JPH076830Y2 - 自動車用中折れシートの中折れ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用中折れシートの中折れ構造に関する。

（従来の技術） 従来、自動車用シートにおいて、シートバックが上下に
二分割され、下部バックに上部バックが前後揺動可能に
ヒンジ結合されてなる中折れシートが種々提案されてい
る。

上記のような中折れシートにおいて、上部バックの前後
揺動位置を調節するために、ヒンジ部分のギヤにロック
ばねを係合させる調節機構が採用されてきた。

しかしながら、ギヤ式であると、揺動位置が有段となる
うえ、ブラケット等を多数組合わせる必要があるのでヒ
ンジ部分が複雑になるいう問題がある。

そこで本願出願人は、実願昭63−165307号で、中折れシ
ートにおいて、上部バックの揺動位置調節を無段階にで
きる中折れ構造を提案した。

この中折れシートは、シートバックが上下に二分割さ
れ、下部バックに上部バックが前後揺動可能にヒンジ結
合されてなる自動車用中折れシートにおいて、手操作部
材の操作で伸縮自在なロック式ショックアブゾーバが設
けられ、該ショックブゾーバの一端部は上部バックのヒ
ンジブラケットに連結され、他端部は下部バックのフレ
ームに連結されていることを特徴とするものである。

この構成によれば、上部バックのヒンジブラケットと下
部バックのフレームとの間を、伸縮自在なロック式ショ
ックアブゾーバで連結したものであるから、手操作部材
の操作でショックアブゾーバを伸長させて上部バックを
前揺動させ、上部バックへの着座者の背圧でショックア
ブゾーバを短縮させて上部バックを後揺動させることが
できる。

したがって、ショックアブゾーバにより上部バックの揺
動位置調節を無段階にできる一方、上部バックのヒンジ
ブラケットと下部バックのフレームをショックアブゾー
バで連結するだけであるから、構造が簡単でヒンジ部分
も簡略化できるという作用・効果を奏することができ
る。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記ロック式ショックアブゾーバは、具体的
には、ガスとオイルを併用したガスオイルタイプである
ものの、ロック時に着座者の背圧が上部バックに作用し
ても、オイルは圧縮されないので、上部バックは全て揺
動せず、クッション感が悪いという問題があった。

本考案は上記問題を解決するためになされたもので、ロ
ック式ショックアブゾーバを利用した中折れシートにお
いて、上部バックのクッション感の向上を図ることを目
的とするものである。

（課題を解決するための手段） このため本考案は、シートバックが上下に二分割され、
下部バックに上部バックが前後揺動可能にヒンジ結合さ
れてなる自動車用中折れシートにおいて、ロック式ショ
ックアブゾーバが備えられ、該ショックアブゾーバは、
シリンダ内にピストンが設けられて第１ガス室と第２ガ
ス室とに区画され、上記ピストンには、第１ガス室と第
２ガス室とを連通するオリフィス孔が形成され、該オリ
フィス孔を開閉するスプール弁が設けられると共に、シ
リンダの外部へ突出するピストンロッドにはスプール弁
を移動可能なプッシュロッドが嵌合されて構成され、該
ショックアブゾーバの一端部は上部バックのヒンジブラ
ケットに連結され、他端部は下部バックのフレームに連
結されていることを特徴とするものである。

（考案の作用・効果） 本考案は、ロック式ショックアブゾーバをオールガスタ
イプとしたものである。

したがって、ロック時に着座者の背圧が上部バックに作
用すると、ガスが圧縮されるので、上部バックが僅かに
揺動され、クッション感が向上するようになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面について詳細に説明す
る。

第１図及び第２図に示すように、自動車用シート１はシ
ートクッション２とシートバック３とで構成されてい
る。

該シートバック３は上下に二分割され、下部バック４に
上部バック５が前後揺動可能にヒンジ機構（後述）でヒ
ンジ結合されている（第２図の二点鎖線参照）。

また、上部バック５と下部バック４の後右側部にまたが
って上揺動位置のアームレスト６を収納する収納凹部７
が形成され、該アームレスト６の下部は、下部バック４
に設けられた支持機構（後述）で車幅方向に摺動可能、
かつ前後揺動可能に支持されている（第１図の二点鎖線
参照）。

