JPH0794829A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JPH0794829A
JPH0794829A JP6712894A JP6712894A JPH0794829A JP H0794829 A JPH0794829 A JP H0794829A JP 6712894 A JP6712894 A JP 6712894A JP 6712894 A JP6712894 A JP 6712894A JP H0794829 A JPH0794829 A JP H0794829A
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JP
Japan
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layer
semiconductor laser
active layer
thin film
barrier
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Pending
Application number
JP6712894A
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English (en)
Inventor
Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Seiji Onaka
清司 大仲
Hideto Adachi
秀人 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可視光領域に発振波長を有する半導体レーザ
に関し、クラッド層と活性層の間に特殊な構造を作製す
ることで電子のオーバー・フローを抑制し、良好な特性
で、温度安定性の高い半導体レーザを提供する。 【構成】 n−GaAs基板1上にn−GaAsバッフ
ァ層2を介して(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活
性層4をn−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッ
ド層3およびp−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pク
ラッド層5で挟むダブルヘテロ構造を有し、(Al0.15
Ga0.85)0.51In0.49P活性層4とp−(Al0.6G
a0.4)0.51In0.49Pクラッド層5の間に、(Al0.6
Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層20と(Al0.15G
a0.85)0.51In0.49Pウエル層21から成る薄膜多層
構造6を有し、薄膜多層構造を構成する各層の一部の厚
さが活性層から離れるに従って減少している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体レーザに関し、特
に、温度安定性に優れ、信頼性の高い半導体レーザに関
する。
【0002】
【従来の技術】可視光領域に波長を有するレーザ光を発
生することのできる半導体レーザは、光情報処理用光源
や光計測用光源などの用途があり、最近その重要性を増
している。このような半導体レーザに適した各種半導体
材料の開発が活発に行われている。なかでも、(Alx
Ga1-x)0.5In0.5P系の材料は、良質の基板である
GaAsに格子整合し、しかも、組成xを変化させるこ
とで波長0.68μmから0.56μmの範囲で発振す
るレーザ光を得ることができるため、注目されている。
発振波長を短くするためには、半導体レーザの活性層中
のAlの量を増やせばよい。なお、本明細書において
は、例えば、(AlXGa1-X0.5In0.5Pを(Alx
Ga1-x)0.5In0.5Pと表記することとする。
【0003】以下、図16を参照しながら、従来の横モ
ード制御型半導体レーザ(赤色発光用)を説明する。
【0004】この半導体レーザは、図16に示すよう
に、n−GaAs基板1と、基板1上に形成された多層
構造とを備えている。この多層構造は、基板1の上面に
形成されたn−GaAsバッファ層2、n−(Al0.6
Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層3、(Al0.15G
a0.85)0.51In0.49P活性層4、p− (Al0.6Ga
0.4)0.51In0.49Pクラッド層5、p−Ga0.51In
0.49P層7、n−GaAs電流ブロック層8、及びp−
GaAsキャップ層9を含んでいる。基板1の裏面及び
キャップ層9の上面には、それぞれ、n電極10及びp
電極11が設けられている。
【0005】このような半導体レーザは、次のようにし
て製造される。まず、n−GaAs基板1上に、n−G
aAsバッファ層2、n−(Al0.6Ga0.4)0.51In
0.49Pクラッド層3、(Al0.15Ga0.85)0.51In0.
49P活性層4、p−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49P
クラッド層5、およびp−Ga0.51In0.49P層7を順
次エピタキシャル成長させる。これらの半導体層の成長
は、有機金属気相成長法(MOVPE法)などの結晶成
長技術を用いて行われる。上記半導体層の成長の後、ホ
トリソグラフィー技術及びエッチング技術を用いて、p
−Ga0.51In0.49P層7とp−(Al0.6Ga0.4)0.
51In0.49Pクラッド層5とをエッチングすることによ
り、共振器長方向に垂直な断面が台形となるメサストラ
イプを形成する。その後、MOVPE法などを用いてn
−GaAs電流ブロック層8を選択的に堆積し、さらに
その上にp−GaAsキャップ層9を堆積する。
【0006】このような半導体レーザによれば、n−G
aAs電流ブロック層8により電流の狭窄を行うことが
できる。また、製造工程中に、p−(Al0.6Ga0.4)
0.51In0.49Pクラッド層5を台形上にエッチングする
際に、台形の高さ及び幅を最適化することにより、単一
横モード発振のための条件を満足するように実効的な屈
折率差を設けることが容易に行える。その結果、光を効
果的に台形下部の活性層付近に閉じこめることができ
る。
【0007】ところが、半導体レーザの発振波長を短く
するために活性層に加えるAlの量、すなわちxの大き
さ(Al mole fraction)を増していくと、(Al0.6G
a0.4)0.51In0.49Pクラッド層と活性層との禁制帯
幅の差ΔEgが小さくなる。その結果、レーザ発振させ
るために活性層に注入したキャリアは、クラッド層と活
性層との間の障壁を容易に越えてクラッド層に達するこ
ととなる。この現象は、一般に、キャリアの「オーバー
・フロー」と呼ばれる。このキャリアの「オーバー・フ
ロー」のために、レーザ発振に寄与しないキャリアの数
が増し、半導体レーザの特性が悪化する。より具体的に
は、発振しきい値電流が上昇し、高い温度でのレーザ発
振が困難となる。キャリアの中でも、特に有効質量の小
さな電子に関して、そのオーバー・フローが著しい。
【0008】このように、電子のオーバー・フローによ
る制約を受けるために、半導体レーザの短波長化には限
度があり、半導体レーザの連続発振での発振波長は約6
30nmに留まっている。630nmに発振波長を持つ
半導体レーザの特性も十分ではなく、最高発振温度が約
40℃と実用に耐えない。また、最高出力も約3mWと
低い。
【0009】上記の電子のオーバー・フローを抑制する
目的で、多重量子障壁(MQB)という構造が提案され
ている(例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ア
プライド・フィジクス29(1990年)第L1977
頁から第L1980頁(Japanese Journal of Applied
Physics 29 (1990) pp.L1977-L1980))。また、特開
平3-3367号公報にも多重量子障壁をもつ半導体レーザが
示されており、しかもこのレーザは多重量子障壁の障壁
層に、引っ張り応力が加えられている。
【0010】図17及び図18を参照しながら、この改
良された従来の半導体レーザ(Japanese Journal of Ap
plied Physics 29 (1990) pp.L1977-L1980))を説明
する。この半導体レーザは、p−(Al0.6Ga0.4)0.
