JPH0756279B2 - 全周流型水中モータポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ポンプ吐出液を外胴と
モータとの間に形成された環状通路を経て外部へ吐出さ
せるようにした全周流型水中モータモンプに関し、特
に、ポンプケーシングを中間ケーシングに固定する構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の全周流型モータポンプ
は、図２に示すように、モータ１と、羽根車２を内蔵し
たポンプケーシング３とが一体に結合されたモータポン
プ本体が、外胴（ポンプ外胴）４によって囲繞され、該
外胴４の上端は、吐出口５を有する蓋板４ａと一体化さ
れ、また下端には、ストレーナ６を兼ねた底板が取付け
られていた。図中、７はモータヘッドカバー、８は衝撃
緩和用保護弾性体リングである。ポンプ運転時、ストレ
ーナ６を経て吸込まれた揚液は、ポンプケーシング３内
部で羽根車２によって昇圧されて外胴４内へ吐出され、
モータ１の外皮を冷却しながら、該外胴４上端の蓋板４
ａに設けられた吐出口５を経て外部へ吐出されるように
なっている。

【０００３】また図３は、他の従来例を示す断面図であ
って、薄い金属板等からなる外胴４は、剛性材料からな
るモータヘッドカバー７と、芯金３ａで補強された弾性
体からなるポンプケーシング３との間に、挟持するよう
にして取付けられており、該外胴４の上下両端部とモー
タヘッドカバー７又はポンプケーシング３とは、弾性体
のシール部材（ブーツ）１０１を介して挾み込まれ、該
部における漏れを防いでいる。

【０００４】またこのものにおいて、弾性体からなるポ
ンプケーシング３の上面は、剛性体からなる中間ケーシ
ング９によって蓋され、ボルト１０２によって締結され
ている。また上記中間ケーシング９は、モータ１の下面
にボルト１０３によって締結されており、該ボルト１０
３の頭１０３ａは、中間ケーシング９の下面に形成され
た座ぐり（凹部）９ａ内に埋没されている。図中、２は
羽根車、３ｂはポンプケーシング３の底部に形成された
ストレーナを兼ねた流体通路、３ｃはポンプケーシング
吐出口、５はポンプ吐出口である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の全周流
型水中モータポンプのうち、図３に示すように、芯金３
ａで補強された弾性体製のポンプケーシング３の上面
を、剛性体製の中間ケーシング９によって蓋するように
したものにおいては、これらの両者はボルト１０２によ
って締結されているが、該弾性体製ポンプケーシング３
の底部に、ポンプ台１０５を取付けるようにしたもので
は、図４（ａ）に示すように、弾性体製ポンプケーシン
グ３の上面及び下面を剛性体製中間ケーシング９と同ポ
ンプ台１０５とによって挟み込み、弾性体製ポンプケー
シング３の締め代を規定するスペーサ１０６を介して、
下方から通しボルト１０２ａによって締結されることに
なる。ところが、この場合、部品点数が多くなり、しか
も中間ケーシング９、ポンプケーシング３及びポンプ台
１０５の位置合せが困難であるという問題点が生じる。

【０００６】また、図４（ｂ）に示すように、中間ケー
シング９とポンプ台１０５との間に弾性体製ポンプケー
シングの締め代を規定するスペーサ１０６を介し、予め
中間ケーシング９に植込んだボルト１０２ｂを通して下
からナット１０２ｄで締結する場合には、中間ケーシン
グ９、ポンプケーシング３及びポンプ台１０５の位置合
せは容易となるが、部品点数が上記した同図（ａ）の場
合よりも更に多くなるという問題点が生じる。

【０００７】また、図４（ｃ）に示すように、弾性体製
ポンプケーシング３の締め代を規定する特殊両ねじボル
ト１０２ｃを予め中間ケーシング９に植込んでおき、ポ
ンプケーシング３、ポンプ台１０５を通して下からナッ
ト１０２ｄで締結する場合にも、部品点数は少なく、位
置合せも容易であるが、市販性のない特殊なボルト１０
２ｃを使用しなければならないという問題点が生じる。

