JPH08154573A - ヨーグルト製造における微生物の培養方法 - Google Patents
ヨーグルト製造における微生物の培養方法Info
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- JPH08154573A JPH08154573A JP33197594A JP33197594A JPH08154573A JP H08154573 A JPH08154573 A JP H08154573A JP 33197594 A JP33197594 A JP 33197594A JP 33197594 A JP33197594 A JP 33197594A JP H08154573 A JPH08154573 A JP H08154573A
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Abstract
(57)【要約】 （修正有）
【目的】人体の健康維持に有益な微生物あるいはその微
生物による産生物質の種類や含有量が多いヨーグルト及
びその加工食品の製造が可能になる微生物の培養方法を
提供する。 【構成】種菌またはその種菌を含有するスターターが接
種された原料に対して所望の培養時間Ａを連続的または
断続的に設定し、その培養時間内において、前記原料の
温度環境を段階的または無段階的あるいはこれらの組み
合わせによって可変制御する。培養時間Ａは必要に応じ
て、発酵に利用する時間Ｂと、その発酵の後に実施する
熟成に利用する時間Ｃとに区分される。また、前記培養
時間Ａを断続的に設定した場合には、その断続数に応じ
て単数または複数箇所に出現する培養時間断続部Ｄの少
なくとも１箇所に培養以外の工程を設定する場合があ
る。
生物による産生物質の種類や含有量が多いヨーグルト及
びその加工食品の製造が可能になる微生物の培養方法を
提供する。 【構成】種菌またはその種菌を含有するスターターが接
種された原料に対して所望の培養時間Ａを連続的または
断続的に設定し、その培養時間内において、前記原料の
温度環境を段階的または無段階的あるいはこれらの組み
合わせによって可変制御する。培養時間Ａは必要に応じ
て、発酵に利用する時間Ｂと、その発酵の後に実施する
熟成に利用する時間Ｃとに区分される。また、前記培養
時間Ａを断続的に設定した場合には、その断続数に応じ
て単数または複数箇所に出現する培養時間断続部Ｄの少
なくとも１箇所に培養以外の工程を設定する場合があ
る。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、ヨーグルト製造にお
いて実施される発酵工程に関連する微生物の培養方法に
関する。
いて実施される発酵工程に関連する微生物の培養方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】従来のヨーグルト製造では、発酵工程に
利用する乳酸菌などの微生物を選定すると、その選定し
た微生物の活動温度に合わせて培養温度が設定され、そ
の設定温度をほぼ一定に維持した状態すなわち恒温状態
で培養（発酵）が行われており、具体例を掲げると、均
質化、殺菌などの前処理を終えて２１℃付近の一定温度
に保たれた原料に種菌を接種し１５乃至２０時間程度の
培養（発酵）を行う方法、あるいは、４５℃付近の一定
温度に保たれた原料に種菌を接種し３乃至６時間程度の
培養（発酵）を行う方法などによりヨーグルトが作られ
ていた。
利用する乳酸菌などの微生物を選定すると、その選定し
た微生物の活動温度に合わせて培養温度が設定され、そ
の設定温度をほぼ一定に維持した状態すなわち恒温状態
で培養（発酵）が行われており、具体例を掲げると、均
質化、殺菌などの前処理を終えて２１℃付近の一定温度
に保たれた原料に種菌を接種し１５乃至２０時間程度の
培養（発酵）を行う方法、あるいは、４５℃付近の一定
温度に保たれた原料に種菌を接種し３乃至６時間程度の
培養（発酵）を行う方法などによりヨーグルトが作られ
ていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ヨーグルトの発酵工程
に利用する乳酸菌その他の微生物は、ヨーグルトの風味
や舌触りを決定する要素として、また、ヨーグルトを摂
取した人の腸に作用するなどして健康維持に役立つ要素
として重要であり、従来のヨーグルト製造においても、
例えば、風味の向上に有効な菌種や、人体の腸内で活動
し健康維持に有益となる菌種など、性質、特性が相違す
る複数種類の微生物を利用することが考えられた。しか
しながら、従来のように培養温度を一定に維持する方法
を使用して複数種類の微生物を培養しようとする場合、
利用できる微生物の種類が必然的にその培養温度と同一
あるいは近接した活動温度を有するものに限定されてし
まい、その限定された微生物の中から前記性質、特性が
相違する微生物の理想的組み合わせを考慮して選定を行
うと、事実上１乃至３種類程度の微生物しか利用できな
いのが現状であった。
に利用する乳酸菌その他の微生物は、ヨーグルトの風味
や舌触りを決定する要素として、また、ヨーグルトを摂
取した人の腸に作用するなどして健康維持に役立つ要素
として重要であり、従来のヨーグルト製造においても、
例えば、風味の向上に有効な菌種や、人体の腸内で活動
し健康維持に有益となる菌種など、性質、特性が相違す
る複数種類の微生物を利用することが考えられた。しか
しながら、従来のように培養温度を一定に維持する方法
を使用して複数種類の微生物を培養しようとする場合、
利用できる微生物の種類が必然的にその培養温度と同一
あるいは近接した活動温度を有するものに限定されてし
まい、その限定された微生物の中から前記性質、特性が
相違する微生物の理想的組み合わせを考慮して選定を行
うと、事実上１乃至３種類程度の微生物しか利用できな
いのが現状であった。
【０００４】従って、従来のヨーグルトの製造工程で
は、活動温度が相違する複数種類の微生物を組み合わせ
た培養を適切に行うことができず、そのため、従来の培
養方法により製造するヨーグルトでは、人体の健康維持
に有益な微生物の種類や含有量あるいはそれらの微生物
による産生物質の種類や含有量などが、前記製造上の理
由により大きな制約を受ける憂いがあった。
は、活動温度が相違する複数種類の微生物を組み合わせ
た培養を適切に行うことができず、そのため、従来の培
養方法により製造するヨーグルトでは、人体の健康維持
に有益な微生物の種類や含有量あるいはそれらの微生物
による産生物質の種類や含有量などが、前記製造上の理
由により大きな制約を受ける憂いがあった。
【０００５】この発明の目的は、活動温度が相違する複
数種類の微生物を組み合わせて利用する場合であって
も、その培養を適切に行うことができ、その結果、人体
の健康維持に有益な微生物の種類や含有量が多く、ある
いは、前記微生物による産生物質の種類や含有量が多い
ヨーグルト及びその加工食品の製造を可能にする微生物
の培養方法を提供することにある。
数種類の微生物を組み合わせて利用する場合であって
も、その培養を適切に行うことができ、その結果、人体
の健康維持に有益な微生物の種類や含有量が多く、ある
いは、前記微生物による産生物質の種類や含有量が多い
ヨーグルト及びその加工食品の製造を可能にする微生物
の培養方法を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】この発明のヨーグルト製
造における微生物の培養方法は、種菌またはその種菌を
含むスターターを接種した原料に対して所望の培養時間
を連続的または断続的に設定し、その培養時間内におい
て前記原料の温度環境を段階的または無段階的あるいは
これらの組み合わせにより可変制御する。
造における微生物の培養方法は、種菌またはその種菌を
含むスターターを接種した原料に対して所望の培養時間
を連続的または断続的に設定し、その培養時間内におい
て前記原料の温度環境を段階的または無段階的あるいは
これらの組み合わせにより可変制御する。
【０００７】前記培養時間は、必要に応じて、発酵に利
用する時間と、その発酵の後に実施する熟成に利用する
時間とに区分される。
