JPH08122969A - 写真印画紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

写真印画紙用ポリエステルフィルム

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JPH08122969A
JPH08122969A JP6260551A JP26055194A JPH08122969A JP H08122969 A JPH08122969 A JP H08122969A JP 6260551 A JP6260551 A JP 6260551A JP 26055194 A JP26055194 A JP 26055194A JP H08122969 A JPH08122969 A JP H08122969A
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JP
Japan
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layer
polyester
film
resin
printing paper
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JP6260551A
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English (en)
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Katsuya Ito
勝也 伊藤
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
Toshitake Suzuki
利武 鈴木
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下引き層の受容性が付与され、写真乳剤との
接着性が向上された写真印画紙用ポリエステルフィルム
を提供する。 【構成】 写真印画紙用ポリエステルフィルムは、ポリ
エステルA層の少なくとも片面に、不活性粒子を含有す
るポリエステルB層が積層されて基材フィルムが形成さ
れている。該ポリエステルB層にはB層表面から厚み方
向に亀裂が存在しており、該亀裂は、B層厚みの30%
以上の深さを有するとともに、フィルムの任意の縦断面
においてフィルムの長手方向に1個/100μm以上の
割合で存在している。該基材フィルムの写真乳剤層が塗
設されるべき側のB層面には、ポリエステル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニ
リデンのうちの少なくとも1種を主として含む下引き層
Cが設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真用乳剤の接着性の
良好な写真印画紙用ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とした紙代替物である
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度などに
優れている。近年、これらの長所を生かした用途展開が
進められている。
【0003】合成紙の主原料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステルなどが用いられている
が、これらの中でもポリエチレンテレフタレートを代表
とするポリエステルは、耐熱性が高い点や、腰が強いと
いう点で優れており、広範な用途展開が可能である。
【0004】白色性や不透明性を持ったポリエステルフ
ィルムについては、これまで多数開示されている。例と
して特開昭61−118746号公報、同63−193
934号公報等に記載のポリエステルフィルムがあげら
れる。
【0005】また、ポリエステルを主原料とした紙と類
似した機能を有するフィルムを得る方法としては、従
来、(1)微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させ
る方法や、通常の平坦なポリエステルフィルムを(2−
1)サンドプラスト処理、(2−2)ケミカルエッチン
グ処理、あるいは(2−3)マット化処理(マット剤を
バインダーとともに積層する方法)などによって粗面化
する方法等が知られている。
【0006】これらの中で、(1)の微細な空洞をフィ
ルム内部に多量に含有させる方法には、フィルム自体を
軽量化できる点や適度な柔軟性を付与できて、鮮明な印
刷や転写が可能になるという利点がある。
【0007】微細な空洞をフィルム内部に形成させる方
法として、従来、ポリエステルと相溶しないポリマーを
押出機で溶融混練し、ポリエステル中に該ポリマーを微
粒子に分散させたシートを得て更に該シートを延伸する
ことによって、微粒子の周囲に空洞を発生させる方法が
知られている。
【0008】空洞形成のために用いられるポリエステル
に非相溶のポリマー(以下、空洞発現剤と呼ぶ)として
は、ポリオレフィン系樹脂(たとえば特開昭49−13
4755号公報)や、ポリスチレン系樹脂(たとえば特
公昭49−2016号公報、特公昭54−29550号
公報)や、ポリアリレート樹脂(たとえば特公昭58−
28097号公報)など多数提案されている。これらの
中でポリプロピレンやポリスチレンは、空洞ができやす
い点や密度が低い点、安価である点で特に好ましい。こ
れらのフィルムは写真印画紙用途に使用することも可能
である。
【0009】しかしながら、これらのフィルムは、フィ
ルム基材そのものに、写真乳剤の接着性を向上させるた
めに設けられる下引き層の受容性がなかった。そのため
下引き層を設けるためには、下引き層を形成する塗液を
多くしたり、また加工に必要な前記塗液中に含まれる処
理剤の濃度を高くする必要があるため、コストアップ、
