JPH08148323A - 酸化物磁性体材料および成型体の製造方法 - Google Patents

酸化物磁性体材料および成型体の製造方法

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JPH08148323A
JPH08148323A JP6283463A JP28346394A JPH08148323A JP H08148323 A JPH08148323 A JP H08148323A JP 6283463 A JP6283463 A JP 6283463A JP 28346394 A JP28346394 A JP 28346394A JP H08148323 A JPH08148323 A JP H08148323A
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JP6283463A
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Osamu Inoue
修 井上
Koichi Kugimiya
公一 釘宮
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/34Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
    • H01F1/342Oxides
    • H01F1/344Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 中〜高周波帯域(200kHz〜1MHz)
において、磁気損失が少ない磁性体材料、およびこれを
用いた小型で低発熱、高効率のスイッチング電源を提供
する。 【構成】 主組成として、Fe23を55〜58mol
%、ZnOを0〜6mol%、残分MnOよりなり、副
成分として少なくともCaOを0.05〜0.3重量%、
SiO2 を0.005〜0.1重量%を含有するMnZn
系フェライトの非パーミンバー型酸化物磁性体材料、お
よび上記MnZn系フェライトをメイントランス用磁芯
として使用し、スイッチング周波数が200kHz〜1
MHzで駆動することを特徴とするスイッチング電源。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物磁性体材料の製
造方法およびそれを用いたスイッチング電源に関する。
より詳細には、インダクタンス部品、電源用トランスコ
ア等に用いられる高周波特性に優れた低損失MnZn系
フェライトである酸化物磁性体材料、この酸化物磁性体
材料からなる成型体の製造方法およびそれを用いたスイ
ッチング電源に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のエレクトロニクス技術の発展にと
もなう機器の小型化、高密度化により、使用周波数の高
周波化が進んでいる。例えばスイッチング電源用トラン
ス磁芯その他に用いられる磁性体材料においても、高周
波化への対応が必要とされ、特に小型化した場合の発熱
を防止するために、高周波において低磁気損失であるこ
とが要求されている。
【0003】また、磁気損失の温度係数が室温付近で正
であると、実使用時にトランスが磁気損失により発熱
し、そのために温度が上昇し、さらに磁気損失が増大し
て発熱が大きくなることを繰り返し、熱暴走を起こす危
険性がある。このため、使用条件にもよるが、一般に室
温付近での磁気損失の温度係数が負で、実際に使用する
温度で、磁気損失が最小となるような温度特性を持つこ
とが要求される。
【0004】例えば磁芯材料等に適用される磁性体材料
には、大きく分けて金属系材料と酸化物フェライト系材
料がある。金属系の材料は、飽和磁束密度・透磁率とも
高いという長所があるが、電気抵抗率が10-6〜10-4
Ω・cm程度と低いため、高周波においては渦電流に起
因する磁気損失が増大するという欠点があった。この欠
点は、磁性体の厚さを薄くすることによって改善される
ため、金属を薄い箔状に加工し絶縁体をはさんでロール
状に巻いたものも作られているが、薄膜化には約10μ
m程度までと限界があり、また複雑形状のものが作りに
くく、高コストであるといった問題点がある。このた
め、100kHz程度の周波数帯域までしか使用できな
かった。
【0005】一方フェライト系材料は、飽和磁束密度は
金属系材料の1/2程度と低い。しかしながら電気抵抗
率は、通常用いられているMnZn系のもので1Ω・c
m程度と、金属系材料に比べてはるかに高く、また、C
aOやSiO2 等の添加物を用いることにより、電気抵
抗率をさらに10〜数百Ω・cm程度まで高めることが
でき、渦電流に起因する磁気損失が高周波数まで比較的
小さく、特別な工夫をすることなく使用可能である。ま
た複雑形状のものも容易に作ることができ、かつ低コス
