JPH0754605Y2 - 消音器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車用エンジン等の吸排気系エアダクトに
装着される消音器に関する。

従来の技術 吸排気系エアダクトにあって、特に吸気系エアダクトの
吸気騒音を低減させるためには、エアダクトの断面積を
小さく絞って内容積を小さくすることが有効である点は
理論的にも知られている。しかし、断面積を小さくする
ことは、吸気の抵抗が増大することで支障がある。特
に、エンジンの高速回転領域での影響を考慮すれば、吸
気系エアダクトの断面積を小さくするにも限界がある。

この点に関し、エアダクト自体は所要の断面積を有して
おり、エアダクトから共鳴箱を分岐させることにより、
この共鳴箱で騒音周波数を共鳴減衰させる構造が周知で
ある。即ち、共鳴箱がエアダクトの外側に分岐したヘル
ムホルツ型消音器の場合、特定低周波数の領域の騒音を
消音し、例えば車室内のこもり音を低減させたり、車外
への騒音漏れの防止を目的として用いられる。

一般に、車室内のこもり音は、エンジンが特定の回転数
に達すると車室内容積等を含め空気振動系に共鳴して音
圧が増大する現象である。こもり音が発生する周波数領
域としては、単に一つのエンジン回転数領域に特定され
ず、複数の回転数領域で発生することが知られる。従っ
て、複数の回転数領域におけるこもり音を減衰さすべ
く、複数の共鳴領域を設定する必要がある。

通常、一つの騒音周波数の減衰に対しては、これに対応
する内容積をもつ一つの共鳴器のみが有効である。従っ
て、複数の共鳴領域を設定するためには、それぞれに対
応する内容積の複数の共鳴箱をエアダクトから分岐させ
る必要が生じる。これにより、エンジンの広範囲の回転
数領域で発生する複数のこもり音を減衰低減させること
ができる。

考案が解決しようとする課題 ところで、エアダクトの外側に単一もしくは複数の共鳴
箱が突出した構造とすること自体、大きな搭載スペース
を要するといった基本的な問題がある。これにも増し
て、前述のように複数の共鳴器を設置することは、コス
ト高となることはもとより、重量及び嵩容積が増大する
不具合があり、大きな取付スペースを要することで、他
部品との干渉問題というレイアウトにも影響を及ぼす難
点がある。

本考案の目的は、最小限の取付スペースで済み、しかも
広範囲のエンジン回転領域における騒音に対処できる消
音器を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本考案による消音器は、吸気系又は排気系のエアダクト
と、エアダクトの内部を軸線方向へ延びる２つの通路に
分割した隔壁と、エアダクトから連絡口を介して分岐し
エアダクト内の一方の通路に連通した共鳴箱部と、一方
の通路の上流口に回動自在に軸支されて上流口を閉塞又
は開放する開閉弁とを含み、開閉弁が一方の通路の上流
口を閉塞した位置から開く方向に転回動作して連絡口を
閉じ、この閉位置からさらに転回動作して連絡口を開く
よう構成されている。

作用 エンジン回転数に対応した開閉弁の開閉作動により、エ
アダクトの内部容積が変更される。低速回転時で吸気又
は排気の流通量が少ない場合は、エアダクト内の２つの
通路のうち一方が開閉弁により閉じられた状態にある。
この時、低速回転周波数によるこもり音などの騒音を共
鳴箱部で共鳴させて減衰低減させる。

高速回転時で吸気又は排気の流通量が多量に必要とする
場合は、エアダクト内における２つの通路を全て開放
し、開閉弁が共鳴箱部を閉じて閉塞する方向に転回作動
する。

また、エアダクト内における２つの通路を全て開放し、
しかも共鳴箱部も開放する方向に開閉弁を作動させた場
合は、吸気又は排気を多量に流通させることができ、共
鳴箱部の開放により減衰周波数を高く設定することがで
きる。

実施例 以下、本考案による消音器の実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図〜第３図は、例えばエンジンのキャブレータの吸
込口に接続される吸気系エアダクト10を示す。エアダク
ト10の上流側端部11に近い内部では、隔壁12が長手軸線
方向に延びて形成され、この隔壁12によってエアダクト
10の内部が図の上下２つの通路10A、10Bに分割されてい
る。下側の通路10Bは上流側の入口12aに開閉弁13が支軸
ピン14を介して回動自在に軸支され、開閉弁13の動作に
よって通路10Bが入口側で閉塞又は開放される。即ち、
開閉弁13が閉じて通路10Bが遮断されると、エアダクト1
0の内部は上側の通路10Aのみとなり、開閉弁13が開く
と、エアダクト10の内部は上下の通路10A、10Bの断面を
合わせた流通路が形成されることになる。