51In0.49Pクラッド層5と(Al0.15Ga0.85)0.51
In0.49P活性層4との間に、6原子層の厚さ(17オ
ングストローム)の禁制帯幅の広いp−(Al0.6Ga
0.4)0.51In0.49Pバリア層20と4原子層の厚さ
(11.5オングストローム)の禁制帯幅の狭い(Al
0.15Ga0.85)0.51In0.49P層21を1周期とする層
を10周期繰り返した多層量子障壁13を有している。
【0011】このような多重量子障壁13を作ること
で、活性層へ電子を反射させ、電子のオーバー・フロー
を抑えようとしている。この構造での電子のエネルギー
と反射率の関係を図19に示す。電子は多層構造を持た
ない時に比べ、約2倍の障壁を感じることになる。電子
のオーバー・フローを抑制できるために、しきい値電流
の低い、温度安定性の高い半導体レーザが得ることがで
きる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この構造で
は、例えば多層量子障壁の10個のp−(Al0.6Ga
0.4)0.51In0.49Pバリア層20の中で、1個の層の
厚さが2原子層以上ずれると、電子のエネルギーの低い
所で反射率に低下する部分を生じる。第6番目のp−
(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層20の厚さ
が2原子層の厚さ(5.66オングストローム)だけ薄
くなった時の電子のエネルギーと反射率の関係を図20
に示す。101meVの所に反射率が低下する部分があ
る。電子の感じる障壁は最も低いエネルギーで決まる。
そのために、2原子層ずれた場合には電子への障壁とし
ての効果が無くなることになる。その結果、良好な特性
を有する半導体レーザを得ることが困難となる。
【0013】本発明は上記事情を鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、しきい値電流が低く、
高い温度でのレーザ発振が可能で、しかも、信頼性の高
い半導体レーザを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ
は、活性層、該活性層を挟む一対のクラッド層、及び、
該一対のクラッド層の一方と該活性層との間に設けられ
た薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであって、該薄
膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅より
も狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層された
構造を含み、それによって、該活性層からオーバフロー
したキャリアを該活性層に反射する機能を有しており、
該薄膜多層構造において、該バリア層及び該ウェル層の
少なくとも一方の層の厚さが、該活性層からの距離に依
存して変化しており、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0015】ある実施態様においては、前記薄膜多層構
造の少なくとも一部分において、前記バリア層及び前記
ウェル層の少なくとも一方の層の厚さが、前記活性層か
らの距離に依存して単調に減少している。
【0016】ある実施態様においては、前記薄膜多層構
造の少なくとも一部分において、前記バリア層及び前記
ウェル層の少なくとも一方の層の厚さが、前記活性層か
らの距離に依存して単調に増加している。
【0017】本発明の他の半導体レーザは、活性層、該
活性層を挟む一対のクラッド層、及び、該一対のクラッ
ド層の一方と該活性層との間に設けられた薄膜多層構
造、を備えた半導体レーザであって、該薄膜多層構造
は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅よりも狭い禁制
帯幅を有するウェル層とが交互に積層された構造を含
み、それによって、該活性層からオーバフローしたキャ
リアを該活性層に反射する機能を有しており、該薄膜多
層構造において、該バリア層及び該ウェル層の少なくと
も一方の層の禁制帯幅が、該活性層からの距離に依存し
て変化しており、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0018】ある実施態様においては、前記薄膜多層構
造の少なくとも一部分において、前記バリア層及び前記
ウェル層の少なくとも一方の層の厚さが、前記活性層か
らの距離に依存して単調に減少している。
【0019】ある実施態様においては、前記薄膜多層構
造の少なくとも一部分において、前記バリア層及び前記
ウェル層の少なくとも一方の層の厚さが、前記活性層か
らの距離に依存して単調に増加している。
【0020】本発明の更に他の半導体レーザは、活性
層、該活性層を挟む一対のクラッド層、及び、該一対の
クラッド層の一方と該活性層との間に設けられた薄膜多
層構造、を備えた半導体レーザであって、該薄膜多層構
造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅よりも狭い禁
制帯幅を有するウェル層とが交互に積層された構造を含
み、該ウェル層と該バリア層の伝導帯のエネルギー差が
100meV以上であり、それによって、該活性層から
オーバフローしたキャリアを該活性層に反射する機能を
有しており、該バリア層に水平な方向の引っ張り応力が
該バリア層に加わっており、そのことにより上記目的が
達成される。
【0021】本発明の更に他の半導体レーザは、活性
層、該活性層を挟む一対のクラッド層、及び、該一対の
クラッド層の一方と該活性層との間に設けられた薄膜多
層構造、を備えた半導体レーザであって、該薄膜多層構
造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅よりも狭い禁
制帯幅を有するウェル層とが交互に積層された構造を含
み、該ウェル層と該バリア層の伝導帯のエネルギー差が
100meV以上であり、それによって、該活性層から
オーバフローしたキャリアを該活性層に反射する機能を
有しており、該ウェル層に水平な方向の圧縮応力が該ウ
ェル層に加わってり、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0022】ある実施態様においては、前記ウェル層に
水平な方向の圧縮応力が該ウェル層に加わっている。
【0023】ある実施態様においては、前記バリア層に
加わっている応力の絶対値ε1、該バリア層の厚さd1、
前記ウエル層に加わっている応力の絶対値ε2、及び該
ウェル層の厚さd2が以下の関係、 ε1×d1=ε2×d2 を満足する。
【0024】本発明の更に他の半導体レーザは、活性
層、該活性層を挟む一対のクラッド層、及び、該一対の
クラッド層の一方と該活性層との間に設けられた薄膜多
層構造、を備えた半導体レーザであって、該薄膜多層構
造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅よりも狭い禁
制帯幅を有するウェル層とが交互に積層された構造を含
み、それによって、該活性層からオーバフローしたキャ
リアを該活性層に反射する機能を有しており、該バリア
層のキャリア濃度が該ウェル層のキャリア濃度よりも高
く、そのことにより上記目的が達成される。
【0025】前記ウェル層に不純物が実質的にドープさ
れていない。
【0026】
【作用】本発明の半導体レーザによれば、薄膜多層構造
が、活性層から漏れた電子を活性層に方向に反射させ、
それによって、電子のオーバー・フローを抑える障壁と
して機能する。薄膜多層構造が請求項に記載された構成
を有することにより、例え薄膜多層構造を構成している
半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ電子
を反射させ電子のオーバー・フローを抑える障壁として
の働きは変わらないことがわかった。電子のオーバー・
フローが抑制される結果、しきい値電流の低い、温度依
存性の少ない半導体レーザが提供される。
【0027】本発明の半導体レーザによれば、薄膜多層
構造を構成するバリア層に、各層に水平な方向に引っ張
り応力が加わっている場合、バリア層の禁制帯幅とウエ
ル層の禁制帯幅の差を大きくすることができる。このた
め、例え薄膜多層構造を構成している半導体層の厚さが
2原子層以上ずれても、活性層へ電子を反射させ電子の
オーバー・フローを抑える障壁としての働きは変わらな
い。また、従来の多重量子障壁よりも高い障壁を得るこ
とができる。さらに、従来の多重量子障壁よりも活性層
への正孔の注入効率を高くすることができる。これらの
結果、特性の揃った、しきい値電流の低い、温度安定性
の高い半導体レーザを再現性良く提供することができ
る。
【0028】特に、薄膜多層構造が構成するバリアの有
する応力の絶対値ε1と、バリア層のの厚さd1と、ウエ
ル層の有する応力の量ε2、ウェル層の厚さd2とが、次
の関係 ε1×d1=ε2×d2 を満足する場合、薄膜多層構造中に転位等の欠陥の発生
を抑制できる。
【0029】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。
【0030】(実施例1)図1は、本発明による横モー
ド制御型の赤色半導体レーザの断面図を示す。
【0031】この半導体レーザは、図1に示すように、
n−GaAs基板1と、基板1上に形成された多層構造
とを備えている。この多層構造は、基板1の上面に形成
されたn−GaAsバッファ層2、n−(Al0.6Ga
0.4)0.51In0.49Pクラッド層3、(Al0.15Ga0.8
5)0.51In0.49P活性層4、薄膜多層構造6、p−
(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層5、p−
Ga0.51In0.49P層7、n−GaAs電流ブロック層
8、及びp−GaAsキャップ層9を含んでいる。基板
1の裏面及びキャップ層9の上面には、それぞれ、p電
極11及びn電極10が設けられている。
【0032】この半導体レーザと図16に示す半導体レ
ーザとの主要な相違点は、本実施例の半導体レーザが、
p−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層5と
(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4との間
に、新規な構成の薄膜多層構造6を有している点にあ
る。
【0033】薄膜多層構造6の詳細な構造を図2(a)
に、薄膜多層構造6を構成する各層の厚さを図2(b)
に、薄膜多層構造のバンド構造図を図2(c)に示す。
図2(c)においては、伝導帯23と価電子帯24とが
示されている。
【0034】薄膜多層構造6は、禁制帯幅の比較的に広
いp−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層20
と、禁制帯幅の比較的に狭い(Al0.15Ga0.85)0.51
In0.49Pウエル層21とが交互に形成された構造を有
している(図2(c))。
【0035】基板1側から数えて第1層目のp−(Al
0.6Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層の厚さは、500
オングストロームと厚い。これは、電子がトンネリング
によって(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4
から漏れ出すのを防ぐためである。図2(b)に示すよ
うに、薄膜多層構造6を形成するp−(Al0.6Ga0.