トであるといった利点を持つ。このため、例えば100
kHz以上のスイッチング周波数での電源用トランス磁
芯材料としては、このフェライト系の材料が一般に用い
られていた。
【0006】一般にフェライトの磁気特性のうち、飽和
磁束密度、キュリー温度、損失極小温度などはその主組
成に依存し、一方、透磁率、残留磁束密度、保持力、磁
気損失などは、主組成の影響も受けるが、微細構造によ
って支配される特性であるとされている。高周波の磁気
損失は主に渦電流損失に起因するので、電気抵抗率が高
いほど損失が小さくなると考えられるが、MnZnフェ
ライト自体の電気抵抗率は、前述したように充分高くは
ない。このため、高周波用低磁気損失MnZnフェライ
トの開発は、各種の添加物を用い、また微細構造を制御
することにより、電気抵抗率を高くする検討が主流であ
る。
【0007】一方、MnZn系フェライトの磁気損失極
小温度については、従来は結晶磁気異方性によって説明
がなされていた。すなわち、結晶磁気異方性定数K1
符号が温度上昇に伴って負から正の値に変わるK1 =0
の温度において、磁気損失が極小値をもつといわれてい
る。この温度は透磁率が極大をもつ、いわゆる透磁率の
セカンダリーピークに一致する。このK1 は温度上昇に
対して単調に増加するが、Fe2+は正のK1 を持つた
め、Fe2+の量が増加すると(すなわちFe23量が増
加すると)セカンダリーピークの温度は低温側に移動す
る。従って、主組成のFe23量が多いと極小損失温度
が低くなり過ぎるため、Fe23量は、54mol%程
度以下が一般的であった。
【0008】また、高周波用低損失材料の磁気損失以外
の特性としては、飽和磁束密度、キュリー温度、透磁率
が高いことが必要とされている。これらの特性は、ソフ
ト磁性体に基本的に要求される特性であるとともに、低
損失化のためにも重要な特性と考えられている(「粉体
および粉末冶金」第34巻5号P191)。飽和磁束密
度は、ZnO量がある程度多く、Fe23量が多いほど
増加する。しかしながら、ZnO量が多すぎるとキュリ
ー温度が低下し、またFe23量が多すぎると透磁率が
低下することが知られている。以上のような理由から、
低損失MnZnフェライトの主組成としては、Fe23
を53〜54mol%程度、ZnOを9〜12mol%
程度含有するものが最適とされている(「エレクトロニ
ク セラミクス」1985年冬号P44)。実際に開発
されている低損失フェライトも、ほとんどがこの組成範
囲内であり、低損失化は、この付近の主組成を用い、既
に述べたような添加物、微細構造による検討が中心であ
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなフェライト系材料といえども、さらに高周波になる
と渦電流に起因する磁気損失が増大して使用することが
できないという問題がある。また高周波、低磁場で低損
失な材料は存在するが、このような材料は、磁気損失値
が不安定であり、また使用磁束密度を大きくすると、磁
気損失が急増するという問題点があった。
【0010】さらに、比較的磁気損失が低い材料では、
一般に磁気損失最小温度が室温付近にあって熱暴走を起
こしやすいという問題点があった。従って、安定した特
性で超低磁気損失であり、磁束密度を高くしても急激に
損失が増加することがなく、同時に温度特性も良い材料
は、現在まで得られていなかった。
【0011】発明者等は、各種の主組成比のMnZn系
フェライトに種々の金属酸化物を複合添加したフェライ
トを実際に作製し、添加物、主組成の効果を詳細に検討
した。その結果、3成分以上の複合添加により、従来よ
りもはるかに優れた低損失化効果を見いだした。また従
来用いられていたものとは全く異なる、Fe23が過剰
でZnO量の少ない主組成範囲にこれらの添加物を用い
ることにより、数MHzでもさらに低磁気損失のフェラ
イトが得られることを見いだした。
【0012】しかしながら、この超低損失フェライト
は、高周波、低磁束密度では確かに超低損失となるが、
磁気損失の磁束密度依存性が大きく、100mT以上の
磁束密度化では、損失値が大きくなり、同時に極小損失
温度も低下した。また、損失値自体が不安定で、高磁場
をかけた後、一定の磁束密度下で損失値を測定すると、
高磁場をかける前に測定した値よりも大きくなった。こ
れらの点についてさらに検討した結果、このフェライト
はパーミンバー(Perminvar) 型磁性体となっており、こ
れを非パーミンバー型とすることによって、低磁場、高
周波下での損失は若干増大するが、損失値が安定とな
り、また磁束密度依存性が小さくなり、実用的に重要な
高磁場(100mT以上)、中程度の周波数(200k
Hz〜1MHz)での損失が低下し、また極小損失温度
も改善されることを見いだした。