なお、８は上部バック５の上部にポール8a,8a（第３図
参照）で昇降自在に取付けられたヘッド・レストであ
る。

第３図〜第５図に示すように、下部バック４のフレーム
37（第９図参照）の上部で左右位置には、外側ヒンジブ
ラケット9R,9Lが固定される一方、上部バック５のフレ
ームの下部で左右位置には、内側ヒンジブラケット10R,
10Lが固定され、各ヒンジブラケット9Lと10L、9Rと10R
はそれぞれ隙間を隔てて重ね合わされ、ボルト・ナット
11R,11Lで前後揺動可能に連結されている。

上記各ヒンジブラケット9Rと10R、9Lと10Lのボルト・ナ
ット10R,10Lによるヒンジ構造は、今、右側Ｒ（第３図
では左側に位置する）のみ第６図及び第７図に詳細に示
すように、内側ヒンジブラケット10Rにナット11R−Ｎが
溶接等により固定され、外側ヒンジブラケット9Rに、隙
間ｔに介装されるスペーサ部13aを有する軸受スリーブ1
3が溶接等により固定されている。

そして、ボルト11R−Ｂを外側ヒンジブラケット9R側か
ら軸受スリーブ13に挿通させ、ナット11R−Ｎに螺合さ
せる。

上記ボルト11R−Ｂの軸部の長さｌは、軸受スリーブ13
を締め込まないように、若干の隙間をあける長さに設定
している。

なお、14は内側ヒンジブラケット10Rを利用して係止し
た上部バック５用のＳばねである。

このヒンジ機構（ヒンジ構造）により、下部バック４に
上部バック５が前後揺動可能にヒンジ結合されることに
なる。

また、上部バック５の内側ヒンジブラケット10Rに固定
したナット11R−Ｎに下部バック４の外側ヒンジブラケ
ット9R側からボルト11R−Ｂを螺合して、各ヒンジブラ
ケット9R,10Rを揺動可能に締結したことにより、ボルト
・ナット11Rの締結作業が外側から容易に行なうことが
できる。

さらに、上部バック５の表皮にボルト挿通用孔を明けて
おくだけで、上部バック５の表皮をめくったりすること
なくボルト・ナット11Rの締結作業ができるので、上部
バック５の組付け性が向上する。

第３図〜第５図に戻って、左側Ｌ（第３図では右側に位
置する）のヒンジブラケット9L,10Lの近傍の下部バック
４内には、ロック式ショックアブゾーバ17が配置され、
該ショックアブゾーバ17の上端部17aは上部バック５の
ヒンジブラケット10Lにピン18aで連結され、下端部17b
は下部バック４のフレームに固定したブラケット19にピ
ン18bで連結されている。

上記ショックアブゾーバ17は、第８図（ａ）〜第８図
（ｃ）に詳細に示すように、シリンダ21内にピストン22
が設けられて第１ガス室24と第２ガス室25とに区画さ
れ、ピストン22には、第１ガス室24と第２ガス室25とを
連通するオリフィス孔27が形成され、該オリフィス孔27
を開閉するスプール弁28が設けられると共に、シリンダ
21の外部へ突出するピストンロッド29にはスプール弁28
を移動可能なプッシュロッド30が嵌合されて構成されて
いる。なお、ガスとして窒素ガスが入れられている。

そして、第８図（ａ）の状態では、第１ガス室24と第２
ガス室25のガスはスプール弁28により流通できず、ピス
トン22はロックされている。

ついで、第８図（ｂ）のように、プッシュロッド30を押
し込むと、スプール弁28が開かれ第１ガス室24と第２ガ
ス室25のガスはオリフィス孔27を介して移動可能とな
り、ロックが解除される。そして、第２ガス室25のガス
圧によりピストンロッド29は伸びるが、ピストンロッド
29に押し込む力を加えるとピストンロッド29は縮む。