【０００８】本発明は、弾性体で構成されたポンプケー
シングを、剛性体製の中間ケーシングと底板とによって
挟持してこれら三者を締結するために、部品点数が少な
く且つ位置合わせを容易にした締結手段を備えた全周流
型水中モータポンプを提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、ポンプケーシングを弾性体で構成し、
剛性体からなる中間ケーシングの下面に、上記ポンプケ
ーシングを貫通して延びる脚部を一体にして設け、該脚
部のねじ部と螺合するボルトによって、底板と上記中間
ケーシングとで上記ポンプケーシングを挟持するように
したことを特徴としている。

【００１０】

【作用】本発明は上記のように、剛性体製中間ケーシン
グの下面に、適宜下部を細くしポンプケーシングを貫通
して延びる脚部を一体にして設けているので、該脚部の
ねじ部と螺合するボルトによって弾性体製のポンプケー
シングを剛性体製の中間ケーシングと底板とで締結する
とき、少ない部品点数で芯合せが容易に行われると共
に、ポンプケーシングを貫通して延びる剛性体製の脚部
によって、弾性体製のポンプケーシングが内圧に対して
補強される作用も生じる。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面と共に説明す
る。図１は、本発明の一実施例を示す全周流型水中モー
タポンプの縦断面図である。図において、ポンプケーシ
ング１１ａと外胴１１ｂとは一体化されて、ゴム等の弾
性体１１で構成され、ポンプケーシング１１ａの上面
は、中間ケーシング１２によって蓋されており、内部に
羽根車１３が内蔵されている。

【００１２】上記弾性体からなるポンプケーシング１１
ａの下部面には、液体が吸込まれる流体通路１４を隔て
て、剛性体からなる底板１５が当接され（押えられ）、
中間ケーシング１２の下面には、上記ポンプケーシング
１１ａを貫通して延び且つ下部になる程細く形成された
脚部１２ａが一体にして設けられ、該脚部１２ａの内側
ねじ部と螺合するボルト１６によって、中間ケーシング
１２と底板１５とでポンプケーシング１１ａを挟むよう
にして締結されている。

【００１３】また、弾性の外胴１１ｂの上端部１１ｃに
は環状の溝部が形成され、モータヘッドカバー１９の下
端部１９ａの突条部に嵌まり込むように嵌入されてい
る。また、上記のようにしてポンプケーシング１１ａに
締結された中間ケーシング１２は、ボルト２５によって
モータ１の下面に締結され、該ボルト２５の頭２５ａ
は、該中間ケーシング１２と当接している弾性体１１に
形成された座ぐり（凹部）１１ｄの内部に埋没されてい
る。

【００１４】また、上記流体通路１４の外周部には、ス
トレーナ用補強リブ１７が間隔を置いて複数個、ポンプ
ケーシング１１ａの下面に一体化して設けられており、
上記底板１５と一体のリング状体１５ａの下方より、ゴ
ムのような弾性体からなるリング状ストレーナ２６を、
弾性に抗して円形に拡げるようにして挿入し、これらの
ストレーナ用補強リブ１７の外面に当接するようにして
当該ストレーナ２６が嵌着されている。なお、当該スト
レーナ２６は、取付け使用前の自由（フリー）な状態に
おいて周りの長さを取付け時とほぼ同一にした扁平状を
なした弾性リング状体からなり、相対向する長辺部に多
数の孔を開口して構成されている。図中、２０は外胴１
１ｂとモータ外面間の環状通路、２１はポンプケーシン
グ吸込口、２２はポンプケーシング吐出口である。

【００１５】次に、作用について説明する。ポンプ運転
時、流体は、矢印ａに示すように、ポンプケーシング１
１ａの下部面と底板１５との間に形成された通路１４を
経て、ポンプケーシング吸込口２１よりケーシング内つ
まりポンプ室へ流入する。この際、流体に含まれる異物
は、ストレーナ用突起１７により取り除かれる。

【００１６】ポンプケーシング１１ａ内に流入した流体
は、羽根車１３で昇圧され、ケーシング吐出口２２から
吐出され、モータ外周と外胴１１ｂに囲まれた環状通路
２０を通る間にモータ外皮を冷却しながら、ポンプ吐出
口１８から外部へ吐出される。

