JPH0777703B2 - 研削切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は研削切断装置に関し、さらに詳しくは薄形のス
トレート砥石を高速回転させて切断する研削切断装置に
関する。

（従来の技術） 一般に研削切断加工では、研削点の温度上昇の防止、及
び生成した切り屑の排除を目的として、研削点に多量の
研削加工液を供給する。研削加工液の研削点への供給量
が不十分で、研削点付近の研削温度が上昇すると、研削
焼けやむしれ、クラック等の不良が発生しやすくなる。
一般に、薄形の切断砥石を高速回転させる研削切断加工
では、高速で回転する切断砥石の周辺に切断砥石の回転
に伴う空気の層が形成され、空気層が研削加工液を遮断
するため、研削加工液を十分に供給することが困難とな
る。

そこで、このような薄形の切断砥石を高速回転させる研
削切断加工法として、実開昭63−201042号公報に見られ
るように、研削盤のテーブル上に水槽を設けて研削加工
液中で切断を行い、研削点近傍を研削加工液で満たし、
切断砥石及び加工物を冷却する方法が知られている。

（発明が解決しようとする課題） ところが、本発明者が上述の従来の切断装置を用いて、
パイレックスガラス及ニオブ酸リチウムの高速切断実験
を行ったところ、切断砥石の周速が5000m/min以上の高
速研削切断では、第４図に示すように高速で回転する切
断砥石15に伴う空気の層18によって研削加工液17が遮断
され、空気が切断砥石15の回転に伴い切断砥石15と加工
物16のすき間20から研削点に大量に進入し、研削加工液
の供給不足が生じ、研削点の冷却が不十分となることが
実験的に確認された。このため、砥石周速が5000m/min
以上の高速切断では研削点の研削温度が上昇して、研削
焼けやむしれ、クラックが発生するなどの課題があっ
た。

本発明は、このような従来の課題を解決して、少なくと
も砥石周速が5000m/min以上の高速で回転する薄形の切
断砥石により研削切断加工や溝入れ加工を行える、高能
率な研削切断装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明の研削切断装置はストレート切断砥石を用いた研
削切断装置において、前記切断砥石が加工物に進入する
直前の位置に前記切断砥石の側面部と外周部を取り囲む
カバーを配置し、前記カバーには研削加工液を前記切断
砥石の側面部と外周部に噴出するための複数個の研削加
工液供給孔が前記カバーの外周部から内周部に貫通させ
て設けられ、研削加工液強制供給装置を用いて前記研削
加工液を前記研磨加工液供給孔から供給し、前記カバー
は前記切断砥石の回転時に前記切断砥石とカバーおよび
カバーと加工物の隙間が前記研削加工液で満されるよう
に前記切断砥石及び加工部に近接させて配置されている
ことを特徴とする。

（作用） 本発明の作用について、第３図（ａ），（ｂ）に示す本
発明の研削切断装置の加工部の正面図及側面図を参照し
て説明する。

本発明の研削切断装置は、切断砥石15が加工物16に進入
する直前の位置に、切断砥石15の側面部と外周部を採り
囲むカバー11が切断砥石15と加工物16に近接して設けら
れており、このカバー11と切断砥石15のすき間には研削
加工液の層19が形成されている。

加工液供給孔12から噴出した研削加工液17は、廻りをカ
バー11に囲まれ、さらにこのカバー11と加工物16の表面
の隙間が僅かであるため、カバー11と切断砥石15の隙間
に充満し、前述のように研削加工液の層19を形成する。
切断砥石15の回転に伴う空気の層18は、同図に示すよう
に切断砥石15がカバー11を通過する際、このカバー11と
砥石15の隙間に充満した研削加工液の層19に衝突する。
しかし第４図に示した従来の研削切断装置と違って、研
削加工液の層19は廻りをカバーに拘束されているため、
飛散することがない。従って空気の層18は切断砥石15が
カバー11を通過する際、このカバー11の上面及びカバー
11と砥石15の隙間に充満した研削加工液の層19によって
遮断される。研削加工液の層19は、切断砥石15が加工物
16の上面から研削点に進入するに伴って、切断砥石15と
加工物16の隙間20から研削点に向けて供給され、研削温
度の上昇を抑制することができる。

