JPH0739785A - 電気集塵装置の荷電制御方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】電気集塵装置内に堆積する堆積ダストへの着火
を確実に防止できる電気集塵装置の荷電制御方法及びそ
の装置を提供する。 【構成】油焚きボイラー１０から発生する可燃性ダスト
を捕集する電気集塵装置１２の放電極１２Ｂと集塵極１
２Ｃの間に、直流ベース電圧にパルス電圧を重畳したパ
ルス荷電電圧を荷電すると共に、油焚きボイラー１０の
ボイラー負荷の大小を検知する検知手段、例えば含塵ガ
スの酸素濃度計３２でボイラー負荷の大小を検知する。
そして、検知手段３２で検知されたボイラー負荷が所定
値以下の時、即ち含塵ガスの酸素濃度が高くなり電気集
塵装置１２内に堆積した堆積ダストが放電により着火し
やくなる着火危険時は、前記直流ベース電圧をコロナ始
発電圧より低くなるようにコントローラ３６で直流ベー
ス電圧発生装置２２を制御するようにした。これによ
り、着火危険時においては、放電極１２Ｂと集塵極１２
Ｃの間に低密度のコロナ放電が間欠的且つ瞬時的に発生
するので、電気集塵装置１２内に堆積した堆積ダストが
着火するような着火エネルギーにならない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気集塵装置の荷電制御
方法及びその装置に係り、特に、電気抵抗率は低いが可
燃性の大きなダストが発生する油焚きボイラー等の除塵
設備として用いられる電気集塵装置の荷電制御方法及び
その装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電気抵抗率の低いダストが発生す
る油焚きボイラー等に用いられる電気集塵装置の荷電方
式としては、図４（ａ）に示す直流電圧を放電極と集塵
極の間に荷電する直流荷電方式が採用されている。とこ
ろが、油焚きボイラー等から発生するダストのように電
気抵抗率は低くても可燃性が高いダストの場合、電気集
塵装置で捕集されてホッパー部に堆積された堆積ダスト
が、放電極と集塵極の間に荷電して放電される放電エネ
ルギーにより着火して燃えるという問題がある。そし
て、その着火メカニズムは、油焚きボイラーの起動時、
停止時等のボイラー負荷軽減時に電気集塵装置に送気さ
れる含塵ガス中の酸素濃度が高くなるので、含塵ガスの
酸素濃度が高い状態で電気集塵装置の放電に火花放電が
起きると前記ホッパー部に堆積された堆積ダストに着火
すると考えられていた。

【０００３】このことから、従来の直流荷電方式の電気
集塵装置の場合、堆積ダストへの着火を防止する方法と
して、図３に示すように、含塵ガス中の酸素濃度が高く
なるボイラー起動時・停止時等のボイラー負荷軽減時に
着火源である電気集塵装置の直流電圧を抑制して火花放
電が発生しないように制御していた。即ち、直流電圧を
図４（ａ）から図４（ｂ）のようにコロナ始発電圧（放
電極と集塵極の間でコロナ放電が開始される電圧）近傍
まで低下させることにより火花放電が発生しないように
していた。尚、図３において、曲線１はボイラーの負荷
状態を示し、曲線２は電気集塵装置の荷電状態を示して
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、油焚き
ボイラーのように可燃性の高いダストの場合、ボイラー
負荷軽減時の含塵ガスの酸素濃度が高い状態では、火花
放電に限らず通常のコロナ放電（火花放電より荷電電圧
は低い）でも堆積ダストに着火することが分かった。従
って、従来の電気集塵装置の荷電制御方法のように、ボ
イラーの停止時及び起動時等のボイラー負荷軽減時に直
流電圧をコロナ始発電圧の近傍まで抑制して火花放電が
発生しないように制御しても堆積ダストへの着火を確実
に防止できないという欠点がある。また、直流電圧を抑
制しすぎると、着火は防止できても集塵性能が大幅に低
下するという問題がある。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、電気集塵装置内に堆積する堆積ダストへの着火
を確実に防止できると共に、集塵性能も僅かな低下で抑
えることのできる電気集塵装置の荷電制御方法及びその
装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、ボイラーから発生する含塵ガス中のダスト
を捕集する電気集塵装置の荷電制御方法に於いて、前記
電気集塵装置内に設けられた放電極と集塵極の間に直流
ベース電圧の上にパルス電圧を重畳したパルス荷電電圧
を荷電すると共に、前記ボイラーのボイラー負荷の大小
を検知し、前記検知したボイラー負荷が所定値以下の時
に、前記直流ベース電圧がコロナ始発電圧より低くなる
ように制御することを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明の発明者は、直流電圧の上にパルス電圧
を重畳するパルス荷電方式は間欠的且つ瞬時的な荷電を
行うので、連続的な荷電を行う直流荷電方式に比べて電
気集塵装置内に堆積した可燃性の堆積ダストに着火しに
くく、且つ、パルス荷電方式は電圧を低下させた場合に
も集塵性能が落ちにくいという知見を得た。そして、本
発明はこの知見に基づいてなされたものである。

