JPH0755190Y2 - 車両のスペアタイヤキャリア - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車等の車両のスペアタイヤキャリアに関
し、特に自動車のリヤゲートに装備されて好適なスペア
タイヤキャリアに関する。

（従来の技術） 従来、自動車のリヤゲートに装備された背負式スペアタ
イヤキャリアには、例えば実開昭62-129379号公報に開
示されたものがある。

これは、車体のリヤゲート側方に水平方向へ回動自在に
枢着された第１アーム部材と、該第１アーム部材の先端
に、スペアタイヤを着脱自在に支持する先端部がリヤゲ
ート外面の上昇位置と地上の下降位置との間を上下に移
動し得るように斜め方向へ回動自在に枢着された第２ア
ーム部材と、リヤゲート開閉時には第２アーム部材の第
１アーム部材に対する回動を阻止する一方、タイヤ交換
時には上記回動を許容するロック手段とを備えるように
構成されている。

従って、このスペアタイヤキャリアによれば、ドア開閉
時には、第１及び第２アーム部材を水平方向へ回動させ
て両アーム部材を車体外側方へ退避させることで、リヤ
ゲートのみの単独開閉を可能にすると共に、タイヤ交換
時には、第２アーム部材を第１アーム部材に対し斜め方
向へ回動させて第２アーム部材の先端部を地上の下降位
置へ移動させることで、タイヤのキャリアに対する着脱
作業を地上にて容易に行ない得るのである。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上述のスペアタイヤキャリアにあっては、第
２アーム部材を第１アーム部材に対し上下に移動させる
とき（つまり、タイヤの上げ降し時）に大きな操作力が
必要で、タイヤの大型化傾向にそぐわないという問題が
ある。

本考案は、上述事情に鑑みてなされたもので、スペアタ
イヤの上げ降しの際の操作力が少なく、タイヤが大型で
も装脱着作業の容易な車両のスペアタイヤキャリアを提
供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため本考案によれば、車体外壁に、
互いに上下に離間したヒンジにそれぞれ上下方向軸廻り
に回動自在に組み付けられた２個のブラケットと、タイ
ヤを支持するためのタイヤ支持部を有し、該タイヤ支持
部から前記上側のブラケットに向って延びる上部連結端
を該上側ブラケットに着脱自在に連結し、前記タイヤ支
持部から前記下側のブラケットに向って延びる下部連結
端を該下側ブラケットに上下に回動自在に連結するキャ
リア本体と、該キャリア本体の、前記ブラケットと反対
側の端縁に枢支され、該キャリア本体と前記車体外壁と
の間の収納位置に折畳み可能な把手と、前記キャリア本
体を前記車体外壁に固定するキャリア固定部材とを備え
た構成としたものである。

（作用） タイヤ交換時、スペアタイヤを地上に降す場合には、キ
ャリア固定部材によるキャリア本体の固定作用を解除し
て、スペアタイヤを支持したキャリア本体をヒンジを支
点に回動し、固定位置から移動する。そして、折り畳ま
れた把手をキャリア本体の収納位置から延出し、またキ
ャリア本体の上部連結端と上側ブラケットとの連結を解
除して、延出した把手を操作してキャリア本体を下部連
結端の連結する下側のブラケットの枢支点を支点に地上
に向けて回動し、キャリア本体の支持するスペアタイヤ
を地上に降す。

また、スペアタイヤを車体の外壁に装着する場合には、
キャリア本体の延出した把手を操作して、スペアタイヤ
を支持したキャリア本体を下側ブラケットの枢支点を支
点として上方に向けて回動するように持ち上げ、キャリ
ア本体の上部連結端と上側ブラケットを連結する。そし
て、把手をキャリア本体の収納位置に移動して折り畳
み、更にキャリア本体をヒンジを支点に回動し、車体の
固定位置に移動してキャリア固定部材で固定する。

この際の操作は延出した把手の操作によって行なわれ、
てこの原理で操作力が軽減される。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を添付図面に基づき説明する。