4)0.51In0.49Pバリア層20とp−(Al0.15Ga
0.85)0.51In0.49Pウエル層21の厚さは、第2層目
以降30オングストロームから20オングストロームま
で、(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4から
離れるにしたがって薄くなっている。第4層目の(Al
0.15Ga0.85)0.51In0.49Pウエル層21以降は、厚
さは同じである。
【0036】この半導体レーザにおける、薄膜多層構造
6による電子に対する反射率と電子のエネルギーとの関
係を図3に示す。図3からわかるように、エネルギが2
20meVまで反射率1が保たれている。薄膜多層構造6
を持たない半導体レーザでは、電子に対する障壁の高さ
は125meVであることから、薄膜多層構造6により約
1.8倍まで障壁の高さが増大したことになる。
【0037】薄膜多層構造6を構成する各層の中で、例
えば第3層目のバリア層と4層目のバリア層の厚さが2
原子層分、すなわち5.66オングストローム薄くなっ
たとする。その時の電子の反射率と電子のエネルギーと
の関係を図4に示す。図3と比較してわかるように、作
製する時に例え2原子層分、厚さが薄くなったとしても
電子に対する障壁の高さに変化はない。ここでは2つの
バリア層の厚さが変動した場合について説明したが、他
のバリア層やウエル層の厚さが変化したとしても、その
変化量が2原子層に相当する厚さの範囲内であれば、障
壁の高さに変わりはない。この結果、活性層へ電子を反
射させ、(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4
と薄膜多層構造6の間の障壁を大きい状態に保つことが
でき、発振波長の短い半導体レーザにおいても、しきい
値電流の低減、温度安定性の向上などの特性改善を行う
ことができる。
【0038】図1に示されるように、p−(Al0.6G
a0.4)0.51In0.49Pクラッド層5の上部にはp−G
a0.51In0.49P層7が形成されている。また、p−G
a0.51In0.49P層7およびp−(Al0.6Ga0.4)0.
51In0.49Pクラッド層5の一部は、台形状のメサスト
ライプに加工されている。台形の両脇はn−GaAs電
流ブロック層8を堆積してある。さらにp−Ga0.51I
n0.49P層7とn−GaAs電流ブロック層8の上部に
はp−GaAsコンタクト層9を有している。上記台形
は、(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4内に
基本横モードが成立するような幅5μmにする。n−G
aAsコンタクト層9にはCr/Pt/Auなどのp電
極11を、n−GaAs基板1にはAu/Ge/Niな
どのn電極10を堆積してある。
【0039】本実施例では、薄膜多層構造6を(Al0.
15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4とp−(Al0.6
Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層5の間に配置した
が、p−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層
5全体を薄膜多層構造6と同様にp−(Al0.7Ga0.
3)0.51In0.49Pバリア層20とp−(Al0.15Ga
0.85)0.51In0.49Pウエル層21の厚さが変化するよ
うな構造にしても、この発明の効果は大きい。
【0040】本実施例では、薄膜多層構造6を構成する
バリア層とウエル層の厚さが活性層から離れるに従って
減少する構造について説明したが、増加する構造でもバ
リア層やウエル層の厚さが変動したとしても電子の反射
率は低下することなく、障壁を高く保持できることがわ
かっている。
【0041】本実施例では、バリア層とウエル層の厚さ
が活性層から離れるに従って減少する構造を用いたが、
薄膜多層構造6を構成する2番目以降のバリア層あるい
はウエル層の少なくとも一方が、少なくとも2種類以上
の厚さの層から成れば、本発明の効果は大きい。
【0042】本実施例では、半導体レーザを構成する材
料を指定したが、クラッド層が(AlyGa1-y)0.51I
n0.49P、活性層が(AlzGa1-z)0.51In0.49P
(ここで、0≦z≦y≦1)の場合でも、しきい値電流
の低く、温度安定性の高い、良好な特性の半導体レーザ
を作製することができる。
【0043】また、本実施例では材料にAlGaInP
を用いた半導体レーザについて説明したが、他の材料で
も本発明の効果が大きいことは言うまでもない。III-V
族の半導体レーザのみならず、II-VI族の材料から成る
半導体レーザでもこの発明の効果は大きい。
【0044】(実施例2)図5は、本発明による他の横
モード制御型の赤色半導体レーザの断面図を示す。
【0045】この半導体レーザは、図5に示すように、
例えばn−GaAs基板1上にn−GaAsバッファ層
2を介して(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層
4をn−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層
3およびp−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッ
ド層5で挟むダブルヘテロ構造を有している。p−(A
l0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層5と(Al0.
15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4との間には、薄膜
多層構造12を有している。
【0046】薄膜多層構造12の詳細な構造を図6
(a)に、薄膜多層構造12を構成する各層の厚さを図
6(b)に、薄膜多層構造12のバンド構造図を図6
(c)に示す。薄膜多層構造12は禁制帯幅の広いp−
(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層30と(A
l0.075Ga0.925)0.51In0.49Pウエル層30、(A
l0.1Ga0.9)0.51In0.49Pウエル層31、(Al0.
125Ga0.875)0.51In0.49Pウエル層32、(Al0.
