JPH0751736A - 磨棒鋼製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コイル状に巻回された線材の伸線と切断およ
び矯正を一連に行い磨棒鋼を１ライン上で製造できるよ
うにして生産効率を高めると共に、温間引抜，温間矯正
により精度向上を図る。 【構成】 コイル状に巻回された線材２がセットされる
巻出機１と棒鋼集材テーブル３との間に、誘導加熱装置
５と引抜装置６と切断機７と矯正機８が一直線状に一連
に設けられ、巻出機１より巻出された線材２を誘導加熱
装置５を経ることにより３００℃〜８００℃に加熱して
引抜装置６に通した後、該線材２を切断装置により切断
して適宜長さの棒鋼とし、さらに該棒鋼を上記温間温度
を保持したままで矯正機８に導き矯正し前記棒鋼集材テ
ーブル３に抽出するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷間加工が比較的困難
な鋼材を素材とする磨棒鋼の製造装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】線材の引抜加工は、一般に、コイル状に
巻回された線材を巻出機から繰り出してダイスに通すこ
とで目的とする線径に仕上げこれを巻取機により再びコ
イル状に巻き取るようにしている。

【０００３】また、従来から特殊工具鋼，高速度鋼等の
難引抜材の金属線材を引抜するには、特開昭５１−５６
７５９号公報に開示されたように、誘導加熱装置により
該線材を６５０℃以上に加熱し温間引抜することで加工
性を改善する方法が知られている。

【０００４】このように従来の引抜加工は線材を引抜伸
線した後に該線材を再びコイル状に巻き取るようにして
いたので、該線材から棒鋼を製造するに当たっては、こ
のコイル状の線材を巻出機から再び直線状に繰り出して
切断機に通してこれを一定長に切断し矯正機により曲り
を矯正している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の磨棒
鋼の製造は、引抜伸線工程と切断矯正工程とを別個の製
造ラインで行なっていたので、生産性が良くないという
問題があった。また、上記のような難引抜材の場合でも
従来の製造工程では上記矯正機に常温で棒材が供給され
ていたので２ロール式の矯正機を用いても充分な真直精
度が得られないという問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の磨棒鋼製造装置
は上記課題を解決しようとするもので、コイル状に巻回
された線材がセットされる巻出機と棒鋼集材テーブルと
の間に、誘導加熱装置と引抜装置と切断機と矯正機が一
直線状に一連に設けられ、巻出機より巻出された線材を
誘導加熱装置を経ることにより３００℃〜８００℃に加
熱して引抜装置に通した後、該線材を切断装置により切
断して適宜長さの棒鋼とし、さらに該棒鋼を上記温間温
度を保持したままで矯正機に導き矯正し前記棒鋼集材テ
ーブルに抽出するようにしたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】伸線と切断，矯正が一連に行なわれ、高速度工
具鋼等の硬質の難引抜材では温間引抜および温間矯正が
行なわれることで高精度の磨棒鋼を効率よく生産でき
る。

【０００８】

【実施例】次に図と共に本発明の一実施例を説明する。
図中１はコイル状に巻回された高速度工具鋼，エンジン
バルブ用耐熱鋼等の線材２がセットされる巻出機であ
る。一方、３はこの装置により製造された磨棒鋼４が集
材される棒鋼集材テーブルである。巻出機１と棒鋼集材
テーブル３との間には、誘導加熱装置５と引抜装置６と
切断機７と矯正機８が一直線上に一連に設けられてい
る。

【０００９】誘導加熱装置５は高周波電流が流されるイ
ンダクションコイルの中心を線材２が通過することで該
線材２を３００℃〜８００℃に加熱できるものである。
５ａは巻出機１から巻出された線材２の巻ぐせを矯正す
るため誘導加熱装置５の前側に設けられた複数のローラ
からなる予備矯正ローラ、５ｂは同じく誘導加熱装置５
の後側に設けられた複数のピンチローラからなる予備矯
正ローラである。