その後、第８図（ｃ）のように、プッシュロッド30を離
すと、ガス圧によりスプール弁28は閉じられ、再びロッ
ク状態となる。

上記ショックアブゾーバ17のプッシュロッド30に対して
は、第５図に示したように、プッシュレバー32が臨まさ
れ、該プッシュレバー32は、シートクッション２の側部
に設けた手操作レバー33にワイヤー34を介して連結され
ている。

このように、上部バック５のヒンジブラケット10Lと下
部バック４のフレーム37（第９図参照）との間を、伸縮
自在なロック式ショックアブゾーバ17で連結することに
より、手操作レバー33の操作でプッシュレバー32により
プッシュロッド30を押込むと、ピストンロッド29が伸び
て上部バック５が前揺動され、上部バック５への着座者
が背圧で上部バック５を押すと、ピストンロッド29が縮
んで上部バック５が後揺動されるようになる。

したがって、ショックアブゾーバ17により上部バック５
の揺動位置調節が無段階にできる一方、上部バック５の
ヒンジブラケット10Lと下部バック４のフレーム37をシ
ョックアブゾーバ17で連結するだけであるから構造が簡
単でヒンジ部分も簡略化できる。

また、上記ショックアブゾーバ17はオールガスタイプに
なっている。

したがって、ロック時に着座者の背圧が上部バック５に
作用すると、ガスが圧縮されるので、上部バック５がロ
ック位置よりも僅かに後揺動され、これにより、クッシ
ョン感が向上する。

なお、着座者の背圧が上部バック５に作用しなくなる
と、ガスが膨張するので、上部バック５が僅かに前揺動
してロック位置に復帰する。

第９図〜第11図に示すように、上記アームレスト６の支
持機構は、下部バック４のフレーム37にブラケット38で
固定された軸受部材39を備えている。

該軸受部材39には内方側が半円状に切欠かれた半円部39
aが形成されている。

該軸受部材39には支持シャフト40が車幅方向に摺動可
能、かつ前後回動可能に嵌合されている。

該支持シャフト40の外端部40aにはアームレスト６の下
部が固定され、該支持シャフト40の内端部40bには扇形
状のストッパー41がナット42で固定されている。

該ストッパー41は、支持シャフト40の外方摺動時に、軸
受部材39の切欠き端面39bに当接して外方摺動位置を規
制し、支持シャフト40の回動時に半円端面39c,39dに当
接して前後回動位置を規制する。

上記フレーム37のブラケット38には、ストッパー41が切
欠き端面39bに当接したときの節度になると共に、半円
端面39c,39dに当接したときの節度となる板ばね43が取
付けられている。

このように、上部バック５と下部バック４の後端部にま
たがって上揺動位置のアームレスト６を収納する収納凹
部７（第１図参照）を形成することにより、アームレス
ト６の先端部が上部バックと干渉しなくなり、上部バッ
ク５をスムースに前後揺動させることができる。

また、アームレスト６は、支持機構により車幅方向に摺
動させて収納凹部７から引き出し、前揺動させて使用位
置に倒すことができるから、アームレストの使用，格納
に何ら支障が生じない。

さらに、下部バック４のフレーム37に固定した軸受部材
39に支持シャフト40を嵌合して、該支持シャフト40の外
端部40aにアームレスト６を固定し、内端部40bにストッ
パー41を固定して、アームレスト６の収納凹部７からの
引き出し時にストッパー41を軸受部材39の切欠き端面39
bに当接させることにより、アームレスト６の外方摺動
位置を規制することができる。

また、アームレスト６の前後回動時にストッパー41を軸
受部材39の半円端面39c,39dに当接させることにより、
アームレスト６の前後回動位置を規制することができ
る。

したがって、アームレスト６の支持シャフト40は、下部
バック４のフレーム37の軸受部材39に摺動かつ回動可能
に嵌合されているので、支持が確実で耐久性が高く、さ
らに、アームレスト６の摺動位置と回動位置は、ストッ
パー41を軸受部材39の端面39b〜39dに当接させることに
より規制するので各作動も確実に行なうことができる。