第１図に示すように、ワゴン車等の車体１の後面２に
は、その後面開口部を開閉するように、横開のリヤゲー
ト３が配設されており、該リヤゲート３は車体１の後面
２の開口右側縁部に、互に上下に離間した２個のリヤゲ
ートヒンジ（ヒンジ）4,5を介して開閉自在に取り付け
られている。

また、車体１の後面２には、スペアタイヤキャリア６が
配備されており、該スペアタイヤキャリア６はスペアタ
イヤ７を支持するキャリア本体８を有すると共に、この
キャリア本体８を上記２個のリヤゲートヒンジ4,5に連
結するための上側及び下側ブラケット9,10を備えてい
る。

キャリア本体８はコ字状フレームと垂直フレームとを強
固に結合した台形状の枠体からなり、その上側水平部8a
の右端（上部連結端）11は垂直部8dの上端結合部より右
方へ所定の長さ延長され、また下側水平部8cの右端（下
部連結端）12も垂直部8dの下端結合部より右斜め下方へ
所定の長さ延長されている。

また、上記上側ブラケット９は、第２図ないし第４図に
詳示するように、ブラケット本体13の上下両端から突出
したアーム部13a,13bを上リヤゲートヒンジ４のピン4a
に回動自在に嵌合させてなる。そして、ブラケット本体
13の上部に形成した嵌合溝14に上記キャリア本体８の上
側水平部8aの右端11をこの右端11に固着した連結金具15
を介して嵌合し、該上側水平部8aが上側ブラケット９に
テーパ付ボルト16で着脱可能に連結される。さらに、ブ
ラケット本体13の上面に突設した一対のブラケット17に
は、補助フック18の基端部がピン19で回動自在に結合さ
れ、この補助フック18の先端が上記連結金具15の上面に
形成した係合溝20に係脱自在になっていて、この補助フ
ック18の先端が係合溝20に係合していると、上側水平部
8aの右端11は上側ブラケット９から離脱することがな
く、このため、上記テーパ付ボルト16を外しても、キャ
リア本体８が急に落ちることがない。

なお、第２図の符号4bは上リヤゲートヒンジ４のリヤゲ
ート取付板で、符号4cは上リヤゲートヒンジ４のリヤク
ォータ取付板である。

また、上記下側ブラケット10は、第５図及び第６図に詳
示するように、ブラケット本体21の上下両端から突出し
たアーム部21a,21bを上記下リヤゲートヒンジ５のピン5
aに回動自在に嵌合させてなる。そして、ブラケット本
体21の中間部に突設した一対のブラケット22に上述した
キャリア本体８の下側水平部8cの延出した右端12が連結
金具23を介して、ボルト24及びブッシュ25により上下方
向の回動が自在に連結される。

なお、第５図の符号5bは下リヤゲートヒンジ５のリヤゲ
ート取付板で、符号5cは下リヤゲートヒンジ５のリヤク
ォータ取付板である。

さらに、第１図に示すように、上記キャリア本体８の上
側水平部8aと下側水平部8cとの間には、３個のボルト挿
通孔26を有するタイヤ取付板27が架設されており、該タ
イヤ取付板27にスペアタイヤ７がボルト（図示せず）に
よって固定されるようになっている。

また、キャリア本体８の上側水平部8a及び下側水平部8c
の右端11,12の反対側に位置する傾斜側部8bには、把手2
8が取り付けられている。把手28は、中空パイプ状の基
端部28aを有するやや折曲したハンドル状の枠体からな
る。キャリア本体８の傾斜側部8bに所定間隔を置いて２
個のブラケット29,29が熔着され、これらのブラケット2
9,29間に支持軸31が挿通され、その両端がナット30,30
で固定されている。そして、把手28は、その基端部28a
を支持軸31に外嵌して回動自在に支持されている（第７
図）。このため、この把手28は、キャリア本体８の傾斜
側部8bに支持軸31を介して堅固に取り付けられると共
に、支持軸31を支点に回動自在で、キャリア本体８の枠
内に折り畳まれた状態の収納位置から回動して、第８図
に仮想線で示すように、枠外に大きく延出し得るように
なっている。また、この把手28は、先端部28bがキャリ
ア本体８の下側水平部8cに配置された把手固定部材32に
着脱可能に支持されて、キャリア本体８の枠内の収納位
置に固定される。なお、上記把手固定部材32はばね材か
らなり、第９図に詳示するように、スペーサ33を介して
ビス等によりキャリア本体８の下側水平部8cに固定され
る。