【０００８】本発明によれば、パルス荷電装置により電
気集塵装置の集塵室に設けられた放電極と集塵極の間
に、直流ベース電圧にパルス電圧を重畳したパルス荷電
電圧を荷電する。また、ボイラー負荷の大小を検知する
検知手段でボイラーのボイラー負荷の大小を検知する。
この検知手段の一例としては、ボイラー負荷の大小と密
接な関係にある含塵ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度
計を用いることができる。そして、検知手段で検知され
たボイラー負荷が所定値以下の時、即ち含塵ガスの酸素
濃度が高くなり電気集塵装置内に堆積した堆積ダストが
放電により着火しやくなる着火危険時は、前記直流ベー
ス電圧をコロナ始発電圧より低くなるように制御手段で
パルス荷電装置を制御するようにした。

【０００９】これにより、着火危険時においては、放電
極と集塵極の間に堆積ダストに着火しない程度の低密度
のコロナ放電が間欠的且つ瞬時的に発生するので、電気
集塵装置内に堆積した堆積ダストが着火するような着火
エネルギーにならない。従って、堆積ダストへの着火を
確実に防止できると共に、含塵ガスからダストを捕集す
る集塵性能も従来の直流荷電方式で電圧を低下させて着
火を防止する場合に比べて僅かな低下で抑えることがで
きる。

【００１０】

【実施例】以下添付図面に従って本発明に係る電気集塵
装置の荷電制御方法及びその装置の好ましい実施例を詳
述する。図１は油焚きボイラー１０に本発明の電気集塵
装置１２を用いた除塵フローである。この油焚きボイラ
ー１０から発生するダストは、電気抵抗率は小さいが可
燃性が大きいという特徴がある。

【００１１】先ず、除塵フローについて説明すると、同
図に示すように、油焚きボイラー１０から発生した含塵
ガスは、エコノマイザ１４を介して煙道管１６により電
気集塵装置１２に送気される。電気集塵装置１２に取り
込まれた含塵ガスは、集塵室１２Ａ内に設けられた放電
極１２Ｂと集塵極１２Ｃとの間に荷電して発生する放電
により含塵ガス中のダストが集塵極１２Ｃに付着し、集
塵極１２Ｃに付着したダストは、槌打ち操作により集塵
極１２Ｃから剥離されて電気集塵装置１２のホッパー部
１２Ｄに落下堆積される。ホッパー部１２Ｄに堆積され
た堆積ダストは堆積量に応じて又は一定時間ごとに電気
集塵装置１２外に図示しない排出装置で排出される。一
方、除塵された清浄ガスは排気管１８を通って煙突２０
から大気に排出される。尚、エコノマイザ１４は煙道ガ
スの余熱を利用して油焚きボイラー１０への給水を予熱
するもので、必要に応じて設置される。

【００１２】次に、本発明の電気集塵装置１２の改良部
分について説明する。前記電気集塵装置１２の荷電設備
は、直流ベース電圧発生装置２２と、パルス電圧発生装
置２４が結合コンデンサ２６で結合されて構成されてい
る。そして、直流ベース電圧発生装置２２で発生する連
続的な直流ベース電圧の上に、パルス電圧発生装置２４
で発生する間欠的且つ瞬時的なパルス電圧（パルス幅…
５０〜１００μｓ、パルス周波数…１００〜２００Hz）
が結合コンデンサ２６を介して重畳されたパルス荷電電
圧が、放電極１２Ｂと集塵極１２Ｃの間に荷電される。

【００１３】また、本実施例では、油焚きボイラー１０
のボイラー負荷を検知する検知手段として含塵ガスの酸
素濃度を測定する酸素濃度計３２を用いた。この理由
は、ボイラー負荷と含塵ガスの酸素濃度との間に密接な
関係があるためである。即ち、ボイラー１０が定常運転
される通常負荷時のように燃焼物量が多い時は含塵ガス
の酸素濃度が低く、ボイラー起動時、停止時等のボイラ
ー負荷軽減時のように燃焼物量が少ない時は含塵ガスの
酸素濃度が高くなる。