処理効率の低さなどが問題となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の従来技術の欠点を解消し、下引き層の受容性が付与さ
れ、写真乳剤との接着性が向上された写真印画紙用ポリ
エステルフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の写真
印画紙用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の
少なくとも片面に、不活性粒子を含有するポリエステル
B層が積層されて基材フィルムが形成され、該ポリエス
テルB層にはB層表面から厚み方向に亀裂が存在してお
り、該亀裂は、B層厚みの30%以上の深さを有すると
ともに、フィルムの任意の縦断面においてフィルムの長
手方向に1個/100μm以上の割合で存在しているも
のであり、かつ、少なくとも該基材フィルムの写真乳剤
層が塗設されるべき側のB層面には、ポリエステル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩
化ビニリデンのうちの少なくとも1種を主として含む、
少なくとも1層からなる下引き層Cが設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0012】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカル
ボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペン
チルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製
造されるポリエステルである。これらのポリエステルは
芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させて得
られる他、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとク
リコールとをエステル交換反応させた後重縮合させる
か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステ
ルを重縮合させるなどの方法によって製造される。かか
るポリエステルの代表例としては、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンブチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。こ
のポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成
分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本
発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレ
ンテレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフ
タレート単位が、70モル%以上、好ましくは90モル
%以上、更に好ましくは96モル%以上であるポリエス
テルが好ましい。
【0013】本発明においては、ポリエステルB層に厚
み方向に亀裂をもたせるため、不活性粒子を含まなくて
はならない。本発明における不活性粒子とは、アナター
ゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、二酸化珪
素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウ
ム、炭酸ストロンチウム、合成ゼオライト粒子、クレ
ー、カオリン、タルクなどの無機粒子、シリコン粒子、
架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子、エポキシ粒
子など300℃程度では溶融せず、ポリエステル中で分
散するものであれば特に限定されるものではない。この
場合添加量は、粒子の平均1次粒径の大きさにもよる
が、ポリエステルB層の10体積%以上が好ましい。こ
れらの不活性粒子は、ポリエステルB層における亀裂の
核となるものであるが、フィルムの延伸行程で複数の粒
子から生じる亀裂が合体して、粒子の平均1次粒子径よ
り大きな亀裂となっていくことが本発明によって明確に
された。この亀裂の間に下引き層Cを形成する溶液が入
り込むことによって、基材フィルムに下引き層Cの受容
性が付与できるものと考えられる。
【0014】本発明では、ポリエステルB層の厚さの3
0%以上の深さの亀裂が、フィルムの任意の縦断面にお
いてフィルムの長手方向に1個/100μm以上の割合
で存在することが必要条件である。亀裂の深さがB層の
厚さの30%より小さいと、また、その存在密度が1個
/100μmより小さいと、下引き層Cの受容性の改善
効果が見られない。より好ましい亀裂の存在割合は、5
個/100μm以上である。なお、フィルムの任意の縦
断面における1個/100μm以上とは、本発明のポリ
エステルフィルムの任意の縦断面のフィルム長手方向
(亀裂の深さ方向に直交する方向)の任意の100μm
の中に亀裂が1個以上存在するということである。もち
ろん、ポリエステルB層の厚さの30%より小さい亀裂
の存在は許容される。また、特開昭63−200147
号公報にも、このようにポリエステルB層に相当する層
に多数の無機粒子(二酸化チタン)を含有して白色フィ
ルムを得る方法が開示されている。しかし、この方法で
は延伸温度が高すぎるため、本発明におけるような亀裂
は存在しない。またポリエステルB層の厚みが全体のフ
ィルム厚に比べて厚いので、ポリエステルB層に亀裂を
生じさせるために延伸温度を下げて製膜すると破断して
しまい、実質的にフィルムを得ることができない。
【0015】このような亀裂は、不活性粒子の周囲に生
じる亀裂が合体して起きるものであるから、用いる粒子
の大きさや量によって亀裂の大きさや量が変化するが、
