JPH08192305A - スローアウェイチップおよびその製造方法 - Google Patents

スローアウェイチップおよびその製造方法

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JPH08192305A
JPH08192305A JP7002394A JP239495A JPH08192305A JP H08192305 A JPH08192305 A JP H08192305A JP 7002394 A JP7002394 A JP 7002394A JP 239495 A JP239495 A JP 239495A JP H08192305 A JPH08192305 A JP H08192305A
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JP
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throw
cutting edge
base metal
sintered body
away tip
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JP7002394A
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English (en)
Inventor
Kunihiro Tomita
邦洋 富田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 切れ刃として硬質焼結体を用いたスローアウ
ェイチップの加工費を大幅に削減し、製造原価の低減を
図る。 【構成】 超硬合金からなり、複数のコーナ部を有する
とともに、少なくとも1つのコーナ部に凹部を設けた台
金41と、該凹部に嵌合した状態で台金41に固着され
た、切れ刃を構成する硬質焼結体42を含む切れ刃部材
とを備える。切れ刃部材の外周側面は、台金41の外周
側面よりも外側へ0.05mm以上0.5mm以下突き
出すように配されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高硬度に焼入れされた
鋼や、鋳鉄、耐熱合金などの切削加工に使用される、硬
質焼結体を含む切れ刃を有するスローアウェイチップに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の硬質焼結体を含む切れ刃を有する
スローアウェイチップとして、図4および図5に示すよ
うに台金の1つのコーナ部に切れ刃を有するスローアウ
ェイチップや、図6および図7に示すように台金の2つ
以上のコーナ部に硬質焼結体を含む切れ刃を有するスロ
ーアウェイチップなどが知られている。これらのスロー
アウェイチップは、焼入れ鋼や鋳鉄、耐熱合金などの切
削法に幅広く使用されている。
【0003】上記従来のスローアウェイチップのうち、
まず図4に示したスローアウェイチップは、超硬合金か
らなる台金1の1つのコーナ部上端に設けられた凹部
に、硬質焼結体2aを超硬合金などからなる基板上に形
成した状態で一体焼結された複合焼結体2を固着したも
のである。このスローアウェイチップは、複合硬質焼結
体2の切れ刃の長さ(図4(b)中に示す寸法a)が比
較的長く、硬質焼結体の大きさが比較的大きくなってそ
の各部が非常に高くなるため、刃先が摩耗して工具が寿
命に達すると、再研磨をして通常切れ刃部を再生して使
用される。
【0004】図5に示した従来のスローアウェイチップ
は、台金11の1つのコーナ部に硬質焼結体12aおよ
び基板12bを一体焼結した複合焼結体12を固着した
点で図1に示すものと共通しているが、この従来例にお
いては、複合焼結体12の切れ刃部の長さ(図5(b)
中に示す寸法b)が、図4(b)に示した寸法aの半分
以下に小さくなっており、硬質焼結体12aの大きさを
小さくすることによって、高価な硬質焼結体の材料費を
削減している。その代わりに、再生使用のための切れ刃
部の再研磨は行なわれず、刃先が摩耗して工具が寿命に
達すると、スローアウェイチップは使い捨てにされる。
