JPH08137697A - 自律分散型システム - Google Patents

自律分散型システム

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JPH08137697A
JPH08137697A JP6280262A JP28026294A JPH08137697A JP H08137697 A JPH08137697 A JP H08137697A JP 6280262 A JP6280262 A JP 6280262A JP 28026294 A JP28026294 A JP 28026294A JP H08137697 A JPH08137697 A JP H08137697A
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JP
Japan
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task
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JP6280262A
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Inventor
Tetsuya Takahashi
哲也 高橋
Naoki Tamura
直樹 田村
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 システム設定の変更などの保守の手間を発生
することなく,構成要素の変化などによるシステム特性
の変化に対応してシステム全体の機能や性能を保ち得る
自律分散型システム。 【構成】 本システムは,エージェントが通信に
より協調動作してタスクを処理する自律分散型システム
であって,各エージェントは自分と他のエージェント
のタスク処理能力に関する知識を持ち,エージェント
同士はそれぞれが持つ知識に応じて自律的にネゴシ
ェーションを行うことによりタスク処理の分担を決定
し,各エージェントはこの決定された分担に従ってタ
スク処理を実行し,処理結果を観測するに際し,各
エージェントは上記ネゴシェーション時の他のエージ
ェントとの情報交換及び上記観測結果からシステ
ム特性の変化を推定し,各エージェントは上記推定
されたシステム特性の変化に基づいて自分の持つ知識を
逐次更新するように構成されている。上記構成によ
り,システム設定の変更などの保守の手間が不要とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,自己分散型システムに
係り,詳しくは複数のエージェントが通信により協調動
作してタスクを処理する自律分散型システムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年,コンピュータネットワークの普及
ならびに計算機のダウンサイジング化が進むにつれて,
クライアントサーバ型システムに代表されるようなネッ
トワークによって複数計算機同士を連係作動させるシス
テムが一般的となってきた。これによって,ネットワー
クで接続された計算機間の通信を利用して複数のユーザ
が共同作業を行い,個人の作業効率だけでなくグループ
として作業生産性を高めるためのグループウエアやコン
カレントエンジニアリングと呼ばれる分野の研究なども
盛んとなってきた。また,ディスクやCPUなどの資源
を共有化して計算機を有効活用することが可能となり,
ネットークやシステムの構成もフレキシグルに行うこと
が可能となってきた。しかしながら,そのようなシステ
ムが大規模になりネットークに接続される機器が増加す
るにつれて,ネットワークシステムを運営していくうえ
での問題点も次第に明白になりつつある。すなわち,ネ
ットワークに大量の資源が接続されると数多くのサブシ
ステムが複数計算機に散在することになり,かつてのホ
スト計算機による集中管理システムとは異なった,シス
テムの管理及び保守の面での困難が生じてくる。例え
ば,システムを構成する機器の一部に故障や異常が生じ
た際には,サブシステム同士が通信によって密接に相互
依存しながら動作しているために,故障箇所や異常原因
を特定することが困難になる。また,サブシステムの数
があまり多くない場合にはフレキシブルであったシステ
ム構成も,ネットワークに接続されるサブシステム数が
ある程度以上増えてしまうと,一部のシステム構成を変
更することによる他のサブシステムへの影響を予測する
ことが困難となり,結局はシステムとしてのフレキシビ
リテイが失われてしまう。そこで,最近では「コンピュ
ータシステム内において自律的に動作し,各種の判断や
作業を人間に代って行うサブシステム」という意味で使
われる「エージェント」という新しい概念を用いたシス