用する時間と、その発酵の後に実施する熟成に利用する
時間とに区分される。
【０００８】前記培養時間を断続的に設定した場合に
は、その断続数に応じて単数または複数箇所に出現する
培養時間断続部の少なくとも１箇所に培養以外の工程を
設定する場合がある。
は、その断続数に応じて単数または複数箇所に出現する
培養時間断続部の少なくとも１箇所に培養以外の工程を
設定する場合がある。
【０００９】前記温度環境の可変制御は、例えば、培養
開始から時間経過に従い相対的に低温側に移行するよう
に行われる。
開始から時間経過に従い相対的に低温側に移行するよう
に行われる。
【００１０】
【作用】本発明の微生物の培養方法によると、温度環境
の段階的制御では所定時間経過毎に培養温度の設定が切
り替わり、無段階的制御では時間経過に伴い培養温度が
漸次変化する。従って、複数種類の微生物を選定して培
養及び発酵を行う場合には、まず、その選定した微生物
の種類により相違する活動温度の中で最も高いものを高
温側の目安、最も低いものを低温側の目安として培養に
使用する温度範囲を決定し、次に、各種類毎の微生物の
特性に合わせて、あるいはまた、特定種類の微生物を特
に多く培養したい場合などの培養条件やその他製造上の
条件を加味するなどして、培養時間の連続的または断続
的設定、段階的制御における温度設定の切り替え時期、
無段階的制御における単位時間あたりの温度の変化率、
更には、段階的制御と無段階的制御の組み合わせの有無
などについて設定及び調整を行う。
の段階的制御では所定時間経過毎に培養温度の設定が切
り替わり、無段階的制御では時間経過に伴い培養温度が
漸次変化する。従って、複数種類の微生物を選定して培
養及び発酵を行う場合には、まず、その選定した微生物
の種類により相違する活動温度の中で最も高いものを高
温側の目安、最も低いものを低温側の目安として培養に
使用する温度範囲を決定し、次に、各種類毎の微生物の
特性に合わせて、あるいはまた、特定種類の微生物を特
に多く培養したい場合などの培養条件やその他製造上の
条件を加味するなどして、培養時間の連続的または断続
的設定、段階的制御における温度設定の切り替え時期、
無段階的制御における単位時間あたりの温度の変化率、
更には、段階的制御と無段階的制御の組み合わせの有無
などについて設定及び調整を行う。
【００１１】前記一連の設定及び調整に際し、例えば、
発酵の進度を適切なものにしてヨーグルトの風味を適正
化しようとする場合には、発酵に適した温度環境が設定
された時間を設ける一方、前記発酵が抑制され熟成が進
行する温度環境が設定された時間を設けて培養時間を区
分する。
発酵の進度を適切なものにしてヨーグルトの風味を適正
化しようとする場合には、発酵に適した温度環境が設定
された時間を設ける一方、前記発酵が抑制され熟成が進
行する温度環境が設定された時間を設けて培養時間を区
分する。
【００１２】また、前記一連の設定及び調整において、
培養時間を断続的に設定した場合には、その培養時間断
続部に、例えば、ペクチンなどの安定剤やその他補完成
分の原料への添加、原科の撹拌均質化、原料の流通用容
器への充填及び移送などの工程を任意に選択して設定す
ることができる。
培養時間を断続的に設定した場合には、その培養時間断
続部に、例えば、ペクチンなどの安定剤やその他補完成
分の原料への添加、原科の撹拌均質化、原料の流通用容
器への充填及び移送などの工程を任意に選択して設定す
ることができる。
【００１３】前記の設定、調整の後、前記選定した微生
物の種菌（または種菌を含有するスターター）を接種し
て、例えば、培養開始から時間経過に従い相対的に高温
側から低温側に移行するように温度環境を制御する培養
が行われると、まず、活動温度の高い微生物の培養が始
まり、その後、温度環境が低温側に制御されて行くに従
って順次活動温度の低い微生物の培養へと移行し、その
結果、前記複数種類の微生物の培養とそれに伴う発酵や
物質の産生が適切に行われる。
物の種菌（または種菌を含有するスターター）を接種し
て、例えば、培養開始から時間経過に従い相対的に高温