B層の厚さによって不活性粒子の大きさを調整すべきで
あり(B層の厚みより直径が小さい不活性粒子を使用し
なければ表面粗さが増大する)、通常、直径0.1〜
5.0μmの粒子を、B層中にB層の10〜60重量%
使用することが好ましい。より好ましい使用量は20〜
50重量%である。60重量%を超えて不活性粒子を存
在させると、フィルム化自体が不可能になったり、フィ
ルム化できても亀裂が多すぎて、フィルム強度が減少し
てしまう。また逆に10重量%より少ないと、前述の亀
裂の数値規定要件を満足させることができない。不活性
粒子は、フィルム内部で2次、3次、あるいはそれ以上
の凝集体となっても構わない。なお、これらの不活性粒
子は、必要に応じてポリエステルA層にも配合してもよ
い。
【0016】本発明においてポリエステルA層は好まし
くは、内部に多数の空洞を含有しなければならない。ポ
リエステルA層は、好ましくはポリエステルなどの基材
となる樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂または無機粒子を混
合、溶融押しだした未延伸シートを少なくとも1軸に配
向することにより空洞を発現させる方法により得られた
ものである。
【0017】本発明に用いられるポリエステルに非相溶
性の熱可塑性樹脂は、上記したポリエステルに非相溶性
のものでなければならない。具体的には、ポリスチレン
系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロー
ス系樹脂などがあげられる。特にポリスチレン系樹脂、
ポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン系樹脂が好ましい。
【0018】本発明においては、内部に多数の空洞を含
有する熱可塑性樹脂フィルムからなるA層の少なくとも
片面に熱可塑性樹脂からなるB層を積層し、好ましくは
フィルムの見かけ比重が1.0〜1.35、より好まし
くは1.05〜1.25である。1.0未満では写真の
現像処理をする際に、フィルムが現像液に浮いてしまう
ため充分な現像処理が困難になる。1.35以上では、
内部に含まれる空洞の数が少ないため、光線透過率が高
くなり、裏が透けて見えやすくなる。
【0019】本発明において、該ポリエステルと該ポリ
エステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を混合させた重合体
混合物は、たとえば、各樹脂のチップを混合し押出機内
で溶融混練した後、押出して固化する方法や、あらかじ
め混練機によって両樹脂を混練したものを更に押出機よ
り溶融押出して固化する方法や、ポリエステルの重合工
程においてポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を添
加し、攪拌分散して得たチップを溶融押出して固化する
方法などによっても得られる。固化して得られた重合体
(未延伸シート)は通常、無配向もしくは弱い配向状態
のものである。また、ポリエステルに非相溶性の熱可塑
性樹脂は、ポリエステル中に、球状もしくは楕円球状、
もしくは糸状など様々な形状で分散した形態をとって存
在する。
【0020】該重合体混合物には、用途に応じて着色
剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤などを添加することも
可能である。こうして得た重合体混合物を、更に速度差
をもったロール間での延伸(ロール延伸)や、クリップ
に把持して拡げていくことによる延伸(テンター延伸)
や、空気圧によって拡げることによる延伸(インフレー
ション延伸)などによって少なくとも1軸に配向処理す
る。このときに分散された該ポリエステルに非相溶性の
熱可塑性樹脂とポリエステルとの界面で剥離が起こり重
合体混合物に空洞が多数発生する。
【0021】本発明においては、表層と中心層を積層し
たいわゆる複合フィルムとすることが好ましい。その方
法は特に限定されるものではない。しかし生産性を考慮
すると、表層と中心層の原料は別々の押出機から押出
し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なく
とも1軸に配向させる、いわゆる共押出法による積層が
もっとも好ましい。
【0022】該重合体混合物を配向処理する条件は、下
引き層の受容性を持つフィルムを得るための重要なポイ
ントとなる。したがって本目的を達成するための条件は
たとえば、もっとも一般的に行われている逐次2軸延伸
工程を例に挙げると、該重合体混合物の連続シートを長
手方向にロール延伸した後に、幅方向にテンター延伸す
る逐次2軸延伸法の場合以下のようになる。ロール延伸
(縦延伸)においては、B層に亀裂を生じさせ、かつ安
定して延伸するため次に述べるような2段階以上に分け
て行う。まず第1段目は、温度をポリエステルの2次転
移温度+15℃以下、倍率を1.2〜2.0とすること
によりB層に亀裂を作る。そして第2段目は安定して延
伸するためポリエステルの2次転移温度+15℃〜+4
0℃で1.5〜4.0倍延伸する。この後に第3段目以
降の延伸を加えることは構わない。またテンター延伸
(横延伸)においては破断せずに安定製膜をするため、
温度を110〜150℃、倍率を2.8〜5倍とする。
さらに本発明においては、延伸後の熱処理条件を以下に
述べる方法で実施することが好ましい。熱処理は延伸終
了後、200℃以上、好ましくは220℃以上、さらに
好ましくは230℃以上で行わなくてはならない。ま
た、このときに3〜8%緩和させながら熱固定を行わな
くてはならない。200℃未満または3%未満では、1
50℃の熱収縮率が2%未満、好ましくは1.7%未
満、さらに好ましくは1.5%未満の空洞含有フィルム
は得られない。
【0023】この結果得られたポリエステルフィルム
は、B層に亀裂が存在し、その亀裂の深さはB層厚み方
向に、B層中の粒子の平均1次粒子径よりも大きい。こ