【００１７】また、ポンプケーシング１１ａと外胴１１
ｂとが弾性体で一体化して構成され、且つ該弾性体の上
下両部が剛性体部材で押えられているので、該外胴１１
ｂは円周方向へ自由に変形でき、従って、可搬時等に受
ける衝撃等による外力が有効に吸収される。またこれに
伴い、内部構造部品がプラスチック等の軽量材を薄肉で
使用できるので、弾性体材料の比重量が金属材料に比し
て軽いことと相俟って、重量が軽減される。

【００１８】また、剛性体からなる中間ケーシング１２
の下面に下部を細く形成した脚部１２ａを一体に設けて
いるので、該脚部１２ａの内側ねじ部と螺合するボルト
１６によって、弾性体製ポンプケーシング１１ａを剛性
体製中間ケーシング１２と底板１５とで締結するとき、
芯合せが容易に行われ、且つ部品点数が少くて済む。

【００１９】また、中間ケーシング１２をモータ１の下
面に締結するボルト２５の頭２５ａを、該中間ケーシン
グ１２と当接する弾性外胴部に形成した座ぐり１１ｄの
内部に埋没させるようにしているので、中間ケーシング
１２を薄肉に形成することができりばかりでなく、該ボ
ルト２５のねじ回し作業が容易である。

【００２０】本発明は、上記した実施例において一体化
されたポンプケーシング１１ａと外胴１１ｂとを、図３
に示す従来例におけるように分離し、外胴１１ｂを金属
製とし、ポンプケーシング１１ａのみを弾性体で構成し
たものにも適用できることは勿論であり、また、この場
合、弾性体からなるポンプケーシング１１ａを、上下で
挟持する剛性体のうち、下方の底板は、図１に示された
底板１５に限らないことは勿論であり、中間ケーシング
１２と一体の脚部１２ａとボルト１６を介して弾性体製
ポンプケーシング１１ａを下方から挟持する部材であれ
ばよい。

【００２１】また、上記した実施例において、ストレー
ナ２６を、ゴムのような弾性体からなるリング状に形成
したものを、底板１５と一体のリング状体１５ａの下方
より弾性に抗して円形に拡げるようにして挿入し、スト
レーナ用補強リブ１７の外面に当接するようにして嵌着
させた構造について説明したが、該ストレーナ２６を、
図２に示すような従来周知のストレーナ６に代えること
も可能である。この場合、図１の底板１５は図２のスト
レーナ６の底板に対応する。また、ストレーナ用補強リ
ブ１７を省略することもできる。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弾性体製ポンプケーシングを、剛性体からなる中間ケー
シングと底板とで締結するとき、少ない部品点数で芯合
せが容易に行われるばかりでなく、剛性体製の中間ケー
シングと一体の脚部をポンプケーシングを貫通させたこ
とにより、弾性体製ポンプケーシングの内圧に対する強
度が補強される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全周流型水中モータポ
ンプの縦断面図である。

【図２】従来例を示す全周流型水中モータポンプの縦断
面図である。

【図３】他の従来例を示す全周流型水中モータポンプの
縦断面図である。

【図４】（ａ）ないし（ｃ）は異なった要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１１ａ ポンプケーシング １１ｂ 外胴 １２ 中間ケーシング １２ａ 脚部 １３ 羽根車 １４ 通路 １５ 底板 １６ ボルト １７ ストレーナ用補強リブ １８ ポンプ吐出口 １９ モータヘッドカバー ２０ 環状通路 ２１ ポンプケーシング吸込口 ２２ ポンプケーシング吐出口 ２６ ストレーナ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 毅 東京都大田区羽田旭町11番１号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 三宅 良男 東京都大田区羽田旭町11番１号 株式会社 荏原製作所内 (56)参考文献 実開 昭53−141503（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 全周流型水中モータポンプにおいて、ポ
   ンプケーシングを弾性体で構成し、剛性体からなる中間
   ケーシングの下面に、上記ポンプケーシングを貫通して
   延びる脚部を一体にして設け、該脚部のねじ部と螺合す
   るボルトによって、底板と上記中間ケーシングとで上記
   ポンプケーシングを挟持するようにしたことを特徴とす
   る全周流型水中モータポンプ。