側から低温側に移行するように温度環境を制御する培養
が行われると、まず、活動温度の高い微生物の培養が始
まり、その後、温度環境が低温側に制御されて行くに従
って順次活動温度の低い微生物の培養へと移行し、その
結果、前記複数種類の微生物の培養とそれに伴う発酵や
物質の産生が適切に行われる。
【００１４】
【実施例】以下、本発明の実施例をグラフに基づいて説
明する。図１は、この発明による微生物の培養方法にお
いて培養時間を連続的に設定した温度環境制御の実施例
を示すグラフであり、縦軸に温度、横軸に経過時間を表
示している。本実施例において連続的に設定された４８
時間の培養時間Ａは、２４時間の発酵時間Ｂと、２４時
間の熟成時間Ｃとに区分されており、発酵時間Ｂでは２
５℃の設定温度を約８時間維持した後２１℃に切り替え
て１６時間維持する段階的制御が行われ、それに続く熟
成時間Ｃでは１８℃、１５℃、１４℃、１０℃及び５℃
の各設定温度に対して等分の維持時間を配分し順次切り
替えて行く段階的温度環境制御が行われる。そしてこの
制御は、初期培養温度の２５℃から最終培養温度の５℃
まで時間経過に従い相対的に低温側に移行するように設
定、調整されている。
明する。図１は、この発明による微生物の培養方法にお
いて培養時間を連続的に設定した温度環境制御の実施例
を示すグラフであり、縦軸に温度、横軸に経過時間を表
示している。本実施例において連続的に設定された４８
時間の培養時間Ａは、２４時間の発酵時間Ｂと、２４時
間の熟成時間Ｃとに区分されており、発酵時間Ｂでは２
５℃の設定温度を約８時間維持した後２１℃に切り替え
て１６時間維持する段階的制御が行われ、それに続く熟
成時間Ｃでは１８℃、１５℃、１４℃、１０℃及び５℃
の各設定温度に対して等分の維持時間を配分し順次切り
替えて行く段階的温度環境制御が行われる。そしてこの
制御は、初期培養温度の２５℃から最終培養温度の５℃
まで時間経過に従い相対的に低温側に移行するように設
定、調整されている。
【００１５】前記培養時間、培養温度及びその切り替え
時期は、本実施例のヨーグルト製造において選定した複
数種類の微生物（例えば特定種類の乳酸菌及び酵母菌な
ど）の活動温度を目安にしたうえで所望の品質が得られ
るように設定されたものであって、例えば、乳酸発酵を
行う特定菌種と他の菌種との活動バランスが適切に保た
れるように各設定温度及び時間配分を調整して培養する
ことにより、風味の良否に関連する酸度などが適切なレ
ベルに保たれ、かつ、各種微生物及びそれらの微生物の
産生物質（例えばビタミン、ホルモンなど）の含有量の
バランスがとれたヨーグルトの生産が可能になる。
時期は、本実施例のヨーグルト製造において選定した複
数種類の微生物（例えば特定種類の乳酸菌及び酵母菌な
ど）の活動温度を目安にしたうえで所望の品質が得られ
るように設定されたものであって、例えば、乳酸発酵を
行う特定菌種と他の菌種との活動バランスが適切に保た
れるように各設定温度及び時間配分を調整して培養する
ことにより、風味の良否に関連する酸度などが適切なレ
ベルに保たれ、かつ、各種微生物及びそれらの微生物の
産生物質（例えばビタミン、ホルモンなど）の含有量の
バランスがとれたヨーグルトの生産が可能になる。
【００１６】本実施例において、殺菌、均質化などの前
処理を終えた原料に対し前記選定した微生物から成る種
菌（またはその種菌を含有するスターター）を接種して
培養を行うと、まず、発酵時間Ｂの領域において設定さ
れた２５℃、２１℃の各温度環境にそれぞれ適応する微
生物（例えば、主に乳酸菌など）の培養が行われ、それ
に伴う発酵も進行してヨーグルトが作られて行く。その
後、熟成時間Ｃの領域に入り、温度環境が１８℃から５
℃へと段階的に低温側に移行すると、前記発酵時間Ｂの
温度環境に適応する微生物の活動が低下する一方で、他
の微生物（例えば酵母菌など）の培養が進行し、その結
果、前記複数種類の微生物の培養が適切に行われる。そ
して、前記一連の培養を終了して得られる発酵済み原料
に対して、例えば、撹拌均質化、ペクチン等の安定剤や
補完成分の添加、乾燥粉末化、フィルタープレスによる