【0005】図6に示した従来のスローアウェイチップ
は、その全体がほぼ正三角形の平面形状を有するブロッ
ク状をなしており、その3つのそれぞれのコーナ部に、
硬質焼結体22aと基板22bとを一体焼結した複合焼
結体22からなる切れ刃が固着されている。この従来例
においては、1つのスローアウェイチップに3個の切れ
刃が形成されるため、スローアウェイチップ全体として
の工具寿命は、切れ刃の再研磨を行なわない場合におい
ても、図5に示した従来例の3倍程度に長くすることが
できる。
【0006】図7に示した従来のスローアウェイチップ
は、その上面がほぼ正方形のブロック状をなしており、
その4箇所のコーナ部のそれぞれに硬質焼結体32aと
基板32bとを一体焼結した複合焼結体32が固着され
ている。この従来例によれば、1つのスローアウェイチ
ップにおける切れ刃の数がさらに増加するために、それ
に比例して工具寿命の長期化を図ることができる。
【0007】なお、図4ないし図7に示したそれぞれの
スローアウェイチップの中央において上下に貫通する孔
3は、スローアウェイチップをボルトでホルダに固定す
る際に用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の各スローアウェイチップは、次のような問題があっ
た。まず図4に示したスローアウェイチップは、再研磨
を行なうとスローアウェイチップの内接円の寸法や、切
れ刃の位置の寸法が徐々に小さくなっていくため、新品
のスローアウェイチップ用のバイトホルダに固着して使
用すると、硬質焼結体からなる切れ刃部がバイトホルダ
の端面よりも後退してしまう。そのため、再研磨された
スローアウェイチップ専用のバイトホルダを別途準備し
なければならず、極めて作業性が悪いという欠点があっ
た。
【0009】また図5に示した従来のスローアウェイチ
ップは、再研磨を行なうことを前提に製作されたスロー
アウェイチップよりも安価であるが、たとえばアルミナ
系セラミック工具やシリコンナイトライド系セラミック
工具などの他の工具材質に比べると、非常に高価である
といえる。
【0010】図6および図7に示した、スローアウェイ
チップの複数のコーナ部に硬質焼結体の切れ刃を有する
スローアウェイチップは、1つのコーナ部に硬質焼結体
の切れ刃を有するスローアウェイチップと比べると切れ
刃当りの単価は若干安価に製造することができる。しか
しながら、このようなスローアウェイチップでも、上述
した他の工具材質に比べるとやはり非常に高価であると
いう問題がある。
【0011】硬質焼結体を切れ刃として有するスローア
ウェイチップの製造原価の内訳は、超硬合金からなる台
金の製造原価、硬質焼結体の素材の製造原価、および台
金と硬質焼結体の素材とを使ってスローアウェイチップ
を完成させるまでの加工費の3つに大別される。
【0012】図4に示した従来のスローアウェイチップ
では、硬質焼結体が比較的大きいため、製造原価に占め
る硬質焼結体の素材費の割合が60%近くを占めてい
た。そのため、図5に示す従来のスローアウェイチップ
のように、硬質焼結体の占める底面積を極力小さくし、
スローアウェイチップの製造原価に占める硬質焼結体の
素材の原価を低減せしめ、その結果として硬質焼結体の
素材費はスローアウェイチップの製造原価の約20%程
度になっている。また、超硬合金からなる台金の製造原
価は、概して安価であり、硬質焼結体を切れ刃として有
するスローアウェイチップの製造原価の高々10%程度
である。すなわち、たとえば図5に示した従来のスロー
アウェイチップの製造原価は、その30%が硬質焼結体
と超硬合金の台金の素材費とで占められ、残りの70%
が加工費となっている。
【0013】したがって、硬質焼結体の切れ刃を有する
スローアウェイチップの製造原価を低減するためには、
硬質焼結体の素材を低減すること以上に、製造原価の7
0%を占める加工費を低減することが全体の原価を下げ
るのに効果的であることがわかる。
【0014】硬質焼結体の切れ刃を有するスローアウェ
イチップの加工費は、硬質焼結体を超硬合金からなる台
金に固着する際の費用、および固着後に所定の精度の形
状寸法を得るための研削加工、および必要に応じて施さ