【００１４】そして、油焚きボイラー１０のボイラー負
荷の大小を検知する酸素濃度計３２は、煙道管１６の電
気集塵装置入口近傍に設けられている。また、酸素濃度
計３２は信号回線３４を介してコントローラ３６に接続
されていると共に、コントローラ３６は信号回線３８を
介して前記直流ベース電圧発生装置２２に接続されてい
る。また、コントローラ３６には、ボイラー起動時・停
止時等のボイラー負荷軽減時における含塵ガスの酸素濃
度設定値が予め入力され、酸素濃度計３２で測定された
測定値と照合される。そして、測定値が設定値以下の
時、コントローラ３６は、油焚きボイラー１０の負荷状
態が通常負荷時と判断して直流ベース電圧発生装置２２
に制御信号を出力し、直流ベース電圧発生装置２２では
直流ベース電圧がコロナ始発電圧以上に自動整流され
る。これにより、放電極１２Ｂと集塵極１２Ｃの間に
は、図２（ａ）に示す高電圧モードのパルス荷電が荷電
される。この高電圧モードのパルス荷電は、放電極１２
Ｂと集塵極１２Ｃの間に高密度のコロナ放電を間欠的且
つ瞬時的に放電させる。

【００１５】一方、酸素濃度計３２で測定された測定値
が設定値以上の時、コントローラ３６は、油焚きボイラ
ー１０の負荷状態が負荷軽減時と判断して直流ベース電
圧発生装置２２に制御信号を出力し、直流ベース電圧発
生装置２２では直流ベース電圧がコロナ始発電圧以下に
自動整流される。これにより、放電極１２Ｂと集塵極１
２Ｃの間には、図２（ｂ）に示す低電圧モードのパルス
荷電が荷電される。この低電圧モードのパルス荷電は、
放電極１２Ｂと集塵極１２Ｃの間に低密度のコロナ放電
を間欠的且つ瞬時的に放電させる。

【００１６】次に、上記の如く構成された電気集塵装置
１２の荷電制御方法について述べる。尚、本発明は、パ
ルス荷電方式は間欠的且つ瞬時的な荷電を行うので、連
続的な荷電を行う直流荷電方式に比べて電気集塵装置１
２内に堆積した可燃性の堆積ダストに着火しにくく、且
つ、荷電電圧を低下させた場合にも集塵性能が落ちにく
いという知見を得たことにより成されたものであり、こ
れを前提として本発明の作用・効果を説明する。

【００１７】油焚きボイラー１０から発生する可燃性ダ
ストを含む含塵ガスは、煙道管１６を通って電気集塵装
置１２の集塵室１２Ａに送気される。この時、煙道管１
６に設けられた酸素濃度計３２により含塵ガスの酸素濃
度が逐次測定されてコントローラ３６に出力され、コン
トローラ３６に予め入力されている設定値と照合されて
油焚きボイラー１０の負荷状態が判断される。そして、
コントローラ３６では、酸素濃度測定値が設定値以下で
あれば通常負荷時と判断して放電極１２Ｂと集塵極１２
Ｃの間に高電圧モードのパルス荷電が荷電されるように
直流ベース電圧発生装置２２を制御する。また、酸素濃
度測定値が設定値以上であれば負荷軽減時と判断して放
電極１２Ｂと集塵極１２Ｃの間に低電圧モードのパルス
荷電が荷電されるように直流ベース電圧発生装置２２を
制御する。即ち、本発明の電気集塵装置１２の荷電制御
方法では、含塵ガスの酸素濃度によりボイラー負荷の大
小を判断し、判断結果に基づいて放電極１２Ｂと集塵極
１２Ｃの間に荷電するパルス荷電の電圧モードを自動的
に切換えるようにした。

【００１８】これにより、油焚きボイラー１０の通常負
荷時のように、含塵ガスの酸素濃度が低く電気集塵装置
１２内に堆積した堆積ダストに着火する心配はないが、
含塵ガス中のダスト量が多い場合には、放電極１２Ｂと
集塵極１２Ｃの間に高電圧モードのパルス荷電が荷電さ
れて高密度のコロナ放電が放電されるので、集塵性能を
高めることができる。一方、油焚きボイラー１０の起動
時・停止時等のボイラー負荷軽減時のように、含塵ガス
中のダスト量は少ないが、含塵ガスの酸素濃度が高く電
気集塵装置１２内に堆積した堆積ダストに着火する恐れ
がある場合には、放電極１２Ｂと集塵極１２Ｃの間に低
電圧モードのパルス荷電が荷電されて低密度のコロナ放
電が放電される。しかも、パルス荷電の特徴である間欠
的且つ瞬時的な放電なので、前記堆積ダストに着火エネ
ルギーを与えることなく、しかも集塵性能も僅かに低下
するだけで含塵ガスからダストを捕集することができ
る。従って、堆積ダストへの着火を確実に防止できると
共に、含塵ガスからダストを捕集する集塵性能も従来の
直流荷電方式で電圧を低下させて着火を防止する場合に
比べて僅かな低下で抑えることができる。

