JPH078764Y2 - ダンパー付フラップ扉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、開成した扉をキャビネ
ット等の扉取付体における天板状に収置できるようにし
たダンパー付フラップ扉に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、フラップ扉においては、当該扉を
扉取付体の内部にあって、その天板の下位裏側に格納す
るようにしたものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上述の扉にあ
っては、扉取付体に対して、扉を上下方向へ回転により
開閉するための枢着部と、扉を押し込んだり引出すこと
で、夫々当該扉を格納および取出すためのスライドレー
ルを含むスライド機構が不可欠となり、従って、扉取付
体に対する扉の付設組立て作業も非常に面倒となり、時
間もかかり、生産性が悪いものとなっている。

【０００４】また、扉およびその取付体に対して、上記
枢着部およびスライド機構が内付けとなるため、扉取付
後の扉の位置調整操作も行い難かったり、さらに、扉が
内部格納であることから、扉取付体内部の収納スペース
が狭くなってしまう難点もある。

【０００５】本考案は、上記従来技術の有するこのよう
な問題点に鑑みなされたもので、扉取付体の開口部から
取外すことなしに開成した扉を、そのまま扉取付体の天
板上に収置できるようにして、扉取付体に対する扉の組
立てを容易にすると共に、扉などが被収納物の出し入れ
に妨げとならないようにして、扉取付体内部の収納スペ
ースを広くし、一方、閉扉時には、扉を前方へ引出すこ
とで、ダンパーにより扉荷重トルクに対する緩衝作用、
即ち制動力を発揮されるようにして、衝撃なく、ゆるや
かな閉扉作動が保証されるようにするのが、その目的で
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記目的を達
成するため、キャビネット等による扉取付体の天板前縁
にあって、凹欠部を設け、これに嵌着されたブラケット
内にはダンパーを収納して、その外筒が回転可能なるよ
う被嵌された内筒を固設し、一方扉裏面には、ボールリ
テーナーを介して長尺のアウターレールに短尺のインナ
ーレールをスライド自在なるよう係嵌したスライドレー
ルにあって、そのアウターレールを上下方向に長く並設
し、当該扉が回転とスライドによって、夫々上下方向に
開閉可能にして、かつ前記扉取付体の天板上面に収置可
能なるように前記のインナーレールをダンパーの外筒に
固定すると共に、前記アウターレール裏面の上端には、
前記天板上を転動するローラーを軸支してなるダンパー
付きフラップ扉を提供しようとするものである。

【０００７】

【作用】吊下状態にて閉成されている扉の下端をもち、
これを手前に引き上げると、その引き上げ力がスライド
レールを介してダンパーの外筒に、開扉方向への回転力
として加えられるので、ダンパーの内筒に対して外筒は
回転されるが、この時、ダンパーによる抵抗力は生じな
いようになっており、従って、当該扉は軽く回転され、
水平状態に開成される。

【０００８】次いで、扉を押し込むと、上記ダンパーの
外筒に固定のインナーレールに対して、外筒がスライド
することで、当該扉はキャビネット等、扉取付体の天板
上面に沿って押し込まれて行き、天板上に載置された状
態にて収納される。この際、アウターレール裏面の後端
に軸支のローラーが、天板上を転動することとなるの
で、当該扉のスライド操作は軽く行うことができる。

【０００９】また、扉は、上記のように閉扉状態から回
転により水平状態に開成した後、扉取付体の天板上面に
沿って押し込むようにしても、また閉扉状態にある扉を
手前に引き上げながら、後方へ押し込んで開成し、かつ
収納するようにするなど、任意の操作を行うことができ
る。

【００１０】上記の収納状態から、扉の前端をもって手
前に引き出した後、手を離すようにすれば、扉荷重トル
クにより当該扉は回転下降することとなるが、この際、
ダンパーの内筒に対して外筒が、上述の開成時と反対方
向に回転されるようになり、これにより、ダンパーは扉
荷重トルクに対する制動力を発揮し、当該扉はゆるやか
に回転して閉成状態となる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案を図示の実施例について説示す
るが、ここで、図１は、扉取付体における天板上に扉を
収納した開扉状態の縦断側面図、図２が同上閉扉状態の
縦断側面図で、図３は、本案品の分解斜図を示してい
る。

【００１２】同上図に示した通り、キャビネット等の扉
取付体１は、天板２、底板３、左右の側板４、４、背板
５とにより、前面を開口部６とした箱状に形成されてい
る。扉取付体１の天板２にあって、図３に示すその前縁
２ａにおける左右両側部には、平面略コ字形状の凹欠部
７、７が切欠されており、該各凹欠部７、７には、同上
図に明示の如く前面を開口部８ａとした正面略倒立ハッ
ト状のブラケット８が落し込みの状態にて、ビス９‥‥
‥により固定されている。

【００１３】上記ブラケット８、８内には、その左右の
側板８ｂ、８ｂに対設した軸承部１０、１０にダンパー
１１の内筒１１ａから対称に突設してある可動軸１１
ｃ、１１ｃが固定されることにより、内筒１１ａに対し
て外筒１１ｂが回転自在なるよう固設されている。上記
外筒１１ｂの外周面には、後述するスライドレールのイ
ンナーレールに固定するための取付板１１ｄが、外筒１
１ｂの接線方向へ突設され、かつ、当該外周面には、後
述する扉の平成時において、後述するローラーが入り込
むことのできる凹部ｅが設けられている。

【００１４】上記ダンパー１１には、既知の如く例え
ば、ポリイソブチレン等の高分子粘性流体等の粘性流体
とスプリングとを用いて各々粘性剪断抵抗とスプリング
力とを利用し得るようにし、当該粘性剪断抵抗によって
得られる抵抗力により、内筒１１ａに対して外筒１１ｂ
が扉の閉成方向へ回転するときには、制動力を発揮させ
ると共に、外筒１１ｂの扉開成方向へ回転するときに
は、上記のスプリングによる作用により、外筒１１ｂが
軽く回転されるといったもの等が使用される。