【0013】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、高周波、高磁束密度下における磁気損失が極めて
低い磁性体材料、それを用いた成型体の製造方法および
スイッチング電源を提供することを目的とする。また、
その温度特性が好ましくない場合には、これを改善する
手段を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の酸化物磁性体材料は、主組成がFe23
55〜58mol%、ZnOを0〜6mol%、残分M
nOよりなり、副成分として少なくともCaOを0.0
5〜0.3重量%、SiO2 を0.005〜0.1重量%
を含有することを特徴とする、非パーミンバー型焼結体
であることを特徴とする。
【0015】前記酸化物磁性体材料においては、次のA
群のMxzで示される金属酸化物のなかから少なくとも
一種類以上、0.01〜0.2重量%含有することが好ま
しい。(A群:Mxz=ZrO2、HfO2、Ta25
Al23、Ga23、In23、Ge O2、Sb2
3 ) 副成分のうち、CaOおよびSiO2 の役割は、MnZ
n系フェライトの電気抵抗値を増大させ、渦電流にとも
なう磁気損失を低下させるものである。A群の添加物の
役割は、CaOおよびSiO2 とともに、さらに電気抵
抗を増大させることにある。添加量の下限は、磁気損失
低下の効果が表れるのに必要な最低限度である。一方上
限を設定する理由は、添加量が増加し過ぎると透磁率の
低下等を招き、磁気損失を増大させるためである。
【0016】本発明の成型体の製造方法は、主組成とし
て、Fe23を55〜58mol%、ZnOを0〜6m
ol%、残分MnOよりなり、副成分として少なくとも
CaOを0.05〜0.3重量%、SiO2 を0.005
〜0.1重量%、Mxz金属酸化物を含まないか又はそ
れぞれ少なくとも一種類以上、0.01〜0.2重量%含
有してなる成型体を熱処理する製造方法であって、請求
項1または2に記載の酸化物磁性体材料からなる成型体
をキュリー点以上の温度より急冷することを特徴とす
る。
【0017】前記組成の酸化物磁性体材料成型体の製造
方法において、成型体をキュリー点以上の温度より飽和
磁界中で室温近傍まで冷却することが好ましい。また前
記組成の酸化物磁性体材料からなる成型体を、15エル
ステッド以上の外部磁界処理を行うことが好ましい。
【0018】本発明のスイッチング電源は、前記組成の
酸化物磁性体材料のMnZn系フェライトからなる磁芯
を使用する、スイッチング周波数が200kHz〜1M
Hzであることを要旨とする。
【0019】その他低磁気損失MnZnフェライトに必
要な特性としては、焼結体の相対密度が 4.6g/cm3
以上であることが望ましい。焼結密度が低いと実効断面
積が減少するために損失が増大する。また焼結密度が低
いと、焼成の冷却時に雰囲気の影響を受け易くなり、特
にFe23が多いような組成では、精密に雰囲気制御を
行わなければ本来の特性が得られにくくなる場合があ
り、製造時の歩留まりを下げる原因となる。次に透磁率
として1500以上2500程度の範囲内が望ましい。
また、電気抵抗率は、直流抵抗率が1kΩ・cm程度以
下が望ましい。透磁率や電気抵抗率は結晶粒径によって
変化し、粒径が小さすぎると透磁率が低くなり、また大
きすぎると電気抵抗が低くなる。従って、平均結晶粒径
は10μm以下で、2〜5μm程度が望ましい。
【0020】本発明で限定する主組成範囲では、通常は
パーミンバー型磁性体が得られる。このパーミンバー型
磁性体は、磁気損失の値が不安定で、かつ磁束密度の増
加に伴い、磁気損失が急増しやすい。この欠点を克服す
るためには、非パーミンバー型磁性体とすることが必要
であるが、本発明の前記の構成により、非パーミンバー
型磁性体を得ることができたのである。
【0021】
【作用】本発明の前記した、主組成がFe23を55〜
58mol%、ZnOを0〜6mol%、残分MnOよ
りなり、副成分として少なくともCaOを0.05〜0.
3重量%、SiO2 を0.005〜0.1重量%を含有す
る非パーミンバー型焼結体である構成によれば、高周
波、高磁束密度下で磁気損失の低い磁性体材料とするこ
とができる。
【0022】また前記酸化物磁性体材料の、Mxzで示
されるA群の金属酸化物(Mxz=ZrO2、HfO2
Ta25、Al23、Ga23、In23、GeO2
Sb 23)のなかから少なくとも一種類以上、0.01
〜0.2重量%含有する好ましい例によれば、より磁気
損失の低い磁性体材料とすることができる。
【0023】かつ非パーミンバー型焼結体とすることに
より、損失値が安定した、高周波・高磁束密度下で磁気
損失を低くできる。本発明の成型体の製造方法は、主組
成として、Fe23を55〜58mol%、ZnOを0
〜6mol%、残分MnOよりなり、副成分として少な
くともCaOを 0.05〜0.3重量%、SiO2 を0.