テムが開発された(情報処理学会研究報告Vol.9
3,No.69参照)。これは,複数のエージェントが
通信により所定のシステム特性に従って協調動作してタ
スクを処理する自律分散型システムであって,各エージ
ェントは自分と他のエージェントのタスク処理能力に関
する知識を持ち,エージェント同士はそれぞれが持つ知
識に応じて自律的にネゴシェーションを行うことにより
タスク処理の分担を決定し,各エージェントはこの決定
された分担に従ってタスク処理を実行し,タスク処理結
果を観測するシステムである。ここでは,エージェント
はコンピュータのユーザに対して秘書の役割をするソフ
トウエアや,コンピュータネットワークを利用してシス
テムの異常監視や診断を行うプロセスなど,様々な役割
を担って人間の代行をする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
自律分散型システムでは,自分がとるべきアクションを
決めるためのルールは,エージェントが持つ知識に基づ
く。この知識には,他のエージェントの特性などの外界
に関する知識も含まれるし,自分自身の特性に関する知
識も含まれている。しかし,エージェントは必ずしも正
しい知識を持つとは限らず,例えばシステム構成の変更
などの外界変化や自分自身の特性変動などによってシス
テム特性が変化すると,エージェントが持つ知識は実際
とは異なる誤ったものとなりうる。従って,これら構成
要素の変化などによるシステム特性の変化に対応してシ
ステム全体の機能や性能を保つためには,システム設定
の変更などの保守の手間をかけざるを得ない。本発明
は,このような従来の技術における課題を解決するため
に,自律分散型システムを改良し,各エージェントが自
律的に外界や自分自身の変化を検知して適応動作するこ
とにより,システム設定の変更などの保守の手間をかけ
ることなく,システム全体の機能や性能を保持すること
のできる自律分散型システムを提供することを目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は,コンピュータシステム内において自律的に
動作し,各種の判断や作業を人間に代って行うサブシス
テムである複数のエージェントが通信により所定のシス
テム特性に従って協調動作してタスクを処理する自律分
散型システムであって,各エージェントは自分と他のエ
ージェントのタスク処理能力に関する知識を持ち,エー
ジェント同士はそれぞれが持つ知識に応じて自律的にネ
ゴシェーションを行うことによりタスク処理の分担を決
定し,各エージェントは上記決定された分担に従ってタ
スク処理を実行し,処理結果を観測する自律分散型シス
テムにおいて,各エージェントは他のエージェントとの
情報交換及び上記観測結果からシステム特性の変化を推
定し,各エージェントは上記推定されたシステム特性の
変化に基づいて自分の持つ知識を逐次更新することを特
徴とする自律分散型システムとして構成されている。さ
らには,各エージェントは自分と他のエージェントのタ
スク処理能力を表わす数値パラメータの集合を上記知識
として持ち,各エージェントは上記数値パラメータを用
いて自分と他のエージェントによるタスク処理コストを
推定し上記情報交換に用いる自律分散型システムであ
る。さらには,各エージェントは上記情報交換により他
のエージェントから送られてくる該他のエージェントに
よるタスク処理コストの推定値及び上記観測結果と自分
によるタスク処理コストの推定値とを比較することによ
り上記システム特性の変化を推定する自律分散型システ
ムである。さらには,各エージェントは上記タスク処理
コストの比較結果に基づいて上記数値パラメータを変化
させることにより自分の持つ知識を逐次更新する自律分
散型システムである。さらには,エージェント同士は,
上記更新された知識を用いて上記ネゴシェーションを行
うことにより,各エージェントによるタスク処理コスト
が最小になるように上記タスク処理の分担を決定する自
律分散型システムである。さらには,各エージェント
は,上記知識として他のエージェントにおけるタスク処
理の負荷状況を持ち,該知識に基づいて各エージェント
の負荷を均等にするように上記ネゴシェーションを行う
自律分散型システムである。
【0005】
【作用】本発明によれば,コンピュータシステム内にお
いて自律的に動作し,各種の判断や作業を人間に代って
行うサブシステムである複数のエージェントが通信によ
り所定のシステム特性に従って協調動作してタスクを処
理するに当たり,各エージェントには自分と他のエージ
ェントのタスク処理能力に関する知識を持たされる。エ
ージェント同士によりそれぞれ持たされた知識に応じて
自律的にネゴシェーションがなされることによって,タ
