JPH077548Y2 - エンジンの吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は，自動車用として有用となるエンジンの吸気装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来，自動車エンジンとしては，低回転時，つまり，ス
ロットル弁が全閉付近から急加速するためにスロットル
弁を開いたときのエンジンのシリンダ内に供給される吸
気の充填効率を高め過渡応答性を良好にするものとして
機械過給機付エンジンが知られている。

しかし，この種，機械過給機を装備したエンジンは，低
回転時からスロットル弁を開らいた直後における過給作
用は十分に得られないものであった。つまり，機械過給
機は，エンジンにより駆動される機構上，その回転数は
エンジン回転数に伴なって増減されるため，エンジン回
転数に比例した過給効果しか得られないものでありその
能力には限界があった。

〔考案が解決しようとする課題〕

そこで，本考案は上記従来技術の問題点を解決するため
になされたもので，エンジンが低回転時から急加速する
ときの初期応答性を高めることができるエンジンの吸気
装置を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために，本考案におけるエンジンの
吸気装置は，ピストンの降下に伴なって生じるシリンダ
内の負圧を利用して混合気を該シリンダ内に供給する吸
気路，該吸気路内に設けられ吸気の流量を制御するスロ
ットル弁，上記吸気路に設けられた吸気流量に応じた燃
料を上記吸気路内に供給する燃料供給手段，上記吸気路
のスロットル弁下流又は燃焼室に開口する噴出口，該噴
出口に一端を接続した連通路，該連通路に設けられ通略
を開閉せしめる通常閉の電磁弁，上記連通路の他端に接
続される蓄圧室と該蓄圧室に接続され上記電磁弁が閉で
かつ該蓄圧室が負圧のとき大気から該蓄圧室への空気の
流れを許容する一方向弁と上記蓄圧室に対し可動体によ
り隔てられると共に上記吸気路の上記スロットル弁下流
に接続されて上記スロットル弁が閉じられたとき上記蓄
圧室を拡大する方向へ上記可動体を移動させる圧力室と
該圧力室に設けられ上記スロットル弁が開らかれたとき
上記可動体を介して上記蓄圧室に蓄えられた空気を上記
噴出口方向へ付勢するスプリングとでなるアキュムレー
タ，上記スロットル弁の開度を検知し該スロットル弁が
全閉付近から所定開度以上開らかれたとき上記電磁弁へ
所定時間作動信号を導出すると共に該作動信号が導出さ
れている間供給燃料を増量させる増量信号を上記燃料供
給手段へ導出する制御手段を具備したことを特徴とする
ものである。

〔作用〕

上記構成でなるエンジンの吸気装置によれば，エンジン
が中，高速運転から減速運転に切換えられたとき，つま
り，スロットル弁が開状態から閉状態に操作されたとき
は，スロットル弁下流の吸気路は負圧となり，アキュム
レータの圧力室内の吸気を上記吸気路内に吸引する。す
ると，圧力室内は負圧となり，この負圧力により可動体
をスプリング力に抗して蓄圧室の容積を拡大する方向に
移動する。この可動体の移動に伴ない蓄圧室は，大気か
ら一方向弁を介して空気を吸入して蓄える。

その後，スロットル弁が所定開度以上開らかれると，ス
ロットル弁下流の吸気路は負圧から大気圧に上昇するた
め，可動体は上記負圧力から解放されスプリング力によ
り蓄圧室内の空気を連通路を介して噴出口の方向へ付勢
する。これと同時に，制御手段は，スロットル弁が全閉
付近から所定開度以上開かれたことを検知して電磁弁へ
所定時間作動信号を導出して電磁弁を作動させ蓄圧室か
ら付勢された空気を噴出口から噴出させると共に上記作
動信号が導出されている間，燃料供給手段へ増量信号を
導出して供給燃料を増量させることにより，低回転時か
らの急加速時における初期の応答性を高める作用を有す
る。

〔実施例〕

本考案の第１実施例を第１図に基づいて説明する。

１はエンジンを示し，該エンジン１のシリンダヘッド1a
には，燃焼室11に吸気弁12を介して連通される吸気ポー
ト13及び，排気弁14を介して燃焼室11に連通される排気
ポート15が設けられている。