005〜 0.1重量%、前記A群のMxz金属酸化物を
含まないか又は少なくとも一種類以上、0.01〜0.2
重量%含有する成型体をキューリー点以上の温度より急
冷することにより、非パーミンバー型焼結体とすること
ができ、磁気損失の低い成型体を得ることができる。
【0024】前記製造方法の好ましい例によれば、成型
体をキューリー点以上の温度より飽和磁界中で室温近傍
まで冷却することにより、磁束密度が増加しても磁気損
失の低い成型体を得ることができる。
【0025】前記成型体の製造方法の好ましい例によれ
ば、前記酸化物磁性体材料からなる成型体を15エルス
テッド以上の外部磁界処理を行うことにより、非パーミ
ンバー型焼結体とすることができ、磁束密度が増加して
も磁気損失の低い成型体を得ることができる。
【0026】本発明の酸化物磁性体材料のMnZn系フ
ェライトからなる磁芯を使用する、スイッチング電源に
よれば、周波数が200kHz〜1MHzでも小型、高
効率の電源が得られる。
【0027】本発明のMnZn系フェライト材料は、測
定周波数1MHz付近まで、磁束密度250mT付近ま
で低磁気損失を示す。従って、本材料を磁気コアとして
用いたスイッチング周波数が200kHz〜1MHzの
スイッチング電源は、小型、高効率となる。
【0028】
【実施例】以下実施例によって、本発明を説明する。A
群として一部のものを用いた場合の実施例を中心に説明
するが、実施例4〜6に示すように、他の本発明の請求
項に挙げた添加物を用いた場合にも、程度の差はあれ同
様の効果が認められた。
【0029】(実施例1)出発原料に純度99.5%の
α-Fe23、MnCO3、ZnO の各粉末を用いた。
これらの粉末をFe23が57mol%となり、ZnO
量が4mol%となり、残MnCO3となり、合計重量
が300gとなるように秤量した。これらの粉末をボー
ルミルにて湿式10時間混合粉砕し、乾燥させた。この
混合粉末を900℃で2時間空気中で仮焼した後、Ca
Oが0.1重量%、SiO2 が0.03重量%、Ta25
が0.07重量%となるように、CaCO3、SiO2
Ta25 を添加し、再度ボールミルにて10h、湿式
混合粉砕して乾燥させ、仮焼粉末とした。
【0030】これらの仮焼粉末にポリビニルアルコール
の5重量%水溶液を10重量%加え、30メッシュのふ
るいを通過させて造粒した。これらの造粒粉を成形圧
0.5t/cm2で一軸金型成形し、この成形体を500
℃で1時間、空気中でバインダアウトした。焼成時、昇
温速度を200℃/h、最高温度を1200℃とし、昇
温時を空気中、最高温度保持時および冷却時をFe23
量に対応したフェライトの平衡酸素分圧に応じてO2
囲気制御し、冷却速度を200℃/hとして試料(a)を
作製した。また、800℃以下の冷却速度を1000℃
/hと急冷条件とした試料(b)を作製した。さらに、試
料(a)をキュリー温度以上の温度(この場合300℃)
にて、飽和磁場(7000ガウス)中より冷却して試料
(c)とし、室温にて20エルステッドの外部磁界中で処
理して得た試料(d)を用意した。
【0031】同様の方法で、主組成比のみFe23が5
4mol%となり、ZnO量が8mol%となり、残M
nOよりなる試料(e)〜(h)を作製した。得られた焼結
体より外径20mm、内径14mm、厚さ3mmのリン
グ状試料を切り出した。この試料に、絶縁テープを一層
巻いた後、線径 0.26mmφの絶縁導線を全周にわた
って一層巻いた試料を準備し、B−Hループトレーサー
により、磁束密度450mTまでのB−Hループを静磁
場にて測定した。その結果の一部を図1に示した。B−
Hループの形状より、パーミンバー型の磁性体となって
いるもの(図1の試料a)と非パーミンバー型(図1の
試料c,e)の磁性体に別れた。次に、交流B−Hカー