スク処理の分担が決定される。各エージェントにより上
記決定された分担に従ってタスク処理が実行され,タス
ク処理結果が観測される。この際,各エージェントによ
り他のエージェントとの情報交換及び上記観測結果から
システム特性の変化が推定される。そして各エージェン
トにおいて上記推定されたシステム特性の変化に基づい
て自分の知識が逐次更新される。これにより,エージェ
ントが自律的に変化に適応するため,システム管理者な
どが変化を監視してシステムをチューニングするなど
の,人間がシステムを保守する手間を省くことが可能と
なる。
【0006】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここ
に,図1は本発明の一実施例に係る自律分散型システム
の概略構成を示す模式図,図2はシステム動作の概要を
示す模式図,図3は実際の自律分散型システムの概略構
成を示す模式図,図4は情報交換の様子を示す説明図,
図5は各エージェントが行う判断のルールを示すフロー
図,図6は動作結果を示す図表,図7は適応の結果を示
す図表,図8は上記自律分散型システムの応用例を示す
模式図である。図1に示すごとく,本実施例に係る自律
分散型システムは,コンピュータシステム内において自
律的に動作し,各種の判断や作業を人間に代って行うサ
ブシステムである複数のエージェントが通信によ
り所定のシステム特性に従って協調動作してタスクを処
理する自律分散型システムであって,各エージェント
は自分と他のエージェントのタスク処理能力に関する知
識を持ち,エージェント同士はそれぞれが持つ知識
に応じて自律的にネゴシェーションを行うことに
よりタスク処理の分担等のアクションを決定し,各エ
ージェントはこの決定されたアクションに従ってタスク
処理を実行し,タスク処理結果を観測するシステム
である点で従来例と同様である。しかし,本実施例で
は,各エージェントは他のエージェントとの情報交換
及び上記観測結果からシステム特性の変化を推定
し,各エージェントは上記推定されたシステム特性の
変化に基づいて自分の持つ知識を逐次更新する点で
従来例と異なる。さらに,各エージェントは自分と他
のエージェントのタスク処理能力を表す数値パラメータ
の集合を知識として持ち,各エージェントは上記数
値パラメータを用いて自分と他のエージェントとによる
タスク処理コストを推定し,上記情報交換に用いる
こととしてもよい。さらに,各エージェントは上記情
報交換により他のエージェントから送られてくる該
他のエージェントによるタスク処理コストの推定値及び
上記観測結果と,自分によるタスク処理コストの推定
値とを比較することにより,上記システム特性の変化を
推定することとしてもよい。さらに,各エージェント
は上記タスク処理コストの比較結果に基づいて上記数
値パラメータを変化させることにより自分の持つ知識
を逐次更新してもよい。さらに,エージェント同士
は上記更新された知識を用いて上記ネゴシェーション
を行うことにより,各エージェントによるタスク処理
コストが最小になるように上記タスク処理の分担を決定
するようにしてもよい。
【0007】以下,このシステムの動作について説明す
る。即ち,図1に示すごとく,エージェントは外界,
即ち他のエージェントとの間で通信によって情報交
換やネゴシェーションを行う。この時得られた情報を基
に,各エージェントはそれぞれが持つ知識を用いて
自律的にタスク処理の分担決定等の判断を行い,次に自
分が取るべきアクションを決定する。ここでいうアク
ションには大きく分けて2種類ある。一つはエージェン
ト自身が自分で何らかのタスクを行うことであり,も
う一つは他のエージェントと通信を行い情報のやり
取りをするという動作である。このようなアクションを
決めるためのルールは,エージェントが持つ知識に
基づく。知識には,他のエージェントの特性などの外
界に関する知識も含まれるし,自分自身の特性に関する
知識も含まれている。エージェントは必ずしも正しい知
識を持つとは限らず,例えばシステム構成の変更などの
外界変化や自分自身の特性変動などによってシステム特
性が変化すると,エージェントが持つ知識は実際とは異
なる誤ったものとなり得る。この点については従来例に
て述べた通りである。従って,エージェントが行う判
断を常に適正なものに保持するには,エージェントが
外界や自分自身の変化を検出して適応する機能が有効で
ある。すなわち,エージェントが自律的に変化に適応
する機能を持つようにすることにより,システム管理者
などが変化を監視してシステムをチューニングするなど
の,人間がシステムを保守する手間を省くことが可能と
なる。このように適応を行うために,自分以外の外界の
変化をエージェントが得る手段は,基本的には他のエ
ージェントとの通信による情報の授受である。一