の様な亀裂は個々の粒子から発現した空洞が延伸の過程
で、他の粒子から発現した空洞と結合していくことによ
り生じるものと考えられる。この亀裂により、後に述べ
る下引き層の受容性を付与することが可能となる。よっ
てこの亀裂の厚み方向の長さは、B層の厚みの30%以
上、好ましくは50%以上あることである。この亀裂の
数は、フィルムの任意の縦断面においてフィルムの長手
方向に1個/100μm以上の割合であり、好ましくは
5個/100μm以上である。また、粒子はフィルム内
部で2次、3次あるいはそれ以上の凝集体となって存在
することは構わない。特にこの様な亀裂を持たせること
により、下引き層の厚みが通常より薄くても、基材フィ
ルムと下引き層の接着性は良好になる。
【0024】かくして得られた基材フィルムを写真印画
紙用として使用するには、以下のようにして加工するこ
とが必要である。
【0025】下引き層Cは、ポリエステル系樹脂、ポリ
アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂および塩化ビニル
デン系樹脂のうちの少なくとも1種を主として含む高分
子材料の溶液、エマルジョンまたは分散液を、基材フィ
ルムの写真乳剤層が塗設されるべき側のB層面に塗布し
て形成される。
【0026】下引き層のポリエステル系樹脂は、二塩基
酸とグリコールとの反応により得られるものであり、水
に可溶、乳化または分散できるポリエステル樹脂であ
り、例えば二塩基酸は、全ジカルボン酸の50〜0.5
モル%がスルホン酸基含有のジカルボン酸であり、これ
ら2種のジカルボン酸成分とグリコール成分とが共重合
されたポリエステル共重合体である。上記スルホン酸金
属塩含有ジカルボン酸としては、例えば、スルホテレフ
タル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル
酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5
−(4−スルホフエノキシ)イソフタル酸等の金属塩が
あげられ、特に好ましいのは5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸である。これ
らのスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸は、全ジカルボ
ン酸成分に対して50〜0.5モル%、好ましくは20
〜1モル%である。50モル%を越えると、水に対する
分散性は良くなるとしても共重合体の耐水性が低下す
る。ポリエステル共重合体の水の中に対する分散性は、
共重合組成、水溶性有機化合物の種類及び量などによっ
て異なるが、上記スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸
成分の量は、水に対する分散性を損なわない限り少ない
方がよい。スルホン酸金属塩基を含まない通常のジカル
ボン酸としては、芳香族、脂肪族、脂環族のそれぞれの
ジカルボン酸が用いられる。芳香族ジカルボン酸として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸などをあげることがで
きる。これらの芳香族ジカルボン酸は全ジカルボン酸成
分の40モル%以上であることが好ましく、40モル%
未満であるとポリエステル共重合体の機械的強度や耐水
性が低下する。脂肪族、脂環族のジカルボン酸として
は、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シク
ロベンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,3−シクロジカルボン酸、1,4−シク
ロキヘサンジカルボン酸などがあげられる。これらの非
芳香族ジカルボン酸成分を加えると接着性能が高められ
る場合もあるが、一般にはポリエステル共重合体の機械
的強度や耐水性は悪くなる。上記ジカルボン酸混合物に
反応させるグリコール成分としては、炭素数2〜8個の
脂肪族グリコール、および6〜12個の脂環族グリコー
ル、および両者の混合物であり、エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシレングリコールなどがあげられる。炭素数
4個以上の脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコールなどがあげられ、またポ
リエーテルとしてはポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど
があげられる。ポリエステル共重合体は、通常の溶融重
縮合によって得られる。すなわち前述のジカルボン酸成
分およびグリコール成分を直接反応させ、水を留去して
エステル化したのち重縮合を行う直接エステル化法、あ
るいはジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコー
ル成分とを反応させ、メチルアルコールを留去してエス
テル交換を行なったのち重縮合を行うエステル交換法に
よって得られる。このほかに溶液重縮合や界面重縮合な
どによっても重合体が得られ、この発明は上記いずれか
の方法に限定されるものではない。溶融重縮合の際に
は、必要に応じて酸化防止剤、滑り剤、無機微粒子、帯
電防止剤を加えることができる。前述したポリエチレン
グリコールなどのポリエーテルは、溶融重縮合の際ある
いは重合後に溶融ブレンドして添加することができる。
【0027】下引き層のポリウレタン樹脂としては、
(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する化合
物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有す
る有機ポリイソシアネート、あるいは(3)分子内に少
なくとも2個の活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せ