れる刃先処理の費用が全体のほとんどを占める。一般
に、硬質焼結体はその硬度が高いために被研削性が極め
て悪く、研削のための時間が長くかかり、また研削加工
時に使用するダイヤモンド砥石の費用が非常に高価にな
るという問題もある。
【0015】本発明は、硬質焼結体を超硬合金からなる
台金に固着した後の研削加工工程を必要最小限にするこ
とにより、硬質焼結体の切れ刃を有するスローアウェイ
チップの加工費、その中でも特に所定の精度の形状寸法
を得るための研削加工の費用を大幅に減少させることの
できるスローアウェイチップの構造および製造方法を提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1に記載の本発明のスローアウェイチップは、超硬合
金からなり、複数のコーナ部を有するとともに該複数の
コーナ部のうちの少なくとも1つのコーナ部に凹部を設
けた台金と、当該凹部に嵌合した状態で台金に固着され
た、切れ刃を構成する硬質焼結体を含む切れ刃部材とを
備えている。切れ刃部材の外周側面は、台金の外周側面
よりも外側へ0.05mm以上0.5mm以下突き出す
ように配されている。
【0017】請求項2に記載の本発明のスローアウェイ
チップは、請求項1に記載のスローアウェイチップにお
いて、切れ刃部材の刃先処理のみが研削またはホーニン
グ加工によりなされていることを特徴とする。
【0018】請求項3に記載の本発明のスローアウェイ
チップは、請求項1または2に記載の構成において、ス
ローアウェイチップがバイトホルダにクランプされると
きにバイトホルダの座面に接するスローアウェイチップ
の面のみが研削加工されていることを特徴とする。
【0019】請求項4に記載の本発明のスローアウェイ
チップは、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成に
おいて、台金の全外表面が、ショットブラスト、ショッ
トピーリング、およびバレル加工から選ばれた方法によ
り表面処理されている。
【0020】請求項5に記載の本発明のスローアウェイ
チップは、請求項1ないし4のいずれかに記載の構成に
おいて、台金は、その全外表面が焼結肌のまま、または
砥石による研削加工以外の物理的方法で表面処理されて
おり、切れ刃部材は、硬質焼結体単体、または基板上に
硬質焼結体を一体焼結した複合焼結体に、放電加工また
はレーザ加工を施して所定形状のブランクに成形されて
いる。
【0021】請求項6に記載の本発明のスローアウェイ
チップの製造方法は、複数のコーナ部を有し、該複数の
コーナ部のうちの少なくとも1つのコーナ部に凹部を設
けた、超硬合金からなる台金を準備する工程と、台金の
全外表面を焼結肌のまま用い、あるいは台金の全外表面
に砥石による研削加工以外の物理的方法で表面処理を施
した後に、台金のコーナ部に設けられた凹部に嵌合する
ように、切れ刃を構成する硬質焼結体を含む切れ刃部材
を固着する工程とを備えている。切れ刃部材を台金に固
着する工程においては、切れ刃部材の外周側面が台金の
外周側面よりも外側に0.05mm以上0.5mm以下
突き出すように固着される。
【0022】請求項7に記載の本発明のスローアウェイ
チップの製造方法は、請求項6記載の方法において、切
れ刃部材は、硬質焼結体単体、あるいは基板上に硬質焼
結体を一体焼結した複合焼結体に放電加工またはレーザ
加工を加えて所定の形状のブランクに形成されることを
特徴とする。
【0023】
【発明の作用および効果】請求項1に記載のスローアウ
ェイチップの構造によれば、切れ刃部材の外周側面が台
金の外周側面よりも外側へ0.05mm以上0.5mm
以下突き出すように配された構造を有することにより、
次のような作用を有する。このような突き出し量であれ
ば、切れ刃部材を焼結肌のまま、あるいはホーニング加
工などを施された所定形状のブランクのまま、固着後に
研削加工によって寸法調整をする必要がないように固着
することが比較的容易に行なえる。したがって、特に高
い加工費を有する所定の精度を得るための研削加工の費
用が削減される。
【0024】ここで、突き出し量を0.05mm以上
0.5mm以下としたのは次の理由による。突き出し量
が0.5mmを超えると、硬質焼結体の切れ刃の下部に