方,自分自身の特性変化などを検出する手段としては,
エージェントが自らタスクを行った際には,エージェ
ントはなんらかの実行経過を観測するものとし,そ
の観測結果から自らの特性を推定する機能を持つよ
うにすることとした。以下,エージェントの概念をさ
らに具体化するために,簡単な自律分散型システムを想
定した複数エージェントによるシステムのシミュレータ
を例にとって説明する。
【0008】本シミュレータでは,図2に示すように,
複数のサーバとなるプロセスがコンピュータ内にエージ
ェントとして存在する状況を想定し,不規則に発生する
種々のタスクの割り当てを決定する問題を扱う。つま
り,クライアントから出されるタスクの実行要求に対し
て,各タスクをどのエージェントが処理するのかを,エ
ージェント同士がネゴシェーションしながら決定する。
従って,ここでは最適な仕事の割り当てを行うようにコ
ントロールを行うスーパーバイザは存在せず,あくまで
もエージェントの自律的な話し合いつまりネゴシェーシ
ョンによって役割分担の決定がなされる。実際の自律分
散型システムでは,図3に示すように,個々のエージェ
ントは独立したプロセスとして実行され,エージェント
同士の情報のやりとりはプロセス間通信によって行われ
る。この仕組みでは,各エージェントは異なる計算機上
で動作させられることを可能としており,その際にはエ
ージェント間の通信はネットワークを介した通信にて行
われる。このため,各エージェントはそれぞれの通信バ
ッファを有しており,他のエージェントから送られてき
た情報は一旦通信バッファ内のキューに蓄積される。従
って,そのシミュレータにおけるエージェント間の通信
はエージェント同士のリアルタイムの対話ではなく,む
しろメール型の通信方式であるといえる。つまり,エー
ジェントが送信した情報は相手の通信バッファに届けら
れ,相手のエージェントは都合のよいタイミングで適宜
その情報を参照して自らの判断を行う。情報を送信した
エージェントもその時点では相手からの返事を待つこと
はせず,送信後はすぐに他の動作を開始できる。このよ
うな通信方式にすることにより,エージェントが通信に
よって拘束されることがなくなり自律性がさらに高まる
と考えられる。
【0009】各エージェントは,自分も含めた全てのエ
ージェントの特性に関する知識を持っている。ここにい
うエージェントの特性は,例えばエージェントの持つ処
理スピードや使える記憶領域のサイズなどといった,エ
ージェントがタスクを実行する際の性能に影響を及ぼす
ものを想定している。各エージェントはタスク実行の要
求を受信した際には,その知識に基づいて自分でタスク
を実行すべきか,あるいは他のエージェントに依頼すべ
きかを判断する。一方,依頼を受けたエージェント側で
も,その依頼を受けるべきか,あるいは拒否すべきかを
自分の知識を用いて判断し,返答を依頼元に送信する。
先述したように,エージェントが持つ知識は必ずしも正
しいとは限らず,知識が誤っている場合もあれば,環境
変化などにより現実とのずれが発生することもあり得
る。そこで,各エージェントは通信内容や観測結果から
知識の誤りを推定し,自らの知識を更新して適応してい
く。具体的には,エージェント間で行われるネゴシェー
ションの過程で互いの持つ情報の一部が交換され,エー
ジェントは他から得た情報をもとに自らの知識を更新す
る。これにより,エージェントは外界の変化などに対し
て適応していくことになる。また,エージェントは自ら
タスク実行などを行った際には,その結果を観測するこ
とにより自分自身に関する知識と現実とのずれを調べ,
自分についての知識も更新する。このような適応の機能
により,エージェントは動作を常に最適に保持しようと
する。引き続いて,本シミュレータにおける具体的な処
理(シミュレーション)の内容を説明する。
【0010】先ず,システムに対するタスクの要求は,
システムの外部よりいずれかのエージェントに対してな
される。これは,例えばコンピュータのユーザがシステ
ムに対して「データベース内から,あるデータを取り出
せ」という命令を発した際に,最初にひとつのエージェ
ントがそれをタスク要求として受け取ることに相当す
る。ここではタスクは,各エージェントに対してランダ
ムに発生させるようにした。具体的にはM個のエージェ
ントm=1,2,…,Mに対して,要求を受け取る確立
m (Σm m =1)を設定しておき,シミュレーショ
ン中では乱数発生によってタスク要求を設定した割合で
エージェントに振り分けた。本シミュレータではタスク
自身の発生頻度は一定間隔でもシミュレーションできる
が,待行列理論により一般的に用いられているポアソン
分布のモデルに従っても行える。ここで各タスクには,
パラメータとして「要因」a=〔a1 ,a2 ,…,
N)を設定する。要因の中に含まれる各パラメータは
