JPH0815188A - 表面分析装置 - Google Patents

表面分析装置

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JPH0815188A
JPH0815188A JP7178400A JP17840095A JPH0815188A JP H0815188 A JPH0815188 A JP H0815188A JP 7178400 A JP7178400 A JP 7178400A JP 17840095 A JP17840095 A JP 17840095A JP H0815188 A JPH0815188 A JP H0815188A
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JP
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light
sample
optical system
analysis
soft
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JP7178400A
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Takeshi Ninomiya
健 二宮
Shigeru Nishimatsu
茂 西松
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 面方向に1μm以下の高分解能でかつ信号強
度が高く、元素種や化学結合状態等の化学的情報の取得
が可能な表面分析装置を提供すること。 【構成】 軟X線から真空紫外領域の光を光学系を用い
て集光し試料面に照射し、該試料面から射出される電子
の運動エネルギーを解析して、試料表面に関する化学的
情報を取得する。特に上記光学系に2つの可変スリット
18,18′を用いることにより、試料5上での光のス
ポットサイズを連続的に変化させ、光をさらに小さな領
域に集光することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面分析に係り、特に微
小領域の化学分析に好適な表面分析方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】表面分析において、分析領域の微小化が
進められつつある。その進捗は著しく、これら微小領域
分析およびその技術を総称して、マイクロキャラクタリ
ゼーションと称されるようになってきた。
【0003】微小領域内で得るべき情報としては、療面
および表面近傍領域(以下、表面と称する)の形状、構
造(原子間距離等)の他、その領域内における元素種や
組成比、化学結合状態等があげられる。また、分析時に
おいては、非破壊、実試料分析が要求される。
【0004】上記諸情報のうち、表面の幾何学的形状に
関しては、STM(走査型トンネル顕微鏡)や超高分解
能SEM(走査型電子顕微鏡)の開発により、微小領域
内での計測が可能になってきた。現在、形状に対する面
方向分解能は1Åに迫りつつある。
【0005】これに対し、元素種や化学結合状態等、化
学的情報に対する面方向分解析(どの程度の微小領域に
対し元素種や化学結合状態等を同定できるか)は、現在
1μm〜数10μmであり、形状に関する面方向分解能
に比べればはるかに悪い。
【0006】しかし、化学的情報を面方向に高分解能で
得ることは、以下に述べる理由から、今後ますます必要
になると考える。たとえば、半導体回路素子では、表面
処理後の表面残留汚染物は素子特性の著しい劣化をもた
らす。このような残留汚染物を実試料で分析、同定する
ためには、面方向分解能を素子の最小パターン幅よりも
小さくしなしくてはならない。0.3〜0.1μmプロセ
スが今後の研究開発対象であることを考えれば、両方向
分解能0.1μm以下が要求される。
【0007】また、現実の表面には、ステップなど多く
の欠陥が存在する。表面上に他物質を形成したり、表面
上での触媒反応化学反応を考えた場合、上記欠陥の存在
のため、これら物質形成や反応が均一に進行するわけで
はない。粒界の観察等から、こられ不均一性のオーダー
は0.1〜数μmと考えられ(八木 克道他,応用物
理,第55巻,1036頁(1986年))。不均一現
象を分析するという立場からも、両方向分解能1μm以
下が要求される。
【0008】一方、生物、生物工学等で要求されている
蛋白質分子単体の元素分析を考えるならば、これら蛋白
質分子の大きさが数10Åであることを考慮して、0.