上部を支持する部分がなくなってしまい、そのために刃
先の剛性が低下して切削中に切れ刃が欠損する確率が極
めて高くなるからである。また、たとえば硬質焼結体よ
りも超硬合金からなる台金の方が突き出してしまうと、
切削中に台金と被削材とが緩衝するという問題が生じ
る。0.05mm未満の突き出し量に抑えようとする
と、硬質焼結体を台金に固着する際、そのような精度を
有するための加工費が高騰し、本発明の主目的である加
工費の低減を達成することができないという問題があ
る。したがって、突き出し量は0.05mm以上に設定
する必要がある。突き出し量が0.05mm以上0.5
mm以下であれば、硬質焼結体と超硬合金からなる台金
とを固着する加工費は、従来とほぼ同程度の費用で行な
うことができ、また切削性能へも悪影響を及ぼすことが
ない。
【0025】請求項2に記載のスローアウェイチップの
ように、切れ刃部材の刃先処理のみが研削またはホーニ
ング加工によりなされており、その他一切の研削加工を
施さない構造を有することにより、加工費が高騰する要
因が除かれ、製造コストが低減される。
【0026】請求項3に記載の構造によれば、スローア
ウェイチップがバイトホルダにクランプされるときに、
バイトホルダの座面に接するスローアウェイチップの面
のみが研削加工されていることにより、必要最小限の研
削加工のための加工コストの上昇のみでバイトホルダの
座面とスローアウェイチップの底面との十分な密着性を
得ることができ、その結果切削性能の安定化を図ること
がである。この場合、研削加工の工程が1つ含まれるこ
とになるが、台金を構成する超硬合金は硬質焼結体に比
べて遙に研削性がよいため、研削加工にかかる時間も比
較的短く、砥石の使用量も比較的少なくてすむため、大
幅な製造コストの高騰には繋がらない。
【0027】請求項4に記載のスローアウェイチップに
よれば、台金の全外表面がショットブラストなどの方法
により表面処理されていることにより、台金の底面を研
削加工した場合のようには効果を得られないまでも、比
較的簡単な処理でバイトホルダの座面との密着性を高
め、一定の限られた切削環境での切削性能の安定化を図
ることができる。
【0028】請求項5に記載のスローアウェイチップの
構造によれば、台金および切れ刃部材のいずれに対して
も、切れ刃部材を台金に固着した後には研削加工を施す
ことがないため、加工費を高騰させる要因が大幅に除去
され、製造原価の抑制を図ることができる。
【0029】請求項1に記載の構造のスローアウェイチ
ップは、請求項6に記載の工程を備えた製造方法によっ
て形成可能であり、切れ刃部材は、台金の所定箇所に固
着される前の段階で、請求項7に記載の工程により所定
の形状のブランクに形成される。
【0030】このような方法によってスローアウェイチ
ップを製造することにより、特に研削性の悪い硬質焼結
体を、切れ刃部材を台金に固着した後に施すことが行な
われないことになり、加工コスト高騰の要因を除去し、
製造原価の低減を図ることができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例について、図1
に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施例
のスローアウェイチップを示している。本実施例のスロ
ーアウェイチップは、ほぼ正三角形の平面形状を有する
ブロック状の超硬合金からなる台金41の1つのコーナ
部の上端近傍に、所定の凹部を設け、この凹部に嵌合す
るように、切れ刃を構成する硬質焼結体42aと基板4
2bとを一体焼結した複合硬質焼結体42を固着し、切
れ刃部を形成している。台金41の中央部において上下
に貫通する孔3は、スローアウェイチップをバイトホル
ダ等に固定する際にボルトによって締結するために設け
られている。
【0032】本実施例のスローアウェイチップにおいて
は、台金41は超硬合金を焼結肌のままで使用し、また
切れ刃を構成する複合焼結体42は、ワイヤ放電加工に
よって、台金41に固着する前に所定の形状に成形され
ている。また、切れ刃を構成する複合硬質焼結体42
は、その側部外周面が、台金41の側部外周面から0.