数値パラメータであって,例えば「CPU能力が多く必
要」とか「記憶容量が多く必要」といった,タスクの特
性を数値で表すものである。これらの要因の中の各パラ
メータは正規分布によってランダムに決定し,それぞれ
のタスクは異なる特性を持ったものとして発生させる。
本シミュレーションでは,エージェントは与えられたタ
スクの要因値を知ることができるものとし,その値をも
とにした判断により互いにネゴシェーションして仕事の
分担を決定することとした。
【0011】次に,エージェントの能力を表すパラメー
タとして,「スキル」s=〔s1 ,s2 ,…,sN )を
設けた。スキルの中のパラメータsn は,これも数値パ
ラメータであって,それぞれの要因パラメータan に対
応し,タスクに含まれる各要因に対するエージェントが
持つ処理能力を表す。例えば,各スキルパラメータは要
因パラメータに対応して「エージェントのCPUスピー
ド」であるとか,「エージェントが使用できる記憶容
量」などを表す値である。エージェントがタスクを処理
するのに要するコストは,要因とスキルとの組合せによ
って関数f(a,s)で表現する。この場合,エージェ
ントのスキルに対してタスクの要因値が大きい場合にコ
ストが大きくなるように関数の形を決めておく必要があ
るので,本シミュレーションでは次式のように定めた。 f(a,s)=A・Σ(exp(an −sn )) ここで,Aは正の定数である。後述するように,このコ
ストはエージェントが本シミュレーション内でタスクを
処理する処理時間としても用いる。次に,エージェント
は,各エージェント1,2,…Mのスキルに関する知識
1 ^,s2 ^…,sM ^を持つものとする。タスク処
理の要求を受けた際に,その知識に基づいて他のエージ
ェントが自分より低コストで処理できると予想した場合
には,エージェントはタスクを他のエージェントに依頼
する。この依頼を受けたエージェントも自らの知識によ
り,依頼元の方が低コストであると予想すると依頼を拒
否する。このようなネゴシェーションの過程において,
エージェント同士は互いが持つ情報の一部を相手に伝達
する。本シミュレーションでは,各々が判断材料とした
予想コストを相手と交換することとした。つまり,他の
エージェントへ依頼を行う際,並びに依頼に対して承諾
や拒否を行う際には,図4に示すように,自分及び相手
が対象タスクを処理した場合のコストの予想値を同時に
送信する。
【0012】図5に,本シミュレーションにて行ったネ
ゴシェーションのルールのフロー図を示した。このフロ
ー図から分かるように,エージェントは依頼が拒否され
ても,自分より低コストで処理できそうな相手が存在す
る場合には,次々と依頼を繰り返す。また,依頼を承諾
したエージェントも,より低コストとなりそうな相手を
見つけると,そのエージェントに再依頼する。この場
合,同じエージェントに対して何回も同じタスクの依頼
がされないように,ネゴシェーションの過程ではタスク
の要因パラメータと一緒に依頼の履歴も送信するように
した。以上のように,本シミュレーションでエージェン
トが知識更新を行うために,外部から得ることができる
情報は,ネゴシェーション時に受信する他のエージェン
トによる予想コストだけである。従って,外部から得ら
れる情報は相手エージェントの知識から加工されたデー
タのみであり,その元となる相手の知識は必ずしも正し
いとは限らない。そこで,各エージェントは得られた情
報から実世界を推定する必要がある。そこで,本シミュ
レーションでは,一般によく用いられる適応則に基づい
て各エージェントが自分の知識を更新し,知識を真の値
に収束させることを試みた。以下,この適応規則につい
て述べる。まず,あるエージェントが,要因aを持つタ
スクに関するネゴシェーションを,他のエージェントm
と行う場合を考える。その際には,エージェントは自分
の持つ他のエージェントmのスキルに関する知識sm
を用いて,他のエージェントmがそのタスクを行ったと
きに生じるコストyをy^=f(a,sm ^)により予
測する。
【0013】一方,ネゴシェーションの際には,相手即
ち,他のエージェントmからのm自身が自分で予想した
処理コストが送られてくる。この送られてきた他のエー
ジェントm自身による予想コストをyとして,他のエー
ジェントmのスキルに関する知識は次式に示すような形
で更新される。
【数1】 すなわち,他のエージェントm自身が予想した値yの信
頼性が高いと判断し,予測値がyに近づくように知識s
m ^を更新する。ここで,K(…)は適応のゲインを調
整する関数である。以上は,エージェントが自分の外界
に関する知識を適応させるための処理であったが,エー
ジェントが持っている自分自身のスキルに関する知識も
常に正しいとは限らないので,自分に関する知識も更新