15Ga0.85)0.51In0.49Pウエル層21から成る(図
6(c))。
【0047】基板1側から数えて第1層目のp−(Al
0.6Ga0.4)0.51In0.49Pバリア層の厚さは500オ
ングストロームと厚い。これは電子がトンネリングによ
って(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4から
漏れ出すのを防ぐためである。図6(b)に示すよう
に、薄膜多層構造12を形成するp−(Al0.6Ga0.
4)0.51In0.49Pバリア層20と各ウエル層の厚さ
は、それぞれ17オングストローム、11.5オングス
トロームである。図6(C)に示すように、薄膜多層構
造12を形成するウエル層の禁制帯幅は、1番目のウエ
ル層以降1.911eVから1.95eVまで、(Al
0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4から離れるにし
たがって大きくなっている。4番目以降のウエル層は
(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49Pウエル層21で、
同じ禁制帯幅を持つ。このようにして作製した半導体レ
ーザの、薄膜多層構造12による電子に対する反射率
は、半導体レーザを作製する時に例え2原子層分、いず
れかの層の厚さが設定の値からずれても、電子に対する
障壁の高さに変化はない。ここでは2つのバリア層の厚
さが変動した場合について説明したが、他のバリア層や
ウエル層の厚さが変化したとしても、その変化量が2原
子層に相当する厚さの範囲内であれば、障壁の高さに変
わりはない。この結果、活性層へ電子を反射させ、(A
l0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4と薄膜多層構
造12の間の障壁を大きい状態に保つことができ、発振
波長の短い半導体レーザにおいても、しきい値電流の低
減、温度安定性の向上などの特性改善を行うことができ
る。
【0048】図5に示されるように、p−(Al0.6G
a0.4)0.51In0.49Pクラッド層5の上部にはp−G
a0.51In0.49P層7を有し、p−Ga0.51In0.49P
層7およびp−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラ
ッド層5の一部は、台形状のメサストライプに加工され
ている。台形の両脇はn−GaAs電流ブロック層8を
堆積してある。さらにp−Ga0.51In0.49P層7とn
−GaAs電流ブロック層8の上部にはp−GaAsコ
ンタクト層9を有している。上記台形は、(Al0.15G
a0.85)0.51In0.49P活性層4内に基本横モードが成
立するような幅5μmにする。n−GaAsコンタクト
層9にはCr/Pt/Auなどのp電極11を、n−G
aAs基板1にはAu/Ge/Niなどのn電極10を
堆積してある。
【0049】本実施例では、薄膜多層構造12を(Al
0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4とp−(Al0.
6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層5の間に配置した
が、p−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層
5全体を薄膜多層構造12と同様にバリア層またはウエ
ル層の禁制帯幅が変化する構造にしても、この発明の効
果は大きい。ただし、ウエル層によって生じる量子準位
が、(Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層4の禁
制帯幅よりも大きくなるようにすることが望ましい。
【0050】本実施例ではウエル層のみを禁制帯幅を変
化させたが、バリア層、若しくはウエル層とバリア層の
両方を変化させても本発明の効果は大きい。
【0051】また、ウエル層の禁制帯幅が活性層から離
れるに従って増加する構造を用いたが、薄膜多層構造1
2を構成する2番目以降のバリア層あるいはウエル層の
少なくとも一方が、少なくとも2種類以上の禁制帯幅の
層から成れば、本発明の効果は大きい。
【0052】また、本実施例ではウエル層の禁制帯幅が
増加する構造について説明したが、減少する構造につい
ても検討を行った結果、薄膜多層構造12を構成するバ
リア層やウエル層の厚さが変動しても電子に対する反射
率の低下はなく、障壁は高い状態に保てることがわかっ
た。
【0053】上記実施例では、ダブルヘテロ構造を構成
する材料を指定したが、クラッド層が(AlyGa1-y)
0.51In0.49P、活性層が(AlzGa1-z)0.51In0.
49P(ここで、0≦z≦y≦1)の場合でも、しきい値
電流が低く、温度安定性の高い、良好な特性の半導体レ
ーザを作製することができる。
【0054】また、本実施例では材料にAlGaInP
を用いた半導体レーザについて説明したが、他の材料で
も本発明の効果が大きいことは言うまでもない。III-V
族の半導体レーザのみならず、II-VI族の材料から成る
半導体レーザでもこの発明の効果は大きい。
【0055】本実施例ではバリア層とウエル層は基板に
格子整合する材料で説明したが、バリア層とウエル層の
禁制帯幅を変化させるために、各層に歪を加えても構わ
ない。例えば、ウエル層のInの量を増して圧縮歪を加
えたり、バリア層のInを減らして引っ張り歪を加えた
りしてもよい。
【0056】以上、述べた(実施例1)の構造と(実施
例2)の構造は個々に用いてもその効果は大きいが、
(実施例1)と(実施例2)を併せ持つような構造でも
効果は大きいことは言うまでもない。
【0057】(実施例3)図7は、本発明による更に他
の横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図を示す。
前述の実施例の各構成要素に対応する本実施例の各構成
要素には、前述の実施例の各構成要素に付与された参照
番号と同じ参照番号が付与されている。
【0058】この半導体レーザは、図7に示すように、
例えばn−GaAs基板1上にn−GaAsバッファ層
2を介して(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層4を
n−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層3およ
びp−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5で
挟むダブルヘテロ構造を有している。p−(Al0.7G
a0.3)0.5In0.5Pクラッド層5とp−(Al0.2Ga
0.8)0.5In0.5P活性層4との間には、薄膜多層構造
6を有している。
【0059】薄膜多層構造6の詳細な構造を図8(a)
に、薄膜多層構造6を構成する各層の厚さを図8(b)
に、バンド構造図を図8(c)に示す。薄膜多層構造6
は禁制帯幅の広いp−(Al0.7Ga0.3)0.57In0.43
Pバリア層20と(Al0.2Ga0.8)0.45In0.55Pウ
エル層21から成る。第1層目のp−(Al0.7Ga0.
3)0.57In0.43Pバリア層は226.4オングストロ
ームと厚い。これは電子がトンネリングによって(Al
0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層4から漏れ出すのを防
ぐためである。
【0060】p−(Al0.7Ga0.3)0.57In0.43Pバ
リア層20には引っ張り応力が加わっており、その応力
の量εは−0.5%である。(Al0.2Ga0.8)0.45I
n0.55Pウエル層21には圧縮応力が加わっており、そ
の応力の量εは+0.5%である。歪み量εの符号は−
が引っ張り応力を表し、+が圧縮応力を示している。半
導体に応力が加わっているときの半導体の禁制帯幅E
g'は次式で表される。 Eg'=Eg+(2a(1−C12/C11)±b(1+2
C12/C11))ε・・式1 (式1)で、複合の−は重
い正孔帯の場合で、+は軽い正孔帯の場合である。ま
た、Egは応力が無いときの禁制帯幅、aとbは変形ポ
テンシャル、C11とC12は弾性定数である。
【0061】(式1)によりp−(Al0.7Ga0.3)0.
57In0.43Pバリア層20および(Al0.2Ga0.8)0.