ブ・トレーサーを用い、2MHz,50mTおよび50
0kHz・150mTにおける磁気損失を、20℃〜1
20℃の間で20℃きざみで測定し、磁気損失が最も小
さくなる温度およびその時の損失値を求めた。これらの
結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1から明らかなように、Fe23量を5
7mol%、ZnOを4mol%含む場合、通常の作製
法ではパーミンバー型磁性体(a)が得られるが、急冷処
理、磁場中冷却、高磁界処理により、非パーミンバー型
磁性体(b)〜(d)が得られた。一方、Fe23量を54
mol%、ZnOを8mol%含む場合、作製法にかか
わらず、非パーミンバー型(e)〜(h)が得られた。
【0034】(a)〜(d)は、(e)〜(h)よりも全体に低
損失であった。またパーミンバー型の(a)は非パーミン
バー型の(b)〜(d)に比較して、高周波、低磁場(2M
Hz,50mT)では低損失であるが、より実用的な、
高磁場(0.5MHz,150mT)では逆に損失値が
大きかった。
【0035】(実施例2)実施例1と同様の方法で、α
-Fe23、MnCO3、ZnOより組成比が(表2)の
量となり、CaOが0.1重量%、SiO2 が0.03重
量%、Sb23が0.05重量%となる焼結体を作製し
た。得られた試料の磁束密度450mTまでのB−Hル
ープを、実施例1と同様の方法にて測定し、また交流B
−Hカーブ・トレーサーを用い、500kHz・150
mTにおける磁気損失を、20℃〜120℃の間で20
℃きざみで測定し、磁気損失が最も小さくなる温度およ
びその時の損失値を求めた。次に、これらの試料を35
0℃より、飽和磁場(6000ガウス)中で冷却し、再
度、磁束密度450mTまでのB−Hループおよび50
0kHz・150mTにおける極小損失温度とその時の
磁気損失値とを測定した。その結果を表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】表2より明らかなように、Fe23を55
〜58mol%、ZnOを0〜6mol%含み、非パー
ミンバー型であるフェライトでは、損失値が2000kW/m3
未満で、かつ極小損失温度が60℃以上と高く、熱暴走
を起こしにくい。これに対して比較例では、損失値が大
きいか、あるいは極小損失温度が40℃以下と低いとい
う欠点があった。
【0038】(実施例3)実施例1と同様の方法で、組
成比がFe23 を56.5mol%、MnOを39.5
mol%、ZnOを4mol%となり、副成分として、
CaOが0.1重量%、SiO2が0.02重量%とな
り、ZrO2、HfO2、Ta25、Al23、Ga
23、In23、GeO2、Sb23が(表3)の量と
なるように、CaCO3 およびそれぞれの金属酸化物を
添加した焼結体を作製した。これらの焼結体を300℃
から7000ガウスの磁場中で冷却し、実施例1と同様
にリング状試料を切り出した。得られた試料の磁束密度
450mTまでのB−Hループを、実施例1と同様の方
法にて測定し、また交流B−Hカーブ・トレーサーを用
い、500kHz・150mTにおける磁気損失を、2
0℃〜120℃の間で20℃きざみで測定した。その結
果、試料はいずれも非パーミンバー型磁性体であった。
また、損失はいずれの試料においても、80℃で極小値
を示した。この極小損失値をkW/m3の単位で表3に示
した。
【0039】
【表3】
【0040】表3より明らかなように、CaO、SiO
2 のみの添加に比べ、さらにZrO 2、HfO2、Ta2
5、Al23、Ga23、In23、GeO2、Sb2
3 を複合して添加したものは、0.01重量%以上0.
2重量%以下の添加範囲内で、CaOを 0.05〜0.