する必要がある。そのために,エージェントは自分自身
がタスクを処理した場合には,処理にかかったコストを
観測する。この場合,観測した処理コストをyとし,自
分をmとすれば,全く上記と同様に知識の更新が行え
る。
【0014】引き続いて本シミュレーションの結果につ
いて述べる。ここでは要因およびスキルが3パラメータ
からなり,3個のエージェントで構成されるシステムの
シミュレーションを行った。前述したように,タスクの
要求は全てのエージェントに対してランダムになされ,
エージェント同士はネゴシェーションによってタスクの
分担を決定する。担当となったエージェントはタスクを
処理するが,その際にコストに相当する時間を処理に要
する。従って,コストの大きなタスクを行うと長い処理
時間を要することになり,そのエージェントが処理すべ
き他のタスクが存在する場合には長く待たされる結果に
もなる。従って,前述したようなモデルでは,理論上は
無限に長い処理時間が発生する可能性があるが,それで
はシミュレーションをするうえで不都合である。そこ
で,処理時間が一定値以上になった場合にはタイムアウ
トとして処理を打ち切ることにした。適応の結果を次に
示す。図6には,本シミュレーションでの動作結果の一
例として,エージェント1のスキルのパラメータが変化
したのに対し,タスク処理やネゴシェーションを繰り返
すうちに,各エージェントの知識s1 ^が時間とともに
正しい値に収束していく様子が示されている。つまり,
時刻0以前では,知識はs1 =(1.0,0.0,−
1.0)であり,全てのエージェントが正しい知識を有
している。これに対し,時刻0で知識s1 が(−1.
0,0.0,1.0)に変化した状況を想定する。この
変化を各エージェントが検知し,時間とともに知識が正
しく推定されていく様子が,図6より分かる。
【0015】次に,図7にはエージェントが適応前の知
識を用いたネゴシェーションによりタスクの割り当てを
行った場合と,適応後の知識によってタスクの割り当て
を行った場合の,各タスクの処理時間の分布が示されて
いる。図7より,適応後のほうがタスクがより短時間で
処理できる適切なエージェントに割り当てられる様子が
分かる。本シミュレーションでは,適応機能を持ったエ
ージェント群からなるシステム構築の可能性を確認する
ことができた。上記実施例では,エージェントが用いた
ネゴシェーションのルールは,各タスクを最適なエージ
ェントに割り当てようとするものであった。しかしなが
ら,このルールはローカルな判断のみによって決定を行
うものであり,システム全体の性能までは考慮されてい
ない。例えば,前記図7に示した適応の結果では,各タ
スクの処理時間は短縮していたにもかかわらず,適応前
よりも適応後のほうがリードタイム(各タスクが要求さ
れてからネゴシェーションや待ち時間を経て処理完了す
るまでの時間)は逆に増加していた。これは,適応後の
知識を用いたネゴシェーションでは特定のエージェント
へのタスクの割り当てが集中したためである。このこと
は,各エージェントが上記知識として他のエージェント
におけるタスク処理の負荷状況を持ち,この知識に基づ
いて各エージェントの負荷を均等にするように上記ネゴ
シェーションを行うことにより解決できる。また,前記
図6での適応の過程を見て分かるとおり,エージェント
1の知識の真値への収束が他のエージェントの知識の更
新スピードに比較して早く進んでいる。これは,エージ
ェント1のパラメータ変化は,まずエージェント1自身
がタスク処理結果の観測によって検知することによるも
のである。
【0016】一方,他のエージェントの適応過程をみる
と,適応がスムーズに進む時と,そうでない時とがある
というバラツキ現象が見られる。これは,エージェント
1の特性変化に関する情報を他のエージェントが得る手
段はネゴシェーション時のコスト値の交換だけであり,
知識の誤りを検出できる情報が伝達されるようなネゴシ
ェーションが行われた場合にのみ知識が有効に更新され
るからである。従って,知識の誤りが予想コストに顕著
に現れるようなタスクが多く発生し,そのような情報を
ネゴシェーションによって得る機会が多いエージェント
の場合には適応が速く進み,逆に情報を得る機会が少な
いエージェントでは知識の誤りが是正されにくいという
ことになる。したがって,通信する機会が少なかった
り,偏った情報ばかり受信してしまうようなエージェン
トの発生を防ぐように長期間通信していないエージェン
トとも定期的に情報交換をするなどの通信ルールとする
ことによりこの不具合をなくすことができる。
【0017】以上のように,本実施例では,複数エージ
ェントが通信によってネゴシェーションを行い,通信に
よって得た知識からシステムの特性変化などを検知して
自律的に適応し,ローカルな知識を更新していく新しい