45In0.55Pウエル層21の禁制帯幅を求めると、それ
ぞれ2.264eVおよび1.909eVとなり、禁制
帯幅の差ΔEgは0.355eVと従来例の多重量子障
壁を構成するp−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリ
ア層20とp−(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5Pウエル
層21の禁制帯幅の差ΔEg=0.261eVに比べ、
94meV大きい。
【0062】AlGaInPを材料とする半導体では、
ヘテロ接合を形成した時、伝導帯23のエネルギー差Δ
Ecと禁制帯幅の差ΔEgの間に次の関係がある。
【0063】ΔEc=0.43ΔEg・・式2 (式2)より、本発明の薄膜多層構造を構成するバリア
層とウエル層の伝導帯23のエネルギー差は従来構造の
多重量子井戸を構成するバリア層とウエル層の伝導帯2
3のエネルギー差より大きい。
【0064】この半導体レーザにおける、薄膜多層構造
6による電子に対する反射率と電子のエネルギーとの関
係を図9に示す。260meVまで反射率1が保たれて
いる。薄膜多層構造6を持たない構造では電子に対する
障壁の高さは153meVであることから、薄膜多層構
造6により約1.7倍まで障壁が増大したことになる。
障壁の高さは従来例の多重量子障壁よりも約32meV
高くすることができる。これは、薄膜多層構造6を構成
するバリア層とウエル層の伝導帯23のエネルギー差
が、従来の多重量子障壁のそれよりも大きいことに起因
する。
【0065】このバリア層とウエル層の伝導帯のエネル
ギー差(ΔEc)は、100meV以上にするのが好ま
しい。一般にΔEcが大きいほど、電子に対する障壁の
高さを大きくすることができるが、100meV以上と
れば電子のオーバーフローを抑えるのに効果があるとい
える。また薄膜多層構造の周期(ウエル層とバリア層と
のペアで1周期)も6周期以上であることが好ましい。
これ以下であれば、電子に対する障壁の高さが低下す
る。
【0066】また、薄膜多層構造6を構成するバリア層
とウエル層の伝導帯23のエネルギー差が大きいことは
他の効果も生み出す。即ち、薄膜多層構造6を構成する
層の厚さが3原子層程度ずれたり、各層の面内に厚さの
バラツキがあったとしても、電子に対する反射率に変化
が無いという効果である。例えば、従来例の多重量子障
壁の場合と同様に、薄膜多層構造6の10個のp−(A
l0.7Ga0.3)0.57In0.43Pバリア層20のうち4個
の層の厚さが3原子層の厚さだけ厚くなったする。しか
し、この場合でも図10に示すように、図9と比較して
わかるように、電子に対する障壁の高さに変化はない。
【0067】ここでは4個のバリア層の厚さが変動した
場合について説明したが、他のバリア層やウエル層の厚
さが変化したとしても、その変化量が3原子層に相当す
る厚さの範囲内であれば、障壁の高さに変わりはない。
この結果、活性層へ電子を反射させ、(Al0.2Ga0.
8)0.5In0.5P活性層4と薄膜多層構造6の間の障壁
を大きい状態に保つことができ、発振波長の短い半導体
レーザにおいても、しきい値電流の低減、温度安定性の
向上などの特性改善を行うことができる。
【0068】図7で、p−(Al0.7Ga0.3)0.5In
0.5Pクラッド層5の上部にはp−Ga0.5In0.5P層
7を有し、p−Ga0.5In0.5P層7およびp−(Al
0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5の一部は、台形
状のメサストライプに加工されている。台形の両脇はn
−GaAs電流ブロック層8を堆積してある。さらにp
−Ga0.5In0.5P層7とn−GaAs電流ブロック層
8の上部にはp−GaAsコンタクト層9を有してい
る。上記台形は、(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性
層4内に基本横モードが成立するような幅5μmにす
る。n−GaAsコンタクト層9にはCr/Pt/Au
などのp側電極11を、n−GaAs基板1にはAu/
Ge/Niなどのn側電極10を堆積してある。
【0069】以上述べたように、薄膜多層構造6を構成
するバリア層に引っ張り応力、ウエル層に圧縮応力が加
わっているような構成とし、伝導帯23のエネルギー差
ΔEcを大きくすることにより、電子に対する障壁の高
さを高くできる効果と、薄膜多層構造6を構成する各層
の厚さが変化しても薄膜多層構造6の電子に対する障壁
としての効果に変化はない。
【0070】さらに、以下で述べる効果もある。従来の
多重量子障壁では多数のヘテロ界面が存在するために、
正孔の活性層への注入の妨げとなる。ところが、薄膜多
層構造6を構成するバリア層に引っ張り応力が加わって
いることにより、(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性
層4への正孔の注入効率の低下を生じさせないという効
果が出てくる。その理由を以下に示す。
【0071】図11は、p−(Al0.7Ga0.3)0.57I
n0.43Pバリア層20の正孔に対する波数k空間での等
エネルギー面を示した図である。kx,kyは各層に水平
な方向であり、kzは各層に垂直な方向である。正孔は
kz方向から(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層4
へ注入される。有効質量が小さいほどエネルギーは大き
く、波数kが大きいほどエネルギーは大きくなる。図5
からkz方向は小さい波数kで、kxおよびky方向と同
じエネルギーが得られる。したがって、kz方向の有効
質量は小さくなる。有効質量が小さいために容易にp−
(Al0.7Ga0.3)0.57In0.43Pバリア層20を通過
でき、(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層4への正
孔の注入効率は低下しない。
【0072】さらに、従来の多重量子障壁で見られるよ
うなバンド構造のベンディングを抑制できる。正孔の活
性層への注入効率が低下すると、図12のバンド構造に
示すようなp−クラッド層のベンディングが生じる。そ
の結果、n−クラッド層から活性層に注入された電子が
比較的容易にp−クラッド層側にオーバーフローしやす
くなり、活性層での発光効率が低下する恐れが生じる。
しかしながら、本発明の薄膜多層構造では、正孔の活性
層への注入効率が低下しないことから、バンド構造にベ
ンディングが生じず、電子のオーバーフローが発生しな
い。
【0073】本実施例では、薄膜多層構造6を構成する
バリア層に引っ張り応力、ウエル層に圧縮応力が加わっ
ている場合について説明したが、少なくともバリア層に
引っ張り応力が加わっているような構成であれば、従来
の多重量子障壁よりも電子に対する障壁の高さを高くす
ることができ、また、軽い正孔を利用するために、活性
層への正孔の注入効率を高くできて、温度安定性に優れ
た、しきい値電流の低い半導体レーザを得ることができ
る。
【0074】また、薄膜多層構造6を構成するバリア層
に引っ張り応力、ウエル層に圧縮応力が加わっている場
合、バリア層に加わっている応力の量をε1、バリア層
の厚さの総和をd1とし、ウエル層に加わっている応力
の量をε2、バリア層の厚さの総和をd2とするとき、 ε1×d1=ε2×d2・・式3 を満足するような構成にすれば、歪みの蓄積による転位
等の発生を起こすことなく、良好な特性の半導体レーザ
を得ることができる。(式3)において、応力の量εは
半導体基板の格子定数をa、バリア層あるいはウエル層
の格子定数をa//とするとき、次式で表される。
【0075】ε=(a−a//)/a・・式4 本実施例では、薄膜多層構造6を(Al0.2Ga0.8)0.