更に、キャリア本体８の下側水平部8cには、フック34が
Ｌ字状のフック取付部材35を介して固設されており、ま
たリヤゲート３の外壁には、このフック34を介してキャ
リア本体８をリヤゲート３側に固定するためのキャリア
固定部材36が配置されている。キャリア固定部材36は掛
金ブラケット37を有しており、該掛金ブラケット37は、
第10図に詳示するように、底部37a及び該底部37aから起
立する一対のブラケット部37bを備え、その底部37aがリ
ヤゲート３の外壁にゴム等の弾性シート材38を介してボ
ルト39により固定されている。また、掛金ブラケット37
のブラケット部37bには、ハンドル支持ピン40を支点に
掛金ハンドル41が回動自在に枢支されており、掛金ハン
ドル41には、上記フック34に係合するためのループ状の
掛金42が支持されている。

また、キャリア固定部材36は、上記掛金ハンドル41をロ
ックするための安全ピン43を備えており、この安全ピン
43はボルト43a及び蝶ナット43bからなり、ボルト43aを
掛金ブラケット37のブラケット部37bと掛金ハンドル41
とに貫通させて掛金ハンドル41の回動をロックする。

なお、第10図の符号44は、フック34の当たりを緩和する
ための緩衝ゴムである。

以下、上記構成のスペアタイヤキャリア６の作動につい
て説明する。

スペアタイヤ７を支持したキャリア本体８は、その上側
水平部8aの右端11と下側水平部8cの右端12とがそれぞれ
上側及び下側ブラケット9,10を介してリヤゲートヒンジ
4,5に支持され、また下側水平部8cがフック34とキャリ
ア固定部材36を介してリヤゲート３の外面に固定されて
堅固に担持される。

この際、把手28及び把手固定部材32の一部等がスペアタ
イヤ７に隠れて見栄えもよい。

そして、リヤゲート３の開閉時には、キャリア本体８
は、上下のリヤゲートヒンジ4,5を支点にしてリヤゲー
ト３と共に回動する。

また、タイヤ交換時、スペアタイヤ７を地上に降す場合
には、キャリア固定部材36の安全ピン43を外し、ロック
解除された掛金ハンドル41を緩めて掛金42をフック34か
ら外して、キャリア本体８の固定を解除する。そして、
スペアタイヤ７を支持したキャリア本体８をリヤゲート
ヒンジ4,5を支点にして水平方向に回動し、リヤゲート
３の外面から離れるように移動する。また、キャリア本
体８の収納位置に折り畳まれた把手28の先端28aを把手
固定部材32から外して、把手28をキャリア本体８の枠内
の収納位置から支持軸31を支点に回動して外方に延出す
る。

ついで、上側ブラケット９のテーパ付ボルト16を取り外
し、また補助フック18を係合溝20から外して、キャリア
本体８の上側水平部8aの右端11と上側ブラケット９との
連結状態を解除する。そして、枠外に延出した把手28を
持って、てこの原理を利用して、キャリア本体８をその
下側水平部8cの右端12を支持する下側ブラケット10のボ
ルト24を支点にして地上に向けて回動し、キャリア本体
８の支持するスペアタイヤ７を地上に降す。