仕組みを持った情報システムを実現できた。その結果,
各サブシステムが自律的に外界や自分自身の変化を検知
して適応動作することにより,システム設定の変更など
の保守の手間を発生することなく,構成要素の変化など
によるシステム特性の変化に対応してシステム全体の機
能や性能を保つことができる自律分散型システムを得る
ことができた。このようなエージェントによって構成さ
れたシステムが動作するイメージを,図8に,分散デー
タベースの検索処理並びにFA工場における物流制御を
想定して描いたものを呈示した。尚,トータル最適化の
ための各エージェントのルール設計や,適応機能の性能
向上のための情報伝達の仕組みや通信プロトコルの設計
など,システム性能向上のための設計手法を検討してい
くことにより,さらにシステムの効率化を計ることがで
きるものと考えられる。
【0018】
【発明の効果】本発明に係る自律分散型システムは,上
記したように構成されているため,各サブシステムが自
律的に外界や自分自身の変化を検知して適応動作するこ
とにより,システム設定の変更などの保守の手間を発生
することなく,構成要素の変化などによるシステム特性
の変化に対応してシステム全体の機能や性能を保つこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る自律分散型システム
の概略構成を示す模式図。
【図2】 システム動作の概要を示す模式図。
【図3】 実際の自律分散型システムの概略構成を示す
模式図。
【図4】 情報交換の様子を示す説明図。
【図5】 各エージェントが行う判断のルールを示すフ
ロー図。
【図6】 動作結果を示す図表。
【図7】 適応の結果を示す図表。
【図8】 上記自律分散システムの応用例を示す模式
図。
【符号の説明】 …エージェント …情報の受信 …情報の送信 …知識 …アクションの決定(分担決定を含む) …処理の実行 …結果の観測 …システム特定の変化の推定 …知識の更新

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータシステム内において自律的
    に動作し,各種の判断や作業を人間に代って行うサブシ
    ステムである複数のエージェントが通信により所定のシ
    ステム特性に従って協調動作してタスクを処理する自律
    分散型システムであって,各エージェントは自分と他の
    エージェントのタスク処理能力に関する知識を持ち,エ
    ージェント同士はそれぞれが持つ知識に応じて自律的に
    ネゴシェーションを行うことによりタスク処理の分担を
    決定し,各エージェントは上記決定された分担に従って
    タスク処理を実行し,処理結果を観測する自律分散型シ
    ステムにおいて,各エージェントは他のエージェントと
    の情報交換及び上記観測結果からシステム特性の変化を
    推定し,各エージェントは上記推定されたシステム特性
    の変化に基づいて自分の持つ知識を逐次更新することを
    特徴とする自律分散型システム。
  2. 【請求項2】 各エージェントは自分と他のエージェン
    トのタスク処理能力を表わす数値パラメータの集合を上
    記知識として持ち,各エージェントは上記数値パラメー
    タを用いて自分と他のエージェントによるタスク処理コ
    ストを推定し上記情報交換に用いる請求項1記載の自律
    分散型システム。
  3. 【請求項3】 各エージェントは上記情報交換により他
    のエージェントから送られてくる該他のエージェントに
    よるタスク処理コストの推定値及び上記観測結果と自分
    によるタスク処理コストの推定値とを比較することによ
    り上記システム特性の変化を推定する請求項2記載の自
    律分散型システム。
  4. 【請求項4】 各エージェントは上記タスク処理コスト
    の比較結果に基づいて上記数値パラメータを変化させる
    ことにより自分の持つ知識を逐次更新する請求項3記載
    の自律分散型システム。
  5. 【請求項5】 エージェント同士は,上記更新された知
    識を用いて上記ネゴシェーションを行うことにより,各
    エージェントによるタスク処理コストが最小になるよう
    に上記タスク処理の分担を決定する請求項4記載の自律
    分散型システム。
  6. 【請求項6】 各エージェントは,上記知識として他の
    エージェントにおけるタスク処理の負荷状況を持ち,該
    知識に基づいて各エージェントの負荷を均等にするよう
    に上記ネゴシェーションを行う請求項1記載の自律分散
    型システム。
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