01μm以下の面方向分解能が要求される。
【0009】以上のような要求に対し、化学的情報の取
得を目的とした表面分析法において、面方向に分解能を
高めた方法として、以下に述べる方法がある。
【0010】その1つは、XPS(X線励起光電子分光
法)において、曲率を持たせた単結晶表面を用いて軟X
線を集光する方法である(グルントハナー,エム・アー
ル・エス・ブルテン,第30巻,61頁(1987
年)。F.J.Grunthaner,MRS Bulletin
,61(1987))。しかし、この方法では、単一
の結晶表面を用いているため、集光する際のレンズ収差
が大きく、ビーム径はたかだか120μmφである。す
なわち、この方法では、分析領域の大きさは120μm
φであり、光に述べた1μm以下の面方向分解能は達成
できない。
【0011】また、試料表面近傍に強磁場(B7T)
をかけ、試料表面から放出された光電子をこの磁場で捕
足し(電子サイクロトロン運動)、面方向分解能の向上
をはかっている方法もある。この方法の欠点は、面方向
分解能が電子のラーマー半径rbで決まることにある。
【0012】
【数1】 rb=vpm/(eB)
…(数1) ここで,vp,m,e,Bはそれぞれ電子の磁場に垂直
方向の速度成分、電子の質量、電子の電荷、試料表面近
傍の磁束密度である。光電子は試料面から角度θ(磁場
方向から測った角度)で運動エネルギーEを持って射出
されることを考えると、(1)式は、Eおよびθを用い
て、
【0013】
【数2】
【0014】と書き表わされる。先に述べたこの方法で
の面方向分解能は、rbでなく実は4rbで決まってい
る。一例として、E=10eV,B=20T,θ=90
°で4rbを計算すると、4rb=2.1μmとなる。従
って、この方法での面方向分解能は、通常μmオーダー
である。
【0015】この方法を用いて1μm以下の面方向分解
能を達成しようとすれば、(2)式からわかるように光
電子の射出角度θを制限する他はない。光電子の射出角
度の制限は、試料表面から放出される全光電子のうち、
その一部しか分析に利用できないことを意味する。光電
子放出の微分断面積(ライルマン他,ジャーナル・オブ
・エレクトロン・スペクトロスコピー・アンド・リレイ
ティド・フェノメナ,第8巻,389頁(1979
頁)。R.F.Reilman et al., J.Elect. Spectr
osc. Relat. Phenom. ,389(1976))を考
慮して計算すると、たとえば、面方向分解能を0.06
μm(4rb)に設定した場合、光電子の利用効率は1
%以下となる。分解能を高めれば高める程、この利用効
率は減少する。このことは、試料表面からは多数の光電
子が放出されているにもかかわらず、これを観測できな
いという本質的欠点をもたらす。さらに、(2)式によ
れば、光電子の運動エネルギーEによって面方向分解能
が変化するため、この方法では、一定の面方向分解能で
光電子のエネルギー分析ができない。すなわち化学的情
報が得られない。
【0016】一方、化学的情報の取得ではないが、構造
情報の取得を目指した例として、X線をフレネル輪帯板
(ゾーンプレート)を用いて集光し、EXAFS(Ext
endeXray Absorption Fine Structure)測定を行な
うという方法もある(特開昭62−265555)。し
かし、この方法ではμm以下の領域でEXAFS測定が
可能としているが、光の利用効率が悪いという欠点があ
る。たとえば、最も強度の強い1次回折光でさえ、その
強度の入射光強度に対する論理値は10%であるり、実
測値は5%程度である。
【0017】分析領域を微小にすればする程、その領域
の中に含まれる原子・分子数は減少する。従って、微小
領域の分析においてもより強い信号を得ようとすば、分
析領域への入射光強度を増大させなければなない。この
ように考えた場合、利用効率の低いゾーンプレートのみ
を使用してX線を集光することは、信号強度の低下を招
き、微小領域分析に有効な方法であるとは言えない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来方法では、面方向分解能が低い、あるいは信号強度が
低いという欠点があり、1μm以下の面方向分解能で化
学的情報を取得することは実質的に不可能である。
【0019】本発明の目的は、面方向に1μm以下の高
分解能でかつ信号強度が高く、元素種や化学結合状態等
の化学的情報の取得が可能な表面分析方法および装置を
提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明では、軟X線から真空紫外領域の光を光学系を
用いて集光し試料面に照射する。そして該照射により試
料面から射出される電子の運動エネルギーを解析して、