5In0.5P活性層4とp−(Al0.7Ga0.3)0.5In
0.5Pクラッド層5の間に配置したが、p−(Al0.7G
a0.3)0.5In0.5Pクラッド層5全体を薄膜多層構造
6と同様にp−(Al0.7Ga0.3)0.57In0.43Pバリ
ア層20とp−(Al0.2Ga0.8)0.45In0.55Pウエ
ル層21から成る構造にしても、この発明の効果は大き
い。
【0076】実施例では、半導体レーザを構成する材料
を指定したが、クラッド層が(AlyGa1-y)0.5In
0.5P、活性層が(AlzGa1-z)0.5In0.5P(ここ
で、0≦z≦y≦1)の場合でも、しきい値電流の低
く、温度安定性の高い、良好な特性の半導体レーザを作
製することができる。
【0077】また、本実施例では材料にAlGaInP
を用いた半導体レーザについて説明したが、他の材料で
も本発明の効果が大きいことは言うまでもない。III-V
族の半導体レーザのみならず、II-VI族の材料から成る
半導体レーザでもこの発明の効果は大きい。例えば、図
13は、n−GaAs基板330と、n−GaAs基板
330上に形成されたn−ZnSeクラッド層331
と、クラッド層331上に形成されたCd0.3Zn0.7S
e活性層332と、活性層332上に形成された薄膜多
層構造333と、薄膜多層構造333上に形成されたp
−ZnSeクラッド層336と、クラッド層336上に
形成されたSiO2337とを備え、更に、両面にp側
電極338及びn側電極339を備えた半導体レーザを
示している。この半導体レーザにおいて、薄膜多層構造
333をZnSバリア335とCd0.3Zn0.7Seウエ
ル334とから形成しても良い。こうすることにより、
ZnSバリア335に引っ張り応力、Cd0.3Zn0.7S
eウエル334に圧縮応力が加わり、それによって、本
発明の効果を生じさせることができる。
【0078】(実施例4)図14は、本発明による更に
他の横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図を示
す。
【0079】この半導体レーザは、図14に示すよう
に、例えばn−GaAs基板1上にn−GaAsバッフ
ァ層2を介して(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層
4をn−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層3
およびp−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層
5で挟むダブルヘテロ構造を有している。p−(Al0.
7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5と(Al0.2Ga
0.8)0.5In0.5P活性層4との間には、薄膜多層構造
12を有している。薄膜多層構造12の詳細な構造を図
15(a)に、薄膜多層構造12を構成する各層の厚さ
を図15(b)に、バンド構造図を図15(c)に示
す。薄膜多層構造12は禁制帯幅の広いp−(Al0.7
Ga0.3)0.5In0.5Pバリア層40とp-−(Al0.2
Ga0.8)0.5In0.5Pウエル層41から成る。第1層
目のp−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリア層は2
26.4オングストロームと厚い。これは電子がトンネ
リングによって(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層
4から漏れ出すのを防ぐためである。
【0080】p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリ
ア層40のキャリア濃度は高く、7×1017cm-3であ
る。一方、p-−(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5Pウエ
ル層41のキャリア濃度は低く、1×1017cm-3程度
である。
【0081】p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリ
ア層40の禁制帯幅は2.237eV、p-−(Al0.2
Ga0.8)0.5In0.5Pウエル層41の禁制帯幅は1.
976eVである。
【0082】p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリ
ア層40のキャリア濃度は高く、p -−(Al0.2Ga0.
8)0.5In0.5Pウエル層41のキャリア濃度は低いた
めに、図9(c)に示すように、バリア層とウエル層の
伝導帯23のエネルギー差を大きくすることができる。
【0083】薄膜多層構造12を構成するバリア層とウ
エル層の伝導帯23のエネルギー差を大きくできると、
薄膜多層構造12による電子に対する障壁の高さを従来
の多重量子障壁よりも大きくすることができる。
【0084】また、薄膜多層構造12を構成するバリア
層とウエル層の伝導帯23のエネルギー差が大きいこと
は他の効果も生み出す。即ち、薄膜多層構造12を構成
する層の厚さが3原子層程度ずれたり、各層の面内に厚
さのバラツキがあったとしても、電子に対する反射率に
変化が無いという効果である。例えば、従来例の多重量
子障壁の場合と同様に、薄膜多層構造12の10個のp
−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pバリア層40のうち
4個の層の厚さが3原子層の厚さだけ厚くなったする。
しかし、この場合でも、従来の多重量子障壁とは異な
り、電子に対する障壁の高さに変化はない。
【0085】ここでは4個のバリア層の厚さが変動した
場合について説明したが、他のバリア層やウエル層の厚
さが変化したとしても、その変化量が3原子層に相当す
る厚さの範囲内であれば、障壁の高さに変わりはない。
この結果、活性層へ電子を反射させ、(Al0.2Ga0.
8)0.5In0.5P活性層4と薄膜多層構造12の間の障
壁を大きい状態に保つことができ、発振波長の短い半導
体レーザにおいても、しきい値電流の低減、温度安定性
の向上などの特性改善を行うことができる。
【0086】図14で、p−(Al0.7Ga0.3)0.5I
n0.5Pクラッド層5の上部にはp−Ga0.5In0.5P
層7を有し、p−Ga0.5In0.5P層7およびp−(A
l0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5の一部は、台
形状のメサストライプに加工されている。台形の両脇は
n−GaAs電流ブロック層8を堆積してある。さらに
p−Ga0.5In0.5P層7とn−GaAs電流ブロック
層8の上部にはp−GaAsコンタクト層9を有してい
る。上記台形は、(Al0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性
層4内に基本横モードが成立するような幅5μmにす
る。n−GaAsコンタクト層9にはCr/Pt/Au
などのp側電極11を、n−GaAs基板1にはAu/
Ge/Niなどのn側電極10を堆積してある。
【0087】本実施例では、薄膜多層構造12を(Al
0.2Ga0.8)0.5In0.5P活性層4とp−(Al0.7G
a0.3)0.5In0.5Pクラッド層5の間に配置したが、
p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層5全体
を薄膜多層構造12と同様にp−(Al0.7Ga0.3)0.