しめて得られる、末端にイソシアネート基を有する化合
物である。
【0028】上記(1)の化合物として一般に知られて
いるのは、末端又は分子内に2個以上のヒドロキシル
基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を
含むものであり、特に好ましいのはポリエーテルポリオ
ール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルエス
テルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオ
ールとしては、例えばエチレンオキサイドおよびプロピ
レンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、あるい
はスチレンオキサイドおよびエピクロルヒドリンなどを
重合した化合物、あるいはそれらのランダム共重合、ブ
ロック共重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行
って得られた化合物などがある。ポリエステルポリオー
ルおよびポリエーテルエステルポリオールとしては、主
として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられ、コハ
ク酸、アジピン酸、フタル酸および無水マレイン酸など
の多価の飽和および不飽和カルボン酸無水物などとエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサ
ンジオールおよびトリメチロールプロパンなどの多価の
飽和および不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど
のポリアルキルキレンエーテルグリコール類、あるいは
それらアルコール類の混合物とを縮合することにより生
成し得る。さらにポリエステルポリオールとしては、ラ
クトンおよびヒドロキシ酸から得られるポリエステル類
が挙げられる。ポリエーテルエステルポリオールとして
は、あらかじめ製造されたポリエステル類に、エチレン
オキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどを付加せ
しめたポリエーテルエステル類が挙げられる。
【0029】上記(2)の有機ポリイソシアネートとし
ては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,
4' −ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族
ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなど
の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソ
シアネートおよび4,4' −ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、ある
いはそれら化合物を単一あるいは複数でトリメチロール
プロパンなどとあらじめ付加させたポリイソシアネート
類が挙げられる。
【0030】上記(3)の少なくとも2個の活性水素を
有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6
−ヘキサンジオールなどのグリコール類、グリセリン、
トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールな
どの多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミンおよびピペラジンなどのジアミン類、モノ
エタノールアミンおよびジエタノールアミンなどのアミ
ノアルコール類、チオジエチレングリコールなどのチオ
ジグリコール類あるいは水などが挙げられる。
【0031】また下引き層のポリアクリル系樹脂は、ア
クリル酸もしくはその誘導体および必要に応じてビニル
基を有するアクリル酸(誘導体)以外の単量体を重合さ
せて得られる。使用される単量体としては、アクリル
酸、メタアクリル酸(以下、アクリル酸および/または
メタクリル酸を(メタ)アクリル酸とする)、(メタ)
アクリル酸の低級アルキルエステル(例えばメチル、エ
チル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、2−エチルヘキシルエステル)、メチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アク
リレート、スチレン、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレートなどを用いて調製される。
【0032】また下引き層の塩化ビニリデン樹脂として
は、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン・アクリル酸
エステル共重合体、塩化ビニリデン・メタクリル酸エス
テル共重合体、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重
合体、またこれら共重合体にアクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸の成分を含
む三元、四元共重合体があげられる。共重合体中の塩化
ビニリデンの含有量は、70モル%以上、特に87〜9
2モルが好ましい。92モル%を越えると水性乳化液が
ゲル化し易くなり、コーティング剤として早く使用しな
ければならない、また72モル%未満であると写真乳剤
層との接着力が低下する。
【0033】上記の高分子材料の水系分散体をポリエス
テル基材フィルムに塗布するには、未延伸、一軸延伸あ
るいは二軸延伸のいずれの状態のフィルムでもよく、そ
の塗布はインラインコート、オフラインコートのいずれ