試料表面に関する化学的情報を取得する。
【0021】ここで用いる光学系は、従来用いられてい
た単結晶表面上でのブラッグ反射をを用いた光学系、あ
るいはゾーンプレートのみを用いた光学系と異なり、反
射光学素子を主体にした低収差かつ光の利用効率の高い
光学系である。
【0022】本光学系の採用により、1μmφ以下の微
小領域に対し軟X線〜真空紫外光を集光することがで
き、該微小領域からの電子のエネルギーを解析すること
で高信号強度で表面分析が可能となった。
【0023】
【作用】表面分析では、STMや原子プローブ等一部を
除き、プローブビームを試料面に入射して、その結果発
生する信号を検出器を用いて検出する。微小領域を分析
するためには、プローブビーム径を小さくするか、ある
いはプローブビーム径は大きくしたままで検出系の視野
を制限するか、いづれかの方法をとることが必要であ
る。ここで、後者の方法を採用した場合、先に述べたよ
うに、検出系の視野を制限することにより、信号強度の
低下や得られる情報が制限される危険性がある。このた
め、本発明では、プローブビーム径を小さくする方法を
採用した。
【0024】集束可能なプローブビームとしては、荷電
粒子(電子,イオン)と光が考えられる。このうち、荷
電粒子をプローブビームとして使用する場合、ビーム径
を最も小さく0.01μm程度にするためには、ビーム
収差低減の関係上、荷電粒子の運動エネルギーを少なく
とも1keV以上にしなければならない(田中 敬,応
用物理,第55巻,1153頁(1986年)。レビ・
セティ他,アプライド・サーフィス・サイエンス,第2
6巻,249頁(1986年)。R.Levi−Setti et
al. Appl. Surf. Sci. 26,249(198
6))。
【0025】粒子ビームを用いて物質表面の化学的情報
を得ようとする場合、粒子ビームのエネルギーは物質表
面を構成する原子・分子との相互作用エネルギー(たと
えば、励起やイオン化エネルギーで考えれば、数〜数1
00eV)程度で十分である。それ以上のエネルギー
は、相互作用の断面積低下につながり、信号強度の低下
を招く。さらに、試料表面の物理的スパッタリングや温
度上昇につながり、非破壊分析という要求にも合致しな
い。一例として、2keVの電子が単位時間あたり109
個(1.6×10-10A)、直径1μmの領域に入射した
場合、試料表面の温度は、熱輻射による冷却のみを仮定
すると、1042°Kに達する(ウィニック,ドニアッ
ク編集,シンクロトロン・ラディエーション・リサーチ
(プレナム・プレス,ニューヨーク,1982年)、4
75頁。Herman Winich and S. Doniach ed. Sync
hrotron Radiation Research (Plenum Press. New
York, 1982)、p.475)。さらにまた、運動
エネルギー3〜7keVの電子線を用いた場合、試料表
面に吸着した原子・分子が、電子線照射により表面から
脱離することが知られている(electro stimulated des
orption) 。このように、プローブビームとし荷電粒子
を使用した場合、ビーム径は小さくできるが、粒子の持
つ高(運動)エネルギー性のため、試料表面に変化、損
傷が生ずる。一方、プロープビームとして光を用いた場
合、後で述べるように、高エネルギー性という問題は避
けられる。光ビームのビーム径を最終的に支配する要因
は回折収総差であり、これによって決定されるビーム径
は使用する光の波長程度である。従って、分析に必要な
ビーム径を決定すれば、使用可能な光の波長は限定され
る。(先と同様)プローブビームのビーム径を0.01
μmに設定した場合、使用可能な光の波長は0.01μ
m以下、すなわち軟X線領域の光となる(ビーム径が
0.1μm程度であれば、真空紫外領域の光の使用も可
能)。波長0.01μmの光の持つエネルギーは約12
0keVであり、これは荷電粒子を0.01μmφ程度に
集束させるために必要なエネルギー(>1keV)に比
べはるかに小さい。しかも、先に述べた励起やイオン化
の断面積に関しては、光の方が荷電粒子に比べ大きいた
め(ウィニック,ドニアック編著、シンクロトロン・ラ
ディエーション・リサーチ(前出))、光を用いること
により、相互作用断面積の増加も期待できる。従って、
試料が受ける損傷は小さくなる。これらの理由から、本
発明では、軟X線から真空紫外領域の光を集光してプロ
ーブビームとして使用した。
【0026】次に、この領域の光を用いて光学的情報を
得る手段を説明する。半導体素子製造プロセスへの適用
を考えた場合、Si,O,C,Al等数10種類の元素
が分析対象となる。また、適用分野が異なれば、さらに
他元素も分析したいという要求も出て来る。これらを考
慮するならば、ここで考える手段は、すべての元素が分