本発明者の実験では、本発明の研削切断装置によって、
従来の研削切断装置では研削温度上昇による研削焼けが
発生していた砥石周速が5000m/min以上の高速切断条件
下でも、研削焼けは認められず、むしれやクラックは減
少した。

（実施例） 以下、本発明の一実施例について、図面を参照して詳細
に説明する。

第１図は本発明の一実施例に用いた研削切断装置の加工
部の斜視図を、第２図は本発明の一実施例に用いた、切
断砥石の側面部と外周部をコの字形に取り囲んだカバー
の斜視図を示す。

第１図において、カバー11をカバー固定用治具13を介し
て砥石回転主軸部14に固定し、切断砥石15をコの字形に
包み込む形で、かつ切断する加工物16の表面との隙間が
僅かになるように取り付けた。さらに研削加工液17は、
研削加工液強制供給装置21によって研削加工液供給孔12
を通してカバー11の外側から内側に強制的に噴出され
る。

以上のことにより、カバー11と切断砥石15の隙間には、
研削加工液の層19が形成され、研削加工液の層19とコの
字形カバー11によって、前述のように切断砥石15の回転
に伴う空気の層19を遮断することができる。

なお、この実施例で用いた切断砥石15は、外径60mm、厚
さ0.5mmのレジンボンド砥石とし、4mm厚のパイレックス
ガラス及びニオブ酸リチウムの切断を行った。研削加工
液の供給量については、毎分２リットル以上とし、切断
砥石15の側面部とカバー11の隙間、すなわち研削加工液
の層19の厚さを0.25mmとして、切断砥石15の回転に伴う
空気の層19を遮断することができた。第２図に示したコ
の字形カバーの寸法は、ｗを1.0mm、ｈを4mm程とした。
ここで、本実施例において切断砥石15の側面部と外周部
をコの字形に取り囲んだカバー11は、切断砥石15の側面
部と外周部をＵ字形に取り囲む形状にしても同様な効果
がある。

本実施例の研削切断装置を用いた切断加工では、砥石周
速を7000m/minまで上げても研削焼けは発生せず、むし
れやクラックも従来の切断装置に比べて減少し、高能率
な切断加工を行うことができた。

（発明の効果） 以上述べたように、本発明の研削切断装置では、砥石周
速が5000m/min以上の高速で回転する砥石を用いても、
研削焼けが発生せず、むしれやクラックも従来の切断装
置に比べて減少し、高能率な研削切断を行うことができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の研削切断装置の加工部を示す斜視図で
あり、第２図は本発明の一実施例で用いたコの字形のカ
バーの斜視図である。第３図（ａ），（ｂ）は本発明の
作用を説明する研削切断装置の加工部の一部を示す正面
図及び側面図であり、第４図は従来の研削切断装置の加
工部の一部を示す正面図である。 図において、 11……カバー、12……研削加工液供給孔、13……カバー
固定治具、14……砥石回転主軸部、15……切断砥石、16
……加工物、17……研削加工液、18……切断砥石の回転
に伴う空気の層、19……研削加工液の層、20……切断砥
石と加工物の隙間、21……研削加工液強制供給装置、を
それぞれ示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ストレート切断砥石を用いた研削切断装置
   において、前記切断砥石が加工物に進入する直前の位置
   に前記切断砥石の側面部と外周部を取り囲むカバーを配
   置し、前記カバーには研削加工液を前記切断砥石の側面
   部と外周部に噴出するための複数個の研削加工液供給孔
   が前記カバーの外周部から内周部に貫通させて設けら
   れ、研削加工液強制供給装置を用いて前記研削加工液を
   前記研削加工液供給孔から供給し、前記カバーは前記切
   断砥石の回転時に前記切断砥石とカバーおよびカバーと
   加工物の隙間が前記研削加工液で満されるように前記切
   断砥石及び加工部に近接させて配置されていることを特
   徴とする研削切断装置。