3mm突き出すように固着されており、固着後に、幅
0.1mmないし0.15mm、角度25°のネガティ
ブランドを刃先処理として研削加工を施したものであ
る。複合焼結体42を構成する硬質焼結体42aとして
は、立方晶窒化硼素が60容量%、残部がTiNを主成
分とする立方晶窒化硼素焼結体を使用した。硬質焼結体
42aとともに複合硬質焼結体42を構成する基板42
bの材質としては、超硬合金が使用されている。
【0033】図3(a)には、本実施例のスローアウェ
イチップをバイトホルダ44の先端に、クランプ45に
よって押え付けて固着し、旋盤用のバイトを構成した一
例を示している。
【0034】なお、本実施例のスローアウェイチップに
おいては、切れ刃として複合硬質焼結体42を用いた
が、切れ刃を構成する部分全体を硬質焼結体で構成させ
ることもできる。本実施例において複合焼結体42を用
いたのは、切れ刃稜線部近傍のみが硬質焼結体によって
構成されておればよいことから、高価格な硬質焼結体の
占める大きさを小さくして、切れ刃の製造原価を低減す
るためである。
【0035】上記のように構成された本実施例のスロー
アウェイチップと、図5に示し従来のスローアウェイチ
ップとを用いて、実際に切削性能を比較する実験を行な
った。実験における切削条件としては被削材がSUJ
2、被削材硬度HRc60、切削速度V=120m/m
in、切り込みd=0.15mm、送りf=0.1mm
/revとし、丸棒材の外形を切削して性能を比較し
た。その結果、本実施例のスローアウェイチップおよび
従来の両者ともに、実切削時間で30分後の工具の逃げ
面摩耗が0.21mmとなり、耐摩耗性には全く差異が
みられなかった。また、被削面の仕上げ面粗さも、従来
品によって切削した面の最大粗さが3.6μであったの
に対し、本実施例品では最大粗さが3.7μとなり、ほ
とんど差異がみられなかった。
【0036】次に、本実施例のスローアウェイチップ
と、図5に示した従来のスローアウェイチップとの製造
原価を比較した。図5に示した従来のスローアウェイチ
ップの原価構成は、超硬合金からなる台金費の原価に占
める割合が10%、硬質焼結体の素材費の割合が20
%、残りの70%が加工費である。
【0037】本実施例のスローアウェイチップの原価構
成は、超硬合金からなる台金費については従来品と同様
に、原価に占める割合が10%である。硬質焼結体の素
材費は、超硬合金からなる台金に硬質焼結体素材を固着
後に、研削加工を一切施さないため、研削加工に必要な
研削しろ分だけ素材の寸法を小さくすることができ、従
来品の硬質焼結体の素材費よりも約10%原価を低減す
ることができた。さらに、加工費については、研削加工
を刃先処理以外一切行なわないために、従来品の加工費
の約70%を低減することができた。以上述べた材料原
価および加工費の低減の効果を総合すると、本実施例に
おける製造原価は、従来品の約49%となり、製造原価
を半分以下に低減することができた。
【0038】次に、本発明の第2の実施例について、図
2に基づいて説明する。本実施例のスローアウェイチッ
プは、図2に示すように、ほぼ正方形の平面形状を有す
るブロック状の台金51の1つのコーナ部の上端近傍に
凹部を設け、この凹部に嵌合するように、硬質焼結体5
2aと基板52bを一体焼結した複合硬質焼結体52を
嵌合させて固着し、切れ刃部を構成している。
【0039】本実施例においては、台金51は超硬合金
で構成し、その上下面および側部外周面をショットブラ
ストで表面処理が施されている。切れ刃を構成する硬質
焼結体52は、ワイヤ放電加工で所定の形状寸法に成形
された後に台金51に固着されており、複合硬質焼結体
52の側部外周面は、台金51の側部外周面から0.1
5mm突き出させて固着されている。さらに、スローア
ウェイチップが固定されるバイトホルダとの密着性を高
めるために、本実施例においては、台金51の底面のみ
を研削加工している。また、刃先処理として、複合硬質
焼結体52の切れ刃部に、幅0.1mmないし0.15
mm、角度35°のネガティブランドを研削加工により
形成している。
【0040】本実施例のスローアウェイチップの切れ刃
部に用いられる複合焼結体52を構成する硬質焼結体5
2aの材質としては、立方晶窒化硼素が60容量%、残