析可能、かつ、これら元素の化学的結合状態が分析可能
な手段ではなくてはならない。使用可能な光の波長とこ
の要求を考え合わせた場合、USP(真空紫外光電子分
光法)やXPS(X線励起光電子分光法)が最適と考え
る。USPやXPSでは、真空紫外光や軟X線を試料表
面に照射して、試料表面から飛び出す電子を観測する。
この電子の運動エネルギーを解析することにより、元素
種や化学的結合状態の同定が可能である。結論として、
本発明では、軟X線から真空紫外領域の光を集光してプ
ローブビームに用い、試料表面から射出される電子の運
動エネルギーを解析した。
【0027】最後に光を集光する手段について述べる。
従来X線領域の光を試料に照射して、出て来る電子等か
ら試料の分析を行なう装置が結晶板を用いてX線を集光
しているのに対し(例えば特開昭62−179645号
参照)、本発明は主に全反射を用いた反射型光学素子に
よって構成される光学系を使用する。この光学系を用い
て、低損失無収差に微小表面上のX線の集光が可能とな
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。
【0029】(実施例1)図1に実施例の一例を示し
た。図1で光源4から出た真空紫外から軟X線領域の光
(エネルギーにして6〜2000eV程度)は光学系3
で集光され、試料5上に集光される。ここで、光学系3
は、後に述べる反射型光学素子を用いた光学系もしくは
それら光学系の組合せである。光照射により試料表面か
ら放出された電子は、検出器6を用いてエネルギー分析
される。試料台1はコントローラー2を用いて位置制御
されており、任意の方向に高精度(位置決め精度<0.
1μm)で移動可能である。さらに、紙面に垂直な軸の
まわりに高精度(1mrad)で回転可能である。コン
トローラ2からの位置決め信号と、検出器6からの出力
信号とを信号処理装置7で処理して、出力装置8に入力
する。
【0030】本実施例で用いる光学系の一例を図2から
図6に示した。これらの図で使用されている光学素子
は、低収差(微小領域への集光可能)で、かつその反射
率がゾーンプレートの透過・回折効率に比べはるかに優
れているという特長を有している。
【0031】たとえば、図2に示した反射面11は、楕
円面9と双曲面10の一部を共有する複合面であり、ウ
ォルター光学系と呼ばれている光学系の一種である。楕
円面と双曲面を組み合わせることにより、先に述べた単
一結晶表面上でのブラッグ反射を用いた集光方式に述
べ、収差を1/1000程度にすることができる。ま
た、複合面の反射率を数10%にすることも容易に可能
であり、この値はゾーンプレートの最大透過・回折効率
に比べはるかに高い。
【0032】図2に示した以外にも、楕円面,双曲面,
放物面を組合せたウォルター光学系が存在する。これら
他のウォルター光学系も使用可能である。また、実際の
光学系は、反射面11をx軸のまわりに回転して得られ
る回転体(図5、複合反射鏡14,15)、あるいは回
転体の一部(図6,複合反射鏡17)である。
【0033】ウォルター光学系以外にも、収差が少なく
反射率の高い光学系として、カークパトリック・ベッツ
光学系(図3)がある。また、反射鏡12,12′上に
不等間隔溝を形成することにより、さらに収差を低減で
きる(図4,反射鏡13,13′)。また、図には示さ
れていないが、複合面を用いたタンデム型光学系も使用
可能である。以上述べた光学系を用いれば、(光源4の
大きさによるが)軟X線から真空紫外領域の光を高効率
で1μmφ以下の領域に集光できる。
【0034】一方、光をさらに小さな領域に集光するた
めには、先に述べたような光学系を複数個使用する。図
5はその一例である。図5では、複合反射鏡14で光を
ピンホール16上に集光する。この光はピンホール16
で成型された後、複合反射鏡15で試料5上にさらに集
光・縮小される。図6では、ピンホール16のかわりに
可変スリット18,18′が用いられている。可変スリ
ット18,18′を用いることにより、試料5上での光
のスポットサイズを連続的に変化させることができる。
【0035】図5,図6において、複合反射鏡14,1
5,17、あるいは反射鏡13,13′の一部をゾーン
プレートで置きかえることは可能である。すべての光学
素子をゾーンプレートにした場合、ゾーンプレートの低
透過・回折効率のため、試料5に入射する光量は極端に
少なくなり、試料5の表面分析は不可能となる。しか
し、ゾーンプレートを一部に使用するだけならば、その
前段あるいは後段に反射光学系を使用することにより、
すべてにゾーンプレートを使用した場合に比べ、試料5
への入射光量の低下は防げる。
【0036】本実施例によれば、上述した光学系3の使
用により、例えば面内強度分布の半値幅で1μmφ以下
