JPH08113823A - ポリアセタールからなる繊維及び不織布 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】工業的に製造できるポリアセタール繊維及び不
織布の製造方法を見出し、安価なポリアセタール繊維及
び不織布を提供する。 【構成】溶融粘度が１００〜５００のポリアセタールか
らなる繊維及び不織布。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は補強材，フィルター等に
用いられる、耐熱性及び耐薬品性に優れた不織布に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ポリアセタールは耐熱性及び耐薬品性に
優れたポリマーであり、機能性ポリマーとして歯車等の
成形品に多く用いられている。また、そのポリマー自体
は例えば特開平６−２１１９５３号公報に記載されてい
るように公知である。しかし、この耐熱性に優れている
点が繊維に製造する際に大きな妨げとなっている。即
ち、ポリアセタールは結晶性が優れ、結晶化速度が速
い。また、結晶化度も大きい。ポリアセタールの融点は
ＤＳＣの測定では非常にシャープなピークで測定され
る。従って、軟化点と融点が非常に近く、延伸し難い欠
点があり、工業的に繊維にすることが困難であったた
め、ポリアセタール繊維を用いる不織布を工業的に製造
することはできなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的に製造できるポリアセタール繊維及び不織布の製造方
法を見出し、安価なポリアセタール繊維及び不織布を提
供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らはポリアセタ
ールの結晶化が著しく速いことに着目し、ポリマーの分
子量が小さい、即ち溶融粘度の大きいポリマーの紡糸条
件を研究した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は
溶融粘度が１００〜５００のポリアセタールからなる繊
維及び不織布である。

【０００５】本発明に用いるポリアセタールは例えばト
リオキサンを主モノマーに、環状エーテル、または環状
ホルマールをコモノマーに用い、定法によりカチオン重
合することができる。

【０００６】このコノモマーとしては例えばエチレンオ
キシド、１，３−ジオキソラン、１，３−トリオキセパ
ン、ジエチレングリコールホルマール、１，４−ブタン
ジオールホルマール、１，３−ジオキサン、プロピレノ
キシド等がある。

【０００７】コモノマーの量はトリオキサンに対して
０．２〜１０重量％、好ましくは０．４〜５重量％であ
る。コモノマーの量が多すぎると耐熱性が低下する。ま
た、コモノマーの量が少なすぎると可紡性が低下する。

【０００８】上記ポリアセタールは適当に触媒を失活さ
せ、精製され、また適当な安定剤、着色剤等の添加剤が
含まれていても良い。

【０００９】ポリアセタールの溶融粘度は１９０℃、荷
重２．１６Ｋｇ、２ｍｍ径のノズルから１０分間の流出
量ｇで測定した。ポリアセタールの溶融粘度が１００未
満、または５００を超えると可紡性が低下した。好まし
くは２００〜４００である。ポリアセタールの溶融粘度
は、定法により適当な連鎖移動剤を適量重合時に用いる
ことにより容易に調整できる。

【００１０】本発明のポリアセタール繊維の紡出方法は
定法の溶融紡糸で良い。即ち、エクストルーダーで溶
融，混練し、ギアポンプで計量しつつ、ノズルから紡出
する。整流されたエアにより冷却するが、急速に冷却し
ない方が可紡性が良くなる。延伸は紡糸後行っても良
く、紡糸と同時に行っても良い。延伸前の未延伸糸を偏
光顕微鏡で観察すると球晶が観察された。この未延伸糸
の引張強度は、例えば０．２ｇ／ｄと低く、伸度は７８
０％と大きかった。

【００１１】未延伸糸は延伸時に加温しても良いが、常
温でも延伸することが出来た。延伸糸の強度は２ｇ／ｄ
以上あり、延伸条件によっては４ｇ／ｄ以上の繊維も得
られた。

【００１２】本発明のポリアセタール不織布は定法のス
パンボンド、またはメルトブロー法により製造すること
が出来るが、その特性を十分に発揮するためには、ニー
ドルパンチング、またはスパンレースを組み合わせた方
が良い。

【００１３】即ち、紡出後そのままでサーマルボンディ
ングすることは出来ない。軟化点と融点が近いため実用
上、温度制御することが困難である。温度制御は好まし
くは２℃以内にすべきである。一般的なサーマルボンデ
ィング装置を用いるとそのままでは表面だけの弱いボン
ディングは出来るが、強固にボンディングしようとする
と溶融してしまい、ローラーに巻取られてしまう。

【００１４】しかし、ニードルパンチングかスパンレー
スした厚さが大きい状態で片面加熱のエンボスローラー
でサーマルボンディングすると表面がボンディングさ
れ、裏面がサーマルボンディングされない状態に仕上げ
ることが出来る。

【００１５】両面加熱のエンボスローラーを用いるか、
上記の工程を裏表、２回繰り返すことにより表面はボン
ディングが強固で内部はニードルパンチングかスパンレ
ースした状態、またはそれに近い状態の不織布が得られ
る。

【００１６】上記の不織布は１００ｇ／ｍ² の目付け
で、１Ｋｇ／ｃｍ以上の強度を持ち、ボンディング条件
を選択することにより２Ｋｇ／ｃｍ以上の強度の不織布
も得られた。繊維及び不織布の強度、デニール等の測定
は各々のＪＩＳに準じて測定した。

【００１７】

【発明の効果】本発明のポリアセタール繊維及び不織布
は優れた耐熱性，耐薬品性を持ち、補強材，フィルター
として用いるのに十分な強度を持っている。

【００１８】

【実施例】更に詳細は実施例にて説明する。 実施例１ トリオキサン９８重量％、エチレンオキシド２重量％で
重合、精製された溶融粘度が３２０のポリアセタールチ
ップをエクストルーダーで溶融し、ギヤポンプで計量
し、ノズル温度２３０℃、熱風温度２００℃で定法によ
りメルトブローし、サクション付のネット上に連続的に
積層しつつ捕集した。この繊維は偏光顕微鏡観察で球晶
が観察され、平均径が８３μｍの未延伸糸であった。

【００１９】次に積層したままでニードルパンチングを
行い、目付け１００ｇ／ｍ² の本発明の不織布を製造し
た。この不織布の引張強度は１．３Ｋｇ／ｃｍであっ
た。さらに、この不織布を両面加熱のエンボスローラー
１７０℃で表面のサーマルボンディングを行った。得ら
れた不織布の引張強度は２．５Ｋｇ／ｃｍに向上した。

【００２０】実施例２ 実施例１で製造した未延伸糸を２５℃の温室で３．４倍
に延伸して得られた繊維の引張強度は４．１ｇ／ｄ、伸
度は３３％であった。

【００２１】実施例３ 実施例１と同様にしてポリアセタールの溶融粘度のみを
表１の通り変更し、可紡性と曳糸性を測定し表１に示し
た。

【００２２】

【表１】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融粘度が１００〜５００であるポリア
   セタール不織布。
2. 【請求項２】 溶融粘度が１００〜５００であるポリア
   セタール繊維。