、制御回路１０より第２回路１４
に作動指令が出力されてポンプが作動し、インキ溜まり
部５にインキが供給される。ポンプの作動は、インキ検
知用電極針（短）８にインキが接触するまで行われる。
制御回路１０に入力される印刷枚数の残量情報が少ない
場合（例えば１０〜５００枚）には、制御回路１０から
第２回路１４への作動指令は出力されない。

【００１９】インキ検知用電極針（長）７にもインキが
接触しなくなった場合には、制御回路１０が印刷枚数の
残量情報を確認し、この残量情報が少ない場合（例えば
１０〜５００枚）には、制御回路１０から第２回路１４
に作動指令が出力されてポンプが作動し、インキ溜まり
部５にインキが供給される。ポンプの作動は、インキ検
知用電極針（長）７にインキが接触するまで行われる。
上述のようにインキ溜まり部５には、印刷枚数の残量に
応じて必要なインキ量が蓄えられることとなる。

【００２０】図４は、上記実施例の変形例を示してい
る。この変形例では、上記実施例におけるドクターロー
ラー４に代えて容量部１５を用いてインキ溜まり部５を
形成し、また、インキ検知用電極針（長）７とインキ検
知用電極針（短）８とが一体的に設けられている。容量
部１５と各電極針７，８とは、単体１６，１７によって
インキ検知回路９に接続され、インキ検知回路９の出力
端子１８は制御回路１０に接続されている。この変形例
において、インキ量（多）を検知する場合を図５（ａ）
に、またインキ量（少）を検知する場合を図５（ｂ）に
それぞれ示す。

【００２１】本発明の他の実施例として、印刷枚数設定
手段で設定された印刷枚数以下の残量を設定可能な残量
設定手段を設けた構成としてもよい。この残量設定手段
に設定される印刷枚数としては、ごく少ない印刷枚数
（例えば１０枚以下）が望ましい。制御回路１０に入力
される印刷枚数の残量情報が残量設定手段に設定された
枚数以下となった場合に、制御手段１０は、第２回路１
４に対して作動指令が出力されている場合には、インキ
溜まり部５のインキ量に関わらず、第２回路１４に対す
る作動指令を解除する。このような構成とすることによ
り、インキ溜まり部５のインキ量が僅かしか残らないこ
ととなり、残量設定手段に設定された印刷枚数によって
この僅かのインキを使いきることができる。

【００２２】上記各実施例では、インキ量検知手段とし
て静電容量方式のインキ検知用電極針を用いたが、その
他の、例えば光学式のインキ量検知手段等を用いること
も可能である。

【００２３】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、インキ供
給手段からインキ溜まり部へのインキ供給量を印刷枚数
の残量に応じて制御手段が制御し、インキ溜まり部に残
存するインキ量が印刷枚数の残量と対応するため印刷終
了時におけるインキ溜まり部のインキ量が減少すること
により、次回の印刷始めには新しいインキが直ちにイン
キ溜まり部に供給されるので、優良な印刷物を印刷始め
より得ることができる。

【００２４】請求項２記載の発明によれば、制御手段
は、残量が残量設定手段で設定された設定値以下となっ
た場合に、インキ量検知手段により検知されたインキ溜
まり部のインキ量に関わらず、インキ供給手段からのイ
ンキ溜まり部へのインキの供給を停止させ、インキ溜ま
り部への余分なインキの供給が停止されて印刷終了時に
おけるインキ溜まり部のインキ量が減少することによ
り、次回の印刷始めには新しいインキが直ちにインキ溜
まり部に供給されるので、優良な印刷物を印刷始めより
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の版
胴の要部を示す概略側面図である。

【図２】本発明の一実施例の回路構成を説明する図であ
る。

【図３】本発明の一実施例の動作を説明するフローチャ
ートである。

【図４】本発明の一実施例の変形例を示す図である。

【図５】本発明の一実施例の変形例を説明する図であ
る。

【符号の説明】

１ 版胴 ２ インキ供給手段（インキパイプ） ５ インキ溜まり部 ６ インキ量検知手段 １０ 制御手段（制御回路）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多孔性で回転自在な版胴の内部に設けられ
   たインキ溜まり部にインキを供給するインキ供給手段を
   具備した孔版印刷装置のインキ検知供給装置において、 前記インキ溜まり部のインキ量を検知するインキ量検知
   手段と、 印刷枚数を設定する印刷枚数設定手段と、 印刷枚数をカウントする印刷枚数カウント手段と、 前記印刷枚数設定手段と前記印刷枚数カウント手段とに
   より前記印刷枚数の残量を算出し、該残量と前記インキ
   量検知手段により検知された前記インキ溜まり部のイン
   キ量とに応じて、前記インキ供給手段から前記インキ溜
   まり部へ供給されるインキ量を制御する制御手段とを具
   備することを特徴とする孔版印刷装置のインキ検知供給
   装置。
2. 【請求項２】前記印刷枚数設定手段で設定された前記印
   刷枚数以下の前記残量を設定可能な残量設定手段を有
   し、 前記制御手段は、前記残量が前記残量設定手段で設定さ
   れた設定値以下となった場合に、前記インキ量検知手段
   により検知された前記インキ溜まり部のインキ量に関わ
   らず、前記インキ供給手段からの前記インキ溜まり部へ
   のインキの供給を停止させることを特徴とする請求項１
   記載の孔版印刷装置のインキ検知供給装置。