の微小領域でかつ信号強度が高く、表面分析が可能であ
る。試料5表面の拡大像を得ることも可能であるし、特
定の微小領域内での元素種や化学結合状態を得ることも
可能である。また、試料台1の移動により光の照射位置
を変化させ、試料5表面上での特定元素や化学結合状態
の分布を知ることもできる。さらに、光の試料5表面へ
の入射角調整が可能であるので、元素種等の深さ方向の
分布を知ることも可能である。
【0037】(実施例2)分析時にはビーム径が期待値
どおりにはなっていない場合も起こり得る。このような
場合には、ビーム径やビーム強度をモニタしながら、所
定のビームになるような光学系を調整することが必要で
ある。図7は、調整可能な光学系を用いた実施例の一例
である。図7では、反射鏡12,12′に微調整機構1
9,19′が設置されている。ビーム位置およびビーム
径はビームモニタ20によって、測定され、コントロー
ラ21にその測定結果がフィードバックされる。この信
号をもとに、コントローラ21から微調整機構19,1
9′に向け制御信号が送られ、反射鏡12,12′の位
置、光軸に対する角度、あるいは光源4や試料5との距
離が調整される。位置や角度の微調用駆動機構にはピエ
ゾ素子がよい。さらに、反射鏡12,12′の厚みを薄
くしておけば、反射鏡12,12′の曲率半径を自由に
変えることも可能であり、ビームの調整をさらに自由度
を持たせることができる。
【0038】(実施例3)図8は、ビーム調整が可能な
他の実施例である。図8では、複合反射鏡14と試料5
の間にビームモニタ23を挿入、設置しているので、分
析時においてもビーム調整が可能である。微調整機構2
2は局部加熱を使用している。複合反射鏡14の一部分
を加熱することにより、加熱された部分の曲率半径を変
えることが可能であり、これにより試料5表面上でのビ
ーム径を変えることが可能である。本実施例には位置や
角度の微調整機構は設置されていないが、これらの微調
整機構の設置はもちろん可能である。
【0039】図7,図8に示されたビームモモニタや微
調整機構は、それぞれの要素光学系に対するものであ
る。使用する光学系の数が増えれば、これらのビームモ
ニタや微調整機構を必要に応じて増やしてもよい。
【0040】(実施例4)図1,図7,図8に示された
実施例では、試料台1を動かすことにより元素等分布を
得ていた。しかし、光ビームを試料5表面上で走査する
ことによっても、同等の効果は得られる(一般的には、
試料を移動させるよりも、入射ビームを移動させる方が
高速スキャンが可能であり、容易である)。この方式の
実施例の一例を図9から図11に示した。図9では、光
学系25と試料5との間に、光ビーム走査用の反射鏡2
6が挿入されている。ここで、光学系25は、先の実施
例で述べた微調整機構付きの光学系である。光源からの
光は光学系25で集光されながら反射鏡26で反射さ
れ、試料5表面に到達する。反射鏡26は制御台27上
に設置されており、制御台27はコントローラ28によ
り制御されている。制御台27はx,y軸のまわりに回
転可能であり、これにより反射鏡26を若干回転させ光
ビームを走査する。
【0041】(実施例5)図9では集光途中で光ビーム
を偏向・走査していたが、光ビームを試料5表面上で走
査するためには、光源自体を動かしてもよい。図10に
その一例を示した。図10では、荷電粒子源29からの
荷電粒子を加速・集束・偏向系30を続いて加速・集束
し、ターゲット31に照射する。荷電粒子線照射によ
り、ターゲット31では照射部分で軟X線から真空紫外
領域の光が発生する。この光を光学系25で試料5表面
上に集光する。この際、コントローラ32を用いて荷電
粒子線を偏向すれば、ターゲット31における上記光の
発生位置が変化するので、試料5表面上での光の照射位
置が変化し、試料5表面上で光を走査することができ
る。コントローラ33は、ターゲット31の熱損傷をお
さえるための冷却手段(図示せず)を制御するコントロ
ーラである。本実施例では、ターゲット3は薄膜であ
る。
【0042】(実施例6)ターゲット材の熱損傷を低く
おさえるためには、ブロック材をターゲットとして使用
する方がよい。図11はそのような実施例の一例であ
る。各部の作用、動作は図10に示された実施例と同じ
である。
【0043】本実施例では、光の発生に荷電粒子線を用
いたが、レーザ等の強力光をターゲット31に照射し
て、レーザ光をターゲット31上でスキャンしてもよ
い。図1から図11に示した実施例により、1μmφ以
下の領域での化学分析が可能となる。
【0044】(実施例7)以上で述べた実施例では検出
器6は電子のエネルギー分析ができれば種類は問わなか
った。たとえば、CMA(円筒型鏡面分析器)、LEE
D等で用いられるレターディング フィールド アナラ