【００１５】一方、扉１２は、上記扉取付体１の開口部
６に外付け可能な大きさに形成されている。上記扉１２
の裏面にあって、上記両ダンパー１１、１１と対応する
左右両側部には、前掲スライドレール１３のアウターレ
ール１４が上下方向に長く並設されている。

【００１６】スライドレール１３は、図４に明示の如
く、アウターレール１４と、多数のボール１７‥‥‥を
回転自在にして、かつ二列に保持するボールリテーナー
１５を介してインナーレール１６とが互いに長さ方向へ
スライド自在なるよう係嵌されたもので、図３に明示さ
れている通り、そのアウターレール１４は、上記扉１２
の高さと略同等に長く形成され、一方、インナーレール
１６は、扉１２のスライドストロークが大きく得られる
よう短く形成してある。

【００１７】上記スライドレール１３のインナーレール
１６と前記したダンパー１１の外筒１１ｂに突設した取
付板１１ｄとを、図示しないビスにて固定することで、
図１および図２に示した如く、扉１２は扉取付体１の開
口部６を、上下方向へ回転することにより開閉可能なる
よう組立てられている。

【００１８】また、上記スライドレール１３におけるア
ウターレール１４の裏面にあって、その上端にはローラ
ー１８が、上記扉取付体１の天板２上面を転動可能なる
よう、その周面が上記インナーレール１６より裏側へ突
出するよう回転自在に軸支されている。上記ローラー１
８は、図３に示す通りローラー保持体１９に支軸２０に
て回転自在なるよう軸支され、該ローラー保持体１９を
アウターレール１４にビス２１‥‥‥にて固定するよう
にしている。

【００１９】さらに、アウターレール１４の上端には、
カバー部１４ａが裏側に向けて略直角に曲成して設けら
れ、図２に示す閉扉状態にあっても、扉１２の裏側が直
視されないようにしてある。

【００２０】ここで、ダンパー１１は、前記の通り図１
の開成状態にある扉１２が、矢印ａ方向へ回転下降して
閉成される一方向回転時にのみ制動力が発揮され、これ
と反対方向回転時、すなわち扉開成時にはスプリング力
により扉を軽く回転させ得るように設定されている。も
ちろん、スプリングを用いずに閉成時の制動力を発揮さ
せるだけにしてもよい。

【００２１】なお、前記ローラー１８は、扉１２を開成
した後、これを後方へ押し込むことより扉取付体１の天
板２上に収置させる場合と、天板２上に収置した扉１２
を、回転により下降して閉成される位置まで図１の矢印
ｂが示す前方へ引き出す場合とにあって、上記天板２上
を転動することにより、当該扉１２の操作が軽く、かつ
円滑に行われるようにするためのものである。また、扉
１２を前方へ引き出した図１の二点鎖線で示した位置に
おいては、当該ローラー１８がダンパー１１における外
筒１１ｂの凹部１１ｅに係合して、当該扉１２の前方へ
の抜け出しを防止している。

【００２２】

【考案の効果】本考案は、以上説明したように構成され
ているので、扉取付体に、扉を回転により開閉自在に枢
設したダンパーによって、扉の開成を行い得ると共に、
平成時にあって、扉荷重トルクに対する緩衝作用を果す
制動力が発揮されるので、衝撃のない、ゆるやかな閉扉
を保証することができる。

【００２３】また、扉は、開成後、押し込み操作により
扉取付体の天板上に収置自在としたので、扉取付体内が
扉格納のためのスペースとして使用されてしまうことが
ないから、当該扉取付体内を、すべて被収納物のための
スペースとして用いることができさらにブラケット内に
ダンパーを固定しておき、この状態にてブラケットを、
扉取付体の天板前縁に設けた凹欠部に上方から落し込ん
で固定した後、予めダンパーの外筒と固設しておいたイ
ンナーレールと、扉裏面に固設しておいたアウターレー
ルとを係嵌することにより、扉を扉取付体に取付得るの
で、各々構成部材は全て、扉取付体の外側部において作
業性良く組立て得ることとなり、当該フラップ扉の生産
性向上と、価格の低減化に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るダンパー付フラップ扉の一実施例
による開成した扉の收置状態を示す縦断側面図である。

【図２】図１の実施例につき扉閉成状態を示した縦断側
面図である。

【図３】同上実施例の分解斜視図である。

【図４】同上実施例に用いたスライドレールの拡大横断
面図である。

【符号の説明】

１ 扉取付体 ２ 天板 ２ａ 前縁 ７ 凹欠部 ８ ブラケット １１ ダンパー １１ａ 内筒 １１ｂ 外筒 １２ 扉 １３ スライドレール １４ アウターレール １５ ボールリテーナー １６ インナーレール １８ ローラー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャビネット等による扉取付体の天板前
   縁にあって、凹欠部を設け、これに嵌着されたブラケッ
   ト内にはダンパーを収納して、その外筒が回転可能なる
   よう被嵌された内筒を固設し、一方扉裏面には、ボール
   リテーナーを介して長尺のアウターレールに短尺のイン
   ナーレールをスライド自在なるよう係嵌したスライドレ
   ールにあって、そのアウターレールを上下方向に長く並
   設し、当該扉が回転とスライドによって、夫々上下方向
   に開閉可能にして、かつ前記扉取付体の天板上面に収置
   可能なるように前記のインナーレールをダンパーの外筒
   に固定すると共に、前記アウターレール裏面の上端に
   は、前記天板上を転動するローラーを軸支してなるダン
   パー付きフラップ扉。