【００１９】尚、本実施例では、油焚きボイラー１０の
ボイラー負荷の大小を含塵ガスの酸素濃度を測定するこ
とにより検知するようにしたが、これに限定されるもの
ではなく、例えば、油焚きボイラー１０の燃焼温度等で
検知するようにしてもよい。また、本実施例では、油焚
きボイラー１０に本発明の電気集塵装置１２及びその運
転方法を適用した例で説明したが、油焚きボイラー１０
に限定されるものではなく、電気抵抗率が低く、可燃性
の高いダストを捕集する場合の全てに適用される。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る電気集
塵装置の荷電制御方法及びその装置によれば、電気集塵
装置の集塵室に設けられた放電極と集塵極の間に直流ベ
ース電圧にパルス電圧を重畳したパルス荷電電圧を荷電
して放電させると共に、ボイラー負荷の大小を検知し、
検知されたボイラー負荷が所定値以下の時、即ち含塵ガ
スの酸素濃度が高くなり電気集塵装置内に堆積した堆積
ダストが放電により着火しやくなる着火危険時は、前記
直流ベース電圧がコロナ始発電圧より低くなるように制
御するようにした。

【００２１】これにより、電気集塵装置内に堆積する堆
積ダストへの着火を確実に防止できると共に、集塵性能
も僅かな低下で抑えることができる。従って、本発明の
電気集塵装置の荷電制御方法及びその装置を用いれば、
電気集塵装置の集塵性能及び安全面における信頼性を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は油焚きボイラーに本発明の電気集塵装置
を用いた除塵フロー及び電気集塵装置の改良部分を示し
た説明図

【図２】本発明に係るパルス荷電方式の電気集塵装置に
おいて、図２（ａ）はボイラーの通常負荷時の高電圧モ
ードのパルス荷電を示し、図２（ｂ）はボイラー負荷軽
減時の低電圧モードのパルス荷電を示した荷電電圧図

【図３】従来の直流荷電方式の電気集塵装置における堆
積ダストの着火防止方法を説明する説明図

【図４】従来の直流荷電方式の電気集塵装置において、
図４（ａ）はボイラーの通常負荷時の通常電圧の直流荷
電を示し、図４（ｂ）はボイラー負荷軽減時の抑制電圧
の直流荷電を示した荷電電圧図

【符号の説明】

１０…油焚きボイラー １２…電気集塵装置 １２Ａ…集塵室 １２Ｂ…放電極 １２Ｃ…集塵極 １２Ｄ…ホッパー部 ２２…直流ベース電圧発生装置 ２４…パルス電圧発生装置 ２６…結合コンデンサ ３２…酸素濃度計 ３６…コントローラ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ボイラーから発生する含塵ガス中のダスト
   を捕集する電気集塵装置の荷電制御方法に於いて、 前記電気集塵装置内に設けられた放電極と集塵極の間に
   直流ベース電圧の上にパルス電圧を重畳したパルス荷電
   電圧を荷電すると共に、前記ボイラーのボイラー負荷の
   大小を検知し、 前記検知したボイラー負荷が所定値以下の時に、前記直
   流ベース電圧がコロナ始発電圧より低くなるように制御
   することを特徴とする電気集塵装置の荷電制御方法。
2. 【請求項２】ボイラーから発生する含塵ガス中のダスト
   を捕集する電気集塵装置に於いて、 前記電気集塵装置内の放電極と集塵極の間に直流ベース
   電圧の上にパルス電圧を重畳したパルス荷電電圧を荷電
   するパルス荷電装置と、 前記ボイラーのボイラー負荷の大小を検知する検知手段
   と、 前記検知したボイラー負荷が所定値以下の時に、前記パ
   ルス荷電装置の直流ベース電圧がコロナ始発電圧より低
   くなるように制御する制御手段と、 を備えたことを特徴とする電気集塵装置。
3. 【請求項３】前記検知手段は前記含塵ガスの酸素濃度を
   測定する酸素濃度計であることを特徴とする請求項２の
   電気集塵装置。