【００１０】引抜装置６は水冷式ダイス６ａと引張機構
６ｂと駆動部６ｃと荒矯正部６ｄとからなる。該引張機
構６ｂは駆動部６ｃにより回転駆動される主軸６ｅにカ
ム６ｆ，６ｇが固設され、該カム６ｆ，６ｇに接して進
退動する摺動板６ｈ，６ｉにシリンダ６ｊ，６ｋの作動
で線材２を交互に挟着するチャックが夫々設けられ、主
軸６ｅが回転すると摺動板６ｈ，６ｉはカム６ｆ，６ｇ
に沿い互いに反対向に進退動することから上記チャック
がその進退動に同調して線材２を挟着することで該線材
２をダイス６ａ中に強力に引き込めるように構成されて
いる。荒矯正部６ｄはこうして引き抜かれることにより
発生した反りを概略正すために設けられており、線材２
を上下および左右から挟む多数のローラからなる。

【００１１】切断機７は前記引抜装置６の主軸６ｅに固
着されたカム７ａにより進退動する摺動板７ｂ上にカッ
ターが設けられ線材２を停止させることなく進行中に切
断できるようにしている。

【００１２】９，１０は切断機７と矯正機８の間に設け
られた補助加熱装置およびガイドパイプで、補助加熱装
置９は前記誘導加熱装置５と同様に高周波電流が流され
るインダクションコイル中に切断機７で切断された棒鋼
を通過させることで該棒鋼を３００℃〜８００℃に再加
熱し得る。またガイドパイプ１０は断熱材および送給用
ローラからなり上記のようにして加熱された一定長さの
棒鋼をその温度を保持し矯正機に送給する。

【００１３】矯正機８はガイドパイプ１０を通して装入
された棒鋼を紡錐形及び太鼓形をなす一対のロールの間
に挟むと共に該棒鋼を回転させながら該ロール間を通過
させることにより、該棒鋼を高精度で真直に矯正すると
同時に該棒鋼の表面を研磨できるようにした２ロール式
矯正機である。こうして矯正および研磨された磨棒鋼４
は棒鋼集材テーブル３上に抽出される。

【００１４】次表１は上記のような温間引抜、および温
間矯正を冷間引抜、および冷間矯正と比較するため高速
度工具鋼からなる素材をおのおの温間と冷間で引抜き試
験および矯正試験した結果を鋼種および減面率（Ｒｅ
ｄ）毎に示すものである。

【表１】

【００１５】このように温間引抜および温間矯正は冷間
と比較して破断，折損等の発生率を顕著に低減し得る。

【００１６】また、図２は、冷間引抜した線材の真直精
度と温間引抜した線材の真直精度とを比較させたグラフ
であり、図３は同じく冷間矯正した棒材の真直精度と温
間矯正した棒材の真直精度を対比させたグラフである。
このように温間引抜、および温間矯正は冷間と比較し真
直精度でも顕著な改善が見られる。

【００１７】なお加熱装置９は線材２が引抜装置６，切
断機７を通る間に温度降下した場合に線材２を再加熱す
るべく補助的に用いられるもので、温度降下が少ない場
合には使用する必要はない。

【００１８】

【発明の効果】このように本発明の磨棒鋼製造装置は、
コイル状に巻回される線材の伸線と切断および矯正を一
連に行い磨棒鋼を１ライン上で製造するものであるので
生産効率がよいと共に、温間引抜，温間矯正による精度
向上も期待できる有益な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る磨棒鋼製造装置の側面図。

【図２】引抜きにより真直精度を対比させたグラフ。

【図３】矯正による真直精度を対比させたグラフ。

【符号の説明】

１ 巻出機 ２ 線材 ３ 棒鋼集材テーブル ４ 磨棒鋼 ５ 誘導加熱装置 ６ 引抜装置 ７ 切断機 ８ 矯正機

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイル状に巻回された線材がセットされ
   る巻出機と棒鋼集材テーブルとの間に、誘導加熱装置と
   引抜装置と切断機と矯正機が一直線状に一連に設けら
   れ、巻出機より巻出された線材を誘導加熱装置を経るこ
   とにより３００℃〜８００℃に加熱して引抜装置に通し
   た後、該線材を切断装置により切断して適宜長さの棒鋼
   とし、さらに該棒鋼を上記温間温度を保持したままで矯
   正機に導き矯正し前記棒鋼集材テーブルに抽出するよう
   にしたことを特徴とする磨棒鋼製造装置。
2. 【請求項２】 切断機と矯正機の間に棒鋼を３００℃〜
   ８００℃の温間状態に加熱する補助加熱装置を設けてな
   る請求項１に記載の磨棒鋼製造装置。