一方、スペアタイヤ７を支持したキャリア本体８をリヤ
ゲート３の外面に装着する場合には、キャリア本体８の
枠外に延出した把手28を持って、キャリア本体８を下側
ブラケット10のボルト24を支点に上方に向けて回動する
ように持ち上げて、上側水平部8aの右端11と上側ブラケ
ット９とをテーパ付ボルト16を介して連結する。そし
て、把手28をキャリア本体８の枠内の収納位置に移動し
て、折り畳んだ状態で把手固定部材32で固定する。更
に、キャリア本体８を上下のリヤゲートヒンジ4,5を支
点に回動し、リヤゲート３の外面に沿った固定位置に移
動して、キャリア本体８の下側水平部8cに固設されたフ
ック34にキャリア固定部材36の掛金42を掛けて、掛金ハ
ンドル41で掛金42を締め込み、キャリア本体８をリヤゲ
ート３の外面に固定する。そして、キャリア固定部材36
の掛金ハンドル41を安全ピン43でロックして、車両の走
行中の振動等による掛金ハンドル41の緩みを防止する。

これにより、作業がキャリア本体８の枠外に大きく延出
した把手28の操作によって行なわれ、てこの原理でスペ
アタイヤ７の上げ降しに要する力が軽減され、スペアタ
イヤキャリア６に取り付けられたスペアタイヤ７の上げ
降し作業が容易かつ安全に行なわれる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、車体外壁に、互い
に上下に離間したヒンジにそれぞれ上下方向軸廻りに回
動自在に組み付けられた２個のブラケットと、タイヤを
支持するためのタイヤ支持部を有し、該タイヤ支持部か
ら前記上側のブラケットに向って延びる上部連結端を該
上側ブラケットに着脱自在に連結し、前記タイヤ支持部
から前記下側のブラケットに向って延びる下部連結端を
該下側ブラケットに上下に回動自在に連結するキャリア
本体と、該キャリア本体の、前記ブラケットと反対側の
端縁に枢支され、該キャリア本体と前記車体外壁との間
の収納位置に折畳み可能な把手と、前記キャリア本体を
前記車体外壁との間に固定するキャリア固定部材とを備
えた構成としたので、キャリア本体を上げ降し可能にす
ると共に、てこの原理で上げ降しの操作力を著しく軽減
することができ、スペアタイヤのスペアタイヤキャリア
への装脱着作業を極めて容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスペアタイヤキャリアの一実施例
を示す正面図、第２図ないし第４図は上側ブラケットの
詳細を示し、第２図は上側ブラケットの横断面図、第３
図はその縦断面図、第４図はその正面図、第５図及び第
６図は下側ブラケットの詳細を示し、第５図はその横断
面図、第６図はその縦断面図、第７図は把手の基端部の
支持状態を示す拡大断面図、第８図は第１図のVIII矢視
図、第９図は把手固定部材の断面図、第10図はキャリア
固定部材の正面図である。 ３……リヤゲート、4,5……上下のリヤゲートヒンジ、
６……スペアタイヤキャリア、７……スペアタイヤ、８
……キャリア本体、8a……傾斜側部、９……上側ブラケ
ット、10……下側ブラケット、11……上側水平部の右
端、12……下側水平部の右端、28……把手、36……キャ
リア固定部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体外壁に、互いに上下に離間したヒンジ
   にそれぞれ上下方向軸廻りに回動自在に組み付けられた
   ２個のブラケットと、タイヤを支持するためのタイヤ支
   持部を有し、該タイヤ支持部から前記上側のブラケット
   に向って延びる上部連結端を該上側ブラケットに着脱自
   在に連結し、前記タイヤ支持部から前記下側のブラケッ
   トに向って延びる下部連結端を該下側ブラケットに上下
   に回動自在に連結するキャリア本体と、該キャリア本体
   の、前記ブラケットと反対側の端縁に枢支され、該キャ
   リア本体と前記車体外壁との間の収納位置に折畳み可能
   な把手と、前記キャリア本体を前記車体外壁に固定する
   キャリア固定部材とを備えたことを特徴とする車両のス
   ペアタイヤキャリア。