イザ、ヘミスヘリカル ディフレクションアナライザ
(retarding field analyzer, hemispherical Leflecti
on annalyzer)等でよい。図12に示した検出器はディ
スプレイタイプ(投射型)のエネルギー分析器である
(イーストマン他,ニュークリア・インストルメンツ・
アンド・メソッド、第172巻、327頁(1980
年)。D.E.Eastman et al.,Nucl.Instru. Metho
d 172,327(1980))。この型の分析器は電
子の取込角が大きいという特長を持つ。試料5表面上の
1点で発生した電子は、ローパスフィルタ35,ハイパ
スフィルタ37によりエネルギー分析され、蛍光板38
に入射する。蛍光板上では蛍光が発生し、この蛍光を2
次元の光検出器39を用いて観測することにより、より
大きな信号が得られる。以上述べた検出器はすべて本発
明に使用可能である。
【0045】(実施例8)非常に損傷を受けやすい試料
に対しては、光源をパルス化する。あるいは、電気的、
機械的手段を用いて光ビームを変調することが有効であ
る。パルス性光源としては、プラズマX線源や、図10
や図11においてターゲット31,34への電荷粒子照
射をパルス化した光源が使用できる。
【0046】(実施例9)一方、光ビームを変調する実
施例を図13に示した。図13では、光学系25からの
光ビームがチョッパ41を通過して、試料5上に集光さ
れる。チョッピング周波数はコントローラ43によって
制御されている。チョッピングに関する信号は、参照信
号として信号処理装置7に入力される。ここで示したチ
ョッピング方式は一例であり、高周波振動子等他方式を
用いたチョッピング方式でもよい。本実施例によれば、
試料面への光照射が間歇的であるので、損傷に弱い試料
でも分析可能である。
【0047】(実施例10)図14に示した実施例は、
深溝底部等の分析に有効な実施例である。図14に示す
ように、試料5の上下にコイル44,45が設置され、
試料5表面近傍に強磁場(>1T)が発生可能である。
これにより、深溝底部等で発生した電子の検出器6に対
する捕足率が向上する。試料5表面近傍での磁束密度が
大きい程、アスペクト比の大きな深溝まで分析可能であ
る。本実施例では静磁場コイルを使用しているが、より
大きな磁束密度を必要とする時は、パルス磁場を用いれ
ばよい。
【0048】(実施例11)次に、軟X線から真空紫外
領域の光を集光することと他方式とを組合せた実施例を
説明する。図15は、集光のための光学系25とピンホ
ール48を組合せた実施例である。本実施例では、光学
系25からの光ビームが遮蔽板49でさえぎられてい
る。遮蔽板49に設けられたピンホール48を通過した
光のみが試料5表面に到達する。本実施例では、光学系
25は光強度(密度)を増大するためのコンデンサ系と
して使用されている。本方式の面方向分解能は、ピンホ
ール48の大きさ、およびピンホール48と試料5との
距離によって決定される。ピンホールの径に比べ使用す
る光の波長が十分短かければ、1μm以下の面方向分解
能を容易に得ることができる。
【0049】(実施例12)図16に示した実施例は、
試料5が薄膜(<1μm)である場合の実施例である。
ここでは光集光用光学系は使用されていないが、微小領
域の化学分析という観点からは、これまでに述べた実施
例と同等の効果を持つ。荷電粒子源29で発生した荷電
粒子を、加速・集束・偏向系を用いて微小径のビームに
してターゲット50に照射する。先に述べたように、数
keVから数10keVの粒子エネルギーで、ビーム径を
0.01μm以下にすることは可能である。この時、タ
ーゲット50の厚みを1μm以下にしておけば、荷電粒
子照射によりターゲット50中で発生した軟X線から真
空紫外領域の光は、その一部がターゲット50を透過し
て、試料5内および表面に到達する。この時試料5内部
および表面で電子が発生するが、電子の脱出深さは数1
0Å程度であるため、検出器6に入る電子は事実上表面
近傍で発生した電子に限られる。ターゲット50に入射
する荷電粒子ビームのビーム径を十分小さくすれば(<
1μm)、ビーム径と同じオーダーの大きさを持つ領域
内での表面分析が可能である。
【0050】以上、いくつかの実施例を述べた。これら
実施例を複数個組合せた実施例も本発明に含まれること
はもちろんである。
【0051】以上述べた実施例では、試料5表面から放
出される粒子は電子とした。しかし、試料5に軟X線か
ら真空紫外領域の光(特に、軟X線)を照射した場合、
電子以外に光も放出されることがある。この光も、その
エネルギーに元素種や化学結合状態に関する情報を含ん
でいる。従って、電子のかわりに、光を観測してもよ
い。この場合には、検出器6をエネルギー分散物の光検