第12図及び第13図は、上記アームレスト６の支持機構の
他の実施例で、該支持機構、下部バック４のフレームに
ブラケットで固定された軸受部材45を備えている。

該軸受部材45には内方側が半円状に切欠かれた半円部45
aが形成されている。

該軸受部材45には支持シャフト46が車幅方向に摺動可
能、かつ前後回動可能に嵌合されている。

該支持シャフト46の外端部46aにはアームレスト６の下
部が固定され、該支持シャフト46の内端部46bには円板
状のストッパー47がナット48で固定され、該ストッパー
47に、アームレスト６方向へ伸長するピン49が固定され
ている。

該ストッパー47は、支持シャフト46の外方摺動時、軸受
部材45の内端面45bに当接して外方摺動位置を規制し、
上記ピン49は支持シャフト46の回動時に半円端面45c,45
dに当接して前後回動位置を規制する。

上記フレームのブラケットには、ストッパー47の外方及
び内方摺動位置でピン49の凹部49a,49aに係合して節度
になると共に、ピン47が半円端面45c,45dに当接したと
きの節度となる板ばね50が取付けられている。

このように、下部バック４のフレームに固定した軸受部
材45に支持シャフト46を嵌合して、該支持シャフト46の
外端部46aにアームレスト６を固定し、内端部46bにスト
ッパー47を固定して、アームレスト６の収納凹部７から
の引き出し時にストッパー47を軸受部材45の内端部45b
に当接させることにより、アームレスト６の外方摺動位
置を規制することができる。

また、アームレスト６の前後回動時にストッパー47のピ
ン49を軸受部材45の半円端面45c,45dに当接させること
により、アームレスト６の前後回動位置を規制すること
ができる。

したがって、アームレスト６の支持シャフト46は、下部
バック４のフレームの軸受部材45に摺動かつ回動可能に
嵌合されているので、支持が確実で耐久性が高く、さら
に、アームレスト６の摺動位置はストッパー47を軸受部
材45の内端面45bに当接させ、回動位置はストッパー47
のピン49を軸受部材45の半円端面45c,45dに当接させる
ことにより規制するので各作動も確実に行なうことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用シートの右方向斜視図、第２図は自動
車用シートの左方向斜視図、第３図は自動車用シートの
正面図、第４図は第３図の左側面図、第５図は第３図の
右側面図、第６図はヒンジ機構の正面図、第７図は第６
図の要部拡大断面図、第８図（ａ）〜第８図（ｃ）はシ
ョックアブゾーバの作動説明図、第９図は第１実施例の
アームレストの支持機構の正面断面図、第10図は第９図
の側面図、第11図はストッパーの側面図、第12図は第２
実施例のアームレストの分解斜視図、第13図はピンと軸
受部材の関係を示す断面図である。 １…自動車用シート、２…シートクッション、３…シー
トバック、４…下部バック、５…上部バック、６…アー
ムレスト、７…収納凹部、17…ロック式ショックアブゾ
ーバ、21…シリンダ、22…ピストン、24…第１ガス室、
25…第２ガス室、27…オリフィス、28…スプール弁、29
…ピストンロッド、30…プッシュロッド、32…プッシュ
レバー、33…手操作レバー、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバックが上下に二分割され、下部バ
   ックに上部バックが前後揺動可能にヒンジ結合されてな
   る自動車用中折れシートにおいて、 ロック式ショックアブゾーバが備えられ、該ショックア
   ブゾーバは、シリンダ内にピストンが設けられて第１ガ
   ス室と第２ガス室とに区画され、上記ピストンには、第
   １ガス室と第２ガス室とを連通するオリフィス孔が形成
   され、該オリフィス孔を開閉するスプール弁が設けられ
   ると共に、シリンダの外部へ突出するピストンロッドに
   はスプール弁を移動可能なプッシュロッドが嵌合されて
   構成され、該ショックアブゾーバの一端部は上部バック
   のヒンジブラケットに連結され、他端部は下部バックの
   フレームに連結されていることを特徴とする自動車用中
   折れシートの中折れ構造。