飲用成分の抽出、流通用容器への充填などの工程から選
択される所望の工程を実施することにより、ヨーグルト
やその加工食品の製品が得られる。
処理を終えた原料に対し前記選定した微生物から成る種
菌（またはその種菌を含有するスターター）を接種して
培養を行うと、まず、発酵時間Ｂの領域において設定さ
れた２５℃、２１℃の各温度環境にそれぞれ適応する微
生物（例えば、主に乳酸菌など）の培養が行われ、それ
に伴う発酵も進行してヨーグルトが作られて行く。その
後、熟成時間Ｃの領域に入り、温度環境が１８℃から５
℃へと段階的に低温側に移行すると、前記発酵時間Ｂの
温度環境に適応する微生物の活動が低下する一方で、他
の微生物（例えば酵母菌など）の培養が進行し、その結
果、前記複数種類の微生物の培養が適切に行われる。そ
して、前記一連の培養を終了して得られる発酵済み原料
に対して、例えば、撹拌均質化、ペクチン等の安定剤や
補完成分の添加、乾燥粉末化、フィルタープレスによる
飲用成分の抽出、流通用容器への充填などの工程から選
択される所望の工程を実施することにより、ヨーグルト
やその加工食品の製品が得られる。
【００１７】図２で示すグラフは、この発明による微生
物の培養方法において培養時間を断続的に設定した温度
環境制御の実施例を示し、途中の２箇所に培養時間断続
部Ｄ、Ｄを含むことにより断続的に設定された１８時間
の培養時間Ａは、約８時間の発酵時間Ｂと、約１０時間
の熟成時間Ｃとに区分されている。そして、発酵時間Ｂ
において初期発酵温度４３℃から１時間毎に−３℃の温
度変化率で最終発酵温度１９℃まで温度降下を行う無段
階的制御が行われた後、第１の培養時間断続部Ｄを経て
熟成時間Ｃに達し、その熟成時間Ｃでは、設定温度１８
℃を約２時間維持した後第２の培養時間断続部Ｄを介し
て設定温度４℃を約８時間維持する段階的温度環境制御
が行われる。すなわち、本実施例では無段階的制御と段
階的制御の組み合わせによって温度環境が可変制御され
る。
物の培養方法において培養時間を断続的に設定した温度
環境制御の実施例を示し、途中の２箇所に培養時間断続
部Ｄ、Ｄを含むことにより断続的に設定された１８時間
の培養時間Ａは、約８時間の発酵時間Ｂと、約１０時間
の熟成時間Ｃとに区分されている。そして、発酵時間Ｂ
において初期発酵温度４３℃から１時間毎に−３℃の温
度変化率で最終発酵温度１９℃まで温度降下を行う無段
階的制御が行われた後、第１の培養時間断続部Ｄを経て
熟成時間Ｃに達し、その熟成時間Ｃでは、設定温度１８
℃を約２時間維持した後第２の培養時間断続部Ｄを介し
て設定温度４℃を約８時間維持する段階的温度環境制御
が行われる。すなわち、本実施例では無段階的制御と段
階的制御の組み合わせによって温度環境が可変制御され
る。
【００１８】本実施例では、前記第１の培養時間断続部
Ｄにおいて、発酵時間Ｂを終えた発酵済み原料に対し、
例えば、撹拌均質化、安定剤や補完成分の添加、流通用
容器への充填などの工程から選択される所望の工程が実
施され、その所望の工程を経た発酵済み原料は温度１８
℃を維持する保管施設に収容することで熟成時間Ｃに移
行する。そして、その熟成時間Ｃの途中に存在する第２
の培養時間断続部Ｄでは、熟成中の原料を前記温度１８
℃の保管施設から温度４℃を維持する別の保管施設に移
送する作業が行われるが、その他に、例えば、先に述べ
た撹拌均質化以下多様な工程のうち前記第１の断続部Ｄ
において実施しなかったものがある場合にはその工程を
第２の断続部Ｄにおいて実施することも可能である。こ
のようにして熟成時間Ｃを終了した後は、先の実施例と
同様に、ヨーグルトあるいはヨーグルトを加工した飲料
や粉末といった製品を得ることができる。
Ｄにおいて、発酵時間Ｂを終えた発酵済み原料に対し、
例えば、撹拌均質化、安定剤や補完成分の添加、流通用
容器への充填などの工程から選択される所望の工程が実
施され、その所望の工程を経た発酵済み原料は温度１８
℃を維持する保管施設に収容することで熟成時間Ｃに移
行する。そして、その熟成時間Ｃの途中に存在する第２
の培養時間断続部Ｄでは、熟成中の原料を前記温度１８