６は空気噴射ノズル６であり，該空気噴射ノズル６はシ
リンダヘッド1aに固着されており，その噴出口6aは燃焼
室11内に開らかれている。７はアキュムレータであり，
該アキュムレータ７は，両端が閉塞された筒形状でなる
本体71,該本体71内に摺動自在に設けられ該本体71内を
蓄圧室72と圧力室73に分割する可動体74,及び該可動体7
4を蓄圧室72の容積が縮小する方向に付勢するスプリン
グ75で構成されている。上記圧力室73は，第１の連通路
8aによりスロットル弁４下流の吸気路２に接続されてい
る。又，蓄圧室72は，第２の連通路8bにより空気噴射ノ
ズル６に接続されている。該第２の連通路8bの途中に
は，通常閉の電磁弁9aが設けられその通路の断続を行な
う構成になっている。さらに，電磁弁9aと蓄圧室72間に
おける第２の連通路8bには，流入口が大気に開口された
一方向弁9bが設けられており，該一方向弁9bは蓄圧室72
内の圧力が大気より低い状態のときだけ大気から空気を
蓄圧室72内に供給する一方向の流通を許容する構成でな
るものである。

10は制御手段であり電気回路により構成されるものであ
る。該制御手段10は，エンジン１の各シリンダごとにお
ける作動サイクルに対応したエンジン信号，及びスロッ
トル弁４の開度量を示すスロットル弁開度信号がそれぞ
れ入力端子10a,10bに入力される構成でなる。又，出力
端子10c,10dはそれぞれインジェクタ3,電磁弁9aに接続
される構成でなっている。

該制御手段10は，スロットル弁開度信号及びエンジン信
号を受け，スロットル弁４が全閉付近から所定開度以上
開かれたときに，エンジン１の吸気サイクル時に電磁弁
9aが開くようにタイミング設定された作動信号を所定時
間だけ出力端子10dから導出すると共に，この作動信号
が導出されている間インジェクタ３の噴射時間を増加さ
せて供給燃料を増量させる増量信号を出力端子10cから
導出するように電気回路により構成されている。

次に，上記実施例の作動を以下説明する。

エンジン１が中・高速回転で駆動されている場合，スロ
ットル弁４はある開度で保持されているので，スロット
ル弁４下流の吸気路２はほぼ大気圧となっている。その
ため，アキュムレータ７の圧力室73内も大気圧となり，
可動体74はスプリング75により第１図における下方へ付
勢され蓄圧室72方向へ移動する。次に，スロットル弁４
を閉じて中，高速回転から減速した場合，スロットル弁
４下流の吸気路２は負圧状態となる。そのため，アクチ
ュエータ７の圧力室73内の空気は，第１の連通路8aを介
して吸気路２内に吸引され，圧力室73は負圧状態とな
る。すると，圧力室73内に生じた負圧力により，可動体
74はスプリング75の付勢力に抗して蓄圧室72を拡大させ
る方向，つまり第１図における上方向に移動される。可
動体74の移動に伴なって，蓄圧室72内は大気圧より低圧
となるため，一方向弁9bから大気を吸入し蓄圧室72内に
蓄える。このとき，電磁弁9aは閉状態であることは言う
までもない。

この状態からエンジン１の回転を急上昇させるため，ス
ロットル弁４を閉状態から所定以上開くと，スロットル
弁４下流の吸気路２は，負圧から大気圧に上昇するた
め，圧力室73には第１の連通路8aを介して大気が供給さ
れるので，可動体74は前述した負圧力から解放されスプ
リング75により蓄圧室72内に蓄えられた空気を第２の連
通路8bを介して空気噴射ノズル６の方向へ付勢する。こ
れと同時に，制御手段10は，スロットル弁開度信号によ
りスロットル弁４が全閉付近から所定開度以上開かれた
ことを検知して，エンジン信号に応じてエンジン１の吸
気サイクル時に電磁弁9aが開くようにタイミング設定さ
れた作動信号を所定時間だけ電磁弁9aへ導出する。さら
にこの作動信号が導出されている間，インジェクタ３へ
増量信号を導出してインジェクタ３の噴射時間を増加さ
せて供給燃料の増量を行なう。すなわち，スロットル弁
４が全閉付近から開作動され急加速する際スロットル弁
４が開作動直後の所定時間，アキュムレータ７から空気
を強制的に燃焼室11内に供給すると共に，燃料も増量さ
れるため，エンジン１はその回転数が低回転域にもかか
わらず高い充填効率を得てトルク増を図ることができエ
ンジン回転数を急速に上昇させることができる。