出器、あるいは分子器と光検出器に交換する。この光の
検出、あるいは電子と光の同時検出も本発明に含まれる
ものとする。
【0052】光源4に関しては、エネルギー分析という
観点から単色化されていることが必要である。単色化さ
れているならば、光源4は任意の軟X線、真空紫外光源
でよい。たとえば、通常の各種ターゲット材を用いた荷
電粒子X線源,レーザ照射型X線源や希ガスの輝線スペ
クトルを用いた真空紫外光源が考えられる。また、シン
クロトロン放射光を用いてもよい。これら光源の単色化
が不十分である場合には、分光器を用いてより一層単色
化された光を光源4として用いる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、低収差かつ光の利用効
率の高い光学系を用いて軟X線から真空紫外領域の光を
集光できるので、微小領域、時に1μmφ以下の微小領
域に関する化学的情報の取得が可能である。この結果、
半導体回路素子表面の残留汚染物の分析や、スパッタ薄
膜など各種材料表面のマイクロキャラクタリゼーショ
ン、各種表面上での不均一反応の解析等が可能になる。
さらに、生物工学等の分野では、分子単体を対象にした
元素解析、構造解析も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図。
【図2】本発明で用いる光学系の一例を示す概略図。
【図3】本発明で用いる光学系の一例を示す概略図。
【図4】本発明で用いる光学系の一例を示す概略図。
【図5】本発明で用いる光学系の一例を示す概略図。
【図6】本発明で用いる光学系の一例を示す概略図。
【図7】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図8】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図9】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図10】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図11】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図12】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図13】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図14】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図15】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図16】本発明の一実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…試料台、2…コントローラ、3…光学系、4…光
源、5…試料、6…検出器、7…信号処理装置、8…出
力装置、9…楕円面、10…双曲面、11…反射面、1
2,12′…反射鏡、13,13′…反射鏡、14,1
5…複合反射鏡、16…ピンホール、17…複合反射
鏡、18,18′…可変スリット、19,20…微調整
機構、20…ビームモニタ、21…コントローラ、22
…微調整機構、23…ビームモニタ、24…コントロー
ラ、25…光学系、26…反射鏡、27…制御台、28
…コントローラ、29…荷電粒子源、30…加速・集束
・偏向系、31…ターゲット、32,33…コントロー
ラ、34…ターゲット、35…ローパスフィルタ、36
…アパーチャ、37…ハイパスフィルタ、38…蛍光
板、39…光検出器、40…コントローラ、41…チョ
ッパ、42…駆動源、43…コントローラ、44,45
…コイル、46…磁気シールド、47…コントローラ電
源、48…遮蔽板、49…ピンホール、50…ターゲッ
ト、51…試料台。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟X線又は真空紫外領域の光を発生する光
    源と、試料台と、該光源からの光を該試料台に載置され
    た試料に照射する光照射手段と、該試料から放出される
    電子のエネルギーを分析する手段からなり、上記光照射
    手段は上記試料上に照射される光のスポットサイズを連
    続的に変化させる手段を含むことを特徴とする表面分析
    装置。
  2. 【請求項2】上記光のスポットサイズを連続的に変化さ
    せる手段は、2枚のスリットからなることを特徴とする
    請求項1に記載の表面分析装置。
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