℃の保管施設から温度４℃を維持する別の保管施設に移
送する作業が行われるが、その他に、例えば、先に述べ
た撹拌均質化以下多様な工程のうち前記第１の断続部Ｄ
において実施しなかったものがある場合にはその工程を
第２の断続部Ｄにおいて実施することも可能である。こ
のようにして熟成時間Ｃを終了した後は、先の実施例と
同様に、ヨーグルトあるいはヨーグルトを加工した飲料
や粉末といった製品を得ることができる。
【００１９】なお、本発明における温度環境の無段階的
制御は、図２の発酵時間Ｂのように温度変化率が一定で
グラフ表示が直線的になる制御法の他に、所望の培養条
件を得るため温度変化率を任意に変化させることにより
グラフ表示が曲線状となる制御法を実施することが考え
られ、その一例を示す図３のグラフでは、設定された発
酵時間Ｂにおいて、温度変化率の値が小から大へと変化
し再び小に戻る制御を行うことにより、温度が比較的緩
やかに移行する４５〜３５℃及び２５〜１８℃の範囲で
活動する微生物が多く培養される一方、温度が急激に移
行する３５〜２５℃の範囲で活動する微生物の培養が抑
制されるといった培養特性が得られる。
制御は、図２の発酵時間Ｂのように温度変化率が一定で
グラフ表示が直線的になる制御法の他に、所望の培養条
件を得るため温度変化率を任意に変化させることにより
グラフ表示が曲線状となる制御法を実施することが考え
られ、その一例を示す図３のグラフでは、設定された発
酵時間Ｂにおいて、温度変化率の値が小から大へと変化
し再び小に戻る制御を行うことにより、温度が比較的緩
やかに移行する４５〜３５℃及び２５〜１８℃の範囲で
活動する微生物が多く培養される一方、温度が急激に移
行する３５〜２５℃の範囲で活動する微生物の培養が抑
制されるといった培養特性が得られる。
【００２０】なお、前述の各実施例及び図１乃至図３で
示された、温度環境の段階的制御の設定調整、無段階的
制御の設定調整、培養時間断続部の設定、及びこれらの
組み合わせなどの態様は、本発明による微生物の培養方
法を限定するものではなく、本発明による微生物の培養
方法の権利範囲は、例えば、培養時間の経過に従い温度
環境が相対的に高温側に移行するような制御や、培養の
途中で設定温度を上下に変動させる制御など、前記各請
求項に記載された範囲におけるあらゆる改変、組み合わ
せに及ぶものである。
示された、温度環境の段階的制御の設定調整、無段階的
制御の設定調整、培養時間断続部の設定、及びこれらの
組み合わせなどの態様は、本発明による微生物の培養方
法を限定するものではなく、本発明による微生物の培養
方法の権利範囲は、例えば、培養時間の経過に従い温度
環境が相対的に高温側に移行するような制御や、培養の
途中で設定温度を上下に変動させる制御など、前記各請
求項に記載された範囲におけるあらゆる改変、組み合わ
せに及ぶものである。
【００２１】
【発明の効果】この発明のヨーグルト製造における微生
物の培養方法は、一定温度での微生物培養（発酵）とい
った従来のヨーグルト製造の常識を覆し、培養中の原料
の温度環境の可変制御に着目したまったく新しい技術思
想から成るものであり、所望の培養時間の中で温度の可
変制御を行い幅広く多様な温度環境を創出することによ
って、活動温度が相違する複数種類の微生物の組み合わ
せ利用及び適切な培養の実施が可能となった。従って、
ヨーグルト製造における複数種類の微生物の組み合わせ
選定の自由度が飛躍的に向上すると共に、多様な特性を
有する微生物が互いに影響し合い複合的な発酵を行うこ
とで人体に有益な物質の産生を増進する効果も期待で
き、その結果、人体の健康維持に有益な微生物の種類や
含有量が従来よりも多く、あるいはまた、前記微生物に
よる産生物質の種類や含有量が多いヨーグルト及びその
加工食品の製造が可能となった。
物の培養方法は、一定温度での微生物培養（発酵）とい
った従来のヨーグルト製造の常識を覆し、培養中の原料
の温度環境の可変制御に着目したまったく新しい技術思
想から成るものであり、所望の培養時間の中で温度の可
変制御を行い幅広く多様な温度環境を創出することによ