でもよい。下引き層を形成する高分子材料溶液の溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチル
ケトン、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒であり、
これら溶液をインライン方式、あるいはオフライン方式
によって塗布する。ポリエステルフィルムに塗布される
高分子材料の塗布量は、二軸延伸後のフィルムに換算し
て0.01〜5g/m2 である。二軸延伸後にさらに一
軸延伸をして得られるテンシライズドフィルムの場合
は、製品フィルムに対して塗布量は0.01〜0.5g
/m2 が好ましい。塗布量が0.01g/m2 未満の場
合は、写真乳剤層との接着性が十分でない。塗布量が1
g/m2 を越える場合は、水系分散体に無機化合物、有
機化合物の微粒子を添加することによって滑り性、耐ブ
ロッキング性を改良することができる。ポリエステルフ
ィルムに水系分散体を均一に塗布し易くするために、水
系分散体にメチルアルコール、エチルアルコールなどの
有機溶媒を添加して表面張力を下げればよい。またポリ
エステルフィルムに表面処理を施してもよく、表面処理
としては、火炎処理、紫外線照射、プラズマ処理、コロ
ナ処理などの放電処理、電子線や放射線による照射処
理、化学薬品処理などがある。上記各処理のうち、コロ
ナ放電処理が簡便、短時間で効果的である。ポリエステ
ルフィルムの表面に水系分散体を塗布するには、公知の
任意の方法が適用でき、塗布法としては、ロールコート
法、グラビアコート法、ロールブラシュ法、スプレーコ
ート法、エアナイフコート法、バーコート法、ブレード
コート法、含浸法およびカーテンコート法などが単独で
または組合わせて適用される。
【0034】本発明において下引き層Cは、素材の異な
る2以上の層からなっていてもよい。すなわち、これま
で説明したものが少なくとも1層含まれていればよい。
また、下引き層Cが、ポリエステル系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニリデンの
うちの少なくとも1種を主として含む、ポリエステルB
層と接する層C1 と、この層C1 に接する少なくともゼ
ラチンを含む層C2 とを含む、少なくとも2層からなっ
ていてもよい。すなわち、これまで説明したポリエステ
ル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂お
よび塩化ビニルデン系樹脂の少なくとも1種を含む高分
子材料の溶液、エマルジョンまたは分散液の少なくとも
1層の上に、ゼラチンを含む層を塗布し、その上に写真
乳剤層を塗布することにより、より接着性の良好なもの
が得られる。本発明の基材フィルムは写真印画紙用ポリ
エステルフィルムとして用いるには、このような下引き
層を設けることにより、より良好なものとなる。
【0035】以上説明した下引き層Cを有する本発明の
ポリエステルフィルムには、通常の方法にて写真印画紙
用乳剤が塗布される。
【0036】かくして得られた本発明の空洞含有ポリエ
ステル系フィルムは、写真乳剤の接着性の良好な写真印
画紙用フィルムとして有用である。
【0037】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を示す。ま
ず、本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。 1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
した。
【0038】2)ポリスチレン系樹脂のメルトフローイ
ンデックス JIS−K7210に準じて200℃、荷重5kgで測
定した。
【0039】3)ポリプロピレン系樹脂のメルトフロー
インデックス JIS−K6758−1981に準じて行った。
【0040】4)B層の亀裂の存在状態 フィルムの縦断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、
S−510型)で5000倍で写真撮影した後、エリオ
ニクス製画像処理装置を用いて測定し、フィルムの長手
方向100μmあたりにおける、厚み方向にB層の厚み
の30%以上の深さを有する亀裂の数を数えた。
【0041】5)見かけ比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みをtμm
とし、それの重さを0.1mgまで測定しwgとし、下
式によって計算した。 見かけ比重(−)=w/5×5×t×10000
【0042】6)初期弾性率 ASTM−D−882−90により測定した。島津製作
所製オートグラフAG−5000Aを用いて行った。こ
の際サンプルの幅10mm、チャック間距離40mm、
引っ張り速度200mm/分で行った。
【0043】7)熱収縮率 幅10mm、長さ250mmのフィルム片をとり、その
試験片フィルムの長さ方向に200mm間隔となる2点
の印をつけ、印間の間隔Aを測る。続いて、無張力下で
30分間、150℃雰囲気中のオーブンにいれた後の印
間の間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率とした。
【0044】 熱収縮率(%)=[(B−A)/A]×100
【0045】8)光線透過率 JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.
Rメーター(日本精密光学製)を用い、フィルムの光線
透過率を測定した。この値が小さいほど隠蔽性が高い。
【0046】9)白色度 色差計、N1001(日本電色工業社製)を用いて、J
IS−L1015−1981のB法(2波長法)により
測定した。
【0047】10)表面粗さ JIS−B0601−1982に準じ、サーフコム30
0A型表面粗さ計(東京精密製)を用い、触針径2μ
m、触針圧30mg、測定圧30mg、カットオフ0.