5In0.5Pバリア層40とp-−(Al0.2Ga0.8)0.5
In0.5Pウエル層41から成る構造にしても、この発
明の効果は大きい。
【0088】実施例では、半導体レーザを構成する材料
を指定したが、クラッド層が(AlyGa1-y)0.5In
0.5P、活性層が(AlzGa1-z)0.5In0.5P(ここ
で、0≦z≦y≦1)の場合でも、しきい値電流の低
く、温度安定性の高い、良好な特性の半導体レーザを作
製することができる。
【0089】また、本実施例では材料にAlGaInP
を用いた半導体レーザについて説明したが、他の材料で
も本発明の効果が大きいことは言うまでもない。III-V
族の半導体レーザのみならず、II-VI族の材料から成る
半導体レーザでもこの発明の効果は大きい。例えば、図
13に示すような構造で、薄膜多層構造をZnSバリア
とCd0.3Zn0.7Seウエルから成る構造とし、バリア
層のキャリア濃度を高くし、ウエル層のキャリア濃度を
低くすることにより、本発明のような効果を生じさせる
ことができる。
【0090】以上、述べた(実施例3)の構造と(実施
例4)の構造は個々に用いてもその効果は大きいが、
(実施例3)と(実施例4)を併せ持つような構造でも
効果は大きいことは言うまでもない。
【0091】
【発明の効果】本発明の半導体レーザによれば、 (1)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、上記薄膜多層構造を構成する第1の
半導体層が少なくとも3種類以上、あるいは第2の半導
体層が少なくとも2種類以上の厚さの層から成ることか
ら、例え薄膜多層構造を構成している半導体層の厚さが
2原子層以上ずれても、活性層へ電子を反射させ電子の
オーバー・フローを抑える障壁としての働きは変わら
ず、しきい値電流の低い、温度依存性の少ない半導体レ
ーザを得ることができる。
【0092】本発明の半導体レーザによれば、 (2)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、上記薄膜多層構造を構成する第1の
半導体層あるいは第2の半導体層の一部または全ての厚
さが、活性層から離れるに従って減少若しくは増加して
いるため、例え薄膜多層構造を構成している半導体層の
厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ電子を反射させ
電子のオーバー・フローを抑える障壁としての働きは変
わらず、特性の揃った、しきい値電流の低い半導体レー
ザを再現性良く得ることができる。
【0093】本発明の半導体レーザによれば、 (3)半導体レーザのクラッド層と活性層との間に禁制
帯幅の広い半導体層と禁制帯幅の狭い半導体層から成る
薄膜多層構造を有し、上記薄膜多層構造を構成する禁制
帯幅の広い半導体層あるいは禁制帯幅の狭い半導体層の
少なくとも一方が、少なくとも2種類以上の禁制帯幅の
層から成ることから、例え薄膜多層構造を構成している
半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ電子
を反射させ、活性層と薄膜多層構造の間の障壁を大きい
状態に保つことができ、しきい値電流の低く、また温度
安定性の高い半導体レーザを得ることができる。
【0094】本発明の半導体レーザによれば、 (4)半導体レーザのクラッド層と活性層との間に禁制
帯幅の広い半導体層と禁制帯幅の狭い半導体層から成る
薄膜多層構造を有し、上記薄膜多層構造を構成する禁制
帯幅の広い半導体層あるいは禁制帯幅の狭い半導体層の
一部または全ての禁制帯幅が、活性層から離れるに従っ
て減少若しくは増加しているため、例え薄膜多層構造を
構成している半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、
活性層へ電子を反射させ電子のオーバー・フローを抑え
る障壁としての働きは変わらず、特性の揃った、しきい
値電流の低い半導体レーザを再現性良く得ることができ
る。
【0095】本発明の半導体レーザによれば、 (5)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、該薄膜多層構造を構成する第1の半
導体層に、各層に水平な方向に引っ張り応力が加わって
いることから、第1の半導体層の禁制帯幅と第2の禁制
帯幅の差を大きくすることができ、例え薄膜多層構造を
構成している半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、
活性層へ電子を反射させ電子のオーバー・フローを抑え
る障壁としての働きは変わらず、また、従来の多重量子
障壁よりも高い障壁を得ることができ、さらに、従来の
多重量子障壁よりも活性層への正孔の注入効率を高くす
ることができ、その結果、特性の揃った、しきい値電流
の低い、温度安定性の高い半導体レーザを再現性良く得
ることができる。
【0096】本発明の半導体レーザによれば、 (6)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、該薄膜多層構造を構成する第1の半
導体層に、各層に水平な方向に引っ張り応力が加わり、
かつ第2の半導体層に、各層に水平方向に圧縮応力が加
わっているいることから、例え薄膜多層構造を構成して
いる半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ
電子を反射させ電子のオーバー・フローを抑える障壁と
しての働きは変わらず、また、従来の多重量子障壁より
も高い障壁を得ることができ、さらに、従来の多重量子
障壁よりも活性層への正孔の注入効率を高くすることが
でき、その結果、特性の揃った、しきい値電流の低い、
温度安定性の高い半導体レーザを再現性良く得ることが
できる。
【0097】本発明の半導体レーザによれば、 (7)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、該薄膜多層構造が構成する第1の半
導体層の有する応力の量をε1、第1の半導体層の厚さ
をd1とし、第2の半導体層の有する応力の量をε2、第
2の半導体層の厚さをd2とするとき、ε1×d1=ε2×
d2を満足することから、薄膜多層構造を構成している
半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ電子
を反射させ電子のオーバー・フローを抑える障壁として
の働きは変わらず、また、従来の多重量子障壁よりも高
い障壁を得ることができ、また、従来の多重量子障壁よ
りも活性層への正孔の注入効率を高くすることができ、
さらに、薄膜多層構造中に転位等の欠陥の発生を抑制で
き、その結果、しきい値電流が低く、高い温度安定性を
持つ、信頼性の高い半導体レーザを再現性良く得ること
ができる。
【0098】本発明の半導体レーザによれば、 (8)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、該薄膜多層構造を構成する第1の半
導体層のキャリア濃度が第2の半導体層のキャリア濃度
よりも高いことから、例え薄膜多層構造を構成している
半導体層の厚さが2原子層以上ずれても、活性層へ電子
を反射させ電子のオーバー・フローを抑える障壁として
の働きは変わらず、また、従来の多重量子障壁よりも高
い障壁を得ることができ、その結果、特性の揃った、し
きい値電流の低い、温度安定性の高い半導体レーザを再
現性良く得ることができる。
【0099】本発明の半導体レーザによれば、 (9)クラッド層と活性層との間に禁制帯幅の広い第1
の半導体層と禁制帯幅の狭い第2の半導体層から成る薄
膜多層構造を有し、該薄膜多層構造を構成する第2の半
導体層に不純物が添加されていないことから、例え薄膜
多層構造を構成している半導体層の厚さが2原子層以上
ずれても、活性層へ電子を反射させ電子のオーバー・フ
ローを抑える障壁としての働きは変わらず、また、従来
の多重量子障壁よりも高い障壁を得ることができ、その
結果、特性の揃った、しきい値電流の低い、温度安定性
の高い半導体レーザを再現性良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の薄膜多層構造を有する
横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図
【図2】本発明の同実施例の半導体レーザの薄膜多層構
造部の詳細な構造、厚さ、およびバンド構造を表す図
【図3】本発明の同実施例の薄膜多層構造を用いた半導
体レーザでの、薄膜多層構造による電子に対する反射率
と電子のエネルギーとの関係を示す図
【図4】従来例の多重量子障壁を用いた半導体レーザで
の、多重量子障壁による電子に対する反射率と電子のエ
ネルギーとの関係を示す図
【図5】本発明の第2の実施例の薄膜多層構造を有する
横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図
【図6】本発明の同実施例の半導体レーザの薄膜多層構
造部の詳細な構造、厚さ、およびバンド構造を表す図
【図7】本発明の第1の実施例の薄膜多層構造を有する
横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図
【図8】本発明の同実施例の半導体レーザの薄膜多層構