また、開閉弁13に隣接した位置で下側の通路10Bに臨む
場所には、エアダクト10の周壁を開口した連絡口15が設
けられ、この連絡口15を通して共鳴箱部16がエアダクト
10から分岐している。開閉弁13は連絡口15をも開閉でき
るようになっており、連絡口15が開放されているとき
は、内部容積17を有する共鳴箱部16がエアダクト10内の
下側通路10Bに連通できるようになっている。

ここで、開閉弁12の開閉作動は、制御装置からの制御信
号により作動するアクチュエータで行なわれる。例え
ば、エンジン回転数Ｎ（rpm）の電気信号に基づいて制
御が行なわれる場合、回転センサによってエンジン回転
数が検出され、この検出信号は制御装置に送られる。制
御装置では、検出信号に基づいた制御を行なって信号を
アクチュエータに向け出力する。アクチュエータとして
は、電磁ソレノイドのごとき電気作動式や吸気負圧式な
どがある。

次に、この実施例の動作態様及び作用を説明する。ここ
では、エアダクト10が吸気系の場合を想定する。

エンジン回転数が低回転による運転時は吸気量は少な
い。この場合、第１図のように、制御装置からの信号は
送られず、アクチュエータが作動しないので開閉弁12は
閉じた状態にある。即ち、エアダクト10の内部では、下
側の通路10Aが隔壁12による上流側入口12aで閉じられて
いるので、エアダクト10内における吸気の流通は上側の
通路10Aのみとなっている。この場合、通路10bは共鳴箱
部16と共に共鳴部を構成することになる。従って、特に
低周波騒音に対する減衰に有効であり、車室内のこもり
音を低減させることができる。

また、エンジン回転数が高回転による運転時で、吸気量
が増大する場合、第２図のように、開閉弁12が開いて通
路10Bが開放される。即ち、制御装置からの信号がアク
チュエータに送られ、アクチュエータの作動により開閉
弁13が支軸ピン14を介して通路10Bを開く方向に回動す
る。同時に、開閉弁13によって共鳴箱部16に通じる連絡
口15が閉じられる。これにより、エアダクト10の内部で
の吸気抵抗が減少され、上下の両通路10A、10Bを通して
多量の吸気が流通する。

また、第３図のように、連絡口15を閉じた開閉弁13がこ
の位置から更に回動して共鳴箱部16側に入り込み、連絡
口15を開いた状態を示す。この場合、第２図のエンジン
高速回転時と同様に、２つの通路10A、10Bが開放される
ことにより吸気抵抗が減少するので、多量の吸気の流通
を可能にする。また、連絡口15の開放により、エアダク
ト10内が共鳴箱部16の内部に連通することになる。これ
によって、第１図の場合よりも減衰周波数を更に高い周
波数に設定することができる。

一方、第４図及び第５図は、本考案の他の２つの実施例
を示し、これらいずれもサイドブランチ型消音器となっ
ている。即ち、第１図〜第３図で示された第一の実施例
の場合と同様に、エアダクト10内を隔壁12で仕切って２
つの通路10A、10Bを構成したことを骨子としている。図
示のように、開閉弁13を閉じて一方の通路10Bをサイド
ブランチ型の共鳴箱部として構成するようになってい
る。

考案の効果 以上説明したように、本考案による消音器は、消音器を
構成する構造の一部がエアダクトの内部に含まれるた
め、取付スペースが大幅に削減可能となる。また、エン
ジンの低回転時及び高回転時のそれぞれの騒音周波数に
対応して消音でき、例えば高回転時に吸気抵抗を下げる
ことができるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は、本考案による消音器の実施例の断面
図を示し、第１図はエンジン高速回転時の態様の断面
図、第２図は低速回転時の態様の断面図、第３図は同じ
く高速回転時の態様の断面図である。また、第４図及び
第５図は他の２つの実施例の断面図を示す。 10……エアダクト、12……隔壁、13……開閉弁、15……
連絡口、16……共鳴箱部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気系又は排気系のエアダクトと、エアダ
   クトの内部を軸線方向へ延びる２つの通路に分割した隔
   壁と、エアダクトから連絡口を介して分岐しエアダクト
   内の一方の通路に連通した共鳴箱部と、一方の通路の上
   流口に回動自在に軸支されて上流口を閉塞又は開放する
   開閉弁とを含み、開閉弁が一方の通路の上流口を閉塞し
   た位置から開く方向に転回動作して連絡口を閉じ、この
   閉位置からさらに転回動作して連絡口を開くよう構成さ
   れたことを特徴とする消音器。