8mm、測定長2.5mmで中心線平均厚さを測定し
た。
【0048】11)インク受理性 シャチハタXスタンパー ネーム9をフィルム表面にス
タンプし、印影を25℃、65%RHの場で1時間乾燥
後、指で印影を軽くこする。印影の文字が見えれば○、
見えないほどにじんだ場合は×とした。
【0049】[実施例1]原料として固有粘度0.62
のポリエチレンテレフタレート樹脂を2軸スクリュー押
出機(A)に投入、別に(B)としてポリエチレンテレ
フタレート樹脂60重量%に、アナターゼ型二酸化チタ
ンを40重量%投入し、2軸スクリュー押出機に投入
し、T−ダイス内でB/A/Bとなるように積層し、2
90℃で溶融押出しし、靜電気的に冷却回転ロールに密
着固化し、約1100μmの重合体混合物の未延伸シー
トを得た。引き続き該未延伸シートをロール延伸機で7
7℃で1.9倍縦延伸を行い、引き続きロール延伸機で
100℃で1.9倍縦延伸を行い、引き続きテンターで
130℃で3.4倍横延伸したあと、235℃で3%緩
和させながら熱処理し、内部に多数の空洞を含有するポ
リエステルフィルムを得た。厚みはB/A/B=5/9
0/5μmであった。
【0050】続いて、下引き層の作成を行った。以下の
成分からなる溶液を調製し、この溶液を上記基材フィル
ムの片面に、約0.05g/m2 塗布量にて塗布した。 水分散系ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製 バイロ
ナール MD−16)……0.9g アクリル系樹脂(アクリル酸エチル/メタアクリル酸メ
チル/メタアクリル酸ヒドロキシエチル/メタアクリル
酸グリシジル/ビニルスルホン酸ナトリウム=45/4
5/6/2/2(重量%)の比で常法において重合した
もの)……2g ブロックイソシアネート(第一工業製薬(株)製 エラ
ストロン BN−11)……0.2g ほうフッ化亜鉛(橋本化学(株)製)の10重量%溶液
……0.002g イソプロピルアルコールと水の4:6溶液……26.8
92g 塗布後すぐに80℃で2分間、および130℃で30秒
間乾燥させたのち、以下の溶液を調整し、約0.1g/
2 塗布した。 ゼラチン(新田ゼラチン(株)製 写真用グレード)の
10%水溶液…25g イソプロピルアルコールと水の4:6溶液……25g 塗布後すぐに80℃で2分間、および130℃で30秒
間乾燥した。
【0051】その上に写真乳剤を塗布した。写真乳剤の
組成は下記の通りである。 <A液>蒸留水…… 450cc ゼラチン…… 55g 臭化カリウム…… 19.8g よう化カリウム…… 0.5g <B液>蒸留水…… 100cc 硝酸銀…… 25g アンモニア水(比重0.88)……褐色沈殿が再溶解す
るまで水を加えて全量を150ccとする。
【0052】A液にB液を1分間で注入し、45℃、3
5分間熟成した後、冷却凝固して裁断した。次いで15
℃の水で2時間水洗の後、ゼラチン20gを加えて全乳
剤量を1.1kgとし、50℃、40分間第2熟成を行
った。次いで上記写真乳剤をファウンテンコータを使用
して、下引きしたフィルムに塗布して乾燥した。以上の
ようにして、写真印画紙用ポリエステルフィルムを得
た。
【0053】この塗布面に対して、以下の評価を実施し
た。 12)耐アルカリ性 35℃、1N−NaOHにサンプルを1分間浸漬し、そ
の後、流水中で30秒洗浄した。表面の水溶液を軽くふ
き取り、直ちに指先で3回およびシリコンゴムで6回こ
すった。写真乳剤が剥離しなければ○、剥離すれば×と
した。
【0054】13)接着性 サンプル表面にクロスカットを用いカッターナイフで1
00分割の切り込みをいれ、セロテープ(ニチバン製、
CT−18)を貼り、よく密着させ垂直にはがし、その
ときに残った表面の個数を数えた。このとき剥がす速度
は基材フィルムが破壊されない程度とした。写真乳剤が
剥離しなければ○、剥離すれば×とした。
【0055】[実施例2](B)の原料として、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂80重量%と平均粒径2.0
μmの合成ゼオライト粒子(水沢化学(株)製、JC−
20)20重量%とを用いた以外は、実施例1と全く同
様の方法において写真印画紙用ポリエステルフィルムを
得た。
【0056】[実施例3](A)の原料として、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂80重量%、ポリスチレン樹
脂(三井東圧化学(株)製、T570−57U)15重
量%、アナターゼ型二酸化チタン5重量%を用いた以外
は、実施例1と全く同様の方法において写真印画紙用ポ
リエステルフィルムを得た。
【0057】[実施例4](A)の原料として、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂80重量%、ポリスチレン樹
脂(三井東圧化学(株)製、T570−57U)15重
量%、アナターゼ型二酸化チタン5重量%を用いた以外
は、実施例2と全く同様の方法において写真印画紙用ポ
リエステルフィルムを得た。
【0058】[実施例5](B)の原料として、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂70重量%と平均粒径0.6
μmの炭酸カルシウム30重量%とを用いた以外は、実
施例1と全く同様の方法において写真印画紙用ポリエス
テルフィルムを得た。
【0059】[実施例6]実施例3におけるポリスチレ
ン樹脂の代わりに結晶性ポリプロピレン樹脂(三井ノー
ブレン製、FO−50F)を用いた以外は、実施例3と