って、活動温度が相違する複数種類の微生物の組み合わ
せ利用及び適切な培養の実施が可能となった。従って、
ヨーグルト製造における複数種類の微生物の組み合わせ
選定の自由度が飛躍的に向上すると共に、多様な特性を
有する微生物が互いに影響し合い複合的な発酵を行うこ
とで人体に有益な物質の産生を増進する効果も期待で
き、その結果、人体の健康維持に有益な微生物の種類や
含有量が従来よりも多く、あるいはまた、前記微生物に
よる産生物質の種類や含有量が多いヨーグルト及びその
加工食品の製造が可能となった。
【００２２】なお、図４で示す対照表は、本発明の実施
により得られたヨーグルトと従来技術により得られた一
般的なヨーグルトを検査し比較したものであり、本発明
の実施によるヨーグルトでは、使用した微生物の種類が
乳酸菌系、酵母菌系、その他の種類を合計して１２種類
と多様で多種類であるのに対し、従来技術によるヨーグ
ルトは乳酸菌系の３種類と少なく、また、培養後の微生
物総数（すなわち各種類の微生物を合計した菌体数）に
おいても、本発明の実施によるヨーグルトが１グラムあ
たり１０１２〜１０１４であるのに対し、従来技術によ
るヨーグルトは１グラムあたり１０７〜１０８と少な
く、その差は歴然としており、本発明の顕著な効果及び
その有効性が確かめられた。
により得られたヨーグルトと従来技術により得られた一
般的なヨーグルトを検査し比較したものであり、本発明
の実施によるヨーグルトでは、使用した微生物の種類が
乳酸菌系、酵母菌系、その他の種類を合計して１２種類
と多様で多種類であるのに対し、従来技術によるヨーグ
ルトは乳酸菌系の３種類と少なく、また、培養後の微生
物総数（すなわち各種類の微生物を合計した菌体数）に
おいても、本発明の実施によるヨーグルトが１グラムあ
たり１０１２〜１０１４であるのに対し、従来技術によ
るヨーグルトは１グラムあたり１０７〜１０８と少な
く、その差は歴然としており、本発明の顕著な効果及び
その有効性が確かめられた。
【図１】この発明による微生物の培養方法において、培
養時間を連続的に設定した段階的温度環境制御の実施例
を示すグラフ。
養時間を連続的に設定した段階的温度環境制御の実施例
を示すグラフ。
【図２】この発明による微生物の培養方法において、培
養時間を断続的に設定し、段階的及び無段階的温度環境
制御を組み合わせた実施例を示すグラフ。
養時間を断続的に設定し、段階的及び無段階的温度環境
制御を組み合わせた実施例を示すグラフ。
【図３】この発明による微生物の培養方法において、無
段階的温度環境制御の他の実施態様を示すグラフ。
段階的温度環境制御の他の実施態様を示すグラフ。
【図４】この発明による微生物の培養方法で得られるヨ
ーグルトと従来の培養方法で得られるヨーグルトの検査
結果を比較した対照表。
ーグルトと従来の培養方法で得られるヨーグルトの検査
結果を比較した対照表。
Ａ．．．．．．設定された培養時間 Ｂ．．．．．．発酵に利用される培養時間すなわち発酵
時間 Ｃ．．．．．．熟成に利用される培養時間すなわち熟成
時間 Ｄ．．．．．．培養時間の断続部
時間 Ｃ．．．．．．熟成に利用される培養時間すなわち熟成
時間 Ｄ．．．．．．培養時間の断続部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成７年３月２３日
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図４
【補正方法】変更
【補正内容】
【図４】この発明による微生物の培養方法で得られるヨ
ーグルトと従来の培養方法で得られるヨーグルトの検査
結果を比較した対照図表。
ーグルトと従来の培養方法で得られるヨーグルトの検査
結果を比較した対照図表。
Claims (4)
- 【請求項１】種菌またはその種菌を含有するスターター
が接種された原料に対して所望の培養時間を連続的また
は断続的に設定し、その培養時間内において、前記原料
の温度環境を段階的または無段階的あるいはこれらの組
み合わせによって可変制御することを特徴とするヨーグ