造の詳細な構造、厚さ、およびバンド構造を表す図
【図9】本発明の同実施例の薄膜多層構造を用いた半導
体レーザでの、薄膜多層構造による電子に対する反射率
と電子のエネルギーとの関係を示す図
【図10】本発明の同実施例の薄膜多層構造の効果を説
明するための図で、電子に対する反射率と電子のエネル
ギーとの関係を示す図
【図11】本発明の同実施例の薄膜多層構造の効果を説
明するための図で、波数k空間での正孔の等エネルギー
面のxyz方向依存性を示す図
【図12】本発明の同実施例の薄膜多層構造の効果を説
明するための図で、従来の多重量子障壁のバンド構造に
見られるベンディングを示すための図
【図13】本発明をII-VI族化合物の半導体レーザに用
いた時の一例で、青色半導体レーザの断面図
【図14】本発明の第2の実施例の薄膜多層構造を有す
る横モード制御型の赤色半導体レーザの断面図
【図15】本発明の同実施例の半導体レーザの薄膜多層
構造部の詳細な構造、厚さ、およびバンド構造を表す図
【図16】従来例の半導体レーザの構造断面図
【図17】従来例の多重量子障壁を用いた横モード制御
型の赤色半導体レーザの断面図
【図18】従来例の図7の半導体レーザの多重量子障壁
の詳細な構造、厚さ、およびバンド構造を表す図
【図19】従来例の多重量子障壁を用いた半導体レーザ
での、多重量子障壁による電子に対する反射率と電子の
エネルギーとの関係を示す図
【図20】従来例の課題を説明するための図で、電子に
対する反射率と電子のエネルギーとの関係を示す図
【符号の説明】
1 n−GaAs基板 2 n−GaAsバッファ層 3 n−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層 4 (Al0.15Ga0.85)0.51In0.49P活性層 5 p−(Al0.6Ga0.4)0.51In0.49Pクラッド層 6 薄膜多層構造 7 p−Ga0.51In0.49P層 8 n−GaAs電流ブロック層 9 p−GaAsキャップ層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層、該活性層を挟む一対のクラッド
    層、及び、該一対のクラッド層の一方と該活性層との間
    に設けられた薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであ
    って、 該薄膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅
    よりも狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層さ
    れた構造を含み、それによって、該活性層からオーバフ
    ローしたキャリアを該活性層に反射する機能を有してお
    り、 該薄膜多層構造において、該バリア層及び該ウェル層の
    少なくとも一方の層の厚さが、該活性層からの距離に依
    存して変化している、半導体レーザ。
  2. 【請求項2】薄膜多層構造の少なくとも一部分におい
    て、前記バリア層及び前記ウェル層の少なくとも一方の
    層の厚さが、前記活性層からの距離に依存して単調に減
    少している、請求項1に記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】薄膜多層構造の少なくとも一部分におい
    て、前記バリア層及び前記ウェル層の少なくとも一方の
    層の厚さが、前記活性層からの距離に依存して単調に増
    加している、請求項1に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】活性層、該活性層を挟む一対のクラッド
    層、及び、該一対のクラッド層の一方と該活性層との間
    に設けられた薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであ
    って、 該薄膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅
    よりも狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層さ
    れた構造を含み、それによって、該活性層からオーバフ
    ローしたキャリアを該活性層に反射する機能を有してお
    り、 該薄膜多層構造において、該バリア層及び該ウェル層の
    少なくとも一方の層の禁制帯幅が、該活性層からの距離
    に依存して変化している、半導体レーザ。
  5. 【請求項5】薄膜多層構造の少なくとも一部分におい
    て、前記バリア層及び前記ウェル層の少なくとも一方の
    層の厚さが、前記活性層からの距離に依存して単調に減
    少している、請求項4に記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】薄膜多層構造の少なくとも一部分におい
    て、前記バリア層及び前記ウェル層の少なくとも一方の
    層の厚さが、前記活性層からの距離に依存して単調に増
    加している、請求項4に記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】活性層、該活性層を挟む一対のクラッド
    層、及び、該一対のクラッド層の一方と該活性層との間
    に設けられた薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであ
    って、 該薄膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅
    よりも狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層さ
    れた構造を含み、該バリア層と該ウェル層の伝導帯のエ
    ネルギーの差が100meV以上であり、それによって、
    該活性層からオーバフローしたキャリアを該活性層に反
    射する機能を有しており、 該バリア層に水平な方向の引っ張り応力が該バリア層に
    加わっている半導体レーザ。
  8. 【請求項8】活性層、該活性層を挟む一対のクラッド
    層、及び、該一対のクラッド層の一方と該活性層との間
    に設けられた薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであ
    って、 該薄膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅
    よりも狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層さ
    れた構造を含み、該バリア層と該ウェル層の伝導帯のエ
    ネルギーの差が100meV以上であり、それによって、
    該活性層からオーバフローしたキャリアを該活性層に反
    射する機能を有しており、 該ウェル層に水平な方向の圧縮応力が該ウェル層に加わ
    っている半導体レーザ。
  9. 【請求項9】ウェル層に水平な方向の圧縮応力が該ウェ
    ル層に加わっている、請求項7に記載の半導体レーザ。
  10. 【請求項10】バリア層に加わっている応力の絶対値ε
    1、該バリア層の厚さd1、前記ウエル層に加わっている
    応力の絶対値ε2、及び該ウェル層の厚さd2が以下の関
    係、 ε1×d1=ε2×d2 を満足する、請求項9に記載の半導体レーザ。
  11. 【請求項11】活性層、該活性層を挟む一対のクラッド
    層、及び、該一対のクラッド層の一方と該活性層との間
    に設けられた薄膜多層構造、を備えた半導体レーザであ
    って、 該薄膜多層構造は、バリア層と、該バリア層の禁制帯幅
    よりも狭い禁制帯幅を有するウェル層とが交互に積層さ
    れた構造を含み、それによって、該活性層からオーバフ
    ローしたキャリアを該活性層に反射する機能を有してお
    り、 該バリア層のキャリア濃度が該ウェル層のキャリア濃度
    よりも高い、半導体レーザ。
  12. 【請求項12】ウェル層に不純物が実質的にドープされ
    ていない、請求項10に記載の半導体レーザ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008034850A (ja) * 2006-07-27 2008-02-14 Osram Opto Semiconductors Gmbh 超格子を有する半導体層構造
US8471240B2 (en) 2006-07-27 2013-06-25 Osram Opto Semiconductors Gmbh Semiconductor layer structure with superlattice

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008034850A (ja) * 2006-07-27 2008-02-14 Osram Opto Semiconductors Gmbh 超格子を有する半導体層構造
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