3重量%、SiO2 を0.005〜0.1重量%さらに損
失が低下した。
【0041】(実施例4)実施例1と同様の方法で、組
成比がFe23 を56.5mol%、MnOを40mo
l%、ZnOを3.5mol%となり、CaOを0.1重
量%、SiO2 を0.02重量%、ZrO2を0.05重
量%、Sb23を0.05重量%含む焼結体を作製し、
これを、300℃より7000ガウスの磁場中で冷却し
て試料(a)とした。また、この磁場中冷却を行なわなか
った試料を(b)とした。
【0042】また、組成比がFe23を54mol%、
MnOを36mol%、ZnOを10mol%となり、
CaOを0.1重量%、SiO2を0.02重量%、Zr
2を0.05重量%含む、試料(c)を作製した。
【0043】また、組成比がFe23を54mol%、
MnOを34mol%、ZnOを12mol%となり、
CaOを0.05重量%、SiO2 を0.03重量%、含
む、試料(d)を作製した。ただし、試料(d)のみ、焼成
温度を1350℃とした。
【0044】これらの試料について、実施例1と同様の
方法で、磁束密度450mTまでの静磁場B−Hルー
プ、および500kHz・150mTにおける磁気損失
の温度特性を測定した。
【0045】焼結体(a)は、80℃で磁気損失が極小と
なり、この時の損失値が1380kW/m3である、本発
明による非パーミンバー型低磁気損失材である。また焼
結体(b)は、60℃で磁気損失が極小となり、この時の
損失値が2570kW/m3である、パーミンバー型従来
材料である。また焼結体(c)は、60℃で磁気損失が極
小となり、この時の損失値が2750kW/m3である、
非パーミンバー型従来材料である。また焼結体(d)は、
80℃で磁気損失が極小となり、この時の損失値が28
40kW/m3である、非パーミンバー型従来材料であ
る。
【0046】これらの4種類の試料について、それぞれ
の損失極小温度において、周波数0,5MHzで磁束密
度を変化させて磁気損失を測定した。その結果を表4に
示した。
【0047】
【表4】
【0048】表4より明らかなように、比較例の(d)お
よび(c)は全体的に損失が大きい。また、(b)は50m
Tでは損失値が小さいが、150mT以上では損失が急
増した。これに対して、本発明の試料(a)は、高い磁束
密度まで損失値が急増することなく、使用可能であっ
た。
【0049】次に、同じ試料に対して、それぞれの損失
極小温度において、磁束密度Bと周波数fの積、B・f
=50(mT・MHz)で一定となる条件で磁気損失を
測定した(この条件では、同一出力時の電源トランスで
コアサイズが一定となる)。またB・f=100(mT
・MHz)で一定となる条件で磁気損失を測定した。こ
れらの結果を表5に示した。
【0050】
【表5】
【0051】表5より明らかなように、(d)は低周波、
高磁場(200kHz,250mT)の場合のみ低損失
であるが、高周波では損失値が大きい。(c)は全体的に
損失が大きい。(b)は0.5MHz以上で磁束密度が低
い場合には損失値が小さいが、磁束密度が高くなると損
失が急増し、実用的ではない。これに対して、本発明の
試料(a)は、低周波〜1MHz付近まで損失が低く、特
に磁束密度が大きい場合に有利であった。
【0052】以上の結果より、開発したフェライト材料
を用いたスイッチング周波数が〜1MHzの電源は、発
熱が少なく高効率で、熱暴走する危険性が低い。また、
特に500kHz付近でその特徴が顕著となる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、従
来にない低磁気損失の材料が得られる。これを用いて作
製されたスイッチング電源は、小型で低発熱、高効率と
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パーミンバー型および非パーミンバー型のフ
ェライトの静磁場ヒステリシスループ図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主組成として、 Fe23を55〜58mol%、ZnOを0〜6mol
    %、残分MnOよりなり、副成分として少なくともCa
    Oを 0.05〜0.3重量%、SiO2 を0.005〜
    0.1重量%を含有することを特徴とする非パーミンバ
    ー型酸化物磁性体材料。
  2. 【請求項2】 下記のA群のMxzで示される金属酸化
    物のなかから少なくとも一種類以上、0.01〜0.2重
    量%含有する請求項1に記載の酸化物磁性体材料。(A
    群:Mxz=ZrO2、HfO2、Ta25、Al23
    Ga23、In23、GeO2、Sb23
  3. 【請求項3】 主組成として、Fe23を55〜58m
    ol%、ZnOを0〜6mol%、残分MnOよりな
    り、副成分として少なくともCaOを 0.05〜0.3
    重量%、SiO2 を0.005〜 0.1重量%、前記Mx
    z金属酸化物を含まないかまたはそれぞれ少なくとも
    一種類以上、0.01〜0.2重量%含有する酸化物磁性
    体材料からなる成型体の製造方法であって、成型体をキ
    ュリー点以上の温度より急冷することを特徴とする請求
    項1または2に記載の酸化物磁性体材料からなる成型体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 成型体をキュリー点以上の温度より飽和
    磁界中で室温近傍まで冷却する請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の酸化物磁性体材料からなる成型体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 成型体を15エルステッド以上の外部磁
    界処理を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化
    物磁性体材料からなる成型体の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化物磁性体材料のMnZn系フェライ
    トからなる磁芯を使用する、スイッチング周波数が20
    0kHz〜1MHzのスイッチング電源であって、磁芯
    が請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物磁性体材
    料からなるスイッチング電源。
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