ルト製造における微生物の培養方法。 - 【請求項２】前記培養時間が、発酵に利用する時間と、
その発酵の後に実施する熟成に利用する時間とに区分さ
れた請求項１に記載のヨーグルト製造における微生物の
培養方法。 - 【請求項３】前記培養時間を断続的に設定した場合にお
いて、その断続数に応じて単数乃至複数箇所に出現する
培養時間断続部のうち少なくとも１箇所に培養以外の工
程を設定した請求項１または２に記載のヨーグルト製造
における微生物の培養方法。 - 【請求項４】前記温度環境が、培養開始からその後の時
間経過に従い相対的に低温側に移行するように制御され
る請求項１、２または３に記載のヨーグルト製造におけ
る微生物の培養方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6331975A JP2676591B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | ヨーグルト製造における微生物の培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6331975A JP2676591B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | ヨーグルト製造における微生物の培養方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08154573A true JPH08154573A (ja) | 1996-06-18 |
| JP2676591B2 JP2676591B2 (ja) | 1997-11-17 |
Family
ID=18249748
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6331975A Expired - Fee Related JP2676591B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | ヨーグルト製造における微生物の培養方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2676591B2 (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006273783A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Musashino Seiyaku Kk | 掻痒の予防及び／又は治療用組成物 |
| CN103868173A (zh) * | 2012-12-13 | 2014-06-18 | 美的集团股份有限公司 | 一体机的调温箱内温度控制方法及一体机系统 |
| JP2018033415A (ja) * | 2016-09-02 | 2018-03-08 | 株式会社明治 | 発酵乳の製造方法 |
| JP2018038357A (ja) * | 2016-09-09 | 2018-03-15 | 株式会社明治 | 発酵乳の製造方法 |
Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS50105861A (ja) * | 1974-01-29 | 1975-08-20 | ||
| JPS60164433A (ja) * | 1984-02-07 | 1985-08-27 | サノフィ・バイオ―インダストリーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング | ケフイアを製造する方法 |
-
1994
- 1994-11-30 JP JP6331975A patent/JP2676591B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2676591B2 (ja) | 1997-11-17 |
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