部がTiNとAlとを主成分とする立方晶窒化硼素焼結
体を使用した。
【0041】本実施例のスローアウェイチップを、バイ
トホルダ54の先端にクランプ55で押え付けて固着
し、旋盤用のバイトを構成した一例を、図3(b)に示
している。
【0042】本実施例のスローアウェイチップについて
は、図6に示した従来のスローアウェイチップとともに
実際の切削試験を実施し、切削性能を比較した。切削試
験の切削条件として、被削材はSKD11の丸棒材を用
い、丸棒の外周には軸方向に平行に2箇所のキー溝を有
するものを用いて、断続切削の環境での切削試験となる
ようにした。このときの切削試験における切削中の様子
を、図3(c)に示している。被削材である丸棒56の
外周には180°対向する位置に1対の切り溝57a,
57bが設けられている。したがって、複合硬質焼結体
52からなる切れ刃部は、丸棒56の1回転当りキー溝
が2回通過するため、断続切削を行なうことになる。被
削材であるSKD11の丸棒材の硬度は、HRc61で
ある。その他の切削条件としては、切削速度V=80m
/min、切り込みd=0.15mm、送りf=0.1
5mm/revに設定した。
【0043】このような切削条件下で本実施例および図
3に示した従来品の切削性能、すなわち耐摩耗性と耐欠
損性とを比較した。その結果、10分間切削後の従来品
の摩耗の大きさは0.15mm、本実施例品の右面摩耗
幅は0.182mmとなり、ほとんど差異がみられなか
った。さらに継続して切削試験を続けたところ、従来品
では切削時間16分25秒で硬質焼結体の切れ刃の一部
が欠損した。本実施例品では、16分20秒後に欠損し
たが、従来技術のスローアウェイチップと著しい差はみ
られなかった。ここで、本実施例のスローアウェイチッ
プにおいて、スローアウェイチップの底面を研削せず
に、ショットブラストによる表面処理を施したままの状
態のスローアウェイチップを用いて、同じ断続切削の環
境で、同一切削条件で従来のスローアウェイチップと比
較したところ、耐摩耗性では従来品と大差はなかった
が、耐欠損性においては、従来品の約60%の切削時間
で欠損し、顕著な差が認められた。この原因は、スロー
アウェイチップとバイトホルダ座面との密着性の差に起
因しており、ショットブラスト処理の面の状態は、研削
面に比べて表面の平面度や面粗さが劣るために、断続切
削時の衝撃力に十分耐え得る剛性が不足していたからで
ある。したがって、断続切削状態では、スローアウェイ
チップの側面は研削加工が施されていることが、耐欠損
性の面から好ましいといえる。しかしながら、このよう
な研削加工はあらゆる場合の切削環境に必要な処理とい
えるものではなく、切削環境によっては、スローアウェ
イチップの側面をショットブラストによる表面処理を施
したままで使用したとしても、十分な耐欠損性を得られ
る場合もある。
【0044】次に、本実施例のスローアウェイチップと
従来品との製造原価の比較を行なった。従来例のスロー
アウェイチップの超硬合金からなる台金費、硬質焼結体
素材費、および加工費の各々のスローアウェイチップの
製造原価に示す割合は、上記第1の実施例の場合と同じ
く、それぞれ10%、20%および70%であった。本
実施例のスローアウェイチップにおいても、超硬合金か
らなる台金費が製造原価に占める割合は従来品の場合と
同じである。硬質焼結体素材費も上記第1の実施例の場
合と同様に、超硬合金からなる台金に硬質焼結体素材を
固着後、一切の研削加工を行なっていないので、研削に
必要な研削しろ分だけ素材の寸法を小さくすることがで
き、従来品の硬質焼結体素材費よりも約10%低減する
ことができた。
【0045】加工費については、上記第1の実施例の場
合とは異なり、スローアウェイチップの底面を研削加工
しているため、この研削加工の費用だけが第1の実施例
の場合よりも割高になっている。しかしながら、硬質焼
結体に比べて研削性のよい超硬合金の研削加工のみを行
なっているため、結果として従来品の加工費の65%低
減することができ、原材料費および加工費を総合する
と、本実施例の製造原価は従来品の52.5%となり、
従来品に対して製造原価を47.5%低減することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施例のスローアウェ