以上詳述したように，本実施例では，スロットル弁４下
流の吸気路２の圧力変動を利用してアキュムレータ７を
作動させて空気を蓄圧室72内に蓄えて，その蓄えた空気
をエンジン１が低回転時から急加速する際に燃焼室11内
に直接供給するため，機械過給機のようにエンジン回転
数に左右されることなく急加速するときの初期応答性を
高めることができる特段の作用効果を有している。

次に，本考案の第２実施例を第２図に基づき説明する。

なお，第２図中，前述した第１実施例を示した第１図と
同一構成部分には同一符号を付しその説明は省略する。

本実施例における空気噴射ノズル６は，前述の第１実施
例と異なり，スロットル弁４下流の吸気路２における吸
気ポート13近傍に設置される構成となる。

本実施例においても，前述の第１実施例と同様の作用効
果を有する。なお，本実施例では，空気噴射ノズル６を
吸気路２に設置する構成とし，制御手段10により電磁弁
9aをエンジン１の吸気サイクル時にタイミング設定され
た作動信号により開閉させる構成としているが，電磁弁
9aの開閉タイミングを設定せずに，制御手段10をスロッ
トル弁開度信号のみを受ける構成とすると共に，スロッ
トル弁４が全閉付近から所定開度以上開かれたときに電
磁弁9aへ所定時間弁を開放状態とする作動信号を導出す
る構成としても同様の作用効果を得ることができる。

〔考案の効果〕

本考案は，スロットル弁が全閉付近から開作動されて急
加速する際に，スロットル弁が開作動直後の所定時間，
吸気系にアキュムレータから空気を強制的に供給される
と共に，燃料も増量されるので，エンジンは，その回転
数が低回転域にもかかわらず高い充填効率を得てトルク
増が図られ，エンジン回転数を急速に上昇させることが
できる極めて応答性の良好なエンジンの吸気装置を提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す概略構成図，第２図
は本考案の第２実施例を示す概略構成図である。 １……エンジン,2……吸気路,3……インジェクタ,4……
スロットル弁,5……エアフィルタ,6……空気噴射ノズ
ル,7……アキュムレータ,71……本体,72……蓄圧室,73
……圧力室,74……可動体,8a……第１の連通路,8b……
第２の連通路,9a……電磁弁,9b……一方向弁,10……制
御手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストンの降下に伴なって生じるシリンダ
   内の負圧を利用して混合気を該シリンダ内に供給する吸
   気路，該吸気路内に設けられ吸気の流量を制御するスロ
   ットル弁，上記吸気路に設けられ吸気流量に応じた燃料
   を上記吸気路内に供給する燃料供給手段，上記吸気路の
   スロットル弁下流又は燃焼室に開口する噴出口，該噴出
   口に一端を接続した連通路，該連通路に設けられ連通を
   開閉せしめる通常閉の電磁弁，上記連通路の他端に接続
   される蓄圧室と該蓄圧室に接続され上記電磁弁が閉でか
   つ該蓄圧室が負圧のとき大気から該蓄圧室への空気の流
   れを許容する一方向弁と上記蓄圧室に対し可動体により
   隔てられると共に上記吸気路の上記スロットル弁下流に
   接続されて上記スロットル弁が閉じられたとき上記蓄圧
   室を拡大する方向へ上記可動体を移動させる圧力室と該
   圧力室に設けられ上記スロットル弁が開らかれたとき上
   記可動体を介して上記蓄圧室に蓄えられた空気を上記噴
   出口方向へ付勢するスプリングとでなるアキュムレー
   タ，上記スロットル弁の開度を検知し該スロットル弁が
   全閉付近から所定開度以上開らかれたとき上記電磁弁へ
   所定時間作動信号を導出すると共に該作動信号が導出さ
   れている間供給燃料を増量させる増量信号を上記燃料供
   給手段へ導出する制御手段を具備したことを特徴とする
   エンジンの吸気装置。