全く同様の方法において写真印画紙用ポリエステルフィ
ルムを得た。
【0060】[比較例1、2、3]実施例3における縦
延伸を表1のようにそれぞれ変更した以外は、実施例3
と全く同様の方法において写真印画紙用ポリエステルフ
ィルムを得た。
【0061】[比較例4、5]実施例3におけるB層の
二酸化チタンの量をそれぞれ0重量%、70重量%とし
た以外は、実施例3と全く同様の方法において写真印画
紙用ポリエステルフィルムを得た。
【0062】[比較例6]実施例3における下引き層を
全く設けなかった以外は、実施例3と全く同様の方法に
おいて写真印画紙用ポリエステルフィルムを得た。
【0063】以上の各ポリエステルフィルムの作成条件
を表1に、また、得られた各ポリエステルフィルムの性
能評価結果を表2および表3に示す。
【0064】表2および表3より、B層厚みの30%以
上の深さを有する亀裂が、フィルムの長手方向に1個/
100μm以上の割合で存在している本発明の写真印画
紙用ポリエステルフィルムは、諸性能、とりわけ接着性
に優れているものである。これに対して、比較例1およ
び比較例5では、フィルムの製膜ができず、また、比較
例2、3および4では、フィルム表面に亀裂がないた
め、写真乳剤の接着性およびシリコンゴムに対する耐ア
ルカリ性が不良であった。また、比較例6では、下引き
層がないため、接着性および耐アルカリ性が不良であっ
た。
【0065】
【発明の効果】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
は、従来のポリスチレンやポリオレフィンを空洞発現剤
として用いて得られる空洞含有ポリエステルフィルムと
同様に、軽量性、柔軟性、隠ぺい性、艶消し性、描画性
などを有していると共に、従来の空洞含有ポリエステル
フィルムに比べ、写真乳剤の接着性の良好なものであ
る。従って、本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
は、写真印画紙用として非常に有用なフィルムである。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルA層の少なくとも片面に、
    不活性粒子を含有するポリエステルB層が積層されて基
    材フィルムが形成され、該ポリエステルB層にはB層表
    面から厚み方向に亀裂が存在しており、該亀裂は、B層
    厚みの30%以上の深さを有するとともに、フィルムの
    任意の縦断面においてフィルムの長手方向に1個/10
    0μm以上の割合で存在しているものであり、かつ、少
    なくとも該基材フィルムの写真乳剤層が塗設されるべき
    側のB層面には、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系
    樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニリデンのうち
    の少なくとも1種を主として含む、少なくとも1層から
    なる下引き層Cが設けられていることを特徴とする、写
    真印画紙用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステルA層にも不活性粒子が含有
    されていることを特徴とする、請求項1に記載の写真印
    画紙用フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルA層は、ポリエステルに非
    相溶性の熱可塑性樹脂が混合され、少なくとも1軸方向
    に配向することにより内部に多数の空洞を含有するもの
    であることを特徴とする、請求項1または2項に記載の
    写真印画紙用フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルA層、ポリエステルB層お
    よび下引き層Cからなるフィルムの見かけ比重が1.0
    〜1.35であることを特徴とする、請求項3に記載の
    写真印画紙用フィルム。
  5. 【請求項5】 下引き層Cが、素材の異なる2以上の層
    からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の写真印画紙用フィルム。
  6. 【請求項6】 下引き層Cが、ポリエステル系樹脂、ポ
    リウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂および塩化ビニ
    リデンのうちの少なくとも1種を主として含む、ポリエ
    ステルB層と接する層C1 と、この層C1 に接する少な
    くともゼラチンを含む層C2 とを含む、少なくとも2層
    からなることを特徴とする、請求項5に記載の写真印画
    紙用フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001260294A (ja) * 2000-03-16 2001-09-25 Toyobo Co Ltd 白色積層ポリエステル系フィルム
WO2002085622A1 (fr) * 2001-04-19 2002-10-31 Toray Industries, Inc. Film polyester stratifie blanc et feuille de reception pour enregistrement par transfert thermique par it

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