イチップを示す斜視図、(b)は同平面図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施例のスローアウェ
イチップを示す斜視図、(b)は同平面図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施例のスローアウェ
イチップをバイトホルダに締結固定した状態を示す斜視
図、(b)は本発明の第2の実施例のスローアウェイチ
ップをバイトホルダに締結固定した状態を示す斜視図、
(c)は本発明の第2の実施例のスローアウェイチップ
を用いて丸棒材の断続切削を行なっている様子を示す側
面図である。
【図4】(a)は従来のスローアウェイチップの一例を
示す斜視図、(b)は同平面図である。
【図5】(a)は従来のスローアウェイチップの他の例
を示す斜視図、(b)は同平面図である。
【図6】従来のスローアウェイチップのさらに他の例を
示す斜視図である。
【図7】従来のスローアウェイチップのさらに他の例を
示す斜視図である。
【符号の説明】
41,51 台金 42,52 複合硬質焼結体 42a,52a 硬質焼結体 42b,52b 基板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金からなり、複数のコーナ部を有
    するとともに、該複数のコーナ部のうちの少なくとも1
    つのコーナ部に凹部を設けた台金と、 前記凹部に嵌合した状態で前記台金に固着された、切れ
    刃を構成する硬質焼結体を含む切れ刃部材とを備え、 前記切れ刃部材の外周側面が、前記台金の外周側面より
    も外側へ0.05mm以上0.5mm以下突き出すよう
    に配されたスローアウェイチップ。
  2. 【請求項2】 前記切れ刃部材の刃先処理のみが研削ま
    たはホーニング加工によりなされていることを特徴とす
    る、請求項1記載のスローアウェイチップ。
  3. 【請求項3】 前記スローアウェイチップがバイトホル
    ダにクランプされるときにバイトホルダの座面に接する
    前記スローアウェイチップの面のみが研削加工されてい
    ることを特徴とする、請求項1または2に記載のスロー
    アウェイチップ。
  4. 【請求項4】 前記台金の全外表面が、ショットブラス
    ト、ショットピーリング、およびバレル加工から選ばれ
    た方法により表面処理された、請求項1ないし3のいず
    れかに記載のスローアウェイチップ。
  5. 【請求項5】 前記台金は、その全外表面が焼結肌のま
    ま、または砥石による研削加工以外の物理的方法で表面
    処理されており、 前記切れ刃部材は、硬質焼結体単体、または基板上に硬
    質焼結体を一体焼結した複合焼結体に、放電加工または
    レーザ加工を施して所定形状のブランクに成形された、
    請求項1ないし4のいずれかに記載のスローアウェイチ
    ップ。
  6. 【請求項6】 複数のコーナ部を有し、該複数のコーナ
    部のうちの少なくとも1つのコーナ部に凹部を設けた、
    超硬合金からなる台金を準備する工程と、 前記台金の全外表面を焼結肌のまま用い、あるいは前記
    台金の全外表面に砥石による研削加工以外の物理的方法
    で表面処理を施した後に、前記台金の前記コーナ部に設
    けられた凹部に嵌合するように、切れ刃を構成する硬質
    焼結体を含む切れ刃部材を固着する工程と、を備え、 前記切れ刃部材を前記台金に固着する工程においては、
    前記切れ刃部材の外周側面が前記台金の外周側面よりも
    外側に0.05mm以上0.5mm以下突き出すように
    固着する、スローアウェイチップの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記切れ刃部材は、硬質焼結体単体、あ
    るいは基板上に硬質焼結体を一体焼結した複合焼結体
    に、放電加工またはレーザ加工を加えて所定の形状のブ
    ランクに形成されることを特徴とする、請求項6記載の
    スローアウェイチップの製造方法。
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